特許第5838247号(P5838247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5838247
(24)【登録日】2015年11月13日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】缶詰めパンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 15/00 20060101AFI20151210BHJP
【FI】
   A21D15/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-173787(P2014-173787)
(22)【出願日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】595103371
【氏名又は名称】株式会社コモ
(73)【特許権者】
【識別番号】503090717
【氏名又は名称】天狗罐詰株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木下 克己
(72)【発明者】
【氏名】神谷 康広
【審査官】 竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−319061(JP,A)
【文献】 特開2005−117948(JP,A)
【文献】 特開2013−223612(JP,A)
【文献】 特開2013−27372(JP,A)
【文献】 特開平10−72021(JP,A)
【文献】 特開2002−112708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D 2/00−17/00
B65B 25/16
B65D 81/34
B65D 85/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捏練して紙カップ詰めされたパン生地を醗酵させた後に焼成し、この焼成にて得られた紙カップ詰めパンを缶入れして缶を閉じてなる缶詰めパンを製造するに当たり、
焼成されてパン天部が紙カップの上縁の高さ位置より膨らみ出ている紙カップ詰めパンを、この紙カップ詰めパンの天地を反転させてパン天部が下となるように平板状物の上に配置し、パン天部を平板状物に当接させてパン天部に対する潰し込みを行ない、この潰し込みによりパン天部を平坦に変形させてから前記缶入れをすることを特徴とする缶詰めパンの製造方法。
【請求項2】
天地反転状態の上記紙カップの上縁部が平板状物に当接して、平坦なパン天部が紙カップの上縁の高さに高さ揃えされる請求項1に記載の缶詰パンの製造方法。
【請求項3】
上記パン天部に対する潰し込みは、天地を反転した上記紙カップ詰めパンの自重でパン天部が潰れることによるものである請求項1または2に記載の缶詰めパンの製造方法。
【請求項4】
上記パン天部に対する潰し込みは、天地を反転した上記紙カップ詰めパンに上方から加えられた外力でパン天部が潰れることによるものである請求項1または2に記載の缶詰めパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は缶詰めパンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
缶詰めパンを製造する方法としては、例えば特許文献1に示されている工程を経るようにしたものが提案されている。この提案では、通常の製造手順で製造したパンを缶入れするようにしているものであって、缶入れするまでの構成は、所要の材料を混ぜ合わせて捏練するパン生地のミキシングの工程、パン生地を所要量に分離して丸めてから耐熱性のある紙カップに詰める工程、紙カップに詰められた状態でパン生地をホイロにて醗酵させる工程、醗酵した紙カップ詰めパン生地をオーブンで焼成して紙カップ詰めパンを得る工程、空き缶に二個の紙カップ詰めパンを逆入れで詰める工程、そして、プルトップを有する缶の上蓋を缶に被せて巻き締めして缶を閉じる工程を順に経るようにしているものであった。
【0003】
そして、缶を閉じた後に高温スチーム等で殺菌する工程を経るようにしており、例えば100℃〜120℃の温度で50分〜70分程度の蒸しを行なうことが示されている。
【0004】
また、紙カップ詰めパンを逆入れする点は、プルトップを引いて形成される上蓋側の開口から前記紙カップ詰めパンを取り出すときに、紙カップの底側から出すようにした工夫であり、指先などを直接にパンに触れさせずに取り出せるようにしているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4430039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで図6に示すように焼成工程を経て得られる缶入れ前の紙カップ詰めパンaは、パン天部bが紙カップcの上縁dの高さより上方に向けて膨らみ出た状態となっていて、概略的には上方に凸の丸味を呈している。そして、この紙カップ詰めパンaを空き缶に二段重ねにして缶入れした後に上蓋を缶にセットして閉じられ、この後に上述したように缶詰に対して殺菌が行われることとなる。
【0007】
缶詰食品に対する通常の殺菌は高温スチーム等が充満する環境に缶詰を晒すようにするものであって、その殺菌に用いる設備は、缶詰の内部中央が所定時間の間、所定の温度状態に達したと推定できる必要条件を満たすように設定される。缶詰めパンに対する殺菌設備も前述の必要条件を満たすように高温スチーム等による加熱を行なう。
【0008】
しかし、紙カップ詰めパンを二段にして詰めた上記缶詰めパンでは、缶内部がパンで一様に占められているわけではない。缶詰めパンの内部中央では上方に凸のパンの頂部が位置しているとともに、パンが存在していない空間も多く占めていて、パンと空の空間とが混在する状態である(図7参照)。そのため、缶詰めパンの内部中央に位置するパンの部分が所定の温度条件で所定の時間を経るようにするには、高温スチーム等による加熱の制御が難しくなっている。
【0009】
また、焼成の工程を経た紙カップ詰めパンでは、実際にはそのパン天部の形状が一定のものとはならず、紙カップに詰めたときのパン生地の形の影響を受けたり、焼成時の膨張度合にばらつきがあり、そして干しブドウやスライスピーナッツなどの具材が混ぜ込まれている場合にあってはそれらの具材がパン天部に露出することなどで、紙カップ詰めパンaそれぞれでパン天部bが異なった形状で膨らみ出ているのが現状である。
【0010】
そのため、パン天部の形状にばらつきがある紙カップ詰めパンを缶に二段にして入れたときには、図6に示すように積み重ね状態が定まらないという不具合がある。さらに上段の紙カップ詰めパンaのパン天部bが缶内で設定高さよりはみ出てしまうと、上蓋を適正に缶に配置できず缶封じができない場合もある。
【0011】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、紙カップ詰めパンを缶内に二段にして積み重ねるとき、下段の紙カップ詰めパンのパン天部が平らであり、上段の紙カップ詰めパンを安定して積み重ねることができるようにするとともに、上下の紙カップ詰めパンが積み重ねられている部分が、缶詰めパンの内部中段で多く占めるようにすることを課題とし、缶詰めパンが適正に製造できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、捏練して紙カップ詰めされたパン生地を醗酵させた後に焼成し、この焼成にて得られた紙カップ詰めパンを缶入れして缶を閉じてなる缶詰めパンを製造するに当たり、
焼成されてパン天部が紙カップの上縁の高さ位置より膨らみ出ている紙カップ詰めパンを、この紙カップ詰めパンの天地を反転させてパン天部が下となるように平板状物の上に配置し、パン天部を平板状物に当接させてパン天部に対する潰し込みを行ない、この潰し込みによりパン天部を平坦に変形させてから前記缶入れをすることを特徴とする缶詰めパンの製造方法を提供して、上記課題を解消するものである。
【0013】
(請求項2の発明)
そして、上記発明は、天地反転状態の上記紙カップの上縁部が平板状物に当接して、平坦なパン天部が紙カップの上縁の高さに高さ揃えされることが良好である。
【0014】
(請求項3の発明)
また、上記発明は、上記パン天部に対する潰し込みは、天地を反転した上記紙カップ詰めパンの自重でパン天部が潰れることによるものとすることが可能である。
【0015】
(請求項4の発明)
また、上記発明は、上記パン天部に対する潰し込みは、天地を反転した上記紙カップ詰めパンに上方から加えられた外力でパン天部が潰れることによるものとすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、紙カップ詰めパンの天地を反転させて平板状物に対して配置することは簡単な作業であり、焼成された紙カップ詰めパンのパン天部を平坦にすることに手数を要することがないという頗る有用な効果を奏するものである。
【0017】
(請求項2の発明の効果)
そして、請求項2の発明によれば、別部材として用具を用いずに紙カップ詰めパン自体の紙カップでパン天部の高さ揃えをするので、数多くの紙カップ詰めパンを連続的に生産する場合にその紙カップ詰めパンの形状を均一にすることが容易になる。
【0018】
(請求項3の発明の効果)
また、請求項3の発明によれば、別部材として用具を用いずに紙カップ詰めパン自体の紙カップでパン天部の高さ揃えをするので、設備コストを引き上げることがない。
【0019】
(請求項4の発明の効果)
また、請求項4の発明によれば、紙カップ詰めパンのパン天部を短時間で平坦にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る缶詰めパンの製造方法の実施の形態により製造された缶詰めパンの一例を断面で示す説明図である。
図2】本発明における焼成後の紙カップ詰めパンの一例を示す説明図である。
図3】焼成の工程を経た紙カップ詰めパンを天地反転してパン天部の潰し込みをパン自重により行なう状態を概略的に示す説明図である。
図4】焼成済みの紙カップ詰めパンを段ボール箱に収容してパン天部の潰し込みを行なう状態を概略的に示す説明図である。
図5】同じく焼成済みの紙カップ詰めパンをトレイに収容してパン天部の潰し込みを行なう状態を概略的に示す説明図である。
図6】従来の缶詰めパンにおける紙カップ詰めパンを概略的に示す説明図である。
図7】従来の缶詰めパンを断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに本発明を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明を実施して得られる缶詰めパン1を示している。この缶詰めパン1は、金属製の缶2の内部に上下二段にして紙カップ詰めパン3を収納し、缶2の上部開口にプルタブ付の上蓋4を配置してから缶2の開口縁と上蓋2の周辺とを巻き締めして閉じられているものである。缶体の部分については一例として示されているものであって、従来から知られているフルオープンタイプのものであり、プルタブを引き起こし、上蓋4に円状に刻まれたスコアの部分に沿って裂け目を進めながら巻き締め部分を残して上蓋4が取り外すことができる缶である。
【0022】
図示されているように上記缶詰めパン1の内部で上下二段にして積み重ねられている紙カップ詰めパン3それぞれは、紙カップ5に詰められているパン本体のパン天部6が、紙カップ5の上縁の高さに揃うように平坦となっており、下段の紙カップ詰めパン3のパン天部6の上に上段の紙カップ詰めパン3における紙カップ5の底部を接しさせて二段重ねされている。図において符号7は脱酸素作用の機能を有するシートであり、上段の紙カップ詰めパン3の上に乗せられている。
【0023】
上記缶詰めパン1はつぎに示す工程を経て製造しているものである。まず、パン材料を混ぜ合わせて捏練するパン生地のミキシングの工程を行ない、この後は前記ミキシングで得られたパン生地を必要量ずつに分割して丸め、これを上記紙カップに詰める工程に入る。
【0024】
つぎに紙カップにパン生地を詰めてなる紙カップ詰めパン生地をホイロに入れ、前記パン生地を醗酵させる。なお、パン生地自体は醗酵にて膨張するが、本実施の形態における醗酵の工程ではパン天部が紙カップの上縁の高さ位置に到達しない段階でその醗酵を終了させる。そして続く工程として、パン生地でのパン天部が上方に膨らみ出ている前記紙カップ詰めパン生地をオーブンに入れて焼成して紙カップ詰めパンを得る。
【0025】
上記焼成の工程を経て得られた上記紙カップ詰めパンを図2に示しており、この紙カップ詰めパン3にあっては、上記焼成中にパン生地が膨張しておりパン天部6が紙カップ5の上縁8の高さ位置より上方の膨らみ出ている形状となっている。この実施の形態においては、焼成して得られた紙カップ詰めパン3をこの状態のまま上記缶3に入れるようにするものではなく、紙カップ詰めパン3のパン天部6を平坦にし、上述のように紙カップ5の上縁8の高さに高さ揃えする。
【0026】
(パン天部の潰し込み)
本発明では、上記焼成の工程を終えてから缶入れ前までの間で上記パン天部6を平坦にしている。そして、前記パン天部6を平坦にするために本実施の形態では図3に示されているように焼成して得られた紙カップ詰めパン3の天地を反転させてパン天部6が下となるように後述の平板状物9の上に配置し、紙カップ詰めパン3の自重が、平板状物9に対して当接した状態となっているパン天部6に加わるようにする。
【0027】
天地を反転させて紙カップ詰めパン3の自重がパン天部6に加わるようにしているので、この状態を保つことでパン天部6に対する潰し込みがなされ、この潰し込みによってパン天部6が平坦に変形する。さらにこの天地反転させて平板状物9の上に配置してパン天部を潰し込むこの工程は、平坦なパン天部6が紙カップ5の上縁8の高さに揃うまで行われるものであり、天地反転の紙カップ5の上縁8が平板状物9に対して当接状態になることで高さ揃えがされて、潰し込みが終了する。
【0028】
(平板状物)
上記平板状物9は紙カップ詰めパン3を天地反転させた状態で乗せ置く平たい面が形成されている部材であればよいものである。そしてこの平板状物9は、厨房設備などでのステンレステーブルにおける天板や広面のステンレストレイである必要はないが、人員にて持ち運びできる可搬形態であるものが好ましく、本実施の例では、以下の説明のように天地反転の複数個の紙カップ詰めパンを収容する段ボール箱の底面部分を平板状物9としている。なお、図3においては平板状部9を概略的に一本の直線として表現している。
【0029】
平板状物9に天地を反転させた紙カップ詰めパン3を配置してパン天部6の潰し込みをして平坦にするにはある程度の時間を要するものなので、複数個の紙カップ詰めパン3を一纏まりにして透明な樹脂袋にて包むようにすることが衛生上好ましい。本実施の例では、天地を反転させた状態で複数個の紙カップ詰めパン3を積層フィルムからなる大袋10に入れてから、図4に示すようにこれを各紙カップ詰めパン3の反転状態と並びが保たれるようにして段ボール箱11に収め入れて、紙カップ詰めパン3のパン天部6が、前記段ボール箱11の底面部からなる平板状物9の上に大袋10のフィルム材を介して乗るようにしている。このように段ボール箱に複数個の紙カップ詰めパン3を収納することで、パン天部6を平坦にする時間を利用して紙カップ詰めパン3を次工程へと安全にして衛生的に搬送できるメリットが生じる。
【0030】
また、図5は上述の例とは異なる他の物品を、平板状物9を有するものとして利用している例を示している。この例では、厨房用具として通常に流通しているステンレス製の広面のトレイ12における底板の部分を平板状部9にしており、多数の紙カップ詰めパン3を天地反転状態で並べるようにして大袋10に収め入れ、これを前記トレイ12に入れて、各パン天部6がトレイ12の底板からなる平板状物9の上に大袋10のフィルム材を介して乗せ、パン天部6の潰し込みが行われるようにしているものである。
【0031】
上記パン天部の潰し込みを行なってそのパン天部6が平坦になるとともに紙カップ5の上縁8の高さに高さ揃えされた紙カップ詰めパン3は、上述したように上下二段にして缶に入れ、この紙カップ詰めパンの缶入れおよび上記シート7を入れてから上蓋4を缶2の上部開口に配置し、巻き締めを行って缶2を封じることで缶詰めパン1が得られる。この後前記缶詰めパン1を高温スチーム等を利用した高温の環境に前記缶詰めパン1を晒して缶内に対して加熱殺菌を行なうことで、缶詰めパン1の製造が完了する。なお、脱酸素作用の機能を有する前記シート7を入れて缶封じすることで脱酸素効果が得られ、缶内に酸素がほとんど残らない状態にすることで、殺菌中、保存中の内容物の酸化(品質低下)を防止するようにしている。
【0032】
(外力による潰し込み)
上記実施の形態では焼成して得られた紙カップ詰めパン3をその天地を反転させた状態で平板状物に配置し、紙カップ詰めパン3の自重によりパン天部6の潰し込みと平坦化とを行なうようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、パン天部6に対する潰し込みを、天地反転配置した紙カップ詰めパン3に外力を加えることで行えるようにしてもよい。
【0033】
外力を作用させてパン天部6の潰し込みを行なう場合、その潰し込みを行なうための特別な装置を構築する必要はなく、重量調整された板部材などを紙カップ詰めパン3に対して大袋10の上から重ね置けばよく、このようにすることで個々の紙カップ詰めパン3に対して上方から荷重(外力)が加わるようになる。
【0034】
上述の方法、即ち、天地反転した状態でパン天部6が平板状物9に当接するようにしてその平板状物9に複数個の紙カップ詰めパン3を並べ設け、それらの紙カップ詰めパン3に対して上方から外力を加えて、その外力によりそれぞれのパン天部6を潰し込むようにする方法にあっても、図示のように天地反転状態である紙カップ5の上縁8の部分が平板状物9に当接することでパン天部6の潰し込みが止められ、平坦になったパン天部6が紙カップ5の上縁8の高さに高さ揃えされた状態となる。
【0035】
なお、パン天部6を潰し込む外力は、上縁8が平板状物9に当接した状態の紙カップ5で十分に支えることのできる大きさに設定して、紙カップ5に変形が生じることのないようにする。
【0036】
(放冷と潰し込み)
通常のパンの製造において焼成が終了した直後ではパンの温度が高くなっており、放冷を行なってから次工程に進めている。同様に焼成後の上記紙カップ詰めパンも焼成が終了した直後は温度が高くなっていて、この紙カップ詰めパンの温度を下げる時間を確保する必要がある。
【0037】
一方、本発明においてパン天部に対する潰し込みは、焼成の工程と缶入れの工程との間に行なうようにしている。そこでパン天部の潰し込みを放冷時に重なるようにしたり、放冷の途中段階、さらには放冷が完了した温度になってから行なうこととなるが、潰し込みを開始するタイミングは限定されるものではなく、必要に応じて選択すればよい。
【0038】
例えば、放冷が完了した紙カップ詰めパンをその天地を反転させてパン天部を平坦に潰し込みした場合、温度が下がって硬さが増したパン天部を潰し込むこととなるので、焼成の工程でパン天部6にできた不均一な凸凹による形状のアンバランスさを残しながら潰し込まれて、前記凸凹が筋目や細かな溝に変化することとなり、目新しい造形をパン天部に形成することとなる。
【0039】
また、放冷を開始すると同時に紙カップ詰めパン3をその天地を反転させてパン天部を平坦に潰し込みした場合、温度が高く柔らかいパン天部を潰し込むこととなるので、焼成の工程でパン天部にできた凸凹を均しながら潰し込むこととなり、筋目や溝などが目立たずにいずれの紙カップ詰めパンにあっても同様のパン天部となる。
【符号の説明】
【0040】
1…缶詰めパン
2…缶
3…紙カップ詰めパン
4…上蓋
5…紙カップ
6…パン天部
8…上縁
9…平板状物
10…大袋
11…段ボール箱
12…トレイ
【要約】
【課題】紙カップ詰めパンを缶内に二段にして積み重ねるとき、下段の紙カップ詰めパンのパン天部が平らであり、上段の紙カップ詰めパンを安定して積み重ねることができるようにするとともに、上下の紙カップ詰めパンが積み重ねられている部分が、缶詰めパンの内部中段で多く占めるようにして、缶詰めパンが適正に製造できるようにする。
【解決手段】焼成されてパン天部6が紙カップ5の上縁8の高さ位置より膨らみ出ている紙カップ詰めパン3を、その天地を反転させてパン天部6が下となるように平板状物9に配置し、パン天部6を平板状物9に当接させてパン天部6に対する潰し込みを行ない、この潰し込みによりパン天部6を平坦に変形させてから缶入れをする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7