(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(扇風機システム)
図1には、本発明の一実施形態に係る送風システムの構成を示し説明する。
同図に示されるように、この実施形態に係る送風システム100は、次のいずれかの組み合わせにより構成される。
・環境測定装置1、携帯端末10、扇風機20
・環境測定装置1、扇風機20
・サーバ装置30、携帯端末10、扇風機20
・環境測定装置1、携帯端末10、制御装置50及び扇風機40
・環境測定装置1、制御装置50及び扇風機40
・サーバ装置30、携帯端末10、制御装置50及び扇風機40
【0013】
環境測定装置1は、風速測定部3a、温度測定部3b、湿度測定部3c、照度測定部3dを備えており、電源スイッチ9によりON/OFFの切り替えが可能となっている。また、測定により得られた環境データ等を表示部4に表示可能である。この環境測定装置1は、携帯端末10、扇風機20、サーバ装置30とインターネット等のネットワーク60等を介して通信自在となっている。通信可能な環境下であれば、扇風機20等から遠隔の地に複数設置することもできる。環境測定装置1は、測定により得られた環境データ等をファイル化して、携帯端末10やサーバ装置30等に送信する。あるいは、環境測定装置1は、測定により得られた風速データを扇風機20にリアルタイムで送信することもできる。
【0014】
携帯端末10は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等からなる。携帯端末10は、環境測定装置1からの環境データに係るファイルを受信し、当該ファイルを扇風機20に送信する。あるいは、サーバ装置30から環境データに係るファイルを受信し、当該ファイルを扇風機20に送信する。携帯端末10は、環境データに係るファイルを複数保持し、その中からユーザが所望とするファイルを選択可能とし、ユーザにより選択されたファイルを扇風機20に送信できる。
【0015】
扇風機20は、環境データに係るファイルを受信すると、当該ファイルの中から風速データを抽出し、当該風速データに対応する印加電圧パターンを求める。そして、扇風機20は、当該印加電圧パターンを復号化して、モータへの印加電圧を制御することで、環境測定装置1等により測定された風速での送風を再現する。
【0016】
サーバ装置30は、環境測定装置1から予め定められた所定のタイミングで、あるいはユーザ、業者により所望された任意のタイミングで送信される環境データに係るファイルをデータベース(以下、DBと略記)に登録し、携帯端末10から送信される環境データに係るファイルをDBに登録する。また、携帯端末10より、環境データ等に係るファイルのダウンロード要求があった場合、要求されたファイルをDBより読み出し、携帯端末10に送信する。サーバ装置30は、複数の場所に設置された複数の環境測定装置1からのファイルを選択可能に保持する。このとき、複数のファイルを所定のカテゴリに分類して、カテゴリ別に選択可能に保持してもよい。
【0017】
制御装置50は、市販されている一般的な扇風機40に対しても、本実施形態に係る送風システムとしての利用を可能とするためのものである。即ち、制御装置50は、携帯端末10等からの環境データに係るファイルを受信する。そして、ファイルより風速データを抽出して対応する印加電圧パターンを求め、当該印加電圧パターンを復号化し、プラグ(電源供給端子)に接続された扇風機40に対する供給電圧を制御する。これにより、制御装置50に接続された扇風機40による風速再生が可能となる。
【0018】
以下、各装置等の詳細な構成について更に説明する。
【0019】
(環境測定装置1)
図2には本発明の実施形態係る環境測定装置1の構成を示し説明する。
【0020】
同図に示されるように、環境測定装置1は、全体の制御を司る制御部2、計測部3、表示部4、操作部5、通信部6、記憶部7、電源8、そして電源スイッチ(SW)9を備えている。制御部2は、記憶部7に記憶された制御プログラムを読み出し実行することで主制御部2a、符号化部2b、ファイル生成部2c、表示制御部2dとして機能する。計測部3は、環境測定用の各種センサからなり、風速測定部3a、温度測定部3b、湿度測定部3c、照度測定部3dを備えている。
【0021】
このような構成において、計測部3では、風速測定部3aが風速を測定し、風速信号を制御部2へと送る。温度測定部3bは温度を測定し、温度信号を制御部2へと送る。湿度測定部3cは湿度を測定し、湿度信号を制御部2へと送る。そして、照度測定部3dは照度を測定し、照度信号を制御部2へと送る。制御部2では、これらのアナログ信号を受けると、符号化部2bが該信号を符号化(デジタル化)し、風速データ、温度データ、湿度データ、照度データにそれぞれ変換する。そして、ファイル生成部2cが、これら風速データ、温度データ、湿度データ、照度データを、環境データとして1つのファイルにまとめる。主制御部2aは、環境データに係るファイルを、通信部6を介して携帯端末10等に送信する。あるいは、主制御部2aは、風速データのみを、通信部6を介して、扇風機20、あるいは制御装置50に送信する。主制御部2aは、環境データに係るファイルの送信先アドレスが設定されている場合、当該アドレスに、所定のタイミングで、あるいはリアルタイムで、ファイルを送信するように制御することもできる。
【0022】
環境測定装置1の各部には、電源8より電源供給されており、電源スイッチ9によりON/OFFの切り替えが可能となっている。表示制御部2dは、表示部4に環境データに係る測定値等を表示するよう制御する。このほか、操作部5は、計測部3の各部3a乃至3dの中から測定対象を選択するなど、各種操作を行うものである。この選択された内容は表示制御部2dの制御により表示部4に表示してもよい。
【0023】
通信部6は、例えば、Bluetooth(登録商標)(IEEE802.151)、Wi-Fi(IEEE802.11)、Ethernet(登録商標)(IEEE802.3)等をはじめとする各種通信方式により、携帯端末10やサーバ装置30、制御装置50、そして扇風機20との通信が可能である。
【0024】
(携帯端末10)
図3には本発明の実施形態係る携帯端末10の構成を示し説明する。
【0025】
同図に示されるように、携帯端末10は、端末全体の制御を司る制御部11、通信部12、操作部13、表示部14、記憶部15を備えている。制御部11は、記憶部15に記憶された制御プログラムを読み出し実行することで主制御部11a、ファイル登録・取得部11b、再生部11c、表示制御部11dとして機能する。操作部13と表示部14をタッチパネルにより一体に構成してもよい。
【0026】
このような構成において、通信部12が環境測定装置1から送られた環境データに係るファイルを受信すると、制御部11では、主制御部11aが通信部12を介して当該ファイルを、扇風機20、あるいは制御装置50に転送する。ファイル登録部・取得部11bは、環境測定装置1から送られた環境データに係るファイルを、サーバ装置30にアップロードする。ファイル登録部・取得部11bは、サーバ装置30にて管理されている複数の環境データに係るファイルより所望とするファイルをダウンロードする。既に記憶部15に複数の環境データに係るファイルが格納されている場合、表示部14にファイル名等を選択可能に表示し、操作部13の操作により1つが選択されると、再生部11cが記憶部15の中から当該ファイルを選択し、主制御部11aが通信部12を介して当該ファイルを扇風機20、或は制御装置50に送信する。
【0027】
通信部12は、Bluetooth(登録商標)(IEEE802.151)、Wi-Fi(IEEE802.11)、Ethernet(登録商標)(IEEE802.3)等をはじめとする各種通信方式により、環境測定装置1や制御装置50、そして扇風機20との通信が可能である。
【0028】
(扇風機20)
図4には本発明の実施形態係る扇風機20の構成を示し説明する。
【0029】
同図に示されるように、扇風機20は、全体の制御を司る制御部21、通信部22、記憶部25、操作部26、モータ23、フィン24を備えている。制御部21は、記憶部25に記憶された制御プログラムを読み出し実行することで主制御部21a、データ抽出部21b、変換部21c、復号化部21c、モータ駆動制御部21eとして機能する。
【0030】
このような構成において、通信部22は、主制御部21aの制御の下、携帯端末10等から送られてきた環境データに係るファイルを受信する。データ抽出部21bは、当該ファイルより風速データを抽出する。変換部21cは、記憶部25に記憶されている印加電圧パターンに関するテーブルを参照して、風速データを印加電圧パターンに変換する。復号化部21eは、デジタルの印加電圧パターンをアナログの印加電圧パターン信号に変換する。モータ駆動制御部21eは、印加電圧パターン信号に基づいてモータ23への印加電圧を制御する。これにより、モータ23がフィン24を所定の回転数で回転させ、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0031】
環境測定装置1から風速データのみが送信されてきた場合、通信部22が主制御部21aの制御の下、当該風速データを受信する。変換部21cは、当該風速データを印加電圧パターン信号に変換する。モータ駆動制御部21eは、印加電圧パターン信号に基づいてモータ23への印加電圧を制御する。これにより、モータ23がフィン24を所定の回転数で回転させ、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0032】
通信部22は、Bluetooth(登録商標)(IEEE802.151)、Wi-Fi(IEEE802.11)、Ethernet(登録商標)(IEEE802.3)等をはじめとする各種通信方式により、携帯端末10や環境測定装置1等との通信が可能である。
【0033】
(サーバ装置30)
図5には本発明の実施形態係るサーバ装置30の構成を示し説明する。
【0034】
同図に示されるように、サーバ装置30は、装置全体の制御を司る制御部31、通信部32、DB33、DB34、記憶部35を備えている。制御部31は、記憶部35に記憶された制御プログラムを読み出し実行することで、主制御部31a、ファイル登録部31b、ファイル抽出部31cとして機能する。
【0035】
このような構成において、通信部32は、携帯端末10等からアップロードされた環境データに係るファイルを受信すると、制御部31のファイル登録部31bが当該ファイルをDB33に登録する。このDB33には、環境データである気温(℃)、湿度(%)、照度(lux)、風速の各データに加えて、日時やコメント、測定場所の緯度、経度等のデータもファイル33aとして格納されている。ファイル形式や内在されるデータは、これに限定されるものではない。一方、携帯端末10等よりダウンロード要求があると、当該要求を通信部32が受信し、制御部31のファイル抽出部31cが要求のあったファイルをDB33より抽出する。主制御部31aは、当該ファイルを、通信部32を介して携帯端末10等に送信する。DB34には、印加電圧パターンテーブルに係るファイル34aが格納されている。これは、一般的な扇風機40を、制御装置50を介して制御する場合に用いるテーブルである。扇風機40の機種ごとに、風速データに対応する印加電圧パターンを算出できるようなテーブルとなっている。
【0036】
(制御装置50)
図6には本発明の実施形態に係る制御装置50の構成を示し説明する。この制御装置50は、一般的な扇風機40に対しても、環境測定装置1で測定された環境データに基づく風速での送風の再現を可能ならしめる間接ユニットである。
【0037】
同図に示されるように、制御装置50は、装置全体の制御を司る制御部51、通信部52、記憶部53、プラグ(電圧供給端子)54を備えている。制御部51は、記憶部53に記憶された制御プログラムを読み出し実行することで、主制御部51a、データ抽出部51b、変換部51c、復号化部51d、電圧制御部51eとして機能する。電圧供給端子54には、一般的な扇風機40の電源コンセントが差し込まれる。
【0038】
このような構成において、通信部52が携帯端末10等から送られてきた環境データに係るファイルを受信すると、制御部51では、データ抽出部51bが当該ファイルより風速データを抽出する。そして、変換部51cが、記憶部53に記憶されているテーブルを参照して、風速データを印加電圧パターンに変換する。続いて、復号化部51dは、デジタルの印加電圧パターンをアナログの印加電圧パターン信号に変換する。そして、電圧制御部51eは、印加電圧パターン信号に基づいてプラグ54を介して扇風機40へ供給する電圧を制御する。これにより、扇風機40では、プラグ54を介して供給される電圧によりモータが回転され、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0039】
環境測定装置1から風速データのみが送信されてきた場合、通信部52が当該風速データを受信する。変換部51cが当該風速データを印加電圧パターンに変換する。電圧制御部51eは、印加電圧パターン信号に基づいてプラグ54を介して扇風機40へ供給する電圧を制御する。これにより、扇風機40では、プラグ54を介して供給される電圧によりモータが回転され、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0040】
(印加電圧の制御)
ここで、
図7及び
図8を参照して、風速データと印加電圧パターンとの関係について更に言及する。扇風機20のフィンの慣性が起因して、扇風機20のモータ23に電圧が印加されても所望とする風速まで立ち上がるのに時間を要する。同様に、モータ23への電圧の印加をストップした場合でも、風速が立下るまでに時間を要する。
【0041】
つまり、例えば、
図7の上段に示されるような印加電圧パターンに基づいて電圧を印加しても、
図7の下段に示されるように、所望とする風速に立ち上がるまで、及び風速を完全にゼロに立ち下げるまでにタイムラグが生じてしまう。そこで、この実施形態では、
図8に示されるように印加電圧パターンを設定してタイムラグの問題を解消する。
【0042】
すなわち、
図8に示されるように、再生する風速データに係る風速の時間変化に係る傾きが、通常の電圧のON/OFFで制御される時間変化、つまり傾きよりも急勾配である場合、立ち上がりの所定時間だけ通常よりも高い電圧を印加して風速の立ち上がりを早くする。一方、短時間で風速を停止させる必要がある場合には、逆の極性の電圧をモータ23に印加し、ブレーキを掛ける。この制御は、風速データを先読みし、現時点以降の制御を先行して行う。この風速データに対応する印加電圧パターンに係るデータは、扇風機20等のモータ23とフィン24により機種ごとに相違するので、テーブル形式で機種別に記憶部25に記憶しておく。
【0043】
制御装置50を用いる場合、携帯端末10が対応機種の印加電圧パターンに係るテーブルをファイルで併せて制御装置50に送信する。制御装置50では、当該印加電圧パターンに係るテーブルを記憶部53に記憶し、変換に活用する。携帯端末10はサーバ30から扇風機の機種毎の当該印加電圧パターンに係るテーブルをダウンロード可能である。扇風機の機種毎の当該印加電圧パターンは業者やユーザがサーバにアップロードできる。
【0044】
(風速再現に係る処理の流れ)
以下、
図9乃至
図16を参照して、実施形態の送風システムによる送風再現に係る処理の流れを詳細に説明する。
【0045】
先ず
図9のフローチャートを参照して、環境測定装置1と携帯端末10、扇風機20間での処理の流れを詳細に説明する。
【0046】
この処理を開始すると、先ず、環境測定装置1が環境測定を行う(S1)。より具体的には、計測部3では、風速測定部3aが風速を測定し、風速信号を制御部2へと送る。温度測定部3bは温度を測定し、温度信号を制御部2へと送る。湿度測定部3cは湿度を測定し、湿度信号を制御部2へと送る。そして、照度測定部3dは照度を測定し、照度信号を制御部2へと送る。但し、一部の測定部のみ機能してもよい。
【0047】
制御部2では、これらのアナログ信号を受けると、符号化部2bがこれら信号を符号化し、風速データ、温度データ、湿度データ、照度データに変換する(S2)。そして、ファイル生成部2cが、これら風速データ、温度データ、湿度データ、照度データを、環境データとして1つのファイルにまとめる(S3)。主制御部2aは、環境データに係るファイルを、通信部6を介して携帯端末10等に送信する(S4)。なお、このファイルには風速データは必ず含まれるが、他のデータの一部が含まれない場合もある。
【0048】
携帯端末10では、制御部11が通信部12を介して環境測定装置1からの環境データに係るファイルを受信すると(S5)、主制御部11aが当該ファイルをサーバ装置30にアップロードするか否かを判断する(S6)。例えば、携帯端末10の表示部14に表示された所定画面において環境ファイルに係るファイルをサーバ装置30にアップロードすることが選択されると(S5をYES)、制御部11のファイル登録・取得部11bが当該ファイルをサーバ装置30にアップロードする(S7)。一方、アップロードしない場合、ステップS7をスキップしてステップS8に進む。
【0049】
続いて、携帯端末10の主制御部11は、環境データに係るファイルに基づいて所定の風速の送風を扇風機20で再生するか否かを判断する(S8)。ここで、例えば表示部14に表示された所定の画面において操作部13による操作がなされて所望とする環境データに係るファイルに基づく再生が選択されると(S8をYES)、再生部11cは当該ファイルを、通信部12を介して扇風機20に送信する(S9)。
【0050】
扇風機20では、通信部22が携帯端末10から送られてきた環境データに係るファイルを受信すると(S10)、制御部21では、データ抽出部21bが当該ファイルより風速データを抽出する(S11)。そして、変換部21cが、記憶部25に記憶されているテーブルを参照して、風速データを印加電圧パターンに変換する(S12)。続いて、復号化部21eは、デジタルの印加電圧パターンをアナログの印加電圧パターン信号に変換する(S13)。そして、モータ駆動制御部21eは、印加電圧パターン信号に基づいてモータ23への印加電圧を制御する(S14)。これにより、モータ23がフィン24を所定の回転数で回転させ、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0051】
以上で、環境測定装置1による環境測定から扇風機20での風速再生までの一連の処理を終了する。
【0052】
次に
図10のフローチャートを参照して、環境測定装置1と扇風機20との間での処理の流れを詳細に説明する。
【0053】
この処理を開始すると、先ず、環境測定装置1が環境測定を行う(S21)。より具体的には、計測部3では、風速測定部3aが風速を測定し、風速信号を制御部2へと送る。
【0054】
制御部2では、これらの風速信号を受けると、符号化部2bがこれら信号を符号化し風速データに変換する(S22)。そして、主制御部2aは、風速データを、通信部6を介して携帯端末10等に送信する(S23)。
【0055】
扇風機20では、主制御部21aの制御の下、通信部22が携帯端末10から送られてきた風速データを受信すると(S24)、制御部21の変換部21cが、記憶部25に記憶されているテーブルを参照して、風速データを印加電圧パターンに変換する(S25)。続いて、復号化部21eがデジタルの印加電圧パターンをアナログの印加電圧パターン信号に変換する(S26)。モータ駆動制御部21eは、印加電圧パターン信号に基づいてモータ23への印加電圧を制御する(S27)。これにより、モータ23がフィン24を所定の回転数で回転させ、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0056】
以上で、環境測定装置1による環境測定から扇風機20での送風再生までの一連の処理を終了する。
【0057】
次に
図11のフローチャートを参照して、サーバ装置30と携帯端末10、扇風機20間での処理の流れを詳細に説明する。ここでは、
図12乃至15の画面構成例を適宜参照して説明を進める。
【0058】
この処理を開始すると、先ず、携帯端末10がサーバ装置30に対して環境データに係るファイルのダウンロード要求を行う(S31)。
【0059】
より具体的には、携帯端末10は所定の認証を得て、サーバ装置30の提供するWebサイトにアクセスし、ダウンロード画面に係るデータを、通信部12を介して受信し、表示制御部11dの制御の下、表示部14に
図12に示されるようなダウンロード画面を表示する。
図12の画面構成例では、画面100では、領域101には再生環境に関連する画像が表示され、領域102には環境データに係るファイルの登録日時及びタイトルが表示される。所望とするファイルを選択するための選択ボタン103も設けられている。この表示の中から操作部13を操作して選択ボタン103を選択し、所望とするファイルが選択されると、
図13に示されるような詳細画面へと移行する。
図13の詳細画面110では、領域111に選択されたファイルに係る画像が表示され、領域112に選択されたファイルの登録日時及びタイトルが表示され、領域113に環境データ、画像、動画、音声など、ダウンロード可能なファイルの一覧が表示される。このファイルの中から所望とするものをダウンロードするためのダウンロードボタン114が各ファイルに対応して設けられている。例えば、環境データに係るファイルのダウンロードボタン114が選択されると、ファイル登録・取得部11bが通信部12を介してサーバ装置30に対して当該ファイルのダウンロード要求を行う。
【0060】
サーバ装置30は、ダウンロード要求を受信すると(S32)、ファイル抽出部31cが該当ファイルをDB33から抽出し(S33)、当該ファイルを主制御部31aの制御の下、通信部32を介して、携帯端末10に送信する(S34)。
【0061】
携帯端末10では、制御部11が通信部12を介してサーバ装置30からの環境データに係るファイルを受信すると(S35)、携帯端末10の主制御部11aは、環境データに係るファイルに基づいて所定の風速の送風を扇風機20で再生するか否かを判断することになる(S36)。このとき、
図14に示されるような画面120を表示部14に表示し、所望とするファイルを選択できるようにしてもよい。即ち、この画面120では、領域121には環境データに関する画像が表示され、領域122にはファイルの登録日時及びタイトルが表示される。そして、再生ボタン123の選択により所望とするファイルの再生が選択できるようになっている。
【0062】
この表示部14に表示された画面120において操作部13による操作がなされて所望とする環境データに係るファイルに基づく再生ボタン123が選択されると(S36をYES)、再生部11cは当該ファイルを、通信部12を介して扇風機20に送信する(S37)。
【0063】
扇風機20では、通信部22が携帯端末10から送られてきた環境データに係るファイルを受信すると(S38)、制御部21のデータ抽出部21bが当該ファイルより風速データを抽出する(S39)。そして、変換部21cが、記憶部25に記憶されているテーブルを参照して、風速データを印加電圧パターンに変換する(S40)。続いて、復号化部21eは、デジタルの印加電圧パターンをアナログの印加電圧パターン信号に変換する(S41)。そして、モータ駆動制御部21eは、印加電圧パターン信号に基づいてモータ23への印加電圧を制御する(S42)。これにより、モータ23がフィン24を所定の回転数で回転させ、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0064】
以上で、携帯端末10によるサーバ装置30からのファイルのダウンロードから扇風機20での風速再生までの一連の処理を終了する。
【0065】
上記再生中には、
図15に示されるような画面130を携帯端末10の表示部14に表示するようにしてもよい。これは環境測定装置1が再生環境に位置する場合を想定しているが、画面130の領域131には再生中のファイルを示す画像が表示され、その下の領域132にはファイルの登録日時及びタイトルと現在(緯度、経度)が表示される。更に下の領域134には、気温、湿度、及び照度について、データ環境と現在の環境との対比が表示される。この対比により、再生の実現性を目視で確認することができる。また、ユーザにこのような表示を見せることで、より再現性を高めるべく、別の機器、例えばエアコン、照明、加湿器を操作するように促すことができる。
【0066】
次に
図16のフローチャートを参照して、サーバ装置30と携帯端末10、制御装置50間での処理の流れを詳細に説明する。
【0067】
この処理を開始すると、先ず、携帯端末10がサーバ装置30に対して環境データに係るファイルと扇風機40に対応する風速データの変化に対応する印加電圧パターンテーブルのファイルとのダウンロード要求を行う(S51)。
【0068】
サーバ装置30は、ダウンロード要求を受信すると(S52)、ファイル抽出部31cが該当する環境データに係るファイル33aをDB33から抽出し、印加電圧パターンテーブルに係るファイル34aをDB34から抽出し(S53)、それらファイルを主制御部31aが通信部32を介して、携帯端末10に送信する(S54)。
【0069】
携帯端末10では、制御部11が通信部12を介してサーバ装置30からの環境データに係るファイル33aと印加電圧パターンテーブルに係るファイル34aを受信すると(S55)、携帯端末10の主制御部11は、環境データに係るファイル33aに基づいて所定の風速の送風を扇風機40で再生するか否かを判断する(S56)。再生する場合(S56をYES)、再生部11cはファイル33a、34aを、通信部12を介して制御装置50に送信する(S57)。
【0070】
制御装置50では、主制御部51aの制御の下、通信部52が携帯端末10から送られてきた環境データに係るファイル33aと印加電圧パターンテーブルに係るファイル34aとを受信すると(S58)、制御部51のデータ抽出部51bが当該ファイル33aより風速データを抽出する(S59)。そして、変換部51cが、ファイル34aの印加電圧パターンテーブルを参照して風速データを印加電圧パターンに変換する(S60)。復号化部51dは、デジタルの印加電圧パターンをアナログの印加電圧パターン信号に変換する(S61)。電圧制御部51eは、印加電圧パターン信号に基づいてプラグ54を介した扇風機40への印加電圧を制御する(S42)。これにより、扇風機40のモータがフィンを所定の回転数で回転させ、風速データに対応する風速での送風が再現される。
【0071】
以上で、携帯端末10によるサーバ装置30からのファイルダウンロードから制御装置50を介した扇風機40での風速再生までの一連の処理を終了する。
【0072】
以上、本発明によれば、環境測定装置により、ユーザが所望とする場所で風速等の環境データを収集することができ、それら環境データに係るファイルに基づいて、事後的に扇風機で同じ風速での送風を実現することができる。あるいは、選択された環境に環境測定装置を設置しておければ、遠隔にいながらにして、リアルタイムであるいは事後的に当該設置場所での風速と同じ風速での送風を実現することができる。
【0073】
また、制御装置を間接ユニットとして活用すれば、一般的な市販されている扇風機を用いた場合でも同様の送風再生が可能となる。また、環境測定装置で収集された環境データに係るファイルはサーバ装置に登録され、携帯端末などによりダウンロード可能となっているので、ユーザは所望とする場所等における環境データに係るファイルをダウンロードすれば、いつでも当該環境データに基づく送風再生が可能となる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。例えば、上記扇風機としてはモータの駆動力によりフィンを駆動することで当該フィンの旋回により送風を実現する種類のものに限定されず、所定の筐体に収められたモータによりフィンを駆動し当該筐体の上部に配設された送風部のスリットより上記フィン旋回により風を排出し、そのときに周囲の風も巻き込みフィン旋回により生じた風の十数倍の送風を実現するような送風機に対しても適用可能であることは勿論である。
【0075】
また、環境測定装置が扇風機により再現される風速に対する補正機能を更に備えてもよい。この補正機能は、主制御部の機能として実現される。一般に、扇風機は、ユーザの所在する位置から1mのところに配置したのと、3mのところに配置したのでは、同じモータの回転数により送風しても体感する風速は異なってくる。そこで、環境測定装置に補正モードを設ける。ユーザは、自己が扇風機との関係で位置すべき場所(例えば、くつろぐソファーの位置など)につくと、環境測定装置を扇風機の方に向けて補正モード下で起動する。すると、環境測定装置の主制御部は、扇風機に対して風速が徐々に加速するような風速データを連続的に送信する。扇風機は、この風速データをリアルタイムで受信し、前述したように印加電圧パターンに変換し、モータによりフィンを回転させ、送風を再現する。環境測定装置は、風速測定部がこの送風の風速を計測し、主制御部は当該風速信号を受けると現在の風速を検出する。基準値となる風速に現在の風速が合致すると、そのときの風速データを当該基準値を実現するための風速データとして扱うべく、扇風機に合致信号を送信する。扇風機は、この合致信号を受信すると、主制御部が基準値と風速データとの対応関係を補正データとして記憶部に記憶する。以降、風速再現の際には、印加電圧パターンテーブル参照により印加電圧パターンを求める際に、記憶部に記憶された当該補正データを加味する。例えば、扇風機とユーザとの距離が遠い場合には、印加電圧を補正してモータの回転数を増加するなどして対応する。これにより、扇風機で再現される風速はユーザの体感が測定値に近いものとなるように調整される。
【0076】
なお、扇風機20は、1m、2m、3mといった通常使用される代表的な距離については、あらかじめ機種毎の電圧補正値を記憶部25に登録しておく。環境測定装置1による精密な補正が必要ない場合は、扇風機20の操作部26を直接操作して任意の距離に対する電圧補正の設定を行ってもよい。
携帯端末あるいは扇風機と通信自在であり、設置場所の風速を測定する計測部3と、計測部3で計測された風速信号を風速データに変換する符号化部2bと、風速データを含むファイルを生成するファイル生成部2cと、ファイルを携帯端末あるいは扇風機に送信する通信部6とを備え、携帯端末を介して、あるいは直接的に扇風機に風速データを含むファイルを送信することで、当該扇風機において風速データに基づく風速での送風再生を促すことを特徴とする。