特許第5840719号(P5840719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5840719前進する基材に対して接着剤をパターンで塗布するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5840719
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】前進する基材に対して接着剤をパターンで塗布するための方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20151210BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20151210BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20151210BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20151210BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20151210BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20151210BHJP
【FI】
   B05C5/02
   A41B13/02 S
   B05C13/02
   B05C9/12
   A61F13/18 360
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-70017(P2014-70017)
(22)【出願日】2014年3月28日
(62)【分割の表示】特願2013-509097(P2013-509097)の分割
【原出願日】2011年4月20日
(65)【公開番号】特開2014-166630(P2014-166630A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】61/331,446
(32)【優先日】2010年5月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ダレル、イアン、ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、レスリー、グロルメス
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−046805(JP,A)
【文献】 特開平11−147061(JP,A)
【文献】 特開昭62−149367(JP,A)
【文献】 米国特許第08186296(US,B2)
【文献】 米国特許第08574668(US,B2)
【文献】 米国特許第06033513(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/02
A61F 13/15
A61F 13/472
A61F 13/49
B05C 9/12
B05C 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に対して、スロットダイ塗布機から接着剤をパターンで塗布する方法であって、
前記スロットダイ塗布機は、スロット開口部と、第1のリップと、第2のリップとを含み、前記スロット開口部が前記第1のリップと前記第2のリップとの間に配置され、
前記基材は、拘束されていない状態でのキャリパーHsを有し且つ第2の面の反対側に配置される第1の面を有する、方法において、
前記方法は、
前記基材を機械方向に連続的に前進させるステップと、
パターン表面を含むパターン要素を備える基材キャリアと前記基材を係合させるステップと、
前記基材キャリアが前記スロットダイ塗布機の近傍に配置されて、前記パターン要素の前記パターン表面と、前記第1のリップ及び前記第2のリップとの間に、前記基材の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さい最小距離Hgを画定するステップと、
前記基材の前記第1の面が前記基材キャリア上に配置された場合に、前記基材の前記第2の面を前記スロットダイ塗布機を通過して前進させるステップと、
前記基材の前記第1の面が前記基材キャリア上に配置された場合に、前記パターン要素の前記パターン表面が、前記スロットダイ塗布機の前記第1のリップ、前記スロット開口部、及び前記第2のリップを通過して前進するように、前記パターン要素を前進させ、前記スロットダイ塗布機と前記パターン要素の前記パターン表面との間の前記基材を断続的に圧縮するステップと、
前記スロットダイ塗布機の前記スロット開口部から、前記基材の前記第2の面上に前記接着剤を吐出するステップと、
を有し、
前記基材キャリアはベース面をさらに備え、前記パターン要素は前記ベース面から突出して、前記パターン表面と前記ベース面との間に距離Hpを画定し
記距離Hpと前記距離Hgとの合計が、前記基材の前記拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも大きい、
方法。
【請求項2】
前記基材キャリアがローラーを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ローラーがベース面と回転中心軸とを含み、前記パターン要素が、前記ベース面から、前記回転中心軸から半径方向外向きに突出して、前記パターン表面と前記ベース面との間に距離Hpを画定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材キャリアがエンドレスベルトを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パターン表面が連続面を含み、前記ベース面が、前記パターン要素によって互いに分離される複数の分離したベース面を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パターン表面が連続的なパターン表面を含み、前記基材キャリアが、前記パターン要素によって互いに分離される複数の穴部をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材キャリアが、連続面と、前記連続面によって互いに分離される複数の分離したパターン要素とをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各前記パターン要素がパターン表面を含み、各前記パターン表面が前記連続面から前記距離Hpだけ離間するように、各前記パターン要素が前記連続面から外向きに突出する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各前記パターン要素の前記パターン表面が、互いに実質的に同一である形状を画定する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記接着剤と前記基材とは色が異なっている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記基材は不織布である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品製造のために連続基材を用いる方法及び装置に関し、より詳細には、前進する基材に接着剤などの粘性流体を塗布するための方法及び装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
前進する連続的な材料のウェブに構成要素を加えること及び他の方法によってこれを修正することによって、例えば、おむつ及び別の吸収性物品などの様々なタイプの物品を、アセンブリラインに沿って組み立てることができる。例えば、いくつかのプロセスでは、前進する材料のウェブは、他の前進する材料のウェブと組み合わされる。他の実施例では、前進する材料のウェブから作製される個々の構成要素は、前進する材料のウェブと組み合わされ、ひいては、これらが次に他の前進する材料のウェブと組み合わされる。おむつを製造するために使用される材料のウェブ及び構成要素部分としては、バックシート、トップシート、吸収性コア、前側耳部及び/又は後側耳部、締結構成要素、並びに様々な種類の弾性ウェブ及び構成要素、例えば脚部弾性部材、バリアレッグカフ弾性部材、及び腰部弾性部材が挙げられる。いったん望ましい構成要素部分が組み立てられると、前進するウェブ及び構成要素部分は、最終ナイフカットに供されて、ウェブを個別のおむつ又は他の吸収性物品に分離する。個別のおむつ又は吸収性物品はまた、その後折り畳まれて包装される。
【0003】
前進するウェブに異なる構成要素を取り付けるため及び/又は前進するウェブを変更する目的で、様々な方法及び装置を用いることができる。例えば、一部の生産作業は、ホットメルト接着剤などの比較的高粘度流体を、前進するウェブに塗布するように構成される。場合によっては、生産作業は、前進するウェブにホットメルト接着剤を所定のパターンで塗布するように構成される。こうした作業は、当該分野において広く記載されている、スロットダイコーティング法、ダイレクトグラビア法、オフセットグラビア法、及びリバースロールコーティング法などのシステム及び方法の使用を含み得る。しかしながら、前進する基材に、パターンを有する接着剤を塗布するための現在のシステム及び方法は、ある限界を有し得る。
【0004】
例えば、女性衛生パッド、幼児用おむつ、及び成人失禁用パッドなどの吸収性物品の製造において、グラビアコーティング法の使用は、コーティングされる基材から分離した繊維による圧胴の汚染により状況が悪くなる場合がある。グラビアキャビテイー及び流体転移に伴ういくつかの問題は、例えば、米国特許第7,611,582 B2号及び同第6,003,513号に記載されている。場合によっては、吸収性物品の製造の際のパターンを有するウェブコーティングに、スロットダイコーティングを用いることができる。スロットダイ転写法(slot die transfer processes)における櫛状シムの使用は、ウェブが移動する方向に対して直角な軸の受容基材に対し、流体を高解像度で精密に転写することができる。かかるスロット転写法は、前進する基材に接着剤を断続的に転写するために、電空切り替え弁(electro-pneumatic switching valve)を備えて構成されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,611,582 B2号
【特許文献2】米国特許第6,033,513号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前進している基材に対する断続的な流体転写の質及び精度は、流体アプリケータのスロットダイへの流体の流れを遮断するために使用される切り替え弁のオン/オフサイクルの速度によって制限され得る。そのため、ウェブの処理速度が速くなるにつれて、ウェブが移動する方向に高解像度のオン/オフコーティングパターンを達成する既存のスロットダイコーティング法の能力は低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による方法は、
基材に対して、スロットダイ塗布機から接着剤をパターンで塗布する方法であって、
前記スロットダイ塗布機は、スロット開口部と、第1のリップと、第2のリップとを含み、前記スロット開口部が前記第1のリップと前記第2のリップとの間に配置され、
前記基材は、拘束されていない状態でのキャリパーHsを有し且つ第2の面の反対側に配置される第1の面を有する、方法であって、
前記方法は、
前記基材を機械方向に連続的に前進させるステップと、
パターン表面を含むパターン要素を備える基材キャリアと前記基材を係合させるステップと、
前記基材キャリアが前記スロットダイ塗布機の近傍に配置されて、前記パターン要素の前記パターン表面と、前記第1のリップ及び前記第2のリップとの間に、前記基材の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さい最小距離Hgを画定するステップと、
前記基材の前記第1の面が前記基材キャリア上に配置された場合に、前記基材の前記第2の面を前記スロットダイ塗布機を通過して前進させるステップと、
前記基材の前記第1の面が前記基材キャリア上に配置された場合に、前記パターン要素の前記パターン表面が、前記スロットダイ塗布機の前記第1のリップ、前記スロット開口部、及び前記第2のリップを通過して前進するように、前記パターン要素を前進させ、前記スロットダイ塗布機と前記パターン要素の前記パターン表面との間の前記基材を断続的に圧縮するステップと、
前記スロットダイ塗布機の前記スロット開口部から、前記基材の前記第2の面上に前記接着剤を吐出するステップと、
を有し、
前記基材キャリアはベース面をさらに備え、前記パターン要素は前記ベース面から突出して、前記パターン表面と前記ベース面との間に距離Hpを画定し、
前記距離Hpと前記距離Hgとの合計が、前記基材の前記拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも大きい。
【0008】
本発明による方法において、前記基材キャリアがローラーを備えてもよい。
【0009】
本発明による方法において、前記ローラーがベース面と回転中心軸とを含み、前記パターン要素が、前記ベース面から、前記回転中心軸から半径方向外向きに突出して、前記パターン表面と前記ベース面との間に距離Hpを画定してもよい。
【0010】
本発明による方法において、前記基材キャリアがエンドレスベルトを備えてもよい。
【0011】
本発明による方法において、前記パターン表面が連続面を含み、前記ベース面が、前記パターン要素によって互いに分離される複数の分離したベース面を含んでもよい。
【0012】
本発明による方法において、前記パターン表面が連続的なパターン表面を含み、前記基材キャリアが、前記パターン要素によって互いに分離される複数の穴部をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明による方法において、前記基材キャリアが、連続面と、前記連続面によって互いに分離される複数の分離したパターン要素とをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明による方法において、各前記パターン要素がパターン表面を含み、各前記パターン表面が前記連続面から前記距離Hpだけ離間するように、各前記パターン要素が前記連続面から外向きに突出してもよい。
【0015】
本発明による方法において、各前記パターン要素の前記パターン表面が、互いに実質的に同一である形状を画定してもよい。
【0016】
本発明による方法において、前記接着剤と前記基材とは色が異なっていてもよい。
【0017】
本発明による方法において、前記基材は不織布であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】前進する基材の近傍に配置された流体塗布装置の斜視図。
図2A】連続的なベース面と複数のパターン表面とを有するパターンローラーを備える基材キャリアの実施形態の斜視図。
図2B図2Aに示される基材キャリアの線2B−2Bに沿った詳細断面図。
図2C】その上の第1の例示的接着剤パターンを示す、基材の上側面図。
図3A】連続的なパターン表面と複数のベース面とを有するパターンローラーを備える基材キャリアの実施形態の斜視図。
図3B図3Aの基材キャリアの線3B−3Bに沿った詳細断面図。
図3C】その上の第2の例示的接着剤パターンを示す、基材の上側面図。
図3D】連続的なパターン表面と複数の穴部とを含む基材キャリアの切欠詳細図。
図4】流体塗布装置の概略断面側面図。
図5A】スロットダイ塗布機のスロット開口部及び前進しているベース面の間の基材を示している、スロットダイ塗布機を通過して前進する基材キャリア及び基材の詳細断面図。
図5B】ベース面はスロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進しており、そのため基材が、スロットダイ塗布機のスロット開口部及び前進しているパターン表面の前縁部の間にある、図5Aの基材キャリア及び基材の詳細断面図。
図5C】ベース面がスロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進しており、そのため基材は、スロットダイ塗布機のスロット開口部及び前進しているパターン表面の間にある、図5Bの基材キャリア及び基材の詳細断面図。
図5D】パターン表面がスロットダイ塗布機のスロット開口部を通過して前進している、図5Cの基材キャリア及び基材の詳細断面図。
図6】パターンベルトを備える基材キャリアを有する流体塗布装置の実施形態の概略断面側面図。
図7】パターンベルトを備える基材キャリアを有する流体塗布装置の別の実施形態の概略断面側面図。
図8】パターンベルトと受け板とを備える基材キャリアを有する流体塗布装置の別の実施形態の概略断面側面図。
図9】使い捨て吸収性物品の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示を理解する上で、以下の用語が有用であり得る。
【0020】
「吸収性物品」は、本明細書において、その主な機能が汚れ及び排泄物を吸収及び保持することである、消費者製品を指すために使用される。吸収性物品の非限定的な例としては、おむつ、トレーニングパンツ、プルオンパンツ型おむつ、再留め可能おむつ又はパンツ型おむつ、失禁用ブリーフ及び下着、おむつホルダ及びライナー、女性用生理衣類、例えばパンティライナー、吸収性インサート、並びに同類のものが挙げられる。
【0021】
「おむつ」は、本明細書において、一般に、幼児及び失禁症状のある人によって、胴体下部周囲に着用される吸収性物品を指すために用いられる。
【0022】
本明細書では、用語「使い捨て」は、洗濯、又は他の方法で吸収性物品として修復若しくは再使用することを一般に意図しない吸収性物品を説明するために使用される(例えば、その物品を、1回の使用後に廃棄することを意図し、またリサイクルするか、堆肥化するか、そうでなければ環境に適応した方法で処分するように構成されても良い)。
【0023】
本明細書で使用するとき、「配置されている」という用語は、ある要素(1つ又は複数)が、特定の場所若しくは位置に他の要素と共にマクロ単一構造体として、又は別の要素に結合している別個の要素として形成されている(結合され位置する)ことを意味する際に用いる。
【0024】
本明細書で使用するとき、「結合されている」という用語は、ある要素を別の要素に直接取り付けることによって、その要素がその別の要素に直接取り付けられる構成、及びある要素を中間部材(1つ又は複数)に取り付けてから、その中間部材を別の要素に取り付けることによって、その要素がその別の要素に間接的に取り付けられる構成を包含する。
【0025】
本明細書で使用するとき、「基材」という用語は、主として二次元であり(即ち、XY面にある)、その厚さ(Z方向)が、その長さ(X方向)及び幅(Y方向)と比べて相対的に小さい(即ち、1/10以下)材料を説明するために用いられる。基材の非限定的な例としては、単独で用いてもよいし、1つ以上のウェブ、層、フィルム及び/又は箔に積層してもよい層又は繊維性材料、フィルム及び箔、例えばプラスチックフィルム又は金属製の箔が挙げられる。そのため、ウェブは基材である。
【0026】
用語「不織布」は、本明細書において、スパンボンド、メルトブロウンなどの方法によって、連続する(長)フィラメント(繊維)及び/又は不連続の(短)フィラメント(繊維)から作製された材料を指す。不織布は、織った又は編んだフィラメントパターンを有さない。
【0027】
用語「機械方向」(MD)は、本明細書において、プロセスを通過する材料の流れ方向を指すために用いられる。加えて、材料の相対的配置及び動きは、プロセスの上流からプロセスの下流へと、プロセス全体で機械方向に流れるものとして記述され得る。
【0028】
用語「横断方向」(CD)は、本明細書において、機械方向に対して概ね垂直な方向を指すために使用される。
【0029】
用語「弾性の」、及び「エラストマーの」とは、本明細書で使用するとき、バイアス力を適用した際に、破裂又は破断することなく、その弛緩した元の長さの少なくとも約110%の延伸された長さまで伸張することができ(すなわち、その元の長さよりも10%多く伸張することができ)、適用された力を取り除いた際にその延伸の少なくとも40%回復する、いずれかの材料を指す。例えば、100mmの初期長を有する材料は、少なくとも110mmまで延伸でき、力を除くと、106mmまで収縮することになる(40%の回復率)。本明細書において用語「非弾性」とは、上記の「弾性」の定義に当てはまらないあらゆる材料を指す。
【0030】
用語「延伸性の」とは、本明細書で使用するとき、バイアス力を適用した際に、破裂又は破断することなく、その弛緩した元の長さの少なくとも約110%の延伸された長さまで伸張することができ(すなわち、10%まで伸張することができ)、適用された力を取り除いた際にその延伸の少なくとも40%未満の回復を示す、いずれかの材料を指す。
【0031】
用語「活性化する」、「活性化」又は「機械的な活性化」は、基材又はエラストマー積層体が、プロセス前よりも、より延伸性があるようにする製造するプロセスを指す。
【0032】
「ライブ延伸」は、弾性体を延伸し、延伸された弾性体を基材に結合することを含む。結合後、該延伸された弾性体は解放されて収縮し、「波形化」基材が得られる。基材が少なくとも1つの元来のフラットな寸法に達する点付近まで、波形化された部分が引っ張られる際、波形化基材は延伸し得る。しかしながら、基材もまた弾性である場合、基材は、弾性部材と結合される前に、基材の弛緩した長さを越えて伸張し得る。弾性部材は、基材に結合される場合、その弛緩した長さの少なくとも25%が伸張される。
【0033】
明細書で使用するとき、用語「拘束されていない状態でのキャリパー」とは、直径25.40±0.02mmの円形の加圧子及び適用力2.1N(即ち4.14±0.21kPaの圧力を加える)を用いて、Edana WSP 120.1(05)に従って測定された基材のキャリパー(厚み)を指す。
【0034】
本開示の態様は、物品製造のために連続基材を用いる方法及び装置に関し、より詳細には、前進する基材上に流体を塗布するための方法及び装置に関する。本明細書において開示される装置及び方法の特定の実施形態は、接着剤などの粘性流体の塗布を提供し、いくつかの実施形態では、前進する基材に対する所定のパターンの接着剤の塗布を提供する。流体塗布装置の実施形態は、拘束されていない状態でのキャリパーHSを有し、かつ第2の面の反対側に配置される第1の面を有する前進する基材に接着剤を塗布することに関連して、以下により詳細に説明される。流体塗布装置は、スロットダイ塗布機と基材キャリアとを備えてもよい。スロットダイ塗布機は、スロット開口部と、第1のリップと、第2のリップとを含んでいてもよく、スロット開口部は第1のリップと第2のリップとの間に配置される。基材キャリアは、スロットダイ塗布機が接着剤を基材上に放出する際、基材をスロットダイ塗布機を通過して前進させるようになされ得る。動作中、基材の第1の面が基材キャリア上に配置されると、基材キャリアは、スロットダイ塗布機のスロット開口部を通過させて基材の第2の面を、前進させる。本明細書に開示される装置及びプロセスを用いて、本明細書に記載及び図示されているもの以外の前進する基材に対して、種々の流体及び接着剤を様々な異なるパターンで塗布することができることを理解されたい。
【0035】
以下でより詳細に述べられるように、基材キャリアは、ベース面とパターン要素とを含み得る。いくつかの実施形態において、基材キャリアはその中に複数の穴部を含んでもよく、したがってベース面を含まない。パターン要素はパターン表面を含み、ベース面から外向きに突出する。したがって、ベース面を有して構成される基材キャリアでは、パターン表面とベース面とは距離Hpだけ離間する。更に、基材キャリアは、スロットダイ塗布機の近傍に配置されて、パターン要素のパターン表面と、第1のリップ及び第2のリップとの間の最小距離Hgを画定し、この最小距離Hgは基材の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さく、距離Hpと距離Hgとの合計は、基材の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも大きい。こうして、基材キャリアがスロット開口部を通過して基材の第2の面を前進させる際、パターン要素は、パターン表面がスロットダイ塗布機の第1のリップ、スロット開口部、及び第2のリップを繰り返し通過して前進するように進められる。次に、パターン要素がスロットダイ塗布機の、第1のリップ、スロット開口部、及び第2のリップを通過して前進する際、基材は、スロットダイ塗布機とパターン要素のパターン表面との間で断続的に圧縮される。基材が断続的に圧縮される際、スロットダイ塗布機から放出される接着剤は、前進する基材の第2の面上に塗布される。より詳細には、接着剤は、パターン表面によって画定される形状と実質的に同じである形状を有する基材領域内に塗布される。
【0036】
本明細書に開示される装置及び方法は、様々な構成を有する基材キャリアを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、基材キャリアはローラーとして構成されてもよい。別の実施形態では、基材キャリアはエンドレスベルトを備えていてもよい。基材キャリアは、様々な外表面構造を利用することも可能である。例えば、ベース面は連続面として構成されてもよく、基材キャリアは、連続面によって互いに分離される複数の分離したパターン要素を備えていてもよい。かかる構成では、各パターン要素はパターン表面を含んでもよく、各パターン表面が連続面から距離Hpだけ離間するように、各パターン要素は連続面から外向きに突出していてもよい。別の例では、パターン表面は連続面として構成されてもよく、ベース面は、パターン要素によって互いに分離される複数の不連続なベース面を含んでもよい。かかる構成では、各ベース面が連続面から距離Hpだけ離間するように、パターン要素はベース面のそれぞれから外向きに突出していてもよい。先に述べたとおり、いくつかの構成において、基材キャリアは、例えば、ベルトを貫通して延在する穴部を有して構成されるベルトのように、ベース面を有さずに構成されてもよい。したがって、穴部は、連続的なパターン要素によって互いに分離されてもよい。パターン要素のパターン表面は、様々な異なる形状及び寸法に構成されてもよく、様々な異なるパターンを画定するように構成されてもよいことを理解されたい。したがって、接着剤は、基材上に様々なパターンを画定するようにスロットダイ塗布機から転写され得る。
【0037】
上述のように、本開示の装置及び方法は、吸収性物品の製造に使用される連続基材に接着剤を塗布するために用いられ得る。そのような基材は、例えば、バックシート、トップシート、吸収性コア、前側及び/又は後側耳部、締結構成要素、並びに様々な種類の弾性ウェブ及び構成要素(例えば、脚部弾性部材、バリアレッグカフ弾性部材、及び腰部弾性部材など)の、吸収性物品構成要素に利用することができる。吸収性物品構成要素及び基材の代表的な記述は、図9を参照して後述される。加えて、基材には、キャリア基材上に取り付けられた材料及び構成要素部品の連続ウェブが含まれ得、又は連続基材の形態であり得る。
【0038】
本開示の大半は、吸収性物品の製造との関係において提供されているが、本明細書に開示される装置及び方法は、連続基材から製造される他の種類の物品及び製品の製造にも適用され得ることが理解されよう。他の製品の例としては、消費者製品などの無生物表面のための吸収性物品が挙げられ、その主な機能は、例えば床、物体、家具などの無生物表面から除去される固体又は液体であり得る汚れ及び排泄物を吸収及び保持することである。無生物表面用の吸収性物品の非限定的な例としては、ダスティングシート、ウェットタイプの拭き取り用品又はパッド、ウェットタイプの布、ペーパータオル、乾燥機用シート型柔軟剤、及び乾燥洗浄布が挙げられる。製品の更なる例としては、その主な機能が身体排出物を吸収して封じ込めることである有生表面のための吸収性物品が挙げられ、より詳細には、ユーザーの身体に接して又は近接して配置されて、身体から排出される種々の滲出物を吸収して封じ込めるデバイスが挙げられる。失禁用吸収性物品の非限定的な例としては、おむつ、トレーニングパンツ又はプルオンパンツ、成人失禁用ブリーフ及び衣類、パンティライナー、吸収性インサート等などの婦人用衛生衣類、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、洗顔用拭き取り用品又はクロス、並びにトイレ訓練用拭き取り用品が挙げられる。製品の更なる他のとしては、ペレット又はパウチに製造され得、かつ変換プロセス又はウェブプロセスで製造得る、洗濯洗剤及びコーヒー用の包装要素及び基材並びに/又は容器、あるいは更に、高速瓶詰めラインなどの高速で製造される個別製品、化粧品、かみそりの刃のカートリッジ、及び使い捨て民生用バッテリを挙げることができる。
【0039】
図1は、基材に接着剤を塗布するための装置100の実施形態の斜視図を示す。装置100は、スロットダイ塗布機102と基材キャリア104とを備える。図1に示されるように、基材106は機械方向に前進しており、部分的に基材キャリア104に巻き付けられている。より詳細には、基材106は、第2の面110の反対側に配置される第1の面108を含む。基材106の第1の面108は、基材キャリア104の外表面112上に配置され、基材106の第2の面110は、スロットダイ塗布機104を通過して前進する。以下でより詳細に述べられるように、基材106の第2の面110はスロットダイ塗布機104を通過して前進し、接着剤は、基材キャリア104の外表面112上に画定されたパターンと実質的に同じであるパターンで、スロットダイ塗布機102から基材の第2の面上に転写される。
【0040】
図1に示されるスロットダイ塗布機102は、基材106に接着剤を塗布するために使用される装置の一般的表現であることを理解されたい。スロットダイ塗布機は、スロット開口部114と、第1のリップ116と、第2のリップ118とを備えている。第1のリップ116は、本明細書では上流ダイリップと呼ばれる場合もあり、第2のリップ118は、本明細書では下流ダイリップと呼ばれる場合もある。スロット開口部114は、第1のリップ116と第2のリップ118との間に配置される。基材キャリア104が基材を、スロットダイ塗布機102の第1のリップ116、スロット開口部114、及び第2のリップ118を通過して前進させる際、接着剤又は他の流体が、スロット開口部114から基材106の第2の面110上に放出される。以下でより詳細に述べられるように、基材106がスロットダイ塗布機102を通過して前進する際、基材106はまた、スロットダイ塗布機102と基材キャリア104との間で断続的に圧縮される。前進する基材に接着剤又は他の流体を塗布するために、多様な形態のスロットダイ塗布機を方法及び装置に従って使用することができることを理解されたい。例えば、米国特許第7,056,386号は、使用可能なスロットダイ塗布機の説明を提供している。市販のスロットダイ塗布機の他の例としては、Nordson CorporationのEP11シリーズのスロットダイ塗布機、及びITW DynatecGmbhのAPEXシリーズのスロットダイ自動接着剤塗布機が挙げられる。
【0041】
様々なタイプの基材キャリア104を、本明細書の装置及び方法に従って使用することができる。例えば、図2A及び図2Bは、スロットダイ塗布機102を通過して基材106を前進させるようになされたローラー120として構成された基材キャリア104の実施形態を示す。図2A及び図2Bに示される基材キャリア104の外表面112は、ベース面124から半径方向外向きに突出する複数のパターン要素122を含んでいる。各パターン要素122はパターン表面126を含み、ベース面124からのパターン要素122の半径方向の突出部は、パターン表面126とベース面124との間の距離Hpを画定する。図2A及び図2Bに示されるように、ベース面124は連続面128として構成されており、複数の分離したパターン要素122は、連続面128によって互いに分離される。図2A及び図2Bのパターン表面126は、ダイヤモンド形状を画定する。いくつかの実施形態において、各パターン要素122のパターン表面126の形状及び寸法は、互いに同一又は実質的に同一であってもよい。パターン表面及び/又はパターン要素のいくつか又は全ての数、寸法、及び形状は、異なっていてもよいことを理解されたい。更に、ベース面124とパターン要素122のパターン表面126との間の距離Hpは、パターン要素のいくつか又は全てで同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0042】
以下でより詳細に述べられるように、基材キャリア104がスロットダイ塗布機102を通過して基材106を前進させる際、スロットダイ塗布機から放出された流体は、基材キャリア上のパターン表面の形状とほぼ一致するパターンで基材上に付着する。例えば、図2Cは、図2A及び図2Bに示されるものと同様のパターン要素122及びパターン表面126を有する基材キャリア上に基材106が配置されてスロットダイ塗布機を通過して前進した後の、基材106の第2の面110上に付着した流体130の例示的なパターンを示す。図2Cに示されるように、流体130は、基材106上の、図2Aに示される基材キャリア104上のパターン表面126の形状に対応したダイヤモンド形状を有する分離したパターン領域132内に付着する。
【0043】
図3A及び図3Bは、スロットダイ塗布機102を通過して基材106を前進させるようになされたローラー120として構成された基材キャリア104の別の実施形態を示す。図3A及び図3Bに示される基材キャリア104は、パターン表面126を含む単一パターン要素122を含む。パターン要素122は、複数のベース面124から半径方向に外向きに突出している。より詳細には、パターン表面126は連続面134として構成され、複数のベース面は、パターン要素122によって互いに分離される。パターン要素122のベース面124からの半径方向の突出部は、パターン表面126とベース面124との間の距離Hpを画定する。図3A及び図3Bのパターン表面126は、連続的な十字線パターンを画定し、各ベース面124の形状及び寸法は、互いに同一又は実質的に同一である。ベース面のいくつか又は全ての数、寸法、及び形状は、異なっていてもよいことを理解されたい。更に、ベース面124とパターン要素122のパターン表面126との間の距離Hpは、ベース面のいくつか又は全てで同一であってもよく又は異なっていてもよい。基材キャリアは、ベース面なしに構成されてもよいことも理解すべきである。例えば、基材キャリアは複数の穴部を含んでもよく、パターン表面は連続面として構成されてもよく、その場合、複数の穴部はパターン要素によって互いに分離される。例えば、図3Dは、複数の穴部136が連続的なパターン表面126を有するパターン要素122によって互いに分離される、基材キャリアの実施形態の詳細図を示す。図3Dの基材キャリア104はベース面を有さないので、距離Hpは画定されない。
【0044】
先に述べたとおり、基材キャリア104がスロットダイ塗布機102を通過して基材106を前進させる際、スロットダイ塗布機102から放出された流体130は、基材キャリア104上のパターン表面126の形状とほぼ一致するパターンで、基材106上に付着する。例えば、図3Cは、図3A図3B、及び図3Dに示されるものと同様のパターン要素122及びパターン表面126を有する基材キャリア104上に基材106が配置されてスロットダイ塗布機102を通過して前進した後の、基材106の第2の面110上に付着した流体130の例示的なパターンを示す。図3Cに示されるように、流体130は、それらの間にダイヤモンド形状を画定する十字線パターンで基材106上に付着し、このダイヤモンド形状は、図3A及び図3Dに示される基材キャリア104上のベース面124及び穴部136の形状にそれぞれ対応している。
【0045】
先に述べたとおり、本明細書の方法及び装置は、スロットダイ塗布機を通過して基材を前進させるようになされた基材キャリアを含む。図4は、基材キャリア104とスロットダイ塗布機102とを備える流体塗布装置100の実施形態の概略断面側面図を示す。基材106は、第1の面108と、第1の面108の反対側に配置される第2の面110とを含む。基材106の第1の面108の一部は、複数のベース面124から突出した複数のパターン要素122を有するローラー120として構成される基材キャリア104上に配置される。ローラー120は回転して、基材106の第2の面110をスロットダイ塗布機102を通過して前進させる。流体送達システム138を使用して、接着剤などの流体130をスロットダイ塗布機102に供給することができる。流体送達システムは、様々な異なる様式で構成され得ることを理解されたい。例えば、図4に示されるように、流体送達システム138は、流体をタンク142からスロットダイ塗布機102へと移動させるためのポンプ140を含んでもよい。流体送達システム138はまた、ポンプ140から送り込まれる流体130の圧力を制御するのを助けるように構成された圧力逃しバルブ144を備えて構成されてもよい。流体送達システム138からの流体130は、スロットダイ塗布機102及びスロット開口部114を通過して、前進している基材106の第2の面110上に転写される。
【0046】
更に図4を参照して、スロットダイ塗布機102を通過した流体130は、基材キャリア104上のパターン表面126と実質的に同じパターン又は形状で、基材106の第2の面110に転写される。以下でより詳細に述べられるように、基材キャリア104は、パターン表面126とスロットダイ塗布機102との間に最小距離を画定するように、スロットダイ塗布機102の近傍に配置されて、この小距離は、基材106の拘束されていない状態でのキャリパーよりも小さい。したがって、パターン要素が、スロットダイ塗布機102の第1のリップ116、スロット開口部114、及び第2のリップ118を通過して前進する際に、基材106は、スロットダイ塗布機102とパターン要素122のパターン表面126との間で圧縮される。しかしながら、基材キャリア104のベース面124とスロットダイ塗布機102との間の最小距離は、基材106の拘束されていない状態でのキャリパーよりも大きい。したがって、基材が、スロットダイ塗布機102の第1のリップ116、スロット開口部114、及び第2のリップ118を通過して前進する際に、基材106は、スロットダイ塗布機102とベース面124との間で圧縮されない。このように、動作中、流体130はスロットダイ塗布機102から連続的に放出されるが、流体130は、基材キャリア102上のパターン表面126がスロットダイ開口部114を通過して前進して基材を圧縮する際に、前進している基材106に転写される。基材キャリア104上のベース面124がスロットダイ開口部114を通過して前進している間に基材が圧縮されない場合、流体130は前進している基材106に転写されない。ベース面でなく穴部136を有して構成される基材キャリアに関しては、基材キャリア104上の穴部136がスロットダイ開口部114を通過して前進している間に基材が圧縮されない場合、流体130は前進している基材106に転写されない。スロットダイ塗布機から基材への流体転写のより詳細な説明を、図5A図5Dを参照して以下に提供する。
【0047】
図5Aは、スロットダイ塗布機102を通過して前進する基材キャリア104及び基材106の詳細断面図である。基材106は拘束されていない状態でのキャリパーHsを有し、かつ第2の面110の反対側に配置される第1の面108を有する。基材106の第1の面108は、基材キャリア104上に配置される。基材106及び基材キャリア104は、一緒に機械方向MDに前進してスロットダイ塗布機102を通過するように示されている。より詳細には、基材106の第2の面110は、スロットダイ塗布機104の上流リップ116と下流リップ118との間に配置されたスロット開口部114を通過して前進している。
【0048】
図5Aに示されるように、基材キャリア104は、ベース面124と、ベース面124から突出するパターン要素122とを含んでいる。パターン要素122は、ベース面124から外向きに突出して、パターン表面126とベース面124との間の距離Hpを画定する。基材キャリア104は、スロットダイ塗布機104の近傍に配置されて、パターン要素122のパターン表面124と第1のリップ116及び第2のリップ118との間の最小距離Hgを画定し、この最小距離Hgは、基材106拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さい。更に、基材キャリア104はスロットダイ塗布機102の近傍に配置されて、ベース面124と第1のリップ116及び第2のリップ118との間の最小距離Hbを画定し、この最小距離Hbは、基材の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも大きい。装置100は、距離Hpと距離Hgとの合計が、基材106の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも大きくなるように構成されることも可能である。したがって、スロットダイ塗布機104のスロット開口部114と、前進しているベース面124との間に配置された基材106の部分106aは、圧縮されない。したがって、基材104の第2の面110に転写されていない流体130は、スロット開口部114から連続的に放出される。
【0049】
図5Bは、図5Aの基材キャリア104及び基材106の詳細断面図であり、基材106の部分106bは、スロットダイ塗布機104の第1のリップ116と、前進しているパターン表面126の前縁部146との間にあるように、図中、ベース面124は、スロットダイ塗布機104のスロット開口部114を通過して前進している。先述のように、パターン要素122のパターン表面126と、第1のリップ116及び第2のリップ118との間の最小距離Hgは、基材106の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さい。したがって、パターン表面126と第1のリップ116との間の基材106の部分106bは、圧縮される。スロット開口部114から放出される流体130は、パターン表面126の前縁部146及び基材106の近傍に圧縮された部分106bがスロット開口部114を通過して前進し始めるときに、基材の第2の面110に転写し始めているものとして図5Bに示されている。
【0050】
図5Cは、図5Bの基材キャリア104及び基材の詳細断面図であり、前進している基材106の部分106bが、スロットダイ塗布機104のスロット開口部114と、前進しているパターン表面126との間にあるように、パターン表面126のベース面124及び前縁部146は、スロットダイ塗布機104のスロット開口部114を通過して前進している。パターン要素122のパターン表面126と、第1のリップ116及び第2のリップ118との間の最小距離Hgは、基材106の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さいので、パターン表面126と、スロットダイ塗布機104の第1のリップ116及び第2のリップ118との間の基材106の部分106bは、圧縮される。スロット開口部114から放出される流体130は、パターン表面126及び基材106の近傍に圧縮された部分106bがスロット開口部114を通過して前進する際、基材の第2の面110に転写されるものとして図5Bに示されている。
【0051】
図5Dは、図5Cの基材キャリア104及び基材106の詳細断面図であり、パターン表面126は、スロットダイ塗布機104のスロット開口部114を通過して前進している。したがって、前進する基材106の部分106bは、スロットダイ塗布機104のスロット開口部114と、前進しているベース面124との間にある。ベース面124と第1のリップ116及び第2のリップ118との間の最小距離Hbは、基材の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも大きいので、ベース面124とスロットダイ塗布機104のスロット開口部114及び第1のリップ116との間の基材106の部分は、圧縮されない。したがって、スロット開口部114から放出される流体130は、ベース面124及び基材の近傍に圧縮されていない部分106bがスロット開口部114を通過して前進する際、基材106の第2の面110に転写されるのを中止されるものとして図5Bに示されている。
【0052】
先に述べたとおり、基材キャリアの種々の形態及び構成を、本明細書で開示される方法及び装置と共に使用することが可能である。例えば、図6は、基材キャリア104がエンドレスパターンベルト148を備えている流体塗布装置100の実施形態の概略断面側面図を示す。パターンベルト148は、パターンベルト148及び基材をスロットダイ塗布機102を通過して前進させるようになされた2個のローラー150に巻き付けられている。パターンベルト148は、前述したように、様々な異なる組み合わせ、形状、及びタイプの前述のパターン要素122、及びベース面124、並びに/又は穴部136を備えていてもよい。図6に示されるように、スロットダイ塗布機102は、パターンベルト148がローラー150の一方に部分的に巻き付けられている位置において、パターンベルト148の近傍にある。スロットダイ塗布機102は、パターンベルト148の他の位置の近傍に配置されてもよいことを理解されたい。例えば、図7は、スロットダイ塗布機102がローラー150間の位置においてパターンベルト148に近傍の、流体塗布装置100の実施形態の概略断面側面図を示す。図8は、パターンベルト148の後方に配置された受け板152を備える図7の実施形態の概略断面側面図を示しており、この受け板148は、パターンベルトがスロットダイ塗布機102から離れて曲がるのを防止するのを助けるために、パターンベルト148に支持を提供する。
【0053】
これまでの説明及び関連する図を参照して、本明細書の装置100は、基材を機械方向に、スロットダイ塗布機102の第1のリップ116、第2のリップ118、及びスロット開口部114を通過して連続的に前進させることによって、スロットダイ塗布機102から放出された接着剤130を、基材106にパターンで塗布するために使用され得ることを理解されたい。基材106は、ベース面124とパターン要素122とを含み得る基材キャリア104と係合されることができ、パターン要素はパターン表面126を含む。パターン要素122は、ベース面124から突出して、パターン表面126とベース面124との間の距離Hpを画定する。先に述べたとおり、いくつかの実施形態において、基材キャリアは、パターン要素122の近傍したベース面126の代わりに又はベース面126と組み合わせて、穴部136を含んでもよい。基材キャリア104は、スロットダイ塗布機102の近傍に配置されて、パターン要素122のパターン表面126と、第1のリップ116及び第2のリップ118との間に、基材106の拘束されていない状態でのキャリパーHsよりも小さい最小距離Hgを画定する。基材106の第2の面110は、スロットダイ塗布機102を通過して進められてもよく、基材106の第1の面108は、基材キャリア104上に配置される。基材106の第1の面108が基材キャリア104上に配置された状態で、パターン要素のパターン表面が、スロットダイ塗布機102の第1のリップ116、スロット開口部114、及び第2のリップ118を通過して前進するようにパターン要素のパターン表面を前進させることによって、基材106は、スロットダイ塗布機102と、パターン要素122のパターン表面126との間で断続的に圧縮される。
【0054】
先に述べたとおり、本明細書の装置100及び方法を用いて、種々の異なる製品の製造中に、基材及び構成要素に対して接着剤をパターンで塗布することができる。具体的な例示を目的として、図9は、例えば、米国特許公開第US2008/0132865(A1)号に記述されているもののような使い捨て吸収性物品250の一例を示しており、この使い捨て吸収性物品250は、本明細書で開示される装置及び方法に従って製造中に処理される基材及び構成要素から構成され得るおむつ252の形態である。特に、図9は、シャーシ254を含むおむつ252の一実施形態の平面図であって、シャーシ254は平坦な、折り畳まれていない状態で示され、着用者に面するおむつ252の部分が観察者の方を向いている図である。図9では、おむつの実施形態に含まれ得る様々な特徴の構成をより明瞭に示すために、シャーシ構造の一部が切り取られている。
【0055】
図9に示されるように、おむつ252は、第1の耳部256と、第2の耳部258と、第3の耳部260と、第4の耳部262とを有するシャーシ254を含む。本考察に関する基準枠を提供するために、長手方向軸線264及び横方向軸線266を備えたシャーシが示されている。シャーシ254は、第1腰部区域268、第2腰部区域270、及び第1腰部区域と第2腰部区域との中間に配置される股部区域272を有するものとして示されている。おむつの周囲は、一対の長手方向に延伸する側縁部274、276、第1腰部区域268の近傍に横方向に延伸する第1外側縁部278、及び第2腰部区域270の近傍に横方向に延伸する第2外側縁部280によって画定される。図9に示されるように、シャーシ254は、内側の身体に面する表面282と外側の衣類に面する表面284とを含む。おむつに含まれ得る様々な特徴の構成をより明瞭に示すために、シャーシ構造の一部が図9において切り取られている。図9に示されるように、おむつ252のシャーシ254は、トップシート288とバックシート290とを含む外側カバー層286を含んでもよい。吸収性コア292は、トップシート288とバックシート290の一部分との間に配置され得る。後でより詳細に述べるように、領域のうちの任意の1又は複数が、伸縮性であっても良く、また本明細書で説明したようにエラストマー材料又は積層体を含んでいても良い。このように、おむつ252は、適用時に特定の着用者の解剖学的構造に適合するように、かつ着用中に着用者の解剖学的構造との協調を維持するように構成され得る。
【0056】
吸収性物品はまた、腰部バンド294の形態で図9に示される弾性的ウエスト構造部202を含んでもよく、改善されたフィット及び排出物封じ込めを提供してもよい。弾性的ウエスト構造部202は、弾性的に拡張及び収縮して着用者の腰に動的にフィットするように構成され得る。弾性的ウエスト構造部202が、本明細書において説明される方法に従っておむつに組み込まれてもよく、吸収性コア292から外側に少なくとも長手方向で延び、一般的に、おむつ252の第1の外側縁部278、及び/又は第2の外側縁部280の少なくとも一部分を形成する。加えて、弾力性ウエスト機構は横方向に延伸して耳部を含んでも良い。弾性的ウエスト構造部202又はそのいずれかの構成要素は、おむつに取り付けられた1つ以上の別個の要素を含んでもよいものの、弾性的ウエスト構造部は、おむつの他の要素、例えば、バックシート290、トップシート288、又はバックシートとトップシートの両方の延長部として構成されてもよい。加えて、弾性的ウエスト構造部202は、シャーシ240の、外側の衣類に面する表面284、内側の身体に面する表面282、又は内側面と外側面との間に位置してもよい。弾性的ウエスト構造部202は、全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,432,413号、米国特許公開第2007/0142798号、及び米国特許公開第2007/0287983号に記載されているものを含む、多くの異なる形状に構成されてもよい。
【0057】
図9に示されるように、おむつ252は、液体及び他の身体排出物の封入性を改善することができるレッグカフ296を含んでもよい。具体的には、弾性ガスケッティングレッグカフは、着用者の大腿の周りの封止効果を提供して漏れを防止し得る。おむつを着用したときにレッグカフが着用者の大腿部と接触するように配置されてもよく、その接触の程度及び接触圧力は、着用者の身体上でのおむつの向きによって部分的に決まり得ることを認識すべきである。レッグカフ296は、様々な方法でおむつ202上に配置され得る。
【0058】
おむつ252をパンツタイプおむつの形態で提供してもよいし、又は別の方法として、おむつ252に再密閉可能な締着装置を設けてもよく、この締着装置は、着用者の所定の位置におむつを固定することに役立つように締着具要素を種々の箇所に含んでいてもよい。例えば、締着具要素を、第1及び第2の耳部に配置されて良く、また第2の腰部領域に配置された1又は複数の対応する締着要素に取り外し可能に接続するように構成しても良い。種々のタイプの締着要素を、おむつと共に用いても良いことを理解すべきである。
【0059】
上の説明との関係において、本明細書の装置100及び方法を用いて、吸収性物品の製造中に、基材及び構成要素に対して接着剤をパターンで塗布することができる。例えば、接着剤は、吸収性物品の製造中に、トップシート、バックシート、吸収性コア、レッグカフ、ウエスト構造部、耳部、及び締結要素のいずれかの一部に、様々なパターンで塗布されることができる。場合によっては、接着剤は、基材の色と異なる色であってもよい。
【0060】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0061】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0062】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9