特許第5838035号(P5838035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5838035
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 21/04 20060101AFI20151203BHJP
【FI】
   F28F21/04
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-77034(P2011-77034)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-211720(P2012-211720A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2014年1月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】小林 博治
(72)【発明者】
【氏名】川口 竜生
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−009183(JP,A)
【文献】 特開平02−166353(JP,A)
【文献】 特開平11−311451(JP,A)
【文献】 特開2002−350092(JP,A)
【文献】 特開2002−364992(JP,A)
【文献】 特開2005−009851(JP,A)
【文献】 特開2008−020108(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/075571(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0260586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流通する第一の流体から熱を収集するためのセラミック材料からなる熱収集部材と、
前記熱収集部材にて収集された熱を、内部を流通する第二の流体へと伝達するための少なくとも一つの熱交換部材と、
前記熱収集部材の外周面の一部と、前記熱交換部材の外周面の少なくとも一部とに接合するよう配置され、前記熱収集部材にて収集された熱を前記熱交換部材へと伝導可能な熱伝導材料からなる少なくとも一つの熱輸送部材と、を備え
前記熱収集部材が、隔壁によって前記第一の流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルの区画形成されたハニカム部材であり、
前記熱交換部材が、前記第二の流体の流路を形成する筒状部材であり、
前記熱輸送部材の形状が板状である熱交換器。
【請求項2】
前記熱収集部材、前記熱輸送部材、および前記熱交換部材の外表面のうち、前記第一の流体および前記第二の流体の流通する部分を除く範囲が断熱材で覆われている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記セラミック材料が炭化珪素を50%以上含有する請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱輸送部材が前記熱収集部材に複数接合された請求項1〜のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記熱交換部材を複数備え、複数の前記熱輸送部材のそれぞれが異なる前記熱交換部材に接合された請求項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換部材を1つ備え、複数の前記熱輸送部材のすべてが1つの前記熱交換部材に接合された請求項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換部材が前記熱収集部材の外周を取り囲むよう配置された請求項に記載の熱交換器。
【請求項8】
複数の前記熱輸送部材に、サイズ、形状、および熱伝導率のうち少なくとも1つが異なるものが含まれ、複数の前記熱輸送部材が、熱伝達条件の異なる複数の熱伝達経路として存在する請求項のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記熱輸送部材を形成する前記熱伝導材料が金属材料である請求項1〜のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記熱交換部材が、接合する前記熱輸送部材と同一の材料からなる請求項1〜のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記熱輸送部材と、前記熱輸送部材に接合する前記熱交換部材とが一体的に形成された請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記熱輸送部材が略均一の厚みを有する薄板状の部材であり、
前記熱収集部材の流路方向長さと略同一の長さを有する第一の端部が、前記熱収集部材の外周面の一方の端面から他方の端面に渡って流路方向に平行に接合され、
且つ、前記熱交換部材の流路方向長さと略同一の長さを有する前記第一の端部と反対側に位置する第二の端部が、前記熱交換部材の外周面の一方の端面から他方の端面に渡って流路方向に平行に接合された請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記熱収集部材の流路方向長さと前記熱交換部材の流路方向長さとが略同一である請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記熱輸送部材の表面に熱電素子が設けられている請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記熱輸送部材の一部が熱電素子である請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の流体(加熱流体)の熱を第二の流体(被加熱流体)へと伝達する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
各種工業炉やエンジン等の燃焼機関から排出される排ガス等の高温気体からの熱回収は、省エネルギーの観点から広く行われているところであり、廃熱回収技術の向上のため、様々な熱交換体、熱交換器等が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1には、セラミックス製の主体の一方の端面から他方の端面にわたり加熱流体流路を配設するとともに、加熱流体流路間に、その軸方向と直交する方向に被加熱流体流路を形成したセラミックス製熱交換体が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、内部に加熱流体流路と被加熱流体流路とが形成されたセラミックス製の熱交換体の複数個を、互いの接合面間に未焼成セラミックス質からなる紐状シール材を介在させてケーシング内に配設したセラミックス製熱交換器が開示されている。
【0005】
更に特許文献3には、ハニカム構造体の中央部に、その軸方向と平行な方向に熱交換部材である管状体が挿通固定された、高熱伝導性セラミックスから成るハニカム熱交換器が開示されている。
【0006】
以上のように、従来の熱交換体や熱交換器においては、いずれも熱収集部材としての加熱流体流路と、熱交換部材としての被加熱流体流路とが一体的に形成されている。そのため、熱交換器全体のサイズが大きくなることが避けられず、例えば自動車などの限られたスペースに搭載する際に、レイアウト上の制約があった。また、従来の熱交換体や熱交換器は、加熱流体流路と被加熱流体流路とが近接した構造になっているため、故障の際に、高温流体と低温流体が混ざり合ってしまうというリスクがあったほか、部材交換による部分的な修理が不可能であるというコスト上の問題もあった。更に、従来の熱交換体や熱交換器においては、その構造上、熱収集および熱交換が同時一体的に行われるため、流入する加熱流体の持つ熱エネルギー量に応じた量の熱交換しか行うことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−24997号公報
【特許文献2】特公昭63−60319号公報
【特許文献3】特開昭61−83897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来の熱交換器と比べて、載置場所に応じたより自由なレイアウトを実現し、故障時における簡易且つ低コストの修理や、収集した熱の分散交換等を可能とした熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、鋭意検討した結果、熱収集部材にて収集された熱を熱交換部材へと伝導可能な熱輸送部材が、熱収集部材と熱交換部材とをつなぐよう配置された熱交換器によって、上記課題を解決し得ることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の熱交換器が提供される。
【0010】
[1] 内部を流通する第一の流体から熱を収集するためのセラミック材料からなる熱収集部材と、前記熱収集部材にて収集された熱を、内部を流通する第二の流体へと伝達するための少なくとも一つの熱交換部材と、前記熱収集部材の外周面の一部と、前記熱交換部材の外周面の少なくとも一部とに接合するよう配置され、前記熱収集部材にて収集された熱を前記熱交換部材へと伝導可能な熱伝導材料からなる少なくとも一つの熱輸送部材と、を備え、前記熱収集部材が、隔壁によって前記第一の流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルの区画形成されたハニカム部材であり、前記熱交換部材が、前記第二の流体の流路を形成する筒状部材であり、前記熱輸送部材の形状が板状である熱交換器。
【0011】
[2] 前記熱収集部材、前記熱輸送部材、および前記熱交換部材の外表面のうち、前記第一の流体および前記第二の流体の流通する部分を除く範囲が断熱材で覆われている前記[1]に記載の熱交換器。
【0013】
] 前記セラミック材料が炭化珪素を50%以上含有する前記[1]または[2]に記載の熱交換器。
【0014】
] 前記熱輸送部材が前記熱収集部材に複数接合された前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱交換器。
【0015】
] 前記熱交換部材を複数備え、複数の前記熱輸送部材のそれぞれが異なる前記熱交換部材に接合された前記[]に記載の熱交換器。
【0016】
] 前記熱交換部材を1つ備え、複数の前記熱輸送部材のすべてが1つの前記熱交換部材に接合された前記[]に記載の熱交換器。
【0017】
] 前記熱交換部材が前記熱収集部材の外周を取り囲むよう配置された前記[]に記載の熱交換器。
【0018】
] 複数の前記熱輸送部材に、サイズ、形状、および熱伝導率のうち少なくとも1つが異なるものが含まれ、複数の前記熱輸送部材が、熱伝達条件の異なる複数の熱伝達経路として存在する前記[]〜[]のいずれかに記載の熱交換器。
【0020】
] 前記熱輸送部材を形成する前記熱伝導材料が金属材料である前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱交換器。
【0021】
10] 前記熱交換部材が、接合する前記熱輸送部材と同一の材料からなる前記[1]〜[]のいずれかに記載の熱交換器。
【0022】
11] 前記熱輸送部材と、前記熱輸送部材に接合する前記熱交換部材とが一体的に形成された前記[10]に記載の熱交換器。
【0023】
12] 前記熱輸送部材が略均一の厚みを有する薄板状の部材であり、前記熱収集部材の流路方向長さと略同一の長さを有する第一の端部が、前記熱収集部材の外周面の一方の端面から他方の端面に渡って流路方向に平行に接合され、且つ、前記熱交換部材の流路方向長さと略同一の長さを有する前記第一の端部と反対側に位置する第二の端部が、前記熱交換部材の外周面の一方の端面から他方の端面に渡って流路方向に平行に接合された前記[1]〜[11]のいずれかに記載の熱交換器。
【0024】
13] 前記熱収集部材の流路方向長さと前記熱交換部材の流路方向長さとが略同一である前記[1]〜[12]のいずれかに記載の熱交換器。
【0025】
14] 前記熱輸送部材の表面に熱電素子が設けられている前記[1]〜[13]のいずれかに記載の熱交換器。
【0026】
15] 前記熱輸送部材の一部が熱電素子である前記[1]〜[13]のいずれかに記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0027】
本発明の熱交換器は、載置場所に応じて所望の形状に構成することができ、限られたスペースにおけるレイアウトの上での制約を解消することが可能である。また、故障の際にも、高温流体と低温流体とが混ざり合うリスクが無く、また、故障部材の交換による簡易且つ低コストの修理が可能となる。更に、収集した熱を、用途に応じて複数の熱交換部材に振り分けて交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図2】本発明の熱交換器の別の実施形態を示す模式図である。
図3】複数の熱輸送部材および複数の熱交換部材を備える本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図4】複数の熱輸送部材および1つの熱交換部材を備える本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図5】複数の熱輸送部材および1つの熱交換部材を備える熱交換器の実施形態を示す模式図である。
図6】複数の熱輸送部材および複数の熱交換部材を備える本発明の熱交換器の別の実施形態を示す模式図である。
図7】熱収集部材および熱交換部材の流路方向長さの異なる本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図8】屈曲部を有する熱輸送部材を備える本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図9】熱収集部材および熱交換部材の流路方向長さの異なる本発明の熱交換器の別の実施形態を示す模式図である。
図10】熱収集部材および熱交換部材の流路方向長さの異なる本発明の熱交換器の更に別の実施形態を示す模式図である。
図11】切り欠き部を有する熱輸送部材を備える本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図12】熱輸送部材に熱電素子が設けられている本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図13】スターリングエンジンの模式図である。
図14】スターリングエンジンのヒーターに装着されている本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図15】スターリングエンジンのクーラーに装着されている本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図16】スターリングエンジンの再生器に装着されている本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
図17】熱輸送部材の一部が熱電素子となる本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0030】
図1は、本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図であり、図2は本発明の熱交換器の別の実施形態を示す模式図である。図1および図2に示すように、本発明の熱交換器10は、内部を流通する第一の流体(加熱流体)から熱を収集するための熱収集部材1と、熱収集部材1にて収集された熱を、内部を流通する第二の流体(被加熱流体)へと伝達するための熱交換部材2と、熱収集部材1の外周面の一部と、熱交換部材2の外周面の少なくとも一部とに接合するよう配置され、熱収集部材1にて収集された熱を熱交換部材2へと伝導可能な熱輸送部材3と、を備える。熱輸送部材3は、熱収集部材1および熱交換部材2の外周面の少なくとも一部に接合していればよく、例えば図1および図2に示すように、熱輸送部材3の他部材との接合部の大きさは任意に選択することができる。また、本発明の熱交換器10においては、熱収集部材1はセラミック材料からなり、熱輸送部材3は熱伝導材料からなる。
【0031】
また、本発明の熱交換器10は、互いに接合された熱収集部材1、熱輸送部材3、および熱交換部材2の外表面のうち、第一の流体および第二の流体の流通する部分を除く範囲が断熱材で覆われていることが望ましい。ここで第一の流体の流通する部分とは、熱収集部材1における一方の端面11aおよび他方の端面11bを指し、これらの端面はそれぞれ、第一の流体の流入孔側端面および流出孔側端面のいずれかとなる。また、第二の流体の流通する部分とは、熱交換部材2における一方の端面12aおよび他方の端面12bを指し、これらの端面はそれぞれ、第二の流体の流入孔側端面および流出孔側端面のいずれかとなる。断熱材の材料としては、グラスウールなどの繊維系断熱材、硬質ウレタンなどの発泡系断熱材、真空断熱材等が挙げられる。これらの材料の中でも、耐久性の点からは、グラスウールが好ましい。なお、作図の便宜上、本明細書におけるすべての図面において断熱材の記載を省略した。
【0032】
本発明の熱交換器10に用いられる熱収集部材1は、隔壁5によって第一の流体の流路となる一方の端面11aから他方の端面11bまで延びる複数のセル6の区画形成されたハニカム部材である。熱収集部材1をこのようなハニカム構造とすることによって、内部を流通する第一の流体と熱収集部材1内表面との接触面積を多くとることが可能となり、より高い熱収集能力を有する熱交換器10を得ることができる。
【0033】
本発明の熱交換器10に用いられる熱収集部材1はセラミック材料からなるが、ここでセラミック材料としては、一定以上の熱伝導率を有する限り特に限定されず、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素等が挙げられる。中でも、耐熱・耐食性に優れた炭化珪素が特に好ましい。
【0034】
図3、4、6は、複数の熱輸送部材を備える本発明の熱交換器の各実施形態を示す模式図である。図3、4、6に示すように、本発明の熱交換器10においては、1つの熱収集部材1に対して複数の熱輸送部材3が接合されていてもよい。この時、複数の熱輸送部材3は、図3に示すように、それぞれが異なる熱交換部材2(2a,2b)に接合されていてもよく、図4に示すように、すべてが1つの熱交換部材2に接合されていてもよい。また、図6に示すように、これらを組み合わせた構造となっていてもよい。
【0035】
複数の熱輸送部材3のそれぞれが異なる熱交換部材2に接合されている場合には、例えば図3に示すように、熱収集部材1にて収集した熱を、複数の熱交換部材2(2a,2b)に分散させて熱交換を行うことが可能となる。
【0036】
また、複数の熱輸送部材3のすべてが、1つの熱交換部材2に接合されている場合には、例えば図4に示すように、熱収集部材1と熱交換部材2とが離れて配置されていてもよく、図5に示すように、熱交換部材2が熱輸送部材3を介して熱収集部材1の外周を取り囲むよう配置されていてもよい。これらの実施形態およびそれに類する実施形態においては、熱輸送部材3の数以外の他の条件が同一であれば、1つの熱交換部材2に対して1つの熱輸送部材3しか備えない場合よりも、熱収集部材1から熱交換部材2への熱伝達効率を高くすることができる。
【0037】
更に、本発明の熱交換器10においては、複数の熱輸送部材3には、サイズ、形状、および熱伝導率のうち少なくとも1つが異なるものが含まれていてもよい。特に、図3に示すような、複数の熱輸送部材3(3a,3b)のそれぞれが異なる熱交換部材2(2a,2b)に接合されている場合には、例えば、熱輸送部材3aと熱輸送部材3bのサイズ、形状、および熱伝導率を任意に選択することによって、熱収集部材1にて収集した熱を所望の比率で熱交換部材2aと熱交換部材2bとに割り振って熱交換を行うことが可能となる。
【0038】
本発明の熱交換器10に用いられる熱交換部材2は、第二の流体の流路を形成する筒状部材である。このような構造とすることによって、熱収集部材1にて収集した熱を、効率良く第二の流体へと伝達することができる。筒状部材のサイズや詳細な形状等は、流路としての機能を果たす限り特に限定されるものではなく、流通する流体の性質に応じて、任意に選択することができ、例えば、円筒状、楕円筒状、チューブ状等のものが挙げられる。
【0039】
本発明の熱交換器10に用いられる熱輸送部材3は熱伝導材料からなるが、ここで熱伝導材料とは、熱伝導率の高いもの、即ち、熱伝導率が100W/m・K以上のものである限り特に限定されることはなく、例えば、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素等の高熱伝導率セラミック材料や、銅、銀、金、アルミニウム、珪素、鉄等の金属材料が挙げられる。中でも、より高い熱伝導率を有することから金属材料であることが好ましい。
【0040】
本発明の熱交換器10においては、熱交換部材2が、接合する熱輸送部材3と同一の材料から形成されていてもよい。その場合、熱交換部材2と熱輸送部材3とが異なる材料から形成されている場合と同様に、熱交換部材2と熱輸送部材3とを別々に準備した後に互いに接合させてもよい。その際の接合方法としては、ロウ付けによる接合が好ましい。なお、熱収集部材1と熱輸送部材3とを互いに接合させる場合にも、同様に、ロウ付けによる接合方法を採用することが好ましい。
【0041】
一方、熱交換部材2と接合する熱輸送部材3とが同一の材料から形成されている場合には、熱交換部材2と熱輸送部材3とを予め一体的に形成しておいてもよい。これらの部材を予め一体形成することによって、熱交換器10の製造に要する工程数を少なくすることが可能である。
【0042】
図7〜11は、異なる形状の熱輸送部材3を備える本発明の熱交換器の各実施形態を示す模式図である。これらの実施形態に示すとおり、本発明の熱交換器10においては、熱収集部材1から熱交換部材2への熱伝達機能が維持される限り、熱輸送部材3の形状は特に限定されるものではない。但し、熱交換率および製造工程の観点から、例えば図1,3,7,9,10に示すとおり、熱輸送部材3が略均一の厚みを有する薄板状の部材であり、熱収集部材1の流路方向長さと略同一の長さを有する第一の端部が、熱収集部材1の外周面の一方の端面11aから他方の端面11bに渡って流路方向に平行に接合され、且つ、熱交換部材2の流路方向長さと略同一の長さを有する第一の端部と反対側に位置する第二の端部が、熱交換部材2の外周面の一方の端面12aから他方の端面12bに渡って流路方向に平行に接合されていることが好ましい。薄板状の熱輸送部材3の厚さは、熱収集部材1から熱交換部材2へと伝達する熱量に応じて定めるとよい。熱収集部材1から熱交換部材2へと熱を伝達する際の熱抵抗を低減するには、薄板状の熱輸送部材3を厚くするとよい。熱輸送部材3をこのような部材とすることによって、熱収集部材1にて収集した熱を、素早く熱交換部材2へと伝達させることが可能となる。また、熱輸送部材3を、熱収集部材1の一方の端面11aから他方の端面11bに渡って流路方向に平行に接合することにより、熱収集部材1の内部を流通する第一の流体から無駄なく熱を収集することができる。同様に、熱輸送部材3を、熱交換部材2の一方の端面12aから他方の端面12bに渡って流路方向に平行に接合することにより、熱交換部材2の内部を流通する第二の流体へと無駄なく熱を伝達することができる。よって、上記の構造を採用することによって、熱交換器10の製造が簡易なものとなるととともに、熱交換率を高めることが可能となる。
【0043】
更にこのとき、図1および図3に示すように、熱収集部材1の流路方向長さと熱交換部材2の流路方向長さとが略同一であることがより好ましい。このような構造とすることによって、熱収集部材1にて収集した熱を、素早く且つ均一に熱交換部材2へと伝達させることが可能となり、熱交換率および製造工程の観点から最も好ましい熱交換器10となる。また、このような構造とすることにより、熱収集部材1から熱交換部材2への熱伝達を流路方向に分散させることができるという利点もある。
【0044】
図12は、熱輸送部材3に熱電素子20が設けられている本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。熱電素子20を熱輸送部材3に設けることにより、熱輸送部材3によって伝達されている熱の一部を電気エネルギーに変換することが可能になる。すなわち、熱収集部材1によって収集された熱の一部を電気エネルギーに変換することが可能になる。
【0045】
図17は、熱輸送部材3の一部が熱電素子20となる本発明の熱交換器の一実施形態を示す模式図である。図示されるように、熱輸送部材3の一部が熱電素子20であってもよい。図17に示す熱輸送部材10では、熱輸送部材3が、熱収集部材1から熱交換部材2に向かう方向に沿って3つの部分に区分されており(熱輸送部材3d〜3f)、そのうちの真ん中にある熱輸送部材3eが熱電素子20になっている。このようにしても、熱収集部材1によって収集された熱の一部を電気エネルギーに変換することが可能になる。
【0046】
また、本発明の熱交換器は、スターリングエンジンに使用することが可能である。図13は、2ピストン型のスターリングエンジンの一例を示した模式図である。図示されるように、スターリングエンジン30では、2個のシリンダ35a,35bが作動ガス流路36によって連通しており、作動ガスが作動ガス流路36を介してシリンダ35a内の膨張空間32とシリンダ35b内の圧縮空間34との間を往復する。また、作動ガス流路36には、膨張空間32の側から圧縮空間34の側に向かって、ヒーター37、再生器38、クーラー39が設けられている。そのため、作動ガスが膨張空間32と圧縮空間34との間を往復する際には、作動ガスはヒーター37、再生器38、およびクーラー39の内部を通過する。
【0047】
ヒーター37は、ヒーター37内に流入した作動ガスを加熱し、クーラー39は、クーラー39内に流入した作動ガスを冷却する。
【0048】
さらに、再生器38は、作動ガスが膨張空間32の側から圧縮空間34の側に向かって流れてくると、作動ガスから熱を回収して作動ガスを冷却し、この回収した熱を再生器38の内部に一時蓄えておき、続いて、作動ガスが圧縮空間34の側から膨張空間32の側に向かって流れてくると、蓄えておいた熱によって作動ガスを加熱する。
【0049】
スターリングエンジン30では、シリンダ35a内に膨張ピストン31を設け、シリンダ35b内に圧縮ピストン33を設けている。また、膨張ピストン31および圧縮ピストン33は、クランクシャフト40に連結し、さらにクランクシャフト40はフライホイールに連結している。
【0050】
そして、スターリングエンジン30では、作動ガスがヒーター37での加熱によって膨張したり、クーラー39での冷却によって収縮にしたりすることにより、膨張空間32および圧縮空間34が拡張および収縮を繰り返す。その結果、膨張ピストン31および圧縮ピストン33が上下に往復運動し、これらのピストンの上下の往復運動がクランクシャフト40を通じてフライホイール41の回転運動に変換されていく。
【0051】
本発明の熱交換器は、スターリングエンジンにおいてヒーター、クーラー、再生器として使用することができる。
【0052】
図14は、本発明の一実施形態の熱交換器をヒーターとして使用するスターリングエンジンの作動ガス流路の模式図である。ここでは、熱交換部材2は、一方の端部がシリンダ35aに連通し、もう一方の端部が再生器38に連通している。そして、作動ガスが第二の流体となっている。熱収集部材1の内部に高温の第一の流体を流すと、第一の流体から回収された熱は、熱輸送部材3を経由して熱交換部材2に伝わり、最終的に作動ガス(第二の流体)へと伝えられていく。すなわち、熱交換部材2は、作動ガスを加熱することができる。
【0053】
図15は、本発明の一実施形態の熱交換器をクーラーとして使用するスターリングエンジンの作動ガス流路の模式図である。ここでは、熱収集部材1が、一方の端部が再生器38に連通し、もう一方の端部がシリンダ35bに連通している。そして、作動ガスが第一の流体となっている。さらに、熱交換部材2の内部を流れる流体は、作動ガスよりも温度が低い。そのため、作動ガス(第一の流体)が熱収集部材1の内部に流れてくると、作動ガスの熱を回収し、回収した熱は熱輸送部材3を経由して熱交換部材2の内部を流れる第二の流体へと伝わっていく。その結果、熱収集部材1は、作動ガスを冷却することができる。
【0054】
図16は、本発明の一実施形態の熱交換器を再生器として使用するスラーリングエンジンの作動ガス流路の模式図である。ここでは、作動ガスを内部に流す部材(ヒーターおよびクーラーに連通している部材)は、作動ガスをヒーター37の側からクーラー39の側へと流す時には熱回収部材1として働き、作動ガスをクーラー39の側からヒーター37の側へと流す時には熱交換部材2として働く。この部材に対して熱輸送部材3を挟んで反対側にある部材は蓄熱部材50として働く。すなわち、再生器38は、作動ガスをヒーター37の側からクーラー39の側へと流す時には、作動ガスから熱を回収し、この回収した熱を熱輸送部材3を経由させて蓄熱部材50へと伝えていく。そして、蓄熱部材50に伝えられた熱は、蓄熱部材50の内部にある蓄熱流体に蓄えられる。すなわち、蓄熱流体に熱を伝えることによって、作動ガスを冷却する。続いて、作動ガスをクーラー39の側からヒーター37の側へと流す時には、クーラー39から再生器39内に流入した作動ガスの温度が蓄熱部材50内の蓄熱流体の温度よりも低いので、蓄熱流体の熱を熱輸送部材3を経由して作動ガスへと伝えていく。すなわち、蓄熱流体に蓄えられた熱によって作動ガスを加熱する。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
(実施例)
熱収集部材として、直径50mm×長さ100mmの円筒形状であり、セルの断面形状が正方形であり、隔壁厚さが0.4mm、セル密度が30セル/cmの炭化珪素製ハニカム構造体を準備した。次に、熱交換部材として直径30mm×長さ100mmの銅製の円筒を準備し、熱輸送部材として、10mm×100mm×60mmの銅製の平板を準備した。熱収集部材および熱交換部材の外周部が、それぞれ熱輸送部材の10mm×100mmの側面と接合するよう、これらの部材を互いにロウ付けし、周囲に断熱材としてグラスウールを巻き、熱交換器を作製した。
【0057】
(試験方法)
熱収集部材には、300℃、10g/sにて空気を流入させ、熱交換部材には、20℃、10L/mにて水を流入させた。それぞれの部材の流路の出入り口において、流体の温度および流量を測定することにより、収集および交換した熱量を計測した。
【0058】
(試験結果)
測定、計測の結果、熱収集部材では、2.02kWの熱エネルギーを収集し、熱交換部材では、1.81kWの熱エネルギーを交換した。このことから、熱輸送部材を備える本発明の熱交換器は、十分な熱伝導力を有するものであり、熱収集部材と熱交換部材とが離れて配置されている場合でも、十分な熱交換能力を発揮することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の熱交換器は、加熱流体(高温側)と非加熱流体(低温側)の間で熱交換する用途であれば、分野を特定することなく利用が可能である。また、本発明の熱交換器は、レイアウトの自由度の高いことを特徴とするため、自動車分野において排ガスからの排熱回収の用途で利用する場合等、限られたスペースに設置する必要がある場合に特に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1:熱収集部材、2,2a,2b:熱交換部材、3,3a〜3f:熱輸送部材、5:隔壁、6:セル、10:熱交換器、11a,12a:一方の端面、11b,12b:他方の端面、20:熱電素子、30:スターリングエンジン、31:膨張ピストン、32:膨張空間、33:圧縮ピストン、34:圧縮空間、35a,35b:シリンダ、36:作動ガス流路、37:ヒーター、38:再生器、39:クーラー、40:クランクシャフト、41:フライホイール、50:蓄熱部材。
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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