(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学シートにおける前記一方の面側の光学層と前記他方の面側の光学層との間の中間光学層となる中間光学シートを、前記第1エンボスシート及び前記第2エンボスシートの少なくとも一方の上に供給する中間供給部を更に備え、
前記積層部において、前記第1エンボスシートと前記第2エンボスシートとを前記中間光学シートを介して積層する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学シートの製造装置。
前記光学シートにおける前記一方の面側の光学層と前記他方の面側の光学層との間の中間光学層となる中間光学シートを、前記第1エンボスシート及び前記第2エンボスシートの少なくとも一方の上に供給する中間供給工程を更に備え、
前記積層工程において、前記第1エンボスシートと前記第2エンボスシートとを前記中間光学シートを介して積層する
ことを特徴とする請求項14または15に記載の光学シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る光学シートの製造装置、及び、光学シートの製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
[光学シート]
図1は、本実施形態において製造される光学シートの一例を示す図である。
【0035】
図1に示すように、本実施形態における光学シート10は、少なくとも2つの光学層を有する光学シートである。光学シート10は、一方の面側の光学層である第1光学層11と、他方の面側の光学層である第2光学層12と、第1光学層11と第2光学層12との間の光学層である中間光学層15とを備えており、第1光学層11と中間光学層15と第2光学層12とが積層されて一体とされている。
【0036】
第1光学層11、及び、第2光学層12は、光透過性の樹脂から構成されており、それぞれ一方の面にエンボス成型により形成される立体形状の光学素子11p,12pを多数有しており、他方の面が平坦状に形成されている。第1光学層に形成される光学素子11pと第2光学層12に形成される光学素子12pは、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。
図1においては、光学素子11pと光学素子12pとが、互いに異なる形状である例を示している。これら光学素子11p,12pの種類としては、特に限定されないが、例えば、光を拡散するためのプリズムや、レンチキュラーレンズを形成するためのプリズム、リニアプリズム、屈折型レンズ、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、クロスプリズム、フォログラム用プリズム等を挙げることができる。なお、図示はしないが、第1光学層11、及び、第2光学層12は、それぞれ
図1において光学素子11p,12pが形成されている側の面が、エンボス成型により平面状に形成されていても良い。
【0037】
なお、光透過性とは、光を透過すればよく、無色透明であっても良く、着色されていても良く、乳白色等であっても良い。また、第1光学層11、第2光学層12は、それぞれ全光線透過率が、JIS K7105に基づきA光源を用いて測定した際、30%以上となることが好ましく、80%以上となることがより好ましい。
【0038】
また、これら第1光学層11、第2光学層12は、互いに同じ種類の樹脂であっても、互いに異なる種類の樹脂であっても良い。第1光学層11、第2光学層12を構成する樹脂としては、光透過性の樹脂であれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、フッ素系樹脂、環状オレフイン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン系樹脂等、或いは、これらの組み合わせを挙げることができる。また、耐候性や透明性等の観点から、中でも、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びポリウレタン系樹脂が好ましい。
【0039】
中間光学層15は、第1中間光学層15aと、第2中間光学層15bと、第3中間光学層15cとを有しており、第1中間光学層15aの一方の面に第2中間光学層15bが積層されており、第1中間光学層15aの他方の面に第3中間光学層15cが一体に積層されている。
【0040】
第1中間光学層15aは、例えば機能層とされ、第1光学層11と第2光学層12とは異なる光学的性質を有している。例えば、第1中間光学層15aが、第1光学層11、第2光学層12に比べて屈折率が低い場合、第1中間光学層15aは、低屈折率層としての機能層とされる。或いは、第1中間光学層15aが、第1光学層11、第2光学層12に比べて光拡散性が高い場合、第1中間光学層15aは、光拡散層としての機能層とされる。
【0041】
第1中間光学層15aが、低屈折率層としての機能層である場合、第1中間光学層15aは、例えば低屈折率の樹脂からなる樹脂層とされ、当該樹脂層のガラス転移点は、第1光学層11(後述の第1エンボスシートA’)を構成する樹脂のガラス転移点及び第2光学層12(後述の第2エンボスシートB’)を構成する樹脂のガラス転移点より低いことが好ましい。この場合、第1中間光学層を構成する材料としては、フッ素系樹脂等を挙げることができる。また、第1中間光学層15aが、低屈折率層や光拡散層としての機能層である場合、第1中間光学層15aを構成する材料としては、樹脂中にこの樹脂とは屈折率の異なる微粒子が分散されたものや、微粒子の凝集体等を挙げることができ、具体的には、中空ガラス粒子や中空シリカナノ粒子といったセラミック粒子の微粒子が分散された樹脂や、気泡が分散された樹脂、中空ガラス粒子や中空シリカナノ粒子といったセラミック粒子の微粒子の凝集体を挙げることができる。上記のように第1中間光学層15aが、中空ガラス粒子や中空シリカナノ粒子といったセラミック粒子が分散された樹脂や、中空ガラス粒子や中空シリカナノ粒子といったセラミック粒子の凝集体から成る場合、第1中間光学層15aの体積のうち過半数を微粒子が占めることで、第1中間光学層15aは、微粒子が主成分の微粒子層とされる。なお、上記ではセラミック粒子として中空のセラミック粒子を挙げたが、セラミック粒子は中空でなくても良い。
【0042】
第2中間光学層15b及び第3中間光学層15cは、例えば、第1中間光学層15aを支えるための層であり、第1中間光学層15aが中空シリカナノ粒子の凝集体である場合、中空シリカナノ粒子を担持させるための層である。第2中間光学層15b及び第3中間光学層15cを構成する樹脂としては、光透過性の樹脂であれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、フッ素系樹脂、環状オレフイン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン系樹脂等、或いは、これらの組み合わせを挙げることができる。
【0043】
そして、第1光学層11のエンボス成型された面と、第2光学層12のエンボス成型された面とが互いに逆側を向き、更に、第1光学層11側に第2中間光学層15bが位置し、第2光学層12側に第3中間光学層15cが位置するようにして、第1光学層11と第2光学層12との間に中間光学層15が一体に積層されている。こうして光学シート10は、両面にエンボス成型された面を有し、内部に機能層を有する光学シートとされている。
【0044】
図2は、第1中間光学層15が機能層である場合の例を示す第1中間光学層15の拡大図である。
図2に示すように、中間光学層15は、多数の中空粒子60からなり、第1光学層11及び第2光学層12よりも屈折率が低く構成される。
【0045】
図3は、中空粒子60を拡大した図である。
図3に示すように中空粒子60は、シェル61を備え、シェル61によって、シェル61に囲まれた空間62が形成されている。シェル61は、第1光学層11と同様にして、光透過性の材料から構成されている。このような、シェル61の材料としては、第1光学層11と同様の樹脂や、シリカやガラス等の無機材料等を挙げることができ、中でもシリカが好ましい。このようにシェル61がシリカやガラス等から成る場合、微粒子はセラミック粒子といえる。このような中空粒子60としては、たとえば日本触媒株式会社製 商品名エポスター、シーホスターおよびソリオスター、日産化学工業株式会社製 商品名オプトビーズ、根上工業株式会社製 商品名アートパール、大日精化株式会社製 商品名ダイミックビーズ、ガンツ化成株式会社製 商品名ガンツパール、積水化成品工業株式会社製 商品名テクポリマー、ならびに綜研化学株式会社製 商品名ケミスノーを挙げることができる。また、中空粒子の中空粒子60としては、内部が中空になるようにシリカ微粒子が集合した微粒子集合体をシリカ層で被覆した中空粒子が、より好ましい。このような中空粒子としては、日鉄鉱業株式会社製のシリナックス(登録商標)、および日揮触媒化成株式会社製のスルーリア(登録商標)を挙げることができる。なお、中空粒子の形状は、特に限定されないが、球状であっても不定形状であっても良い。
【0046】
また、中空粒子60の平均粒子径としては、特に限定されないが、光学シート10に入射する光、すなわち、第1光学層11を伝播する光の波長よりも小さいことが好ましい。中空粒子60の平均粒子径が、第1光学層11を伝播する光の波長よりも小さいことにより、第1中間光学層15aにおける光の乱反射を抑制することができ、入射した光の意図しない光の出射を抑制することができる。さらに、中空粒子60の平均粒子径は、光学シート10に入射する光の1/2波長よりも小さいことがより好ましく、1/4よりも小さいことが更に好ましい。例えば、光学シート1に420nm〜800nmの光が入射する場合、中空粒子60の平均粒子径としては、5nm〜300nm、より好ましくは30〜120nmであればよい。この中空粒子60の平均粒子径を測定するには、動的光散乱法で測定すればよい。
【0047】
また、第1中間光学層15aの屈折率を低くする観点から、中空粒子60の平均空隙率は、より高いことが好ましいが、中空粒子60の強度を確保する観点から10%〜60%であること好ましい。
【0048】
図2に示すように、第1中間光学層15aにおいては、このような中空粒子60同士が、直接接触して、互いに結合している。つまり、第1中間光学層15aにおいては、中空粒子60同士を結合するための結着剤が、中空粒子60間に充填されていない。この結合は、中空粒子60の凝集力により生じると考えられ、特に、中空粒子がシリカから構成され、平均粒子径が、30nm〜120nmである場合に強く結合すると考えられる。このように、中空粒子60同士を結合するための結着剤が、中空粒子60間に充填されず、中空粒子60同士が、直接接触して互いに結合しているため、中空粒子60間には、空隙63が形成されている。そして、第1中間光学層15aは、中空粒子60内の空間62と中空粒子60同士の間に形成される空隙63により屈折率が下げられている。
【0049】
このような構成の第1中間光学層15aの屈折率は、第1光学層11の屈折率及び第2光学層12の屈折率より小さいことが好ましく、例えば、1.17〜1.37とされ、第1光学層11及び第2光学層12との比屈折率が、0.69〜0.92とされる。第1光学層11及び第2光学層12と、第1中間光学層15aとの比屈折率が、このような比屈折率であることにより、第1光学層11と第1中間光学層15aとの間において光を反射することができる。たとえば、第1光学層11及び第2光学層12が屈折率1.58のポリカーボネートで、第1中間光学層15aの屈折率が1.17〜1.37である場合、第1光学層11及び第2光学層12と第1中間光学層15aとの比屈折率は0.766〜0.867となる。
【0050】
図4は、第1中間光学層15aが機能層である場合の他の例を示す第1中間光学層15aの拡大図である。つまり本例で示す第1中間光学層15aは、
図4に示すように、
図3に示す多数の中空粒子60及び結合樹脂65から構成されている点において、
図2に示す第1中間光学層15aと異なる。
【0051】
図4に示すように、結合樹脂65は、中空粒子60の表面部位同士を結合する結合樹脂65Aと、第2中間光学層15b及び第3中間光学層15cと中空粒子60の表面部位同士を結合する結合樹脂65Bとから成る。なお、第3中間光学層15cと中空粒子60とが結合樹脂65Bにより結合されている様子を示す図は、
図4より容易に類推可能であるため省略する。
【0052】
これら結合樹脂65A,65Bによって中空粒子60同士の間に空隙63が形成されることになる。この空隙63の体積を大きくする観点では、中空粒子60の表面部位同士、第2中間光学層15bと中空粒子60の表面部位同士、第3中間光学層15cと中空粒子60の表面部位同士がそれぞれ互いに近接している位置関係にあることが好ましい。また、互いの中空粒子60それぞれが非接触となる状態、第2中間光学層15bと複数の中空粒子60それぞれとが非接触となる状態、第3中間光学層15cと複数の中空粒子60それぞれとが非接触となる状態にあることが好ましい。
【0053】
なお、結合樹脂65のガラス転移点は、第1光学層11(後述の第1エンボスシートA’)を構成する樹脂のガラス転移点及び第2光学層12(後述の第2エンボスシートB’)を構成する樹脂のガラス転移点より低いことが好ましい。このような結合樹脂65の材料は、光透過性を有するものとされ、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル樹脂、スチレン樹脂、シリコン樹脂およびシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アクリル樹脂、ビニルエーテル樹脂、およびシランカップリング剤が、屈折率が低いため好ましい。また、屈折率を低くする観点では、結合樹脂65の材料にフッ素を含んでいることが好ましい。たとえば、フッ素化アクリル樹脂、フッ素化ビニルエーテル樹脂が例示できる。
【0054】
結合樹脂65に用いられるシランカップリング剤は、特に限定されない。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤等があげられる。このようなシランカップリング剤は、信越シリコーン株式会社製 製品名KBEシリーズ、KBMシリーズが例示できる。
【0055】
さらに、中空粒子60の体積を(A)とし、中空粒子60同士の間に形成される空隙63の体積を(B)とし、結合樹脂65の体積を(C)とした場合の比率(A):(B):(C)が、50〜75:10〜49:1〜40であることが、低屈折率層が外力に対する耐性を確保でき、かつ中間光学層15の屈折率を低くすることができる観点から好ましい。
【0056】
中空粒子60同士の間に占める結合樹脂65の合計体積は、その中空粒子60同士の間の空隙63の体積を大きくする観点では、より小さいことが好ましい。中間光学層15が外力に対する耐性を確保し、かつ中間光学層15の屈折率を低くする観点では、比率(A):(B):(C)が55〜75:15〜44:1〜30であれば好ましく、60〜75:20〜39:1〜20であれば特に好ましい。
【0057】
このような多数の中空粒子60及び結合樹脂65から構成される第1中間光学層15aは、第1光学層11及び第2光学層12よりも低い屈折率とされる。例えば、中間光学層15の屈折率が、1.17〜1.37とされ、第1光学層11及び第2光学層12との比屈折率が、0.69〜0.92とされる。第1光学層11及び第2光学層12と、第1中間光学層15aとの比屈折率が、このような比屈折率であることにより、適切に第1光学層11と第1中間光学層15aとの間において光を反射することができる。たとえば、第1光学層11及び第2光学層12が屈折率1.58のポリカーボネートで、第1中間光学層15aの屈折率が1.17〜1.37である場合、第1光学層11及び第2光学層12と第1中間光学層15aとの比屈折率は0.741〜0.867となる。
【0058】
[製造装置]
次に
図1に示す光学シート10を製造するための製造装置について説明する。
【0059】
図5は、
図1に示す光学シート10を製造する製造装置1を示す図である。
図5に示すように製造装置1は、第1回転ロールR1と、第2回転ロールR2と、第1回転ロールR1及び第2回転ロールR2に掛けられる第1ベルト状型S1と、第1ベルト状型上に第1の樹脂シートAを押圧しながら供給する押圧ロールR6と、中間樹脂シートCを押圧しながら供給する押圧ロールR8と、第1回転ロールR1上に第1ベルト状型S1が掛けられている領域の一部において、第1ベルト状型S1に押圧される第2ベルト状型S2と、第2ベルト状型S2が掛けられる複数の第3〜第5回転ロールR3,R4,R5と、第2ベルト状型上に第2の樹脂シートBを押圧しながら供給する押圧ロールR7と、を主な構成として備える。
【0060】
第1回転ロールR1は、略円柱状の形状をしており、第1回転ロールの軸を中心として回転するように構成されている。また、第1回転ロールR1は、表面が加熱されるように構成されている。なお、第1回転ロールR1は、第1加熱ロールとする場合がある。この加熱の方法としては、例えば、第1回転ロールR1の内部から加熱する内部加熱法や、第1回転ロールR1の外部から加熱を行う外部加熱法が挙げられる。内部加熱法においては、第1回転ロールR1の内部において、誘電加熱方式や、熱媒体循環方式などにより発熱する図示しない発熱手段が設けられる。また、外部加熱法においては、第1ベルト状型S1が掛けられていない領域において、外部から第1回転ロールR1を加熱する。このような外部からの加熱には、熱風吹き付け装置、赤外ランプ加熱装置などの間接加熱手段を用いれば良い。さらに、上述の内部加熱方式で第1回転ロールR1を加熱するときに、この外部加熱方式を補助的に併用しても良い。
【0061】
第2回転ロールR2は、略円柱状の形状をしており、第2回転ロールR2の軸を中心として回転するように構成されている。そして、第2回転ロールR2は、表面が第1回転ロールR1の表面の速度と同じ周速となるように回転するよう構成されている。
【0062】
このような第1回転ロールR1、第2回転ロールR2には、上述のように第1ベルト状型S1が掛けられている。従って、第1回転ロールR1、第2回転ロールR2の回転に合わせて第1ベルト状型S1は、第1回転ロールR1、第2回転ロールR2の周りを所定の進行方向で回動する。
【0063】
さらに、第1ベルト状型S1が第1回転ロールR1に掛けられている領域において、第1ベルト状型S1は、第1回転ロールR1により加熱される。このときの第1ベルト状型S1の表面の温度は、後述のように第1ベルト状型S1上に供給される第1の樹脂シートAの流動開始温度以上とされる。この流動開始温度とは、第1の樹脂シートAが、ガラス転移点以上の温度に熱せられて軟化し、積層やエンボス成形が可能となる程度に流動する温度をいう。
【0064】
また、この第1ベルト状型S1の外周側の面には、光学シート10の第1光学層11に形成される光学素子11pの成形型が連続的に多数形成されている。この光学素子11pの成形型の集合体を第1ベルト状型S1の外周側の面に形成する方法は、まず、この成形型を形成するための母型を作成する。この母型の作製方法としては、例えば、フライカット法、ルーリング法、ダイアモンドターニング法などの手段によって、母型となる金属表面に複数の方向から溝を切削加工して光学素子の形状を形成する方法が挙げられる。こうして作成した、母型の光学素子の形状を第1ベルト状型S1に転写する。こうして第1ベルト状型S1の表面に光学素子11pの成形型が形成される。また、上述のように
図1において第1光学層11の光学素子11pが形成されている側の面が平面状に形成される場合、第1ベルト状型S1の外周側の面は平坦状に形成される。この場合、第1ベルト状型S1の外周側の面が鏡面研磨されれば良い。
【0065】
押圧ロールR6は、直径が第1回転ロールR1よりも小さい回転ロールとされる。なお、押圧ロールR6を第1押圧ロールとする場合がある。また、押圧ロールR6は、第1ベルト状型S1が第1回転ロールR1に掛けられて加熱されている領域において、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の第1光学層11の略厚さ分だけ離間して、第1ベルト状型S1の回動方向における上流側に設置されている。具体的には、押圧ロールR6は、光学シート10の第1光学層11となる第1の樹脂シートAが掛けられる場合、掛けられた第1の樹脂シートAを第1ベルト状型S1との間に挟んで第1ベルト状型S1上に供給可能なように設置されている。このため押圧ロールR6は、第1ベルト状型S1上に樹脂を供給する第1供給部とされる。さらに、押圧ロールR6の外周面は、第1回転ロールR1の外周面を加熱する方法と同様の方法により加熱されて、第1回転ロールR1の温度よりも高い温度とされている。また、押圧ロールR6は、第1ベルト状型S1の第1回転ロールR1による加熱と押圧ロールR6による加熱とにより軟化する第1の樹脂シートAを第1ベルト状型S1に押し付けて、第1の樹脂シートAをエンボスし、第1の樹脂シートAを第1エンボスシートA’として第1ベルト状型S1上に形成可能なように設置されている。このため押圧ロールR6は、第1ベルト状型S1上に供給された樹脂をエンボスする第1エンボス部ともされる。つまり、本実施形態においては、押圧ロールR6は、第1供給部と第1エンボス部とを兼ねている。
【0066】
押圧ロールR8は、押圧ロールR6程加熱されない点を除いては、押圧ロールR6と略同様の構成とされる。また、押圧ロールR8は、第1ベルト状型S1が第1回転ロールR1に掛けられている領域において、押圧ロールR6が設置されている位置よりも、第1ベルト状型S1の進行方向側の位置にて、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の第1光学層11及び中間光学層15の略厚さ分だけ離間して設置されている。具体的には、押圧ロールR8は、光学シート10の中間光学層15となる中間光学シートCが掛けられる場合、掛けられた中間光学シートCを第1ベルト状型S1上にエンボスされた第1エンボスシートA’との間に挟んで、第1エンボスシートA’上に供給可能なように設置されている。従って、押圧ロールR8は、中間光学シートCを第1エンボスシートA’上に供給する中間供給部とされる。
【0067】
また、押圧ロールR8の第1ベルト状型S1側と反対側において、押圧ロールR8から離間した位置には、工程ロールR9が設置されている。工程ロールR9は、中間光学シートCに工程シートDが貼着された状態で供給される場合に、押圧ロールR8との間にこのシートを挟み、工程シートDを剥離可能な構成とされる。
【0068】
第3,第4回転ロールR3,R4は、第1ベルト状型S1が回転ロールR1に掛けられている領域において、第1ベルト状型S1から離間して設置されており、第3回転ロールR3は、押圧ロールR8よりも第1ベルト状型S1の進行方向側の位置に設置され、第4回転ロールR4は、第3回転ロールR3よりも第1ベルト状型S1の更に進行方向側の位置に設置されている。また、第5回転ロールR5は、第1ベルト状型S1から離れた位置に設置されている。こうして、第3〜第5回転ロールR3,R4,R5は、三角形を描くように設置されている。
【0069】
上述のように第3〜第5回転ロールR3,R4,R5には、第2ベルト状型S2が掛けられている。そして、第2ベルト状型S2は、第3回転ロールR3と第4回転ロールR4との間において、第1ベルト状型S1の動きに沿って動くように、第3〜第5回転ロールR3,R4,R5の周りを回動する。なお、それぞれの回転ロールR3,R4,R5は、図示しない油圧シリンダーにより位置が調整できるように構成されており、第5回転ロールR5には、第2ベルト状型S2を引っ張るように力が加えられており、第2ベルト状型S2には張力が与えられている。
【0070】
また、第2ベルト状型S2と第1ベルト状型S1とが接近する場所に設置されている第3回転ロールR3の外周面は、第1回転ロールR1の外周面を加熱する方法と同様の方法により加熱されている。従って、第2ベルト状型S2が第3回転ロールR3に掛けられている領域において、第2ベルト状型S2の表面は加熱される。なお、第3回転ロールR3の表面の温度は、第1回転ロールR1の温度よりも高い温度とされて、後述のように第2ベルト状型S2上に供給される第2の樹脂シートBの流動開始温度以上とされる。つまり、第2ベルト状型S2の表面の温度は、第2の樹脂シートBが、ガラス転移点以上の温度に熱せられて軟化し、エンボス成形が可能となる程度に流動する温度以上とされ、第2の樹脂シートBが分解しない温度の範囲内とされる。なお、第3回転ロールR3は、第2加熱ロールとする場合がある。
【0071】
このように第2ベルト状型S2の一部は、加熱されながら、加熱された第1ベルト状型S1に沿って回動するため、第1ベルト状型S1上、及び、第2ベルト状型S2上のそれぞれに樹脂シートが配置される場合は、これらの樹脂シートは、第1ベルト状型S1及び第2ベルト状型S2から熱を受け、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とにより挟まれて積層される。つまり、第1ベルト状型S1が第1回転ロールR1に掛けられている領域の一部と、第2ベルト状型S2が第1ベルト状型S1に沿って回動している領域の少なくとも一部とにより、積層部が構成されている。
【0072】
また、第2ベルト状型S2が第1ベルト状型S1から乖離する場所に設置されている第4回転ロールR4は、表面が冷却されるように構成されている。この冷却の方法としては、例えば、第4回転ロールR4の内部から冷却する内部冷却方式が挙げられる。第4回転ロールR4の内部を冷却する冷却手段としては、第4回転ロールR4の内部に水や冷却オイル等の冷媒を循環させて冷却する循環式の冷却手段が挙げられる。従って、第1回転ロールR1や第3回転ロールR3からの熱により軟化して、第1ベルト状型S1及び第2ベルト状型S2に挟まれて移動する樹脂は、第4回転ロールR4により、少なくとも一部が冷却されて硬化する。従って、第4回転ロールR4、及び、第2ベルト状型S2の第4回転ロールR4に掛けられている領域の一部は硬化部とされる。
【0073】
このような第3〜第5回転ロールR3,R4,R5に掛けられる第2ベルト状型S2の外周側の面には、光学シート10の第2光学層12に形成される光学素子12pの成形型が連続的に多数形成されている。この光学素子12pの成形型の集合体を第2ベルト状型S2の一方の表面上に形成する方法は、第1ベルト状型の外周側の面に成型型を形成する方法と同様に行えばよい。また、上述のように
図1において第2光学層12の光学素子12pが形成されている側の面が平面状に形成される場合、第2ベルト状型S2の外周側の面は平坦状に形成される。この場合、第1ベルト状型S1の外周側の面が平坦状に形成される場合と同様にして、第2ベルト状型S2の外周側の面を平坦状にすれば良い。
【0074】
押圧ロールR7は、押圧ロールR6と略同様の構成とされ、回転ロールR3よりも高い温度に加熱されている。なお、押圧ロールR7を第2押圧ロールとする場合がある。また、押圧ロールR7は、第2ベルト状型S2が第3回転ロールR3に掛けられて加熱されている領域において、第2ベルト状型S2の外周面から光学シート10の第2光学層12の略厚さ分だけ離間して設置されている。具体的には、押圧ロールR7は、光学シート10の第2光学層12となる第2の樹脂シートBが掛けられる場合、掛けられた第2の樹脂シートBを第2ベルト状型S2との間に挟んで第2ベルト状型S2上に供給可能なように設置されている。このため押圧ロールR7は、第2ベルト状型S2上に樹脂を供給する第2供給部とされる。さらに、押圧ロールR7は、第2ベルト状型S2の第3回転ロールR3による加熱と押圧ロールR7による加熱とにより軟化する第2の樹脂シートBを第2ベルト状型S2に押し付けて、第2の樹脂シートBをエンボスし、第2の樹脂シートBを第2エンボスシートB’として第2ベルト状型S2上に形成可能なように設置されている。このため押圧ロールR7は、第2ベルト状型S2上に供給された樹脂をエンボスする第2エンボス部ともされる。つまり、本実施形態においては、押圧ロールR7は、第2供給部と第2エンボス部とを兼ねている。
【0075】
また、第2ベルト状型S2が第1ベルト状型S1から乖離する場所から第1ベルト状型S1の進行方向に移動した場所において、剥離部としての一組の剥離ロールR10,R11が、第1ベルト状型S1を挟むように設置されている。具体的には、剥離ロールR10は、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の厚さ分だけ離間して設置され、剥離ロールR11は、第1ベルト状型S1の内周面に接触するように設置されている。
【0076】
[製造方法]
次に、このような光学シートの製造装置1による光学シートの製造方法について説明する。
【0077】
図6は、
図1に示す光学シートの製造方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態における光学シートの製造方法は、装置動作工程P1と、樹脂供給工程P2と、エンボス工程P3と、中間供給工程P4と、積層工程P5と、硬化工程P6と、第1剥離工程P7と、第2剥離工程P8と、を主な工程として備える。
【0078】
<装置動作工程P1>
まず、
図5に示す第1、第2回転ロールR1、R2を回転させる。この第1、第2回転ロールR1、R2の回転により、第1ベルト状型S1が第1回転ロールR1、及び、第2回転ロールR2の周囲を回動する。なお、第1ベルト状型S1の回動する速度は、製造する光学シート10を構成する各光学層の厚さや樹脂の種類等により適宜調整されるため、特に制限されるものではないが、1〜30m/minであることが好ましく、2〜20m/minであることがより好ましい。
【0079】
このとき第1回転ロールR1は、上述した加熱の方法により表面が加熱される。こうして第1回転ロールR1の表面を加熱することにより、第1ベルト状型S1における第1回転ロールR1に掛けられている領域が加熱される。
【0080】
また、第3〜第5回転ロールを回転させて、第2ベルト状型S2を回動させる。このとき第3回転ロールR3、及び、第4回転ロールR4の間において、第2ベルト状型S2が、第1ベルト状型S1の回動に合わせて回動するようにする。
【0081】
さらに第3回転ロールR3は、上述した加熱の方法により表面が加熱される。こうして第3回転ロールR3の表面を加熱することにより、第2ベルト状型S2における第3回転ロールR3に掛けられている領域が加熱される。またさらに、第2ベルト状型S2が第1ベルト状型S1から乖離する場所に設けられる第4回転ロールR4が冷却される。従って、第2ベルト状型S2は、第4回転ロールR4に掛けられている領域が冷却される。
【0082】
このように第2ベルト状型S2は、加熱された状態で第1ベルト状型S1に近接して、第1ベルト状型S1に沿って移動し、冷却された状態で第1ベルト状型S1から乖離する。
【0083】
また、押圧ロールR6が、第1回転ロールR1よりも高い温度に加熱されると共に、押圧ロールR7が、第2回転ロールR3よりも高い温度に加熱される。
【0084】
<樹脂供給工程P2>
装置動作工程P1により第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが回動すると、図示しないリールから送り出されて、加熱された押圧ロールR6に掛けられた第1の樹脂シートAが、押圧ロールR6と第1ベルト状型S1との間に挟まれて、第1ベルト状型S1上に供給される。なお、本実施形態においては、上述のように押圧ロールR6は、第1ベルト状型S1が加熱されている領域において、第1ベルト状型S1に近接して設置されているため、第1の樹脂シートAは、第1ベルト状型S1の加熱された領域に直接供給される。このとき第1の樹脂シートAは、押圧ロールR6により押圧されて第1ベルト状型S1上に供給されるため、第1の樹脂シートAにしわが生じたり、気泡などが混入したりすることが抑制されている。
【0085】
また、図示しないリールから送り出されて、加熱された押圧ロールR7に掛けられた第2の樹脂シートBが、押圧ロールR7と第2ベルト状型S2との間に挟まれて、第2ベルト状型S2上に供給される。なお、本実施形態においては、上述のように押圧ロールR7は、第2ベルト状型S2が加熱されている領域において、第2ベルト状型S2に近接して設置されているため、第2の樹脂シートBは、第2ベルト状型S2の加熱された領域に直接供給される。このとき第2の樹脂シートBは、押圧ロールR7により押圧されて第2ベルト状型S2上に供給されるため、第2の樹脂シートBにしわが生じたり、気泡などが混入したりすることが抑制されている。
【0086】
こうして、周方向に回動する第1ベルト状型S1上、及び、周方向に回動する第2ベルト状型S2上のそれぞれに樹脂が供給される。
【0087】
<エンボス工程P3>
押圧ロールR6により加熱されて第1ベルト状型S1上に供給された第1の樹脂シートAは、供給された直後に第1ベルト状型S1の熱によっても加熱され、第1の樹脂シートAの流動開始温度以上に加熱されて軟化する。そして、軟化した第1の樹脂シートAは、押圧ロールR6からの押圧力により、第1ベルト状型S1上にエンボスされる。なお、押圧ロールR6の押圧力は、第1の樹脂シートAを構成する樹脂の種類または粘度や、第1ベルト状型S1の形状等に依存するのであり、適宜設定する。このようにして第1ベルト状型S1上にエンボスされた第1の樹脂シートAは、第1エンボスシートA’として、第1ベルト状型S1の回動により移動する。
【0088】
また、押圧ロールR7により加熱されて第2ベルト状型S2上に供給された第2の樹脂シートBは、供給された直後に第2ベルト状型S2の熱によっても加熱され、第2の樹脂シートBの流動開始温度以上に加熱されて軟化する。軟化した第2の樹脂シートBの粘度は、例えば、第1ベルト状型S1上で軟化した第1の樹脂シートAの粘度と同様とされる。そして、軟化した第2の樹脂シートBは、押圧ロールR7からの押圧力により、第2ベルト状型S2上にエンボスされる。なお、押圧ロールR2の押圧力は、第2の樹脂シートBを構成する樹脂の種類や、第2ベルト状型S2の形状等に依存するのであり、特に限定されるものではないが、例えば、押圧ロールR6の押圧力と同様とされる。このようにして第2ベルト状型S2上にエンボスされた第2の樹脂シートBは、第2エンボスシートB’として、第2ベルト状型S2の回動により移動する。
【0089】
なお、本実施形態においては、第1の樹脂シートAは、第1ベルト状型S1上に供給されると共にエンボスされ、第2の樹脂シートBは、第2ベルト状型S2上に供給されると共にエンボスされる。つまり本実施形態では、樹脂供給工程P2とエンボス工程P3とが同時に行われている。
【0090】
<中間供給工程P4>
本実施形態における中間光学シートCは、
図1に示す光学シート10の中間光学層15となるシートである。具体的には、例えば、上述のような中空シリカナノ粒子の凝集体からなる機能層としての第1中間光学層15aの両方の面に、中空シリカナノ粒子の担持層としての第2中間光学層15bと第3中間光学層15cとがそれぞれ一体に積層されてなるシートである。このような中間光学シートCは、第2中間光学層15b上に工程シートDが貼着された状態で、図示しないリールに巻回されている。そして、このリールから中間光学シートCと工程シートDとが、工程ロールR9に掛けられて送り出される。そして、供給された中間光学シートC及び工程シートDの内、中間光学シートCのみが押圧ロールR8に掛けられて、工程シートDは、中間光学シートから剥離されて、さらに工程ロールR9上から回収される。このとき、中間光学シートCは、第3中間光学層15c側の面が押圧ロールR8側を向いて、押圧ロールR8に掛けられる。押圧ロールR8に掛けられた中間光学シートCは、押圧ロールR8と第1ベルト状型S1と共に移動している第1エンボスシートA’との間に挟まれて、第1エンボスシートA’上に供給される。このとき接着層としての第2中間光学層15bが第1エンボスシートA’側を向くため、中間光学シートCは、第1エンボスシートA’に貼着され、第1エンボスシートA’上でずれることが防止される。そして、第1ベルト状型S1上の第1エンボスシートA’及び第1エンボスシート上の中間光学シートCは、第1ベルト状型S1の回動によりさらに移動する。
【0091】
<積層工程P5>
移動した第1エンボスしシートA’及び中間光学シートCの積層体と、第2エンボスしシートB’とは、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2との接近に伴い、互いに接近して、その後、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2により挟まれて、互いに圧着される。そして、第1ベルト状型S1、及び、第2ベルト状型S2からの熱により、中間光学層Cと第2エンボスシートB’とが積層される。こうして、第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’は、中間光学シートCを介して一体に積層される。このとき第1エンボスシートA’と第2エンボスシートB’とにかけられる圧力は、第1エンボス部において第1ベルト状型S1上の樹脂にかけられる圧力、及び、第2エンボス部において第2ベルト状型S2上の樹脂にかけられる圧力よりも小さいことが好ましい。なお、第1加熱ロールとしての第1回転ロールR1の温度が第1押圧ロールとしての押圧ロールR6よりも低く、第2加熱ロールとしての第3回転ロールR3の温度が第2押圧ロールとしての押圧ロールR7よりも低いため、この時点において、第1エンボスシートA’,第2エンボスシートB’の温度は、エンボスされる時の樹脂の温度よりも低くされるが、少なくとも第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’は、軟化したままの状態であって硬化していない。また、この積層工程における、中間光学シートを構成する樹脂の粘度は、150000PaS以下であることが好ましい。
【0092】
<硬化工程P6>
第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2に挟まれ、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2の回動によりさらに移動する。そして第2ベルト状型S2の第3回転ロールR3と第4回転ロールR4との間の領域において、第2ベルト状型S2の温度が下がり始め、この第2ベルト状型S2の温度の低下に伴い、徐々に第2エンボスシートB’側の温度が下がり始め、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、第2エンボスシートB’側から硬化し始める。さらに積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’が移動して、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが乖離する場所に近づくと、上述のように第2ベルト状型S2の第4回転ロールR4に掛けられている領域が、第4回転ロールR4により冷却されているため、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、第2エンボスシートB’側から冷却され更に硬化する。
【0093】
<第1剥離工程P7>
そして、第2ベルト状型S2は、押圧ロールR5に巻きつく様に方向を変えて第1ベルト状型S1から乖離する。このとき積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、第1ベルト状型S1の表面に密着しており、第2ベルト状型S2から剥離される。このとき硬化部としての第4回転ロールR4等により、第2エンボスシートB’の少なくとも表面側は硬化している。従って、第2エンボスシートB’は、第2ベルト状型S2から適切に剥離される。そして、さらに移動すると、第1ベルト状型S1が回転ロールR1から離れ、これに伴い第1ベルト状型S1の温度が下がる。第1ベルト状型S1の温度が下がると、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、第1エンボスシートA’側からも冷却され、第1エンボスシートA’側からも更に硬化する。このように硬化工程P6は、積層工程P5後において、第1剥離工程P7の前後において継続的に行われる。また、上記のように第4回転ロールを硬化部としたが、第3回転ロールR3と第4回転ロールR4との間における第2ベルト状型S2や、第1回転ロールR1と乖離した後の第1ベルト状型S1も、硬化部と捉えることができる。
【0094】
<第2剥離工程P8>
次に、第1ベルト状型S1の回動に伴い移動する積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、剥離ロールR10とベルト状型S1を介した剥離ロールR11により挟まれる。そして、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、剥離ロールR10に巻きつくようにして、向きを変え第1ベルト状型S1から剥離される。このとき硬化部としての第1回転ロールR1から乖離した後の第1ベルト状型S1により、第1エンボスシートA’の少なくとも表面側は硬化している。従って、第1エンボスシートA’は、第1ベルト状型S1から適切に剥離される。こうして第1エンボスシートAが第1光学層11とされ、第2エンボスシートBが第2光学層12とされ、中間光学シートCが中間光学層15とされた光学シート10を得る。そして、光学シート10は、図示しないリールに巻きとられる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の光学シート10の製造装置1及び製造方法によれば、第1ベルト状型S1上に供給された第1の樹脂シートA、及び、第2ベルト状型上に供給された第2樹脂シートBをそれぞれエンボスして、第1エンボスシートA’上に中間光学シートCを供給した後に、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2によって、第1エンボスシートA’と中間光学シートCと第2エンボスシートB’とを挟み込んで積層する。このように第1、第2エンボスシートA’,B’の表面の形状がエンボスされた後に、第1エンボスシートA’と中間光学シートCと第2エンボスシートB’とが積層されるため、それぞれのエンボスシートA’,B’のエンボスに必要なエネルギーの供給と、第1エンボスシートA’と中間光学シートCと第2エンボスシートB’との積層に必要なエネルギーの供給とを分散することができる。また、エンボス工程を行った後に積層工程を行うため、エンボスと積層とを同時に行う場合よりも、エンボスを行う際における樹脂の全体の層厚を小さくすることができる。このためエンボス時に樹脂内にガスが発生する場合であっても、本実施形態の光学シートの製造装置、製造方法によれば、エンボスと積層とを同時に行う場合よりも、当該ガスが逃げやすくなる。従って、それぞれのエンボスシートA’,B’のエンボスとそれぞれのエンボスシートA’,B’の積層とを同時に行う場合と比べて、生産される光学シート10の表面の歪みを抑制することができる。
【0096】
また、生産性向上のため光学シート10を高速で製造する場合においても、第1、第2エンボスシートA’,B’に加えるエネルギーの分散により、それぞれのエンボスシートA’,B’の表面の歪みを抑制することができるので、光学シート10の生産性を向上することができる。
【0097】
更に、それぞれのエンボスシートA’,B’は、エンボスから積層まで、それぞれのベルト状型S1,S2から離れないため、エンボスされたそれぞれのエンボスシート表面の形状が積層時に歪むことを防止することができる。
【0098】
なお、本実施形態において、押圧ロールR6,R7,R8は、加熱されてもされなくても良いが、第1回転ロールR1や第3回転ロールR3より低い温度に加熱されることが好ましい。さらに、剥離ロールR10,R11は、冷却されることが、より適切に光学シート10を第1ベルト状型S1から剥離する観点から好ましい。
【0099】
また、本実施形態においては、押圧ロールR6が第1供給部と第1エンボス部とを兼ねる構成としたが、第1供給部と第1エンボス部とが別々に設けられても良い。この場合、例えば、第1ベルト状型S1が第2回転ロールR2に掛けられている領域において、押圧ロールR6と同様の構成の供給ロールを第1ベルト状型S1に近接させて新たに設置し、第1の樹脂シートAが、この新たに設置された供給ロールと第1ベルト状型S1とによって挟み込まれて、第1ベルト状型S1上に供給されても良い。この場合、新たに設置された供給ロールが第1供給部となる。そして、第1ベルト状型S1の回動により、第1の樹脂シートAは、押圧ロールR6まで移動して、押圧ロールR6により第1ベルト状型S1に押しつけられてエンボスされる。この場合、押圧ロールR6は、第1エンボス部となる。
【0100】
同様に、本実施形態においては、押圧ロールR7が第2供給部と第2エンボス部とを兼ねる構成としたが、第2供給部と第2エンボス部とが別々に設けられても良い。この場合、例えば、第2ベルト状型S2が第5回転ロールR5に掛けられている領域において、押圧ロールR7と同様の構成の供給ロールを第2ベルト状型S2に近接させて新たに設置し、第2の樹脂シートBが、この新たに設置された供給ロールと第2ベルト状型S2とによって挟み込まれて、第2ベルト状型S2上に供給されても良い。この場合、新たに設置された供給ロールが第2供給部となる。そして、第2ベルト状型S2の回動により、第2の樹脂シートBは、押圧ロールR7まで移動して、押圧ロールR7により第2ベルト状型S2に押しつけられてエンボスされる。この場合、押圧ロールR7は、第2エンボス部となる。
【0101】
また、上記実施形態において、第1回転ロールR1から剥離ロールR11,R10に至るまでに、第1ベルト状型S1上の積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’を冷却する冷却部が設けられていても良い。この場合、この冷却部は、少なくとも第1エンボスシートA’を硬化させるため、硬化部とされる。このような硬化部を設けることにより、より適切に第1エンボスシートA’を第1ベルト状型S1から剥離することができる。
【0102】
また、第1回転ロールR1に熱分布を持たせても良い。具体的には、積層部としての第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが互いに沿って回動している領域における第1回転ロールR1の温度が、第1エンボス部としての押圧ロールR6の近傍における第1回転ロールR1の温度よりも低くなるようにしても良い。同様に第3回転ロールR3に熱分布を持たせても良い。具体的には、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが互いに沿って回動している領域における第3回転ロールR3の温度が、第2エンボス部としての押圧ロールR7の近傍における第2回転ロールR2の温度よりも低くなるようにしても良い。このようにすることにより、第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’の積層時における温度が、エンボス時における温度よりも低くなる。従って、エンボスされた第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’の表面の歪みをより抑制することができる。従って、より表面の歪みが抑制された光学シート10を製造することができる。
【0103】
また、第1ベルト状型S1上、第2ベルト状型S2上に供給される樹脂シートは予め熱しておいても良く、その場合、供給される前の樹脂シートを予熱する手段を有していればよい。
【0104】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図7を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態において製造される光学シートは、第1実施形態において製造される光学シート10と同様の光学シートである。従って、光学シートについての説明は、省略する。
【0105】
[製造装置]
図7は、本発明の第2実施形態に係る光学シートの製造装置2を示す図である。
図7に示すように製造装置2は、左側第1回転ロールL1と、左側第2回転ロールL2と、左側第1回転ロールL1及び左側第2回転ロールL2に掛けられる第1ベルト状型S1と、第1ベルト状型S1が左側第1回転ロールL1に掛けられている領域において第1ベルト状型S1上に第1の樹脂Aを押圧しながら供給する第1押出しダイスD1と、第1ベルト状型S1上に中間樹脂シートCを押圧しながら供給する押圧ロールL3と、右側第1回転ロールR1と、右側第2回転ロールR2と、右側第1回転ロールR1及び右側第2回転ロールR2に掛けられる第2ベルト状型S2と、第2ベルト状型S2が左側第1回転ロールR1に掛けられている領域において第2ベルト状型S2上に第2の樹脂Bを押圧しながら供給する第2押出しダイスD2と、を主な構成として備える。
【0106】
左側第1回転ロールL1、及び、左側第2回転ロールL2は、第1実施形態の第1回転ロールR1と同様の構成とされ、左側第1回転ロールL1、及び、左側第2回転ロールL2は、共に加熱されている。ただし、左側第2回転ロールL2の温度と、左側第1回転ロールL1の温度は、第1ベルト状型S1上に供給される樹脂の種類等により適宜定められるため、互いに同じである必要はない。
【0107】
左側第1回転ロールL1と左側第2回転ロールL2に掛けられるベルト状型S1は、第1実施形態のベルト状型S1と同様の構成とされ、左側第1回転ロールL1及び左側第2回転ロールL2の回転により、左側第1回転ロールL1と左側第2回転ロールL2の周りを回動する。
【0108】
第1押出しダイスD1は、軟化した状態の第1の樹脂Aを押し出す構成とされる。第1押出しダイスD1は、第1ベルト状型S1が、左側第1回転ロールL1に掛けられている領域において、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の第1光学層11の略厚さ分だけ離間して、押し出される第1の樹脂Aを第1ベルト状型S1上に供給する位置に設置される。つまり、第1押出しダイスD1は、第1ベルト状型S1上に樹脂を供給する第1供給部とされる。第1押出しダイスD1としては、一軸型押出し成形機に取り付けたコートハンガータイプ押出しダイスが挙げられる。また、押し出される第1の樹脂Aの特性に応じて、真空ベント、ギアポンプ供給装置などを併用することもできる。また、第1押出しダイスD1は、強い圧力で軟化した状態の第1の樹脂Aを押出すことにより、第1の樹脂Aを第1ベルト状型S1上にキャストしてエンボスし、第1エンボスシートA’とすることができるよう構成されている。このため、第1押出しダイスD1は、第1ベルト状型S1上に供給された樹脂をエンボスする第1エンボス部ともされる。つまり、本実施形態においては、第1押出しダイスD1は、第1供給部と第1エンボス部とを兼ねている。なお、第1押出しダイスD1と第1ベルト状型S1との間隔を0.05〜1mm程度に接近させることが、キャストされる第1の樹脂Aにシワや泡の混入を防止する観点から好ましい。
【0109】
押圧ロールL3は、第1実施形態の押圧ロールR8と同様の構成とされる。また、押圧ロールL3は、第1ベルト状型S1が左側第2回転ロールL2に掛けられている領域における第1ベルト状型S1の回動方向の上流側にて、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の第1光学層11及び中間光学層15の略厚さ分だけ離間して設置されている。具体的には、押圧ロールL3は、光学シート10の中間光学層15となる中間光学シートCが掛けられる場合、掛けられた中間光学シートCを第1ベルト状型S1上にエンボスされた第1エンボスシートA’との間に挟んで、第1エンボスシートA’上に供給可能なように設置されている。従って、押圧ロールR8は、中間光学シートCを第1エンボスシートA’上に供給する中間供給部とされる。
【0110】
また、押圧ロールL3の第1ベルト状型S1側と反対側において、押圧ロールL3から離間した位置には、工程ロールL4が設置されている。工程ロールL4は、中間光学シートCに工程シートDが貼着された状態で供給される場合に、押圧ロールL3との間にこのシートを挟み、工程シートDを剥離可能な構成とされる。
【0111】
右側第1回転ロールR1は、左側第1回転ロールL1と逆回転すること以外は、左側第1回転ロールL1と同様の構成とされる。また、右側第2回転ロールR2は、左側第2回転ロールL2と逆回転すること以外は、左側第2回転ロールL2と同様の構成とされる。
【0112】
また、右側第1回転ロールR1及び右側第2回転ロールR2に掛けられる第2ベルト状型S2は、外周面側に光学シート10の第2光学層12に形成される光学素子12pの成形型が連続的に多数形成されていること以外は、第1ベルト状型S1と同様に構成されている。そして、第2ベルト状型S2は、右側第1回転ロールR1及び右側第2回転ロールR2の回転により、右側第1回転ロールR1と右側第2回転ロールR2の周りを回動する。
【0113】
第2押出しダイスD2は、第1押出しダイスD1と同様とされ、軟化した状態の第2の樹脂Bを押し出す構成とされる。第2押出しダイスD2は、第2ベルト状型S2が、右側回転ロールR1に掛けられている領域において、第2ベルト状型S2の外周面から光学シート10の第2光学層12の略厚さ分だけ離間して、押し出される第2の樹脂Bを第2ベルト状型S2上に供給する位置に設置される。つまり、第2押出しダイスD2は、第2ベルト状型S2上に樹脂を供給する第2供給部とされる。また、第2押出しダイスD2は、強い圧力で軟化した状態の第2の樹脂Bを押出すことにより、第2の樹脂Bを第2ベルト状型S2上にキャストしてエンボスし、第2エンボスシートB’とすることができるよう構成されている。このため、第2押出しダイスD2は、第2ベルト状型S2上に供給された樹脂をエンボスする第2エンボス部ともされる。つまり、本実施形態においては、第2押出しダイスD2は、第2供給部と第2エンボス部とを兼ねている。なお、第2押出しダイスD2と第2ベルト状型S2との間隔を0.05〜1mm程度に接近させることが、キャストされる第1の樹脂Aにシワや泡の混入を防止する観点から好ましい。
【0114】
なお、本実施形態においては、
図7に示すように、左側第1回転ロールL1と、左側第2回転ロールL2と、第1ベルト状型S1と、第1押出しダイスD1とから成る系と、右側第2回転ロールR1と、右側第2回転ロールR2と、第2ベルト状型S2と、第2押出しダイスD2とから成る系とが、略左右対称の構成とされる。また、第1ベルト状型S1における左側第2回転ロールL2に掛けられた領域と、第2ベルト状型S2における右側第2回転ロールR2に掛けられた領域とが、略光学シート10の厚さ分だけ離間して互いに対向している。そして、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とは、互いに逆の方向に回動するため、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが最も近づく部分において、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2は、同じ方向に進む。
【0115】
上述のように左側第2回転ロールL2及び右側第2回転ロールR2は、加熱されているため、第1回転ベルトS1上、及び、第2ベルト状型S2上のそれぞれに樹脂シートが配置される場合は、これらの樹脂シートは、第1ベルト状型S1及び第2ベルト状型S2から熱を受け、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが最も近づく部分において、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とにより挟まれて積層される。つまり、第1ベルト状型S1が左側第2回転ロールL2に掛けられている領域の一部と、第2ベルト状型S2が右側第2回転ロールR2に掛けられている領域の一部とにより、積層部が構成されている。
【0116】
また、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが対向する部分から、更に第1ベルト状型S1の進行方向に移動した場所において、第1ベルト状型S1上の樹脂を冷却する冷却部51,52が設置されている。冷却部51は、第1ベルト状型S1の内周側に設置され、冷却部52は、第1ベルト状型S2の外周側に設置される。冷却部51,52により冷却される第1ベルト状型S1上の樹脂が硬化するため、冷却部51,52は、硬化部とされる。
【0117】
また、冷却部51,52から更に第1ベルト状型S1の進行方向に移動した場所において、剥離部としての一組の剥離ロールL5,L6が、第1ベルト状型S1を挟むように設置されている。具体的には、剥離ロールl5は、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の厚さ分だけ離間して設置され、剥離ロールL6は、第1ベルト状型S1の内周面に接触するように設置されている。
【0118】
[製造方法]
次に、このような光学シートの製造装置2による光学シートの製造方法について説明する。
【0119】
本実施形態の光学シートの製造装置2により光学シート10の製造方法では、第1剥離工程P7が硬化工程P6よりも先に行われる点において、第1実施形態の光学シートの製造方法と異なる。
【0120】
<装置動作工程P1>
まず、
図7に示す左側第1回転ロールL1、左側第2回転ロールL2、右側第1回転ロールR1、右側第2回転ロールR2を回転させる。これらの回転ロールの回転により、第1ベルト状型S1が左側第1回転ロールL1、及び、左側第2回転ロールL2の周囲を回動すると共に、第2ベルト状型S2が右側第1回転ロールR1、及び、右側第2回転ロールR2の周囲を回動する。なお、上述のように第1ベルト状型S1、及び、第2ベルト状型S2の回動の方向は互いに逆向きであり、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが最も近づく部分において、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とは、互いに同じ方向に進む。また、それぞれのベルト状型が回動する速度は、製造する光学シート10を構成する各光学層の厚さや樹脂の種類等により適宜調整されるため、特に制限されるものではないが、1〜30m/minであることが好ましく、2〜20m/minであることがより好ましい。
【0121】
このとき左側第1回転ロールL1、左側第2回転ロールL2、右側第1回転ロールR1、右側第2回転ロールR2は、それぞれ加熱されるので、第1ベルト状型S1が左側第1回転ロールL1、及び、左側第2回転ロールL2に掛けられている領域は加熱され、さらに、第2ベルト状型S2が、右側第1回転ロールR1、及び、右側第2回転ロールR2に掛けられている領域は加熱される。尚、本実施形態では、左側第2回転ロールL2は、左側第1回転ロールL1より低い温度で加熱されることが好ましい。また、右側第2回転ロールR2は、右側第1回転ロールR1より低い温度で加熱されることが好ましい。
【0122】
<樹脂供給工程P2>
装置動作工程P1により第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが回動すると、第1押出しダイスD1から軟化した第1の樹脂Aが、第1ベルト状型S1上に供給されると共に、第2押出しダイスD2から軟化した第2の樹脂Bが、第2ベルト状型S2上に供給される。なお、本実施形態においては、第1ベルト状型S1における第1の樹脂Aが供給される場所、及び、第2ベルト状型S2における第2の樹脂Bが供給される場所は、上述のように加熱されているため、第1の樹脂A、第2の樹脂Bは、それぞれ加熱された場所に直接供給される。なお、供給される第1の樹脂A及び第2の樹脂Bの粘度は、50〜10000PaS、好ましくは300〜3000PaSとされることが好ましい。
【0123】
<エンボス工程P3>
第1ベルト状型S1上に供給された第1の樹脂Aは、供給された直後に第1押出しダイスD1からの押圧力により、第1ベルト状型S1上にエンボスされ、第2ベルト状型S2上に供給された第2の樹脂Bは、供給された直後に第2押出しダイスD2からの押圧力により、第2ベルト状型S2上にエンボスされる。なお、第1、第2押出しダイスD1,D2の押圧力は、第1の樹脂A、第2の樹脂Bを構成する樹脂の種類または粘度や、第1ベルト状型S1、第2ベルト状型S2の形状等に依存するのであり、適宜設定される。このようにして第1ベルト状型S1上にエンボスされた第1の樹脂Aは、第1エンボスシートA’として、第1ベルト状型S1の回動により移動し、第2ベルト状型S2上にエンボスされた第2の樹脂Bは、第2エンボスシートB’として、第2ベルト状型S2の回動により移動する。
【0124】
なお、本実施形態においては、第1の樹脂Aは、第1ベルト状型S1上に供給されると共にエンボスされ、第2の樹脂Bは、第2ベルト状型S2上に供給されると共にエンボスされる。つまり本実施形態では、樹脂供給工程P2とエンボス工程P3とが同時に行われている。
【0125】
<中間供給工程P4>
本実施形態における中間光学シートCは、第1実施形態の中間光学シートCと同様とされ、第1実施形態における中間光学シートCと同様にして図示しないリールに巻回されている。そして、本実施形態における中間光学シートCは、第1の中間光学シートCが工程ロールR9に掛けられて送り出されるのと同様にして、工程ロールL4に掛けられて送り出される。そして、供給された中間光学シートC及び工程シートDの内、中間光学シートCのみが押圧ロールL3に掛けられて、工程シートDは、中間光学シートCから剥離されて、さらに工程ロールL4から回収される。また、中間光学シートCは、第3中間光学層15c側の面が押圧ロールL3側を向いて、押圧ロールL3に掛けられる。押圧ロールL3に掛けられた中間光学シートCは、押圧ロールL3と第1ベルト状型S1と共に移動している第1エンボスシートA’との間に挟まれて、第1エンボスシートA’上に供給される。このとき接着層としての第2中間光学層15bが第1エンボスシートA’側を向いているため、中間光学シートCは、第1エンボスシートA’に貼着して、第1エンボスシートA’上でずれることが防止される。そして、第1実施形態と同様にして、第1ベルト状型S1上の第1エンボスシートA’及び第1エンボスシート上の中間光学シートCは、第1ベルト状型S1の回動によりさらに移動する。
【0126】
<積層工程P5>
移動した第1エンボスしシートA’及び中間光学シートCの積層体と、第2エンボスしシートB’とは、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2との接近に伴い接近して、その後、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2により挟まれて、互いに圧着される。そして、第1ベルト状型S1、及び、第2ベルト状型S2からの熱により、中間光学層Cと第2エンボスシートB’とが一体に積層される。こうして、第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’は、中間光学シートCを介して一体に積層される。このとき上述のように、左側第2回転ロールL2が、左側第1回転ロールL1より低い温度で加熱され、右側第2回転ロールR2が、右側第1回転ロールR1より低い温度で加熱される場合においては、第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’の積層時における温度が、エンボス時における温度よりも低くなる。従って、エンボスされた第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’の表面の歪みをより抑制することができる。また第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’の表面の歪みをより抑制する観点から、第1エンボスシートA’と第2エンボスシートB’とにかけられる圧力は、第1エンボス部において第1ベルト状型S1上の樹脂にかけられる圧力、及び、第2エンボス部において第2ベルト状型S2上の樹脂にかけられる圧力よりも小さいことが好ましい。このようにしてより表面の歪みが抑制された光学シート10を製造することができる。
【0127】
<第1剥離工程P7>
第1エンボスシートA’及び中間エンボスシートC及び第2エンボスシートB’が積層された直後、第2ベルト状型S2は、第1ベルト状型S1から乖離し、第2エンボスシートB’は、第2ベルト状型S2から剥離する。なお、第2ベルト状型S2から第2エンボスシートB’が剥離するように、右側第2回転ロールR2の温度は、左側第2回転ロールL2の温度よりも低くされ、第1ベルト状型S1と第2ベルト状型S2とが対向している部分において、第2ベルト状型S2が第1ベルト状型S1の温度よりも低くされていることが好ましい。
【0128】
<硬化工程P5>
第2ベルト状型S2から第2エンボスシートB’が剥離すると、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、徐々に第2エンボスシートB’側の温度が下がり始め、第2エンボスシートB’側から硬化し始める。そして、第1ベルト状型S1がさらに移動すると、第1ベルト状型S1は回転ロールR1から離れ、これに伴い第1ベルト状型S1の温度が下がる。第1ベルト状型S1の温度が下がると、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、第1エンボスシートA’側からも冷却され、第1エンボスシートA’側からも更に硬化する。さらに、第1ベルト状型S1が冷却部51,52の間を通過する際に、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、より一層と冷却され、更に硬化する。なお、本実施形態においては、少なくとも第1回転ロールR1から乖離した後の第1ベルト状型S1を硬化部と捉えることができる。
【0129】
<第2剥離工程P8>
次に、第1ベルト状型S1の回動に伴い移動する積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、剥離ロールL5とベルト状型S1を介した剥離ロールL6により挟まれる。そして、積層された第1エンボスシートA’、中間光学シートC、第2エンボスシートB’は、剥離ロールL5に巻きつくようにして、向きを変え第1ベルト状型S1から剥離される。こうして第1エンボスシートAが第1光学層11とされ、第2エンボスシートBが第2光学層12とされ、中間光学シートCが中間光学層15とされた光学シート10を得る。そして、光学シート10は、図示しないリールに巻きとられる。
【0130】
以上説明したように、本実施形態の光学シート10の製造装置1及び製造方法によれば、第1、第2の樹脂A,Bが軟化した状態で供給されると共にエンボスされるので、第1、第2押出しダイスD1,D2が供給する第1、第2の樹脂A,Bの温度をコントロールすることにより、最適な状態で第1、第2の樹脂A,Bをエンボスすることができる。
【0131】
また、第1、第2押出しダイスD1,D2が、第1、第2の樹脂A,Bを軟化した状態で供給するため、第1実施形態のように樹脂が軟化せずに供給される場合と比べて、左側第1回転ロールL1及び右側第1回転ロールR1の設定温度を下げることができ、第1、第2ベルト状型S1,S2の耐久性を向上させることができる。また、第1、第2の樹脂A,Bが軟化した状態で供給されるため、加工速度を上げることができ、より生産性を上げること上げることができる。
【0132】
なお、本実施形態において、押圧ロールL3は、加熱されてもされなくても良いが、左側第2回転ロールL2より低い温度に加熱されることが好ましい。さらに、剥離ロールR10,R11は、冷却されることが、より適切に光学シート10を第1ベルト状型S1から剥離する観点から好ましい。
【0133】
また、本実施形態においては、第1押出しダイスD1が第1供給部と第1エンボス部とを兼ねる構成としたが、第1供給部と第1エンボス部とが別々に設けられても良い。この場合、例えば、第1押出しダイスD1の押圧力を弱くして、第1ベルト状型S1が左側第1回転ロールL1に掛けられている領域における第1押出しダイスD1よりも下流側において、第1ベルト状型S1に近接して、第1実施形態の押圧ロールR6と同様の構成の押圧ロールを新たに設置する。そして、第1ベルト状型S1上に供給された第1の樹脂Aが、この新たに設置された押圧ロールと第1ベルト状型とによって挟み込まれて、第1ベルト状型上にエンボスされるようにすれば良い。この場合、第1押出しダイスD1が第1供給部となり、新たに設置された押圧ロールが第1エンボス部となる。
【0134】
同様に、第2押出しダイスD2が第2供給部と第2エンボス部とを兼ねる構成としたが、第2供給部と第2エンボス部とが別々に設けられても良い。この場合、例えば、第2押出しダイスD2の押圧力を弱くして、第2ベルト状型S2が右側第1回転ロールR1に掛けられている部分における第2押出しダイスD2よりも下流側において、第2ベルト状型S2に近接して、第1実施形態の押圧ロールR7と同様の構成の押圧ロールを新たに設置する。そして、第2ベルト状型S2上に供給された第2の樹脂Bが、この新たに設置された押圧ロールと第2ベルト状型とによって挟み込まれて、第2ベルト状型上にエンボスされるようにすれば良い。この場合、第2押出しダイスD2が第2供給部となり、新たに設置された供給ロールが第2エンボス部となる。
【0135】
また、上記実施形態においては、第1押出しダイスD1と第2押出しダイスD2の代わりに、コーターヘッド等の溶液キャスト装置を設けることもできる。この場合において、第1ベルト状型S1上や第2ベルト状型S2上に供給される樹脂は、樹脂溶液や樹脂分散溶液であれば良い。また、この場合、供給された樹脂は、エンボスする前又は積層する前に、乾燥や紫外線硬化等により、シート状になる程度に増粘すれば良い。
【0136】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図8を参照して詳細に説明する。なお、第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。なお、本実施形態においても、製造される光学シートは、第1実施形態において製造される
図1に示す光学シート10と同様の光学シートである。
【0137】
[製造装置]
図8は、本発明の第3実施形態に係る光学シートの製造装置を示す図である。
図8に示すように、本実施形態の光学シートの製造装置3は、第2実施形態の第1押出しダイスD1の代わりに第1実施形態の押圧ロールR6と同様の押圧ロールL7が、第1押出しダイスD1の設置位置と略同じ位置に設置され、第2実施形態の第2押出しダイスD2の代わりに押圧ロールL7と同様の押圧ロールR3が、第2押出しダイスD2の設置位置と略同じ位置に設置される点において、第2実施形態の光学シートの製造装置2と異なる。
【0138】
押圧ロールL7は、第1実施形態における押圧ロールR6と略同様の構成とされ、第1ベルト状型S1が左側第1回転ロールL1に掛けられて加熱されている領域において、第1ベルト状型S1の外周面から光学シート10の第1光学層11の略厚さ分だけ離間して設置されている。具体的には、押圧ロールL7は、光学シート10の第1光学層11となる第1の樹脂シートAが掛けられる場合、掛けられた第1の樹脂シートAを第1ベルト状型S1との間に挟んで第1ベルト状型S1上に供給可能なように設置されている。このため押圧ロールL7は、第1ベルト状型S1上に樹脂を供給する第1供給部とされる。さらに、押圧ロールL7は、加熱されており、第1ベルト状型S1の左側第1回転ロールL1による加熱及び押圧ロールL7の加熱により軟化する第1の樹脂シートAを第1ベルト状型S1に押し付けて、第1の樹脂シートAをエンボスし、第1の樹脂シートAを第1エンボスシートA’として第1ベルト状型S1上に形成可能なように設置されている。このため押圧ロールL7は、第1ベルト状型S1上に供給された樹脂をエンボスする第1エンボス部ともされる。つまり、本実施形態においては、押圧ロールL7は、第1供給部と第1エンボス部とを兼ねている。
【0139】
また、押圧ロールR3’は、押圧ロールL7と略同様の構成とされ、第2ベルト状型S2が右側第1回転ロールR1に掛けられて加熱されている領域において、第2ベルト状型S2の外周面から光学シート10の第2光学層12の略厚さ分だけ離間して設置されている。具体的には、押圧ロールR3’は、光学シート10の第2光学層12となる第2の樹脂シートBが掛けられる場合、掛けられた第2の樹脂シートBを第2ベルト状型S2との間に挟んで第2ベルト状型S2上に供給可能なように設置されている。このため押圧ロールR3’は、第2ベルト状型S2上に樹脂を供給する第2供給部とされる。さらに、押圧ロールR3’は、加熱されており、第2ベルト状型S2の右側第1回転ロールR1による加熱及び押圧ロールR3’の加熱により軟化する第2の樹脂シートBを第2ベルト状型S2に押し付けて、第2の樹脂シートBをエンボスし、第2の樹脂シートBを第2エンボスシートB’として第2ベルト状型S2上に形成可能なように設置されている。このため押圧ロールR3’は、第2ベルト状型S2上に供給された樹脂をエンボスする第2エンボス部ともされる。つまり、本実施形態においては、押圧ロールR3’は、第2供給部と第2エンボス部とを兼ねている。
【0140】
[製造方法]
本実施形態の光学シートの製造装置3により光学シート10の製造方法では、樹脂供給工程において、シート状の樹脂を第1ベルト状型S1上及び第2ベルト状型S2上に供給する点において、第2実施形態の光学シートの製造方法と異なる。
【0141】
まず、第2実施形態と同様にして装置動作工程P1を行い、第1ベルト状型S1及び第2ベルト状型S2を、それぞれの一部を加熱しつつ回動する。
【0142】
次に樹脂供給工程P2を行う。本実施形態の本工程においては、図示しないリールから送り出されて、押圧ロールL7に掛けられた第1の樹脂シートAが、加熱されながら押圧ロールL7と第1ベルト状型S1との間に挟まれて、第1ベルト状型S1上に供給される。なお、本実施形態においては、第1の樹脂シートAは、第1ベルト状型S1の加熱された部分に直接供給される。
【0143】
また、図示しないリールから送り出されて、押圧ロールR3’に掛けられた第2の樹脂シートBが、加熱されながら押圧ロールR3’と第2ベルト状型S2との間に挟まれて、第2ベルト状型S2上に供給される。なお、本実施形態においては、第2の樹脂シートBは、第2ベルト状型S2の加熱された部分に直接供給される。
【0144】
なお、第1、第2の樹脂シートA,Bは、押圧ロールL7,R3’により押圧されて第1、第2ベルト状型S1,S2上に供給されるため、第1、第2の樹脂シートA,Bにしわが生じたり、気泡などが混入したりすることが抑制されている。
【0145】
こうして、周方向に回動する第1ベルト状型S1上、及び、周方向に回動する第2ベルト状型S2上のそれぞれに樹脂が供給される。
【0146】
次にエンボス工程を行う。第1ベルト状型S1上に供給された第1の樹脂シートAは、供給された直後に第1ベルト状型S1の熱により、第1の樹脂シートAの流動開始温度以上に加熱されて軟化する。軟化した第1の樹脂シートAの粘度は、第1実施形態において軟化する第1の樹脂シートAの粘度と同様であれば良い。そして、軟化した第1の樹脂シートAは、押圧ロールL7からの押圧力により、第1ベルト状型S1上にエンボスされる。なお、押圧ロールL7の押圧力は、第1実施形態の押圧ロールR6の押圧力と同様であれば良い。このようにして第1ベルト状型S1上にエンボスされた第1の樹脂シートAは、第1エンボスシートA’として、第1ベルト状型S1の回動により移動する。
【0147】
なお、本実施形態においては、第1の樹脂シートAは、第1ベルト状型S1上に供給されると共にエンボスされ、第2の樹脂シートBは、第2ベルト状型S2上に供給されると共にエンボスされる。つまり本実施形態では、樹脂供給工程P2とエンボス工程P3とが同時に行われている。
【0148】
また、第2ベルト状型S2上に供給された第2の樹脂シートBは、供給された直後に第2ベルト状型S2の熱により、第2の樹脂シートBの流動開始温度以上に加熱されて軟化する。軟化した第2の樹脂シートBの粘度は、第1実施形態において軟化する第2の樹脂シートBの粘度と同様であれば良い。そして、軟化した第2の樹脂シートBは、押圧ロールR3’からの押圧力により、第2ベルト状型S2上にエンボスされる。なお、押圧ロールR3’の押圧力は、第1実施形態の押圧ロールR7の押圧力と同様であれば良い。このようにして第2ベルト状型S2上にエンボスされた第2の樹脂シートBは、第2エンボスシートB’として、第2ベルト状型S2の回動により移動する。
【0149】
そして、第2実施形態と同様にして、中間供給工程P4〜第2剥離工程P8を行い光学シート10を得る。
【0150】
以上、本発明について、第1〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0151】
例えば、
図1に示す光学シート10の中間光学層15の少なくとも一方の面が常温において接着性を有していても良い。この場合、
図1に示す光学シート10の第2中間光学層15b及び第3中間光学層15cの少なくとも一方が、常温において接着性を有する材料からなれば良い。中間光学層15の一方の面のみが常温において接着性を有する場合、中間光学シートCの接着性を有する面に工程シートDが貼着されて、上記実施形態と同様にこの工程シートDが剥離されれば良い。また、中間光学層15の両面が常温において接着性を有する場合、それぞれの実施形態において、両面に工程シートが貼着された中間光学シートが供給され、第1エンボスシートA’に接着される接着層に貼着されている工程シートが剥離されて、それぞれの実施形態の中間光学シートCの供給と同様にして、第1エンボスシートA’上に中間光学シートが供給され、その後、他方の工程シートが剥離されれば良い。この場合、中間光学シートと第2エンボスシートB’とが、接着層により接着されるので、熱圧着による積層を必要としない。従って、例えば、第2、第3実施形態において、左側第2回転ロールL2や右側第2回転ロールR2が、加熱されなくともよい。
【0152】
また、光学シート10の中間光学層15における第2中間光学層15b及び第3中間光学層15cの少なくとも一方が省略されても良い。
【0153】
また、上記実施形態においては、中間光学シートCが第1エンボスシートA’上に供給されるものとしたが、本発明はこれに限らず、中間光学シートCは、第2エンボスシートB’上に供給されても良く、第1エンボスシートA’及び第2エンボスシートB’が積層される際、直接、第1エンボスシートA’と第2エンボスシートB’との間に供給されても良い。
【0154】
また、上記実施形態においては、
図1に示す中間光学層15を有する光学シート10を製造するものとした。しかし、本発明は、これに限らず、中間光学層15を有さず、第1光学層11と第2光学層12とが直接積層された光学シートを製造する場合にも用いることができる。この場合において、光学シートの製造装置の中間供給部が不要となり、また、光学装置の製造方法の中間供給工程が不要となる。従って、第1実施形態における押圧ロールR8や工程ロールR9が不要となり、第2、第3実施形態の押圧ロールL3や工程ロールL4が不要となる。
【0155】
或いは、本発明は、中間光学層15を複数有する光学シートを製造する場合にも用いることができる。この場合においては、光学シートの製造装置の中間供給部が複数設置され、また、光学装置の製造方法の中間供給工程が複数回行われれば良い。
【0156】
また、上記実施形態においては、第1ベルト状型S1上、第2ベルト状型S2上に供給される樹脂は、熱可塑性の樹脂であり、加熱により軟化した樹脂を第1ベルト状型、第2ベルト状型にエンボスした。そして、第1エンボスシートA’と第2エンボスシートB’を積層したものを冷却して、硬化させた。しかし、本発明はこれに限らず、第1ベルト状型S1上、第2ベルト状型S2上に供給される樹脂は、紫外線硬化性樹脂等の他の樹脂であっても良く、その場合、供給された樹脂に紫外線を照射して硬化させるような手段を有していればよい。