(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外気が導入されるケーシング内に、加熱制御弁にて流量調節される加熱流体により外気を加熱する加熱器と、循環ポンプの作動にて水を噴射し該水を外気と接触させて気化させることにより外気を加湿するエアワッシャと、冷却制御弁にて流量調節される冷却流体により外気を冷却する冷却器と、再熱制御弁にて流量調節される再熱流体により外気を再熱する再熱器と、前記ケーシング内に導入された外気を給気として吹き出す送風機とを配設した外気調和機の制御方法において、
前記加熱器の最大能力である最大加熱量を、冬季外気最低温度設定値から加熱器出口温度最大値点における加熱器出口温度最大値までの加熱量として求め、前記冷却器の最大能力である最大冷却量を夏季外気最大エンタルピ設定値から冷却器出口空気エンタルピ設定最小値までの冷却量として求め、前記再熱器の最大能力である最大再熱量を給気吹出露点温度設定最小値と等しいエアワッシャ出口最低温度から給気吹出温度設定最大値までの再熱量として求めておき、
T−X空気線図上で給気吹出状態設定点における給気吹出状態設定点絶対湿度と冬季外気状態設定点における冬季外気最低絶対湿度設定値との差をエアワッシャの飽和効率η[%]と対応させた場合に、100−η[%]に見合う絶対湿度を前記給気吹出状態設定点絶対湿度に上乗せした絶対湿度を示す線と飽和空気線との交点を、エアワッシャの飽和効率ηが100[%]であると仮定した場合の給気吹出露点温度設定値に対応する最大加湿時飽和演算点とし、該最大加湿時飽和演算点を通る等湿球温度線と前記冬季外気最低絶対湿度設定値を示す線との交点を給気吹出露点温度設定値に対応する加熱器出口温度最大値演算点とし、前記給気吹出状態設定点絶対湿度を示す線と飽和空気線との交点を加湿時飽和点とし、該加湿時飽和点と加熱器出口温度最大値演算点とを結ぶ直線をエアワッシャの飽和効率に基づく一次関数で近似される直線として求めておき、
外気温度と外気露点温度を測定した測定値から演算して外気状態をT−X空気線図上の状態点として算出し、
前記外気露点温度が給気吹出状態設定点の露点温度設定値より高く前記冷却器による冷却除湿と前記再熱器による再熱とが必要となる領域Aと、前記外気露点温度が給気吹出状態設定点の露点温度設定値以下で且つ前記外気温度と外気露点温度から求まる外気絶対湿度とに基づくT−X空気線図上の点が前記エアワッシャの飽和効率に基づく一次関数で近似される直線より低温側に位置し前記加熱器による加熱と前記エアワッシャによる加湿と前記再熱器による再熱とが必要となる領域Bと、前記外気露点温度が給気吹出状態設定点の露点温度設定値以下で且つ前記外気温度と外気露点温度から求まる外気絶対湿度とに基づくT−X空気線図上の点が前記エアワッシャの飽和効率に基づく一次関数で近似される直線上或いは該直線より高温側に位置し前記エアワッシャによる加湿と前記冷却器による冷却と前記再熱器による再熱とが必要となる領域CとのうちいずれのT−X空気線図上の領域に外気の状態点が存在しているかを判定し、
前記領域Aに外気の状態点が存在している場合、給気吹出状態設定点の露点温度設定値上の冷却器出口空気エンタルピと外気の状態点における外気エンタルピとの差分に比例する前記冷却器による必要冷却量を算出して該必要冷却量と前記最大冷却量との比で表される冷却制御弁開度指令を前記冷却制御弁へ出力し、給気吹出状態設定点の乾球温度設定値と冷却器出口温度との差分に比例する前記再熱器による必要再熱量を算出して該必要再熱量と前記最大再熱量との比で表される再熱制御弁開度指令を前記再熱制御弁へ出力し、循環ポンプ停止指令を前記エアワッシャの循環ポンプへ出力するようにし、
前記領域Bに外気の状態点が存在している場合、エアワッシャの飽和効率及び外気露点温度から求まる加熱器出口温度と外気温度Tとの差分に比例する前記加熱器による必要加熱量を算出して該必要加熱量と前記最大加熱量との比で表される加熱制御弁開度指令を前記加熱制御弁へ出力し、循環ポンプ運転指令を前記エアワッシャの循環ポンプへ出力し、給気吹出状態設定点の乾球温度設定値とエアワッシャ出口温度との差分に比例する前記再熱器による必要再熱量を算出して該必要再熱量と前記最大再熱量との比で表される再熱制御弁開度指令を前記再熱制御弁へ出力するようにし、
前記領域Cに外気の状態点が存在している場合、循環ポンプ運転指令を前記エアワッシャの循環ポンプへ出力し、給気吹出状態設定点の露点温度設定値上の冷却器出口空気エンタルピと外気の状態点における外気エンタルピとの差分に比例する前記冷却器による必要冷却量を算出して該必要冷却量と前記最大冷却量との比で表される冷却制御弁開度指令を前記冷却制御弁へ出力し、給気吹出状態設定点の乾球温度設定値と冷却器出口温度との差分に比例する前記再熱器による必要再熱量を算出して該必要再熱量と前記最大再熱量との比で表される再熱制御弁開度指令を前記再熱制御弁へ出力するようにしたことを特徴とする外気調和機の制御方法。
T−X空気線図上で給気吹出状態設定点絶対湿度設定最大値と冬季外気状態設定点における冬季外気最低絶対湿度設定値との差をエアワッシャの飽和効率η[%]と対応させた場合に、100−η[%]に見合う絶対湿度を前記給気吹出状態設定点絶対湿度設定最大値に上乗せした絶対湿度を示す線と飽和空気線との交点を、エアワッシャの飽和効率ηが100[%]であると仮定した場合の給気吹出露点温度設定最大値に対応する最大加湿時飽和点とし、該最大加湿時飽和点を通る等湿球温度線と前記冬季外気最低絶対湿度設定値を示す線との交点を給気吹出露点温度設定最大値に対応する加熱器出口温度最大値点とし、該加熱器出口温度最大値点における加熱器出口温度最大値を求めるようにした請求項1記載の外気調和機の制御方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路、液晶パネル、プラズマパネル、マイクロマシン、或いは医薬品や化粧品の製造工場におけるクリーンルームは、内部の温度と湿度を高精度に制御することが要求される。これらのクリーンルームでは、あまりに乾いた室内空気の場合、在室する製品表面等に静電気が帯電して製品の電気回路の破壊が生じたり、粉塵爆発が生じたり、逆に、あまりに湿った室内空気にした場合、製品表面に空気中の水分が空気中の塵埃等と共に凝縮水として結露し、製品を汚してしまったりする。よって、相対湿度を40〜70[%]間のある状態に精密に保つことがしばしば要求される。室内の発熱負荷が大きい場合、通年で冷房勝手で運転される場合があり、更に、人体からの呼気や汗由来の潜熱の室内発生量が全体の換気量から無視できる場合には、外気を、保持しなければならない室内条件の露点温度に精密に制御し、且つ室内の設定温度より乾球温度を少し下げて供給することもしばしばある。
【0003】
このため、クリーンルームにおける外気の導入には、蒸気加湿又はエアワッシャ加湿による外気調和機が用いられるが、エネルギロスの大きい蒸気加湿方式より低温排熱も利用でき省エネルギ効果もあるエアワッシャ加湿方式が多く用いられるようになっている。従来においては、
図17に示される如く、外気が導入されるケーシング1内に、加熱制御弁2にて流量調節される温水又は蒸気等の加熱流体により外気を加熱する加熱器3と、冷却制御弁4にて流量調節される冷水等の冷却流体により外気を冷却する冷却器5と、再熱制御弁6にて流量調節される温水又は蒸気等の再熱流体により外気を再熱する再熱器7と、循環ポンプ8の作動にて前記加熱器3及び冷却器5の間に多量の水を噴射し該水を外気と接触させて気化させることにより外気を加湿する常時稼動式のエアワッシャ9と、前記ケーシング1内に導入された外気を給気として吹き出す送風機10とを配設した外気調和機が用いられている。
【0004】
尚、前記加熱器3、冷却器5、再熱器7としては、鋼管コイル列又は銅管コイル列に直交してアルミフィンが圧着されたクロスフィン型コイルが一般に採用されており、又、前記エアワッシャ9としては、水をスプレーノズルから噴射する形式のものが一般に採用されている。
【0005】
前記外気調和機は、前記送風機10から吹き出される給気の温度(乾球温度)を測定する給気温度計11と、該給気温度計11で測定された給気の温度が設定値となるよう測定値と設定値との偏差に基づいて演算し再熱制御弁開度指令6aを出力する給気温度調節器12と、前記送風機10から吹き出される給気の露点温度を測定する給気露点計13と、該給気露点計13で測定された給気の露点温度が設定値となるよう測定値と設定値との偏差に基づいて演算し制御弁開度指令14を出力する給気露点温度調節器15と、該給気露点温度調節器15から出力される制御弁開度指令14を加熱制御弁開度指令2aに変換する加熱制御弁用変換器16と、前記給気露点温度調節器15から出力される制御弁開度指令14を冷却制御弁開度指令4aに変換する冷却制御弁用変換器17とを備えている。
【0006】
前記外気調和機においては、外気がケーシング1内に導入され、加熱器3、エアワッシャ9、冷却器5、再熱器7を通過して、送風機10により給気として吹き出されるが、このとき、前記送風機10から吹き出される給気の温度が給気温度計11によって測定され、該給気温度計11で測定された給気の温度が設定値となるよう測定値と設定値との偏差に基づいて演算し給気温度調節器12から再熱制御弁開度指令6aが再熱制御弁6へ出力され、再熱器7に供給される温水又は蒸気等の再熱流体の流量調節が行われる。
【0007】
同時に、前記送風機10から吹き出される給気の露点温度が給気露点計13によって測定され、該給気露点計13で測定された給気の露点温度が設定値となるよう測定値と設定値との偏差に基づいて演算し給気露点温度調節器15から制御弁開度指令14が出力され、該給気露点温度調節器15から出力される制御弁開度指令14が、加熱制御弁用変換器16によって加熱制御弁開度指令2aに変換されると共に、冷却制御弁用変換器17によって冷却制御弁開度指令4aに変換され、前記加熱制御弁用変換器16で変換された加熱制御弁開度指令2aが加熱制御弁2へ出力され、加熱器3に供給される温水又は蒸気等の加熱流体の流量調節が行われ、前記冷却制御弁用変換器17で変換された冷却制御弁開度指令4aが冷却制御弁4へ出力され、冷却器5に供給される冷水等の冷却流体の流量調節が行われる。
【0008】
尚、前記エアワッシャ9の循環ポンプ8は、常時稼働されており、該循環ポンプ8の作動にて前記加熱器3及び冷却器5の間に多量の水が噴射され、該水が外気と接触して気化することにより、外気の加湿が行われる。前記エアワッシャ9を常時稼働するのは、ノズルでの微細液滴噴霧のために循環ポンプ8のポンプ圧を一定とすることが要求される理由により循環ポンプ8の変流量の採用が無理であり、しかも、気液接触機会の確保のためノズル段階制御も難しいことから、エアワッシャ9全体をON−OFFすることとなり、仮にフィードバック制御によってエアワッシャ9をON−OFFすると、加湿の立ち上がり立ち下がりが急激であり、そのオーバーシュートのあばれを制御範囲に吸収することが難しいためである。
【0009】
即ち、前記加熱器3に供給される温水又は蒸気等の加熱流体の流量調節と、前記エアワッシャ9による外気の加湿と、前記冷却器5に供給される冷水等の冷却流体の流量調節と、前記再熱器7に供給される温水又は蒸気等の再熱流体の流量調節とによって、前記送風機10から吹き出される給気の温度と湿度(絶対湿度又は露点温度)が要求される状態に制御されるようになっている。要求される状態とは、外気を保持しなければならない室内条件の露点温度に精密に制御し、且つ室内の設定温度と同じか或いは乾球温度を少し下げて供給する状態である。
【0010】
尚、前述の如き外気調和機と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1〜
図16は本発明の外気調和機の制御方法
及び装置の実施例であって、図中、
図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は
図17に示す従来のものと同様であるが、本実施例の特徴とするところは、
図1〜
図16に示す如く、ケーシング1の入側に、該ケーシング1に導入される外気の温度(乾球温度)を測定する外気温度計24と、外気の露点温度を測定する外気露点計25とを設け、前記外気温度計24で測定された外気温度と、前記外気露点計25で測定された外気露点温度とをコントローラ26に入力し、該コントローラ26において、前記外気温度と外気露点温度とに基づき、加熱器3による必要加熱量Q
hと最大加熱量Q
hmaxとの比で表される加熱制御弁開度指令2aと、冷却器5による必要冷却量Q
cと最大冷却量Q
cmaxとの比で表される冷却制御弁開度指令4aと、再熱器7による必要再熱量Q
rhと最大再熱量Q
rhmaxとの比で表される再熱制御弁開度指令6aとを求めて出力すると共に、循環ポンプ停止指令8a或いは循環ポンプ運転指令8bを出力し、フィードフォワード制御を行うようにした点にある。
【0027】
尚、前記コントローラ26には、加熱器3の最大能力を示す最大加熱量Q
hmaxと、冷却器5の最大能力を示す最大冷却量Q
cmaxと、再熱器7の最大能力を示す最大再熱量Q
rhmaxとを算出する最大制御量算出器27を接続し、該最大制御量算出器27で算出される最大加熱量Q
hmaxと最大冷却量Q
cmaxと最大再熱量Q
rhmaxとをコントローラ26へ入力するようにしてある。これは、対象となるクリーンルーム等の設置地域や、室内空気設定条件、及びハードとしての外気調和機が決まった時点で、一度算出すれば固定値として扱えるものであり、その都度、演算する必要がないからである。
【0028】
本実施例の場合、先ず、
T
fmax:給気吹出状態設定点の乾球温度設定最大値(給気吹出温度設定最大値とも表す)
DP
fmax:給気吹出状態設定点の露点温度設定最大値(給気吹出露点温度設定最大値とも表す)
DP
fmin:給気吹出状態設定点の露点温度設定最小値(給気吹出露点温度設定最小値とも表す)
φ
cd:冷却器出口相対湿度設定値
H
gmax:夏季外気最大エンタルピ設定値
T
gmin:冬季外気最低温度設定値(乾球温度)
X
gmin:冬季外気最低絶対湿度設定値
η:エアワッシャ9の飽和効率
とし、これらの値を、
図2に示す如く、前記最大制御量算出器27(
図1参照)における入力処理部に入力し、予め、後述する冬季外気最低温度設定値T
gminから加熱器出口温度設定最大値T
hdmax0までの加熱量である前記最大加熱量Q
hmaxと、後述する夏季外気最大エンタルピ設定値H
gmaxから冷却器出口空気エンタルピ設定最小値H
cdminまでの冷却量である前記最大冷却量Q
cmaxと、後述するエアワッシャ出口温度設定最小値T
wdminから給気吹出温度設定最大値T
fmaxまでの再熱量である前記最大再熱量Q
rhmaxとを求めておき、該最大制御量算出器27における出力処理部から前記コントローラ26へ出力する。尚、前記最大加熱量Q
hmaxと、前記最大冷却量Q
cmaxと、前記最大再熱量Q
rhmaxとが装置容量として既に分かっている場合は、前記最大制御量算出器27を用いず、直接、コントローラ26へ入力しても良い。
【0029】
続いて、
T
g:外気温度(測定値)
DP
g:外気露点温度(測定値)
T
f:給気吹出状態設定点の乾球温度設定値(給気吹出温度設定値とも表す)
DP
f:給気吹出状態設定点の露点温度設定値(給気吹出露点温度設定値とも表す)
とし、これらの値と、前記最大制御量算出器27の出力処理部から出力される値(最大加熱量Q
hmax、最大冷却量Q
cmax、最大再熱量Q
rhmax、及び最大制御量算出器27への入力値そのままの二つの設定値であって、そのうちの一つは、冷却器5の有限なコイル列数やフィンピッチの粗さから生じるコイルに全く触れないで冷却器5を素通りする空気があるために、理論値である飽和空気線まで到達できない、いわゆるバイパスファクターで表現される冷却器5の性能を相対湿度で示す冷却器出口相対湿度設定値φ
cdであり、もう一つは、エアワッシャ9の飽和効率ηである)とを、
図3に示す如く、前記コントローラ26(
図1参照)における入力処理部に入力し、前記外気露点温度DP
g並びに外気温度T
gに基づき、領域Aと、領域Bと、領域Cとのうちいずれの領域に外気が存在しているかを判定する。
【0030】
前記給気吹出温度設定値T
fと給気吹出露点温度設定値DP
fは、
図10に示すT−X空気線図(湿り空気線図)において、通常、エアワッシャ9が狭い空間で速い気流中に水噴射を行うという構造上、水噴射方式の違い等による飽和効率の大小はあるが、エアワッシャ9の飽和効率ηがたとえ高性能な場合である95[%]以上であっても、後述の冬季外気最低絶対湿度設定値X
gminでの加熱器出口温度最大値T
hdmaxとの最大絶対湿度差における、該飽和効率ηでの到達相対湿度から導かれ規定される上限値である給気吹出相対湿度設定最大値φ
fmaxを結んだ線と、室内精密湿度制御のための外気露点制御に関係し且つ室内で設定可能な最低相対湿度にも関係する給気吹出状態設定点絶対湿度設定最小値X
fminを表す線と、室内精密湿度制御のための外気露点制御に関係し且つ室内で設定可能な最高相対湿度にも関係する給気吹出状態設定点絶対湿度設定最大値X
fmaxを表す線と、室内設定温度及び室内還気との混合性から規定される給気吹出温度設定最大値T
fmaxを表す線とで囲まれる範囲(
図10では斜線を付してある)内に設定される点であって、この点が給気吹出状態設定点Fとなる。尚、
図10中、T
fminは給気吹出温度設定最小値、DP
fminは給気吹出露点温度設定最小値、DP
fmaxは給気吹出露点温度設定最大値を示し、それぞれ給気吹出相対湿度設定最大値φ
fmaxを結んだ線と他の線との交点で表現されている。又、外気露点制御に関係し且つ室内で設定可能な最低相対湿度にも関係する給気吹出状態設定点絶対湿度設定最小値X
fminを表す線と、外気露点制御に関係し且つ室内で設定可能な最高相対湿度にも関係する給気吹出状態設定点絶対湿度設定最大値X
fmaxを表す線は、その建設したクリーンルームで取り得る室内設定値から導かれても良く、又、ユニット化した外気調和機ハードで取り得る値でも良いが、給気吹出状態設定点絶対湿度設定最小値X
fminを表す線については、最終的に冷却器5の性能によって決まってしまう。
【0031】
前記最大冷却量Q
cmaxは、
図10及び
図11に示す如く、夏季外気状態設定点Sにおける夏季外気最大エンタルピ設定値をH
gmaxとした場合、
[数1]
Q
cmax=C1×風量×(H
gmax−H
cdmin)
但し、C1:定数
H
cdmin:冷却器出口空気エンタルピ設定最小値
と表され、冷却器出口空気エンタルピ設定最小値H
cdminは、
[数2]
H
cdmin=1.006・T
cdmin+(1.085・T
cdmin+2501)・X
cdmin
但し、T
cdmin:冷却器出口温度設定最小値(乾球温度)
X
cdmin:冷却器出口絶対湿度設定最小値
と表され、冷却器出口絶対湿度設定最小値X
cdminは、
[数3]
X
cdmin=X
fmin=F1(DP
fmin)
但し、X
fmin:給気吹出状態設定点絶対湿度設定最小値
F1:関数
と表され、給気吹出状態設定点絶対湿度設定最小値X
fminと給気吹出露点温度設定最小値DP
fminは一対一の関係があり、下記の[表1]の値より内挿(補間)で求まるが、前記冷却器出口温度設定最小値T
cdminが未知となるので、これを求める。前記冷却器5がクロスフィン型コイルの場合、該コイル列数によりバイパスファクターが決まり、これによって冷却器5を通過する外気の相対湿度は、95〜100[%]の間で一定となる。この相対湿度を冷却器出口相対湿度設定値φ
cdとすると、この相対湿度の範囲では、冷却器出口相対湿度設定値φ
cdは冷却器出口飽和度ψ
cdと略等しいので、
図11に示す如く、
φ
cd≒ψ
cd
となる。又、飽和度の定義は、絶対湿度をXとし、同じ温度における飽和空気の絶対湿度をXSとした場合、
ψ=X/XS×100
であるから、XSが求まれば、該飽和空気絶対湿度に対応する露点温度が冷却器出口温度設定最小値T
cdminとなる。つまり、冷却器出口温度設定最小値T
cdminと同じ温度における飽和空気の絶対湿度をXS
cdminとすると、
[数4]
XS
cdmin=X
cdmin/ψ
cd×100
≒X
cdmin/φ
cd×100(=X
fmin/ψ
cd×100)
となり(
図2における「冷却器出口温度設定最小値T
cdminでの飽和空気の絶対湿度XS
cdmin算出」参照)、
[数5]
T
cdmin=DP
cdmin´
=G1(XS
cdmin)
但し、G1:関数
となる(
図2における「冷却器出口温度設定最小値T
cdmin算出」参照)。絶対湿度と露点温度は前述した通り一対一の関係があり、下記の[表1]の値より内挿(補間)で求まるため、[数3]、[数5]を[数2]に代入すれば、冷却器出口空気エンタルピ設定最小値H
cdminが求まり(
図2における「冷却器出口空気エンタルピ設定最小値H
cdmin算出」参照)、該冷却器出口空気エンタルピ設定最小値H
cdminと夏季外気最大エンタルピ設定値H
gmaxを[数1]に代入すれば、最大冷却量Q
cmaxを求めることができる。
【表1】
【0032】
前記最大加熱量Q
hmaxは、
図10に示す如く、
[数6]
Q
hmax=C2×風量×(T
hdmax0−T
gmin)
但し、C2:定数
T
hdmax0:加熱器出口温度最大値(乾球温度)
と表される。ここで、エアワッシャ9の飽和効率ηと冬季外気最低絶対湿度設定値X
gminとが与えられ、T−X空気線図上で外気が冬季外気状態設定点Wにある場合、該外気を加熱器3で給気吹出露点温度設定最大値DP
fmaxに対応する加熱器出口温度最大値点L
0における加熱器出口温度最大値T
hdmax0まで加熱し、該加熱器出口温度最大値点L
0からエアワッシャ9で加湿を行うと、該エアワッシャ9の飽和効率ηが仮に100[%]であれば、等湿球温度線に沿って絶対湿度が上昇し、該等湿球温度線と飽和空気線との交点である給気吹出露点温度設定最大値DP
fmaxに対応する最大加湿時飽和点M
0まで到達するが、前記エアワッシャ9の飽和効率ηは現実には100[%]未満となり、最大加湿時飽和点M
0までは到達しない。このため、等湿球温度線の延長線上で飽和空気線と交差する点(最大加湿時飽和点M
0)の絶対湿度をX
fmax´とし、給気吹出状態設定点Fの想定される給気吹出状態設定点絶対湿度設定最大値をX
fmaxとすると、
[数7]
(X
fmax´−X
gmin):(X
fmax−X
gmin)=100:η
(X
fmax´−X
fmax):(X
fmax−X
gmin)=(100−η):η
という関係が成り立ち(
図10参照)、X
fmax、X
gmin、ηが既知の値であることからX
fmax´は求まり(
図2における「給気吹出露点温度設定最大値DP
fmaxにおける最大加湿時の等湿球温度線と飽和空気線との交点M
0での絶対湿度X
fmax´算出」参照)、該X
fmax´に相当する露点温度DP
fmax´が前記最大加湿時飽和点M
0の乾球温度T
M0となり、該最大加湿時飽和点M
0が求まる。尚、
図10中、T
wd0は最大加湿時におけるエアワッシャ出口温度である。前記最大加湿時飽和点M
0におけるエンタルピH
M0は、
[数8]
H
M0=1.006・T
M0+(1.085・T
M0+2501)・X
M0
但し、T
M0=DP
fmax´
=G1(X
fmax´)
X
M0=X
fmax´
と表され(
図2における「交点M
0での乾球温度T
M0、エンタルピH
M0算出」参照)、X
fmax´が算出されているので、H
M0は求まる。加熱器出口温度最大値点L
0は最大加湿時飽和点M
0と等湿球温度線上にある点であるが、等湿球温度線≒等エンタルピ線とみなせるので、加熱器出口温度最大値点L
0でのエンタルピは最大加湿時飽和点M
0でのエンタルピと等しいと考えることができる。このため、加熱器出口温度最大値点L
0でも同様に、
[数9]
H
M0=H
L0=1.006・T
L0+(1.085・T
L0+2501)・X
L0
但し、X
L0=X
gmin
と表され、H
L0(=H
M0)、X
L0(=X
gmin)が既知の値であれば、前記加熱器出口温度最大値点L
0の乾球温度T
L0即ち加熱器出口温度最大値T
hdmax0は求まる(
図2における「加熱器出口温度最大値T
hdmax0算出」参照)。
【0033】
前記最大再熱量Q
rhmaxは、
図10に示す如く、
[数10]
Q
rhmax=C2×風量×(T
rhdmax−T
wdmin)
但し、C2:定数
T
rhdmax:再熱器出口温度設定最大値(乾球温度)
T
wdmin:エアワッシャ出口温度設定最小値(乾球温度)
と表される。ここで、再熱器出口温度設定最大値T
rhdmaxは給気吹出温度設定最大値T
fmaxと等しく、エアワッシャ出口温度設定最小値T
wdminは給気吹出露点温度設定最小値DP
fminと等しいため、該再熱器出口温度設定最大値T
rhdmaxとエアワッシャ出口温度設定最小値T
wdminとを[数10]に代入すれば、最大再熱量Q
rhmaxを求めることができる。
【0034】
ここで、給気吹出露点温度設定値DP
fまで加湿するために加熱とエアワッシャ加湿が必要な領域Bと、加熱をせずエアワッシャ加湿と冷却器除湿が必要な領域Cとを区分する線について
図12を用いて説明する。T−X空気線図上で外気が冬季外気状態設定点Wにある場合、該外気を加熱器3で給気吹出露点温度設定値DP
fに対応する加熱器出口温度最大値演算点Lにおける加熱器出口温度最大値T
hdmaxまで加熱し、該加熱器出口温度最大値演算点Lからエアワッシャ9で加湿を行うと、該エアワッシャ9の飽和効率ηが仮に100[%]であれば、等湿球温度線に沿って絶対湿度が上昇し、該等湿球温度線と飽和空気線との交点である給気吹出露点温度設定値DP
fに対応する最大加湿時飽和演算点Mまで到達するが、前記エアワッシャ9の飽和効率ηは現実には100[%]未満となり、最大加湿時飽和演算点Mまでは到達しない。このため、等湿球温度線の延長線上で飽和空気線と交差する点(最大加湿時飽和演算点M)の絶対湿度をX
f´とし、給気吹出状態設定点Fにおける絶対湿度を給気吹出状態設定点絶対湿度X
fとすると、
[数11]
(X
f´−X
gmin):(X
f−X
gmin)=100:η
(X
f´−X
f):(X
f−X
gmin)=(100−η):η
という関係が成り立ち、X
f、X
gmin、ηが既知の値であることからX
f´は求まり(
図3における「給気吹出露点温度設定値DP
fにおける最大加湿時の等湿球温度線と飽和空気線との交点Mでの絶対湿度X
f´算出」参照)、該X
f´に相当する露点温度DP
f´が前記最大加湿時飽和演算点Mの乾球温度T
Mとなり、該最大加湿時飽和演算点Mが求まる。同様に
図12のT−X空気線図上で外気が任意のI点、II点、III点にあって各点における外気絶対湿度をX
gI、X
gII、X
gIIIとし、[数11]と同様の関係に基づいて求められる絶対湿度をX
fI´、X
fII´、X
fIII´とする時、該各絶対湿度X
fI´、X
fII´、X
fIII´を示す線と飽和空気線との交点を通る等湿球温度線を引き下ろして、前記各外気絶対湿度X
gI、X
gII、X
gIIIを示す線と交わる点が、給気吹出状態設定点絶対湿度X
fまで外気を加湿するのに必要な加熱器3の出口のポイントO、P、Q(加熱器出口温度T
hdI、T
hdII、T
hdIII)となる。又、領域B内で外気のポイントを絶対湿度でIII点より更に上げて行くと、前記給気吹出状態設定点絶対湿度X
fを示す線と飽和空気線との交点N(加湿時飽和点)に漸近して行き、該交点Nでエアワッシャ加湿を行った場合、加湿も冷却も起こらず外気は前記交点Nに留まる。つまり、交点Nが領域Bにおける絶対湿度の最も高い状態である。
図12より、点L、O、P、Q、Nは一直線となることがわかるので、領域Bと領域Cを隔てる線は一次直線で近似できる。
【0035】
よって前記二点L、Nが求まれば、該二点L、Nを結ぶ直線の一次関数は決定することができるので、その求め方について
図13を用いて説明する。前記最大加湿時飽和演算点Mにおけるエンタルピは、
[数12]
H
M=1.006・T
M+(1.085・T
M+2501)・X
M
但し、T
M=DP
f´
X
M=X
f´
と表され(
図3における「交点Mでの乾球温度T
M、エンタルピH
M算出」参照)、加熱器出口温度最大値演算点Lは最大加湿時飽和演算点Mと等湿球温度線上にある点であるが、等湿球温度線≒等エンタルピ線とみなせるので、加熱器出口温度最大値演算点Lでのエンタルピは最大加湿時飽和演算点Mでのエンタルピと等しいと考えることができる。このため、加熱器出口温度最大値演算点Lでも同様に、
[数13]
H
M=H
L=1.006・T
L+(1.085・T
L+2501)・X
L
但し、X
L=X
gmin
と表され、H
L(=H
M)、X
L(=X
gmin)が既知の値であれば、前記加熱器出口温度最大値演算点Lの乾球温度T
L即ち加熱器出口温度最大値T
hdmaxは求まる(
図3における「加熱器出口温度T
hdmax算出」参照)。又、前記給気吹出状態設定点絶対湿度X
fを示す線と飽和空気線との交点を加湿時飽和点Nとすると、該加湿時飽和点Nと前記加熱器出口温度最大値演算点Lとを結ぶ直線がエアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線となる(
図3における「一次関数T=J(X)算出」参照)。つまり、T−X空気線図上でと給気吹出状態設定点Fにおける給気吹出状態設定点絶対湿度X
fと冬季外気状態設定点Wにおける冬季外気最低絶対湿度設定値X
gminの差(X
f´−X
f)をエアワッシャ9の飽和効率η[%]と対応させた場合に、100−η[%]に見合う絶対湿度(X
f´−X
f)を前記給気吹出状態設定点絶対湿度X
fに上乗せした絶対湿度を示す線と飽和空気線との交点を、エアワッシャの飽和効率ηが100[%]であると仮定した場合の最大加湿時飽和演算点Mとし、該最大加湿時飽和演算点Mを通る等湿球温度線と前記冬季外気最低絶対湿度設定値X
gminを示す線との交点を加熱器出口温度最大値演算点Lとし、前記給気吹出状態設定点絶対湿度X
fを示す線と飽和空気線との交点を加湿時飽和点Nとし、該加湿時飽和点Nと加熱器出口温度最大値演算点Lとを結ぶ直線をエアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線として求めることができる(
図3の「一次関数T=J(X)算出」参照)。因みに、前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線の方程式は、例えば、給気吹出露点温度設定値DP
fが12[℃](乾球温度)でエアワッシャ9の飽和効率ηが以下のように設定されているとき、
[数14]
T=J(X)=−2955X+37.9(η=90[%]の場合)
と表される。
【0036】
前記領域Aと、領域Bと、領域Cは、
図13に示すT−X空気線図(湿り空気線図)において、相対湿度φと飽和度ψとが共に100[%]となる飽和空気線と、給気吹出露点温度設定値DP
f即ち給気吹出状態設定点絶対湿度X
fを示す線と、前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線とによって区分され、前記給気吹出温度設定値T
fを示す線と給気吹出露点温度設定値DP
fを示す線との交点が給気吹出状態設定点Fとなり、前記領域Aは、前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
fより高い領域で、前記冷却器5による冷却除湿と前記再熱器7による再熱とが必要となり、前記領域Bは、前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
f以下で且つ前記外気温度T
gと外気露点温度DP
gから求まる外気絶対湿度X
gとに基づく前記T−X空気線図(湿り空気線図)上の点が前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線より低温側に位置する領域で、前記加熱器3による加熱と前記エアワッシャ9による加湿と前記再熱器7による再熱とが必要となり、前記領域Cは、前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
f以下で且つ前記外気温度T
gと外気露点温度DP
gから求まる外気絶対湿度X
gとに基づく前記T−X空気線図(湿り空気線図)上の点が前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線上或いは該直線より高温側に位置する領域で、前記エアワッシャ9による加湿と前記冷却器5による冷却除湿と前記再熱器7による再熱とが必要となる。
【0037】
次に、前記領域Aに外気が存在している場合について、
図4及び
図14を用いて説明する。前述した通り、領域Aは、前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
fより高い領域で、前記冷却器5による冷却除湿と前記再熱器7による再熱とが必要となる。尚、この場合、前記加熱器3による加熱とエアワッシャ9による加湿は必要ない。
【0038】
図4及び
図14に示す如く、外気絶対湿度X
gを、
[数15]
X
g=F
1(DP
g)
より算出し、外気エンタルピH
gを、
[数16]
H
g=1.006・T
g+(1.085・T
g+2501)・X
g
より算出する。前記冷却器5による必要冷却量Q
cは、
[数17]
Q
c=C1×風量×(H
g−H
cd)
と表され、この式に[数16]の外気エンタルピH
gと冷却器出口空気エンタルピH
cdを代入すれば、必要冷却量Q
cの算出が可能となる。因みに、冷却器出口空気エンタルピH
cdは、
[数18]
H
cd=1.006・T
cd+(1.085・T
cd+2501)・X
cd
但し、T
cd:冷却器出口温度(乾球温度)
X
cd:冷却器出口絶対湿度
と表され、冷却器出口絶対湿度X
cdは、
[数19]
X
cd=X
f=F
1(DP
f)
但し、X
f:給気吹出状態設定点絶対湿度
F
1:関数
と表され、給気吹出状態設定点絶対湿度X
fと給気吹出露点温度設定値DP
fは一対一の関係があり、前記[表1]の値より内挿(補間)で求まるが、前記冷却器出口温度T
cdが未知となるので、これを求める。前記冷却器5がクロスフィン型コイルの場合、該コイル列数によりバイパスファクターが決まり、これによって冷却器5を通過する外気の相対湿度は、95〜100[%]の間で一定となる。この相対湿度を冷却器出口相対湿度設定値φ
cdとすると、この相対湿度の範囲では、冷却器出口相対湿度設定値φ
cdは冷却器出口飽和度ψ
cdと略等しいので、
図14に示す如く、
φ
cd≒ψ
cd
となる。又、飽和度の定義は、絶対湿度をXとし、同じ温度における飽和空気の絶対湿度をXSとした場合、
ψ=X/XS×100
であるから、XSが求まれば、該飽和空気絶対湿度に対応する露点温度が冷却器出口温度T
cdとなる。つまり、冷却器出口温度T
cdと同じ温度における飽和空気の絶対湿度をXS
cdとすると、
[数20]
XS
cd=X
cd/ψ
cd×100
≒X
cd/φ
cd×100(=X
f/ψ
cd×100)
となり、
[数21]
T
cd=DP
cd´
=G
1(XS
cd)
但し、G
1:関数
となる。絶対湿度と露点温度は前述した通り一対一の関係があり、前記[表1]の値より内挿(補間)で求まるため、[数19]、[数21]を[数18]に代入すれば、冷却器出口空気エンタルピH
cdが求めることができる。ここで、冷却制御弁4の開度は、最大冷却時を全開とし、リニア特性のバルブを使用することで、前記必要冷却量Q
cと前記最大冷却量Q
cmaxとの比、即ち、
[数22]
Q
c/Q
cmax×100[%]
として算出できるため、これを
図7に示す如く前記コントローラ26の出力処理部から冷却制御弁開度指令4aとして前記冷却制御弁4(
図1参照)へ出力すれば良い。
【0039】
同時に、前記再熱器7による必要再熱量Q
rhは、
[数23]
Q
rh=C2×風量×(T
rhd−T
cd)
=C2×風量×(T
f−T
cd)
但し、T
rhd:再熱器出口温度(乾球温度)
と表され、この式に給気吹出温度設定値T
fと[数21]の冷却器出口温度T
cdを代入すれば、必要再熱量Q
rhの算出が可能となる。ここで、再熱制御弁6の開度は、最大再熱時を全開とし、リニア特性のバルブを使用することで、前記必要再熱量Q
rhと前記最大再熱量Q
rhmaxとの比、即ち、
[数24]
Q
rh/Q
rhmax×100[%]
として算出できるため、これを
図7に示す如く前記コントローラ26の出力処理部から再熱制御弁開度指令6aとして前記再熱制御弁6(
図1参照)へ出力すれば良い。
【0040】
尚、前記領域Aでは、エアワッシャ9の運転が不要となるので、
図7に示す如く、前記コントローラ26の出力処理部から循環ポンプ停止指令8aが前記エアワッシャ9の循環ポンプ8(
図1参照)へ出力される。
【0041】
又、前記領域Bに外気が存在している場合について、
図5及び
図15を用いて説明する。前述した通り、領域Bは、前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
f以下で且つ前記外気温度T
gと外気露点温度DP
gから求まる外気絶対湿度X
gとに基づく前記T−X空気線図(湿り空気線図)上の点が前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線より低温側に位置する領域で、前記加熱器3による加熱と前記エアワッシャ9による加湿と前記再熱器7による再熱とが必要となる。尚、この場合、前記冷却器5による冷却は必要ない。
【0042】
図5及び
図15に示す如く、前記加熱器3による必要加熱量Q
hは、
[数25]
Q
h=C2×風量×(T
hd−T
g)
但し、T
hd:加熱器出口温度(乾球温度)
と表され、エアワッシャ9の飽和効率ηと、測定される外気露点温度DP
gに基づいて[数15]から算出される外気絶対湿度X
gとが与えられ場合、前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線の方程式を示す[数14]から加熱器出口温度T
hdが求まり、該加熱器出口温度T
hdと外気温度T
gとを[数25]に代入すれば、必要加熱量Q
hの算出が可能となる。ここで、加熱制御弁2の開度は、最大加熱時を全開とし、リニア特性のバルブを使用することで、前記必要加熱量Q
hと前記最大加熱量Q
hmaxとの比、即ち、
[数26]
Q
h/Q
hmax×100[%]
として算出できるため、これを
図7に示す如く前記コントローラ26の出力処理部から加熱制御弁開度指令2aとして前記加熱制御弁2(
図1参照)へ出力すれば良い。
【0043】
前記領域Bでは、加湿のためにエアワッシャ9の運転が必要となるので、
図7に示す如く、前記コントローラ26の出力処理部から循環ポンプ運転指令8bが前記エアワッシャ9の循環ポンプ8(
図1参照)へ出力され、前記加熱器出口温度T
hdまで加熱された外気をエアワッシャ9で加湿した場合、絶対湿度は、
図15に示す如く、前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線上の外気絶対湿度X
gを示す点から、この点と交差する等湿球温度線上を給気吹出状態設定点絶対湿度X
fまで上昇し、乾球温度は、前記加熱器出口温度T
hdからエアワッシャ出口温度T
wdまで低下する。
【0044】
同時に、前記再熱器7による必要再熱量Q
rhは、
[数27]
Q
rh=C2×風量×(T
rhd−T
wd)
=C2×風量×(T
f−T
wd)
但し、T
wd:エアワッシャ出口温度
と表され、エアワッシャ9の飽和効率ηと、給気吹出露点温度設定値DP
fに基づいて[数19]から算出される給気吹出状態設定点絶対湿度X
fとが与えられた場合、外気絶対湿度X
gと、前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数T=J(X)から求まる加熱器出口温度T
hdと、前記外気絶対湿度X
g及び加熱器出口温度T
hdから求まる加熱器出口エンタルピH
hdとを用いて、等湿球変化(≒等エンタルピ変化)であることを利用し、エアワッシャ出口温度T
wdを求める。即ち、エアワッシャ出口エンタルピをH
wdとすると、
[数28]
T
hd=J(X
g)
H
hd=1.006・T
hd+(1.085・T
hd+2501)・X
g
H
hd≒H
wd=1.006・T
wd+(1.085・T
wd+2501)・X
f
より、エアワッシャ出口温度T
wdが求まり、該エアワッシャ出口温度T
wdと給気吹出温度設定値T
fとを[数27]に代入すれば、必要再熱量Q
rhの算出が可能となる。ここで、再熱制御弁6の開度は、前記領域Aに外気が存在している場合と同様、[数24]に示すように、前記必要再熱量Q
rhと前記最大再熱量Q
rhmaxとの比として算出できるため、これを
図7に示す如く前記コントローラ26の出力処理部から再熱制御弁開度指令6aとして前記再熱制御弁6(
図1参照)へ出力すれば良い。
【0045】
又、前記領域Cに外気が存在している場合について、
図6及び
図16を用いて説明する。前述した通り、領域Cは、前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
f以下で且つ前記外気温度T
gと外気露点温度DP
gから求まる外気絶対湿度X
gとに基づく前記T−X空気線図(湿り空気線図)上の点が前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線上或いは該直線より高温側に位置する領域で、前記エアワッシャ9による加湿と前記冷却器5による冷却と前記再熱器7による再熱とが必要となる。尚、この場合、前記加熱器3による加熱は必要ない。
【0046】
前記領域Cでは、加湿のためにエアワッシャ9の運転が必要となるので、
図7に示す如く、前記コントローラ26の出力処理部から循環ポンプ運転指令8bが前記エアワッシャ9の循環ポンプ8(
図1参照)へ出力される。外気温度T
gで外気露点温度DP
gの外気をエアワッシャ9で加湿した場合、絶対湿度は、
図16に示す如く、外気絶対湿度X
gを示す点から、この点と交差する等湿球温度線上を上昇し給気吹出状態設定点絶対湿度X
fを超えて領域Aに入り、乾球温度は、前記外気温度T
gからエアワッシャ出口温度T
wdまで低下する。湿球温度一定の前記等湿球温度線上では、エンタルピも略一定とみなすことができるので、エアワッシャ出口エンタルピH
wdは、
[数29]
H
wd≒H
g
となり、外気エンタルピH
gは既知の値であるため、この後の冷却に関しては、前記領域Aの場合と同様、外気エンタルピH
gを[数16]より算出し、前記冷却器5による必要冷却量Q
cを、[数17]並びに[数18]〜[数21]を用いて求め、冷却制御弁4の開度を[数22]から算出し、これを
図7に示す如く前記コントローラ26の出力処理部から冷却制御弁開度指令4aとして前記冷却制御弁4(
図1参照)へ出力すれば良い。又、再熱に関しても、前記領域Aの場合と同様、前記再熱器7による必要再熱量Q
rhを[数23]を用いて求め、再熱制御弁6の開度を[数24]から算出し、これを
図7に示す如く前記コントローラ26の出力処理部から再熱制御弁開度指令6aとして前記再熱制御弁6(
図1参照)へ出力すれば良い。
【0047】
そして、前述した本発明の外気調和機の制御方法
及び装置の実施例における制御の流れをフローチャートとしてまとめると、
図8及び
図9に示すように、給気吹出温度設定値T
f、給気吹出露点温度設定値DP
fの設定が行われ、外気調和機の運転が開始されると共に、給気吹出温度設定最大値T
fmax、給気吹出露点温度設定最小値DP
fmin、冷却器出口相対湿度設定値φ
cd、夏季外気最大エンタルピ設定値H
gmax、冬季外気最低温度設定値T
gmin、冬季外気最低絶対湿度設定値X
gmin、エアワッシャ9の飽和効率ηの前記最大制御量算出器27への設定読み込みが行われ、前記冷却器5の最大能力である最大冷却量Q
cmax、前記加熱器3の最大能力である最大加熱量Q
hmax、前記再熱器7の最大能力である最大再熱量Q
rhmaxの算出が行われた後、エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線が求められ、外気温度T
g、外気露点温度DP
gの測定が行われ、外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
fより高い場合、領域Aに外気が存在していると判定され、必要冷却量Q
c、必要再熱量Q
rhの算出が行われ、冷却制御弁4、再熱制御弁6へそれぞれ、冷却制御弁開度指令4a、再熱制御弁開度指令6aが出力され、循環ポンプ停止指令8aが前記エアワッシャ9の循環ポンプ8へ出力される。前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
f以下で且つ前記外気温度T
gと外気露点温度DP
gから求まる外気絶対湿度X
gとに基づく前記T−X空気線図(湿り空気線図)上の点が前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線より低温側に位置する場合、領域Bに外気が存在していると判定され、必要加熱量Q
h、必要再熱量Q
rhの算出が行われ、加熱制御弁2、再熱制御弁6へそれぞれ、加熱制御弁開度指令2a、再熱制御弁開度指令6aが出力されると共に、循環ポンプ運転指令8bが前記エアワッシャ9の循環ポンプ8へ出力される。前記外気露点温度DP
gが給気吹出露点温度設定値DP
f以下で且つ前記外気温度T
gと外気露点温度DP
gから求まる外気絶対湿度X
gとに基づく前記T−X空気線図(湿り空気線図)上の点が前記エアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線上或いは該直線より高温側に位置する場合、領域Cに外気が存在していると判定され、必要冷却量Q
c、必要再熱量Q
rhの算出が行われ、冷却制御弁4、再熱制御弁6へそれぞれ、冷却制御弁開度指令4a、再熱制御弁開度指令6aが出力されると共に、循環ポンプ運転指令8bが前記エアワッシャ9の循環ポンプ8へ出力される。外気調和機が停止していなければ、一定時間(例えば、一分程度)経過後に、前記外気温度T
g、外気露点温度DP
gの測定が再び行われて、前述と同様の操作が繰り返し行われる形となる。尚、外気調和機が停止している場合は制御が終了する形となる。
【0048】
因みに、前記給気吹出温度設定値T
f、給気吹出露点温度設定値DP
f、冷却器出口相対湿度設定値φ
cd、夏季外気最大エンタルピ設定値H
gmax、冬季外気最低温度設定値T
gmin、冬季外気最低絶対湿度設定値X
gmin、エアワッシャ9の飽和効率ηの具体的数値の一例を示すと、
T
f=23[℃]
DP
f=12[℃]
φ
cd=95[%]
H
gmax=85[kJ/kg]
T
gmin=−2[℃]
X
gmin=0.0016[kg/kg(DA)]
η=90[%]
となる。尚、前記夏季外気最大エンタルピ設定値H
gmaxの85[kJ/kg]という値は、例えば、
図11のT−X空気線図(湿り空気線図)において、夏季の外気絶対湿度X
gを0.0202[kg/kg(DA)]、夏季の外気温度T
gを33[℃]と仮定した場合のものであって、この場合、夏季外気相対湿度φ
gmaxは63[%]に相当する。又、
図10のT−X空気線図(湿り空気線図)において、前記冬季外気最低温度設定値T
gminを−2[℃]、前記冬季外気最低絶対湿度設定値X
gminを0.0016[kg/kg(DA)]とした場合、冬季外気相対湿度は50[%]に相当する。
【0049】
上記実施例のように外気調和機の制御を行うと、測定した外気温度T
gと外気露点温度DP
gに基づくフィードフォワード制御となるため、従来のように、再熱器7の出口側の温度を測定しつつ、吹き出される給気の温度と露点温度に基づいて、いわゆるフィードバック制御を行うのとは異なり、給気の温度と露点温度を安定させるまでに時間がかからなくなる。
【0050】
又、測定した外気温度T
g及び外気露点温度DP
gと、設定した給気吹出温度設定値T
f、給気吹出露点温度設定値DP
f及びエアワッシャ9の飽和効率ηに基づく一次関数で近似される直線との関係から区分される領域A,B,Cのうちいずれの領域に外気が存在しているかを判定し、該領域に応じて、加熱器3による必要加熱量Q
hと最大加熱量Q
hmaxとの比で表される加熱制御弁開度指令2a、冷却器5による必要冷却量Q
cと最大冷却量Q
cmaxとの比で表される冷却制御弁開度指令4a、再熱器7による必要再熱量Q
rhと最大再熱量Q
rhmaxとの比で表される再熱制御弁開度指令6a、のうちの必要となる開度指令を対応する制御弁へ出力すると共に、循環ポンプ停止指令8a或いは循環ポンプ運転指令8bを前記エアワッシャ9の循環ポンプ8へ出力するようにしているため、従来のような給気温度調節器12、給気露点温度調節器15(
図17参照)は不要となり、これらの調節器にPID設定値を予め設定する必要もなく、給気の温度や露点温度がそれぞれの設定値を基準としてオーバーシュートとアンダーシュートを繰り返し周期的に波を打つように変動してしまうことが避けられ、温水又は蒸気、並びに冷水の消費量が減り、収束過程でのエネルギロスが増加しなくなると共に、給気の温度や露点温度それぞれの設定値に対するブレが残ってしまう心配もなくなる。
【0051】
こうして、外気温度T
gと外気露点温度DP
gを測定するだけで、吹き出される給気の温度と露点温度を制御して短時間で安定させることができ、該給気の温度と露点温度の周期的な変動やブレを防止して収束過程でのエネルギロスを最小限に抑制し得、更に、加湿が不要の場合、エアワッシャ9を停止して消費電力削減を図り得る。
【0052】
尚、本発明の外気調和機の制御方法
及び装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。