(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2610kgを超えない基準質量を有する乗用車圧縮着火内燃機関のエンドピボットフィンガーフォロワーバルブトレインラッシュアジャスターを潤滑する方法であって、該方法は、潤滑粘度の油、0.01重量%〜3重量%の分散性粘度調整剤、および0.01重量%〜3重量%の亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤を含む潤滑組成物を該内燃機関に供給する工程を包含し、ここで該潤滑組成物は、硫黄含有量5000ppm未満、リン含有量1000ppm以下、および硫酸灰分含有量3000〜12,000ppmを有する、方法。
前記分散性アミン基は、前記オレフィンコポリマーと、アシル化剤および一級または二級アミノ基を有する芳香族アミンとの反応から得られる、請求項3〜4のいずれかに記載の方法。
前記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、硫化オレフィン、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、(チオ)リン含有化合物のアミン塩、チアジアゾール、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
前記潤滑組成物は、0.01重量%〜1.5重量%の硫化オレフィン、および0.05重量%〜1.5重量%の分散性アミン基でさらに官能化されたオレフィンコポリマーを含む亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤を含み、ここで該オレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
前記潤滑組成物は、0.1〜0.5重量%の硫化オレフィン、および0.1〜0.5重量%の分散性アミン基でさらに官能化されたオレフィンコポリマーを含む亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤を含み、ここで該オレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
前記潤滑組成物は、抗酸化剤をさらに含み、ここで該抗酸化剤は、フェノール性抗酸化剤、またはアミン性抗酸化剤、またはこれらの混合物を含み、そして該抗酸化剤は、0.1重量%〜3重量%で存在する、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
前記潤滑組成物は、前記硫酸灰分含有量が1000ppm以下であるような量で、スルホン酸カルシウム過塩基性清浄剤および石炭酸カルシウム過塩基性清浄剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
内燃機関のバルブトレインは、設計および燃料タイプの両方に伴って変化することが公知である。例えば、上記燃料タイプは、ガソリンまたはディーゼルであり得る;そして上記バルブトレインは、一般的なタイプの構成(例えば、直接作動式カム・バケット、エンドピボットフィンガーフォロワー、プッシュロッドまたはロッカーアームを有し得る。バルブトレインタイプは、「Valve Train Components, Technology Failure Diagnosis」(Schaefflerによって公開(シリアルナンバー94410002202266/0/0/1/2010/PDF−GBとともにwww.schaeffler−Aftermarket.comを参照のこと)に記載される。潤滑剤と相互作用する場合の摩擦学の観点からバルブトレイン設計を考えると、バルブトレインの具体的タイプ、接触と冶金との間の滑り率(slide to roll ratio)は、潤滑領域に差次的に全く影響を及ぼし得、このことは、エンジン冶金、接触圧、接触速度、表面仕上げ、滑り対回転接触(sliding versus rolling contact)(または滑り率)が、潤滑添加剤が相互作用し、エンジン構成要素の摩耗、腐食、または疲労を減らす方向に寄与する過程に全く影響を及ぼすことを意味する。
【0003】
例えば、エンジン設計の差異は、バルブトレイン設計の種々のタイプを可能にする。バルブトレイン設計は、それらのエンジンの設計要件に依存して相手先ブランド名製造(OEM)によって選択され、エンジンの「最良の」設計は存在しないとはいえ、OEMは、種々の燃料タイプおよびエンジンサイズのような他の要因との組み合わせでのバルブトレイン設計を含め、設計要因を考慮する。
【0004】
ヘビーデューティーディーゼルエンジン(heavy duty diesel engine)は、3,500kgを超える、圧縮着火エンジンまたは火花点火式天然ガス(NG)またはLPGエンジンを備えた、「技術的に許容可能な最大荷重(technically permissible maximum laden mass)」を有する全ての自動車に制限されることに注意される。対照的に、欧州連合は、ACEA試験セクション「C」の範囲内に含まれる新たな軽量自動車(乗用車および小型商用車)に関して、「技術的に許容可能な最大荷重」が2610kgを超えないことを示している
。
【0005】
乗用車とヘビーデューティーディーゼルエンジン間には明瞭な差異がある。3,500kg超から2610kg以下までのサイズ上の差異は、両タイプのエンジンが、荷重、オイル温度、デューティーサイクルおよびエンジンスピードのような顕著に異なる作動条件を経験することを意味する。ヘビーデューティーディーゼルエンジンは、最大燃費における有効荷重を運搬するためにトルクを最大にするように設計される一方で、乗用車ディーゼルは、人々の交換(commuting people)および最大燃費での加速のために設計される。交換に対するエンジン牽引(engine hauling versus communing)の設計目的は、種々のハードウェア設計およびエンジンを保護し潤滑するように設計された潤滑剤に付与される、得られる応力を生じる。別の明確な設計上の差異は、各エンジンが交換に対して牽引する(haul versus commute)ために作動する作動回転毎分(RPM)である。ヘビーデューティーディーゼルエンジン(例えば、代表的な12〜13リットルトラックエンジン)は、代表的には、2200rpmを超えない一方で、乗用車エンジンは、最大4500rpmまで上がり得る。ヘビーデューティーディーゼルエンジンと乗用車との間のrpmの差異は、より極端な作動条件が原因で、乗用車潤滑剤がより高い作動温度、より高い剪断力、増大した酸化および堆積率に曝されることを意味する。
【0006】
長年にわたって、エンジン設計は、直接作動式カム・バケット、またはロッカーアームを含むバルブトレインを有するヘビーデューティーディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンに焦点を当ててきた。以下にまとめた先行技術文献は、エンジン潤滑設計を改善して、ヘビーデューティーディーゼルエンジン(例えば、Mack T−10またはT−11)の煤の扱いを高めるために行われてきた試み、またはガソリンエンジンにおける摩耗もしくはスラッジ形成の最小化(例えば、GF−3承認もしくはSequence IIIF承認、またはPeugeot TU3Mエンジンに必要とされるもの)を強調する。カム・バケットバルブトレインTDi Volkswagonエンジンにおける堆積物形成を低減する試みが行われてきた。
【0007】
米国特許出願公開第2013/0143781号(Barton et al., 2013年5月20日公開)は、内燃機関を潤滑する方法、ならびに潤滑組成物(潤滑粘度の油、ならびにモノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)アルコールおよび芳香族アミンでそれぞれエステル化およびアミド化されたエチレン不飽和カルボン酸またはその誘導体から得られる単位を含む0.1重量%〜70重量%のコポリマーを含む)を開示し、ここで上記コポリマーは、(1)モノマー(i)α−オレフィンおよびモノマー(ii)エチレン不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させて、コポリマーを形成する工程;(2)工程(1)の生成物と芳香族アミンとを反応させる工程;ならびに(3)工程(2)のコポリマーとアルコールとを反応させて、アミド化およびエステル化されたコポリマーを形成する工程を包含するプロセスによって得られる。
【0008】
米国特許出願公開第2013/0143780号(Gieselman et al, 2013年5月20日公開)は、潤滑粘度の油、ならびにポリオレフィン、エチレン不飽和芳香族アシル化剤(またはカルボン酸反応物)、およびアミンの反応生成物を含む化合物を含む潤滑組成物を開示する。一実施形態において、上記アミンは、非環式ポリアミンであり、上記ポリオレフィンは、ポリブテンであり、上記潤滑組成物は、上記潤滑組成物のうちの硫酸灰分含有量0.3重量%〜1.2重量%を有する。上記潤滑組成物は、鋼鉄またはアルミニウムの表面(代表的には、鋼鉄の表面)を有する内燃機関における使用について開示される。
【0009】
米国特許出願公開第2012/0184473号(Boffa et al., 2012年12月20日公開)は、i)主要量の基油、ii)少なくとも1種の油溶性モリブデン化合物、およびiii)ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む潤滑油組成物を開示し、ここで上記モリブデン化合物に由来するモリブデン含有量は、上記潤滑油組成物の総重量に基づいて少なくとも10ppmモリブデンであり、上記ジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物に由来するリン含有量は、上記潤滑油組成物の総重量に基づいて約200ppm〜500ppmである。モーターエンジンを上記潤滑油組成物とともに作動させる工程を包含するモーターエンジンを潤滑する方法もまた、開示される。
【0010】
米国特許出願公開第2012/0046206号(Gieselman et al., 2012年2月23日公開)は、潤滑粘度の油、分散剤およびアミン官能化添加剤を含む潤滑組成物を開示し、ここで上記アミン官能化添加剤は、少なくとも3または4個の芳香族基を有するアミンから得られ、ここで上記アミン官能化添加剤は、少なくとも3個の芳香族基を有するアミンとカルボン酸官能化ポリマーとを反応させることによって得られた/得ることができる生成物である。上記潤滑剤は、Mack T 11試験で使用され、特定されない量での硫化オレフィン抗酸化剤の使用をさらに例示する。
【0011】
米国特許出願公開第2009/0325831号(Mathur et al., 2008年6月30日公開)は、主要量の潤滑粘度の油;ならびにアシル化エチレン−オレフィンコポリマーおよびポリアミンの反応生成物を含む粘度指数調整コポリマーを含む少量の添加剤濃縮物を含む潤滑組成物を開示し、ここで上記ポリアミンは、少なくとも2個の一級または二級アミン官能基を含む。上記潤滑組成物は、自動車エンジンを潤滑する方法に有用であると開示される。
【0012】
米国特許出願公開第2009/0305923号(Visger et al., 2009年12月10日公開)は、主要量の潤滑粘度の油および少量の、(i)(a)ビニル芳香族モノマーから選択される少なくとも1種のモノマー、および(ii)少なくとも1種のα,β−不飽和アシル化剤を含むモノマーに由来するエステル化され、窒素官能化されたインターポリマー(interpolymer)組成物を含む潤滑組成物を開示し、ここで上記アシル化剤由来単位のうちの一部はエステル化されており、上記アシル化剤由来単位のうちの一部は、アシル化剤モノマー由来単位と縮合し得る少なくとも1個のN−H基を含む少なくとも1個の芳香族アミンと縮合され、上記アミンは、4−アミノジフェニルアミン、4−フェニルアゾアニリン、2−アミノベンゾイミダゾール、および3−ニトロアニリンからなる群より選択される。上記潤滑剤は、ヘビーデューティーディーゼルエンジンにおける煤誘発性粘性増大を低減するために有用であると開示され、Mack T−11試験で例示される。
【0013】
米国特許出願公開第2008/182768号(Devlin et al., 2008年7月31日公開)は、バイオディーゼル燃料エンジンのための改善された潤滑組成物を開示する。上記バイオディーゼルエンジンは、約5〜約100重量% バイオディーゼル成分を含む燃料で作動し、主要量の潤滑粘度の油、および少量の少なくとも1種の非常にグラフト化された多官能性オレフィンコポリマー(これは、アシル化剤と約1,000より大きな数平均分子量を有するオレフィンコポリマーとをフリーラジカル開始剤の存在下で反応させて、少なくとも0.5重量%のオレフィンコポリマーに対する上記アシル化剤のグラフト率(DOG)を有するアシル化オレフィンコポリマーを提供し、上記アシル化オレフィンコポリマーとアミンとを反応させて、非常にグラフト化された多官能性オレフィンコポリマーを提供することによって作製される)を含む潤滑油組成物で潤滑され、ここで上記非常にグラフト化された多官能性オレフィンコポリマーは、上記エンジンのための上記潤滑油組成物において、粘性増大を、上記バイオディーゼル成分を欠いている燃料で作動するエンジンの潤滑油組成物における粘性増大未満またはそれと同等にまで低減するために有効である。上記潤滑剤は、T−11煤堆積試験で機能する。
【0014】
米国特許出願公開第2007/0111904号(Van Dam, 2007年5月17日公開)は、(a)主要量の潤滑粘度の油;(b)1種以上の分散剤;(c)1種以上の抗酸化剤;および(d)1種以上の清浄剤を含む低硫黄低リン潤滑油組成物を開示し、ここで上記潤滑油組成物は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を本質的に含まず、0.1重量%以下の硫黄を含み、ただし潤滑油組成物がアルキル化および非アルキル化芳香族アミンならびに三核モリブデン化合物(tri−nuclear molybdenum compound)を含まない。上記潤滑剤は、Mack T−10 ディーゼルエンジンシリンダーライナー摩耗試験で評価される。
【0015】
米国特許出願公開第2006/0264342号(Shaw et al, 2006年11月23日公開)は、カムおよび回転タペットを有する内燃機関を潤滑する方法を開示し、上記方法は、上記エンジンの潤滑剤として、潤滑組成物(これは、潤滑粘度の基油、質量で50〜900ppmの量のリン、質量で1500〜3000ppmの量の硫黄、0.0〜100ppmの量のホウ素、1.0質量%を超えない量の硫酸灰分、および0.0〜0.1質量%の量の摩擦調整剤を含み、上記量は、完全に配合された潤滑油組成物の質量に基づく)を使用する工程を包含する。好ましい潤滑組成物はまた、粘度指数向上分散剤(viscosity index improver dispersant)を含む。粘度指数向上分散剤の例としては、アミン(例えば、ポリアミン)とヒドロカルビル置換されたモノカルボン酸またはジカルボン酸(ここで上記ヒドロカルビル置換基は、上記化合物に粘度指数向上特性を付与するために十分な長さの鎖を含む)との反応生成物が挙げられる。一般に、上記粘度指数向上分散剤は、例えば、ビニルアルコールのC4〜C24不飽和エステルまたはC3〜C10不飽和モノカルボン酸またはC4〜C10ジカルボン酸と、4〜20個の炭素原子を有する不飽和窒素含有モノマーとのポリマー;C2〜C20オレフィンとアミン、ヒドロキシアミンまたはアルコールで中和した不飽和C3〜C10モノカルボン酸またはジカルボン酸とのポリマー;あるいはエチレンと、C4〜C20不飽和窒素含有モノマーをグラフト化することによってまたは不飽和酸をポリマー骨格にグラフト化した後にそのグラフト化した酸のカルボン酸基とアミン、ヒドロキシアミンまたはアルコールとを反応させることによって、のいずれかでさらに反応させたC3〜C20オレフィンとのポリマーであり得る。
【0016】
米国特許出願公開第2003/0148895号(Robson et al., 2001年11月9日公開)は、Peugeot TU3Mガソリンスカッフィング試験において摩耗を低減するように意図された潤滑油組成物を開示する。この試験は、内燃機関のカムおよびタペットに対する摩耗を調査することが意図される。この文書の開示は、比較的高レベルのホウ素(ホウ素化分散剤(borated dispersant)に由来する)および好ましくは、かなりの量のモリブデン(例えば、三核モリブデン添加剤に由来する)で増大させることが、カムおよびタペットの摩耗を受容可能なレベルへと低減するために必要とされることを示す。
【0017】
米国特許出願公開第2006/0205614号(Artman et al., 2006年9月14日公開)は、(a)潤滑粘度の油;(b)組成物の改善された耐摩耗性能を提供するために十分な量の、実質的に窒素を含まない硫化オレフィン耐摩耗剤;(c)約1〜約10重量%の窒素含有分散剤;および(d)サリキサレート(salixarate)、サリゲニン(saligenin)、サリチレート、グリオキシレート、およびこれらの混合物からなる群より選択される過塩基性清浄剤を含む圧縮着火内燃機関を潤滑するために適した低硫黄低リン組成物を開示し、上記組成物は、約0.1重量%未満のリン、約0.4重量%未満の硫黄を含み、約1.2%未満の硫酸灰分を有する。上記例示される内燃機関は、API CH−4 Cummins M11 ヘビーデューティーディーゼルエンジンである。
【0018】
米国特許第8,420,583号(Boegner et al., 2003年5月22日公開)は、主要量の潤滑粘度の油;および少量の少なくとも1種の非常にグラフト化された多官能性オレフィンコポリマー(これは、アシル化剤と、約10,000より大きく最大約50,000までの数平均分子量を有するオレフィンコポリマーとを、フリーラジカル開始剤の存在下で反応させて、約1.5より高く約3.0重量%までのオレフィンコポリマーに対する上記アシル化剤のグラフト率(DOG)を有するアシル化オレフィンコポリマーを提供し、上記アシル化オレフィンコポリマーとアミンとを反応させて、非常にグラフト化された多官能性オレフィンコポリマーを提供することによって作製される)を含む潤滑油組成物を開示する。上記潤滑組成物は、煤堆積物を低減するために圧縮着火内燃機関を潤滑することについて開示される。
【0019】
米国特許第8,168,574号(Visger et al., 2009年12月10日公開)は、ヘビーデューティーディーゼルエンジンにおける煤誘発性粘性増大を低減することを開示する。そこで開示される潤滑組成物は、潤滑粘度の油、ならびに(i)(a)ビニル芳香族モノマーから選択される少なくとも1種のモノマー、および(ii)少なくとも1種のα,β−不飽和アシル化剤を含むモノマーから得られるエステル化された窒素官能化インターポリマー組成物を含み;ここで上記アシル化剤由来単位のうちの一部はエステル化され、上記アシル化剤由来単位のうちの一部は、上記アシル化剤モノマー由来単位と縮合し得る少なくとも1個のN−H基を含む少なくとも1種の芳香族アミンと縮合され、上記アミンは、4−アミノジフェニルアミン、4−フェニルアゾアニリン、2−アミノベンゾイミダゾール、および3−ニトロアニリンからなる群より選択される。
【0020】
米国特許第8,093,189号(Devlin et al., 2008年3月13日公開)は、ヘビーデューティーディーゼルエンジン、特に、CJ−4、CI−4 PLUSまたはCI−4エンジンのための低SAP潤滑油組成物(これは、主要量の潤滑粘度の油、ならびにアシル化オレフィンコポリマーおよびポリアミン化合物の反応生成物を含む少量のアミン官能化オレフィンコポリマー分散性粘度指数向上剤を含む)を開示し、ここで上記オレフィンコポリマー分散性粘度指数向上剤は、上記潤滑油組成物が上記潤滑油組成物の改変形態(これは、代わりにオレフィンコポリマー分散剤の非アミン官能化非アシル化形態を含むが、他は同じである)と比較して水および純粋(ポリ)エチレングリコール(合計)の約50:50混合物から構成される約2%エンジン冷却液で汚れている際に、Cummins ISM EGR試験によって測定される場合、冷却液誘発性フィルター詰まりを抑制するために有効な量で存在する。
【0021】
米国特許出願公開第2006/025316号(Covitch et al., 2006年2月2日公開)は、排気再循環を備えたヘビーデューティーディーゼルエンジンを潤滑する方法を開示し、上記方法は、潤滑粘度の油、ならびに(a)カルボン酸官能基またはその反応性等価物を含むポリマーであって、上記ポリマーは、5,000より大きい数平均分子量を有する、ポリマー;および(b)ペンダント基および少なくとも1個の窒素、酸素、または硫黄原子を含む少なくとも1個のさらなる基を提供するためにカルボン酸官能基と縮合し得る少なくとも1個のアミノ基を含む少なくとも1種の芳香族アミンを含むアミン成分との反応生成物を含む組成物を上記エンジンに供給する工程を包含し、ここで上記芳香族アミンは、(i)ニトロ置換されたアニリン(例えば、3−ニトロアニリン)、(ii)−C(O)NR−基、−C(O)O−基、−O−基、−N−N−基、またはSO2−基(ここでRは、水素またはヒドロカルビルである)によって連結される2つの芳香族部分を含むアミン(上記芳香族部分のうちの1つは、上記縮合可能なアミノ基を有する)、(iii)アミノキノリン、(iv)アミノベンゾイミダゾール、(v)N,N−ジアルキルフェニレンジアミン、および(vi)環置換されたベンジルアミンからなる群より選択される。
【0022】
米国特許出願公開第2004/038836号(Devlin et al., 2004年2月26日公開)は、ディーゼルエンジンにおける使用に適した粘性を有する潤滑油;少なくとも1種の官能化オレフィンポリマー;およびジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)を含む、ディーゼルエンジンにおける使用に適した潤滑剤を開示し、ここで上記ZDDPは、一級アルコールの混合物または一級アルコールおよび二級アルコールの混合物から作製され、上記潤滑剤は、High Frequency Reciprocating Rig(HFRR)を使用することによって測定される場合、15より大きいかまたは15に等しい高境界フィルム摩擦値(high boundary film friction value)を有する。
米国特許出願公開第2003/134754号(Kelley, 2003年7月17日公開)は、(a)主要量の、重量で少なくとも300ppmの硫黄を含むAPIグループI鉱油ベースストック;(b)上記組成物に対して約25〜約600ppmのモリブデンを提供するために適した量のジチオカルバミン酸モリブデン;(c)ポリオレフィン置換されたコハク酸構造(succinic structure)に基づくスクシンイミド分散剤(ここで上記ポリオレフィンは、少なくとも約1300の数平均分子量を有する);(d)少なくとも1種の二級アルコールに由来するジアルキルジチオリン酸亜鉛;ならびに(e)ヒンダードフェノール、アルキル化芳香族アミン、および硫化オレフィンからなる群より選択される少なくとも1種の酸化インヒビターを含む組成物を開示する。上記組成物は、従来の高硫黄ベースストックを使用してILSAC GF−3の新仕様を満たすように配合され、Sequence IIIFガソリンエンジンで試験されるエンジン潤滑油に有用であると注記される。
ラッシュアジャスター付きのエンドピボットフィンガーフォロワーバルブトレインを有するように設計された乗用車ディーゼルエンジンに関して、摩耗を低減することによって潤滑性能を改善しようと試みている、いくつかの研究が報告されている。結果として、Peugeotは、DW10 ラッシュアジャスター試験と題する試験法を導入しており、この設計を有するエンジンのためにAPL試験機関(Automobil−Prueftechnik Landau GmbH)で行っている。潤滑剤は、この試験の摩擦要件に合格するために7以上の摩耗評価を得なければならない。本発明の目的は、ラッシュアジャスター付きのエンドピボットフィンガーフォロワーバルブトレインを有する乗用車ディーゼルエンジンにおいて摩擦を低減することであり、具体的実施形態では、上記DW10 ラッシュアジャスター試験において測定される場合に、7より大きな摩耗評価を有することである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明は、内燃機関を潤滑する方法および上記で開示されるとおりの使用を提供する。
【0039】
(潤滑粘度の油)
上記潤滑組成物は、潤滑粘度の油を含む。このような油としては、天然および合成の油、水素化分解油、水素化油、および水素仕上げ(hydrofinishing)油、未精製油、精製油、再精製油またはその混合物から得られる油が挙げられる。未精製油、精製油および再精製油のより詳細な説明は、国際公開第2008/147704の段落[0054]〜[0056]において提供される(類似の開示は、米国特許出願第2010/197536号において提供される。[0072]〜[0073]を参照のこと)。天然および合成の潤滑油のより詳細な説明は、それぞれ、国際公開第2008/147704号の段落[0058]〜[0059]において記載される(類似の開示は、米国特許出願第2010/197536号において提供される。[0075]〜[0076]を参照のこと)。合成油はまた、Fischer−Tropsch反応によって生成され得、代表的には、水素異性化されたFischer−Tropsch炭化水素またはワックスであり得る。一実施形態において、油は、Fischer−Tropsch GTL(gas−to−liquid)合成手順ならびに他のGTL油によって調製され得る。
【0040】
潤滑粘度の油はまた、2008年4月版の「Appendix E − API Base Oil Interchangeability Guidelines for Passenger Car Motor Oils and Diesel Engine Oils」, section 1.3 Sub−heading 1.3. 「Base Stock Categories」に特定されるとおりに定義され得る。上記APIガイドラインはまた、米国特許第7,285,516号(第11欄64行目〜第12欄10行目を参照のこと)にまとめられている。
【0041】
一実施形態において、上記潤滑粘度の油は、APIグループI〜IVの鉱油、エステルもしくは合成油、またはこれらの混合物であり得る。一実施形態において、上記潤滑粘度の油は、APIグループII、グループIII、グループIVの鉱油、エステルもしくは合成油、またはこれらの混合物であり得る。
【0042】
上記存在する潤滑粘度の油の量は、代表的には、100重量%から、本発明の添加剤および他の性能添加剤の量の合計を差し引いた後に残る差である。
【0043】
上記潤滑組成物は、濃縮物および/または完全に配合された潤滑剤の形態にあり得る。本発明の潤滑組成物(本明細書で開示される添加剤を含む)が、さらなる油と合わされて、全体としてまたは部分的に、仕上げられた潤滑剤を形成し得る濃縮物の形態にある場合、これら添加剤 対 上記潤滑粘度の油および/または対 希釈油の比は、重量で1:99〜99:1、または重量で80:20〜10:90の範囲を含む。代表的には、本発明の潤滑組成物は、少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%の潤滑粘度の油を含む。
【0044】
(分散性粘度調整剤)
本発明の潤滑組成物は、分散性粘度調整剤を含む。上記分散性粘度調整剤は、0.05重量%〜1.5重量%、または0.1重量%〜1重量%、または0.1〜0.5重量%で存在し得る。
【0045】
上記分散性粘度調整剤は、官能化ポリオレフィン(例えば、アシル化剤(例えば、マレイン酸無水物(maleic anhydride))およびアミンで官能化されたエチレン−プロピレンコポリマー);アミンで官能化されたポリメタクリレート、またはアミンと反応したスチレン−マレイン酸無水物コポリマーを含み得る。分散性粘度調整剤のより詳細な説明は、国際公開第2006/015130または米国特許第4,863,623号;同第6,107,257号;同第6,107,258号;同第6,117,825号;および同第7,790,661号に開示される。一実施形態において、上記分散性粘度調整剤は、米国特許第4,863,623号(第2欄15行目〜第3欄52行目を参照のこと)または国際公開第2006/015130(第2ページ段落[0008]を参照のこと。調製実施例は、段落[0065]〜[0073]に記載される)に記載されるものを含み得る。
【0046】
1つの特定の実施形態において、上記分散性粘度調整剤は、分散性アミン基でさらに官能化されたオレフィンコポリマーを含む。代表的には、上記オレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである。
【0047】
上記オレフィンコポリマーは、数平均分子量5000〜100,000、または7500〜60,000、または8000〜45,000を有する。
【0048】
上記分散性アミン基は、上記オレフィンコポリマー(代表的には、エチレン−プロピレンコポリマー)とアシル化剤(代表的には、マレイン酸無水物)および一級アミノ基または二級アミノ基を有する芳香族アミンとを反応させることから調製され得る/得られ得る。代表的には、上記分散性粘度調整剤は、マレイン酸無水物でアシル化され、芳香族アミンと反応したエチレン−プロピレンコポリマーであり得る。
【0049】
分散性粘度調整剤の形成は、当該分野で周知である。上記分散性粘度調整剤は、例えば、米国特許第7,790,661号の第2欄48行目〜第10欄38行目に記載されるものを含み得る。
【0050】
一実施形態において、上記分散性粘度調整剤は、オレフィン性カルボン酸(olefinic carboxylic acid)アシル化剤を、15〜80モル%のエチレン、20〜85モル%のC
3−10 α−モノオレフィン、および0〜15モル%の非共役ジエンまたはトリエンのポリマー(上記ポリマーは、5000〜500,000の範囲の平均分子量を有する)にグラフト化し、上記グラフト化ポリマーとアミン(代表的には、芳香族アミン)とをさらに反応させることによって調製され得る。
【0051】
別の実施形態において、上記分散性粘度調整剤は、(a)カルボン酸官能基またはその反応等価物を含み、5,000より大きい数平均分子量を有するポリマー;および(b)上記カルボン酸官能基と縮合して、ペンダント基を提供し得る少なくとも1個のアミノ基および少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄原子を含む少なくとも1個のさらなる基を含む少なくとも1個の芳香族アミンを含むアミン成分、の反応生成物であり得、ここで上記芳香族アミンは、(i)ニトロ置換されたアニリン、(ii)−C(O)NR−基、−C(O)O−基、−O−基、−N=N−基、またはSO
2−基(ここでRは、水素またはヒドロカルビルである)によって連結される2つの芳香族部分(上記芳香族部分のうちの1つは、上記縮合可能なアミノ基を有する)を含むアミン、(iii)アミノキノリン、(iv)アミノベンゾイミダゾール、(v)N,N−ジアルキルフェニレンジアミン、(vi)アミノジフェニルアミン(また、N,N−フェニルジアミン)、および(vii)環置換されたベンジルアミンからなる群より選択される。
【0052】
上記分散性粘度調整剤の芳香族アミンはまた、一般構造NH
2−ArまたはT−NH−Ar(ここでTは、アルキルまたは芳香族であり得、Arは、芳香族基である(窒素含有またはアミノ置換された芳香族基を含む))によって表され得るものを含み得、Ar基は、以下の構造のうちのいずれか:
【化1】
ならびに複数の非縮合環または連結された芳香族環を含む。これらおよび関連する構造において、R
v、R
vi、およびR
viiは、独立して、本明細書で開示される他の基の中でも、−H、−C
1−18アルキル基、ニトロ基、−NH−Ar、−N=N−Ar、−NH−CO−Ar、−OOC−Ar、−OOC−C
1−18アルキル、−COO−C
1−18アルキル、−OH、−O−(CH
2CH
2−O)
nC
1−18アルキル基、および−O−(CH
2CH
2O)
nAr(ここでnは、0〜10である)であり得る。
【0053】
芳香族アミンは、上記芳香族環構造のうちの炭素原子がアミノ窒素に直接結合されるアミンを含む。上記アミンは、モノアミンまたはポリアミンであり得る。上記芳香族環は、代表的には、単核芳香族環(すなわち、ベンゼンに由来するもの)であるが、縮合芳香族環、特に、ナフタレンに由来するものを含み得る。芳香族アミンの例としては、アニリン、N−アルキルアニリン(例えば、N−メチルアニリンおよびN−ブチルアニリン)、ジ−(パラ−メチルフェニル)アミン、4−アミノジフェニルアミン、N,N−ジメチルフェニレンジアミン、ナフチルアミン、4−(4−ニトロフェニルアゾ)アニリン(ディスパースオレンジ3)、スルファメタジン、4−フェノキシアニリン、3−ニトロアニリン、4−アミノアセトアニリド(N−(4−アミノフェニル)アセトアミド))、4−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸フェニルエステル(フェニルアミノサリチレート)、N−(4−アミノ−フェニル)−ベンズアミド、種々のベンジルアミン(例えば、2,5−ジメトキシベンジルアミン、4−フェニルアゾアニリン、およびこれらの置換されたバージョン)が挙げられる。他の例としては、パラ−エトキシアニリン、パラ−ドデシルアニリン、シクロヘキシル置換されたナフチルアミン、およびチエニル置換されたアニリンが挙げられる。他の適切な芳香族アミンの例としては、アミノ置換された芳香族化合物およびアミン窒素が芳香族環の一部であるアミン(例えば、3−アミノキノリン、5−アミノキノリン、および8−アミノキノリン)が挙げられる。また、芳香族アミン(例えば、2−アミノベンゾイミダゾール、これは、芳香族環に直接結合された二級アミノ基およびイミダゾール環に結合された一級アミノ基を含む)が含まれる。他のアミンとしては、N−(4−アニリノフェニル)−3−アミノブタンアミドまたは3−アミノプロピルイミダゾールが挙げられる。なお他のアミンとしては、2,5−ジメトキシベンジルアミンが挙げられる。
【0054】
さらなる芳香族アミンおよび関連化合物は、米国特許第6,107,257号および同第6,107,258号に開示され;これらのうちのいくつかとしては、アミノカルバゾール、ベンゾイミダゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノ−インダゾリノン、アミノペリミジン、メルカプトトリアゾール、アミノフェノチアジン、アミノピリジン、アミノピラジン、アミノピリミジン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、アミノチアジアゾール、アミノチオチアジアゾール、およびアミノベンゾトリアゾールが挙げられる。他の適切なアミンとしては、3−アミノ−N−(4−アニリノフェニル)−N−イソプロピルブタンアミド、およびN−(4−アニリノフェニル)−3−{(3−アミノプロピル)−(ココアルキル)アミノ}ブタンアミドが挙げられる。使用され得る他の芳香族アミンとしては、種々の芳香族アミン色素中間体(例えば、アミド構造によって連結される複数の芳香族環を含むもの)が挙げられる。例としては、一般構造:
【化2】
の物質およびその異性体バリエーションが挙げられ、ここでR
viiiおよびR
ixは、独立して、アルキル基またはアルコキシ基(例えば、メチル、メトキシ、またはエトキシ)である。一例において、R
viiiおよびR
ixはともに、−OCH
3であり、その物質は、ファストブルー(Fast Blue) RR[CAS# 6268−05−9]として公知である。
【0055】
別の例においては、R
ixは、−OCH
3であり、R
viiiは、−CH
3であり、その物質は、ファストバイオレット(Fast Violet) B[99−21−8]として公知である。R
viiiおよびR
ixがともにエトキシである場合、その物質は、ファストブルー(Fast Blue) BB[120−00−3]である。米国特許第5,744,429号は、他の芳香族アミン化合物、特に、アミノアルキルフェノチアジンを開示する。N−芳香族置換された酸アミド化合物(例えば、米国特許出願第2003/0030033 A1号に開示されるもの)はまた、本発明の目的のために使用され得る。適切な芳香族アミンとしては、アミン窒素が芳香族カルボン酸化合物上の置換基である、すなわち、窒素が芳香族環内の混成sp
2でないものが挙げられる。
【0056】
上記芳香族アミンはまた、アルデヒドと4−アミノジフェニルアミンとを反応させることによって形成されるアミンを含み得る。得られたアミンは、少なくとも4個の芳香族基、少なくとも1個の−NH
2官能基、および少なくとも2個の二級または三級アミノ基を有するアルキレン結合アミン(alkylene coupled amine)として記載され得る。上記アルデヒドは、脂肪族、脂環式または芳香族であり得る。上記脂肪族アルデヒドは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。適切な芳香族アルデヒドの例としては、ベンズアルデヒドまたはo−バニリンが挙げられる。脂肪族アルデヒドの例としては、ホルムアルデヒド(またはその反応性等価物(例えば、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒド))、エタノールまたはプロパノールが挙げられる。代表的には、上記アルデヒドは、ホルムアルデヒドまたはベンズアルデヒドであり得る。あるいは、この芳香族アミンはまた、Berichte der Deutschen Chemischen Gesellschaft (1910), 43, 728−39に記載される方法論によって調製され得る。
【0057】
アルデヒドと4−アミノジフェニルアミンとをカップリングすることによって形成される芳香族アミンは、欧州特許出願第2 401 348 A号に記載され、また、式:
【化3】
によって表され得、ここで各変数:
R
1は、水素またはC
1−5アルキル基(代表的には、水素)であり得;
R
2は、水素またはC
1−5アルキル基(代表的には、水素)であり得;
Uは、脂肪族、脂環式または芳香族基であり得、ただしUが脂肪族である場合、その脂肪族基は、1〜5個、または1〜2個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキレン基であり得;そして
wは、0〜9または0〜3または0〜1(代表的には、0)であり得る。
【0058】
一実施形態において、上記芳香族アミンは、4−アミノジフェニルアミン、アルデヒド(代表的には、ホルムアルデヒド)結合4−アミノジフェニルアミン、ニトロ−アニリン(3−ニトロ−アニリン)、ディスパースオレンジ−3(DO3)、またはこれらの混合物を含む。
【0059】
(亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤)
本発明の潤滑組成物は、亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤を含む。上記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、上記潤滑組成物のうちの0.01重量%〜1.5重量%、0.05重量%〜1重量%、または0.1〜0.5重量%で存在し得る。
【0060】
上記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、硫化オレフィン、モリブデン化合物、(チオ)リン含有化合物のアミン塩、チアジアゾール、およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0061】
一実施形態において、上記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、モリブデン化合物であり得る。上記モリブデン化合物は、耐摩耗剤であってもよいし、抗酸化剤であってもよい。上記モリブデン化合物は、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、モリブデン化合物のアミン塩、およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。代表的には、上記モリブデン化合物は、ジチオカルバミン酸モリブデン、またはジチオリン酸モリブデンであり得る。
【0062】
上記モリブデン化合物は、上記潤滑組成物に0〜1000ppm、または5〜1000ppm、または10〜750ppm、5ppm〜400ppm、または20ppm〜350ppmのモリブデンを提供し得る。抗酸化剤として使用され得るジチオカルバミン酸モリブデンの例としては、Vanlube 822
TMおよびMolyvan
TM A(R. T. Vanderbilt Co., Ltd.製)およびAdeka Sakura−Lube
TM S−100、S−165、S−600および525、のような商品名の下で販売される市販品またはこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
別の実施形態において、上記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、硫化オレフィンであり得る。上記硫化オレフィンは、ポリスルフィドであり得る。
【0064】
一実施形態において、上記硫化オレフィンとしては、ジヒドロカルビルポリスルフィド;硫化オレフィン;天然起源および合成起源両方の硫化脂肪酸エステル;トリチオン(trithione);硫化チエニル誘導体;硫化テルペン;C2−C8モノオレフィンの硫化オリゴマー;ならびに硫化Diels−Alder付加物(例えば、米国特許再発行第27,331号に開示されるもの)が挙げられる。具体例としては、とりわけ、硫化ポリイソブテン、硫化イソブチレン、硫化ジイソブチレン、硫化トリイソブチレン、ジシクロヘキシルポリスルフィド、ジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジノニルポリスルフィド、およびジ−tert−ブチルポリスルフィドの混合物(例えば、ジ−tert−ブチルトリスルフィド、ジ−tert−ブチルテトラスルフィドおよびジ−tert−ブチルペンタスルフィドの混合物)が挙げられる。硫黄含有耐摩耗剤および/または極圧剤のこのようなカテゴリーの組み合わせもまた、使用され得る(例えば、硫化イソブチレンとジ−tert−ブチルトリスルフィドとの組み合わせ、硫化イソブチレンとジノニルトリスルフィドとの組み合わせ、硫化トール油とジベンジルポリスルフィドとの組み合わせ)。
【0065】
さらなる実施形態において、上記ポリスルフィド分子のうちの少なくとも50重量%は、トリスルフィドまたはテトラスルフィドの混合物である。他の実施形態において、上記ポリスルフィド分子のうちの少なくとも55重量%、または少なくとも60重量%は、トリスルフィドまたはテトラスルフィドの混合物である。
【0066】
上記ポリスルフィドは、油、脂肪酸またはエステル(例えば、エステル含有硫化オレフィン)、オレフィンまたはポリオレフィンに由来する硫化有機ポリスルフィドを含む。
【0067】
硫化され得る油としては、天然または合成の油(例えば、鉱油、ラード油、脂肪族アルコールおよび脂肪酸または脂肪族カルボン酸に由来するカルボン酸エステル(例えば、オレイン酸ミリスチルおよびオレイン酸オレイル)、ならびに合成不飽和エステルまたはグリセリドが挙げられる。
【0068】
脂肪酸は、8〜30個、または12〜24個の炭素原子を含むものを含む。脂肪酸の例としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびトール油が挙げられる。混合不飽和脂肪酸エステルから調製される硫化脂肪酸エステルは、動物性脂および植物性油(トール油、亜麻仁油、ダイズ油、菜種油、および魚油が挙げられる)から得られる。
【0069】
上記ポリスルフィドは、広い範囲のアルケンに由来するオレフィンを含む。上記アルケンは、代表的には、1個以上の二重結合を有する。上記オレフィンは、一実施形態において、3〜30個の炭素原子を含む。他の実施形態において、オレフィンは、3〜16個、または3〜9個の炭素原子を含む。一実施形態において、上記硫化オレフィンは、プロピレン、イソブチレン、ペンテンまたはこれらの混合物に由来するオレフィンを含む。
【0070】
別の実施形態において、上記ポリスルフィドは、公知の技術による重合から得られるポリオレフィン、上記のとおりのオレフィンを含む。
【0071】
さらに別の実施形態において、上記ポリスルフィドは、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化ジシクロペンタジエン、硫化テルペン、および硫化Diels−Alder付加物を含む。
【0072】
さらなる実施形態において、上記硫化オレフィンは、エステル含有硫化オレフィンであり得る。上記エステル含有硫化オレフィンは、硫化4−カルボブトキシシクロヘキセンを含み得る。
【0073】
なおさらなる実施形態において、上記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、チアジアゾール化合物であり得る。チアジアゾールの例としては、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールまたはそのオリゴマー、ヒドロカルビル置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ヒドロカルビルチオ置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールまたはそのオリゴマーが挙げられる。ヒドロカルビル置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールのオリゴマーは、代表的には、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール単位の間で硫黄−硫黄結合を形成して、上記チアジアゾール単位のうちの2個以上のオリゴマーを形成することによって形成する。これらチアジアゾール化合物はまた、ポリイソブチレンスクシンイミドのジメルカプトチアジアゾール誘導体の形成において、以下で言及され得るように分散剤の後処理において使用され得る。
【0074】
適切なチアジアゾール化合物の例としては、ジメルカプトチアジアゾール、2,5−ジメルカプト−[1,3,4]−チアジアゾール、3,5−ジメルカプト−[1,2,4]−チアジアゾール、3,4−ジメルカプト−[1,2,5]−チアジアゾール、または4−5−ジメルカプト−[1,2,3]−チアジアゾールのうちの少なくとも1種を含む。代表的には、市販される物質(例えば、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールまたはヒドロカルビル置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールまたはヒドロカルビルチオ置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)が、一般に利用される。
【0075】
一実施形態において、上記亜鉛非含有硫黄含有耐摩耗剤は、(チオ)リン含有化合物のアミン塩であり得る。上記(チオ)リン含有化合物のアミン塩は、リン酸炭化水素エステル(phosphate hydrocarbon ester)のアミン塩(すなわち、リン酸の炭化水素エステルのアミン塩)であり得る。上記リン酸炭化水素エステルのアミン塩は、ホスフェートのアミン塩に由来し得る。上記リン酸炭化水素エステルのアミン塩は、式:
【化4】
によって表され得、ここで
R
3およびR
4は、独立して、水素または代表的には、4〜40個、または6〜30個、または6〜18個、または8〜18個の炭素原子を含む炭化水素であり得るが、ただし少なくとも1個は、炭化水素基であり;そして
R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり得るが、ただし少なくとも1個は、ヒドロカルビル基である。
【0076】
上記R
3および/またはR
4の炭化水素基は、直鎖状、分枝状または環式であり得る。
【0077】
上記リン酸炭化水素エステルのアミン塩は、米国特許第6,468,946号に記載されるように調製され得る。第10欄第15〜63行目は、リン酸炭化水素エステルのアミン塩を形成するために、リン化合物の反応、続いて、アミンとの反応によって形成されるリン酸エステルを記載する。第10欄第64行目〜第12欄第23行目は、リン酸炭化水素エステルのアミン塩を形成するために、五酸化リンとアルコール(4〜13個の炭素原子を有する)との間の反応、続いて、アミン(代表的には、Primene(登録商標)81−R)との反応の調製例を記載する。
【0078】
上記(チオ)リン含有化合物のアミン塩はまた、欧州特許出願第2 318 493 A号、および同第2 113 023 A号に記載される化合物であり得る。両方の欧州特許出願に開示されるのは、アミンと、(i)リン酸のヒドロキシ置換されたジエステルか、または(ii)両公報の式(1)および(1a)によって表されるリン酸のリン酸化ヒドロキシ置換されたジエステルもしくはトリエステルのいずれかと反応させる工程を含むプロセスによって得られた/得ることができる、リン化合物の硫黄非含有アミン塩である。
【0079】
上記潤滑組成物は、0.01重量%〜1.5重量%の硫化オレフィン、0.05重量%〜1.5重量%の分散性アミン基でさらに官能化されたオレフィンコポリマーを含み得る。
【0080】
上記潤滑組成物は、0.01〜0.75重量%、または0.05重量%〜0.5重量%、または0.1重量%〜0.4重量%の範囲の量で存在する、ジチオカルバミン酸モリブデンおよびジチオリン酸モリブデン(代表的には、ジチオカルバミン酸モリブデン)から本質的になる群より選択されるモリブデン含有化合物をさらに含み得る。
【0081】
上記潤滑組成物は、0.01重量%〜0.75重量%のジチオカルバミン酸モリブデン、0.05重量%〜1.5重量%の分散性アミン基でさらに官能化されたオレフィンコポリマーを含み得、ここで上記オレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである。
【0082】
上記潤滑組成物は、0.01重量%〜1.5重量%の硫化オレフィン、0.01重量%〜0.75重量%のジチオカルバミン酸モリブデン、0.05重量%〜1.5重量%の分散性アミン基でさらに官能化されたオレフィンコポリマーを含み得、ここで上記オレフィンコポリマーは、エチレン−プロピレンコポリマーである。
【0083】
(他の性能添加剤)
潤滑組成物は、本明細書で記載されるプロセスの生成物を、必要に応じて、他の性能添加剤(本明細書で以下に記載されるとおり)の存在下で潤滑粘度の油に添加することによって調製され得る。
【0084】
本発明の潤滑組成物は、必要に応じて、他の性能添加剤を含む。上記他の性能添加剤は、金属不活性化剤、粘度調整剤、清浄剤、摩擦調整剤、耐摩耗剤、腐食防止剤、分散剤、分散性粘度調整剤、極圧剤、抗酸化剤、消泡剤、抗乳化剤、流動点降下剤、シール膨潤剤(seal swelling agent)およびこれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む。代表的には、完全に配合された潤滑油は、これら性能添加剤のうちの1種以上を含む。
【0085】
一実施形態において、本発明は、過塩基性金属含有清浄剤をさらに含む潤滑組成物を提供する。上記金属含有清浄剤の金属は、亜鉛、ナトリウム、カルシウム、バリウム、またはマグネシウムであり得る。代表的には、上記金属含有清浄剤の金属は、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムであり得る。
【0086】
上記過塩基性金属含有清浄剤は、非硫黄含有フェネート、硫黄含有フェネート、スルホネート、サリキサレート、サリチレート、およびこれらの混合物、またはこれらのホウ素化等価物からなる群より選択され得る。上記過塩基性清浄剤は、ホウ酸のようなホウ素化剤でホウ素化され得る。
【0087】
上記過塩基性金属含有清浄剤はまた、例えば、米国特許第6,429,178号;同第6,429,179号;同第6,153,565号;および同第6,281,179号に記載されるように、フェネートおよび/またはスルホネート成分を含む混合界面活性剤系、例えば、フェネート/サリチレート、スルホネート/フェネート、スルホネート/サリチレート、スルホネート/フェネート/サリチレート、で形成される「ハイブリッド」清浄剤を含み得る。例えば、ハイブリッドスルホネート/フェネート清浄剤が使用される場合、上記ハイブリッド清浄剤は、それぞれ、フェネート石鹸およびスルホネート石鹸の同様の量を導入する個々のフェネート清浄剤およびスルホネート清浄剤の量に等価であると考えられる。
【0088】
代表的には、過塩基性金属含有清浄剤は、フェネート、硫黄含有フェネート、スルホネート、サリキサレートまたはサリチレートの亜鉛、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムの塩であり得る。過塩基性サリキサレート、フェネートおよびサリチレートは、代表的には、180〜450TBNの全塩基価を有する。過塩基性スルホネートは、代表的には、250〜600、または300〜500の全塩基価を有する。過塩基性清浄剤は、当該分野で公知である。一実施形態において、上記スルホネート清浄剤は、米国特許出願第2005065045号(および米国特許第7,407,919号として認められたもの)の段落[0026]〜[0037]に記載されるとおり、金属比少なくとも8を有する主に直鎖状のアルキルベンゼンスルホネート清浄剤であり得る。上記主に直鎖状のアルキルベンゼンスルホネート清浄剤は、燃費を改善するのを補助するために特に有用であり得る。
【0089】
代表的には、上記過塩基性金属含有清浄剤は、カルシウムまたはマグネシウムの過塩基性清浄剤であり得る。
【0090】
過塩基性清浄剤は、当該分野で公知である。過塩基性物質(他には、過塩基性塩または超塩基性塩ともいわれる)は、一般に、金属および上記金属と反応させられる特定の酸性有機化合物の化学量論に従って中和のために存在する金属含有量によって特徴付けられる単相の均質なニュートン系である。上記過塩基性物質は、酸性物質(代表的には、無機酸または低級カルボン酸、好ましくは、二酸化炭素)と、酸性有機化合物、反応媒体(上記酸性有機物質のための少なくとも1種の不活性有機溶媒(鉱油、ナフサ、トルエン、キシレンなど)を含む)、化学量論的に過剰の金属塩基、ならびに促進剤(例えば、塩化カルシウム、酢酸、フェノールまたはアルコール)を含む混合物とを、反応させることによって調製される。上記酸性有機物質は、通常、油中である程度の可溶性を提供するために、十分な炭素原子数を有する。「過剰」量の金属(化学量論的に)は、一般に、金属比の観点から表される。用語「金属比」とは、上記酸性有機化合物の当量に対する金属の合計当量の比である。中性金属塩は、金属比1を有する。通常の塩に存在するものの3.5倍程度の金属を有する塩は、金属過剰3.5当量、または比4.5を有する。用語「金属比」はまた、標題「Chemistry and Technology of Lubricants」という標準テキストの、Third Edition, R. M. Mortier and S. T. Orszulik(編), Copyright 2010, 第219ページ、小見出し7.25の中で説明されている。
【0091】
別の実施形態において、上記潤滑組成物は、硫酸灰分含有量が1000ppm以下(例えば、100ppm〜1000ppm、または300ppm〜900ppm)であるような量で、スルホン酸カルシウム過塩基性清浄剤および石炭酸カルシウム過塩基性清浄剤をさらに含む。
【0092】
上記潤滑組成物は、さらなる実施形態において、抗酸化剤を含み、ここで上記抗酸化剤は、フェノール性抗酸化剤、またはアミン性抗酸化剤、またはこれらの混合物を含む。上記抗酸化剤としては、ジアリールアミン、アルキル化ジアリールアミン、ヒンダードフェノール、またはこれらの混合物が挙げられる。存在する場合、上記抗酸化剤は、上記潤滑組成物のうちの0.1重量%〜3重量%、または0.5重量%〜2.75重量%、または1重量%〜2.5重量%で存在する。
【0093】
上記ジアリールアミンまたはアルキル化ジアリールアミンは、フェニル−α−ナフチルアミン(PANA)、アルキル化ジフェニルアミン、またはアルキル化フェニルナフチルアミン、またはこれらの混合物であり得る。上記アルキル化ジフェニルアミンは、ジノニル化ジフェニルアミン、ノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジオクチル化ジフェニルアミン、ジデシル化ジフェニルアミン、デシルジフェニルアミンおよびこれらの混合物を含み得る。一実施形態において、上記ジフェニルアミンは、ノニルジフェニルアミン、ジノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジオクチルジフェニルアミン、またはこれらの混合物を含み得る。別の実施形態において、上記アルキル化ジフェニルアミンは、ノニルジフェニルアミン、またはジノニルジフェニルアミンを含み得る。上記アルキル化ジアリールアミンは、オクチルフェニルナフチルアミン、ジオクチルフェニルナフチルアミン、ノニルフェニルナフチルアミン、ジノニルフェニルナフチルアミン、デシルフェニルナフチルアミンまたはジデシルフェニルナフチルアミンを含み得る。
【0094】
上記ヒンダードフェノール抗酸化剤は、しばしば、二級ブチル基および/または三級ブチル基を立体障害基として含む。上記フェノール基は、ヒドロカルビル基(代表的には、直鎖状または分枝状のアルキル)および/または第2の芳香族基に連結する架橋基でさらに置換され得る。適切なヒンダードフェノール抗酸化剤の例としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、または4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、または4−ドデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールが挙げられる。一実施形態において、上記ヒンダードフェノール抗酸化剤は、エステルであり得、例えば、CibaのIrganox
TM L−135を含み得る。適切なエステル含有ヒンダードフェノール抗酸化剤化学のより詳細な説明は、米国特許第6,559,105号に見いだされる。
【0095】
上記潤滑組成物は、さらなる実施形態において、分散剤またはその混合物を含み得る。上記分散剤は、スクシンイミド分散剤、Mannich分散剤、スクシンアミド分散剤、ポリオレフィンコハク酸エステル、アミド、またはエステル−アミド、またはこれらの混合物であり得る。一実施形態において、上記分散剤は、単一の分散剤として存在し得る。一実施形態において、上記分散剤は、2種または3種の異なる分散剤の混合物として存在し得、ここで少なくとも1種は、スクシンイミド分散剤であり得る。
【0096】
上記スクシンイミド分散剤は、脂肪族ポリアミンまたはその混合物に由来し得る。上記脂肪族ポリアミンは、エチレンポリアミン、プロピレンポリアミン、ブチレンポリアミン、またはこれらの混合物のような脂肪族ポリアミンであり得る。一実施形態において、上記脂肪族ポリアミンは、エチレンポリアミンであり得る。一実施形態において、上記脂肪族ポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアミンスチルボトム(polyamine still bottom)、およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0097】
一実施形態において、上記分散剤は、ポリオレフィンコハク酸エステル、アミド、またはエステル−アミドであり得る。例えば、ポリオレフィンコハク酸エステルは、ペンタエリスリトールのポリイソブチレンコハク酸エステル、またはその混合物であり得る。ポリオレフィンコハク酸エステル−アミドは、上記で記載されるとおりの、アルコール(例えば、ペンタエリスリトール)およびポリアミンと反応したポリイソブチレンコハク酸であり得る。
【0098】
上記分散剤は、N置換された長鎖アルケニルスクシンイミドであり得る。N置換された長鎖アルケニルスクシンイミドの例は、ポリイソブチレンスクシンイミドである。代表的には、ポリイソブチレンコハク酸無水物が由来する上記ポリイソブチレンは、数平均分子量350〜5000、または550〜3000または750〜2500を有する。スクシンイミド分散剤およびそれらの調製物は、例えば、米国特許第3,172,892号、同第3,219,666号、同第3,316,177号、同第3,340,281号、同第3,351,552号、同第3,381,022号、同第3,433,744号、同第3,444,170号、同第3,467,668号、同第3,501,405号、同第3,542,680号、同第3,576,743号、同第3,632,511号、同第4,234,435号、同再発行第26,433号、および米国特許第6,165,235号、同第7,238,650号ならびに欧州特許出願第0 355 895 A号に開示される。
【0099】
上記分散剤はまた、種々の剤のうちのいずれかとの反応によって従来の方法で後処理され得る。これらの中には、ホウ素化合物(例えば、ホウ酸)、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸(例えば、テレフタル酸)、炭化水素置換されたコハク酸無水物、マレイン酸無水物、ニトリル、エポキシド、およびリン化合物がある。一実施形態において、後処理された分散剤は、ホウ素化されている。一実施形態において、上記後処理された分散剤は、ジメルカプトチアジアゾールと反応させられる。一実施形態において、上記後処理された分散剤は、リン酸または亜リン酸と反応させられる。一実施形態において、上記後処理された分散剤は、テレフタル酸およびホウ酸と反応させられる(米国特許出願第2009/0054278号に記載されるとおり)。
【0100】
存在する場合、上記分散剤は、上記潤滑組成物のうちの0.01重量%〜20重量%、または0.1重量%〜15重量%、または0.1重量%〜10重量%、または1重量%〜6重量%、または1〜3重量%で存在し得る。
【0101】
一実施形態において、上記摩擦調整剤は、アミンの長鎖脂肪酸誘導体、長鎖脂肪エステル、または長鎖脂肪エポキシドの誘導体;脂肪イミダゾリン;アルキルリン酸のアミン塩;脂肪アルキルタートレート;脂肪アルキル酒石酸イミド(tartrimide);脂肪アルキル酒石酸アミド(tartramide);脂肪グリコレート;ならびに脂肪グリコールアミドからなる群より選択され得る。上記摩擦調整剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜6重量%、または0.01重量%〜4重量%、または0.05重量%〜2重量%、または0.1重量%〜2重量%で存在し得る。
【0102】
本明細書で使用される場合、摩擦調整剤に関して用語「脂肪アルキル」または「脂肪の」とは、10〜22個の炭素原子を有する炭素鎖、代表的には、直鎖状の炭素鎖を意味する。
【0103】
適切な摩擦調整剤の例としては、以下が挙げられる:アミンの長鎖脂肪酸誘導体、脂肪エステル、または脂肪エポキシド;脂肪イミダゾリン(例えば、カルボン酸およびポリアルキレン−ポリアミンの縮合生成物);アルキルリン酸のアミン塩;脂肪アルキルタートレート;脂肪アルキル酒石酸イミド;脂肪アルキル酒石酸アミド;脂肪ホスホネート;脂肪ホスファイト;ホウ素化リン脂質、ホウ素化脂肪エポキシド;グリセロールエステル;ホウ素化グリセロールエステル;脂肪アミン;アルコキシル化脂肪アミン;ホウ素化アルコキシル化脂肪アミン;ヒドロキシルおよびポリヒドロキシ脂肪アミン(三級ヒドロキシ脂肪アミンを含む);ヒドロキシアルキルアミド;脂肪酸の金属塩;アルキルサリチレートの金属塩;脂肪オキサゾリン;脂肪エトキシル化アルコール;カルボン酸およびポリアルキレンポリアミンの縮合生成物;または脂肪カルボン酸とグアニジン、アミノグアニジン、尿素、もしくはチオ尿素およびこれらの塩からの反応生成物。
【0104】
摩擦調整剤はまた、硫化脂肪化合物およびオレフィンのような物質、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸のひまわり油またはダイズ油モノエステルを含み得る。
【0105】
別の実施形態において、上記摩擦調整剤は、長鎖脂肪酸エステルであり得る。別の実施形態において、上記長鎖脂肪酸エステルは、モノエステルであり得、別の実施形態において、上記長鎖脂肪酸エステルは、トリグリセリドであり得る。
【0106】
上記潤滑組成物は、必要に応じて、少なくとも1種の耐摩耗剤をさらに含む。適切な耐摩耗剤の例としては、チタン化合物、タートレート、酒石酸イミド、リン化合物の油溶性アミン塩、硫化オレフィン、金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート(例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛)、ホスファイト(例えば、亜リン酸ジブチル)、ホスホネート、チオカルバメート含有化合物(例えば、チオカルバメートエステル、チオカルバメートアミド、チオカルバミン酸エーテル、アルキレン結合チオカルバメート、およびビス(S−アルキルジチオカルバミル)ジスルフィド)が挙げられる。上記耐摩耗剤は、一実施形態において、国際公開第2006/044411またはカナダ国特許第1 183 125号に開示されるとおり、タートレート、または酒石酸イミド(tartrimide)を含み得る。上記タートレートまたは酒石酸イミドは、アルキル−エステル基を含み得、ここで上記アルキル基上の炭素原子の合計は、少なくとも8である。上記耐摩耗剤は、一実施形態において、米国特許出願第20050198894号に開示されるようにシトレートを含み得る。
【0107】
添加剤の別のクラスは、米国特許第7,727,943号および米国特許出願公開第2006/0014651号に開示されるとおりの油溶性チタン化合物を含む。上記油溶性チタン化合物は、耐摩耗剤、摩擦調整剤、抗酸化剤、堆積制御添加剤、またはこれら機能のうちの1つより多くとして機能し得る。一実施形態において、上記油溶性チタン化合物は、チタン(IV)アルコキシドである。上記チタンアルコキシドは、一価アルコール、ポリオールまたはこれらの混合物から形成される。上記一価アルコキシドは、2〜16個、または3〜10個の炭素原子を有し得る。一実施形態において、上記チタンアルコキシドは、チタン(IV)イソプロポキシドである。一実施形態において、上記チタンアルコキシドは、チタン(IV)2−エチルヘキソキシドである。一実施形態において、上記チタン化合物は、ビシナル1,2−ジオールまたはポリオールのアルコキシドを含む。一実施形態において、上記1,2−ビシナルジオールは、グリセロールの脂肪酸モノエステルを含み、しばしば、上記脂肪酸は、オレイン酸である。
【0108】
一実施形態において、上記油溶性チタン化合物は、チタンカルボキシレートである。さらなる実施形態において、上記チタン(IV)カルボキシレートは、チタンネオデカノエートである。
【0109】
上記潤滑組成物は、一実施形態において、リン含有耐摩耗剤をさらに含み得る。代表的には、上記リン含有耐摩耗剤は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ホスファイト、ホスフェート、ホスホネート、およびリン酸アンモニウム塩、またはこれらの混合物であり得る。ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、当該分野で公知である。上記耐摩耗剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜3重量%、または0.1重量%〜1.5重量%、または0.5重量%〜0.9重量%の量で存在し得る。
【0110】
油に可溶性の極圧(EP)剤としては、硫黄含有およびクロロ硫黄(chlorosulphur)含有のEP剤、ジメルカプトチアジアゾールまたは分散剤(代表的には、スクシンイミド分散剤)のCS
2誘導体、塩素化炭化水素EP剤の誘導体およびリンEP剤が挙げられる。このようなEP剤の例としては、以下が挙げられる:塩素化ワックス;硫化オレフィン(例えば、硫化イソブチレン)、ヒドロカルビル置換された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールまたはそのオリゴマー、有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えば、ジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、ならびに硫化Diels−Alder付加物;ホスホ硫化炭化水素(例えば、硫化リンとテレピン油またはオレイン酸メチルとの反応生成物);リンエステル(例えば、ジ炭化水素ホスファイトおよびトリ炭化水素ホスファイト、例えば、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸ジシクロヘキシル、亜リン酸ペンチルフェニル;亜リン酸ジペンチルフェニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸ジステアリルおよびポリプロピレン置換されたフェノールホスファイト);金属チオカルバメート(例えば、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛およびヘプチルフェノール二酸バリウム);アルキルおよびジアルキルリン酸のアミン塩または誘導体(例えば、ジアルキルジチオリン酸とプロピレンオキシドとの反応生成物のアミン塩およびその後に行われるP
2O
5とのさらなる反応を含む);ならびにこれらの混合物(米国特許第3,197,405号に記載されるとおり)。
【0111】
本発明の組成物において有用であり得る消泡剤としては、ポリシロキサン、エチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートおよび必要に応じてビニルアセテートとのコポリマー;フッ素化ポリシロキサンを含む抗乳化剤、トリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーが挙げられる。
【0112】
本発明の組成物において有用であり得る流動点降下剤としては、ポリαオレフィン、マレイン酸無水物−スチレンコポリマーのエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリレートまたはポリアクリルアミドが挙げられる。
【0113】
抗乳化剤は、トリアルキルホスフェート、ならびにエチレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシドの種々のポリマーおよびコポリマー、またはこれらの混合物を含む。
【0114】
金属不活性化剤は、ベンゾトリアゾール(代表的には、トリルトリアゾール)の誘導体、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾールまたは2−アルキルジチオベンゾチアゾールを含む。上記金属不活性化剤はまた、腐食防止剤として記載され得る。
【0115】
シール膨潤剤は、スルホレン誘導体Exxon Necton−37
TM(FN 1380)およびExxon Mineral Seal Oil
TM(FN 3200)を含む。
【0116】
(産業上の利用可能性)
上記内燃機関は、4ストロークエンジンであり得る。上記内燃機関は、排気再循環システムを有しても有していなくてもよい。上記内燃機関は、排出物浄化システムまたはターボチャージャーと適合され得る。排出物浄化システムの例としては、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)、または選択的触媒還元(SCR)を使用するシステムが挙げられる。
【0117】
上記潤滑組成物の硫黄含有量は、1重量%以下、または0.8重量%以下、または0.5重量%以下、または0.3重量%以下であり得る。一実施形態において、上記硫黄含有量は、0.001重量%〜0.5重量%、または0.01重量%〜0.3重量%の範囲にあり得る。上記リン含有量は、0.2重量%以下、または0.12重量%以下、または0.1重量%以下、または0.085重量%以下、または0.08重量%以下、またはさらに0.06重量%以下、0.055重量%以下、または0.05重量%以下であり得る。一実施形態において、上記リン含有量は、0.04重量%〜0.12重量%であり得る。一実施形態において、上記リン含有量は、100ppm〜1000ppm、または200ppm〜600ppmであり得る。総硫酸灰分含有量は、上記潤滑組成物のうちの0.3重量%〜1.2重量%、または0.5重量%〜1.1重量%であり得る。一実施形態において、上記硫酸灰分含有量は、上記潤滑組成物のうちの0.5重量%〜1.1重量%であり得る。
【0118】
一実施形態において、上記潤滑組成物は、上記潤滑組成物のうちの(i)硫黄含有量0.5重量%以下、(ii)リン含有量0.12重量%以下、および(iii)硫酸灰分含有量0.5重量%〜1.1重量%のうちの少なくとも1つを有すると特徴付けられ得る。
【0119】
上記潤滑組成物は、XW−Y(ここでXは、0、5、10、または15であり得;Yは、20、30、または40であり得る)のSAE粘性グレードを有し得る。
【0120】
以下の実施例は、本発明の実例を提供する。これら実施例は網羅的ではなく、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0121】
実施例1(EX1)は、少なくとも74重量%のAPIグループIII/グループIV基油混合物、約300ppmのモリブデンをもたらす量で存在するジチオカルバミン酸モリブデン、0.33重量%の分散性粘度調整剤(これは、エチレン−プロピレンコポリマーとマレイン酸無水物とを反応させ、それと3−ニトロアニリンおよびジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)と反応させることによって調製される)を含む0W−30潤滑組成物である。上記潤滑組成物は、ポリイソブチレンスクシンイミド、2.1重量%のアミン性抗酸化剤とフェノール性抗酸化剤との混合物、0.65重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛、0.1重量%の過塩基性スルホン酸カルシウム、1重量%の過塩基性石炭酸カルシウム、および0.6重量%の粘度調整剤をさらに含む。上記潤滑組成物は、硫黄含有量0.3重量%未満、リン含有量約600ppm、および硫酸灰分含有量0.55重量%を有する。
【0122】
実施例2(EX2)は、少なくとも74重量%のAPIグループIII/グループIV基油混合物、0.3重量%の硫化オレフィン、0.33重量%の分散性粘度調整剤(エチレン−プロピレンコポリマーとマレイン酸無水物とを反応させ、それと3−ニトロアニリンおよびジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)とを反応させることによって調製される)を含む0W−30潤滑組成物である。上記潤滑組成物は、ポリイソブチレンスクシンイミド、2.1重量%のアミン性抗酸化剤とフェノール性抗酸化剤との混合物、0.65重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛、0.1重量%の過塩基性スルホン酸カルシウム、1重量%の過塩基性石炭酸カルシウム、および0.6重量%の粘度調整剤をさらに含む。上記潤滑組成物は、硫黄含有量0.3重量%未満、リン含有量約600ppm、および硫酸灰分含有量0.55重量%を有する。
【0123】
比較例1(CE1)は、潤滑剤がジチオカルバミン酸モリブデンも、分散性粘度調整剤も、硫化オレフィンも含まないことを除いて、EX1と同様である。上記潤滑組成物は、硫黄含有量0.3重量%未満、リン含有量約600ppm、および硫酸灰分含有量0.55重量%を有する。
【0124】
比較例2(CE2)は、500ppmのモリブデンをもたらす量で存在するジチオカルバミン酸モリブデンを含み、分散性粘度調整剤を含まず、硫化オレフィンを含むことを除いて、EX1と同様である。上記潤滑組成物は、硫黄含有量0.3重量%未満、リン含有量約600ppm、および硫酸灰分含有量0.55重量%を有する。
【0125】
比較例3(CE3)は、0.2重量%の硫化オレフィンを含み、ジチオカルバミン酸モリブデンも分散性粘度調整剤も含まないことを除いて、EX2と同様である。上記潤滑組成物は、硫黄含有量0.3重量%未満、リン含有量約600ppm、および硫酸灰分含有量0.55重量%を有する。
【0126】
比較例4(CE4)は、ジチオカルバミン酸モリブデンを含まないことを除いて、EX1と同様である。上記潤滑組成物は、硫黄含有量0.3重量%未満、リン含有量約600ppm、および硫酸灰分含有量0.55重量%を有する。
【0127】
潤滑実施例EX1、EX2、およびCE1〜CE4を、2011年〜2013年にAPLが行ったDW10エンジン試験プロトコルによって評価する。上記試験について得られた結果を、以下の表に示す。代表的には、7以上の評点を有するサンプルに関してより良好な結果が得られ、上記試験は、最低合格評点7を条件とする。
【表1】
【0128】
上記DW10ラッシュアジャスター試験から得られた結果は、本発明によって定義される潤滑組成物が、上記試験に合格し、本願発明の範囲外の潤滑組成物が、試験に合格しないことを示す。
【0129】
上記の物質のうちのいくらかが、最終配合物の中で相互作用し得、その結果、最終配合物の成分が最初に添加されるものとは異なり得ることは、公知である。それによって形成される生成物は、その意図された使用において本発明の潤滑組成物を使用する際に形成される生成物を含め、容易に記載することは可能でないと思われる。にもかかわらず、全てのこのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記の成分を混合することによって調製される潤滑組成物を包含する。
【0130】
上記で言及される文書の各々は、本明細書に参考として援用される。実施例におけるもの、または別段明示的に示されている箇所を除いて、物質の量、反応条件、分子量または炭素原子数などを特定する本明細書中の全ての数量は、語句「約」によって修飾されると理解されるべきである。別段示されなければ、本明細書で言及される各化合物または組成物は、市販のグレードの物質であると解釈されるべきであり、上記物質は、異性体、副生成物、誘導体、および市販のグレードに存在すると通常理解される他のこのような物質を含み得る。しかし、各化学成分の量は、別段示されなければ、市販の物質に慣例上存在し得る任意の溶媒または希釈油を除いて示される。本明細書で示される量、範囲、および比の上限および下限は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲および量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲または量といっしょに使用され得る。
【0131】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」とは、その通常の意味で使用され、これは、当業者に周知である。具体的には、それは、分子の残りに直接結合された炭素原子を有し、主に炭化水素特性を有する基をいう。ヒドロカルビル基の例としては、以下が挙げられる:炭化水素置換基(脂肪族、脂環式、および芳香族の置換基を含む);置換された炭化水素置換基(すなわち、本発明の文脈では、上記置換基の主に炭化水素の性質を変化させない非炭化水素基を含む置換基);およびヘテロ置換基(すなわち、主に炭化水素特性を同様に有するが、環または鎖の中に炭素以外を含む置換基)。用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」のより詳細な定義は、国際公開第2008147704の段落[0118]〜[0119]、または米国特許出願公開第2010−0197536号の段落[0137]〜[0141]の同様の定義の中に記載される。
【0132】
本明細書で使用される場合、清浄剤全塩基価(TBN)は、ASTM D2896によって測定され得る。
【0133】
本発明は、その好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、本明細書を読めば、その種々の改変が当業者に明らかになることは、理解されるべきである。従って、本明細書で開示される発明が、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るような改変を網羅することが意図されることは、理解されるべきである。