特許第5840742号(P5840742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5840742-ウィルキー 図000002
  • 特許5840742-ウィルキー 図000003
  • 特許5840742-ウィルキー 図000004
  • 特許5840742-ウィルキー 図000005
  • 特許5840742-ウィルキー 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5840742
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】ウィルキー
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/48 20060101AFI20151210BHJP
   F16K 31/46 20060101ALN20151210BHJP
【FI】
   B25B13/48 F
   !F16K31/46 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-167808(P2014-167808)
(22)【出願日】2014年8月20日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福見 拓也
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−136288(JP,A)
【文献】 実開昭62−81567(JP,U)
【文献】 実開平2−53375(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0077553(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0174730(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/48
F16K 31/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の棒体状の操作杆と、
この操作杆の長手方向の一端側に設けられ、この操作杆の軸心に対して直交すると共に軸方向に間隔をあけて設けられた一対の引掛脚と、
を有して構成され、回転軸にリブを介して固定されたリング状部を備えてなるハンドルを回転させるために利用されるウィルキーであって、
前記操作杆の表面に、メートル法に基づく単位間隔で配された目盛り線を有する基本目盛と、この基本目盛の目盛り線の間隔に対して前記操作杆の長さと前記ハンドルの径との理想比を乗じた間隔で配された目盛り線を有する換算目盛と、を前記軸心に沿ってほぼ全長に亘って平行に付したことを特徴とするウィルキー。
【請求項2】
前記基本目盛は、前記操作杆の前記一対の引掛脚が設けられた側面部分とは前記軸心に対して反対側の側面に付され、
前記換算目盛は、前記操作杆の前記一対の引掛脚が設けられた側面部分と前記軸心に対して同じ側の側面に付されていることを特徴とする請求項1記載のウィルキー。
【請求項3】
前記操作杆には、前記基本目盛の表示領域を伸長させる伸長部材が軸方向に摺動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のウィルキー。
【請求項4】
前記基本目盛と前記換算目盛は、前記操作杆に刻印されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウィルキー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動式バルブを開閉するハンドルを回すために用いるウィルキーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所等の施設には、各種の流体や気体を移送するための多数の配管が敷設されており、これら配管の流量を流量開閉弁や遮断弁などにより調整するようにしている。これらの弁は、手動式バルブが多用されており、この手動式バルブは、ハンドルを備え、このハンドルを回転操作することにより弁を開閉するようにしている。このハンドル5は、一般的に、図5(a)に示されるように、回転軸51に対して放射状に延設された複数のリブ52とこのリブ52の延端に結合された円環状のリング状部53とを有して構成されている。
【0003】
しかし、手動式バルブは、閉じられた状態、又は、開かれた状態で長時間維持される場合が多く、手動によるハンドル5の回転が困難になる場合がある。また、高圧の液体を開閉する手動式バルブにあっては、内部から作用する圧力と相俟ってハンドルの回転操作が一層困難となる。
【0004】
このため、従来においては、定期点検時などのハンドル5を回転させる必要がある場合には、図5(b)で示されるようなウィルキー1を、図5(c)、(d)に示すように、ハンドル5に係止させて使用するようにしている(特許文献1,2参照)。
このウィルキー1は、一般的に、長尺の棒体状の操作杆2と、この操作杆2の長手方向の一端側に設けられ、この操作杆2の軸心に対して直交すると共に軸方向に間隔をあけて設けられた一対の引掛脚3,4と、を有して構成されているもので、ハンドル5のリブ52とリング状部53との接合部分を跨ぐように一対の引掛脚3,4を係止させ、この状態でウィルキー1の操作杆2を手で持ってハンドル5の回転方向に動かすことで、ハンドル5に作用する回転トルクを増大させてハンドル5を回転させるようにしている。
【0005】
このようなウィルキー1を用いたバルブ操作(ハンドル5の回転操作)においては、ウィルキー1は、ハンドル径に応じて適切な大きさのものを使用することが好ましく、採用されている手動式バルブの仕様によっても異なるが、例えば、ハンドル5の直径の1.5倍程度の長さのウィルキー1を使用することが推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−028846号公報
【特許文献2】特開2011−189432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現場においてハンドル径を別途用意した定規や巻尺等を用いて測定し、その上で使用するウィルキー1を選定することは殆どなく、目視によってハンドルの大きさを把握し、作業者の勘によって適当にウィルキーを選定して使用している場合が多い。また、適正な大きさのウィルキーを使用してもバルブが固着している等の理由から容易に動かない場合には、やむを得ず1段階大きいウィルキーを使用することになるが、大きいウィルキーを使用する場合には、持つ位置を誤ると、ハンドルに必要以上のトルクがかかり、弁のネジ部やヨークなどをねじ切って破損させてしまう不都合がある。
このため、ウィルキーの選定を適切に行うことができ、また、適正な大きさのウィルキーよりも大きいウィルキーを使用した場合においても、ウィルキーを適正に操作することができる目安を、ウィルキー以外の物を用いることなく、ウィルキー自体に持たせる(ウィルキー自体で知る)ことができることが好ましい。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、ウィルキーの選定を適切に行うことができ、また、適正な大きさのウィルキーよりも大きいウィルキーを使用した場合においても、ウィルキーを適正に操作することができ、バルブを破損させるリスクを低減することが可能なウィルキーを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明に係るウィルキーは、長尺の棒体状の操作杆と、この操作杆の長手方向の一端側に設けられ、この操作杆の軸心に対して直交すると共に軸方向に間隔をあけて設けられた一対の引掛脚と、を有して構成され、回転軸にリブを介して固定されたリング状部を備えてなるハンドルを回転させるために利用されるウィルキーであって、前記操作杆の表面に、メートル法に基づく単位間隔で配された目盛り線を有する基本目盛と、この基本目盛の目盛り線の間隔に対して前記操作杆の長さと前記ハンドルの径との理想比を乗じた間隔で配された目盛り線を有する換算目盛と、を前記軸心に沿ってほぼ全長に亘って平行に付したことを特徴としている。
【0010】
したがって、現場において、操作したいバルブのハンドルの正面にウィルキーの操作杆を径方向に沿ってあてがい、基本目盛によってハンドルの直径を測定し、その測定値に対応する換算目盛の長さを備えたウィルキーを選定することで、操作したいハンドルに対して適切な大きさのウィルキーを選定することが可能となる。
【0011】
また、適正な大きさのウィルキーがなく、長めのウィルキー(例えば、1段階大きいウィルキー)しかない場合や、適正な大きさのウィルキーではハンドルが回らなかったため、一段階大きいウィルキーを用いる場合には、そのウィルキーをハンドルに係止させた後に、基本目盛によって測定した直径に対応する換算目盛の位置を手でもって操作することから始め、ハンドルが回らなかった場合には、ハンドルを持つ位置を少しずつ引掛脚から遠ざかる位置にずらして操作すれば、必要以上に過剰なトルクをハンドルにかけることなくハンドルを操作することが可能となる。
【0012】
ここで、基本目盛と換算目盛は、操作杆の前記一対の引掛脚が設けられた側面部分とは反対側の側面に並べて付すようにしても、基本目盛を、操作杆の一対の引掛脚が設けられた側面部分とは操作杆の軸心に対して反対側の側面に付し、これに対して、換算目盛を、操作杆の一対の引掛脚が設けられた側面部分と操作杆の軸心に対して同じ側の側面に付すようにしてもよい。
【0013】
基本目盛は、通常の定規としても使用可能となるため、使用しやすいように操作杆の表面の中でも障害物がない側面(引掛脚が無い側面)に付すことには意味がある。また、基本目盛と換算目盛とを操作杆の側面の互いに180度位相がずれた位置に付すことで、誤認識を低減することが可能となる。
【0014】
また、前記操作杆には、前記目盛の表示領域を伸長させる伸長部材を軸方向に摺動可能に設けるようにしてもよい。
このような構成とすることで、ウィルキーを伸縮可能な長尺の定規(自身の長さよりも長い定規)として利用することが可能となり、ウィルキーの利用用途を広げることが可能となる。
【0015】
なお、ウィルキーは、ハンドル等の他の部材と触れて擦れやすいため、前記基本目盛と換算目盛は、長期の使用においても消えないように操作杆に刻印されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明に係るウィルキーによれば、メートル法に基づく単位間隔で配された目盛り線を有する基本目盛と、この基本目盛の目盛り線の間隔に対して操作杆の長さとハンドル径との理想比を乗じた間隔で配された目盛り線を有する換算目盛と、を操作杆のほぼ全長に亘って平行に付したので、基本目盛でハンドル径を測定し、その測定結果に対応する換算目盛の長さのウィルキーを選定すれば、作業者の勘によらずに、弁操作に適したウィルキーを容易に選定することが可能となる。
【0017】
また、適正な大きさのウィルキーよりも大きいウィルキーを使用する場合においても、ハンドル径に応じた適正な操作位置を換算目盛で把握することができ、その操作位置を手で持ってウィルキーを操作し、その位置ではハンドル操作が困難な場合には、引掛脚から遠ざかるように少しずつ持つ位置をずらして操作すれば、ハンドルに必要以上のトルクがかかってバルブを破損させるリスク(油系統の弁を破損させて油を漏洩させるリスク)を低減することが可能となる。
【0018】
さらに、基本目盛は、実寸法の長さを測定するために利用できるので,精度は低いが寸法を測定する通常の定規として利用することも可能であり、この基本目盛の表示領域を伸長させる伸長部材を操作杆に摺動可能に設けることで、ウィルキーの利用用途をさらに広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係るウィルキーを示す側面図である。
図2図2は、図1で示すウィルキーの斜視図であり、(a)は、操作杆の引掛脚が付いていない側面側を上にして斜め上方から見た斜視図、(b)は、操作杆の引掛脚が付いている側面側を上にして斜め上方から見た斜視図である。
図3図3は、本発明に係るウィルキーを用いた利用方法を説明する図であり、ハンドル径を基本目盛で測定して適したウィルキーを選定する手法、及び、大きいウィルキーを用いてハンドル径に適した操作を行う手法を説明する図である。
図4図4は、本発明に係るウィルキーの他の構成例を示す斜視図であり、(a)は、伸長部材を操作杆に収容した状態を示す斜視図であり、(b)は、伸長部材を操作杆から引き出して伸ばした状態を示す斜視図である。
図5図5(a)は、手動式バルブのハンドルを示す平面図、図5(b)は、従来の一般的なウィルキーを示す側面図、(c)及び(d)は、ウィルキーを用いて、ハンドルを操作する手法を説明する図であり、(c)はハンドルの軸方向上方から見た図、(d)は、ハンドルの軸方向と直交する方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るウィルキーについて、添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2において、ウィルキー1は、長尺の棒体状の操作杆2と、この操作杆2の長手方向の一端側に設けられた一対の引掛脚3,4とを有して構成されている。
【0021】
この一対の引掛脚3,4は、操作杆2の軸心に対して直交するように延設されると共に、操作杆2の軸方向に所定の間隔をあけて平行に延設されている。この例では、一方の引掛脚3は、操作杆2の一端(先端部2a)に設けられ、他方の引掛脚4は、一方の引掛脚3から他端側(末端側)にずらした位置に設けられ、いずれの引掛脚3.4も同じ長さに形成されている。
【0022】
なお、前記操作杆2の引掛脚3,4が設けられた部分よりも末端側は、作業者によって握持可能な握持部2bに形成されている。
また、操作杆2や引掛脚3,4は、断面矩形状や断面多角形状であってもよいが、この例では、断面円形状に形成され、操作杆2の径と各引掛脚3,4の径はほぼ同じに形成されている。
【0023】
操作杆2の表面には、その長手方向に沿って所定の間隔の目盛り線を有する基本目盛10と、この基本目盛10の間隔とは異なる間隔の目盛り線を有する換算目盛20とがほぼ全長に亘って平行に付されている。
【0024】
基本目盛10は、メートル法に基づく単位間隔で目盛り線が付されているもので、この例では、1cm単位で目盛り線11が付されており、操作杆の一対の引掛脚が設けられた側面部分とは該操作杆の軸心に対して反対側の側面、即ち、引掛脚とは180度位相がずれた側面に操作杆2の軸心に沿って付されている。
この基本目盛10の目盛り線11は、溝状に刻印されて操作杆2の表面に所定の円周角(例えば、90〜150度)の範囲で形成され、各目盛り線11の端部脇には、目盛数字12(操作杆2の一端からの実寸法)が1cm単位で付されている。
【0025】
これに対して、換算目盛20は、基本目盛の間隔とは異なる間隔、例えば、1.5cm単位で目盛が付されているもので、前記操作杆の前記一対の引掛脚が設けられた側面部分と操作杆2の軸心に対して同じ側の側面に操作杆2の軸心に沿って付されている。
この換算目盛20も、溝状に刻印されて操作杆2の表面に所定の円周角(例えば、90〜150度)の範囲で形成され、各目盛り線21の端部脇には、操作杆2の一端からの換算寸法が、丸数字22として付されている。
【0026】
この換算寸法は、例えば、手動式バルブのハンドル5に対して、これに適したウィルキー1の全長がハンドル直径の1.5倍である場合を想定して付されているもので、ハンドル5に対して適したウィルキー1の全長がハンドル直径の2倍である場合には、換算目盛は2cm単位で付されることになる。
このように、換算目盛20は、基本目盛10の目盛り線11の間隔に対して操作杆2の長さとハンドル5の径との理想比を乗じた間隔で目盛り線が付されている。
【0027】
以上の構成において、次に、図3で示されるようなハンドル5を回転操作するためのウィルキー1の選定方法及びウィルキー1の適切な操作方法について説明する。
【0028】
ここで示されるハンドル5は、回転軸51に対してリブ52を介して固定されたリング状部53を備えて構成されているもので、手動式バルブで用いられる一般的なハンドルである。
先ず、適当な大きさのウィルキー1を手で持って、そのウィルキー1をハンドル5の前面に近づけて径方向に渡すようにあてがい、ウィルキー1の操作杆2の先端に設けられた一方の引掛脚3の外縁をハンドル5のリング状部53の外縁に一致させて、ハンドルの直径Dを測定する。
【0029】
その結果、ハンドル径が10cmであることが判れば、このハンドルに適したウィルキーの長さは、ハンドル径の1.5倍である15cm程度のものであるので、作業者は、全長が15cm程度のウィルキー(基本目盛の全長が15cm程度であるウィルキー、または、換算目盛の全長が丸数字の10であるウィルキー)を選定し、このウィルキー1を用いて図5に示されるようにハンドル5に係止させて操作すればよい。
【0030】
また、選定したウィルキー1では、ハンドルが固まっていて操作できない場合や、手元に大きいウィルキーしかない場合には、適したウィルキー1より大きいウィルキー(例えば、一段階大きいウィルキー1’)を用いて操作することになるが、この場合には、操作杆2の持つ位置によっては、ハンドル5に過剰なトルクが作用し、バルブを破損する恐れがある。
【0031】
しかし、ウィルキー1’の操作杆には、ハンドル径に対応した換算目盛が付されており、上述の場合であれば、換算目盛の丸数字10の部分がハンドル5に適した長さ位置であるので(操作杆の先端(一方の引掛脚)から15cmの位置となるので)、この丸数字10の部分(白抜き矢印で示す部分)を手で持って操作すれば、15cmのウィルキーと同じトルクをかけることが可能となる。
【0032】
そして、この位置でハンドルが動かない場合には、この位置から少しずつ引掛脚3,4から遠ざかる位置(丸数字の11や12の位置)を手で持ち、ハンドル5にトルクを作用させる。
【0033】
したがって、作業者は、手動式バルブのハンドル5の径に適したウィルキー1を選定することが可能となり、また、大きいウィルキー1‘に換える場合や大きいウィルキー1’しかない場合でも、換算目盛20を目安にして、ハンドル径の大きさに対応した換算目盛20の目盛り線21の部分を手で持って操作し、その位置でハンドルが回らなければ、そこから少しずつ持つ位置を外側(末端側)へずらして操作することで、必要以上にハンドル5にトルクを掛けることがなくなる。
【0034】
また、この例では、基本目盛10が操作杆2の引掛脚3,4が設けられた側面部位とは反対側の側面に長手方向に沿って付され、また、換算目盛20が、操作杆2の引掛脚3,4が設けられた側面部分と同じ側の側面に長手方向に沿って付されているので、基本目盛10でハンドル5の径を測定する際に引掛脚3,4が邪魔になる不都合がなく、また、通常の定規として用いる場合にも、引掛脚3,4を持った際に基本目盛りが見えなくなる不都合はなく、測定しやすいものとなる。
【0035】
さらに、基本目盛10や換算目盛20は、操作杆2の表面に刻印されているので、長年の使用で目盛が消える不都合も少なく、また、測定した寸法を直接目視することが難しい場合でも、触覚を頼りに寸法を認識することが可能となる。
【0036】
図4に本発明の他の構成例が示され、この例では、操作杆2の握持部2bに、伸長部材としての補助定規6がスライド可能に設けられている。この補助定規6は、操作杆2の握持部2bに軸方向に摺動溝2cを末端から中程にかけて形成し、この摺動溝2cに操作杆2の軸心に沿ってスライド可能に挿入されているもので、突出した寸法の長さが判るようにメートル法に基づく補助目盛(+1、+2、+3・・・)30が例えば1cm単位の目盛り線31を突出端から刻印することによって形成されている。また、各目盛り線31の端部脇には、補助目盛数字32(補助定規6の先端からの実寸法)が1cm単位で付されている。
したがって、補助定規6を伸ばして操作杆2から突出している寸法を補助目盛30を目視して知ることで、基本目盛10に対して、さらに何cm突出しているかが判るようになっている。
【0037】
このような構成においては、ウィルキー1の操作杆2よりも長い寸法箇所の寸法を測定したり、操作杆2が入らないような狭い空間や穴の軸方向寸法を測定したりする場合等に利用することが可能となり、ウィルキー1の利用用途を拡張することが可能となる。
【0038】
尚、上述の例では、基本目盛10のメートル法に基づく単位間隔で配された目盛り線11を1cm単位の目盛り線11としたが、1mm単位、5mm単位の目盛り線をさらに追加してもよい。
また、上述の例では、基本目盛10が操作杆2の引掛脚3,4が設けられた側面部位とは反対側の側面に付され、また、換算目盛20が、操作杆2の引掛脚3,4が設けられた側面部分と同じ側の側面に付された例を示したが、換算目盛20も基本目盛10と同じ側に並列的に付してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1、1’ ウィルキー
2 操作杆
3,4 引掛脚
5 ハンドル
10 基本目盛り
11 目盛り線
20 換算目盛り
21 目盛り線
30 補助目盛
31 目盛り線
【要約】
【課題】ウィルキーの選定を適切に行え、また、適正な大きさのウィルキーよりも大きいウィルキーを使用した場合においても、ウィルキーの適正な操作を確保してバルブが破損するリスクを低減することが可能なウィルキーを提供する。
【解決手段】長尺の棒体状の操作杆2と、この操作杆2の長手方向の一端側に設けられ、この操作杆2の軸心に対して直交すると共に軸方向に間隔をあけて設けられた一対の引掛脚3,4と、を有して構成されるウィルキー1において、操作杆2の表面に、メートル法に基づく単位間隔で配された目盛り線11を有する基本目盛10と、この基本目盛10の目盛り線11の間隔に対して操作杆2の長さとハンドルの径との理想比を乗じた間隔で配された目盛り線21を有する換算目盛20と、を操作杆2の軸心に沿ってほぼ全長に亘って平行に付す。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5