(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の凹部が、一側面側に開放された開放部を有する状態で並列配置されていると共に、当該一対の凹部の夫々において、前記電源線接続口が、当該凹部内における同方向側に偏倚して配置されている請求項3に記載の情報通信ユニット。
前記一対の凹部の夫々において、前記電源線接続口における前記電源線の接続を解除する解除操作部が、前記凹部の内面に近接配置されている請求項1〜4の何れか1項に記載の情報通信ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような背面部側に電源線が接続された情報通信ユニットの埋設設置工事においては、この背面部側に接続されている電源線がコンセントボックスなどのような設置面の後方側に存在する障害物に干渉することがある。そして、このような電源線の干渉が起こると、当該電源線が比較的硬質なため、工事が煩雑になったり、ケーシングや設置面側の部品等が干渉した電源線が押し付けられることで損傷するという問題が生じる。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、設置面に埋設状態で設置可能に構成されたケーシングを備えると共に、当該ケーシングの背面部側に、商用電力を供給する一対の電源線が着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口を備えた情報通信ユニットにおいて、設置面への埋設設置工事の際に、背面部側に接続された電源線と設置面の後方側に存在する障害物との干渉を抑制して、当該干渉に起因する埋設設置工事の煩雑化やケーシング等の損傷を防止することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報通信ユニットの第1特徴構成は、
設置面に埋設状態で設置可能に構成されたケーシングを備えると共に、
当該ケーシングの背面部側に、商用電力を供給する
一の電源ケーブルを構成する一対の電源線が着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口を備えた情報通信ユニットであって、
前記ケーシングの背面部の外周縁に、当該ケーシングの背面部側及び周側面部側に開放された開放部を有する一対の凹部が
、間に隔壁部を介在させて当該隔壁部の幅に相当する一定の間隔を隔てた状態で夫々独立して形成されていると共に、
前記一対の電源線接続口
の一方が、前記
一対の凹部の
一方に当該凹部の開放部に向けて露出開口する姿勢
で配置され
、前記一対の電源線接続口の他方が、前記一対の凹部の他方に当該凹部の開放部に向けて露出開口する姿勢で配置されている点にある。
【0009】
本特徴構成を有する情報通信ユニットによれば、一対の凹部が夫々独立して形成されているので、それら凹部の間に介在する隔壁部の端部が、ケーシングの背面部及び周側面部に対して略面一となる位置まで延出したものとなる。すると、情報通信ユニットの埋設設置工事において、背面部側の電源線接続口に差し込み接続された電源線が、設置面の後方側にある障害物に当接する場合でも、当該電源線がその当接により自動的に姿勢を変更しながら凹部の内面に沿って好適に案内されて、電源線と障害物との干渉が好適に抑制された状態となる。従って、このような電源線と障害物との干渉に起因する埋設設置工事の煩雑化を抑制すると共に、情報通信ユニット側のケーシングや設置面側の障害物となる部品の損傷を防止することができる。
【0010】
特に、設置面に埋設された状態のケーシングの後方側に障害物が存在する場合には、ケーシングの背面部側の電源線接続口に差し込み接続された電源線は、その後方側の障害物に当接することで自動的に姿勢を変更しながら、隔壁部を含む凹部の内面に沿って好適に案内される。すると、この電源線は、ケーシングの背面部と後方側の障害物との隙間に噛み込むことなく好適に、凹部の周側面部側の開放部を通過する姿勢となる。このことで、電源線と後方側の障害物との干渉を好適に抑制することができる。
【0011】
本発明に係る情報通信ユニットの第2特徴構成は、前記電源線接続口が、前記凹部の背面部側の開放部に向けて露出開口する点にある。
【0012】
本特徴構成を有する情報通信ユニットによれば、情報通信ユニットを設置面に形成された取付け口に挿入するユニット挿入時よりも前の段階において、凹部の背面部側の開放部に向けて露出開口する電源線接続口に差し込み接続された電源線は、自然状態で、凹部の背面部側の開放部を通過する姿勢となる。よって、ユニット挿入時には、このように電源線が凹部の背面部側の開放部を通過する姿勢に維持されることで、この電源線と側方側にある取付け口の縁部との干渉を抑制することができる。
【0013】
本発明に係る情報通信ユニットの第3特徴構成は、前記凹部において、前記電源線接続口が、当該凹部内における一方側に偏倚して配置されている点にある。
【0014】
本特徴構成を有する情報通信ユニットによれば、凹部内において、一方側に偏倚して配置された電源線接続口に差し込み接続された電源線を、比較的余裕のある他方側に撓ませることができる。これにより、凹部の開放部から外方へ延出する電源線の姿勢を、ケーシングの外面にできるだけ近接させて沿わせたものとすることができ、その外面に近接対向する障害物が存在している場合でも、その障害物との間の隙間において電源線を無理がない姿勢で這わせることができる。
【0015】
本発明に係る情報通信ユニットの第4特徴構成は、前記一対の凹部が、一側面側に開放された開放部を有する状態で並列配置されていると共に、当該一対の凹部の夫々において、前記電源線接続口が、当該凹部内における同方向側に偏倚して配置されている点にある。
【0016】
本特徴構成を有する情報通信ユニットによれば、一側面部側に開放された開放部を有する状態で並列配置された一対の凹部の夫々において、夫々の電源線接続口が当該凹部内における同方向側に偏倚して配置されているので、夫々の開放部から外方へ延出する一対の電源線を、互いに略平行な姿勢とすることができる。よって、ケーシングの外面に近接対向する障害物が存在している場合でも、その障害物との間の隙間において一対の電源線を無理がない略同じ姿勢で這わせることができる。
【0017】
本発明に係る情報通信ユニットの第5特徴構成は、前記一対の凹部の夫々において、前記電源線接続口における前記電源線の接続を解除する解除操作部が、前記凹部の内面に近接配置されている点にある。
【0018】
本特徴構成を有する情報通信ユニットによれば、操作具で解除操作部を操作するにあたり、凹部に挿入した操作具を内面に添わせる状態でその動作を好適にガイドして、解除操作部の操作を簡単且つ確実に行うことができる。更に、この場合には、凹部において、電源線接続口を、凹部内において解除操作部が近接配置された内面側とは反対側に偏倚して配置することができる。これにより、上述した第3特徴構成を有する情報通信ユニットと同様に、凹部の開放部から外方へ延出する電源線を、ケーシングの外面にできるだけ近接させて沿わせた姿勢として、その外面に近接対向する障害物が存在している場合でも、その障害物との間の隙間において電源線を無理がない姿勢で這わせることができる。
【0019】
本発明に係る情報通信ユニットの第6特徴構成は、前記一対の凹部が、一側面側に開放された開放部を有する状態で並列配置され、
前記一対の凹部の間に介在する隔壁部が、前記一対の凹部の夫々に面する一対の内壁と、前記ケーシングの背面部及び周側面部に沿う状態で
前記一対の内壁の間に亘らせて設けられた支持壁とからなる点にある。
【0020】
本特徴構成を有する情報通信ユニットによれば、一対の凹部の間に介在する隔壁部が、一対の凹部の夫々に面する一対の内壁に加えて、ケーシングの背面部及び周側面部に沿う状態でこれら両内壁間に亘らせて設けられた支持壁を備えて構成されているので、当該隔壁部を、一定の幅を有する上に高剛性に構成することができる。よって、一対の凹部が上記隔壁部の幅に相当する一定の間隔を隔てて配置されることになるので、それら一対の凹部において電源線接続口に差し込み接続された一対の電源線の干渉を抑制することができる。更に、これら一対の電源線が、凹部の内面に沿って案内されて姿勢を変更する際に、隔壁部に対してその比較的硬質の電源線が比較的強力に押し当てられた場合でも、その隔壁部の損傷を抑制することができる。
【0021】
本発明に係る情報コンセントは、上記第1〜第6特徴構成の何れかを有する情報通信ユニットを埋込状態で設置した情報コンセントであって、
その特徴構成は、前記電源線が、電源コンセントが着脱自在に接続され当該接続された電源コンセントに商用電力を供給する電源コンセント用ユニットから前記情報通信ユニットに延設されていると共に、
前記情報通信ユニットと前記
電源コンセント用ユニットとが設置面に埋設状態で並設され、
前記情報通信ユニットにおいて、前記一対の凹部が、前記ケーシングの背面部の前記電源コンセント用ユニット側の外周縁に夫々形成されている点にある。
【0022】
本特徴構成を有する情報コンセントによれば、上述の本発明に係る情報通信ユニットの第1〜第6特徴構成と同様に、設置面への情報通信ユニットの埋設設置工事の際に、背面部側に接続された電源線と設置面側の障害物との干渉を抑制して、当該干渉に起因する埋設設置工事の煩雑化を抑制すると共に、当該干渉に起因する情報通信ユニット側のケーシングや設置面側の障害物となる部品の損傷を防止することができる。
【0023】
更に、情報通信ユニットのケーシングの背面部において、一対の凹部が、当該情報通信ユニットと共に情報コンセントの設置面に埋設状態で並設された電源コンセント用ユニット側の縁部に夫々形成されているので、当該電源コンセント用ユニットから当該情報通信ユニットへ延設される電源線をできるだけ短くすることができる上に、その姿勢を無理のないものに維持することができる。
【0024】
本発明に係る情報コンセントの更なる特徴構成は、前記情報通信ユニットと前記電源コンセント用ユニットとの間に区画壁が介在されていると共に、
前記電源線が、前記電源コンセント用ユニットから、前記区画壁の一端部である迂回端部の外側を迂回して、前記情報通信ユニットに案内され、
前記情報通信ユニットにおいて、前記一対の凹部が、前記区画壁に対向する側の周側面部側に開放された開放部を有する状態で並列配置されていると共に、当該一対の凹部の夫々において、前記電源線接続口が、当該凹部内における前記区画壁の迂回端部側とは反対側に偏倚して配置されている点にある。
【0025】
本特徴構成を有する情報コンセントによれば、上述の情報通信ユニットの第3又は第4特徴構成と同様に、情報通信ユニットの一対の凹部の開放部から外方へ延出する一対の電源線を、ケーシングの外面にできるだけ近接させて沿わせた姿勢とすることができる上に、区画壁の迂回端部側に向けて互いに略平行な姿勢とすることができる。よって、情報通信ユニットと区画壁との間の隙間において一対の電源線を無理がない略同じ姿勢で区画壁の迂回端部まで這わせることができ、当該迂回端部の外側を迂回させた電源線を好適に電源コンセント用ユニットに接続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る情報通信ユニットの実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び
図3に示すように、コンセント1は、壁Wに貫通形成された矩形状(長方形状)の開口Waの後方側に設置したコンセントボックス2と、壁Wの前方側に配置されたコンセント1の外表面を覆うコンセントカバー3とを、それらの間において壁Wの前面部に当接する金属製の取付枠5を介して固定することにより構成されている。
【0028】
このコンセント1には、
図1に示すように、本発明の情報通信ユニットU1を含めて2つのユニットが装備されている。
つまり、コンセント1の右方側には、有線LAN用のモジュラージャックが挿入される有線LAN用モジュラーアダプタ用の接続口15、及び、電話回線用のモジュラージャックが挿入される電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口14を前面部11側(即ち室内側)に備えた本発明の情報通信ユニットU1が設けられている。また、前面視(
図1参照)においてコンセント1の左方側(背面視(
図3参照)においてコンセント1の右方側)には、上下に2つの電源コンセント差込口を備えた電源コンセント用ユニットU2が設けられている。
【0029】
コンセントボックス2には、
図2及び
図3に示すように、情報通信ユニットU1側の空間と電源コンセント用ユニットU2側の空間とを区画する区画壁2aが設けられている。更に、このコンセントボックス2の上下には、上記区画壁2aで区画された夫々の空間に対して、壁Wの後方側の空間に配線された電源ケーブル61,63、通信線の一例であるWAN側の通信ケーブル22や電話ケーブル25などを引き込むための挿入口2b,2cが形成されている。
【0030】
具体的に、情報通信ユニットU1側の空間では、
図3に示すように、上側に形成された上側挿入口2bを介して、通信ケーブル22や電話ケーブル25が引き込まれ、下側に形成された下側挿入口2cを介して、商用電力を情報通信ユニットU1に供給するための一対の電源線61a,61bからなる電源ケーブル61が引き込まれる。そして、詳細については後述するが、これら引き込まれたケーブル22,25,61が情報通信ユニットU1に接続される。
【0031】
一方、電源コンセント用ユニットU2側の空間では、
図3に示すように、上側に形成された上側挿入口2bを介して、商用電力を電源コンセント用ユニットU2に供給するための一対の電源線63a,63bからなる電源ケーブル63が引き込まれ、下側に形成された下側挿入口2cを介して、商用電力を情報通信ユニットU1に供給するための一対の電源線61a,61bからなる電源ケーブル61が引き込まれる。
【0032】
更に、電源コンセント用ユニットU2の背面部には、電源線を着脱自在に差し込み接続可能な一対の電源線接続口62a,62bからなる電源ケーブル接続部62と、同じく電源線を着脱自在に差し込み接続可能な一対の電源線接続口60a,60bからなる電源ケーブル接続部60とが、上下に配置されており、これらは前面部に設けられた電源コンセント差込口(
図1参照)に夫々が電気的に導通している。更に、夫々の電源ケーブル接続部60,62との間において、電源線接続口60aと電源線接続口62aとが電気的に導通し、電源線接続口60bと電源線接続口62bとが電気的に導通している。
【0033】
そして、上側挿入口2bを介して引き込まれた電源ケーブル63が、電源コンセント用ユニットU2の背面部の上側に設けられた電源ケーブル接続部62に接続され、一方、下側挿入口2cを介して引き込まれた電源ケーブル61が、電源コンセント用ユニットU2の背面部の下側に設けられた電源ケーブル接続部60に接続される。
即ち、電源ケーブル61は、電源コンセント用ユニットU2から、コンセントボックス2の区画壁2aの下端部である迂回端部2aaの外側を迂回して、情報通信ユニットU1に案内されることになり、この電源ケーブル63を介して、電源コンセント用ユニットU2に供給された商用電力が、電源ケーブル61を介して情報通信ユニットU1に供給されることになる。
【0034】
コンセントカバー3には、各ユニットU1,U2に対応した形状の取付け口4が左右に並んで互いに隣接して形成されており、各取付け口4を通して各ユニットU1,U2の前面部分が外部である室内に露出する形態で取付けられている。よって、このコンセントカバー3の前面部が、各ユニットU1,U2が埋設状態で設置される設置面Fに相当する。
【0035】
コンセント1は、情報通信ユニットU1に加えて、その情報通信ユニットU1とは異なる機器ユニットとして、電源コンセント用ユニットU2が互いに隣接して設置面Fに埋設状態で設置された情報コンセントとして構成されている。尚、これらユニットU1,U2以外に、テレビアンテナ用の同軸ケーブルを接続する同軸ケーブル接続用ユニットやその他の機器ユニットを設置しても構わず、また、このような情報通信ユニットU1以外の機器ユニットを配置することなく、情報通信ユニットU1のみを単独で設置しても構わない。
【0036】
以下、情報通信ユニットU1の構成について説明する。
情報通信ユニットU1は、
図2及び
図3等に示すように、コンセントカバー3の前面部に相当する設置面Fに埋設状態で設置可能に構成されたケーシング10を備えると共に、当該ケーシング10の背面部18側には、商用電力を供給する一対の電源線61a,61bが着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口52a,52bが設けられている。このように埋込側の情報通信ユニットU1において、ケーシング10の背面部18側に電源線接続口52a,52bが設けられているので、接続された電源線61a,61bは設置面Fの後方側に収納されて室内側には露出しなくなって、室内側からの美観が向上されている。
【0037】
ケーシング10は、設置面Fに対して直交する前後方向(壁Wの表裏方向)から互いに脱着自在に嵌合する前側分割ケーシング10Aと後側分割ケーシング10Bとで二分割された合成樹脂製のケーシングである。尚、ケーシング10の内部には、詳細な説明は割愛するが、各種アダプタやコネクタ以外に、無線LAN用アンテナ、コンバータ、各種回路基板などが実装されている。
【0038】
前側分割ケーシング10Aは、
図2及び
図10等に示すように、前方側に面する前面部11と、その前面部11の外周縁側から後方側に延出する周側面部12とを有する。更に、周側面部12の後方側には、側方側に延出して設置面Fの後方側(具体的にはコンセントカバー3の後方側)に設けられた取付枠5に固定されるフランジ部13が形成されている。そして、このフランジ部13が取付枠5に固定された状態では、取付け口4に挿入された周側面部12の前方側の一部が、設置面Fよりも前方側(室内側)に膨出する状態となる。
【0039】
前側分割ケーシング10Aの周側面部12は、上方側に面する天面部12tと、下方側に面する底面部12bと、両側方側に面する両側面部12sとからなる。そして、電源スイッチ40の操作部であるスライド式の電源操作部40aが、前側分割ケーシング10Aの底面部12bに配置されている。
【0040】
図4及び
図10等に示すように、前面部11は、コンセントカバー3の前面部に沿って上下方向に延びる略長方形の帯状に形成されており、詳しくは、前方側への突出代が最も少ない偏平な上側前面部11aと、これの下端から前方下方側に向かって延びる傾斜姿勢の中間傾斜前面部11bと、これの下端から下方に延びる最も突出代の大きな偏平な下側前面部11cとからなる。
【0041】
この前面部11の上側前面部11aには、電話回線用モジュラープラグが脱着自在に接続される電話回線用モジュラーアダプタの接続口14が設けられている。更に、この上側前面部11aには、情報通信ユニットU1の電源の投入状態を示す電源インジケータや、ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)の利用可能状態を示すLANインジケータやネットワークのアクセス状態を示すアクセスインジケータなどの表示ランプ部16と、ケーシング10内のリセットスイッチを爪楊枝等の細い棒状の操作具でリセット操作するためのリセットボタン部17などが設けられている。一方、前面部11の下側前面部11cには、LAN用モジュラーアダプタが脱着自在に接続されるLAN用モジュラーアダプタの接続口15が設けられている。
【0042】
後側分割ケーシング10Bは、
図2,
図3及び
図11等に示すように、後方に面する背面部18と、その背面部18の外周縁側から前方に延出する周側面部19とを有し、この周側面部19の前方側に、前側分割ケーシング10Aが組み付けられる。
【0043】
後側分割ケーシング10Bの周側面部19は、上方側に面する天面部19tと、下方側に面する底面部19bと、背面視(
図3参照)で右方側(即ち、電源コンセント用ユニットU2側)に面する右側面部19saと、背面視(
図3参照)で左方側に面する左側面部19sbとからなる。背面部18と天面部19tとの境界部には、WAN側の通信ケーブル22のモジュラージャック21が脱着自在に接続されるWAN用モジュラーアダプタ20が、その接続口を斜め上方に向けて露出開口させた姿勢で装備され、また、6極2芯の電話ケーブル25の二本の芯線が脱着自在に差し込み接続される通信回線接続口23が、それらの接続口を後側分割ケーシング10Bの背面部18と天面部19tとの境界部に形成された段部において上方に向けて露出開口させた姿勢で装備されている。
【0044】
更に、後側分割ケーシング10Bの背面部18の外周縁には、商用電力を供給する一対の電源線61a,61bが着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口52a,52bを有する電源線接続用アダプタが、それらの電源線接続口52a,52bを後方に向けて露出開口させた姿勢で装備されている。
【0045】
このような情報通信ユニットU1を設置面Fに埋設設置する埋設設置工事において、背面部18側の電源線接続口52a,52bに差し込み接続された電源線61a,61bが比較的硬質のものであるため、その電源線61a,61bが設置面Fの後方側にある部品等の障害物に干渉する場合がある。そして、この干渉により、情報通信ユニットU1の設置面Fへの設置工事が煩雑になったり、ケーシング10や設置面F側の部品等に干渉した電源線61a,61bが押し付けられることで損傷することが懸念される。
【0046】
そこで、本実施形態の情報通信ユニットU1及びコンセント1では、情報通信ユニットU1の埋設設置工事の際に、背面部18側の電源線接続口52a,52bに差し込み接続された電源線61a,61bと設置面Fの後方側に存在する障害物との干渉を抑制して、当該干渉に起因する埋設設置工事の煩雑化やケーシング10等の損傷を防止するための特徴構成を有しており、その詳細について以下に説明を加える。
【0047】
図3、
図5、及び
図11等に示すように、情報通信ユニットU1のケーシング10の背面部18の外周縁に、当該ケーシング10の背面部18側及びその背面部側から前方に延出する周側面部19側に開放された開放部を有する一対の凹部51a,51bが夫々独立して形成されている。この一対の凹部51a,51bは、後側分割ケーシング10Bの背面部18の電源コンセント用ユニットU2側の縁部に設けられており、具体的には、当該後側分割ケーシング10Bの背面部18側及び電源コンセント用ユニットU2側の周側面部19である右側面部19saに開放された状態で並列配置されている。
【0048】
そして、商用電力を供給する一対の電源線61a,61bが着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口52a,52bが、上記凹部51a,51bの開放部、具体的には背面部18側の開放部に向けて露出開口する姿勢で、一対の凹部51a,51bに夫々配置されている。このことで、情報通信ユニットU1を設置面Fに形成された取付け口4に挿入するユニット挿入時よりも前の段階では、電源線接続口52a,52bに差し込み接続された電源線61a,61bは、自然状態で、凹部51a,51bの背面部18側の開放部を通過する姿勢となる。よって、ユニット挿入時には、このように電源線61a,61bが凹部51a,51bの背面部18側の開放部を通過する姿勢に維持されることで、電源線61a,61bとその側方側にある取付け口4の縁部との干渉が抑制されることになる。
【0049】
上記のように一対の凹部51a,51bが夫々独立して形成されていることにより、それらの間に介在する隔壁部54の端部は、ケーシングの背面部18及び周側面部19に対して略面一となる位置まで延出したものとなる。すると、情報通信ユニットU1の埋設設置工事において、背面部18側の電源線接続口52a,52bに差し込み接続された電源線61a,61bが、設置面Fの後方側にある障害物、具体的にはコンセントボックス2の壁面に当接する場合でも、電源線61a,61bがその当接により自動的に姿勢を変更しながら隔壁部54を含む凹部51a,51bの内面に沿って好適に案内されて、電源線61a,61bと障害物との干渉が好適に抑制された状態となる。
【0050】
特に、設置面に埋設された状態のケーシング10の後方側には、コンセントボックス2の背面壁部が障害物として存在し、情報通信ユニットU1を設置面Fに形成された取付け口4に挿入するユニット挿入時において、背面部18側の電源線接続口52a,52bに差し込み接続された電源線61a,61bが、そのコンセントボックス2の背面壁部に干渉することが懸念される。しかしながら、電源線61a,61bは、そのコンセントボックス2の背面壁部に当接することで自動的に姿勢を変更しながら、凹部51a,51bの内面に沿って好適に案内される。すると、
図3に示すように、このように案内された電源線61a,61bは、ケーシング10の背面部18とコンセントボックス2の背面壁部との隙間に噛み込むことなく好適に、凹部51a,51bの右側面部19sa側の開放部を通過する姿勢となる。このことで、電源線61a,61bとコンセントボックス2の背面壁部との干渉が好適に抑制されることになる。
【0051】
更に、これら凹部51a,51bの間に介在する隔壁部54が、一対の凹部51a,51bの夫々に面する一対の内壁54aと、ケーシング10の背面部18及び周側面部19に沿う状態で両内壁54a間に亘らせて設けられた支持壁54b,54cとから構成されている。具体的に、これら一対の内壁54aは、一定の間隔を隔てて互いに平行に配置された壁部として構成されており、一方、支持壁54b,54cは、後側分割ケーシング10Bの背面部18に沿ってこれら内壁54a間に亘らせて設けられた背面側支持壁54bと、後側分割ケーシング10Bの右側面部19saに沿ってこれら内壁54a間に亘らせて設けられた右側面側支持壁54cとからなる。
【0052】
このように、隔壁部54は、互いに平行に配置された一対の内壁54aとこれら内壁54a間に亘らせて設けられた支持壁54b,54cとからなる所謂ボックス状に構成されることで、一定の幅を有する上に高剛性に構成されることになる。このことで、この隔壁部54を挟んで並設された一対の凹部51a,51bが、上記隔壁部54の幅に相当する一定の間隔を隔てて配置されることになって、それら一対の凹部51a,51bにおいて電源線接続口52a,52bに差し込み接続された一対の電源線61a,61bの干渉が抑制されることになる。更に、これら一対の電源線61a,61bが、凹部51a,51bの内面に沿って案内されて姿勢を変更する際に、隔壁部54に対してその比較的硬質の電源線61a,61bが比較的強力に押し当てられた場合でも、その隔壁部54の損傷が抑制されることになる。
【0053】
一対の凹部51a,51bの夫々において、電源線接続口52a,52bは、凹部51a,51b内における一方側に偏倚して配置されている。更には、右側面部19saに開放された状態で並列配置された一対の凹部51a,51bの夫々において、電源線接続口52a,52bは、当該凹部51a,51b内における上方側に偏倚して配置されている。
【0054】
凹部51a,51b内において、このように電源線接続口52a,52bが偏倚配置されているので、
図3に示すように、上方側に偏倚して配置された電源線接続口52a,52bに差し込み接続された電源線61a,61bを、比較的余裕のある下方側に撓ませることができるようになる。これにより、凹部51a,51bの右側面部19sa側の開放部から外方へ延出する電源線61a,61bの姿勢を、後側分割ケーシング10Bの右側面部19saにできるだけ近接させて沿わせることができる。
【0055】
更には、一対の凹部51a,51bの夫々において、夫々の電源線接続口52a,52bが共に同じ上方側に偏倚配置されているので、
図3に示すように、夫々の凹部51a,51bの右側面部19sa側の開放部から外方へ延出する一対の電源線61a,61bは、互いに略平行な姿勢となる。このことで、コンセントボックス2の区画壁2aなどのように右側面部19saに近接対向する障害物が存在している場合でも、その区画壁2aとの間の隙間において一対の電源線61a,61bを、無理がない略同じ姿勢で這わせることができる。
【0056】
また、一対の凹部51a,51bの夫々における電源線接続口52a,52bの偏倚方向が、コンセントボックス2の区画壁2aにおいて電源ケーブル61が迂回する下端部側の迂回端部2aaに対して反対側の方向となる。このことで、一対の凹部51a,51bの右側面部19sa側の開放部から外方へ延出する一対の電源線61a,61bは、上述のように無理がない略同じ姿勢でコンセントボックス2の下側挿入口2cを通過して、区画壁2aの迂回端部2aaの外側を迂回することができる。
【0057】
更に、一対の凹部51a,51bの夫々において、上述した電源線接続口52a,52bに加えて、背面側からの押圧操作により当該電源線接続口52a,52bにおける電源線61a,61bの接続を解除する解除操作釦53a,53b(解除操作部の一例)が配置されている。そして、この解除操作釦53a,53bが、凹部51a,51bの下方側の内面に近接配置されており、これにより、マイナスドライバなどの操作具で解除操作釦53a,53bを押圧操作するにあたり、凹部51a,51bに挿入した操作具が凹部51a,51bの下方側の内面に添う状態で、その動作が好適にガイドされることになる。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、後側分割ケーシング10Bの背面部18の外周縁において、一対の凹部51a,51bを、後側分割ケーシング10Bの周側面部における電源コンセント用ユニットU2側の一側面である右側面部19saに並列配置したが、別の周側面に配置しても構わない。
【0059】
例えば、
図12に示すように、一方の凹部101a,101bを、後側分割ケーシング10Bの右側面部19sa側及び左側面部19sb側に分配して配置しても構わない。即ち、これら一方の凹部101a,101bのうち、一方の凹部101aは、後側分割ケーシング10Bの背面部18側及び右側面部19sa側に開放された凹部として構成されると共に、他方の凹部101bは、後側分割ケーシング10Bの背面部18側及び左側面部19sb側に開放された凹部として構成される。そして、これら夫々の凹部101a,101bに、電源線接続口102a,102b及び解除操作釦103a,103bが設けられることになる。このように構成すれば、一対の電源線61a,61bの夫々を大きく隔離させて、夫々の電源線接続口102a,102bに接続して、当該一対の電源線61a,61bの干渉を一層抑制することができる。
【0060】
更に、
図13に示すように、一対の凹部201a,201bを、後側分割ケーシング10Bの右側面部19saの下方角部側及び左側面部19sbの下方角部側に分配して配置しても構わない。即ち、これら一方の凹部201a,201bのうち、一方の凹部201aは、後側分割ケーシング10Bの背面部18側,右側面部19sa側、及び、底面部19b側に開放された凹部として構成されると共に、他方の凹部201bは、後側分割ケーシング10Bの背面部18側、左側面部19sb側、及び、底面部19b側に開放された凹部として構成される。そして、これら夫々の凹部201a,201bに、電源線接続口202a,202b及び解除操作釦203a,203bが設けられることになる。このように構成すれば、上述の構成と同様に、当該一対の電源線61a,61bの干渉を一層抑制することができる上に、電源線61a,61bは、凹部201a,201bの底面部19b側の開放部を通過する姿勢に維持されて、一層無理がない姿勢でコンセントボックス2の下側挿入口2cを通過して、区画壁2aの迂回端部2aaの外側を迂回することができる。
【0061】
(2)上記実施形態では、後側分割ケーシング10Bの背面部18の外周縁に配置された一対の凹部51a,51bの夫々において、電源線接続口52a,52bを、凹部51a,51bの開放部の一方である背面部18側の開放部に向けて露出開口する姿勢で配置したが、別に、電源線接続口52a,52bを、凹部51a,51bの開放部の他方である周側面部19側の開放部に向けて露出開口する姿勢で配置しても構わない。
【0062】
(3)上記実施形態では、一対の凹部51a,51bにおいて、電源線接続口52a,52bを、当該凹部51a,51b内における一方側に偏倚するように配置したり、解除操作釦53a,53bを、凹部51a,51bの内面に近接するように配置したが、別に、凹部51a,51b内における電源線接続口52a,52bや解除操作釦53a,53bの配置は、本実施形態の状態に限らず適宜変更可能である。
【0063】
(4)上記実施形態では、一対の凹部51a,51bの間に介在する隔壁部54を、一対の凹部51a,51bの夫々に面し一定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の内壁54aと、後側分割ケーシング10Bの背面部18に沿ってこれら内壁54a間に亘らせて設けられた背面側支持壁54bと、後側分割ケーシング10Bの右側面部19saに沿ってこれら内壁54a間に亘らせて設けられた右側面側支持壁54cとから構成したが、例えば、隔壁部54を中実の部材で構成するなどのように、この隔壁部54の構成は適宜改変可能である。
【0064】
(5)上記実施形態では、情報通信ユニットU1を、有線LAN用モジュラーアダプタ用及び電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口14,15を備えたタイプとして構成したが、別に、これら接続口14,15を備えずに、無線LAN用アンテナによる無線LAN通信のみを行うタイプとして構成しても構わない。
【課題】設置面に埋設状態で設置可能に構成されたケーシングを備えると共に、当該ケーシングの背面部側に、商用電力を供給する一対の電源線が着脱自在に差し込み接続される一対の電源線接続口を備えた情報通信ユニットにおいて、設置面への埋設設置工事の際に、背面部側に接続された電源線と設置面の後方側に存在する障害物との干渉を抑制して、当該干渉に起因する埋設設置工事の煩雑化やケーシング等の損傷を防止することができる技術を提供する。
【解決手段】ケーシング10の背面部18の外周縁に、ケーシング10の背面部18側及び周側面部19側に開放された開放部を有する一対の凹部51a,51bが夫々独立して形成されていると共に、一対の電源線接続口52a,52bが、凹部51a,51bの開放部に向けて露出開口する姿勢で、一対の凹部51a,51bに夫々配置されている。