(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術のように作業対象ではない端子を絶縁部材で塞ぐ場合、作業対象の端子が変わる度に絶縁部材の位置を変える作業が必要となる。このため、端子に対する作業中における短絡が防止されるものの、作業効率が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、端子に対する作業中における短絡が防止でき且つ作業効率を向上させることができる短絡防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る短絡防止具は、電力量計の端子台の正面に対向できる基部と、前記基部の両側に連結され、前記端子台を側面から挟むことができる挟持部と、前記基部に連結され、前記端子台に並べられた複数の端子間の仕切壁に対向できる絶縁性部材である歯部と、を備え、前記挟持部が前記端子台を挟んだ時に前記端子台の側面と前記挟持部との間に生ずる摩擦力によって前記端子台に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
これにより、短絡防止具が端子台に取り付けられると、絶縁性部材である歯部が端子間に配置される。このため、歯部によって、端子間に仕切壁よりも高い絶縁性の壁が形成される。その結果、端子ねじが端子台の表面から突出しにくくなるので、隣接する端子の端子ねじ同士の接触が抑制される。さらに、短絡防止具は、挟持部が端子台の側面を挟むことで取り付けられるので、端子台に容易に取り付けることができる。したがって、短絡防止具は、端子に対する作業中における短絡が防止でき且つ作業効率を向上させることができる。
【0008】
本発明の望ましい態様として、前記歯部の厚みは、前記端子に電線を固定するための端子ねじの長さから、前記仕切壁の厚さを減じた長さよりも大きいことが好ましい。
【0009】
これにより、端子ねじが雌ねじから外れる直前まで緩められたとしても、端子ねじが歯部の表面よりも内側に位置することになる。このため、隣接する端子の端子ねじ同士の接触がより抑制されやすくなる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、前記基部および前記挟持部は、板状部材であり、前記挟持部が前記端子台を挟む前の状態において、前記基部と前記挟持部とがなす角度は鋭角であることが好ましい。
【0011】
これにより、短絡防止具は、端子台に取り付けられる際、基部と挟持部とのなす角度が直角よりも大きくなるように変形させられる。短絡防止具が変形させられた後、短絡防止具に加えられていた力が取り除かれると、短絡防止具には弾性変形が生じる。これにより、挟持部が側面に押し付けられるので、挟持部と側面との間に摩擦力が生じやすくなる。このため、短絡防止具の位置が保持されやすくなる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、前記挟持部は、他方の前記挟持部に近付く方向に突出する凸部を備えることが好ましい。
【0013】
これにより、基部と挟持部とのなす角度が鋭角でなくても、挟持部が端子台を挟んだ時に凸部が側面を押すので、凸部と側面との間に摩擦力が生じやすくなる。このため、短絡防止具の位置が保持されやすくなる。
【0014】
本発明の望ましい態様として、前記基部、前記挟持部および前記歯部は、一体であることが好ましい。これにより、短絡防止具の製造が容易になる。
【0015】
本発明の望ましい態様として、前記基部、前記挟持部および前記歯部は、合成ゴムであることが好ましい。これにより、短絡防止具が容易に変形する。このため、短絡防止具を端子台へ取り付ける際の作業効率が向上する。
【0016】
本発明の望ましい態様として、前記基部、前記挟持部および前記歯部は、合成樹脂であることが好ましい。これにより、短絡防止具が容易に変形する。このため、短絡防止具を端子台へ取り付ける際の作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業中の短絡が防止でき且つ作業効率を向上させることができる短絡防止具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0020】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る短絡防止具が取り付けられた電力量計を示す正面図である。
図2は、本実施形態に係る短絡防止具が取り付けられた電力量計を示す側面図である。
図3は、本実施形態に係る短絡防止具を示す正面図である。
図4は、本実施形態に係る短絡防止具を示す底面図である。
図5は、本実施形態に係る短絡防止具を示す側面図である。
図6は、本実施形態に係る短絡防止具を示す斜視図である。
【0021】
図1および
図2に示す電力量計1は、電力を積算することで電力量を計量する装置である。電力量計1は、例えば通信装置を備えており、計量した電力量をデジタル信号として発信することができる。すなわち、電力量計1はスマートメーターである。また、電力量計1は、定格電流が60Aである場合のスマートメーターである。
【0022】
図1および
図2に示すように、電力量計1は、計量装置2と、端子台3と、を備える。計量装置2は、端子台3に接続される電線10a、電線10b、電線10c、電線10d、電線10eおよび電線10fを流れる電流および電圧に基づいて電力量を計量する。以下の説明において、電線10a、電線10b、電線10c、電線10d、電線10eおよび電線10fのうち1つを代表して説明する場合、電線10と記載する。端子台3は、電線10を固定するための部材である。例えば、電線10a、電線10bおよび電線10cが電源側に接続されており、電線10d、電線10eおよび電線10fが負荷側に接続されている。
【0023】
端子台3は、端子5aと、端子5bと、端子5cと、端子5dと、端子5eと、端子5fと、を備える。以下の説明において、端子5aと、端子5b、端子5c、端子5d、端子5eおよび端子5fのうち1つを代表して説明する場合、端子5と記載する。
図1に示すように、正面視で左から右に向かって、端子5a、端子5b、端子5c、端子5d、端子5e、端子5fの順に並べられている。端子5aには電線10aが接続される。端子5bには電線10bが接続される。端子5cには電線10cが接続される。端子5dには電線10dが接続される。端子5eには電線10eが接続される。端子5fには電線10fが接続される。
【0024】
端子5は、端子ねじ51と、電線挿入孔53と、を備える。端子ねじ51が締め付けられることによって、電線10が電線挿入孔53の内壁に押し付けられる。これにより、電線10が端子5に固定される。また、端子ねじ51が緩められると、電線10が端子5から離脱できる。
【0025】
図1および
図2は、電線10を端子台3に接続する作業、または電線10を端子台3から取り外す作業が行われる際の状態を示している。作業が終わった後、端子台3には絶縁性のカバーが取り付けられる。すなわち、端子台3に対して作業を行うときを除き、端子台3は絶縁性のカバーに覆われている。
【0026】
電線10を端子台3に接続する作業、または電線10を端子台3から取り外す作業が行われる際、ドライバー等の工具を用いて端子ねじ51が操作される。このとき、緩められた端子ねじ51が倒れ、隣接する端子5の端子ねじ51同士が接すると、短絡が生じる可能性がある。また、端子ねじ51に接したままのドライバーが倒れ、ドライバーが隣りの端子5の端子ねじ51に接すると、短絡が生じる可能性がある。本実施形態に係る短絡防止具4は、上述したような短絡事故を防止するための器具である。
【0027】
図1および
図2に示したように、短絡防止具4は、端子台3に取り付けられる。
図3〜
図6に示すように、短絡防止具4は、基部41と、挟持部42と、歯部431と、歯部432と、歯部433と、歯部434と、歯部435と、を備える。以下の説明において、歯部431、歯部432、歯部433、歯部434、歯部435のうち1つを代表して説明する場合、歯部43と記載する。基部41と、挟持部42と、歯部43は、例えば絶縁性を有する合成ゴムによって一体に形成されている。
【0028】
基部41は、
図1および
図2に示すように短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、端子台3の正面31に対向する板状部材である。基部41は、
図3に示すように、切欠き44および切欠き45を備える。切欠き44および切欠き45は、例えば矩形の切欠きである。定格電流が60Aである電力量計1において、端子台3の正面31にはねじ等の突起物が設けられていることがある。切欠き44および切欠き45は、正面31に設けられた突起物に対応する位置に配置されている。切欠き44および切欠き45は、正面31に設けられた突起物と基部41との干渉を防止する。
【0029】
挟持部42は、
図1および
図2に示すように短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、端子台3の側面32に対向する板状部材である。挟持部42は、基部41の両側に設けられている。例えば、挟持部42が端子台3を挟む前の状態における基部41と挟持部42とのなす角度αは、
図4に示すように鋭角である。
図4および
図5に示すように、挟持部42は、第1翼421と、第2翼422と、を備える。第1翼421および第2翼422は一体に形成されている。第1翼421は、短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、第2翼422の上側に位置するように配置されている。短絡防止具4が端子台3に取り付けられた状態において、第1翼421の水平方向の長さは、第2翼422の水平方向の長さよりも長い。
【0030】
短絡防止具4は、端子台3に取り付けられる際、基部41と挟持部42とのなす角度が直角よりも大きくなるように変形させられる。その後、短絡防止具4は、基部41が端子台3の正面31に対向し、且つ挟持部42が端子台3の側面32に対向するように配置される。この状態で短絡防止具4に加えられていた力が取り除かれると、短絡防止具4には弾性変形が生じる。これにより、挟持部42が側面32に押し付けられるので、挟持部42と側面32との間に摩擦力が生じる。このため、短絡防止具4は、端子台3に固定される。
【0031】
歯部43は、
図1および
図2に示すように短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、端子台3の正面31に対向する板状部材である。
図6に示すように、一方の挟持部42側から他方の挟持部42側に向かって、歯部431、歯部432、歯部433、歯部434、歯部435の順に並べられている。歯部431、歯部432、歯部433、歯部434および歯部435は、互いに平行な板状部材である。歯部431は、スリット43bを挟んで歯部432と対向している。歯部432は、スリット43cを挟んで歯部433と対向している。歯部433は、スリット43dを挟んで歯部434と対向している。歯部434は、スリット43eを挟んで歯部435と対向している。また、歯部431のスリット43bとは反対側に、スリット43aが形成されている。歯部435のスリット43eとは反対側に、スリット43fが形成されている。すなわち、基部41および歯部43により、櫛形状が形成されている。
【0032】
短絡防止具4が端子台3に取り付けられたとき、スリット43aは端子5aを露出させ、スリット43bは端子5bを露出させ、スリット43cは端子5cを露出させ、スリット43dは端子5dを露出させ、スリット43eは端子5eを露出させ、スリット43fは端子5fを露出させる。これにより、すべての端子5において端子ねじ51の操作が可能となる。
【0033】
図7は、
図1におけるA−A断面図である。
図8は、端子ねじが緩められた状態での
図1におけるA−A断面図である。
図8は、端子ねじ51のねじ山が1ピッチだけ雌ねじ52に嵌合している状態を示している。
【0034】
図7に示すように、端子台3は、端子5bと端子5aとの間に設けられる仕切壁351と、端子5bと端子5cとの間に設けられる仕切壁352と、を備える。また、端子5cと端子5dとの間、端子5dと端子5eとの間、および端子5eと端子5fとの間にも仕切壁が設けられている。以下の説明において、仕切壁351、仕切壁352およびその他の仕切壁のうち1つを代表して説明する場合、仕切壁35と記載する。
【0035】
図7に示すように、歯部43は、短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35に対向する。すなわち、歯部43は、短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35の少なくとも一部に重なる。例えば、短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、歯部43は仕切壁35に接する。歯部43の厚さD43は、端子ねじ51の軸方向の全長D51から仕切壁35の厚さD35を減じた長さよりも大きい。厚さD43および厚さD35は、端子ねじ51の軸方向に平行な方向での厚さである。
【0036】
例えば、
図7に示すように、端子ねじ51が電線10を電線挿入孔53の内壁に押し付けている時には、雌ねじ52からの端子ねじ51の突出長さDpは、仕切壁35の厚さD31より小さい。このため、端子ねじ51は、仕切壁35よりも電力量計1の正面側へ突出していない。
【0037】
一方、
図8に示すように、端子ねじ51が緩められ時には、雌ねじ52からの端子ねじ51の突出長さDpは、仕切壁35の厚さD31より大きくなることがある。仮に端子台3に短絡防止具4が取り付けられていない場合、端子ねじ51が端子台3の表面から突出することになる。このため、端子5aまたは端子5cの端子ねじ51が端子5b側に倒れると、端子ねじ51同士が接触する可能性が高くなる。
【0038】
これに対して、端子台3に本実施形態に係る短絡防止具4が取り付けられていると、端子ねじ51が雌ねじ52から外れる直前まで緩められたとしても、端子ねじ51が歯部43の表面よりも内側に位置することになる。言い換えると、端子ねじ51のねじ山が1ピッチだけ雌ねじ52に嵌合している状態になるまで緩められたとしても、端子ねじ51が端子台3の表面から突出しなくなる。このため、端子5aまたは端子5cの端子ねじ51が端子5b側に倒れてきたとしても、端子ねじ51同士の接触が生じにくくなる。また、端子5aまたは端子5cの端子ねじ51に用いられていたドライバーが端子5b側に倒れてきたとしても、ドライバーと端子ねじ51との接触が生じにくい。
【0039】
なお、基部41、挟持部42および歯部43は、必ずしも合成ゴムでなくてもよい。例えば、基部41、挟持部42および歯部43は、合成樹脂でもよい。基部41、挟持部42および歯部43が合成ゴムまたは合成樹脂であることにより、短絡防止具4が容易に変形する。このため、短絡防止具4を端子台3へ取り付ける際の作業効率が向上する。また、基部41、挟持部42および歯部43は、必ずしも一体に形成されていなくてもよい。例えば、基部41、挟持部42および歯部43は、別部材であって、互いに連結されていてもよい。
【0040】
以上で説明したように、短絡防止具4は、基部41と、挟持部42と、歯部43と、を備える。基部41は、電力量計1の端子台3の正面31に対向できる。挟持部42は、基部41の両側に連結され、端子台3を側面32から挟むことができる。歯部43は、基部41に連結され、端子台3に並べられた複数の端子5間の仕切壁35に対向できる絶縁性部材である。挟持部42が端子台3を挟んだ時に端子台3の側面32と挟持部42との間に生ずる摩擦力によって端子台3に取り付けられる。
【0041】
これにより、短絡防止具4が端子台3に取り付けられると、絶縁性部材である歯部43が端子5間に配置される。このため、歯部43によって、端子5間に仕切壁35よりも高い絶縁性の壁が形成される。その結果、端子ねじ51が端子台3の表面から突出しにくくなるので、隣接する端子5の端子ねじ51同士の接触が抑制される。さらに、短絡防止具4は、挟持部42が端子台3の側面32を挟むことで取り付けられるので、端子台3に容易に取り付けることができる。したがって、短絡防止具4は、端子5に対する作業中における短絡が防止でき且つ作業効率を向上させることができる。
【0042】
また、短絡防止具4において、歯部43の厚みD43は、端子5に電線10を固定するための端子ねじ51の全長D51から、仕切壁35の厚さD35を減じた長さよりも大きい。
【0043】
これにより、端子ねじ51が雌ねじ52から外れる直前まで緩められたとしても、端子ねじ51が歯部43の表面よりも内側に位置することになる。このため、隣接する端子5の端子ねじ51同士の接触がより抑制されやすくなる。
【0044】
また、短絡防止具4において、基部41および挟持部42は、板状部材である。挟持部42が端子台3を挟む前の状態において、基部41と挟持部42とがなす角度αは鋭角である。
【0045】
これにより、短絡防止具4は、端子台3に取り付けられる際、基部41と挟持部42とのなす角度が直角よりも大きくなるように変形させられる。短絡防止具4が変形させられた後、短絡防止具4に加えられていた力が取り除かれると、短絡防止具4には弾性変形が生じる。これにより、挟持部42が側面32に押し付けられるので、挟持部42と側面32との間に摩擦力が生じやすくなる。このため、短絡防止具4の位置が保持されやすくなる。すなわち、短絡防止具4が端子台3から脱落しにくくなる。
【0046】
また、短絡防止具4において、基部41、挟持部42および歯部43は、一体である。これにより、短絡防止具4の製造が容易になる。
【0047】
また、短絡防止具4において、基部41、挟持部42および歯部43は、合成ゴムである。これにより、短絡防止具4が容易に変形する。このため、短絡防止具4を端子台3へ取り付ける際の作業効率が向上する。
【0048】
(変形例1)
図9は、変形例1に係る短絡防止具を示す底面図である。
図10は、電力量計に取り付けられた変形例1に係る短絡防止具を示す底面図である。変形例1に係る短絡防止具4Aは、上述した実施形態に係る挟持部42とは異なる挟持部42Aを備える。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
図9に示すように、挟持部42Aは、基部41の両側に設けられている。例えば、挟持部42Aが端子台3を挟む前の状態における基部41と挟持部42Aとのなす角度βは、直角である。挟持部42Aは、凸部47を備える。凸部47は、例えば合成ゴムで挟持部42Aと一体に形成されている。凸部47は、挟持部42Aが端子台3を挟んだ時に端子台3の側面32に対向する面に設けられている。一方の挟持部42Aに設けられた凸部47は、他方の挟持部42Aに近付く方向に突出している。また、凸部47は、例えば挟持部42Aの先端に設けられており、曲面状の表面を有する。
【0050】
図10に示すように、短絡防止具4Aが端子台3に取り付けられると、凸部47が側面32に接する。これにより、挟持部42Aが側面32から遠ざかる方向に変形するので、挟持部42Aに弾性変形が生じる。このため、凸部47が側面32を押すので、凸部47と側面32との間に摩擦力が生じやすくなる。
【0051】
なお、挟持部42Aが端子台3を挟む前の状態における基部41と挟持部42Aとのなす角度βは、必ずしも直角でなくてもよい。例えば角度βは、鋭角であってもよいし、鈍角であってもよい。ただし、角度βが直角または鋭角である方が、凸部47と側面32との間に生ずる摩擦力が大きくなりやすい点で好ましい。
【0052】
以上説明したように、挟持部42Aは、他方の挟持部42Aに近付く方向に突出する凸部を備える。
【0053】
これにより、基部41と挟持部42Aとのなす角度βが鋭角でなくても、挟持部42Aが端子台3を挟んだ時に凸部47が側面32を押すので、凸部47と側面32との間に摩擦力が生じやすくなる。このため、短絡防止具4Aの位置が保持されやすくなる。すなわち、短絡防止具4Aが端子台3から脱落しにくくなる。
【0054】
(変形例2)
図11は、変形例2に係る短絡防止具を示す正面図である。
図12は、変形例2に係る短絡防止具を示す底面図である。
図13は、変形例2に係る短絡防止具を示す側面図である。変形例2に係る短絡防止具4Bは、定格電流が30Aである場合のスマートメーターの端子台に取り付けるための器具である。定格電流が30Aである場合のスマートメーターは、定格電流が60Aである場合のスマートメーターとは異なる形状を有する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。ただし、変形例2の説明においては、端子台3、端子5、端子ねじ51および仕切壁35等は、定格電流が30Aである場合のスマートメーターにおける端子台、端子、端子ねじおよび仕切壁等を指す。
【0055】
短絡防止具4Bは、基部41Bと、挟持部42Bと、歯部431Bと、歯部432Bと、歯部433Bと、を備える。以下の説明において、歯部431B、歯部432B、および歯部433Bのうち1つを代表して説明する場合、歯部43Bと記載する。基部41Bと、挟持部42Bと、歯部43Bは、例えば絶縁性を有する合成ゴムによって一体に形成されている。
【0056】
基部41Bは、短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられたときに、端子台3の正面31に対向する板状部材である。挟持部42Bは、短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、端子台3の側面32に対向する板状部材である。挟持部42Bは、基部41Bの両側に設けられている。例えば、挟持部42Bが端子台3を挟む前の状態における基部41Bと挟持部42Bとのなす角度αは、
図12に示すように鋭角である。
図12および
図13に示すように、挟持部42Bには、突起423が設けられている。突起423の肉厚は、挟持部42Bの肉厚よりも大きい。短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられた状態において、突起423は挟持部42Bの下端部から突出しており、且つ突起423の水平方向の長さが挟持部42Bの水平方向の長さよりも小さい。
【0057】
歯部43Bは、短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられたときに、端子台3の正面31に対向する板状部材である。
図11に示すように、一方の挟持部42B側から他方の挟持部42B側に向かって、歯部431B、歯部432B、歯部433B、の順に並べられている。歯部431、歯部432および歯部433は、互いに平行な板状部材である。歯部431Bは、スリット43bBを挟んで歯部432Bと対向している。歯部432Bは、スリット43cBを挟んで歯部433Bと対向している。また、歯部431Bのスリット43bBとは反対側に、スリット43aBが形成されている。歯部433Bのスリット43cBとは反対側に、スリット43dBが形成されている。すなわち、基部41Bおよび歯部43Bにより、櫛形状が形成されている。
【0058】
短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられたとき、スリット43aB、スリット43bB、スリット43cBおよびスリット43dBは端子5を露出させる。これにより、すべての端子5において端子ねじ51の操作が可能となる。
【0059】
歯部43Bは、短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35に対向する。すなわち、歯部43Bは、短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35の少なくとも一部に重なる。例えば、歯部43Bは、短絡防止具4Bが端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35に接する。このため、歯部43Bによって、端子5間に仕切壁35よりも高い絶縁性の壁が形成される。その結果、端子ねじ51が端子台3の表面から突出しにくくなるので、隣接する端子5の端子ねじ51同士の接触が抑制される。
【0060】
また、歯部43Bの厚さは、端子ねじ51の軸方向の全長から仕切壁35の厚さを減じた長さよりも大きい。これにより、端子ねじ51が雌ねじ52から外れる直前まで緩められたとしても、端子ねじ51が歯部43Bの表面よりも内側に位置することになる。このため、隣接する端子5の端子ねじ51同士の接触がより抑制されやすい。
【0061】
(変形例3)
図14は、変形例3に係る短絡防止具を示す正面図である。
図15は、変形例3に係る短絡防止具を示す底面図である。
図16は、変形例3に係る短絡防止具を示す側面図である。変形例3に係る短絡防止具4Cは、定格電流が120Aである場合のスマートメーターの端子台に取り付けるための器具である。定格電流が120Aである場合のスマートメーターは、定格電流が60Aである場合のスマートメーターとは異なる形状を有する。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。ただし、変形例3の説明においては、端子台3、端子5、端子ねじ51および仕切壁35等は、定格電流が120Aである場合のスマートメーターにおける端子台、端子、端子ねじおよび仕切壁等を指す。
【0062】
短絡防止具4Cは、基部41Cと、挟持部42Cと、歯部431Cと、歯部432Cと、歯部433Cと、歯部434Cと、歯部435Cと、を備える。以下の説明において、歯部431C、歯部432C、歯部433C、歯部434Cおよび歯部435Cのうち1つを代表して説明する場合、歯部43Cと記載する。基部41と、挟持部42と、歯部43Cは、例えば絶縁性を有する合成ゴムによって一体に形成されている。
【0063】
基部41Cは、短絡防止具4Cが端子台3に取り付けられたときに、端子台3の正面31に対向する板状部材である。挟持部42Cは、短絡防止具4が端子台3に取り付けられたときに、端子台3の側面32に対向する板状部材である。挟持部42Cは、基部41Cの両側に設けられている。例えば、挟持部42Cが端子台3を挟む前の状態における基部41Cと挟持部42Cとのなす角度αは、
図15に示すように鋭角である。
【0064】
歯部43Cは、短絡防止具4Cが端子台3に取り付けられたときに、端子台3の正面31に対向する板状部材である。
図14に示すように、一方の挟持部42C側から他方の挟持部42C側に向かって、歯部431C、歯部432C、歯部433C、歯部434C、歯部435Cの順に並べられている。歯部431C、歯部432C、歯部433C、歯部434Cおよび歯部435Cは、互いに平行な板状部材である。歯部431Cは、スリット43bCを挟んで歯部432Cと対向している。歯部432Cは、スリット43cCを挟んで歯部433Cと対向している。歯部433Cは、スリット43dCを挟んで歯部434Cと対向している。歯部434Cは、スリット43eCを挟んで歯部435Cと対向している。また、歯部431Cのスリット43bCとは反対側に、スリット43aCが形成されている。歯部435Cのスリット43eCとは反対側に、スリット43fCが形成されている。すなわち、基部41Cおよび歯部43Cにより、櫛形状が形成されている。
【0065】
短絡防止具4Cが端子台3に取り付けられたとき、スリット43aC、スリット43bC、スリット43cC、スリット43dC、スリット43eCおよびスリット43fCは端子5を露出させる。これにより、すべての端子5において端子ねじ51の操作が可能となる。
【0066】
歯部43Cは、短絡防止具4Cが端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35に対向する。すなわち、歯部43Cは、短絡防止具4Cが端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35の少なくとも一部に重なる。例えば、歯部43Cは、短絡防止具4Cが端子台3に取り付けられたときに、仕切壁35に接する。このため、歯部43Cによって、端子5間に仕切壁35よりも高い絶縁性の壁が形成される。その結果、端子ねじ51が端子台3の表面から突出しにくくなるので、隣接する端子5の端子ねじ51同士の接触が抑制される。
【0067】
また、歯部43Cの厚さは、端子ねじ51の軸方向の全長から仕切壁35の厚さを減じた長さよりも大きい。これにより、端子ねじ51が雌ねじ52から外れる直前まで緩められたとしても、端子ねじ51が歯部43Cの表面よりも内側に位置することになる。このため、隣接する端子5の端子ねじ51同士の接触がより抑制されやすい。
【解決手段】短絡防止具は、電力量計の端子台の正面に対向できる基部と、基部の両側に連結され、端子台を側面から挟むことができる挟持部と、基部に連結され、端子台に並べられた複数の端子間の仕切壁に対向できる絶縁性部材である歯部と、を備える。挟持部が端子台を挟んだ時に端子台の側面と挟持部との間に生ずる摩擦力によって端子台に取り付けられる。