(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記Pチャネル領域を形成するためのP型半導体インクと前記Nチャネル領域を形成するためのN型半導体インクとは、1[mPa・s]以上30[mPa・s]以下の粘度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のCMOS半導体装置の製造方法。
前記P型半導体インクと前記N型半導体インクとは、1[atm]における沸点が130[℃]以上の薬液を含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のCMOS半導体装置の製造方法。
前記凹版は、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂で構成された表面にモールディング法で形成された、前記第1凹部及び前記第2凹部を含む凹部としての溝構造部と該溝構造部以外の部分を平坦化した平坦部とを備え、
前記溝構造部の幅が1[μm]以上50[μm]以下であり、
前記シリコーン樹脂もしくは前記フッ素樹脂で構成された表面のショアA硬度が30以上80以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のCMOS半導体装置の製造方法。
前記凹版は、前記P型半導体インクの含有するP型半導体と前記N型半導体インクの含有するN型半導体との電界効果移動度の差異に応じて、前記Pチャネル領域及び前記Nチャネル領域のチャネル長及びチャネル幅の少なくとも一方が相互で異なるように前記第1凹部及び前記第2凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のCMOS半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明にかかるCMOS半導体装置の製造方法及びCMOS半導体装置の実施の形態を説明する。
図1〜
図7は、本発明にかかるCMOS半導体装置の製造方法及びCMOS半導体装置の実施の形態を示す図である。
(構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるCMOS半導体装置の断面図である。
図2は、ゲート絶縁膜401を除く、
図1のCMOS半導体装置の平面図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかるCMOS半導体装置501は、基板000上にゲート電極301、ゲート絶縁膜401、第1のソース電極201、ドレイン電極203、第2のソース電極202が設けられ、チャネル部として、Pチャネル領域101とNチャネル領域102とが形成されている。なお、
図1において、CMOS半導体装置501から、チャネル部を除いたものが、被印刷基板001となる。
【0015】
図1においてはボトムゲート・ボトムコンタクト型のCMOS回路を例示しているが、本実施の形態に係るCMOS半導体装置(CMOS回路)はボトムゲートでもトップゲートでも良く、ボトムコンタクトでもトップコンタクトでも良い。
本実施の形態では、
図2に示すように、チャネル部を構成する、Pチャネル領域101のチャネル長Lp及びチャネル幅Zpと、Nチャネル領域102のチャネル長Ln及びチャネル幅Znとが、「Lp=Ln」、「Zp=Zn」の関係となるように形成されている。
【0016】
(製造方法)
次に、
図3に基づき、上記構成のCMOS半導体装置501の製造方法を以下に説明する。
図3は、CMOS半導体装置501の製造方法の一例を示す模式図である。
なお、被印刷基板001の製造工程については、公知の製造工程と同様となるため説明を省略する。以下、本発明の特徴部分である凹版を用いたマイクロコンタクト印刷による被印刷基板001へのチャネル部の形成工程について具体的に説明する。
先ず、
図3中の(1)に示すように、P型半導体インクジェットヘッド701によってP型半導体インク111を凹版601に形成された溝構造部の1つである第1凹部602に供給する。また、N型半導体インクジェットヘッド702によってN型半導体インク112を凹版601に形成された溝構造部の1つである第2凹部603に供給する。
【0017】
なお、第1凹部602及び第2凹部603は、少なくとも被印刷基板上に形成するCMOS回路の数に応じた数が凹版601に形成されている。
また、インク供給時において、インクの液滴径制御や着弾制御、溝構造部と平坦部604との境界のエッジによりインクがはじきやすくなる効果を利用して、所定の位置のみのインキングを行う。
【0018】
本実施の形態において、凹版601の第1凹部602及び第2凹部603は、Pチャネル領域101のチャネル長Lp及びチャネル幅Zpと、Nチャネル領域102のチャネル長Ln及びチャネル幅Znとが、「Lp=Ln」、「Zp=Zn」の関係となるように形成されている。
図3中の(2)に示すように、半導体インクをインキングした後に、凹版601を被印刷基板001のデバイス形成面に接触させる。その後、加熱処理等を経て、
図3中の(3)に示すように、インクを被印刷基板001に一括して転写する。インクは所定の位置だけに付着しているために、所望のパターンを精度よく基板に転写させる事ができる。
【0019】
ここで、インクの転写は、
図3に例示した凹版601から被印刷基板001への直接転写でも良いが、これに限らず、ブランケットを介した間接的転写でも良く、特に制限はされない。また、凹版601の形状は平板状でもロール状でも良い。
このようにして、P型半導体インク111とN型半導体インク112を凹版601にインキングして一括で被印刷基板001へ転写する事によって、工程の短縮やコンパクトな製造ラインの構築も見込めるようになる。また、温度や湿度の変動によるプラスチックフィルム基板の収縮や膨張の問題が指摘されているが、複数色を一括で行う事は各色間の寸法変動を最小限に抑える事ができるために、大面積の高精度アライメントにも寄与する事が可能である。更には、各工程を連続に行うため、表面汚染などを抑制し、プロセス安定性やデバイスパフォーマンス・信頼性の向上も期待できる。
【0020】
なお、P型半導体インク111及びN型半導体インク112は、23[℃]において、1[mPa・s]以上30[mPa・s]以下の粘度を有するものを使用する。おおよそ20[nm]以上の半導体層膜厚を得るためには、1[mPa・s]以上の粘度が必要であり、インキング時の安定した塗出のためには30[mPa・s]以下の粘度が必要である。また、1[atm]における沸点が130[℃]以上の薬液を含有する事で、凹版601にインキングした後のインクの乾燥が適度に遅くなり、印刷マージンを確保する事が可能となる。インクの乾燥が遅すぎる場合は、沸点が130[℃]未満の乾燥速度の速い薬液の割合を増加し調整すればよい。
【0021】
使用する薬液はヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒、ペンテン等の不飽和炭化水素系溶媒、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ブチルアセテートなどのアセテート系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、水系溶媒またはこれらの混合溶媒を用いる事ができるがこれらに限定されない。
【0022】
また、P型半導体インク111及びN型半導体インク112にはシリコンナノ粒子インク、酸化物半導体前駆体インク、酸化物半導体ナノ粒子インク、有機半導体インク、フラーレンやカーボンナノチューブ、グラフェンからなる炭素半導体インクを用いる事ができる。半導体にドーピングを行う事で、P型N型を逆転させて用いても良い。
N型半導体の材料には、Siナノ粒子やSi前駆体 、金属酸化物、低分子有機半導体、高分子有機半導体を用いる事ができる。
【0023】
金属酸化物を主成分とする酸化物半導体材料としては、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)、及びガリウム(Ga)のうち1種類以上の元素を含む酸化物である、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(InO)、酸化インジウム亜鉛(In−Zn−O)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、及び酸化亜鉛ガリウムインジウム(In−Ga−Zn−O)などの材料が挙げられるが、本実施の形態ではこれらに限定されるものではない。これらの材料のインクは金属酸化物のナノ粒子分散体や、金属酸化物前駆体の何れであっても構わない。
【0024】
有機半導体材料としては、ピリジン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、キノリン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ベンゾフェナンスロリン類及びその誘導体によるラダーポリマー、シアノ−ポリフェニレンビニレンなどの高分子、フッ素化無金属フタロシアニン、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、グラフェン、フッ素化金属フタロシアニン類及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体(PTCDA、PTCDIなど)、ナフタレン誘導体(NTCDA、NTCDIなど)、バソキュプロイン、フッ素化縮合多環芳香族炭化水素、TCNQ誘導体、p−クロロアニルなどの低分子有機化合物が利用できる。
【0025】
P型半導体の材料には、金属酸化物、有機半導体を用いる事ができる。
金属酸化物を主成分とする酸化物半導体材料としては、Cu
2O、NiO、CuAlO
2、CuGaO
2、ZnRh
2O
4、SnO、LaCuOSeなどの材料が挙げられ、これらの材料のインクは金属酸化物のナノ粒子分散体や、金属酸化物前駆体の何れであっても構わない。
有機半導体材料としては、チオフェン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、フェニレン−ビニレン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、フルオレン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ベンゾフラン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、チエニレン−ビニレン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、トリフェニルアミンなどの芳香族第3級アミン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、カルバゾール及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ビニルカルバゾール及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ピロール及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、アセチレン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、イソチアナフェン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ヘプタジエン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマーなどの高分子、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン類及びそれらの誘導体、ジアミン類、フェニルジアミン類及びそれらの誘導体、ルブレン、ペンタセンなどのアセン類及びその誘導体、ポルフィリン、テトラメチルポルフィリン、テトラフェニルポルフィリン、テトラベンズポルフィリン、モノアゾテトラベンズポルフィリン、ジアゾテトラベンズポルフィン、トリアゾテトラベンズポルフィリン、オクタエチルポルフィリン、オクタアルキルチオポルフィラジン、オクタアルキルアミノポルフィラジン、ヘミポルフィラジン、クロロフィル等の無金属ポルフィリンや金属ポルフィリン及びそれらの誘導体が利用できる。金属フタロシアニンや金属ポルフィリンの中心金属としては、マグネシウム、亜鉛、銅、銀、アルミニウム、ケイ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、スズ、白金、鉛などの金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物などを用いる事ができる。
【0026】
また、本実施の形態の凹版601は、版を構成する材料としてPDMSを主体とするシリコーン樹脂やフッ素樹脂を用いる事ができる。これらは低表面エネルギーを特徴とする材料であり、インクなどの液体が濡れ広がりにくい。版の表面はUVやオゾン、アッシングなどで表面改質を適切強度で行ってもよいが、過剰に表面改質を行うと、転写性が悪化する。また、版は複数の層で構成されても良いが、インクの良好な転写性のために最表層はシリコーン樹脂やフッ素樹脂である必要がある。シリコーン樹脂にはKE−106/CAT−RG(信越化学製)、フッ素樹脂にはSIFEL(信越化学製)などを用いる事ができ、ショアA硬度は40〜80である必要がある。硬度が高すぎる場合、印刷する際に接触不良と転写不良が多発し、硬度が低すぎる場合は、凹版の造形性や耐刷性が著しく劣化する。
【0027】
凹版601の溝構造部(第1凹部602と第2凹部603とを含む)と溝構造部以外の平坦面である平坦部604とは、マイクロコンタクト印刷において、公知技術として用いられているモールディング法によって形成する。具体的には、石英ガラス、フォトレジストパターン、エレクトロフォーミングなどで作製したモールドから形成する事が出来るがこれらの方法に限定されない。
【0028】
本実施の形態において、基板000は、ソーダガラスや石英ガラスなどのガラスやプラスチックフィルム状である。プラスチックフィルムの樹脂材料として例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、シクロオレフィンポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの材料を用いる事ができ、これらの樹脂を組み合わせたポリマーアロイや、1種または2種以上の上記樹脂材料を組み合わせて積層した多層構造の積層構造のプラスチックフィルムとして構成する事もできる。
【0029】
凹版601を用いたマイクロコンタクト印刷によるチャネル部の形成後は、配線等を形成する製造工程を経て、
図4に示す回路構成のCMOS半導体装置501へと加工される。
図4は、本実施の形態にかかるCMOS半導体装置501の回路構成の一例を示す図である。
【0030】
図4に示すように、CMOS半導体装置501は、第1の電源線231と、第2の電源線232と、Pチャネル型電界効果トランジスタ511と、Nチャネル型電界効果トランジスタ512と、入力端子INと、出力端子OUTとを備える。
第1の電源線231と、第2の電源線232との間には、Pチャネル型電界効果トランジスタ511と、Nチャネル型電界効果トランジスタ512とが設けられている。Pチャネル型電界効果トランジスタ511の第1のソース電極201は、第1の電源線231に接続されている。また、Nチャネル型電界効果トランジスタ512の第2のソース電極202は、第2の電源線232に接続されている。Pチャネル型電界効果トランジスタ511とNチャネル型電界効果トランジスタ512とはドレイン電極203が共通しており、共通のドレイン電極203が出力端子OUTに接続されている。Pチャネル型電界効果トランジスタ511とNチャネル型電界効果トランジスタ512とはゲート電極301が共通しており、共通のゲート電極301が入力端子INに接続されている。このような構成によって、入力端子INから入力された信号は、反転して出力端子OUTから出力される。
【0031】
ここで、電極や配線はAl、Cr、Mo、Cu、Au、Pt、Pd、Fe、Mn、Agなどの金属をPVDやCVDで製膜した後にフォトリソグラフィーなどの公知の方法で形成できる。また、金属ペースト、金属ナノ粒子分散液、導電性高分子溶液などを印刷的手法で形成する事もできる。用いられる印刷方法は凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリンティング、インクジェット、熱転写印刷、ディスペンサなどのパターニング方法を用いる事ができ、これらを組み合わせても良く、各構成要素で別の印刷方式を用いても良い。
【0032】
また、電極や配線を印刷法で形成する際には、導電インクに金属ナノ粒子を用いる事ができる。金属ナノ粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、マンガンの金属からなるナノ粒子、または、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、マンガン、モリブデンの金属から選択される2種類以上の金属からなる合金のナノ粒子や、酸化銀などの金属酸化物や有機銀などの有機金属化合物も用いる事ができる。用いる金属の平均粒径はインクへの分散性の点から50nm以下の平均粒径が好ましく、粒子の安定した製造の点から10〜30[nm]の平均粒径が好ましいが、これに限定しない。
【0033】
また、ゲート絶縁膜や層間絶縁膜はAl、Si、Zr、Y、Hf、Laなどの金属の酸化膜や窒化膜をPVDやCVDで製膜した後にフォトリソグラフィーなどの公知の方法で形成できる。また、絶縁インクや絶縁ペーストを、バーコート、スプレーコート、ダイコート、キャップコート、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、リップコートなどの塗布法や凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリンティング、インクジェット、熱転写印刷、ディスペンサなどの印刷的手法で形成する事もできる。
【0034】
絶縁インクはポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリ弗化ビニリデン、シアノエチルプルラン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂やこれらの樹脂のポリマーアロイや共重合体を用いる事ができる。また、ゲート絶縁膜と層間絶縁膜は有機無機のフィーラーなどを含むコンポジット材料で構成されても良い。
【0035】
(他の回路構成例)
上記凹版601を用いたマイクロコンタクト印刷によるチャネル部の形成方法を用いて製造された半導体装置501(
図4に示すCMOS回路)を用いて、下記の回路構成を有するCMOS半導体装置を製造することが可能である。
図5は、本実施の形態に係るNAND回路の回路構成の一例を示す図である。また、
図6は、本実施の形態に係るNOR回路の回路構成の一例を示す図である。
図5に示すNAND回路は、第1のPチャネル型電界効果トランジスタ511と、第1のNチャネル型電界効果トランジスタ512と、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521と、第2のNチャネル型電界効果トランジスタ522とを備えている。
【0036】
そして、第1のPチャネル型電界効果トランジスタ511と第1のNチャネル型電界効果トランジスタ512とを組み合わせてCMOS回路が形成されている。このCMOS回路は、上記チャネル部の形成方法を用いて製造されたものとなる。
更に、NAND回路は、第1の電源線231と、入力端子IN1と、入力端子IN2と、出力端子OUTとを備えている。
【0037】
第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521のソース電極211は第1の電源線231に接続され、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521のドレイン電極212はCMOS回路の共通のドレイン電極203に接続されていると共に、NAND回路の出力端子OUTに接続されている。
更に、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521のゲート電極303は第2のNチャネル型電界効果トランジスタ522のゲート電極302に接続されていると共に、NAND回路の入力端子IN2に接続されている。更に、CMOS回路の共通のゲート電極301はNAND回路の入力端子IN1に接続されている。
【0038】
一方、
図6に示すNOR回路は、第1のPチャネル型電界効果トランジスタ511と、第1のNチャネル型電界効果トランジスタ512と、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521と、第2のNチャネル型電界効果トランジスタ522とを備えている。
そして、第1のPチャネル型電界効果トランジスタ511と第1のNチャネル型電界効果トランジスタ512とを組み合わせてCMOS回路が形成されている。このCMOS回路は、上記チャネル部の形成方法を用いて製造されたものとなる。
【0039】
更に、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521のソース電極221は第1の電源線231に接続され、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521のドレイン電極222はCMOS回路の第1のソース電極201に接続されている。
更に、第2のNチャネル型電界効果トランジスタ522のソース電極211は第2の電源線232に接続され、第2のNチャネル型電界効果トランジスタ522のドレイン電極212はCMOS回路のドレイン電極203に接続されていると共に、NOR回路の出力端子OUTに接続されている。
【0040】
更に、第2のPチャネル型電界効果トランジスタ521のゲート電極304は第2のNチャネル型電界効果トランジスタ522のゲート電極305に接続されていると共に、NOR回路の入力端子IN1に接続されている。更に、CMOS回路の共通のゲート電極301はNOR回路の入力端子IN2に接続されている。
【0041】
(変形例)
次に、
図7に基づき、上記実施の形態のCMOS半導体装置の製造方法及びCMOS半導体装置の変形例を説明する。
図7は、本変形例にかかるCMOS半導体装置501の一例を示す平面図である。
本変形例において、凹版601の第1凹部602と第2凹部603とは、Pチャネル領域101のチャネル長LpがNチャネル領域102のチャネル長Lnと比較して狭くなり、かつPチャネル領域101のチャネル幅ZpがNチャネル領域102のチャネル幅Znと比較して広くなるように長さおよび幅が形成されている。このこと以外は、上記の実施の形態と同様にしてCMOS半導体装置501を製造している。
【0042】
本変形例において、チャネル長Lp,Lnと、チャネル幅Zp,Znとは、チャネル部を形成するP型半導体とN型半導体の電界効果移動度の差異に応じて長さ及び幅を決定している。ここで、電界効果トランジスタの電流値は、チャネル長に反比例し、チャネル幅に比例する。
このようにして、Pチャネル型電界効果トランジスタとNチャネル型電界効果トランジスタのチャネル長Lp,Lnとチャネル幅Zp,Znとを調整する事で、P型半導体とN型半導体の電界効果移動度が異なる場合においても、トランジスタの電流値の大きさを同程度にする事ができる。
【0043】
また、上記実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0044】
次に、上記実施の形態のCMOS半導体装置の製造方法を用いた実施例を説明する。
印刷パターンとして、4インチのCMOSアレイ、各層の周囲にアライメントマークを配置したものを使用した。本実施例では基板上にゲート電極とキャパシタ、バスラインで構成されるゲート層が形成され、ゲート層上に絶縁膜が形成され、絶縁膜上にソース・ドレイン電極が形成された被印刷基板上にP型半導体とN型半導体で構成される半導体層をパターニングする。
【0045】
インクとしては、ポリ3ヘキシルチオフェン溶液をP型半導体インクとして、フラーレンをN型半導体インクとして用いた。凹版として約120
[μm]厚のPET基板に200
[μm]厚のシリコーン樹脂を積層したものを用いた。凹版はレジストパターンからのモールディングで形成され、版深8
[μm]、溝構造部の最小幅30
[μm]、5インチ基板、CMOSアレイパターンを配置した形状である。インクとしては銀ナノ粒子分散液を用いた。更に、被印刷基板としてフィルム厚120
[μm]のPEN基板を使用した。上記基板を使用して下記手順に従い、被印刷基板上に印刷パターンを形成した。
【0046】
1)凹版上に120[mm]幅のヘッドを用いたインクジェット装置により、塗工長さ120[mm]でインキを塗工した。P型半導体インク用インクジェットヘッドとN型半導体インク用インクジェットヘッドを並べて、各インクを凹版の所定の位置に供給した。
2)インキ塗工膜を乾燥させて凹版上にP型半導体とN型半導体のインクパターンを得た。
【0047】
3)凹版上のP型半導体とN型半導体のインクパターンを一括で被印刷基板に転写して印刷を完了した。
印刷パターンが形成された被印刷基板を加熱装置でアニールし、CMOSアレイのP型半導体層(Pチャネル領域)とN型半導体層(Nチャネル領域)とを形成した。本発明の印刷方法を用いる事で、高精細なTFTアレイを効率よく得られた。