特許第5838504号(P5838504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5838504
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】ロボットを用いた容器洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/20 20060101AFI20151210BHJP
   B08B 9/28 20060101ALI20151210BHJP
   B08B 9/42 20060101ALI20151210BHJP
【FI】
   B08B9/20
   B08B9/28
   B08B9/42
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-119944(P2011-119944)
(22)【出願日】2011年5月30日
(65)【公開番号】特開2012-245477(P2012-245477A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003665
【氏名又は名称】株式会社ツムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(73)【特許権者】
【識別番号】592193535
【氏名又は名称】タニコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(73)【特許権者】
【識別番号】390025391
【氏名又は名称】OMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 勉
(72)【発明者】
【氏名】朝日 雅之
(72)【発明者】
【氏名】中野 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】道上 正美
(72)【発明者】
【氏名】千賀 茂樹世
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−77232(JP,U)
【文献】 特開2000−68244(JP,A)
【文献】 特開平5−317827(JP,A)
【文献】 特開2004−8836(JP,A)
【文献】 特開2009−239000(JP,A)
【文献】 特開平7−230974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルーム外部に配置された第1のロボットと、クリーンルーム内部に配置された第2のロボットとを用いて物品を洗浄及び乾燥する装置であって、
予洗浄室及び本洗浄室がクリーンルーム外部に、乾燥室がクリーンルーム内部にあり、 予洗浄のために前記物品を予洗浄室に搬入し、予洗浄の終了後に前記物品を本洗浄室に搬入する前記第1のロボットと、
前記物品の本洗浄の終了後、本洗浄室から前記物品を搬出して、1以上の乾燥室のいずれかに搬入する前記第2のロボットと、
本洗浄室を密閉空間にして、本洗浄室内部を洗浄する自己洗浄手段とを備え、
本洗浄室の開口部に設けた開閉自在なシャッター機構を閉状態にすることによって、本洗浄室の密閉空間を形成するとともに、クリーンルーム及び非クリーンルームで分離されるエリアを形成する、前記装置。
【請求項2】
前記物品の本洗浄は、前記シャッター機構を閉状態にして行う、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のロボットが本洗浄室から前記物品を搬出した後、前記自己洗浄手段により本洗浄室の洗浄が行われる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記乾燥室が複数ある場合、各乾燥室の乾燥時間を、前記物品の洗浄を完了する時間よりも長く設定しておき、
前記第2のロボットが、複数の乾燥室のうち使用していない乾燥室に本洗浄後の前記物品を搬入することによって、洗浄処理と乾燥処理とを並行して実行させる、請求項1〜3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
物品の洗浄及び乾燥方法であって、
クリーンルーム外部に配置された第1のロボットが、予洗浄のために物品を予洗浄室に搬入し、予洗浄の終了後に前記物品を本洗浄室に搬入する処理と、
前記物品の本洗浄の終了後、クリーンルーム内部に配置された第2のロボットが、本洗浄室から前記物品を搬出して、1以上の乾燥室のいずれかに搬入する処理と、
本洗浄室を密閉空間にして、本洗浄室内部を洗浄する処理と、を含み、
本洗浄室の開口部に設けた開閉自在なシャッター機構を閉状態することによって、本洗浄室の密閉空間を形成するとともに、クリーンルーム及び非クリーンルームで分離されるエリアを形成する、前記方法。
【請求項6】
前記物品の本洗浄は、前記シャッター機構を閉状態にして行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のロボットが本洗浄室から前記物品を搬出した後、本洗浄室の洗浄が行われる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥室が複数ある場合、各乾燥室の乾燥時間を、前記物品の洗浄を完了する時間よりも長く設定しておき、
前記第2のロボットが、複数の乾燥室のうち使用していない乾燥室に本洗浄後の前記物品を搬入することによって、洗浄処理と乾燥処理とが並行して行われる、請求項5〜7の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を洗浄する洗浄装置に関し、特に複数の洗浄工程により容器を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の洗浄工程により容器を洗浄する従来技術に係る洗浄装置としては、特許第2525520号公報に記載されたものが知られている(特許文献1)。この文献に記載された洗浄装置では、容器が、上流側から下方側に向かって移動するコンベア(本文献では「トランスファー」と表現されている)の上に載置され、粗洗浄工程、仕上洗浄工程、水切り工程及び乾燥工程の各々を実行するブース内を通過することにより、一連の洗浄工程を経る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2525520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術に係る洗浄装置には、次に示すような問題がある。
まず、容器を載置して搬送するコンベアは、チェーンやローラーなどの機械的な部品により構成される。かかる部品には、潤滑油が付与され、また、サビが生ずるものである。このようなコンベアは、各工程を実行するブース内を通過する際に、これらブース内に潤滑油やサビ等をもたらすことによって、ブース内に汚れを発生させてしまう。
また、ブース内には、洗浄水や洗剤等の水分が付着することが避けられないため、時間の経過とともに、カビや藻が発生する。このようにブース内に発生したカビや藻等が、ブース内を移動するコンベアに付着して、ブース内全体が汚れる可能性もある。
このようにブース内が汚れると、ブース内を通過する容器自体が汚れることになるため、容器を洗浄するという本来の目的が達成されなくなる可能性がある。これを防止するためには、洗浄装置(特にブース内及びコンベア)を定期的に清掃及び点検する必要がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、容器を確実に洗浄することが可能な洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗浄装置は、容器を洗浄する洗浄装置であって、前記容器の洗浄に関連した第1の処理を実行するために開閉自在に設けられた開口を有する密閉可能な第1の処理室と、該第1の処理室から隔離して配置され、前記容器の洗浄に関連した第2の処理を実行するために開閉自在に設けられた開口を有する密閉可能な第2の処理室と、各処理室の前記開口を介して、前記第1の処理室の内部に搬入された容器を前記第2の処理室の内部に移送するロボットと、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の構成を模式的に示す上面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の一部分を図1中の方向Xから見て簡略化して示す側面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の一部分を図1中の方向Yから見て簡略化して示す側面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の一部分を図1中の方向Zから見て簡略化して示す側面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置において用いられる第1のロボット140の構成を簡略化して示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置における本洗浄室による本洗浄工程と各乾燥室による乾燥工程との組み合わせを例示する表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態ついて添付図面を参照して説明する。なお、添付図面における同一の構成要素に対しては、同一の参照符号が付されている。
【0009】
1.洗浄装置100の構成
1−1.概略
図1は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の構成を模式的に示す上面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る洗浄装置100は、容器Cに対して予洗浄工程を実施する予洗浄室110と、この予洗浄室110に隣接して配置され、容器Cに対して本洗浄工程を実施する本洗浄室120(容器の洗浄に関連した第1の処理を実行するための第1の処理室)と、この本洗浄室120に対向して配置され、容器Cに対して乾燥工程を実施する乾燥室130(容器の洗浄に関連した第2の処理を実行するための第2の処理室)と、搬入台10の上に置かれた容器Cを予洗浄室110及び本洗浄室120に搬入する第1のロボット140と、本洗浄室120に搬入された容器Cを外部に搬出し、容器Cを乾燥室130に搬入し、乾燥室130に搬入された容器Cを搬出して搬出台20の上に載置する第2のロボット150と、を含む。
【0010】
なお、図1において、斜線が付された外縁により画定される領域は、その外部から汚れ等の侵入を防止するように機能するクリーンルームRとして、構成されている。乾燥室130及び第2のロボット150がこのクリーンルームRの内部に配置されている。
【0011】
1−2.予洗浄室110及び本洗浄室120
図2は、本実施の形態に係る洗浄装置の一部分を図1中の方向Xから見て簡略化して示す側面図である。なお、図1中の方向Xから見た場合、搬入台10と第1のロボット140とが重なるため、図2では、便宜上、搬入台10は、本来の位置からずらして示されている。
【0012】
図2に示すように、予洗浄室110は、前面(紙面上左端)及び背面(紙面上右端)にそれぞれ搬入開口112及び搬出開口114が形成された箱型の形状を有する処理室である。予洗浄室110の上面には、洗浄水を下方に向かって放出する放出管116が設置されている。また、予洗浄室110の勾配が付けられた底面には、溜まった水を排出する排出管118が設置されている。
【0013】
本洗浄室120は、前面(紙面上左端)及び背面(紙面上右端)にそれぞれ搬入開口122及び排出開口124が形成された箱型の形状を有する処理室である。図2に示す例では、搬入開口122は、予洗浄室110の搬出開口114とともに1つの開口を形成している。
【0014】
搬入開口122には、鉛直方向又は水平方向にスライドする板状のシャッターS1が設けられている。シャッターS1がスライドすることにより、搬入開口122が開状態又は閉状態となる。搬出開口124にも同様の構成を有するシャッターS2が設けられている。搬入開口122及び搬出開口124がともに閉状態になると、本洗浄室120は密閉された状態となる。
【0015】
本洗浄室120は、その内部に容器Cを洗浄するための例えば3種類のノズルを備える。具体的には、本洗浄室120の内部には、鉛直方向に延び、(開口1が下方に向いた状態で載置台126の上に載置される)容器Cの側面に向かって洗浄水を噴射する側面ノズル128Aと、容器Cの上方に配置され、容器Cの上面に向かって洗浄水を噴射する上部ノズル128Bと、伸縮自在に形成され、容器Cの開口1を通って容器Cの内部に延出し、容器Cの内部に全方位に向かって洗浄水を噴射する3次元ノズルのような、内部ノズル128Cと、が配置されている。これにより、本洗浄室120は、容器Cの外面及び内面の両方に対して直接洗浄水を噴射して容器Cを洗浄することができる。なお、上部ノズル128Bとしては、下方にある容器Cに向かって洗浄水を噴射する各ノズルが固定されているタイプのものや、各ノズルが水平面上に円弧状の起動を描くように回動するタイプのもの等、様々なものを利用することができる。
【0016】
また、本洗浄室120の勾配が付けられた底面には、溜まった水を排出する排出管129が設置されている。
【0017】
1−3.乾燥室130
図1を参照するに、本実施の形態では、乾燥室130として、例えば3つの乾燥室130A〜130Cが、本洗浄室120から隔離され一列に設置されている。これら3つの乾燥室はすべて同一の構成を有するものである。
図3は、本実施の形態に係る洗浄装置の一部分を図1中の方向Yから見て簡略化して示す側面図である。なお、図3では、便宜上、搬出台20の表現が省略されている。図4は、本実施の形態に係る洗浄装置の一部分を図1中の方向Zから見て簡略化して示す側面図である。なお、図1中の方向Zから見た場合、搬入台20と第2のロボット150とが重なるため、図4では、便宜上、搬入台20は、本来の位置からずらして示されている。
図3に示すように、各乾燥室は、前面(紙面上左端)に開口132が形成された箱型の形状を有する処理室である。開口132には、鉛直方向又は水平方向にスライドするシャッターS3が設けられている。シャッターS3がスライドすることにより、開口132が開状態又は閉状態となる。各乾燥室は、これに隣接して配置された熱風発生ユニット30(図1参照)により供給路134を介して供給される熱風を内部に取り込むことにより、載置台136に載置された容器Cを乾燥させる。
【0018】
1−4.第1のロボット140及び第2のロボット150
第1のロボット140及び第2のロボット150は、同一の構成を有するロボットとすることができるものである。よって、第1のロボット140のみに着目し、その構成について図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係る洗浄装置において用いられる第1のロボット140の構成を簡略化して示す斜視図である。
【0019】
第1のロボット140は、地面に固定された台座500と、略円柱状の形状を有し、台座500に固定されたベース部510と、略円柱状の形状を有し、ベース部510に対して回動自在に接続された本体部520と、略棒状の形状を有し、本体部520の支持部522に回動自在に接続された第1のアーム部530と、略丸棒状の形状を有し、第1のアーム部530の支持部532に対して回動自在に接続された第2のアーム部540と、略円柱状の形状を有し、第2のアーム部540の支持部542に対して回動自在に接続された連絡部550と、容器Cを把持するために連絡部550に固定されたチャック部560と、を含む。
【0020】
本体部520は、ベース部510の中心軸を回転軸としてD1方向において回動する。第1のアーム部530は、本体部520における略円柱状の支持部522の中心軸を回転軸としてD2方向において回動する。第2のアーム部540は、第1のアーム部530における略円柱状の支持部532の中心軸を回転軸としてD3方向において回動する。連絡部550は、第2のアーム部540の支持部542の中心軸を回転軸としてD4方向において回動する。また、連絡部550の先端部554は、連絡部550の本体部552の中心軸を回転軸としてD5方向において回動する。
チャック部560は、略直方体状の形状を有し、連絡部550の先端554に固定された本体部562と、互いに平行に対向して延び、本体部562の延設方向に沿ってD6方向においてスライドするように本体部562に接続された、2つの棒状部材564と、を含む。これら2つの棒状部材564は、互いに近づく方向にスライドすることにより、両者の間にある容器Cを把持することができる。これら2つの棒状部材564における容器Cとの接触面は、板状の樹脂等により形成されるようにしてもよい。
【0021】
このように構成された第1のロボット140は、チャック部560により把持された容器Cを任意の位置(X座標、Y座標、Z座標)に移動させることができるとともに、容器Cを回転させる(容器Cの開口1を例えば下向き、上向き又は横向きにする)ことができる。
【0022】
なお、第2のロボット150もまた、第1のロボット140と同様の構成を有するものとすることができる。
【0023】
2.洗浄装置100の動作
2−1.予洗浄工程
図1に示すように、図示しないコンベアにより搬送されてきた容器C(使用済みの汚れた容器C)が搬入台10に載置されている。図2に示すように、第1のロボット140が、そのチャック560を用いて容器Cを把持し、搬入開口112を介して予洗浄室110の内部に搬入する。このとき、容器Cの開口1は、上方を向き、放出管116に対向している。この放出管116から放出された洗浄水(洗浄液)が開口1から容器Cの内部に供給される。第1のロボット140は、連絡部550の先端部554をD5方向(図5参照)において回動させることにより、容器Cを揺動させる。この後、第1のロボット140が、開口1が下方向を向くように容器Cを回動させることにより、容器Cに供給された洗浄水を容器Cから排出する。これにより、予洗浄工程が終了する。なお、このような予洗浄工程においては、本洗浄室120の搬入開口122及び搬出開口124は、それぞれシャッターS1及びシャッターS2が閉じていることによって閉状態となっている。また、ここでは、予洗浄工程が洗浄水を用いて容器Cを洗浄する工程である場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、予洗浄工程がエアブローを用いて容器Cを洗浄する工程である場合をも含むものである。
【0024】
2−2.本洗浄工程
シャッターS1が開かれることによって、搬入開口122が開状態とされる。第1のロボット140は、搬入開口122を介して容器Cを本洗浄室120の内部に搬入し、開口1が下方を向いた状態となるように容器Cを載置台126の上に載置すると、ロボット140(のチャック部560)は、本洗浄室120の外部に退避する。シャッターS1が閉じられ、搬入開口122が閉状態とされる。これにより、本洗浄室120は、密閉された状態となっている。この状態において、上述したノズル128A、128B、128Cから容器Cに対して洗浄水(洗浄液)が噴射され、容器Cが洗浄される。洗浄が完了すると、シャッターS2が開かれることにより、搬出開口124が開状態とされる。
【0025】
図3に示すように、開状態とされた搬出開口124を介して、第2のロボット150が、そのチャック部560を、本洗浄室120の内部に進行させ、容器Cを把持し、本洗浄室120の外部(すなわちクリーンルームRの内部)に退避させる。次に、シャッターS2が閉じることにより、搬出開口124は再び閉状態とされる。この状態において、本洗浄室120の内部では、ノズル128A、128B、128Cから洗浄水(洗浄液)が噴射されることによって、自己洗浄動作が実行される。これにより、本洗浄工程が終了する。
【0026】
2−3.乾燥工程
図3を参照して乾燥室130に着目すると、乾燥室130のシャッターS3が開かれることにより開口132が開状態とされる。チャック部560に容器Cを把持させた状態にある第2のロボット150は、開口132を介してチャック部560を乾燥室130の内部に搬入し、開口1が下方を向いた状態で容器Cを載置台136の上に載置する。第2のロボット150が乾燥室130の外部に退避すると、シャッターS3が閉じて開口132が閉状態とされる。この後、乾燥室130の内部に供給路134を介して熱風が供給されることにより、容器Cに対する乾燥動作が行われる。所定の時間が経過すると、乾燥室130の内部に対する熱風の供給が停止し、シャッターS3が開かれる。
【0027】
図4に示すように、第2のロボット150が、チャック部560を乾燥室130の内部に進行させ、容器Cを把持し、乾燥室130の外部に退避させる。シャッターS3が閉じて、開口132が閉状態とされる。第2のロボット150は、把持した容器Cを搬出台20の上に載置する。これにより、乾燥工程が終了する。
【0028】
2−4.本洗浄工程と乾燥工程との組み合わせ
通常、乾燥室130が1つの容器Cの乾燥を完了させるのに必要な時間(例えば15分)は、本洗浄室120が1つの容器Cの洗浄を完了させるのに必要な時間(例えば5分)よりも長いことが多い。この場合、1番目の容器C1の乾燥工程を開始するとともに、2番目の容器C2の本洗浄工程を開始した後、5分が経過しても、このとき、乾燥室130は、依然として容器C1の乾燥工程を実行している(残り約10分)。よって、本洗浄室120は、3番目の容器C3の本洗浄工程を開始するためには、約11分待機していなくてはならない。したがって、本洗浄室120による本洗浄工程と乾燥室130による乾燥工程とを並行して継続的に実行することができなくなる。
【0029】
そこで、本実施の形態では、乾燥室130として例えば3つの乾燥室130A、130B、130Cが設置されている。図6は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置における本洗浄室120による本洗浄工程と乾燥室130A〜130Cによる乾燥工程との組み合わせを例示する表である。ここで、容器C1〜容器C8は、それぞれ、洗浄装置100に提供される1番目〜8番目の容器を示し、括弧書きは、ある時間(時間t1〜t8)において本洗浄工程又は乾燥工程において必要とされる残り時間を示す。
【0030】
本洗浄室120が容器C2の本洗浄工程を完了した時間t3においては、乾燥室130Aが容器C1の乾燥工程を実行中である(残り時間は約10分)ので、乾燥室130Bが容器C2の乾燥工程を実行する。これにより、本洗浄室120は、次の容器C3の洗浄工程を開始することができる。次に、本洗浄室120が容器C3の本洗浄工程を完了した時間t4においては、乾燥室130A及び乾燥室130Bが依然としてそれぞれ容器C1及び容器C2の乾燥工程を実行中である(残り時間はそれぞれ約5分及び約10分)ので、乾燥室130Cが容器C3の乾燥工程を実行する。一方、本洗浄室120が容器C4の本洗浄工程を完了した時間t5においては、乾燥室130B及び乾燥室130Cがそれぞれ容器C2及び容器C3の乾燥工程を実行中であるが、乾燥室130Aは容器C1の乾燥工程を完了させている。よって、乾燥室130Aが容器C4の乾燥工程を実行する。同様に、本洗浄室120が容器C5及び容器C6のそれぞれの本洗浄工程を完了させた時間t6及び時間t7にあっては、乾燥室130B及び乾燥室130Cがそれぞれ容器C5及び容器C6の乾燥工程を実行する。これにより、本洗浄室120は、或る容器の本洗浄工程を完了させたときには、遅滞なく、次の容器の本洗浄工程に取り掛かることができる。したがって、本実施の形態によれば、本洗浄室120による本洗浄工程と乾燥室130による乾燥工程とを並行して継続的に実行することができる。
【0031】
2−5.クリーンルーム
上述したように、図1において、斜線が付された外縁により画定される領域がクリーンルームRである。このクリーンルームRは、容器Cの入り口として本洗浄室120を用いることにより、クリーンルームRに対する汚れの侵入を確実に防止することができる。
すなわち、通常の状態にあっては、図2に示すように、本洗浄室120のシャッターS1及びシャッターS2が閉じていることにより搬入開口122及び搬出開口124がともに閉状態とされているので、本洗浄室120を介して汚れがクリーンルームRの内部に侵入することはほとんどない。使用済みの汚れた容器Cが本洗浄室120に搬入される本洗浄工程が実行される場合であっても、依然として、シャッターS2が閉じて搬出開口124が閉状態とされている。シャッターS2が開かれて搬出開口124が開状態になったときというのは、容器Cに対する本洗浄処理が完了したときである。本洗浄処理が完了した容器CがクリーンルームRの内部に持ち込まれた後、直ぐにシャッターS2が閉ざされ搬出開口124は閉状態に戻される。このようにして、クリーンルームRは清潔に保たれる。
【0032】
3.他の実施の形態
上記実施の形態では、本洗浄室120に配置された容器Cを外部に搬出する動作、乾燥室130A〜130Cに容器Cを搬入する動作、及び、乾燥室130A〜130Cに配置された容器Cを外部に搬出する動作が、すべて同一のロボット(第2のロボット150)により実行される場合について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、各動作がその動作に固有に設けられたロボットにより実行される構成をも含むものである。
【0033】
また、上記実施の形態では、或る1つの容器が複数の乾燥室130のうちのいずれかのみにおいて乾燥される場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、或る1つの容器を複数の乾燥室130に順次搬入して乾燥させる態様をも含むものである。この場合、複数の乾燥室130のそれぞれが相互に異なる方式の乾燥を行うものとすることができる。例えば、乾燥室130A、130B及び130Cが、それぞれ、高温、中温及び低音の熱風により容器を乾燥させるものとすることができる。
【0034】
さらにまた、上記実施の形態では、容器の洗浄に関連した第1の処理を実行するための第1の処理室として、容器に対して本洗浄処理を実行する本洗浄室120を用いるとともに、容器の洗浄に関連した第2の処理を実行するための第2の処理室として、容器に対して乾燥処理を実行する乾燥室130を用いた場合について、説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、第1の処理室及び第2の処理室が、それぞれ予洗浄処理を実行する処理室及び本洗浄処理を実行する処理室である場合や、第1の処理室及び第2の処理室が、それぞれ、第1方式の本洗浄処理を実行する処理室及び(第1方式とは異なる)第2方式の本洗浄処理を実行する処理室である場合等、様々な態様を含むものである。
【0035】
4.効果
本発明の各実施の形態においては、従来技術に係る洗浄装置のように全ブースを横断するコンベアにより容器を搬送するのではなく、複数の処理室を互いに隔離して配置し、各処理室間における容器の移送を各処理室に形成した開口を介してロボットにより実行させている。これにより、(コンベアがブースに常に接触しているのに対して)機械的な部品により構成されるロボットと各処理室とが接触する時間は、各処理室に容器を搬入又は各処理室から容器を搬出するごく短い時間のみであるので、各処理室内に汚れが発生する可能性を著しく低減することができる。
また、洗浄工程を実行する処理室(例えば本洗浄室)内には、洗浄水(洗浄液)等の水分が付着することは避けられないものの、かかる処理室は、容器に対する洗浄工程を完了させた後に自己洗浄を行うことができる。加えて、洗浄工程を実行する処理室と別の処理室(例えば乾燥工程を実行する乾燥室)とは、互いに隔離されているので、洗浄工程を実行する処理室で発生した汚れ等が別の処理室に搬送される事態も抑えられる。
このように各処理室が汚染される要因が抑えられているので、各処理室に搬入される容器が汚染される可能性も非常に低くすることができる。これにより、容器を確実に洗浄することが可能な洗浄装置を提供することができる。
【0036】
また、各処理室が他の処理室とは独立して設けられているため、各処理室の処理能力を他の処理室とは個別に制御することができる。
【符号の説明】
【0037】
C 容器
R クリーンルーム
S1、S2、S3 シャッター
100 洗浄装置
112、122 搬入開口
114、124 搬出開口
120 本洗浄室(第1の処理室)
130、130A、130B、130C 乾燥室(第2の処理室)
132 開口
140 第1のロボット
150 第2のロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6