【実施例】
【0037】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。実施例は、本発明を説明するものであり、制限を加えるものではない。以下特記しない限り、部は重量部を意味する。
【0038】
実施例1
3−(トリメトキシシリル)プロパン−1−チオール(チッソ株式会社)1.0部(5.1モル部)をエタノール36部に溶解させた後、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)3.0部、水10.0部を加え24時間加熱還流した。冷却後過酸化水素水(三徳化学工業株式会社製、30%水溶液)3.5部(30.8モル部)を加え24時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却後、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)を少量の水に溶かして加え中和することにより、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり5.7mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0039】
実施例2
エタノールを36部から34部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から5.0部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0040】
実施例3
エタノールを36部から32部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から7.0部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり2.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0041】
実施例4
エタノールを36部から32部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から10.0部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり1.7mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0042】
実施例5
エタノールを36部から34部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から5.0部に変更し、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)を1N水酸化ナトリウム水(ナカライテスク社製)5.1容量部(5.1モル部)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、NaOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0043】
実施例6
エタノールを36部から34部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から5.0部に変更し、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)を1N水酸化カリウム水(ナカライテスク社製)5.1容量部(5.1モル部)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、KOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0044】
実施例7
エタノールを36部から34部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から5.0部に変更し、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)をアンモニア(ナカライテスク社製、30%水溶液)0.289部(5.1モル部)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、NH
4OSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0045】
実施例8
エタノールを36部から34部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から5.0部に変更し、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)をテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(ナカライテスク社製)0.515部(5.1モル部)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、N(C
2H
5)
4OSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0046】
実施例9
エタノールを36部から34部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から5.0部に変更し、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)をトリエタノールアミン(ナカライテスク社製)0.790部(5.3モル部)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、N(C
2H
4OH)
3・HOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0047】
実施例10
エタノールを36部から24部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)を3.0部から15.0部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり1.1mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0048】
実施例11
エタノールをメタノールに変更した以外は、実施例2と同様に行い、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むメタノール溶液を得た。
【0049】
実施例12
エタノールをメタノールに変更した以外は、実施例10と同様に行い、本発明の化合物、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたメタノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり1.1mmol)を含むメタノール溶液を得た。
【0050】
実施例13
エタノールを36部から24部に、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)3.0部をオルガノシリカゾル(日産化学製、30%イソプロパノールSTゾル)5.0部に、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)を酸化銀0.591部(25.5モル部)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、本発明の化合物、AgOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(−O−)
3基で修飾されたイソプロパノールシリカゾル(式(2)で表される官能基は、金属酸化物ゾル1gあたり3.4mmol)を含むエタノール溶液を得た。
【0051】
比較例1
3−(トリメトキシシリル)プロパン−1−チオール(チッソ株式会社)1.0部(5.1モル部)をエタノール36部に溶解させた後、水10.0部を加え24時間加熱還流した。冷却後過酸化水素水(三徳化学工業株式会社製、30%水溶液)3.5部(30.8モル部)を加え24時間加熱還流した。反応終了後室温まで冷却後、水酸化リチウム1水和物0.214部(5.1モル部)を少量の水に溶かして加え中和することにより、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(OH)
3を調整した。これに、オルガノシリカゾル(日産化学製、30%メタノール溶液)3.0部を加え、室温で6時間攪拌することにより、LiOSO
2−CH
2CH
2CH
2Si(OH)
3とオルガノシリカゾルとの混合物を含むエタノール溶液を得た。
【0052】
親水性評価および耐久性結果
実施例1〜13及び比較例1で得た修飾金属酸化物ゾルをエタノール(必要に応じて水との混合液)で25倍に希釈して処理液(表面親水化剤)とし、以下の様に所定の基板の表面を改質し、接触角を測定した。
また、ラビングテスター(大平理科工業社製)を用いて、表面改質した基板を水湿フェルト(荷重:500g)で100回擦った(ラビング試験)。ラビング試験後の基板を蒸留水で洗浄し、乾燥させた後、接触角を測定した。
【0053】
<基板(1)>
スライドガラス{76mm、26mm、1.2mm;水酸化ナトリウムの2−プロパノール飽和溶液に24時間浸漬した後、水洗し、乾燥(60℃、2時間)したもの}を処理液(表面親水化剤)に浸漬し、スライドガラスを取り出した後、液切りをし、120℃、24間加熱処理することにより、基板(1)を得た。
<基板(2)>
スライドガラス{76mm、26mm、1.2mm;水酸化ナトリウムの2−プロパノール飽和溶液に24時間浸漬した後、水洗し、乾燥(60℃、2時間)したもの}を処理液(表面親水化剤)に浸漬し、スライドガラスを取り出した後、液切りをし、室温で10分間アンモニアガス処理することにより、基板(2)を得た。
【0054】
接触角測定装置{協和界面化学株式会社、DROP MASTER 500、液適量2μL、測定間隔1000ms、測定回数30回}で、表面改質スライドガラスの表面の任意の5箇所について、接触角(度)を測定し、平均値を算出した。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から明らかなように、本発明の製造方法で得られた修飾金属酸化物ゾルを用いた親水化剤は未処理品に比べ、接触角が顕著に小さく、(表面)親水化の効果が優れることが判る。また親水化処理した基板を純水に1分間浸してのち乾燥させて接触角を測定したがほとんど変化は無かった。
また比較例1との比較から明らかなように、本発明の製造方法で得られた修飾金属酸化物ゾルを用いた親水化剤は、スルホン酸塩を有するシランカップリング材で作製した親水化剤に比べて耐久性に優れている。