特許第5838068号(P5838068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000002
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000003
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000004
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000005
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000006
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000007
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000008
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000009
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000010
  • 特許5838068-補強材巻き付け装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5838068
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】補強材巻き付け装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20151203BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20151203BHJP
【FI】
   E04G21/16
   E04G23/02 F
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-227132(P2011-227132)
(22)【出願日】2011年10月14日
(65)【公開番号】特開2013-87453(P2013-87453A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596133119
【氏名又は名称】中電プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀高
(72)【発明者】
【氏名】川井 良文
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−040630(JP,A)
【文献】 特開昭63−008168(JP,A)
【文献】 特開平09−144337(JP,A)
【文献】 特開2004−324097(JP,A)
【文献】 特開2011−230673(JP,A)
【文献】 特開昭61−040909(JP,A)
【文献】 特開平09−195229(JP,A)
【文献】 米国特許第05133510(US,A)
【文献】 米国特許第05680739(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強対象となる鋼管の外周面に、帯状補強材を螺旋状に巻き付ける補強材巻き付け装置であって、
前記鋼管の軸線と平行に配置された複数の案内軸と、
前記鋼管が筒内に配置されるとともに、前記案内軸によって前記鋼管の軸線方向に案内される筒状基部と、
前記鋼管の周方向に回転可能な状態で前記筒状基部に取り付けられ、前記帯状補強材が巻き付けられるリング状の補強材保持部と、
前記鋼管の外周面よりも外側を周回移動可能な状態で前記筒状基部に取り付けられ、前記補強材保持部から繰り出された前記帯状補強材を、前記鋼管の外周面に向けて案内するガイドローラと、
前記筒状基部を前記鋼管の軸線方向に移動させる第1駆動機構と、
前記ガイドローラの周回方向への移動に伴って前記補強材保持部が回転されるように、前記ガイドローラの周回動作と前記補強材保持部の回転動作を制御する第2駆動機構と、
を有することを特徴とする補強材巻き付け装置。
【請求項2】
前記案内軸の一端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第1固定部材と、
前記案内軸の他端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第2固定部材とを有し、
前記第1駆動機構は、前記筒状基部を前記第1固定部材と前記第2固定部材との間で往復移動させることを特徴とする請求項1に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項3】
前記案内軸に対応して径方向外側に突出した支持片部を有し、前記案内軸に取り付けられる板状のベースフレームが前記筒状基部に接合され、
前記案内軸の少なくとも1つはねじ軸によって構成され、
前記ベースフレームの前記ねじ軸に対応する前記支持片部には、前記ねじ軸が嵌め合わされ、前記ねじ軸の回転によって前記ねじ軸の軸方向に移動するナット部が取り付けられ、
前記第1駆動機構は、前記ねじ軸を回転させる駆動モータを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項4】
前記第2駆動機構は、
前記ガイドローラを第1速度で移動させるように駆動力を付与する第1回転モータと、
前記補強材保持部が前記第1速度よりも遅い速度で、前記ガイドローラの移動方向へ回転されるように駆動力を付与する第2回転モータと、
を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項5】
前記ガイドローラは、
前記補強材保持部の径方向外側に配置される第1ガイドローラと、
前記第1ガイドローラよりも、前記帯状補強材の巻き付け位置側に配置される第2ガイドローラとを有することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項6】
前記補強材保持部には、前記鋼管への巻き付け方向とは反対方向に、前記帯状補強材が巻き付けられ、
前記補強材保持部から繰り出された前記帯状補強材を、前記第1ガイドローラで折り返した後に前記第2ガイドローラで折り返して、前記鋼管の外周面に巻き付けることを特徴とする請求項5に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項7】
前記案内軸の一端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第1固定部材と、
前記案内軸の他端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第2固定部材とを有し、
前記第1固定部材と前記第2固定部材の少なくとも一方に、吊り下げ用ワイヤーを取り付けるためのワイヤー取り付け部を設けたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項8】
前記鋼管は、動力用蒸気を流通させるための動力用蒸気配管であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の補強材巻き付け装置。
【請求項9】
前記帯状補強材は、ステンレス鋼製の薄板を帯状に加工したものであることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の補強材巻き付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強対象となる鋼管の外周面に、帯状補強材を螺旋状に巻き付ける補強材巻き付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管の外周面に補強材を巻き付けて補強する技術が知られている。例えば、特許文献1には、強化繊維を接着剤に浸した後、構造材の表面に巻き付ける技術が記載されている。特許文献2には、鋼材からなる柱材の外周部分に、強化用繊維シートを2周回以上、柱材の長さ方向に巻き付ける技術が記載されている。特許文献3には、金属管の回りに乾燥繊維の層を配置し、この乾燥繊維の層を外部ライナーで覆う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−268775号公報
【特許文献2】特開2006−70668号公報
【特許文献3】特表2010−502911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の技術は何れも、強化繊維や乾燥繊維といった補強材を鋼管の外周面に巻き付けるものである。この補強材の巻き付けは、補強対象となる鋼管を軸回りに回すことで行われる(特許文献1,3)。鋼管を軸回りに回す方法は、人が持ち運べる程度の大きさの鋼管であれば好適に用いられるが、動力用蒸気配管といった大型の鋼管については装置が大掛かりになってしまうので用いることが困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は装置構成の簡素化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明は、補強対象となる鋼管の外周面に、帯状補強材を螺旋状に巻き付ける補強材巻き付け装置であって、前記鋼管の軸線と平行に配置された複数の案内軸と、前記鋼管が筒内に配置されるとともに、前記案内軸によって前記鋼管の軸線方向に案内される筒状基部と、前記鋼管の周方向に回転可能な状態で前記筒状基部に取り付けられ、前記帯状補強材が巻き付けられるリング状の補強材保持部と、前記鋼管の外周面よりも外側を周回移動可能な状態で前記筒状基部に取り付けられ、前記補強材保持部から繰り出された前記帯状補強材を、前記鋼管の外周面に向けて案内するガイドローラと、前記筒状基部を前記鋼管の軸線方向に移動させる第1駆動機構と、前記ガイドローラの周回方向への移動に伴って前記補強材保持部が回転されるように、前記ガイドローラの周回動作と前記補強材保持部の回転動作を制御する第2駆動機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、帯状補強材が巻き付けられる補強材保持部と、補強材保持部から繰り出された帯状補強材を鋼管の外周面に向けて案内するガイドローラとを筒状基部に設け、第1駆動機構によって筒状基部を鋼管の軸線方向に移動させるとともに、第2駆動機構によってガイドローラを鋼管に対して周回させているので、補強材保持部から繰り出された帯状補強材を鋼管の外周面に螺旋状に巻き付けることができる。このため、簡単な装置構成で鋼管の補強を行うことができる。
【0008】
前述の補強材巻き付け装置において、前記案内軸の一端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第1固定部材と、前記案内軸の他端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第2固定部材とを有し、前記第1駆動機構は、前記筒状基部を前記第1固定部材と前記第2固定部材との間で往復移動させることが好ましい。このように構成すると、鋼管における第1固定部材から第2固定部材までの範囲について、帯状補強材を幾重にも巻き付けることができ、補強材の厚みを任意に設定できる。
【0009】
前述の補強材巻き付け装置において、前記案内軸に対応して径方向外側に突出した支持片部を有し、前記案内軸に取り付けられる板状のベースフレームが前記筒状基部に接合され、前記案内軸の少なくとも1つはねじ軸によって構成され、前記ベースフレームの前記ねじ軸に対応する前記支持片部には、前記ねじ軸が嵌め合わされ、前記ねじ軸の回転によって前記ねじ軸の軸方向に移動するナット部が取り付けられ、前記第1駆動機構は、前記ねじ軸を回転させる駆動モータを有することが好ましい。このように構成すると、駆動モータを動力源とする簡単な構成で、筒状基部を鋼管の軸線方向に移動させることができる。
【0010】
前述の補強材巻き付け装置において、前記第2駆動機構は、前記ガイドローラを第1速度で移動させるように駆動力を付与する第1回転モータと、前記補強材保持部が前記第1速度よりも遅い速度で、前記ガイドローラの移動方向へ回転されるように駆動力を付与する第2回転モータとを有することが好ましい。このように構成すると、第1回転モータが付与する駆動力と第2回転モータが付与する駆動力の差によって、帯状補強材に対して張力を付与することができる。これにより、帯状補強材を密に巻き付けることができる。
【0011】
前述の補強材巻き付け装置において、前記ガイドローラは、前記補強材保持部の径方向外側に配置される第1ガイドローラと、前記第1ガイドローラよりも、前記帯状補強材の巻き付け位置側に配置される第2ガイドローラとを有することが好ましい。このように構成すると、補強材保持部から繰り出された帯状補強材を鋼管の外周面へと円滑に案内することができる。
【0012】
前述の補強材巻き付け装置において、前記補強材保持部には、前記鋼管への巻き付け方向とは反対方向に、前記帯状補強材が巻き付けられ、前記補強材保持部から繰り出された前記帯状補強材を、前記第1ガイドローラで折り返した後に前記第2ガイドローラで折り返して、前記鋼管の外周面に巻き付けることが好ましい。このように構成すると、補強材保持部から繰り出された帯状補強材に対し、各ガイドローラによって適切な張力を付与することができ、帯状補強材を密に巻き付けることができる。
【0013】
前述の補強材巻き付け装置において、前記案内軸の一端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第1固定部材と、前記案内軸の他端部を支持すると共に前記鋼管に固定される第2固定部材とを有し、前記第1固定部材と前記第2固定部材の少なくとも一方に、吊り下げ用ワイヤーを取り付けるためのワイヤー取り付け部を設けることが好ましい。このように構成すると、軸線が鉛直方向に配置された鋼管に対しても、補強材を容易に巻き付けることができる。
【0014】
前述の補強材巻き付け装置において、前記鋼管は、動力用蒸気を流通させるための動力用蒸気配管であることが好ましく、前記帯状補強材は、ステンレス鋼製の薄板を帯状に加工したものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、補強対象となる鋼管の外周面に帯状補強材を巻き付ける補強材巻き付け装置の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】補強材巻き付け装置の斜視図である。
図2】補強材巻き付け装置の平面図である。
図3】補強材巻き付け装置の断面図である。
図4】各止着フレームを説明する図である。
図5図3におけるA−A矢視図である。
図6】帯状補強材を補強材保持部に巻き付けている状態を示す図である。
図7】帯状補強材を鋼管に巻き付けはじめた状態を示す図である。
図8】ガイドローラを周回させている状態を示す図である。
図9】帯状補強材を重ねて巻き付けている様子を示す図である。
図10】天井から吊り下げるようにした実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態では、蒸気タービンにおける動力用蒸気用の配管など、高温高圧(例えば600℃以上、5MPa以上)に曝される鋼管を補強する場合について説明する。この鋼管は、9クロム鋼や12クロム鋼といった高クロム鋼(一般的なものよりもクロム含有率が高められたクロムモリブデン鋼)によって作製され、直径は600mm〜1000mmであり、板厚は30mm〜50mmである。
【0018】
図1図3に示すように、補強材巻き付け装置1(以下巻き付け装置1という)は、フレーム部2と可動部3とを有している。
【0019】
フレーム部2は、可動部3を移動可能な状態で支持する部分である。このフレーム部2は、第1止着フレーム11と、第2止着フレーム12と、4本の案内軸13とを有している。ここで、第1止着フレーム11は、補強対象の鋼管Xにおける或る位置に固定される第1固定部材に相当し、第2止着フレーム12は、この鋼管Xにおける別の位置に固定される第2固定部材に相当する。図1図3に示すように、第1止着フレーム11及び第2止着フレーム12は、補強対象の鋼管Xに止着される部分であり、それぞれベース板14,17と、ねじ取り付け片15,18と、止着ねじ16,19とを有している。
【0020】
図1及び図4に示すように、ベース板14,17は、鋼管Xを通すための空部が開設された略円形のリング状部14a,17aと、このリング状部14a,17aから90度間隔でリングの径方向外側に突出された4つの支持片部14b,17bとを有しており、厚さが10mm程度の鋼板によって作製されている。各支持片部14b,17bは、リング状部14a,17aと一体に設けられている。そして、各支持片部14b,17bにおけるリング状部14a,17a側の部分は、リング状部14a,17aに近付く程に末広がりな形状とされ、必要な剛性が確保されている。
【0021】
また、各支持片部14b,17bにおける先端側の部分は矩形状に設けられており、案内軸13の端部を貫通させるための軸孔(図示せず)が開設されている。本実施形態では、4本の案内軸13のうちの3本が、両端部が雄ねじとされた従動案内軸13aであり、残りの1本が、可動部3を移動させるためのねじ軸(全体にネジ山が形成された回転軸)で構成された駆動案内軸13bである。そして、従動案内軸13aについては、一対のナット20で挟むことで、対応する支持片部14b,17bに固定されている。一方、駆動案内軸13bについては、支持片部14b,17bに設けられた軸受け21によって、軸回りに回転可能な状態で取り付けられている。これによって、各案内軸13は、鋼管Xの軸線と平行に配置される。
【0022】
図1図3に示すように、ねじ取り付け片15,18は、止着ねじ16,19が取り付けられる矩形状板片であり、リング状部14a,17aの表面から垂直方向に取り付けられている。このねじ取り付け片15,18には、雌ねじが板厚方向を貫通する状態に設けられている。止着ねじ16,19は、この雌ねじに嵌め合わされることで、ねじ軸の突出量が調整される。すなわち、止着ねじ16,19を締め込み方向に回転させるほどに、ねじ軸のねじ取り付け片15,18からの突出量が増え、反対方向に回転させるほどにねじ軸の突出量が少なくなる。
【0023】
図4に示すように、このねじ取り付け片15,18もまた90度間隔で4つ設けられており、何れの取り付け片15,18も、止着ねじ16,19のねじ軸が鋼管Xの軸心側を向くように角度が定められている。そして、各止着ねじ16,19が有するねじ軸は、リング状部14a,17aに位置付けられた鋼管Xまで十分に届く長さに定められている。このため、各止着ねじ16,19を締め込むことにより、補強対象の鋼管Xをリング状部14a,17aの内側空間に配置した状態で、各止着フレーム11,12を鋼管Xに固定することができる。また、各取り付け片15,18からのねじ軸の突出量を調整することで、リング状部14a,17aに対する鋼管Xの位置を調整することもできる。
【0024】
次に、案内軸13について説明する。図1に示すように、4本の案内軸13のうちの3本は従動案内軸13aであり、断面が円形の棒状鋼材によって作製され、対応する支持片部14b,17bに一対のナット20で固定されている。残りの1本は、ねじ軸による駆動案内軸13bであり、対応する支持片部14b,17bに軸受け21を介して回転可能な状態で取り付けられている。各案内軸13の長さは揃えられており、鋼管Xの補強範囲よりも長くなるように定められている。また、各案内軸13の太さは、可動部3を支持可能な剛性が得られる程度に定められる。
【0025】
駆動案内軸13bの端部には、走行用モータ22と駆動ギア23が取り付けられている。そして、走行用モータ22が備える回転軸の回転が駆動ギア23によって変速され、駆動案内軸13bに伝達される。従って、走行用モータ22によって駆動案内軸13bが回転され、可動部3が鋼管Xの軸線方向に移動されることになる。
【0026】
このような動作をする駆動案内軸13b、走行用モータ22及び駆動ギア23の組は、可動部3を鋼管Xの軸線方向に移動させる第1駆動機構に相当する。また、走行用モータ22は、駆動案内軸(ねじ軸)13bを回転させる駆動モータに相当する。
【0027】
次に、可動部3について説明する。図1に示すように、可動部3は、第1止着フレーム11(第1固定部材)と第2止着フレーム12(第2固定部材)との間を案内軸13に沿って移動され、帯状補強材Yを鋼管Xの表面に巻き付ける部分である。可動部3は、ベースフレーム31と、筒状基部32と、補強材保持部33と、ガイドローラ34と、ガイドローラ支持部35とを有する。
【0028】
ベースフレーム31は、各案内軸13に取り付けられる板状部材である。本実施形態のベースフレーム31は、前述した各止着フレーム11,12と同様に、鋼管Xを通すための空部が開設された略円形のリング状部31aと、このリング状部31aから90度間隔でリングの径方向外側に突出された4つの支持片部31bとを有しており、厚さが10mm程度の鋼板によって作製されている。
【0029】
従動案内軸13aに対応する3つの支持片部31bには、すべり軸受け36が設けられている。このすべり軸受け36は、従動案内軸13aに沿って円滑に摺動する部材である。一方、駆動案内軸13bに対応する1つの支持片部31bには、ナット部37が取り付けられている。このナット部37は、内周面に雌ねじが形成された円筒状部材であり、駆動案内軸13bが嵌め合わされる。そして、駆動案内軸13bが軸回りに回転されると、ナット部37は駆動案内軸13bの軸方向に移動される。すなわち、ナット部37と駆動案内軸13bとで送りねじが構成されている。
【0030】
他の支持片部31bにはすべり軸受け36が設けられているため、駆動案内軸13bを回転させることにより、ベースフレーム31は案内軸13の方向に移動される。すなわち、駆動案内軸13bを正方向に回転させるとベースフレーム31を前進させることができ、逆方向に回転させるとベースフレーム31を後退させることができる。ここで、筒状基部32は、ベースフレーム31に取り付けられており、補強材保持部33及びガイドローラ支持部35は、筒状基部32に取り付けられている。そして、ガイドローラ34は、ガイドローラ支持部35によって支持されている。このように可動部3を構成する各部がベースフレーム31を介して各案内軸13a,13bに取り付けられているため、駆動案内軸13bを回転させることで可動部3を移動させることができる。
【0031】
筒状基部32は、補強対象の鋼管Xを内側空間に挿通させる部材であり、かつ、補強材保持部33やガイドローラ支持部35を取り付けるための部材でもある。本実施形態の筒状基部32は、図1及び図5に示すように、内径が、鋼管Xの外径よりも一回り大きく定められた(ベースフレーム31の開口径に揃えられた)鋼製の円筒部材によって作製されている。そして、筒状基部32の基端は、ベースフレーム31に対し、溶接によって一体的に接合されている。その際、ベースフレーム31の開口縁と筒状基部32の内表面の位置が揃うように、位置があわせられている。
【0032】
補強材保持部33は、帯状補強材Yを巻き取って保持する部分であり、鋼製の筒状部材で作製されている。図2及び図3に示すように、補強材保持部33は、リング状回転体33aと、一対のガイドリブ33bとを有している。
【0033】
リング状回転体33aは、筒状基部32に回転可能な状態で被せられるリング状(円筒状)部材であり、内径が筒状基部32の外径と同じか若干大きく定められている。このリング状回転体33aは、帯状補強材Yを巻き付けるための部材として用いられるとともに、ガイドローラ支持部35が取り付けられるための部材としても用いられている。本実施形態では、軸線方向の先端側(ベースフレーム31とは反対側)の位置に帯状補強材Yが巻き付けられる。また、中間位置にガイドローラ支持部35が取り付けられる。
【0034】
ガイドリブ33bは、リング状回転体33aの先端側において、半径方向外側に向けて立設された部材である。このガイドリブ33bは、帯状補強材Yをリング状回転体33aに巻き付ける際のガイドとして用いられる。このため、一方のガイドリブ33bと他方のガイドリブ33bは、鋼管Xの軸線方向に、帯状補強材Yの幅の分だけ間隔を空けて設けられている。なお、本実施形態の帯状補強材Yは、例えば厚さが0.2mm程度、幅が30mm〜50mm程度、長さが数m〜数10mとされたステンレス製の薄板である。
【0035】
ガイドローラ支持部35は、ガイドローラ34を回転可能な状態で保持する部分であり、図2に示すように、リング状基部35aと、L型ステー35bと、一対の側板35cとを有している。リング状基部35aは、リング状回転体33aに取り付けられる部分であり、内径がリング状回転体33aの外径と同じか若干大きく定められている。そして、リング状回転体33aに嵌め込まれることで、リング状基部35aは、リング状回転体33aに対して回転可能な状態で取り付けられる。L型ステー35bは、一端がリング状基部35aに接合され、他端が一方の側板35cに取り付けられている。このL型ステー35bによって、ガイドローラ34の位置を定めることができる。両側板35cは、ガイドローラ34を取り付けるための部材であり、ガイドローラ34用の回転軸によって連結されている。
【0036】
ガイドローラ34は、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを、鋼管Xの外周面に向けて案内する部材である。図1図5に示すように、本実施形態では一対のガイドローラ34a,34bを用いている。そして、図2に示すように、一方のガイドローラ34a(第1ガイドローラ34a)をガイドリブ33bの径方向外側の位置に配置し、他方のガイドローラ34b(第2ガイドローラ34b)を、第1ガイドローラ34aよりも、帯状補強材Yを巻き付ける位置の方へ(ベースフレーム31とは反対側へ)、位置をずらして配置している。
【0037】
これにより、ガイドローラ支持部35が回転すると、第1ガイドローラ34aはガイドリブ33bの回りを周方向へ移動することとなり、第2ガイドローラ34bは、鋼管Xの回りを周方向へ移動することとなる。その結果、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを鋼管Xの外周面へと円滑に案内することができる。
【0038】
図3に示すように、補強材保持部33は、張力調整用モータ及び駆動ギアの組38によって回転駆動され、ガイドローラ支持部35及びガイドローラ34は、繰り出し用モータ及び駆動ギアの組39によって回転駆動される。このとき、繰り出し用モータ(第1回転モータ)は、ガイドローラ34を或る速度(第1速度)で移動させるように駆動力を付与する。また、張力調整用モータ(第2回転モータ)は、補強材保持部33が第1速度よりも遅い速度(第2速度)で、ガイドローラ34の移動方向へ回転されるように駆動力を付与する。
【0039】
このように、補強材保持部33の回転速度がガイドローラ34の移動速度よりも低くなるように各モータの駆動力に差を付けると、ガイドローラ34の移動に伴って補強材保持部33が回転されて帯状補強材Yが繰り出される。このとき、帯状補強材Yがガイドローラ34で引っ張られるため、繰り出された帯状補強材Yに張力を付与することができる。その結果、帯状補強材Yを鋼管Xに対して密に巻き付けることができる。このような動作をする張力調整用モータ及び駆動ギアの組38と、繰り出し用モータ及び駆動ギアの組39は、ガイドローラ34の周回動作と補強材保持部33の回転動作を制御する第2駆動機構に相当する。
【0040】
次に、この巻き付け装置1を用いた鋼管Xの補強作業について説明する。この補強作業では、巻き付け装置1を補強対象の鋼管Xに固定する。例えば、補強対象の鋼管Xを、第1止着フレーム11、第2止着フレーム12、筒状基部32の内側空間に位置付け、止着ねじ16,19を締め込んで巻き付け装置1を鋼管Xに固定する。
【0041】
巻き付け装置1を固定したならば、図6に示すように、帯状補強材Yを補強材保持部33に巻き付ける。例えば、芯材に巻回された帯状補強材Yを別途用意し、この帯状補強材Yの端部を補強材保持部33(一対のガイドリブ33bで区画されたリング状回転体33aの表面)に固定した状態で、張力調整用モータを動作させる。張力調整用モータの駆動力が駆動ギアを介して伝達されるため、補強材保持部33が回転して帯状補強材Yが巻き取られる。なお、本実施形態では、鋼管Xへの巻き付け方向とは反対方向に帯状補強材Yを巻き取らせている。
【0042】
帯状補強材Yを補強材保持部33に巻き付けたならば、帯状補強材Yを各ガイドローラ34a,34bに架け渡す。本実施形態では、図7に示すように、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを第1ガイドローラ34aに沿って略V字状に折り返した後、第2ガイドローラ34bに沿って再度V字状に折り返している。そして、帯状補強材Yの先端を鋼管Xの補強開始位置に溶接する。帯状補強材Yを各ガイドローラ34で折り返すように架け渡すことで、帯状補強材Yを鋼管Xへ巻き付ける位置と帯状補強材Yを補強材保持部33から繰り出す位置とが鋼管Xの軸線方向にずれていても、帯状補強材Yを円滑に案内できる。
【0043】
帯状補強材Yの端部を鋼管Xに固定したならば、帯状補強材Yの鋼管Xへの巻き付けを開始する。この場合、前述したように、補強材保持部33の回転速度がガイドローラ34の移動速度よりも低くなるように各モータの駆動力に差を付ける。これにより、図8(a)〜(c)に示すように、各ガイドローラ34が鋼管Xの外周面に沿って周方向に移動するときに、駆動力の差が帯状補強材Yへの張力になるため、帯状補強材Yは、各ガイドローラ34の間において適度に張られた状態になる。これにより、帯状補強材Yを鋼管Xへ密に巻き付けることができる。
【0044】
また、帯状補強材Yを鋼管Xへ巻き付ける際、走行用モータ22も駆動させる。これにより、駆動案内軸13bが回転して可動部3が鋼管Xの軸線方向へ移動する。そして、図9(a)に示すように、可動部3を一定速度で軸線方向へ移動させることにより、帯状補強材Yを鋼管Xへ螺旋状に巻き付けることができる。本実施形態では、帯状補強材Yにおける幅方向の端部が重なるように、可動部3を移動させている。
【0045】
可動部3が一方の止着フレームの手前まで移動されたならば、可動部3の移動方向を反転させる。この場合、走行用モータ22によって駆動案内軸13bの回転方向を逆転させる。これにより、図9(a)の状態から図9(b)の状態へと切り替わり、図の右方向へ移動していた可動部3が、左方向へと移動方向が反転される。その結果、先に巻き付けられていた帯状補強材Yに重ねて、新たに帯状補強材Yが螺旋状に巻き付けられる。そして、可動部3が他方の止着フレームの手前まで移動されたならば、可動部3の移動方向を再度反転させる。これにより、図9(b)の状態から図9(c)の状態へと切り替わり、図の左方向へ移動していた可動部3が、右方向へと移動方向が反転される。その結果、帯状補強材Yがさらに重ねて巻き付けられる。以後は同様に、一方の止着フレームと他方の止着フレームとの間で可動部3を移動させつつ、帯状補強材Yを鋼管Xに巻き付ける。そして、帯状補強材Yによる補強層が所望の厚さになったならば、帯状補強材Yの巻き付けを終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の巻き付け装置1によれば、帯状補強材Yが巻き付けられる補強材保持部33と、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを鋼管Xの外周面に向けて案内するガイドローラ34とを筒状基部32に設け、走行用モータ22や駆動案内軸13b等によって筒状基部32を鋼管Xの軸線方向に移動させるとともに、張力調整用モータや繰り出し用モータ等によってガイドローラ34を鋼管Xに対して周回させているので、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを鋼管Xの外周面に螺旋状に巻き付けることができる。このため、簡単な装置構成で鋼管Xの補強を行うことができる。
【0047】
また、この巻き付け装置1は、各案内軸13の一端部を支持すると共に鋼管Xに固定される第1止着フレーム11と、各案内軸13の他端部を支持すると共に鋼管Xに固定される第2止着フレーム12とを備え、筒状基部32をこれらの止着フレーム11,12の間で往復移動させているので、鋼管Xにおける一方の止着フレームから他方の止着フレームまでの範囲について、帯状補強材Yを幾重にも巻き付けることができ、補強材の厚みを任意に設定できる。
【0048】
また、この巻き付け装置1では、駆動案内軸13bをねじ軸によって構成し、この駆動案内軸13bが嵌め合わされ、駆動案内軸13bの回転によって駆動案内軸13bの軸方向に移動するナット部37を、ベースフレーム31を介して筒状基部32に取り付け、かつ、駆動案内軸13bを走行モータによって回転させているので、走行モータを動力源とする簡単な構成で、筒状基部32を鋼管Xの軸線方向に移動させることができる。
【0049】
また、この巻き付け装置1では、ガイドローラ34を第1速度で移動させるように駆動力を付与する繰り出し用モータと、補強材保持部33が第1速度よりも遅い速度で、ガイドローラ34の移動方向へ回転されるように駆動力を付与する張力調整用モータとを設けているので、各モータの駆動力の差によって、帯状補強材Yに対して張力を付与することができる。これにより、帯状補強材Yを密に巻き付けることができる。
【0050】
また、この巻き付け装置1では、ガイドローラ34を、補強材保持部33の径方向外側に配置される第1ガイドローラ34aと、この第1ガイドローラ34aよりも、帯状補強材Yの巻き付け位置側に配置される第2ガイドローラ34bとによって構成しているので、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを鋼管Xの外周面へと円滑に案内することができる。
【0051】
また、補強材保持部33には、鋼管Xへの巻き付け方向とは反対方向に帯状補強材Yを巻き付け、この補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yを、第1ガイドローラ34aで折り返した後に第2ガイドローラ34bで折り返して、鋼管Xの外周面に巻き付けているので、補強材保持部33から繰り出された帯状補強材Yに対し、各ガイドローラ34a,34bによって適切な張力を付与することができ、帯状補強材Yを密に巻き付けることができる。
【0052】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
【0053】
図10は、巻き付け装置1を天井Zから吊り下げるようにした実施形態である。この実施形態では、上側に位置する第1止着フレーム11に、吊り下げ用ワイヤーWを取り付けるためのワイヤー取り付け部41を設けている点に構成上の特徴がある。そして、ワイヤー取り付け部41に吊り下げ用ワイヤーWの一端を、天井Zに設けたフックFに吊り下げ用ワイヤーWの他端を取り付けている。なお、ワイヤー取り付け部41は、2つ以上設けて荷重を分散することが好ましい。また、ワイヤー取り付け部41は、第1止着フレーム11と第2止着フレーム12の何れか一方に設けてもよく、両方に設けてもよい。このように構成すると、軸線が鉛直方向に配置された鋼管Xに対しても、帯状補強材Yを容易に巻き付けることができる。
【0054】
補強対象の鋼管Xに関し、前述の実施形態では円筒状の鋼管Xを例に挙げたが、角筒状の鋼管Xであっても、筒状基部32の筒内に挿入可能なサイズであれば、同様に帯状補強材Yを巻き付けることができる。また、材質は高クロム鋼に限られない。
【0055】
帯状補強材Yに関し、前述の実施形態では、厚さが0.2mm程度、幅が30mm〜50mm程度、長さが数m〜数10mとされたステンレス製の薄板を例に挙げたが、他の種類の帯状金属であってもよい。また、樹脂製であってもよい。
【0056】
案内軸13に関し、前述の実施形態では4本の案内軸13を90度間隔で配置したが、この構成に限られない。180度間隔で2本配置してもよいし、120度間隔で3本配置してもよい。また、5本以上配置してもよい。要するに、補強対象の鋼管Xの周囲において、この鋼管Xの軸線と平行に複数本配置されていればよい。また、駆動案内軸13bは1本に限られない。2本であってもよいし、全ての案内軸13を駆動案内軸13bとしてもよい。
【0057】
第2駆動機構に関し、前述の実施形態では、張力調整用モータ及び駆動ギアの組38と、繰り出し用モータ及び駆動ギアの組39とを例示したが、この構成に限定されない。例えば、張力調整用モータ及び駆動ギアの組38に代えて、油の粘性や摩擦によって回転抵抗を付与する軸受けを用いて、リング状回転体33aを筒状基部32に取り付けてもよい。
【0058】
巻き付け装置1に関し、巻き付け装置1を鋼管Xの軸線方向に分割し、分割部分に設けたフランジをボルトで結合する等によって、現場で組み立てるようにしてもよい。このように構成することで、プラント等に用いられている既設の鋼管に対して、容易に補強を行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1…補強材巻き付け装置,2…フレーム部,3…可動部,11…第1止着フレーム,12…第2止着フレーム,13…案内軸,13a…従動案内軸,13b…駆動案内軸,14…ベース板,14a…リング状部,14b…支持片部,15…ねじ取り付け片,16…止着ねじ,17…ベース板,17a…リング状部,17b…支持片部,18…ねじ取り付け片,19…止着ねじ,20…ナット,21…軸受け,22…走行用モータ,23…駆動ギア,31…ベースフレーム,31a…リング状部,31b…支持片部,32…筒状基部,33…補強材保持部,33a…リング状回転体,33b…ガイドリブ,34…ガイドローラ,34a…第1ガイドローラ,34b…第2ガイドローラ,35…ガイドローラ支持部,35a…リング状基部,35b…L型ステー,35c…側板,36…すべり軸受け,37…ナット部,38…張力調整用モータ及び駆動ギアの組,39…繰り出し用モータ及び駆動ギアの組,41…ワイヤー取り付け部,X…鋼管,Y…帯状補強材,Z…天井,W…吊り下げ用ワイヤー,F…フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10