特許第5839695号(P5839695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5839695
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20151210BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20151210BHJP
   F01N 13/20 20100101ALI20151210BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20151210BHJP
【FI】
   F01N13/00 B
   F01N13/08 A
   F01N13/08 E
   F01N13/20 E
   F01P11/10 C
   F01P11/10 K
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-83967(P2012-83967)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-213432(P2013-213432A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】國領 おさむ
(72)【発明者】
【氏名】浦瀬 広平
(72)【発明者】
【氏名】入野 照男
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−070077(JP,A)
【文献】 特開2012−057414(JP,A)
【文献】 特開昭57−140225(JP,A)
【文献】 実開昭60−160229(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00−13/20
F01P 11/10−11/20
E02F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回体と、この旋回体に取り付けられる作業装置と、上記旋回体に設けられるエンジン室と、このエンジン室の後方に配置されるカウンタウェイトとを備え、上記エンジン室内に、エンジンと、このエンジンの排気ガスが導かれるマフラと、このマフラに接続されたテールパイプとを備え、上記テールパイプから排出された上記排気ガスを上記旋回体の上方位置で放出する排気口を有する排気管を備えた作業機械において、
上記排気管は、下端部に一体形成されたフランジにより上記カウンタウェイトの上面上に固定され、
上記カウンタウェイトに、上記テールパイプが挿入される穴を形成し、この穴は上記カウンタウェイトの上面に開口するとともに下端部が開口する空洞部から成り
上記カウンタウェイトの上記空洞部内に配置され、上記テールパイプから排出される排気ガスを、上記カウンタウェイトの上記空洞部に放出することなく上記排気管に導く誘導手段を備え、この誘導手段と上記カウンタウェイトの上記空洞部を形成する壁面との間に、冷却風が導かれる通路を形成し、
上記誘導手段は、上記テールパイプが挿入されるとともに、上記排気管内に挿入されるレジューサパイプから成り、上記通路は、上記カウンタウェイトの上記空洞部を形成する壁面と、上記レジューサパイプの外周面との間に形成され、
上記レジューサパイプは、上記テールパイプが挿入される穴を有する板状部と、この板状部に連設され、上方に向かうに従って開口面積が小さくなるカップ状部と、このカップ状部に連設され、上記排気管内に挿入される筒状部とから成り、
上記排気管の下端部に挿入される上記レジューサパイプの上記筒状部の上端部と、上記排気管の下端部との間をシールするシール部材を備え、
下方に広がる上記レジューサパイプの上記カップ状部の下部環状部に板状部を固定し、この板状部に上記テールパイプが挿通される穴を設定し、
上記板状部の上記穴の縁部と上記テールパイプとの間に隙間を形成することにより、上記エンジン、上記マフラ、及び上記テールパイプを含む振動系と、上記レジューサパイプ、及び上記排気管を含む振動系とを互いに独立した振動系に設定し、
上記レジューサパイプの上記板状部に形成した小孔に連通し、この小孔を経て流れる雨水を下方に導くドレン手段を備え、
上記レジューサパイプの上記板状部を上記カウンタウェイトの内部壁に、上記小孔が下方に位置するように側面視が傾斜状となる形態に固定したことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
上記ドレン手段は、上記レジューサパイプの上記板状部の上記小孔に連通する排水パイプと、この排水パイプに連通し、下方に向かって延設された可撓性を有するドレンホースと、上記排水パイプと上記ドレンホースとを締結する締結具とを含むことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業機械において、
上記エンジン室内に、上記エンジンを冷却する冷却風を生起させる冷却ファンを配置したことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マフラに接続されるテールパイプと、このテールパイプから排出されたエンジンの排気ガスを放出するミニショベル等の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に示される従来技術は、ミニショベル等の小型機械に比べて大型の油圧ショベル等の建設機械である。この従来技術にあっては、エンジン、マフラを含む振動系と、エンジンの排気ガスを放出する排気口を有する排気管の振動系とを異ならせるために、マフラに接続されるテールパイプと、エンジン室を形成するボンネットに取り付けた排気管とを互いに別体に設けてある。すなわち、排気管と、この排気管に挿入されるテールパイプとの間に隙間を設けた構成にしてある。
【0003】
この構成に伴い、排気管内に浸入した雨水が排気管の内壁を伝って、排気管とテールパイプとの隙間からエンジン室内に流れ込み、エンジン室内の機器に雨水が接触したり、排気管に導かれる排気ガス中の煤が雨水に混入してエンジン室内に流下して、エンジン室内を汚染する虞がある。このようなことから上述した従来技術は、配水管の下端部分に、排気管とテールパイプとの隙間から流れ落ちる雨水を受ける受け皿部材を備えた構成になっている。受け皿部材の下方部分には、受け皿部材に溜まった雨水を流す小孔が設けられており、この小孔から流れた雨水はマフラ内に導かれ、さらにマフラからドレン管を経て流下すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−40926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は、受け皿部材に溜まった雨水をマフラ内に導いてから外部に流下させるようにしてあることから、雨水に混入した煤によってマフラ内が汚染する問題がある。
【0006】
また、上述した従来技術は、エンジン室を形成するボンネットに排気管を取り付ける設置スペースを有する比較的大型の建設機械であるが、ミニショベル等の小型機械にあっては、エンジン室上に排気管を設置するスペースを有さないものがある。このような小型機械では、カウンタウェイトの上面に排気管を立設することが考えられる。このようにカウンタウェイト上に排気管を立設することを考えた場合、上述した従来技術に備えられるような雨水を受ける受け皿部材を、設置スペースに制約を受けやすい小型機械のカウンタウェイト上に設置することは現実には困難であり、実用性の点で問題がある。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、マフラ内を汚染することなく排気管から浸入した雨水を車体外に流すことができ、また、排気管をカウンタウェイトに配置するような小型機械にも適用することができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、旋回体と、この旋回体に取り付けられる作業装置と、上記旋回体に設けられるエンジン室と、このエンジン室の後方に配置されるカウンタウェイトとを備え、上記エンジン室内に、エンジンと、このエンジンの排気ガスが導かれるマフラと、このマフラに接続されたテールパイプとを備え、上記テールパイプから排出された上記排気ガスを上記旋回体の上方位置で放出する排気口を有する排気管を備えた作業機械において、上記排気管は、下端部に一体形成されたフランジにより上記カウンタウェイトの上面上に固定され、上記カウンタウェイトに、上記テールパイプが挿入される穴を形成し、この穴は上記カウンタウェイトの上面に開口するとともに下端部が開口する空洞部から成り上記カウンタウェイトの上記空洞部内に配置され、上記テールパイプから排出される排気ガスを、上記カウンタウェイトの上記空洞部に放出することなく上記排気管に導く誘導手段を備え、この誘導手段と上記カウンタウェイトの上記空洞部を形成する壁面との間に、冷却風が導かれる通路を形成し、上記誘導手段は、上記テールパイプが挿入されるとともに、上記排気管内に挿入されるレジューサパイプから成り、上記通路は、上記カウンタウェイトの上記空洞部を形成する壁面と、上記レジューサパイプの外周面との間に形成され、上記レジューサパイプは、上記テールパイプが挿入される穴を有する板状部と、この板状部に連設され、上方に向かうに従って開口面積が小さくなるカップ状部と、このカップ状部に連設され、上記排気管内に挿入される筒状部とから成り、上記排気管の下端部に挿入される上記レジューサパイプの上記筒状部の上端部と、上記排気管の下端部との間をシールするシール部材を備え、下方に広がる上記レジューサパイプの上記カップ状部の下部環状部に板状部を固定し、この板状部に上記テールパイプが挿通される穴を設定し、上記板状部の上記穴の縁部と上記テールパイプとの間に隙間を形成することにより、上記エンジン、上記マフラ、及び上記テールパイプを含む振動系と、上記レジューサパイプ、及び上記排気管を含む振動系とを互いに独立した振動系に設定し、上記レジューサパイプの上記板状部に形成した小孔に連通し、この小孔を経て流れる雨水を下方に導くドレン手段を備え、上記レジューサパイプの上記板状部を上記カウンタウェイトの内部壁に、上記小孔が下方に位置するように側面視が傾斜状となる形態に固定したことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、排気管の排気口から浸入した雨水は、排気管からレジューサパイプの筒状部の内面、カップ状部の内面を経てレジューサパイプの板状部の上面に流下する。このように板状部の上面に流下した雨水は、板状部が傾斜状に配置されていることから、さらにこの板状部の上面を伝って小孔に向かって流れ、この小孔からドレン手段を介して流下する。このように本発明は、配水管から浸入した雨水を、マフラ内に流下させることなくドレン手段を介して車体外に排出させることができる。すなわち本発明は、マフラ内を汚染することなく排気管から浸入した雨水を車体外に排出させることができる。
【0010】
また本発明は、テールパイプから排出されレジューサパイプに導かれたエンジンの排気ガスを、上方に向かうに従って開口面積が小さくなるカップ状部により、その流速を速くして排気管の排気口から放出することができる。
【0011】
また本発明は、下方が広がるカップ状部の下部環状部に板状部を固定することから、テールパイプが挿入される板状部の穴を大きく設定することができる。これにより、板状部の縁部と、テールパイプとの間の隙間を所望の寸法の隙間に簡単に形成できる。
【0013】
また本発明は、フランジを介して、排気管をカウンタウェイト上に安定して立設保持させることができる。
【0015】
また本発明は、レジューサパイプのカップ状部を比較的簡単な形状とすることができ、このレジューサパイプを容易に製作することができる。
【0016】
また本発明は、上記発明において、上記ドレン手段は、上記レジューサパイプの上記板状部の上記小孔に連通する排水パイプと、この排水パイプに連通し、下方に向かって延設された可撓性を有するドレンホースと、上記排水パイプと上記ドレンホースとを締結する締結具とを含むことを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、ドレンホースの撓みによってエンジン室内のデッドスペースを有効に活用しながら、レジューサパイプの板状部の小孔から流出する雨水を確実に車体外に排出させることができる。
【0018】
また本発明は、上記エンジン室内に、上記エンジンを冷却する冷却風を生起させる冷却ファンを配置したことを特徴としている。
【0019】
このように構成した本発明は、冷却風で生起させた冷却風を、レジューサパイプの板状部の穴の縁部と、テールパイプとの隙間からレジューサパイプ内に導き、テールパイプから排出されレジューサパイプ内に流入した排気ガスに混入させることができる。これにより、排気管の排気口から放出される排気ガスの温度を下げることができるとともに、排気管の加熱を抑えることができる。
【0020】
また本発明は、冷却ファンで生起させた冷却風を、カウンタウェイトの空洞部を形成する壁面と、レジューサパイプの外周面との間に形成される通路に導くことにより、排気ガスの流入によって加熱するレジューサパイプを冷やすことができ、このレジューサパイプの筒状部から排気管に導かれる排気ガスの温度を下げることができる。
【0021】
なお昨今、ミニショベル等の作業機械にあっては、排気ガス処理装置を備えたものが開発されてきているが、排気ガス処理装置を備えていない作業機械の排気ガスの温度が300℃程度であったものが、排気ガス処理時にNOxやPM(粒子状物質)の燃焼に伴って生じる高熱により、600℃位まで排気ガスの温度が上昇することが知られている。したがって本発明は、このような排気ガス処理装置を備え、排気管及びカウンタウェイトに伝えられる排気ガスの温度が高くなることが懸念されるミニショベル等の作業機械に特に好適である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、マフラ内を汚染することなく排気管から浸入した雨水を車体外に流すことができ、従来に比べて信頼性の高い作業機械を実現させることができる。
【0023】
また本発明は、排気管をカウンタウェイトに立設するようなミニショベル等の小型機械にも適用することができ、従来に比べて優れた汎用性を確保できる。
【0024】
また本発明は、レジューサパイプのカップ状部により流速を速くして排気ガスを排気管の排気口から放出させることができ、優れた排気性能を確保できる。
【0025】
また本発明は、板状部の穴の縁部とテールパイプとの間に所望の寸法の隙間を簡単に形成でき、エンジン、マフラ、テールパイプを含む振動系と、レジューサパイプ、排気管を含む振動系を互いに独立した振動系とすることが従来よりも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る作業機械の一実施形態を構成するミニショベルを示す側面図である。
図2図1に示すミニショベルのエンジン室の内部を示す斜視図である。
図3図1に示すミニショベルのエンジン室の内部を示す正面図である。
図4図1に示すミニショベルの排気ガス排出系統を示す分解斜視図である。
図5図1に示すミニショベルに備えられるレジューサパイプの取り付け関係を示す側面図である。
図6図1に示すミニショベルに備えられるテールパイプとレジューサパイプと排気管の取り付け関係を示す図である。
図7図6の要部拡大縦断面図である。
図8】本発明に係る作業機械の別の実施形態を構成するミニショベルに備えられるテールパイプとレジューサパイプと排気管の取り付け関係を示す要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る作業機械の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0028】
図1は本発明に係る作業機械の一実施形態を構成するミニショベルを示す側面図である。
【0029】
本実施形態に係る作業機械は、例えばミニショベルであり、このミニショベルは、図1に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2の前側位置に設けられる支持部3に支持される作業装置4とを備えている。作業装置4は、ブーム4aと、アーム4bと、バケット4cとを含んでおり、土砂の掘削作業等を実施する。上述した走行体1と旋回体2とによって車体が構成されている。
【0030】
旋回体2の旋回フレーム2a上には運転室5が備えられ、運転室5の後側にはエンジン室6が配置され、このエンジン室6の後方には重量バランスを確保するカウンタウェイト7が備えられている。
【0031】
図2,3は図1に示すミニショベルのエンジン室の内部を示す図で、図2は斜視図、図3は正面図である。
【0032】
これらの図2,3に示すように、エンジン室6内には、エンジン10と、このエンジン10の排気ガスが導かれるマフラ12と、このマフラ12に接続され、マフラ12から排出された排気ガスが導かれるテールパイプ13とが配置されている。また、エンジン10を冷却する冷却風を生起させる冷却ファン10aと、エンジン10によって駆動され、上述の作業装置4を作動させる圧油を供給する油圧ポンプ11とが配置されている。
【0033】
また、カウンタウェイト7の上面7aには、テールパイプ13から排出されたエンジン10の排気ガスを旋回体2の上方位置、すなわちカウンタウェイト7の上方位置で放出する排気口14aを有する排気管14が備えられている。この排気管14には、カウンタウェイト7の上面7aにボルト16によって固定されるフランジ15を一体に設けてある。
【0034】
図4図1に示すミニショベルの排気ガス排出系統を示す分解斜視図、図5図1に示すミニショベルに備えられるレジューサパイプの取り付け関係を示す側面図、図6図1に示すミニショベルに備えられるテールパイプとレジューサパイプと排気管の取り付け関係を示す図、図7図6の要部拡大縦断面図である。
【0035】
本実施形態は、テールパイプ13が挿入される穴をカウンタウェイト7に形成してある。このカウンタウェイト7の穴は、図4,6,7に示すように、カウンタウェイト7の上面7aに開口するとともに、下端部が開口する空洞部7bから成っている。
【0036】
本実施形態は、カウンタウェイト7の空洞部7b内に配置され、テールパイプ13から排出される排気ガスを、カウンタウェイト7の空洞部7bに放出することなく排気管14に導く誘導手段を備えている。また、本実施形態は、誘導手段と、カウンタウェイト7の空洞部7bを形成する壁面との間に、上述の冷却ファン10aによって生起された冷却風が導かれる通路7cを形成してある。
【0037】
上述した誘導手段は、テールパイプ13が挿入されるとともに、排気管14内に挿入されるレジューサパイプ20から成っている。レジューサパイプ20は、図6,7に示すように、テールパイプ13が挿入される穴21aを有する板状部21と、この板状部21に連設され、例えば溶接によって板状部21に固定され、上方に向かうに従って開口面積が小さくなるカップ状部22と、このカップ状部22に連設され、例えば溶接によってカップ状部に固定され、排気管14内に挿入され、折り曲げ形成された筒状部23とから成っている。
【0038】
また本実施形態は、レジューサパイプ20の板状部21に形成した小孔21bに連通し、この小孔21bを経て流れる雨水を下方に導くドレン手段を備えている。このドレン手段は、図4,5に示すように、レジューサパイプ20の板状部21の小孔21bに連通する排水パイプ25と、この排水パイプ25に連通し、下方に向かって延設された可撓性を有するドレンホース26と、排水パイプ25とドレンホース26とを締結する締結具27とを含んでいる。
【0039】
なお、図5に示すように、本実施形態は、マフラ12内に溜まった水を排水するドレン手段も備えている。このドレン手段は、マフラ12の下方部分に形成した図示しない小孔に連通する排水パイプ30と、この排水パイプ30に連通し、下方に向かって延設された可撓性を有するドレンホース31と、排水パイプ30とドレンホース31とを締結する締結具32とを含んでいる。
【0040】
図4,6,7に示すように、レジューサパイプ20の板状部21は、マフラ12の上方に位置するカウンタウェイト7の内壁に、小孔21bが下方に位置するように側面視が傾斜状となる形態で、ボルト24によって固定してある。上述したカウンタウェイト7に形成される通路7cは、カウンタウェイト7の空洞部7bを形成する壁面と、レジューサパイプ20の外周面との間に形成してある。
【0041】
図7に示すように、レジューサパイプ20のカップ状部22は、レジューサパイプ20の板状部21に例えば溶接によって固定される下部環状部22aと、この下部環状部22aに連設され、下部環状部22aの上方に配置された切頭円錐状筒部22bと、この切頭円錐状筒部22bに連設され、切頭円錐状筒部22bの上方に配置され、レジューサパイプ20の筒状部23に溶接によって固定される上部環状部22cとを含んでいる。このカップ状部22の下部環状部22aと、切頭円錐状筒部22bと、上部環状部22cとは例えば一体的に成形してある。
【0042】
また本実施形態は、図7に示すように、排気管14の下端部14bに挿入されるレジューサパイプ20の筒状部23の上端部23aと、排気管14の下端部14bとの間をシールする例えば耐熱性のグラスファイバから成るシール部材28を備えている。
【0043】
このように構成した本実施形態は、エンジン10の排気ガスがマフラ12内に導かれて消音し、マフラ12からテールパイプ13に排出される。さらに、テールパイプ13に導かれた排気ガスはテールパイプ13からレジューサパイプ20に導かれ、このレジューサパイプ20から排気管14に排出され、この排気管14の排気口14aから外部に放出される。
【0044】
また本実施形態は、排気管14の排気口14aから浸入した雨水が、排気管14からレジューサパイプ20の筒状部23の内面、カップ状部22の内面を経てレジューサパイプ20の板状部21の上面に流下する。このように板状部21の上面に流下した雨水は、板状部21が傾斜状に配置されていることから、さらにこの板状部21の上面を伝って小孔21bに向かって流れ、この小孔21bからドレン手段、すなわち排水パイプ25及びドレンホース26を介して流下する。このように本実施形態は、排気管14から浸入した雨水を、排水パイプ25及びドレンホース26を介してマフラ12内に流下させることなく旋回体2外に排出させることができる。すなわち、本実施形態は、マフラ12内を汚染することなく排気管14から浸入した雨水を旋回体2外に排出させることができる。これにより信頼性の高いミニショベルを実現させることができる。また本実施形態は、カウンタウェイト7に立設した状態における排気管14から浸入する雨水の除去を可能とするものであり、小型機械である当該ミニショベルにも好適であり、優れた汎用性を確保できる。
【0045】
また本実施形態は、テールパイプ13から排出されレジューサパイプ20に導かれたエンジン10の排気ガスを、上方に向かうに従って開口面積が小さくなるカップ状部22により、その流速を速くして排気管14の排気口14aから放出することができる。これにより優れた排気性能を確保できる。
【0046】
また本実施形態は、下方に広がるカップ状部22の下部環状部22aに板状部21を固定することから、テールパイプ13が挿入される板状部21の穴21aを大きく設定することができる。これにより、板状部21の穴21aの縁部と、テールパイプ13との間の隙間を所望の寸法に簡単に形成できる。したがって、エンジン10、マフラ12、テールパイプ13を含む振動系と、レジューサパイプ20、排気管14を含む振動系を互いに独立した振動系とすることが容易となる。
【0047】
また本実施形態は、排気管14にフランジ15を一体に設けたことから、フランジ15を介して、排気管14をカウンタウェイト7上に安定して立設保持させることができる。
【0048】
また本実施形態は、レジューサパイプ20のカップ状部22を下部環状部22aと、切頭円錐状筒部22bと、上部環状部22cとによって構成してあるので、このカップ状部22を比較的簡単な形状とすることができ、このレジューサパイプ20を容易に製作することができる。
【0049】
また本実施形態は、ドレンホース26の撓みによってエンジン室6内のデッドスペースを有効に活用しながら、レジューサパイプ20の板状部21の小孔21bから流出する雨水を確実に旋回体2の外部に排出させることができる。
【0050】
また本実施形態は、排気管14をカウンタウェイト7の上面7aに立設し、カウンタウェイト7の上方位置で排気口14aからエンジン10の排気ガスを放出するようにしてあることから、排気ガスを地上から十分に離れた比較的高い位置で放出することができる。これにより、当該ミニショベルの周囲に存在する植木や比較的高さの低い構造物に対する排気ガスからの保護を実現させることができる。
【0051】
また本実施形態は、テールパイプ13から排出されるエンジン10の排気ガスを、誘導手段すなわちレジューサパイプ20によってカウンタウェイト7の空洞部7b内に放出することなく排気管14に導き、排気管14の排気口14aから放出するようにしてあることから、排気ガスによるカウンタウェイト7の加熱を防ぐことができる。
【0052】
また本実施形態は、冷却ファン10aで生起させた冷却風を、図7の冷却風の動きを示す矢印41で示すように、カウンタウェイト7の空洞部7bを形成する壁面と、レジューサパイプ20との間に形成される通路7cに導くことにより、排気ガスが導かれるレジューサパイプ20を冷やすことができ、また、同図7の冷却風の動きを示す矢印41と排気ガスの動きを示す矢印45で示すように、排気ガスに冷却風を混入させることによって、このレジューサパイプ20から排気管14に導かれる排気ガスの温度を下げることができ、これに伴って排気管14の温度上昇を抑えることができる。
【0053】
このように本実施形態は、排気ガスによるカウンタウェイト7の加熱を抑えることができ、また、排気ガスの温度を下げることができるので、当該ミニショベルの周囲に存在する人に対する安全保護を実現させることができる。
【0054】
また本実施形態は、上述したように排気ガスによるカウンタウェイト7の加熱を抑えることができ、また、冷却ファン10aの冷却風によってレジューサパイプ20を冷やすことができ、さらに、排気ガスの温度を下げることができるので、排気ガスの温度が高くなりやすい排気ガス処理装置を備えたミニショベルにも好適である。
【0055】
また本実施形態は、シール部材28を介してレジューサパイプ20と排気管14とを一体に設けることができるとともに、レジューサパイプ20の筒状部23と排気管14との接続部からの排気ガスの流れを、シール部材28によって確実に防ぐことができ、この点で信頼性の高いミニショベルを実現させることができる。
【0056】
図8は本発明に係る作業機械の別の実施形態を構成するミニショベルに備えられるテールパイプとレジューサパイプと排気管の取り付け関係を示す要部拡大縦断面図である。
【0057】
この図8に示すように、別の実施形態に係るミニショベルに備えられる誘導手段を構成するレジューサパイプ20は、カップ状部22の下部環状部22aの下方部分を、側面視で斜めに切断した形態に形成してあり、この形態の下部環状部22aに板状部21を溶接によって固定してある。また、マフラ12に接続されるテールパイプ13と、レジューサパイプ20の筒状部23は、それぞれ曲げ形成をしておらず円筒形状に形成してある。その他の構成は上述した図1〜7に示した実施形態と同等である。
【0058】
このように構成した別の実施形態は、レジューサパイプ20のカップ状部22の形状は複雑になるが、テールパイプ13と、レジューサパイプ20の筒状部23の形状を簡単にすることができる。この別の実施形態で得られる他の作用効果は、上述した図1〜7に示した実施形態と同等である。
【0059】
なお、上記各実施形態は、排気管14を外部に露出させてあるが、この排気管14の周面を覆う排気管カバーを備えた構成にしてもよい。
【0060】
また、上記各実施形態は、旋回体2上に運転室5を備えたミニショベルであるが、運転室5に代えてキャノピを備えたミニショベルにも適用できる。さらに本発明は、ミニショベルには限定されず、ミニショベルよりも大型の油圧ショベル等の作業機械にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 走行体(車体)
2 旋回体(車体)
4 作業装置
6 エンジン室
7 カウンタウェイト
7a 上面
7b 空洞部
7c 通路
10 エンジン
10a 冷却ファン
12 マフラ
13 テールパイプ
13a 上端部
14 排気管
14a 排気口
15 フランジ
20 レジューサパイプ
21 板状部
21a 穴
21b 小孔
22 カップ状部
22a 下部環状部
22b 切頭円錐状筒部
22c 上部環状部
23 筒状部
23a 上端部
25 排水パイプ
26 ドレンホース
27 締結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8