(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体が流れる配管に設置され、前記流体が流入する弁箱と、前記流体の流れ方向に対して直交する方向が軸方向となる向きで、前記弁箱の内部に挿入され、一部が前記弁箱の外に露出している弁軸と、前記弁箱の内部に設けられ、前記配管と接続した流路の端部となる弁座と、前記弁軸に固定され、前記弁軸と一体で回動し、前記弁座と当接し、前記配管を全閉することが可能な弁体と、前記弁軸の前記弁箱の外側の部分に一部が固定され、前記弁軸に対して交差する方向に延在し、前記弁軸と一体で回動する回動体と、前記回動体の前記弁軸から離れた位置に配置された錘と、を有する逆止弁の衝撃低減装置であって、
前記弁体と前記弁座が接触した場合に前記回動体の鉛直方向下側となる端部に設置されたアダプタと、
設置面に固定され、前記弁体と前記弁座が接触した場合に前記アダプタの第1面と接触し、前記アダプタを支持する第2面を備える固定部と、を有する衝撃低減装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
逆止弁は、弁座に弁体を接触させ、配管を弁体で塞ぐことで、流体の逆流を抑制しており、流体が流れなくなると、弁体が弁座と接触する位置に移動する機構となる。このため、流体の流れが急に止まった場合等は、弁体が閉じる方向に加速しながら移動することになり、弁体が弁座に衝突する際の力が大きくなる。弁体が弁座に強い力で衝突すると、弁体が弁座に固着し、所定の方向への流体の流れが再開しても、弁体が移動しないことが生じる恐れがある。
【0006】
特許文献1に記載の逆止弁も、弁座に弁体が固着する恐れがある。また、特許文献1に記載された逆止弁は、ワンウエイクラッチが、弁体が閉じる際の抵抗となり、完全に閉じた状態にならない恐れがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、弁体と弁座とが接触可能な状態を維持しつつ、弁体と弁座とが固着することを抑制することができる衝撃低減装置及びこれを用いる逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る衝撃低減装置は、流体が流れる配管に設置され、前記流体が流入する弁箱と、前記流体の流れ方向に対して直交する方向が軸方向となる向きで、前記弁箱の内部に挿入され、一部が前記弁箱の外に露出している弁軸と、前記弁箱の内部に設けられ、前記配管と接続した流路の端部となる弁座と、前記弁軸に固定され、前記弁軸と一体で回動し、前記弁座と当接し、前記配管を全閉することが可能な弁体と、前記弁軸の前記弁箱の外側の部分に一部が固定され、前記弁軸に対して交差する方向に延在し、前記弁軸と一体で回動する回動体と、前記回動体の前記弁軸から離れた位置に配置された錘と、を有する逆止弁の衝撃低減装置であって、前記弁体と前記弁座が接触した場合に前記回動体の鉛直方向下側となる端部に設置されたアダプタと、設置面に固定され、前記弁体と前記弁座が接触した場合に前記アダプタの第1面と接触し、前記アダプタを支持する第2面を備える固定部と、を有する。
【0009】
上記構成により、弁体が弁座と接触する位置に到達した場合に、アダプタの第1面と固定部の第2面とを衝突させることができる。また、弁座及び配管に対して、弁体及び回動体が弁体を閉じる方向に必要以上に回動することを防止することができる。これにより、弁体が閉じる方向に移動し弁座と接触する際に、弁体と弁座に生じる衝撃の一部をアダプタと固定部で受けることができ、弁体と弁座に大きな衝撃が生じ、弁座に弁体が固着することを抑制することができる。また、アダプタと固定部は、弁体が閉じる方向に移動し弁座と接触するまで、弁体の移動に対する影響が小さいため、逆止弁として機能する必要がある場合に、弁体が弁座に接触する位置まで移動しないことを抑制することができる。また、逆止弁が全閉状態になるときに生じる弁体と弁座との衝突による衝撃を低減することができ、逆止弁の寿命を延ばすことができる。
【0010】
前記固定部は、前記第2面に対する前記第1面の位置を調整する衝突位置調整機構を有することが好ましい。これにより、弁体と弁座とが接触する位置に移動した際の第1面と第2面の相対位置を微調整することができる。また、第1面と第2面で受ける衝撃の割合を調整することができ、より確実に、弁体と弁座とが接触可能な状態を維持しつつ、弁体と弁座とが固着することを抑制することができる。
【0011】
前記アダプタは、前記第1面に対する前記第2面の位置を調整する衝突位置調整機構を有することが好ましい。これにより、弁体と弁座とが接触する位置に移動した際の第1面と第2面の相対位置を微調整することができる。また、第1面と第2面で受ける衝撃の割合を調整することができ、より確実に、弁体と弁座とが接触可能な状態を維持しつつ、弁体と弁座とが固着することを抑制することができる。
【0012】
前記設置面は、地面または土台であることが好ましい。これにより、第1面と第2面とが接触することで生じる力を固定部でより確実に受けることができ、弁体が弁座に固着することをより確実に抑制することができる。
【0013】
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に衝撃吸収部材が配置されていることが好ましい。これにより、アダプタと固定部との衝突による衝撃を吸収することができる。また、逆止弁が全閉状態になるときに生じる弁体と弁座との衝突による衝撃をより低減でき、逆止弁の寿命を延ばすことができる。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る逆止弁は、流体が流れる配管に設置され、前記流体が流入する弁箱と、前記流体の流れ方向に対して直交する方向が軸方向となる向きで、前記弁箱の内部に挿入され、一部が前記弁箱の外に露出している弁軸と、前記弁箱の内部に設けられ、前記配管と接続した流路の端部となる弁座と、前記弁軸に固定され、前記弁軸と一体で回動し、前記弁座と当接し、前記配管を全閉することが可能な弁体と、前記弁軸の前記弁箱の外側の部分に一部が固定され、前記弁軸に対して交差する方向に延在し、前記弁軸と一体で回動する回動体と、前記回動体の前記弁軸から離れた位置に配置された錘と、上記のいずれか一項に記載の衝撃低減装置と、を有する。
【0015】
上記構成により、弁体が弁座と接触する位置に到達した場合に、アダプタの第1面と固定部の第2面とを衝突させることができる。また、弁座及び配管に対して、弁体及び回動体が弁体を閉じる方向に必要以上に回動することを防止することができる。これにより、弁体が閉じる方向に移動し弁座と接触する際に、弁体と弁座に生じる衝撃の一部をアダプタと固定部で受けることができ、弁体と弁座に大きな衝撃が生じ、弁座に弁体が固着することを抑制することができる。また、アダプタと固定部は、弁体が閉じる方向に移動し弁座と接触するまで、弁体の移動に対する影響が小さいため、逆止弁として機能する必要がある場合に、弁体が弁座に接触する位置まで移動しないことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、弁体と弁座とが接触可能な状態を維持しつつ、弁体と弁座とが固着することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
(第1実施形態)
図1から
図4を用いて、逆止弁10について説明する。
図1は、第1実施形態に係る衝撃低減装置を有する逆止弁が設置されている配管の概略構成を示す模式図である。
図2は、第1実施形態に係る逆止弁の概略構成を示す外観図である。
図3は、第1実施形態に係る逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図4は、第1実施形態に係る逆止弁の概略構成を示す模式図である。本実施形態では、弁箱が形成する流路の中心軸Xrに沿って上流から下流へ向かう方向を+X方向、鉛直方向上側の方向を+Y方向、+X方向及び+Y方向と直交する方向を+Z方向とする。
図1は、逆止弁10の一部構造を簡略化している。また、
図2は、逆止弁10を+Z側から−Z側に向いた方向から見たときの図である。
図3は、本実施形態に係る逆止弁10を+X側から−X側に向いた方向から見たときの図である。また、
図3は、弁箱30の一部を切り欠いた図である。
図4は、逆止弁10を、中心軸Xrを含み、かつXY平面に平行な平面で切断した断面図である。
【0020】
図1に示すように、逆止弁10は、水等の液体を所定の方向に搬送する配管6に設置されている。配管6は、一方の端部が海、ダム、池、河川、貯水槽等、液体が貯留されている領域に挿入されており、他方の端部が流体を供給する施設に接続されている。配管6には、ポンプ8が設置されている。ポンプ8は、流体をくみ上げ、配管6に一方側から他方側に流す。これにより、配管6内は、流体が所定の方向に流れる。以下、ポンプ8が動作している際に流体が流れる方向を流体の流れ方向とする。本実施形態の逆止弁10は、配管6に設置されたポンプ8よりも流れ方向下流側に配置されている。
【0021】
次に、
図2から
図4を用いて逆止弁10について説明する。逆止弁10は、弁箱30と、弁軸50と、弁体70と、弁座90と、回動体130と、錘250と、衝撃低減装置110と、を有する。
【0022】
弁箱30は、流体が流れる配管6に設置され、流体が流れる流路の一部となる筐体である。弁箱30は、流体の流れ方向の上流側の端部に第1フランジ32が形成され、下流側の端部に第2フランジ34が形成されている。第1フランジ32は、流れ方向上流側の配管6に固定されている。第2フランジ34は、流れ方向下流側の配管6に固定されている。なお、第1フランジ32及び第2フランジ34を配管6に固定する方法は特に限定されず、ボルト止め、溶接等の方法で固定することができる。弁箱30は、流れ方向上流側の配管6から流れてきた流体が流入する。弁箱30は、流入した流体を流れ方向下流側の配管6に排出する。弁箱30は、弁軸50が挿入され、かつ内部に弁体70及び弁座90が配置されている。
【0023】
弁軸50は、
図3及び
図4に示すように、流体の流れ方向に対して直交する方向が軸方向となる向き(流路の中心軸Xrに対して直交する向き)で、弁箱30の内部に挿入されている。また、弁軸50は、一部が弁箱30の外に露出している。弁軸50は、弁箱30に回動自在な状態で支持されている。例えば、弁軸50は、軸受を介して弁箱30に支持されている。
【0024】
弁体70は、弁軸50に固定され、弁軸50を軸として、弁軸50と共に矢印Rで示す方向に回動する。弁座90は、弁箱30の内部に配置され、上流側の配管6と接続した流路の端部となる。弁座90は、中空の管形状であり、流体が内部を流れる。逆止弁10は、弁体70が矢印R方向に回動することで、弁座90と接触する弁体70aの位置から、弁座90から離れた弁体70bの位置まで移動する。
【0025】
逆止弁10は、弁体70が弁体70aの位置となり、弁体70aが弁座90と接触し、弁体70aが弁座90を塞ぐことで、全閉状態となり、弁箱30内を流体が通過しないようになる。このとき、逆止弁10は、板状の弁体70の面が、弁座90の環状の端面と接触し、弁座90の中空部分を塞ぐ。逆止弁10は、弁体70が弁体70bの位置となり、弁体70bが弁箱30の空間の鉛直方向上側に配置されることで、弁箱30内の流路が大きくなる全開状態となり、弁箱30内を流体がより多く流れるようになる。
【0026】
回動体130は、棒状の部材であり、一方の端部が、弁軸50の弁箱30の外側に露出している部分に固定されている。回動体130は、弁軸50に直交する方向が延在方向となる向きで、弁軸50に固定されている。回動体130は、弁軸50を軸として、弁軸50と共に回動する。したがって、回動体130は、弁軸50及び弁体70と共に矢印R方向に回動する。なお、本実施形態の逆止弁10は、回動体130を安定して回動させることができるため、弁軸50に直交する方向が延在方向となる向きで配置したが、これに限定されない。回動体130は、弁軸50に対して交差する方向に延在していればよい。
【0027】
錘250は、回動体130の弁軸50から離れた位置に着脱可能な状態で固定されている。本実施形態の錘250は、回動体130に複数形成されたボルト孔132のうちの2つのボルト孔132に挿入された2組のボルト134及びナット136によって固定されている。錘250は、回動体130が固定されている弁軸50に対して弁体70を閉方向に移動させる方向のモーメントを付与する。逆止弁10は、回動体130に錘250が固定されていることで、弁体70が閉じる方向の力を付与することができ、流体が流れ方向に流れていない場合、弁体70を閉じる方向に移動させることができる。錘250は、2組のボルト134及びナット136によって固定するボルト孔132を切り換えることで、弁軸50からの距離を調整することができる。これにより、錘250が弁軸50に付与する、弁体70を閉方向に移動させる方向のモーメントを調整することができる。
【0028】
衝撃低減装置110は、弁体70が弁座90と接触する際に生じる衝撃を低減する機構であり、アダプタ150と、固定部170と、ゴム板190と、を有する。
【0029】
アダプタ150は、回動体130のうち弁軸50に固定された端部とは反対側の端部に設けられている。アダプタ150は、回動体130の延在方向の端部に設けられた板状部材152を含む。板状部材152は、面積が最も広い面であり、回動体130の延在方向の端部となる面が、第1面F1となる。アダプタ150は、板状部材152により、第1面F1の面積が大きくなる。
【0030】
固定部170は、構造物175と、衝突位置調整機構230と、を有する。構造物175は、地面210に固定されている。具体的には、構造物175は、ボルト177によって地面210に固定されている。構造物175は、鉛直方向上側の端部を含む面が第2面F2となる。本実施形態の第2面F2は、第1面F1よりも面積が大きい面である。
【0031】
衝突位置調整機構230は、第2面F2の位置を調整する機構であり、構造物175に設けられている。衝突位置調整機構230は、ねじ機構235を有する。ねじ機構235は、構造物175を地面210側の部分と第2面F2側の部分とに分離し、地面210側の部分に形成された雌ねじに、第2面F2側の部分に形成された雄ねじが螺合した構造である。
【0032】
ねじ機構235は、構造物175の地面210側の部分に対して、第2面F2側の部分を回転させることで、雌ねじに対して雄ねじを回転させ、構造物175の地面210側の部分に対して第2面F2側の部分を矢印方向、つまりY軸方向に移動させる。これにより、ねじ機構235は、固定された地面210に対して第2面F2を移動させる。衝突位置調整機構230は、第2面F2の位置を調整することで、第2面F2と第1面F1との相対位置を調整することができる。
【0033】
なお、本実施形態の衝突位置調整機構230は、ねじ機構235で第2面F2の位置を調整したが、ねじ機構235に限定されない。衝突位置調整機構230は、第2面F2の位置を調整する機構であればよい。衝突位置調整機構230は、例えば、ラックアンドピニオン機構を用いた直動機構や、錘250を固定する位置を調整する機構と同様にボルトを挿入する孔を調整する機構等を用いることができる。
【0034】
衝撃低減装置110は、弁体70が全閉状態となる位置、つまり弁体70が弁座90と接触する位置にある場合、アダプタ150の第1面F1と固定部170の第2面F2とが接触する。また、衝撃低減装置110は、第1面F1と第2面F2とが接触する場合、両者が面接触する。なお、衝撃低減装置110は、設置時に第1面F1と第2面F2との角度を調整することで、面接触させることができる。
【0035】
ゴム板190は、構造物175の第2面F2に配置されている。つまり、ゴム板190は、第1面F1と第2面F2とが接触した場合、第1面F1と第2面F2とで挟まれる位置に配置されている。ゴム板190は、弾性材料で形成された弾性部材であり、アダプタ150の第1面F1と構造物175の第2面F2とが衝突する際に生じる衝撃を吸収する。
【0036】
ゴム板190は、アダプタ150の第1面F1と構造物175の第2面F2とが面で接触するのを補助する機能を備えている。具体的には、ゴム板190は、アダプタ150の第1面F1と構造物175の第2面F2とが衝突した際に、第1面F1と第2面F2との形状に合わせて変形し、第1面F1と第2面F2との間に隙間が生じにくい状態とする。これにより、衝撃低減装置110でより好適に衝撃を低減することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、ゴム板190を構造物175の第2面F2に設けているが、アダプタ150の第1面F1に設けてもよい。また、ゴム板190を、アダプタ150の第1面F1及び構造物175の第2面F2の両方に設けてもよい。
【0038】
次に、
図4、
図5A及び
図5Bを用いて、逆止弁10の動作について説明する。
図5A及び
図5Bは、それぞれ第1実施形態に係る衝撃低減装置の動作を説明するための説明図である。
【0039】
逆止弁10は、ポンプ8が稼動していない状態では、弁体70が弁体70aの位置となり、弁座90を弁体70aが塞いでおり、流れ方向とは逆方向に流体が流れない状態となる。この状態で、ポンプ8が稼動し、流体が+X方向に流れ始めると、逆止弁10に流れ方向上流から流体が流入し、弁体70が流体の圧力によって回動し、弁座90から離れる。これにより、流体は、弁座90から流出し、配管6の下流側に流れ始める。逆止弁10は、流れ方向における流体の流量が多くなると、弁体70が流体の流れに押され、弁座90から離れる方向にさらに回動する。また、逆止弁10は、流体の流れが定常状態になると、弁体70は、流体の運動エネルギーに応じた位置に留まる。このとき、回動体130は、弁軸50と共に回動し、
図5Aに示すように、アダプタ150と固定部170とが離れた位置に配置された状態となる。
【0040】
次に、逆止弁10は、ポンプ8が停止し、流体の流れが停止すると、流体が弁体70を押している力が無くなり、弁体70が弁座90に近づく方向に回動を開始する。また、このとき、流体が流れ方向と反対側に流れる、つまり逆流すると、弁体70は逆流する流体の圧力を受けて弁座90に近づく方向により強い力で回動する。逆止弁10は、弁体70が弁座90に近づく方向に回動し続けると、弁体70が弁座90に接触する。弁体70が弁座90に接触することで、流体が流れる流路が閉じた状態(全閉状態)となる。逆止弁10は、
図5Bに示すように、弁体70が弁座90に接触する位置まで移動すると、衝撃低減装置110のアダプタ150の第1面F1と構造物175の第2面F2とが接触する。これにより、弁体70が弁座90と接触して生じる衝撃の一部を衝撃低減装置110で受けることができ、弁体70が弁座90に固着することを抑制することができる。これにより、メンテナンスの頻度を低減させ、逆止弁を調寿命化することができる。
【0041】
また、逆止弁10は、衝撃低減装置110の第1面F1と第2面F2とが接触することで、弁体70が弁座90にさらに向かう方向に回動体130が回動しないようにすることができる。つまり、弁座90及び配管6に対して、弁体70及び回動体130が弁体70を閉じる方向に必要以上に回動することを防止することができる。これにより、弁体70が弁座90にさらに密着することを抑制することができ、弁体70が弁座90に固着することを抑制することができる。これにより、メンテナンスの頻度を低減させ、逆止弁10を長寿命化することができる。
【0042】
また、逆止弁10は、衝撃低減装置110のアダプタ150を回動体130の端部(弁体70と弁座90が接触した場合に回動体130の鉛直方向下側となる端部)に設けることで、第1面F1と第2面F2とでより多くのモーメントを吸収することができる。また、逆止弁10の第1面F1と第2面F2とが接触した際に、接触した衝撃で弁70が開く方向に移動することを抑制することができる。また、回動体130を弁軸50と衝撃低減装置110との両端で支持することが可能となり、衝撃低減装置110で衝撃を吸収しつつ、回動体130のしなりで、弁体70を弁座90の方向に微小に移動させることができ、逆止弁10をより確実に閉じた状態にすることができる。
【0043】
また、逆止弁10は、弁体70が閉じる方向に移動し弁座90と接触するまで、衝撃低減装置110のアダプタ150と固定部170が、弁体70の移動に対する影響が小さいため、逆止弁10として機能する必要がある場合に、弁体70が弁座90に接触する位置まで移動しないことを抑制することができる。また、逆止弁10が全閉状態になるときに生じる弁体70と弁座90との衝突による衝撃を低減することができ、逆止弁10の寿命を延ばすことができる。
【0044】
また、衝撃低減装置110は、ゴム板190を設けることで、逆止弁10が全閉状態になるときに生じる力をより緩衝することができ、弁体70と弁座90とに加わる衝撃を緩和することができる。これにより、逆止弁10の寿命をさらに延ばすことができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る衝撃低減装置110の第1面F1と第2面F2の相対位置を衝突位置調整機構230で調整する方法について説明する。まず、ポンプ8が停止しており、弁箱30の内部に流体が無い状態とする。また、衝突位置調整機構230で全閉状態でもアダプタ150と固定部170とが接触しない状態とする。その後、回動体130を操作し、弁体70が全閉状態と全開状態との中間の位置にある状態から、重力によって回動させて全閉状態とする。
【0046】
次に、衝突位置調整機構230により第2面F2を移動させ、全閉状態において、第1面F1と第2面F2とが接した状態とする。その後、ポンプ8を稼動させて流体の流れを定常状態とし、逆止弁10を全開状態とした後、ポンプ8を停止させて、逆止弁10を閉める。この状態で、逆止弁10が全閉状態となっているかを確認する。逆止弁10が全閉状態となっていない場合は、衝突位置調整機構230により第2面F2の位置を移動させる。具体的には、第1面F1から離す方向に移動させる。第2面F2の位置を調整したら、再度ポンプ8の稼動、停止動作を行い、全閉状態となるかを確認する。また、ポンプ8の稼動、停止動作を行い、全閉状態となるかを確認する場合、逆止弁10が閉まる際に、第1面F1と第2面F2とが衝突するかを確認する。第1面F1と第2面F2とが衝突していない場合は、衝突位置調整機構230により第2面F2の位置を調整、具体的には、第1面F1に近づける。第2面F2の位置を調整したら、再度ポンプ8の稼動、停止動作を行い、閉じる際に第1面F1と第2面F2が接触するかを確認する。
【0047】
逆止弁10は、このように、第2面F2の位置を調整することで、弁体70と弁座90との固着を抑制しつつ、必要な場合に逆止弁10が全閉状態となる状態とすることができる。また、逆止弁10は、衝撃センサ等を用いて、逆止弁10が閉じるときに弁体70、弁座90、衝突位置調整機構230に生じる衝撃を検出し、結果に基づいて、第2面F2の位置を調整し、各位置に生じる衝撃のバランスが適切となるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態では、固定部170を地面210に固定した場合としたが、固定部170を固定する対象はこれに限定されない。固定部170を固定する設置面は、地面210に加え、地面210に設けられた土台(基礎)、筐体等を用いることができる。なお、設置面は、剛性が高く、衝撃低減装置110に加わった衝撃で位置が移動しないものとすることが好ましい。
【0049】
(第2実施形態)
次に
図6を用いて、第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る衝撃低減装置を有する逆止弁の概略構成を示す図である。以下では、第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付し、重複した説明を避けることとする。
図6は、第2実施形態に係る衝撃低減装置110aを+Z側から−Z側に向いた方向から見たときの図である。
【0050】
衝撃低減装置110aは、アダプタ150aに衝突位置調整機構230aが設けられている。衝突位置調整機構230aは、ねじ機構235aを有する。また、アダプタ150aはボルト154aによって回動体130に取り付けられている。アダプタ150aは、鉛直方向下側の端面が第1面F3となる。また、衝撃低減装置110aは、地面210が固定部となり、固定部にゴム板190が固定されている。また、ゴム板190が第2面F4となる。
【0051】
ねじ機構235aは、アダプタ150aを回動体130側の部分と第1面F3側の部分とに分離し、回動体130側の部分に形成された雌ねじに、第1面F3側の部分に形成された雄ねじが螺合した構造である。ねじ機構235aは、回動体130側の部分に対して、第1面F3側の部分を回転させることで、雌ねじに対して雄ねじを回転させ、回動体130側の部分に対して第1面F3側の部分を矢印方向、つまり
図6に配置された状態でY軸方向に移動させる。これにより、ねじ機構235aは、回動体130に対して第1面F3を移動させる。衝突位置調整機構230aは、第1面F3の位置を調整することで、第2面F4と第1面F3との相対位置を調整することができる。
【0052】
衝撃低減装置110aは、弁体70が全閉状態となる位置となった場合、アダプタ150aの第1面F3と地面210の第2面F4に設けられたゴム板190とが衝突する。このように、衝突位置調整機構230aをアダプタ150aに設けた場合も、第1実施形態と同様に、衝撃低減装置110aで弁体70と弁座90とに生じる衝撃を低減することができ、弁体70と弁座90との固着を抑制することができる。また、衝撃低減装置110aは、アダプタ150a側に各種機構を設けたため、地面210を固定部170とすることができる。これにより、地面210に機構を設置することが困難な場合に好適に適用することができる。
【0053】
衝撃低減装置110aは、弁軸50から第1面F3と第2面F4とが接触する位置までの距離を長くすることができ、第1面F3と第2面F4とが接触する位置で衝撃をより好適に吸収することができ、弁体70と弁座90との固着をより確実に抑制することができる。さらに、衝突位置調整機構230aとしてのねじ機構235aをアダプタ150aに設けたため、衝撃低減装置110aの重量がより大きくなっている。このため、閉方向のモーメントがより大きくなり、より確実に全閉状態とすることができる。
【0054】
以上、第1実施形態及び第2実施形態の衝撃低減装置について説明したが、上述した内容により本発明が限定されるものではない。また、上述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、上述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、上述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更を行うことができる。