(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリアミノ酸類を架橋させてポリアミノ酸類架橋体を作製し、得られたポリアミノ酸類架橋体を水に分散させて水分散液とした後、該水分散液に天然高分子を混合する相乗的に増粘性が増大してなる増粘性組成物の製造方法であって、
前記ポリアミノ酸類架橋体は、分子量10〜3000kDa、平均粒径が0.1〜300μmのポリ−γ−グルタミン酸の架橋体又はその塩であり、
前記天然高分子は、ヒアルロン酸、脂質から選ばれたものであり、
前記天然高分子は、前記ポリアミノ酸類架橋体100質量部に対し、0.01質量部以上混合することにより相乗的に増粘性を増大させることを特徴とする増粘性組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した従来の技術においては、必ずしも増粘効果が十分ではなく、例えば化粧料として使用した場合に、べたつかず肌へののびが優れ、さらに保湿性にも優れるといった各種の性質についてバランスよく優れた効果を発揮することはできなかった。
そこで、本発明は、生分解性を有するとともに、増粘性に優れ、化粧料として使用した場合にも使用時にべたつかず肌へののびが優れ、さらに保湿効果にも優れる増粘性組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決すべく、本発明は、以下のような増粘性組成物を提供するものである。
〔1〕ポリアミノ酸類架橋体と、天然高分子とを配合してなることを特徴とする増粘性組成物。
〔2〕前述した本発明の増粘性組成物において、前記天然高分子が天然多糖類であることを特徴とする増粘性組成物。
〔3〕前述した本発明の増粘性組成物において、前記天然多糖類がヒアルロン酸であることを特徴とする増粘性組成物。
〔4〕前述した本発明の増粘性組成物において、ポリアミノ酸類架橋体の配合量100質量部に対し、天然高分子が0.01質量部以上配合されてなることを特徴とする増粘性組成物。
〔5〕前述した本発明の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体がポリ−γ−グルタミン酸またはその塩であることを特徴とする増粘性組成物。
〔6〕前述した本発明の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体が、分子量10〜3000kDaのポリアミノ酸類の放射線架橋体であることを特徴とする増粘性組成物。
〔7〕前述した本発明の増粘性組成物において、前記ポリアミノ酸類架橋体の平均粒径が0.1〜300μmであることを特徴とする増粘性組成物。
本発明はまた、ポリアミノ酸類を架橋させてポリアミノ酸類架橋体を作製した後、天然高分子を配合することを特徴とする増粘性組成物の製造方法を提供するものである。
【0006】
本発明に係る増粘性組成物によれば、ポリアミノ酸類架橋体と、天然高分子、特に天然多糖類とを併用することにより、水性媒体に分散させたときの粘度を飛躍的に高める事ができる。それ故、通常単独では高粘度を発現しない天然高分子、例えば種々の機能を持った天然多糖類にも適度な粘度を付与することができ利用範囲を拡大することができる。また、本発明の増粘性組成物は、天然系の処方であることから、人体への安全性が高く、生分解性にも優れている。
それ故、本発明の増粘性組成物は、化粧料をはじめ、生活用品、トイレタリー用品、衛生用品、医療用品、農業/園芸分野、食品分野および環境分野に広く適用できる。
特に、天然多糖類としてヒアルロン酸を用いた場合には、大幅な増粘性の向上を期待できるとともに、ポリアミノ酸類架橋体による保湿効果に加えて、ヒアルロン酸による保湿効果も得られる。
また、天然多糖類としてのキサンタンガムは、耐塩性、耐酸性および耐熱性に優れる等の特徴を有する増粘剤として良く知られているが、化粧料として使用した場合に、べたつきがあったり肌へののびが劣るというように使用感が優れず、使用範囲が限定されていた。これに対して、本発明においては、キサンタンガムをポリアミノ酸類架橋体と併用することにより優れた使用感が得られるようになる。
本発明に係る増粘性組成物の製造方法によれば、ポリアミノ酸類を架橋させてポリアミノ酸類架橋体を作製した後、天然高分子を配合することで、水性媒体に分散させたときの粘度を飛躍的に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の増粘性組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、ポリアミノ酸類架橋体と、天然高分子とを配合してなることを特徴とする。以下、前記のポリアミノ酸類架橋体と天然高分子、さらにこれらから構成される本組成物について詳細に説明する。
〔ポリアミノ酸類架橋体〕
本発明において、ポリアミノ酸類とは、遊離酸であるものに限らず、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩であってもよく、アンモニウム塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などの塩基性アミン塩であってもよい。従って、ポリアミノ酸類架橋体には、遊離のポリアミノ酸の架橋体だけでなく、ポリアミノ酸塩の架橋体も含まれる。塩としては、匂いの観点からナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。以下、特に必要がなければ、遊離の酸とその塩とを区別しないで、「ポリアミノ酸類」、「ポリアミノ酸類架橋体」のように表記する。
【0008】
本発明のポリアミノ酸類架橋体は、以下のような各種のアミノ酸からなるポリアミノ酸を原料として適用できる。
例えば、非極性すなわち疎水性の原子団を持つアミノ酸として、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、およびプロリンなどが挙げられる。極性であるが電荷のないアミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンなどが挙げられる。正電荷を持つ原子団を有するアミノ酸としては、リジン、ヒスチジン、およびアルギニンなどが挙げられる。負電荷を持つ原子団を有するアミノ酸としては、アスパラギン酸やグルタミン酸などが挙げられる。
【0009】
アミノ酸の他の例としては、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸のN−置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸およびアミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。またポリアミノ酸は他のモノマー成分を含むコポリマーであってもよい。
【0010】
本発明で用いられるポリアミノ酸類架橋体は、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。コポリマーの場合、共重合形式は特に限定されるものでなく、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー等、任意の形式をとり得る。
ポリアミノ酸類架橋体がコポリマーである場合のコポリマー成分(アミノ酸以外のモノマー成分)の具体例としては、例えばアミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等が挙げられる。
【0011】
本発明ではホモポリマーが好ましく用いられる。中でも、優れた生分解性を発現させるためには、ポリアスパラギン酸、ポリ−γ−グルタミン酸(以下、「γ-PGA」ともいう。)、あるいはポリリジンのホモポリマーを基本骨格とした架橋体が好ましい。吸水性の観点からは、これらの中でも、ポリアスパラギン酸架橋体やγ-PGA架橋体が好ましい。さらに、例えば化粧料としての用途であれば、べたつかず肌へののびがよいことからγ-PGA架橋体を用いることが好ましい。
【0012】
ここで、ポリアミノ酸類架橋体は、放射線架橋により得ることが好ましい。放射線架橋によれば、過酸化物架橋に比べてポリアミノ酸類架橋体のゲル化率の特定が容易になるからである。放射線については、特に制限はなく、例えば、γ線、電子線等が挙げられる。中でも、操作性の良い電子線が好適である。γ線は電子線より透過力が高いが照射線量が小さく、電子線の透過力はγ線より小さいが照射線量を大きく設定できる。それ故、加速電圧に対応した試料厚みであれば、γ線よりも短時間の照射でよいので、電子線を用いることが好ましい。放射線として、電子線を用いる場合には、照射線量として10〜300kGyの範囲が好ましく、より好ましくは20〜200kGyである。また、一度に所定の照射線量を加えるのではなく、分割して照射する事で均一に架橋させ、反応熱を抑えて分解物を減少させることができる。照射時間としては通算1秒以上が好ましい。照射時間が通算で1秒未満であると、架橋体の形成が不十分となるおそれがある。
【0013】
また、本発明で用いる増粘組成物を調製するために配合するポリアミノ酸類架橋体の形態は特に限定しない。例えば、ポリアミノ酸類架橋体の粉末を用いる場合は、平均粒径が0.1〜300μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは平均粒径の範囲が1〜50μmであり、さらに好ましくは平均粒径の範囲が5〜30μmである。また、ポリアミノ酸類架橋体の水溶液を用いる場合は、平均粒径が0.1μ以上であることが好ましい。
この範囲外の粒径であると、組成物を化粧料として用いる場合に粒感が残ってしまい、好ましい使用感および適切な粘度が得られない。平均粒径は、フラウンホーファーの回折原理を応用した、レーザー式粒度分布測定器(セイシン企業株式会社製 LMS−30)により測定できる。
さらに、本発明で放射線架橋に用いるポリアミノ酸の分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーによる測定で10〜3000kDaの範囲であることが好ましく、吸保湿性の観点から50〜1000kDaとすることがより好ましい。分子量は、試料を純水に溶解しそのままゲルろ過分析を行うことで測定できる。具体的には、分子量既知の標準プルラン(昭和電工製)を純水に溶解して標準溶液を調製し、ゲルろ過における溶出時間と標準溶液の分子量により校正曲線を作製した後、試料について同様に測定を行う。試料の分子量は、ゲルろ過曲線におけるピーク位置(溶出時間)から求められる。
【0014】
〔天然高分子〕
本発明の増粘性組成物に用いられる天然高分子としては、天然多糖類、タンパク質および脂質などが挙げられる。増粘効果の観点からは天然多糖類を用いることが特に好ましい。
天然多糖類のうち、植物系高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸が挙げられ、微生物系高分子としては、例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等が挙げられ、動物系高分子としては、例えば、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等が挙げられる。
特に、増粘効果の観点より、天然多糖類としてヒアルロン酸を用いることが好ましい。ここで、天然多糖類として使用するヒアルロン酸は特に限定しないが、増粘効果の観点より分子量が1万以上のヒアルロン酸を用いることが好ましく、分子量が50万以上のヒアルロン酸を用いることがより好ましく、分子量100万以上のヒアルロン酸を用いることがさらに好ましい。
【0015】
〔本組成物〕
本発明の増粘性組成物を構成するには、ポリアミノ酸類架橋体を100質量部としたとき、天然多糖類等を0.01質量部以上の割合で配合することが好ましい。ポリアミノ酸類架橋体と天然高分子をこの範囲で配合することで、効果的に増粘効果が得られる。ここで、増粘効果を考慮して、天然高分子の配合割合を0.01質量部以上とすることが好ましい。天然高分子の配合割合が0.01質量部未満であると、ポリアミノ酸類架橋体と天然高分子との相乗効果が得られず、増粘性が向上しない。天然高分子の配合割合は、増粘効果を考慮して、1質量部以上100質量以下とすることが好ましい。
また、本発明の増粘性組成物を実際に使用する際には、B型粘度計(ローターNo.4、6rpm、25℃)におけるポリアミノ酸類架橋体(単独)の粘度が0.1〜100Pa・sの範囲になるような条件Aを前もって決めておき、同様に、天然多糖類等の天然高分子(単独)の粘度が0.01〜100Pa・sの範囲になるような条件Bも前もって決めておくとよい。そして、条件Aと条件Bをともに満たすような割合でポリアミノ酸類架橋体と天然高分子とを配合することで、粘度が1Pa・s以上である高粘度液体を好ましく製造することができる。ポリアミノ酸類架橋体および天然高分子(天然多糖類等)の粘度が前記した条件Aあるいは条件Bのいずれかを満たさない範囲であると、両成分を配合した場合に好ましい使用感(化粧料としてのべたつきがないこと)が得られなくなるおそれがある。
ここで、本発明の増粘性組成物の効果をより発揮させるためには、ポリアミノ酸類を架橋させてポリアミノ酸類架橋体を架橋させた後、天然高分子を配合させるとよい。このような製造方法により、得られる混合液体の粘度を飛躍的に高めることができる。
【0016】
〔任意成分〕
本組成物には、上記の必須成分に加えて、化粧料等の組成物に配合され得る他の成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて配合することができる。
【0017】
例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類;マカデミアナッツ油、オリーブ油、ラノリン等の油脂類;ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシロキサン等のシリコーン類;カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコール類;カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン等の保湿剤;エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤;安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、ヘキサクロロフェン等の抗菌剤等を本組成物中に適宜配合することができる。
【0018】
また、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジン等のアミノ酸およびこれらのアルカリ金属塩と塩酸塩;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の有機酸;ビタミンAおよびその誘導体;ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類;アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類;ビタミンD類;ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤;ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ等の各種の溶媒で抽出した天然エキス;中和剤、酸化防止剤、色素、香料、精製水等を、本組成物中に配合することができる。
【0019】
本組成物においては、十分に安定な組成物が形成されるので、本組成物の安定性を向上させる目的で、あえて界面活性剤を配合する必要はない。ただし本組成物に対し、界面活性剤の配合を妨げるものではない。また、他の目的のために界面活性剤を配合することを妨げるものでもない。
【0020】
なお、本組成物において、あえて安定性の向上のために配合するか、他の目的のために配合し得る界面活性剤は、特に限定されず、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ラウロイルジエタノールアミド、脂肪酸ジプロパノールアミド、マルチトールヒドロキシ脂肪族エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル、ポリエーテル変性シリコーン等の非イオン界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤;パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、アシルメチルタウリン塩等のアニオン界面活性剤;両性界面活性剤等を適宜選択して配合することができる。
【0021】
本組成物を化粧料として用いる場合、例えば皮膚化粧料、メーキャップ化粧料、および毛髪化粧料等として好適である。本組成物の剤型は特に限定されるものでなく、任意の剤型をとり得る。本組成物を、例えば皮膚化粧料に使用する場合には、皮膚化粧料成分として一般に使用されている界面活性剤、油分、保湿剤、皮膜形成剤、油ゲル化剤、金属酸化物、有機紫外線吸収剤、無機金属塩類、有機金属塩類、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、他の増粘剤、薬効成分、色素、香料等の添加剤成分と任意に組み合わせて配合すればよい。また、例えば水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油2層系、水−油−粉末3層系、油/水(O/W)型乳化化粧料、水/油(W/O)型乳化化粧料等の種々の形態をとることもできる。なお、具体的な用途としては、クリーム、化粧乳液、化粧水、油性化粧水、口紅、ファンデーション、皮膚洗浄剤などが挙げられる。
【実施例】
【0022】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
〔実施例1〕
γ-PGA架橋体(出光テクノファイン株式会社製、商品名:ジェルプロテインA-8002、平均粒径 26.5μm)を、純水に配合して、各々1.0質量%および2.0質量%になるように2種のγ-PGA架橋体分散液をまず調製した。
次に、平均分子量の異なる2種のヒアルロン酸(HA)(株式会社紀文フードケミファ製、商品名:ヒアルロン酸FCH120)を、前記した2種のγ-PGA架橋体分散液および純水に混合して、表1に示す12種類の試料液を調製した。そして、各試料液の粘度を、B型粘度計(ローターNo.4、6rpm、25℃)を用いて測定した。その結果を表1に示す。各粘度数値の右隣のかっこ内はγ-PGA架橋体100質量部に対するヒアルロン酸(HA)の各質量部を示している。
なお、本実施形態で用いたγ-PGA架橋体は、分子量70kDaのポリ−γ−グルタミン酸に、140kGyの電子線照射処理を行うことで得られたものである。
【0023】
【表1】
【0024】
表1の結果から、γ-PGA架橋体単独では、その濃度を上げても粘度の増加はさほど認められない。また、ヒアルロン酸単独の場合も同様に、その量を増やしても粘度の増加はさほど認められない。しかし、これら双方を混合した試料液においては顕著に粘度の増加が認められ、γ-PGA架橋体とヒアルロン酸とが相乗的に働いていることが理解できる。
また、ヒアルロン酸の平均分子量を大きくしたり、γ−PGA架橋体100質量部に対する配合量を多くすることで、より顕著な増粘効果が得られた。
さらに、γ-PGA架橋体とヒアルロン酸を配合した組成物を化粧料として用いた場合の使用感を確認したところ、γ-PGA架橋体単独やヒアルロン酸単独の場合の組成物と比べて、はりやしわの改善効果に優れるとともに、十分な保湿効果を有し、べたつきがなく、肌へののびが良好であった。
【0025】
〔実施例2〕
実施例1で用いたγ-PGA架橋体と同じものを純水に混合して、各々0.5質量%、1.0質量%、および2.0質量%となるように3種のγ-PGA架橋体分散液を調製した。
次に、キサンタンガム(XG)(日清オイリオ製、商品名:ノムコートZZ)を前記した3種のγ-PGA架橋体分散液および純水に混合して、表2に示す12種類の試料液を調製した。そして、各試料液の粘度を、実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。各粘度数値の右隣のかっこ内はγ-PGA架橋体100質量部に対するキサンタンガム(XG)の各質量部を示している。
【0026】
【表2】
【0027】
表2の結果からわかるように、γ-PGA架橋体単独やキサンタンガム単独では、その濃度を上げても粘度の増加はさほど認められない。しかし、キサンタンガムとγ-PGA架橋体の双方を配合した試料液においては顕著に粘度の増加が認められ、γ-PGA架橋体とキサンタンガムとが相乗的に働いていることが理解できる。
また、γ-PGA架橋体とキサンタンガムを配合した組成物を化粧料として用いた場合の使用感を確認したところ、γ-PGA架橋体単独の場合の組成物と比べて、はりやしわの改善効果に優れるとともに、十分な保湿効果を有し、べたつきがなく、肌へののびが良好であった。
【0028】
〔実施例3〕
実施例1で用いたγ-PGA架橋体と同じものを純水に混合して、2.0質量%となるように1種のγ-PGA架橋体分散液を調製した。
次に、タンパク質(株式会社高研製、製品名:アテロコラーゲン)を前記したγ-PGA架橋体分散液および純水に混合して、表3に示す4種類の試料液を調製した。そして、各試料液の粘度を、実施例1と同様にして測定した。その結果を表3に示す。各粘度数値の右隣のかっこ内はγ-PGA架橋体100質量部に対するタンパク質の各質量部を示している。
【0029】
【表3】
【0030】
表3の結果からわかるように、γ―PGA架橋体単独やタンパク質単独では、その濃度を上げても粘度の増加はさほど認められない。しかし、タンパク質とγ-PGA架橋体の双方を配合した試料液においては顕著に粘度の増加が認められ、γ-PGA架橋体とタンパク質とが相乗的に働いていることが理解できる。
また、γ-PGA架橋体とタンパク質を配合した組成物を化粧料として用いた場合の使用感を確認したところ、γ-PGA架橋体単独の場合の組成物と比べて、はりやしわの改善効果に優れるとともに、十分な保湿効果を有し、べたつきがなく、肌へののびが良好であった。
【0031】
〔実施例4〕
実施例1で用いたγ-PGA架橋体と同じものを純水に混合して、2.0質量%となるように1種のγ-PGA架橋体分散液を調製した。
次に、脂質(日油株式会社製、商品名:リピジュア)を前記したγ-PGA架橋体分散液および純水に混合して、表4に示す4種類の試料液を調製した。そして、各試料液の粘度を、実施例1と同様にして測定した。その結果を表4に示す。各粘度数値の右隣のかっこ内はγ-PGA架橋体100質量部に対する脂質の各質量部を示している。
【0032】
【表4】
【0033】
表4の結果からわかるように、γ−PGA架橋体単独や脂質単独では、その濃度を上げても粘度の増加はさほど認められない。しかし、脂質とγ-PGA架橋体の双方を配合した試料液においては顕著に粘度の増加が認められ、γ-PGA架橋体と脂質とが相乗的に働いていることが理解できる。
また、γ-PGA架橋体と脂質を配合した組成物を化粧料として用いた場合の使用感を確認したところ、γ-PGA架橋体単独の場合の組成物と比べて、はりやしわの改善効果に優れるとともに、十分な保湿効果を有し、べたつきがなく、肌へののびが良好であった。