(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】生体の上腕に巻き付けられた本発明の一実施例の圧迫帯を備えた自動血圧測定装置の構成を示している。
【
図2】平面に展開した
図1の圧迫帯の外周面を示す図である。
【
図3】平面に展開した
図1の圧迫帯の内周面を示す図である。
【
図4】
図2のIV-IV視断面を概念的に示す圧迫帯の断面図である。
【
図5】自由状態とされて長手方向に曲がった圧迫帯の縦断面図である。
【
図6】
図5のVI-VI視断面すなわち膨張袋の長手方向中央部の横断面である。
【
図7】
図5の膨張袋の内側シートと溶着される前の外側シートを示す図である。
【
図8】
図5の膨張袋の外側シートと溶着される前の内側シートを示す図である。
【
図9】
図5の膨張袋の製造工程を示す工程図である。
【
図10】
図9の端縁部固着工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図13】
図9の引き延ばし工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図14】
図9の側縁部固着工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図15】
図5の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第1内周側布片、第2内周側布片、および第1外周側布片が相互に重ねられて縫製された状態を示す図である。
【
図16】
図5の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2内周側布片と第2外周側布片とが縫製された状態を示す図である。
【
図17】
図5の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2外周側布片をその長手方向に弛ませた状態で、第1内周側布片および第1外周側布片の周縁部が縫製された状態を示す図である。
【
図18】
図5の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2外周側布片の長手方向の弛みが無くなるまで第2内周側布片がその長手方向に引き延ばされた状態で、第2内周側布片および第2外周側布片の一対の側縁部の一方が縫製された状態を示す図である。
【
図19】
図5の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2内周側布片が引き延ばされた状態で、第2内周側布片および第2外周側布片の一対の側縁部の他方が縫製された状態を示す図である。
【
図20】本発明の他の実施例の膨張袋の製造工程を示す工程図である。
【
図21】
図20の端縁部固着工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図22】
図20の引き延ばし工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図23】
図20の側縁部固着工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図24】本発明の他の実施例の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2内周側布片と第2外周側布片とが縫製された状態を示す図である。
【
図25】本発明の他の実施例の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2外周側布片および第1外周側布片のうち、巻付布の長手方向の中央部に位置させられる端部の幅方向の両側がそれぞれ縫製された状態を示す図である。
【
図26】本発明の他の実施例の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2外周側布片がその長手方向に弛む状態で、相互に重ねられた第1外周側布片および第2内周側布片が幅方向に縫製された状態を示す図である。
【
図27】本発明の他の実施例の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2外周側布片の長手方向の弛みが無くなるまで第2内周側布片がその長手方向に引き延ばされた状態で、第2内周側布片および第2外周側布片の一対の側縁部の一方が縫製された状態を示す図である。
【
図28】本発明の他の実施例の巻付布の製造方法を説明するための図であって、第2外周側布片の長手方向の弛みが無くなるまで第2内周側布片がその長手方向に引き延ばされた状態で、第2内周側布片および第2外周側布片の一対の側縁部の他方が縫製された状態を示す図である。
【
図29】本発明の他の実施例の巻付布の製造方法を説明するための図であって、相互に重ねられた第1内周側布片および第2内周側布片の周縁部が縫製された状態を示す図である。
【
図30】本発明の他の実施例の膨張袋の製造工程を示す工程図である。
【
図31】
図30の引き延ばし工程中の膨張袋を概念的に示す図であって、シートが引き延ばされている状態を示す図である。
【
図32】
図30の引き延ばし工程中の膨張袋を概念的に示す図であって、シートが引き延ばされる前の状態を示す図である。
【
図33】
図30の側縁部固着工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図34】
図30の端縁部固着工程中の膨張袋を概念的に示す図である。
【
図35】本発明の他の実施例における膨張袋の製造工程を示す工程図である。
【
図36】
図35の側縁部部分固着工程において、側縁部のうち引き延ばさない部分を予め固着する工程を説明する斜視図である。
【
図37】
図35の引き延ばし工程中の膨張袋を概念的に示す図であって、シートが引き延ばされる前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0016】
図1は、生体の上腕10に巻回された本発明の一実施例の圧迫帯(血圧測定用圧迫帯)12を備えた自動血圧測定装置14の構成を示している。
図1に示すように、圧迫帯12の管接続用コネクタ16には主配管18が接続されている。そして、その主配管18には、圧力センサ20、排気制御弁22、および空気ポンプ24がそれぞれ接続されている。圧力センサ20は、圧迫帯12に設けられて管接続用コネクタ16を介して主配管18に連通された膨張袋26(
図4参照)内の圧力値を検出し、その圧力値を表す圧力信号SPを出力する。
【0017】
電子制御装置28は、CPU30、RAM32、およびROM34などを含む所謂マイクロコンピュータである。この電子制御装置28は、CPU30がRAM32の記憶機能を利用しつつ予めROM34に記憶されたプログラムにしたがって入力信号を処理することで、排気制御弁22および空気ポンプ24をそれぞれ制御する。なお、電子制御装置28には、起動押釦スイッチ36から血圧測定開始の合図となる起動信号SSが供給される。また、電子制御装置28には、圧力センサ20から出力される圧力信号SPのうちローパスフィルタ38により弁別された圧迫帯12の圧迫圧を表すカフ圧信号SK、および圧力センサ20から出力される圧力信号SPのうちバンドパスフィルタ42により弁別された生体の心拍に同期して発生する圧力振動である脈波信号SMが、A/D変換器40を介してそれぞれ供給される。
【0018】
以上のように構成された自動血圧測定装置14は、電子制御装置28に血圧測定の起動信号SSが供給されると、圧迫帯12の膨張袋26内の圧力を急速昇圧させるためにその膨張袋26に圧縮空気(気体)を供給する。そして、その膨張袋26内の圧力値が予め最高血圧値よりも十分に高く設定された目標昇圧値に到達すると、膨張袋26内の昇圧を停止させる。そして、膨張袋26内の空気を徐々に排気させることにより、膨張袋26内の圧力を略一定の速度で緩やかに降圧させる。そして、膨張袋26内の圧力が緩やかに降圧させられる期間において、良く知られたオシロメトリック法に従って脈波信号SMの大きさの変化に基づいて最高血圧値および最低血圧値を決定する。そして、上記決定された血圧値を表示器44に表示させ、圧迫帯12による上腕10への圧迫を解除するために膨張袋26内の空気の急速排気を行い、血圧測定を終了させる。
【0019】
図2は、平面に展開した圧迫帯12の外周面を示す図であり、
図3は、平面に展開した圧迫帯12の内周面を示す図である。また、
図4は、
図2のIV-IV視断面を概念的に示す圧迫帯12の断面図である。なお、
図4に示す縦の点線は、縫製による縫い目を表している。
【0020】
図2乃至
図4に示すように、圧迫帯12は、相互に重ねられた合成樹脂繊維布、不織布などから成る外周側布46および内周側布48がそれらの周縁部において縁取布50と共に相互に縫製されることにより長手状且つ袋状に構成された巻付布52を備えている。外周側布46および内周側布48は、可塑性を有して屈曲可能であり且つ比較的伸縮不能な素材から成る。そして、内周側布48は、その長手方向において外周側布46よりも短い長手寸法を有しており、巻付布52は、自由状態においては
図5に示すように長手方向に曲がった円筒状となる。なお、
図5の圧迫帯12は長手方向の一方が切り欠かれた状態で図示されている。
【0021】
また、圧迫帯12は、
図4に示す巻付布52の長手方向中央部の縫い目54よりも右側に位置する巻付布52の一端部の外周面に植設された弾性変形可能な合成樹脂製の多数の鉤状突起から成るファスナ56と、それに係合するように巻付布52の他端部の内周面に植設された多数のループ状繊維から成るファスナ58とを備えている。圧迫帯12は、膨張袋26等が収容された巻付布52の一端部の外周側にその巻付布52の他端部が重ねられた状態で、上記一対のファスナ56および58が接着されることにより、
図1に示すように上腕10に着脱可能に装着される。
【0022】
また、圧迫帯12は、巻付布52の長手方向の一端部に形成された袋60内において、外周面側から順に収容された弾性コア部材62、貼付防止シート64、および膨張袋26を備えている。なお、弾性コア部材62および膨張袋26は、その長手方向が圧迫帯12の長手方向に一致させられた状態で巻付布52内に収容されている。
【0023】
弾性コア部材62は、その長手方向の曲げにおいて弾性変形可能な合成樹脂製のシート状部材から成る。弾性コア部材62は、自由状態においては
図5に示すように長手方向に曲がった部分円筒状となる。弾性コア部材62は、圧迫帯12が上腕10に巻回された際にその圧迫帯12の円筒状の形状を保持すると共に膨張袋26をその外周側で把持する。
【0024】
貼付防止シート64は、弾性コア部材62と膨張袋26との間に介在させられており、膨張袋26が弾性コア部材62に貼り付くことを防止する部材である。貼付防止シート64は、膨張袋26に対して面方向に比較的滑り易い性質を有する合成樹脂から成る布製のシート状部材から成る。これにより、膨張袋26が貼付防止シート64の内周面に貼り付くことが抑制されている。
【0025】
膨張袋26は、相互に重ねられた状態で周縁部がたとえば高周波溶着或いは超音波溶着によって気密に固着された平坦な外側シート66および内側シート68から成り、長手状かつ袋状に構成される膨張可能な部材である。
図7および
図8にそれぞれ示すように、外側シート66および内側シート68は、軟質で可撓性を有する例えば軟質ポリ塩化ビニルシートや天然或いは合成ゴムシート等から成る。
【0026】
図6は、
図5のVI-VI視断面すなわち膨張袋26の長手方向中央部の横断面図である。
図5および
図6に示すように、内側シート68は、その長手方向において外側シート66よりも短い長手寸法を有し、且つ長手方向の中央部において外側シート66よりも長い幅寸法を有している。内側シート68の幅寸法は、長手方向の端部から中央部に向かうほど長い。そのため、膨張袋26は、自由状態においては長手方向に曲がった部分円筒状となる。それ故に、膨張袋26の内側シート68には皺が形成されない。そして、外側シート66には、内側シート68との長手寸法の差に応じて長手方向の弛みが皺となって現れるが、膨張時にはその皺は消滅する。
【0027】
外側シート66には管接続用コネクタ16が接続されている。この管接続用コネクタ16は、外周側布46を通して圧迫帯12の外周面側に露出されて主配管18に接続されている。膨張袋26は、空気ポンプ24から管接続用コネクタ16を介して気体や液体が供給されることで膨張させられる。
【0028】
以上のように構成された圧迫帯12は、血圧測定に際して生体の一部たとえば上腕10に巻回される。このとき、圧迫帯12が備える膨張袋26も上腕10の外周側に円筒状に巻回される。自由状態の膨張袋26は外側シート66の長手寸法が内側シート68の長手寸法よりも十分に大きいため、膨張袋26がその自由状態よりも更に小径の円筒状となるように上腕10に巻回された場合であっても、外側シート66の弛みが無くなるまでは内側シート68に皺が生じない。
【0029】
そして、膨張袋26内にたとえば圧縮空気が供給されて膨張袋26が膨張させられると、上腕10が圧迫され、その上腕10内の動脈70の容積変化に応答して発生する圧力振動が電子制御装置28により検出される。膨張袋26は内側シート68の幅寸法が外側シート66の幅寸法よりも長く構成されているため、例えば内側と外側とで幅寸法が同じになるように構成される場合と比べて、膨張時における幅方向の中央部と端部との膨らみ量の差が十分に小さくなる。すなわち、幅方向の中央部と端部とが同程度に膨張する。
【0030】
本実施例の圧迫帯(血圧測定用圧迫帯)12によれば、膨張袋(血圧測定用膨張袋)26の内側シート68は、その長手方向において外側シート66よりも短い長手寸法を有し、且つその長手方向の中央部において外側シート66よりも長い幅寸法を有することから、膨張袋26は、自由状態においては長手方向に曲がった円筒状または部分円筒状となり、また、膨張時における幅方向の中央部と端部との膨らみ量の差が小さくなる。そして、上記膨らみ量の差を小さくするために、例えば内側シート68の外側シート66との対向面全体に凹部等を予め成形する必要がない。よって、生体の一部に巻回されたときに内側シート68に皺が生じ難く、且つ幅方向において圧迫圧力が均一となり低コストな膨張袋26およびそれを備えた圧迫帯12が得られる。
【0031】
また、本実施例の圧迫帯12によれば、膨張袋26を収容し、相互に重ねられた状態で周縁部が固着された外周側布46および内周側布48から成る長手状の巻付布52を備え、その内周側布48は、その長手方向において外周側布46よりも短い長手寸法を有することから、生体の一部に巻回されたときに内周側布48に皺が生じ難い。
【0032】
図9〜
図14は、膨張袋26の製造方法を説明するための図である。これらのうち、
図9は、膨張袋26の製造工程を示す工程図である。また、
図10、
図13、及び
図14は、製造途中の膨張袋26を概念的に示す膨張袋26の正面図であり、
図11は、
図10の膨張袋26の側面図である。また、
図12は、
図11のXII矢視部の拡大図である。以下、これらの図を参照して膨張袋26の製造方法を説明する。
【0033】
先ず、
図9の端縁部固着工程P1において、
図7に示すものに管接続用コネクタ16が予め設けられた外側シート66と
図8に示す内側シート68との長手方向の両端部を、
図10〜
図12に示すようにそれらの長手方向の両端縁がそれぞれ一致するように相互に重ねられた状態で、一対の固定具72によりそれぞれ固定する。このとき、一対の固定具72には
図11中に矢印aで示す方向に力がそれぞれ加えられ、各シート66、68の両端部は一対の固定具72によりそれぞれ挟持される。なお、
図7および
図8にそれぞれ示すように、内側シート68の長さW2は外側シート66の長さW1よりも小さく設定される。これら長さW1と長さW2との差は例えば3cm程度に設定される。また、内側シート68は外側シート66よりも幅が所定値αだけ大きく設定される。すなわち、外側シート66の幅Lに対して、内側シート68は幅L+αに設定される。所定値αは例えば1〜2cm程度に設定される。
【0034】
続いて、外側シート66および内側シート68の両端部を例えば高周波溶着によりそれぞれ相互に固着する。その固着は、
図10〜
図12中に溶着部A1として示されているように、一方および他方の端部において、幅方向の全体に亘って連続してそれぞれ為される。なお、本実施例では、端縁部固着工程P1は後述の側縁部固着工程P3に先立って行われる。
【0035】
次いで、
図9の引き延ばし工程P2において、
図13に示すように、外側シート66および内側シート68の長手方向の両端部を一対の固定具72に挟持させたまま、それら一対の固定具72を
図13中に矢印bで示す方向に移動させて互いに離間させることで、外側シート66の長手方向の弛みが無くなるまで内側シート68を
図13中に矢印cで示す方向すなわち長手方向に引き延ばす。このとき、長手方向に引き延ばされた内側シート68は、その長手方向の端部から中央部に向かうほど幅寸法が縮められる。そして、内側シート68の長手方向の中央部の幅寸法が外側シート66の幅Lに一致する程度にまで縮められる。
【0036】
次いで、
図9の側縁部固着工程P3において、
図14に示すように、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、その内側シート68の両側縁部と外側シート66の両側縁部とを例えば高周波溶着によりそれぞれ相互に固着する。その固着は、
図14中に溶着部A2として示されているように、一方の端部の溶着部A1から他方の端部の溶着部A1まで、長手方向の全体に亘って連続して為される。そして、内側シート68と外側シート66との間に気密な空間が形成される。
【0037】
次いで、
図9の裁断工程P4において、内側シート68および外側シート66のうち、長手方向において溶着部A1よりも外側の部分および幅方向において溶着部A2よりも外側の部分をそれぞれ裁断して、膨張袋26を得る。
【0038】
本実施例の膨張袋26の製造方法によれば、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、その内側シート68の両側縁部と外側シート66の両側縁部とをそれぞれ相互に固着する側縁部固着工程P3と、その側縁部固着工程P3に先立って、内側シート68の両端縁部と外側シート66の両端縁部とを相互に固着する端縁部固着工程P1とを、含むことから、製造された膨張袋26は、内側シート68が外側シート66よりも短い長手寸法を有し、自由状態において長手方向に曲がった円筒状または部分円筒状となるので、生体の一部に巻回されたときには内側シート68に皺が生じ難い。また、製造された膨張袋26は、内側シート68が外側シート66よりも長い幅寸法を有し、膨張時における幅方向の中央部と端部との膨らみ量の差が小さくなるので、幅方向において圧迫圧力が均一となる。また、上記膨らみ量の差を小さくするために、例えば内側シート68の外側シート66との対向面全体に凹部等を予め成形する必要がない。よって、生体の一部に巻回されたときに内側シート68に皺が生じ難く、且つ幅方向において圧迫圧力が均一となり低コストな膨張袋26が得られる。
【0039】
図15〜
図19は、巻付布52の製造方法を説明するための図であって、製造途中の巻付布52を概念的に示す斜視図である。以下、これらの図を参照して巻付布52の製造方法を説明する。
【0040】
先ず、
図15に示すように、内周側布48を構成する第1内周側布片74および第2内周側布片76と、外周側布46を構成する一対の布片のうちの一方すなわち第1外周側布片78とを、巻付布52の長手方向の中央部に位置させられる端部同士が相互に重ねられた状態で縫製する。その縫製箇所は、
図15中に縫製部B1として示されている。
【0041】
次いで、
図16に示すように、上記第2内周側布片76と、外周側布46を構成する一対の布片のうちの他方すなわち第2外周側布片80とを、巻付布52の長手方向の一端部に位置させられる端部同士が相互に重ねられた状態で縫製する。その縫製箇所は、
図16中に縫製部B2として示されている。
【0042】
次いで、
図17に示すように、第2外周側布片80をその長手方向に弛ませた状態で、第1内周側布片74および第1外周側布片78の周縁部を縫製する。その縫製箇所は、
図17中に縫製部B3として示されている。
【0043】
次いで、
図18に示すように、第2外周側布片80の長手方向の弛みが無くなるまで第2内周側布片76をその長手方向に引き延ばす。そして、上記のように第2内周側布片76が引き延ばされた状態で、第2内周側布片76および第2外周側布片80の一対の側縁部の一方を縫製する。その縫製箇所は、
図18中に縫製部B4として示されている。
【0044】
次いで、
図19に示すように、第2内周側布片76が引き延ばされた状態で、第2内周側布片76および第2外周側布片80の一対の側縁部の他方を縫製して、巻付布52を得る。その縫製箇所は、
図19中に縫製部B5として示されている。
【0045】
なお、上記各布片76〜80が縫製されるときには縁取布50および貼付防止シート64も縫製されるが、
図15〜
図19にはそれら縁取布50および貼付防止シート64の図示が省略されている。
【0046】
本実施例の巻付布52の製造方法によれば、第2内周側布片76がその長手方向に引き延ばされた状態で、第2内周側布片76および第2外周側布片80の両側縁部が縫製されることから、製造された巻付布52は、内周側布48が外周側布46よりも短い長手寸法を有するので、生体の一部に巻回されたときに内周側布48に皺が生じ難い。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の実施例の説明において、実施例相互に重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図20〜
図23は、本発明の他の実施例の膨張袋90の製造方法を説明するための図である。これらのうち、
図20は、膨張袋90の製造工程を示す工程図である。また、
図21〜
図23は、製造途中の膨張袋90を概念的に示す膨張袋90の正面図である。以下、これらの図を参照して膨張袋90の製造方法を説明する。
【0049】
先ず、
図20の端縁部固着工程P11において、
図7に示すものに管接続用コネクタ16が予め設けられた外側シート66と
図8に示す内側シート68とを、
図21に示すようにそれらの長手方向の両端縁部がそれぞれ一致するように相互に重ねられた状態で例えば高周波溶着によりそれぞれ相互に固着する。その固着は、
図21中に溶着部C1として示されているように、一方および他方の端部において、長手方向に所定距離だけ離れた2箇所において幅方向の全体に亘って連続してそれぞれ為される。なお、本実施例では、端縁部固着工程P11は後述の側縁部固着工程P13に先立って行われる。
【0050】
次いで、
図20の引き延ばし工程P12において、
図22に示すように、外側シート66および内側シート68の長手方向の両端部の一対の溶着部C1間に、一対の引き延ばしロッド92をそれぞれ挿入する。続いて、それら一対の引き延ばしロッド92を
図22中に矢印dで示す方向に移動させて互いに離間させることで、外側シート66の長手方向の弛みが無くなるまで内側シート68を図中に矢印eで示す方向すなわち長手方向に引き延ばす。このとき、長手方向に引き延ばされた内側シート68は、その長手方向の端部から中央部に向かうほど幅寸法が縮められる。そして、内側シート68の長手方向の中央部の幅寸法が外側シート66の幅Lに一致する程度にまで縮められる。
【0051】
次いで、
図20の側縁部固着工程P13において、
図23に示すように、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、その内側シート68の両側縁部と外側シート66の両側縁部とを例えば高周波溶着によりそれぞれ相互に固着する。その固着は、図中に溶着部C2として示されているように、一方の端部の溶着部C1から他方の端部の溶着部C1まで、長手方向の全体に亘って連続して為される。そして、内側シート68と外側シート66との間に気密な空間が形成される。
【0052】
次いで、
図20の裁断工程P14において、内側シート68および外側シート66のうち、長手方向において溶着部C1よりも外側の部分および幅方向において溶着部C2よりも外側の部分をそれぞれ裁断して、膨張袋90を得る。
【0053】
本実施例の膨張袋90の製造方法によれば、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、その内側シート68の側縁部と外側シート66の側縁部とをそれぞれ相互に固着する側縁部固着工程P13と、その側縁部固着工程P13に先立って、内側シート68の端縁部と外側シート66の端縁部とを相互に固着する端縁部固着工程P11とを、含むことから、製造された膨張袋90は、内側シート68が外側シート66よりも短い長手寸法を有し、自由状態において長手方向に曲がった円筒状または部分円筒状となるので、生体の一部に巻回されたときには内側シート68に皺が生じ難い。また、製造された膨張袋90は、内側シート68が外側シート66よりも長い幅寸法を有し、膨張時における幅方向の中央部と端部との膨らみ量の差が小さくなるので、幅方向において圧迫圧力が均一となる。また、上記膨らみ量の差を小さくするために、例えば内側シート68の外側シート66との対向面全体に凹部等を予め成形する必要がない。よって、生体の一部に巻回されたときに内側シート68に皺が生じ難く、且つ幅方向において圧迫圧力が均一となり低コストな膨張袋90が得られる。
【0054】
図24〜
図29は、本発明の他の実施例の巻付布94の製造方法を説明するための図であって、製造途中の巻付布94を概念的に示す斜視図である。以下、これらの図を参照して巻付布94の製造方法を説明する。
【0055】
先ず、
図24に示すように、第2内周側布片76と第2外周側布片80とを、巻付布94の長手方向の端部に位置させられる端部同士が相互に重ねられた状態で縫製する。その縫製箇所は、
図24中に縫製部D1として示されている。
【0056】
次いで、
図25に示すように、上記第2外周側布片80と第1外周側布片78とが相互に重ねられた状態において、第2外周側布片80および第1外周側布片78のうち、巻付布94の長手方向の中央部に位置させられる端部の幅方向の両側をそれぞれ縫製する。その縫製箇所は、
図17中に縫製部D2として示されている。
【0057】
次いで、
図26に示すように、第2外周側布片80をその長手方向に弛ませた状態で、相互に重ねられた第1外周側布片78および第2内周側布片76を幅方向に縫製する。その縫製箇所は、
図26中に縫製部D3として示されている。
【0058】
次いで、
図27に示すように、第2外周側布片80の長手方向の弛みが無くなるまで第2内周側布片76をその長手方向に引き延ばす。そして、上記のように第2内周側布片76が引き延ばされた状態で、第2内周側布片76および第2外周側布片80の一対の側縁部の一方を縫製する。その縫製箇所は、
図27中に縫製部D4として示されている。
【0059】
次いで、
図28に示すように、第2内周側布片76が引き延ばされた状態で、第2内周側布片76および第2外周側布片80の一対の側縁部の他方を縫製する。その縫製箇所は、
図28中に縫製部D5として示されている。
【0060】
次いで、
図29に示すように、相互に重ねられた第1内周側布片74および第2内周側布片76の周縁部を縫製して、巻付布94を得る。その縫製箇所は、
図29中に縫製部D6として示されている。
【0061】
なお、上記各布片76〜80が縫製されるときには縁取布50および貼付防止シート64も縫製されるが、
図24〜
図29にはそれら縁取布50および貼付防止シート64の図示が省略されている。
【0062】
本実施例の巻付布94の製造方法によれば、第2内周側布片76がその長手方向に引き延ばされた状態で、第2内周側布片76および第2外周側布片80の両側縁部が縫製されることから、製造された巻付布94は、内周側布48が外周側布46よりも短い長手寸法を有するので、生体の一部に巻回されたときに内周側布48に皺が生じ難い。
【実施例3】
【0063】
図30〜
図34は、本発明の他の実施例の膨張袋100の製造方法を説明するための図である。これらのうち、
図30は、膨張袋100の製造工程を示す工程図である。また、
図31〜
図34は、製造途中の膨張袋100を概念的に示す膨張袋100の正面図である。以下、これらの図を参照して膨張袋100の製造方法を説明する。
【0064】
先ず、
図30の引き延ばし工程P21において、
図7に示すものに管接続用コネクタ16が予め設けられた外側シート66と
図8に示す内側シート68との長手方向の両端部を、
図31に示すようにそれらの長手方向の両端縁がそれぞれ一致するように相互に重ねられた状態で、一対の固定具72によりそれぞれ固定する。続いて、
図32に示すように、外側シート66および内側シート68の長手方向の両端部を一対の固定具72に挟持させたまま、それら一対の固定具72を
図32中に矢印fで示す方向に移動させて互いに離間させることで、外側シート66の長手方向の弛みが無くなるまで内側シート68を
図32中に矢印gで示す方向すなわち長手方向に引き延ばす。このとき、長手方向に引き延ばされた内側シート68は、その長手方向の端部から中央部に向かうほど幅寸法が縮められる。そして、内側シート68の長手方向の中央部の幅寸法が外側シート66の幅Lに一致する程度にまで縮められる。
【0065】
次いで、
図30の側縁部固着工程P22において、
図33に示すように、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、その内側シート68の両側縁部と外側シート66の両側縁部とを例えば高周波溶着によりそれぞれ相互に固着する。その固着は、
図33中に溶着部E1として示されているように、一方および他方の側部において、長手方向の全体に亘って連続してそれぞれ為される。
【0066】
次いで、
図30の端縁部固着工程P23において、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、外側シート66および内側シート68の両端部を例えば高周波溶着によりそれぞれ相互に固着する。そして、一対の固定具72による固定を解除することで、
図34に示すように周縁部が相互に固着されて内部に気密な空間が形成された外側シート66および内側シート68が得られる。上記固着は、
図34中に溶着部E2として示されているように、一方の側部の溶着部E1から他方の側部の溶着部E1まで、幅方向の全体に亘って連続して為される。なお、本実施例では、端縁部固着工程P23は、側縁部固着工程P22の後に行われる。
【0067】
次いで、
図30の裁断工程P24において、内側シート68および外側シート66のうち、長手方向において溶着部E2よりも外側の部分および幅方向において溶着部E1よりも外側の部分をそれぞれ裁断して、膨張袋100を得る。
【0068】
本実施例の膨張袋100の製造方法によれば、内側シート68をその長手方向に引き延ばした状態で、その内側シート68の両側縁部と外側シート66の両側縁部とをそれぞれ相互に固着する側縁部固着工程P22と、その側縁部固着工程P22の後に、内側シート68の両端縁部と外側シート66の両端縁部とを相互に固着する端縁部固着工程P23とを、含むことから、製造された膨張袋100は、内側シート68が外側シート66よりも短い長手寸法を有し、自由状態において長手方向に曲がった円筒状または部分円筒状となるので、生体の一部に巻回されたときには内側シート68に皺が生じ難い。また、製造された膨張袋100は、内側シート68が外側シート66よりも長い幅寸法を有し、膨張時における幅方向の中央部と端部との膨らみ量の差が小さくなるので、幅方向において圧迫圧力が均一となる。また、上記膨らみ量の差を小さくするために、例えば内側シート68の外側シート66との対向面全体に凹部等を予め成形する必要がない。よって、生体の一部に巻回されたときに内側シート68に皺が生じ難く、且つ幅方向において圧迫圧力が均一となり低コストな膨張袋100が得られる。
【実施例4】
【0069】
図35〜
図38は、本発明の他の実施例の膨張袋110の製造方法を説明する図である。これらのうち、
図35は膨張袋110の製造工程を示す工程図である。
図36は、側縁部のうちの引き延ばさない部分を予め固着する側縁部部分固着工程P30を説明する斜視図であり、
図37は引き延ばし工程中P31の膨張袋を概念的に示す図であって、シートが引き延ばされる前の状態を示す図である。以下、これらの図を用いて膨張袋110の製造方法を説明する。
【0070】
図35の側縁部部分固着工程P30において、
図7に示すものに管接続用コネクタ16が予め設けられた外側シート66と
図8に示す内側シート68とを、
図36に示すようにそれらの長手方向の両端部がそれぞれ一致するように相互に重ねられた状態で、例えば高周波溶着を用いて、相互の側縁部のうちの長手方向の中間に位置する部分側縁部を溶着し相互に固着させる。その固着は、
図36において溶着部F1として示されているように、一方および他方の側縁部において、相互の側縁部のうちの長手方向の中央において所定距離に亙って連続的に行われる。
【0071】
次に、引き延ばし工程P31では、
図31に示す引き延ばし工程P21と同様に、相互に重ねられ且つ側縁部部分固着工程P30により部分側縁部E1が相互に溶着された外側シート66と内側シート68との長手方向の両端部がそれぞれ一致するように重ねられた状態で、一対の長手状の固定具72によりそれぞれ厚み方向に挟持されて固定される。また、外側シート66と内側シート68との長手方向の中間部すなわち部分側縁部の溶着部F1を含む幅方向の全体が、中間固定具112により厚み方向に挟持されて固定される。
図37はこのような引き延ばし前の状態を示す。次いで、それら一対の固定具72を矢印に示す方向へ移動させて互いに離間させることで、外側シート66の長手方向の弛みが無くなるまで引き延ばされる。
【0072】
続いて、側縁部固着工程P32、端縁部固着工程P33、および裁断工程P34が、前述の側縁部固着工程P22、端縁部固着工程P23、および裁断工程P24と同様に行われることで、膨張袋110が得られる。
【0073】
本実施例の膨張袋110の製造工程によれば、内側シート68が外側シート66よりも短い長手寸法を有し、自由状態において長手方向に曲がった円筒状又は部分円筒状となるので、前述の実施例1、2、3と同様の効果が得られるのに加えて、引き延ばし工程中P31に先立って、外側シート66と内側シート68の部分側縁部の溶着部F1を相互に溶着する側縁部部分固着工程P30が設けられているので、製造された膨張袋110の長手方向の中間部には、部分側縁部の溶着部F1に対応する寸法の平坦な部分が形成される利点がある。
【0074】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0075】
例えば、実施例1および2では、側縁部固着工程P3(P13)に先立って端縁部固着工程P1(P11)が実施され、また、実施例3では、側縁部固着工程P22の後に端縁部固着工程P23が実施されていたが、これに限らず、側縁部固着および端縁部固着が同じ工程中に同時に実施されてもよい。
【0076】
また、外側シート66および内側シート68は、高周波溶着により相互に固着させられていたが、高周波溶着に限らず、例えば、超音波溶着等の他の溶着、或いは接着などによって相互に固着されてもよい。
【0077】
また、外周側布46および内周側布48は、合成樹脂繊維製の織布から成るものであったが、これに限らず、例えば、天然繊維等で編まれた織布、不織布、またはポリ塩化ビニルシートやナイロンシートなどの合成樹脂シートから成るものであってもよい。
【0078】
また、前述の実施例1乃至4では、内側シート68および外側シート66が相互に固着される前において、内側シート68の長さW2は外側シート66の長さW1よりも小さく設定され、また、内側シート68は外側シート66よりも幅が大きく設定されていたが、各シートの寸法が必ずしも上記のように設定される必要はない。たとえば、内側シート68および外側シート66が相互に固着される前において、内側シート68および外側シート66の長さおよび幅が共に同じに設定されてもよい。要するに、内側シート68および外側シート66が相互に固着された状態において、その内側シート68が、その長手方向において外側シート66よりも短い長手寸法を有し、且つその長手方向の中央部において外側シート66よりも長い幅寸法を有していればよい。
【0079】
また、前述の
図35〜
図38に示す実施例4においては、外側シート66および内側シート68をその長手方向の中央部に位置する溶着部F1において相互の側縁部を相互に溶着していたが、必ずしも中央部でなくてもよく、また、必ずしも1箇所でなく複数箇所であってもよい。
【0080】
また、貼付防止シート64や縁取布50は必ずしも必要ない。
【0081】
また、膨張袋26、90、および100を備える圧迫帯は、自動血圧測定装置14に限らず、その他の公知の血圧測定装置に用いられ得る。
【0082】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。