特許第5840059号(P5840059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5840059
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】車両のカウルルーバ装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20151210BHJP
   B60H 1/28 20060101ALI20151210BHJP
【FI】
   B62D25/08 H
   B60H1/28 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-77542(P2012-77542)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-203364(P2013-203364A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上辻 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 信孝
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−13068(JP,A)
【文献】 特許第4407656(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
B60H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部における左右側壁の間で車体の幅方向に延びるよう設けられるカウルルーバと、このカウルルーバの長手方向の各端部から延出し、その延出端部が上記側壁に形成された支持部の上面に載置されるブラケットと、縦向きの共通軸心上で上記ブラケットの延出端部および支持部にそれぞれ形成される貫通孔と、これら両貫通孔に挿通されて上記ブラケットの延出端部と支持部とを互いに連結する連結ピンとを備えた車両のカウルルーバ装置において、
上記ブラケットの延出方向の中途部を下方に向かって突出するよう屈曲させてU字形状の屈曲部を形成し、
上記屈曲部が上記支持部の下方域に向かって変位するとき、この変位する屈曲部を収容する空間を上記支持部の下方域に形成したことを特徴とする車両のカウルルーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部における左右側壁にカウルルーバの長手方向の各端部を連結ピンで連結させるようにした車両のカウルルーバ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両のカウルルーバ装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両のカウルルーバ装置は、車体前部における左右側壁の間で車体の幅方向に延びるよう設けられるカウルルーバと、このカウルルーバの長手方向の各端部から延出し、その延出端部が上記側壁に形成された支持部の上面に載置されるブラケットと、縦向きの共通軸心上で上記ブラケットの延出端部および支持部にそれぞれ形成される貫通孔と、これら両貫通孔に挿通されて上記ブラケットの延出端部と支持部とを互いに連結する連結ピンと、上記ブラケットの延出端部の外縁部から、この延出端部に形成された上記貫通孔の孔縁部に至るよう形成されるスリットとを備えている。
【0003】
そして、車両が、走行中に前方の何らかの物体に衝突(前突)し、この前突で跳ね上げられた物体が上記カウルルーバにその上方から衝突して、このカウルルーバに衝撃力を与えたとする。
【0004】
ここで、上記した従来の技術によれば、ブラケットの延出端部にスリットが形成されており、上記衝撃力により、上記スリットが開いて上記ブラケットの延出端部が容易に変形することとされている。そして、この変形により、上記車体の側壁の支持部から上記ブラケットが上記カウルルーバを伴い脱落して、上記衝撃力が緩和され、これにより、この衝撃力の反力に基づき上記物体に生じようとする傷害値が低減されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−331451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の技術では、車体の側壁に対しカウルルーバを連結させるブラケットの延出端部にスリットが形成されたことから、このブラケットの延出端部の剛性は低下しがちとなる。
【0007】
このため、車体の左右側壁に上記ブラケットによりカウルルーバを連結したとき、このカウルルーバの建付けが強度的に不安定になるおそれがある。この結果、車両の洗車時などに、上記カウルルーバに作業者が手を掛けて体重を負荷させた場合には、上記ブラケットが容易に変形し、これに連動して上記カウルルーバも容易に変形するおそれがある。また、車両の走行時には上記カウルルーバに無用な振動が生じるおそれもある。
【0008】
そこで、上記ブラケットの延出端部に上記のようなスリットを形成することに代え、前記したカウルルーバへの物体の衝突による衝撃力で、上記連結ピンを確実に脱落させて車体の左右側壁からカウルルーバを確実に脱落させるようにすることが考えられる。
【0009】
しかし、上記ブラケットの延出端部は前記したように側壁に形成された支持部の上面に載置されている。このため、上記物体のカウルルーバへの衝突による衝撃力は上記ブラケットの延出端部を介し上記支持部の上面で支持されることから、上記衝撃力により上記連結ピンを確実に破断させるようにすることは容易でない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車体前部における左右側壁にカウルルーバの長手方向の各端部を連結ピンで連結させるようにした車両のカウルルーバ装置において、前突時に跳ね上げられた物体が上記カウルルーバにその上方から衝突したとき、上記物体に生じようとする傷害値を、より確実に低減できるようにすると共に、車体に対する上記カウルルーバの建付けが強度的に安定した状態にできるようにし、しかも、これらが簡単な構成で達成できるようにすることである。
【0011】
請求項1の発明は、車体2前部における左右側壁5,5の間で車体2の幅方向に延びるよう設けられるカウルルーバ19と、このカウルルーバ19の長手方向の各端部から延出し、その延出端部が上記側壁5に形成された支持部22の上面に載置されるブラケット20と、縦向きの共通軸心24上で上記ブラケット20の延出端部20aおよび支持部22にそれぞれ形成される貫通孔25,26と、これら両貫通孔25,26に挿通されて上記ブラケット20の延出端部20aと支持部22とを互いに連結する連結ピン27とを備えた車両のカウルルーバ装置において、
上記ブラケット20の延出方向の中途部を下方に向かって突出するよう屈曲させてU字形状の屈曲部20bを形成し、
上記屈曲部20bが上記支持部22の下方域に向かって変位するとき、この変位する屈曲部20bを収容する空間30を上記支持部22の下方域に形成したことを特徴とする車両のカウルルーバ装置である。
【0012】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本発明による効果は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、車体前部における左右側壁の間で車体の幅方向に延びるよう設けられるカウルルーバと、このカウルルーバの長手方向の各端部から延出し、その延出端部が上記側壁に形成された支持部の上面に載置されるブラケットと、縦向きの共通軸心上で上記ブラケットの延出端部および支持部にそれぞれ形成される貫通孔と、これら両貫通孔に挿通されて上記ブラケットの延出端部と支持部とを互いに連結する連結ピンとを備えた車両のカウルルーバ装置において、
上記ブラケットの延出方向の中途部を下方に向かって突出するよう屈曲させてU字形状の屈曲部を形成しており、次の効果が生じる。
【0015】
即ち、上記した車両が、走行中に前方の歩行者等何らかの物体に衝突(前突)し、この前突で跳ね上げられた物体が上記カウルルーバにその上方から衝突して、このカウルルーバに衝撃力を与えたとする。
【0016】
ここで、上記発明によれば、ブラケットの延出方向の中途部を下方に向かって突出するよう屈曲させてU字形状の屈曲部を形成しており、このような屈曲部は、ある程度大きい外力の負荷によって応力集中が生じ、屈曲しがちとなるものである。
【0017】
このため、上記したようにカウルルーバに衝撃力が与えられた場合、その「初期の段階」において上記屈曲部は下方に伸展するよう直ちに変形する。よって、この屈曲部の変形に連動して上記衝撃力を与えられたカウルルーバの部分が直ちに下方移動し、上記衝撃力は上記「初期の段階」において逸早く効果的に緩和される。この結果、この衝撃力の反力に基づき上記物体に生じようとする傷害値は、より確実に低減される。
【0018】
また、上記発明によれば、側壁に形成された支持部の上面に上記カウルルーバから延出したブラケットの延出端部が載置され、かつ、上記ブラケットの延出方向の中途部に形成された上記屈曲部が上記支持部の下方域に向かって変位するとき、この変位する屈曲部を収容する空間を上記支持部の下方域に形成している。
【0019】
このため、上記したカウルルーバへの物体の衝突が進行し、上記「初期の段階」から「中・後期の段階」に達し、上記ブラケットの屈曲部が上記支持部の下方域の空間に入り込んだ場合には、これに連動して上記ブラケットの延出端部は上記支持部の上面のうちの上記カウルルーバがわの端縁部を中心として上方回動させられる。そして、このように上方回動させられる上記延出端部の回転モーメントにより前記両貫通孔のうち、少なくとも、上記支持部の貫通孔から前記連結ピンが容易に引き抜かれ脱落させられる。
【0020】
よって、上記衝撃力を与えられたカウルルーバの部分は更に下方移動し、上記衝撃力は上記「中・後期の段階」においても効果的に緩和される。この結果、この衝撃力の反力に基づき上記物体に生じようとする傷害値は、更に確実に低減される。
【0021】
そして、上記発明によれば、上記した傷害値の確実な低減という効果は、主に上記カウルルーバから延出するブラケットの中途部に屈曲部を形成したことにより達成されたのであり、このため、第1に、上記効果の達成のために、前記従来の技術で示したようなスリットは上記ブラケットには形成しないで足りることから、上記ブラケットの延出端部には所望の剛性を確保できる。よって、車体に対する上記カウルルーバの建付けを強度的に安定した状態にすることができる。また、第2に、上記効果の達成のために、上記連結ピンを引く抜くための別途の部材を設けることは不要であって、部品点数の増加が防止されることから、上記効果は簡単な構成で安価に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は、図4の部分拡大図で、物体の衝突の「初期の段階」の作用説明図である。(b)は、図4の部分拡大図で、物体の衝突の「中・後期の段階」の作用説明図である。
図2】車体前部の平面図である。
図3図2のIII−III線矢視断面図である。
図4図2のIV−IV線矢視断面図である。
図5図4で示したものの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の車両のカウルルーバ装置に関し、車体前部における左右側壁にカウルルーバの長手方向の各端部を連結ピンで連結させるようにした車両のカウルルーバ装置において、前突時に跳ね上げられた物体が上記カウルルーバにその上方から衝突したとき、上記物体に生じようとする傷害値を、より確実に低減できるようにすると共に、車体に対する上記カウルルーバの建付けが強度的に安定した状態にできるようにし、しかも、これらが簡単な構成で達成できるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0024】
即ち、車両のカウルルーバ装置は、車体前部における左右側壁の間で車体の幅方向に延びるよう設けられるカウルルーバと、このカウルルーバの長手方向の各端部から延出し、その延出端部が上記側壁に形成された支持部の上面に載置されるブラケットと、縦向きの共通軸心上で上記ブラケットの延出端部および支持部にそれぞれ形成される貫通孔と、これら両貫通孔に挿通されて上記ブラケットの延出端部と支持部とを互いに連結する連結ピンとを備える。
【0025】
上記ブラケットの延出方向の中途部が下方に向かって突出するよう屈曲させられてU字形状の屈曲部が形成される。上記屈曲部が上記支持部の下方域に向かって変位するとき、この変位する屈曲部を収容する空間が上記支持部の下方域に形成される。
【実施例】
【0026】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0027】
図2〜5において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記前方に向かっての車両1の車体2の幅方向をいうものとする。
【0028】
車体2前部は、左右側壁5,5と、これら左右側壁5,5の左右各後端部間で車体2の幅方向に延びるよう設けられ、その長手方向の各部断面がU字形状をなして上記左右側壁5,5を互いに結合させる板金製フロントカウル6と、このフロントカウル6から下方に延出するダッシュパネル7と、前下端部が上記ダッシュパネル7の後端縁部に支持されて後上方に向かって延びるフロントウィンドガラス8とを備え、上記フロントカウル6、ダッシュパネル7、およびフロントウィンドガラス8の後方における車体2内部が車室10とされ、上記左右側壁5,5の間の空間がエンジンルーム11とされている。
【0029】
上記エンジンルーム11をその上方から開閉可能に閉じるフード12と、このフード12の前部側が上、下方回動するようこのフード12の後端部を上記左右各側壁5,5に枢支する左右一対のフードヒンジ13,13とが設けられている。上記側壁5は、不図示のフロントピラーから前方に向かって突設されるエプロンメンバ14を備え、このエプロンメンバ14のエンジンルーム11側の面にはサスペンションタワー15が結合され、上記エプロンメンバ14の上面に上記フードヒンジ13の静止側部材が締結される。上記フロントピラー、側壁5のエプロンメンバ14、およびフロントカウル6は車体2の骨格部材を構成して、十分の強度と剛性とを有している。
【0030】
上記フロントカウル6をその上方から覆うカウルルーバ装置18が設けられる。このカウルルーバ装置18は、上記左右側壁5,5の左右各後端部間で車体2の幅方向に延びるよう設けられ、上記フロントカウル6をその上方から覆う樹脂製のカウルルーバ19と、このカウルルーバ19の長手方向の各端部からこれら各端部の外側方に向かって一体的に延出するブラケット20とを備えている。
【0031】
上記カウルルーバ19の前端縁部は上記フロントカウル6の前端縁部に支持され、その上面には上記フード12の後端部が当接している。一方、上記カウルルーバ19の後端縁部は上記フロントウィンドガラス8の前端縁部を介して上記フロントカウル6の後部に支持されている。
【0032】
上記側壁5のエンジンルーム11側の面には板金製の支持部22が突出するよう形成されている。上記ブラケット20はフラットバー形状をなし、その幅方向が車体2の前後方向に合致している。このブラケット20の延出端部20aは上記支持部22の上面に載置され、縦向きの共通軸心24上で上記ブラケット20の延出端部20aおよび支持部22にそれぞれ貫通孔25,26が形成される。これら貫通孔25,26に連結ピン27が挿通されて上記ブラケット20の延出端部20aと支持部22とが互いに連結されている。上記連結ピン27は、樹脂製クリップであって、上記貫通孔25,26に嵌入された軸体と、この軸体の上端部に形成された頭部と、上記軸体の下端部に形成された爪とを有した一般的なものである。
【0033】
車体2の正面視(図4)で、上記ブラケット20の長手方向の中途部が下方に向かって突出するよう屈曲させられて、U字形状の屈曲部20bが形成されている。また、この屈曲部20bが上記支持部22の下方域に向かって変位するとき、この変位する屈曲部20bを収容する空間30が上記支持部22の下方域に形成されている。これについては、図1(b)を参照して後述する。
【0034】
図1(a)(b)と図3とにおいて、上記した車両1の走行中に、その前方の歩行者等何らかの物体に衝突(前突)し、この前突で跳ね上げられた物体が上記カウルルーバ19にその上方から衝突して、このカウルルーバ19に衝撃力Fを与えたとする。
【0035】
ここで、前記構成によれば、ブラケット20の延出方向の中途部を下方に向かって突出するよう屈曲させてU字形状の屈曲部20bを形成しており、このような屈曲部20bは、ある程度大きい外力の負荷によって応力集中が生じ、屈曲しがちとなるものである。
【0036】
このため、上記したようにカウルルーバ19に衝撃力Fが与えられた場合、その「初期の段階」において、図1(a)中二点鎖線にて示すように、上記屈曲部20bは下方に伸展するよう直ちに変形する。よって、この屈曲部20bの変形に連動して上記衝撃力Fを与えられたカウルルーバ19の部分が直ちに下方移動し、上記衝撃力Fは上記「初期の段階」において逸早く効果的に緩和される。この結果、この衝撃力Fの反力に基づき上記物体に生じようとする傷害値は、より確実に低減される。
【0037】
また、前記構成によれば、側壁5に形成された支持部22の上面に上記カウルルーバ19から延出したブラケット20の延出端部20aが載置され、かつ、上記ブラケット20の延出方向の中途部に形成された上記屈曲部20bが上記支持部22の下方域に向かって変位するとき、この変位する屈曲部20bを収容する空間30を上記支持部22の下方域に形成している。
【0038】
このため、上記したカウルルーバ19への物体の衝突が進行し、上記「初期の段階」から「中・後期の段階」に達し、図1(b)にて示すように、上記ブラケット20の屈曲部20bが上記支持部22の下方域の空間30に入り込んだ場合には、これに連動して上記ブラケット20の延出端部20aは上記支持部22の上面のうちの上記カウルルーバ19がわの端縁部22aを中心として上方回動Aさせられる。そして、このように上方回動Aさせられる上記延出端部20aの回転モーメントにより前記両貫通孔25,26のうち、少なくとも、上記支持部22の貫通孔26から前記連結ピン27が容易に引き抜かれ脱落させられる。
【0039】
よって、上記衝撃力Fを与えられたカウルルーバ19の部分は更に下方移動し、上記衝撃力Fは上記「中・後期の段階」においても効果的に緩和される。この結果、この衝撃力Fの反力に基づき上記物体に生じようとする傷害値は、更に確実に低減される。
【0040】
そして、上記構成によれば、上記した傷害値の確実な低減という効果は、主に上記カウルルーバ19から延出するブラケット20の中途部に屈曲部20bを形成したことにより達成されたのであり、このため、第1に、上記効果の達成のために、前記従来の技術で示したようなスリットは上記ブラケット20には形成しないで足りることから、上記ブラケット20の延出端部20aには所望の剛性を確保できる。よって、車体2に対する上記カウルルーバ19の建付けを強度的に安定した状態にすることができる。また、第2に、上記効果の達成のために、上記連結ピン27を引く抜くための別途の部材を設けることは不要であって、部品点数の増加が防止されることから、上記効果は簡単な構成で安価に達成できる。
【0041】
また、上記構成によれば、車体2の左右側壁5,5に上記カウルルーバ19を取り付けた状態では、上記左右側壁5,5の各支持部22,22の間にその上方から上記カウルルーバ19の左右ブラケット20,20の各屈曲部20b,20bが嵌入された構造となる。
【0042】
このため、車体2の左右側壁5,5への上記カウルルーバ19の組み付け作業時には、まず、上記左右側壁5,5の間の上方から、上記カウルルーバ19を下方移動させる。そして、上記左右支持部22,22の間に上記カウルルーバ19の左右ブラケット20,20の各屈曲部20b,20bを嵌入させれば、車体2の幅方向における上記左右側壁5,5の間の所定位置に、上記カウルルーバ19が位置決めされる。よって、その分、上記カウルルーバ19の組み付け作業が容易にできる。
【0043】
なお、以上は図示の例によるが、上記カウルルーバ19の端部からの上記ブラケット20の延出方向は車体2の前、後方のいずれかであってもよい。また、上記支持部22は上記側壁5をプレス加工することにより、この側壁5に一体的に形成してもよい。また、上記連結ピン27は鉄製などの金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 車両
2 車体
5 側壁
6 フロントカウル
18 カウルルーバ装置
19 カウルルーバ
20 ブラケット
20a 延出端部
20b 屈曲部
22 支持部
22a 端縁部
24 軸心
25 貫通孔
26 貫通孔
27 連結ピン
30 空間
A 上方回動
F 衝撃力
図1
図2
図3
図4
図5