特許第5840957号(P5840957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5840957
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】自動循環式索道の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/10 20060101AFI20151210BHJP
【FI】
   B61B12/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-928(P2012-928)
(22)【出願日】2012年1月6日
(65)【公開番号】特開2013-139231(P2013-139231A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】福田 健二
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−169365(JP,A)
【文献】 特開2011−207280(JP,A)
【文献】 特開平02−231263(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/140219(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 12/00,12/06,12/10
B65G 43/00,43/02,43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には索条の移動にともなってパルス信号を発信する索条移動量検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止時における索条の移動量に相当する設定パルス数が設定されており、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに、前記索条移動量検出器からのパルス数を計数して前記設定パルス数と比較するようにしたことを特徴とする自動循環式索道の制御装置。
【請求項2】
索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には前記索条の移動にともなってパルス信号を発信する索条移動量検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止に要する時間が設定されたタイマを備え、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに前記タイマの動作を開始し、該タイマに設定された制動停止に要する時間の経過後に前記索条移動量検出器のパルス信号の状態を判定するようにしたことを特徴とする自動循環式索道の制御装置。
【請求項3】
索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には索条の移動速度に比例して電圧信号を発生する索条速度検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止時における索条の移動量が設定されており、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに、前記索条速度検出器の電圧に基づいて索条移動量の算出を開始するとともに、設定された前記索条の移動量と算出された前記索道移動量とを比較するようにしたことを特徴とする自動循環式索道の制御装置。
【請求項4】
索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には前記索条の移動にともなって電圧信号を発信する索条速度検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止に要する時間が設定されたタイマを備え、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに前記タイマの動作を開始し、該タイマに設定された制動停止に要する時間の経過後に前記索条速度検出器の電圧信号の状態を判定するようにしたことを特徴とする自動循環式索道の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴンドラやチェアを索条に懸垂して輸送を行う自動循環式索道の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動循環式索道は、少なくとも二箇所の停留場に滑車を設け、この滑車間に索条を無端状に張架し、ゴンドラやチェアで構成された搬器を一定間隔で索条に懸垂して運行を行う輸送設備である。搬器には、索条を握放索可能な握索装置を備え、線路中においては握索機が索条を握索し、この索条の移動にともなって一方の停留場から他方の停留場へと搬器が移動する。いずれか一方の停留場には、電動機や減速機等からなる原動装置を備えており、これによって当該停留場の滑車が回転駆動され索条が停留場間を循環移動する。
【0003】
各停留場内には、略U字形状にレールが架設されており、搬器が停留場に到着すると握索機は索条を放索するとともに、握索機に備えたローラーがレール上へ乗り移り、搬器はレールに支持及び案内されて停留場内を移動する。レールに沿っては、搬器を移送するための移送装置が配設されている。この移送装置は、握索機の通過経路に沿って複数のタイヤを定間隔で配置したものであって、このタイヤが握索機に当接して回転することにより握索機ないし搬器が移送される。
【0004】
停留場に到着した搬器は、索条を放索した後に上記移送装置により減速させられて低速となり、一定速度で出発側へと回送されるとともに、この間に乗客の乗降が行われる。出発側へと回送された搬器は、移送装置により索条と同一の速度まで加速され、握索装置が索条を握索して線路中へと出発する。各停留場には、搬器の到着及び搬器の間隔を検出するための検出器や、各種の保安状態を監視する検出器等が備えられており、これらの信号が各停留場に備えた制御装置に入力され、この制御装置により上記移送装置を含む各停留場の装置類が制御される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このように各停留場においては、それぞれ備えた制御装置により各種制御が行われるが、両停留場の装置は連携して動作する必要があり、このために両停留所の制御装置は、線路中に架設または敷設された信号線により接続されている。そして、この信号線により運転の開始・停止信号や運転速度信号等が制御装置間で送受信され、各制御装置は同一の運転条件で制御を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−169365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の構成においては、運転速度や、運転中であるか停止中であるか、等の運転状況は、滑車を駆動する原動装置の稼動状態から検出するため、これらの運転信号は原動装置側の制御装置から他方側(以降、反原動側と記載する)の制御装置へと送信されるようになっており、反原動側の制御装置は、専ら原動装置側の制御装置からの運転信号に依存している。したがって、運行中において通信線の断線等により原動装置側の制御装置からの運転信号が断絶してしまうと、反原動側の制御装置は運転状態を判断することができず、場合によっては運転が継続しているにもかかわらず、反原動側において装置類の制御や保安装置の監視等が停止してしまう可能性があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、原動装置側の制御装置と反原動側の制御装置間の通信の安全性を向上させることのできる自動循環式索道の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には索条の移動にともなってパルス信号を発信する索条移動量検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止時における索条の移動量に相当する設定パルス数が設定されており、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに、前記索条移動量検出器からのパルス数を計数して前記設定パルス数と比較するようにした。
【0010】
また、請求項2の発明は、索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には前記索条の移動にともなってパルス信号を発信する索条移動量検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止に要する時間が設定されたタイマを備え、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに前記タイマの動作を開始し、該タイマに設定された制動停止に要する時間の経過後に前記索条移動量検出器のパルス信号の状態を判定するようにした。
【0011】
また、請求項3の発明は、索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には索条の移動速度に比例して電圧を発生する索条速度検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止時における索条の移動量が設定されており、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに、前記索条速度検出器の電圧に基づいて索条移動量の算出を開始するとともに、設定された前記索条の移動量と算出された前記索道移動量とを比較するようにした。
【0012】
また、請求項4の発明は、索条を駆動する原動側停留場における機器類の制御を行う原動側制御装置と、反原動側停留場における機器類の制御を行う反原動側制御装置と、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とを接続する通信線及び非常停止用通信線とを備え、前記原動側制御装置と前記反原動側制御装置とが連携して運行制御を行う自動循環式索道において、前記反原動側停留場には前記索条の移動にともなって電圧信号を発信する索条速度検出器を備え、前記反原動側制御装置には制動停止に要する時間が設定されたタイマを備え、前記反原動側制御装置は前記通信線の運転信号が断絶したときに前記タイマの動作を開始し、該タイマに設定された制動停止に要する時間の経過後に前記索条速度検出器の電圧信号の状態を判定するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反原動側停留場に索条移動量検出器又は索条速度検出器を備え、運転信号が断絶したときには、これらによって実際の索条の運転状態を確認するようにしており、これにより制御装置間の通信の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動循環式索道設備全体の配設関係を示した平面図
図2】移送装置と搬器との関係を示す正面図
図3】一端の原動側停留場を示す平面図
図4】実施の一形態を示す平面図
図5】実施の一形態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の詳細について図を参照して説明する。図1は、自動循環式索道設備全体の配設関係を示したものである。
【0016】
図に示すように両端の原動側停留場11及び反原動側停留場12には、それぞれ原動滑車14及び反原動滑車15が枢設されており、原動滑車14及び反原動滑車15には索条18が無端状に巻き回されて張架され、索道線路を形成している。原動滑車14には、電動機や減速機等からなる原動装置13が連結されており、これを駆動することにより原動滑車14が回転し、索条18が両滑車間を循環移動する。
【0017】
索道線路中には、索条18を握放索可能になした従来公知の搬器26を索条18に懸垂し、各搬器26間の距離が等間隔となるように配置している。これら複数の搬器26は、索道線路中では索条18を握索して索条18の移動とともに移動し、原動側停留場11及び反原動側停留場12内では、索条18を放索するとともに、各停留場に備えられたレール20、22に支持され、これに沿って移動する。
【0018】
両端の原動側停留場11及び反原動側停留場12に備えられたレール20、22は、平面視U字形状をなしており、このレール20、22に沿っては、搬器26を移送するための移送装置が設けられている。この移送装置は、従来から公知のものであって、例えば図2に示すように、複数のゴムタイヤ車輪30をレール20、22に沿って並設し、このゴムタイヤ車輪30の周縁を搬器26の握索機27に押圧当接して搬器26の移送を行う。
【0019】
図3に示すように(一端の原動側停留場11を示す)前記移送装置は、減速移送装置31、回送移送装置32、及び加速移送装置33からなっている。減速移送装置31は、放索した搬器26を索条18の速度から緩速までに緩やかに減速させる装置であり、回送移送装置32は、減速された搬器26を緩速のまま一定速度を保って移送を行う装置であり、加速移送装置33は、緩速から索条18と同一の速度まで搬器26を加速させる装置である。
【0020】
矢印A方向に向けて原動側停留場11に到着した搬器26は、これらの各移送装置31、32、33の作用により、以下のように原動側停留場11内を移送される。まずレール20に乗り移った搬器26は、索条18を放索した後、減速移送装置31により減速させられて緩速となり、この後、回送移送装置32により緩速を保って出発側へと回送させられる。ここで、搬器26が緩速で移動する経路に沿っては乗降場23が設けられており、この部分において搬器26への乗客の降車及び乗車が順次行われる。
【0021】
次いで、出発側へと回送された搬器26は、加速移送装置33へ進入するが、このときに回送移送装置32と加速移送装置33との間には、出発間隔規制装置34が備えられており、これにより先発の搬器26とこの出発間隔規制装置34の位置にある搬器26との間隔が適正になるように調整される。具体例としては、図2において、回送移送装置32の端部又は加速移送装置33の端部のゴムタイヤ車輪30を任意に可動及び停止可能に構成するとともに、別途、索条移動量検出器50により索条18の移動量をパルス信号等に変換している。索条移動量検出器50は、停留場内で索条18を支承する受索輪の回転に応じてパルス信号を発生させるようにしても良く、また、反原動滑車15の回転からパルス信号を発生させるようにしても良い。
【0022】
このような構成により、先発の搬器26が出発間隔規制装置34の位置を出発するのと同時にパルス信号の計数を開始し、後発の搬器26が出発間隔規制装置34の位置に達した時にパルス数が規定の数値に達していないとき、すなわち先発の搬器26との間隔が規定の搬器間隔に達していないときは、ゴムタイヤ車輪30の回転を停止させ後続の搬器26をこの位置で待機させ、パルス数が規定の数値となって搬器間隔が確保されるとゴムタイヤ車輪30を回転させて、当該位置にある搬器26を加速移送装置33へと押し出すようにしている。
【0023】
このようにして搬器間隔が整えられて加速移送装置33に進入した搬器26は、この後加速移送装置33により索条18の速度と同一速度まで加速させられた後、索条18を握索して原動側停留場11から矢印B方向へ向けて出発する。なお、通常の運転時においてこれらの各移送装置31、32、33における移送速度は、索条18の移動速度に対応した速度になるように索条18の速度と同期して制御されており、例えば、索条18の移動速度を常時の速度よりも遅くした場合には、これに対応して各移送装置31、32,33における搬器26の移送速度も同期して遅くなるように制御が行われ、また、索条18の速度を常時の速度に復帰させるとこれと同期して、各移送装置31、32,33におけるそれぞれの移送速度も常時の移送速度に復帰するように制御される。このようにすることにより各搬器26間の間隔は、索条18の速度の変更にかかわらず索道線路中及び停留場内のいずれにおいても一定の間隔に保持して運行が行われる。
【0024】
以上、自動循環式索道の大まかな構成及び動作を説明したが、各停留場11、12には、安全を確保するためや、動作を確実に行うために多種の検出装置類を備えており、これらの動作を制御するために各停留場11、12には、原動側制御装置16及び反原動側制御装置17を備えている(図1参照)。これら原動側制御装置16と反原動側制御装置17とは、線路中に架設又は敷設された通信線19により接続されており、運転の開始や停止、減速等の運転信号を相互に送受信するようになっている。また、原動側制御装置16と反原動側制御装置17との間には、通信線19とは別系統の非常停止用通信線24を備えている。この非常停止用通信線24は常時通電されており、ただちに運転を停止しなくてはならない場合には、この非常停止用通信線24の通電を遮断することにより運転を停止するようになっている。
【0025】
上記の原動側制御装置16は、原動滑車14を駆動する原動装置13の駆動制御も行っており、この駆動制御の状態に基づいて、運転の開始、停止や運転速度等の運転信号が原動側制御装置16から反原動側制御装置17へ送信され、これに基づいて反原動側制御装置17は反原動停留場12内の装置類の制御を行う。また、反原動側制御装置17は、反原動停留場12内での操作による減速等の指令信号を原動側制御装置16へ送信し、これに基づいて原動側制御装置16は、減速等を行うように原動装置13の駆動制御を行う。また、原動装置13は、原動滑車15やブレーキディスク(図示せず)等を制動して索道の運転を停止する場合には、略一定の状態で停止するように設定されており、原動側制御装置16の制御により運転を停止する場合に索条18は、略一定の距離及び時間で停止する。
【0026】
以上の構成において、何らかの理由、例えば通信線19の断線や通信機器の異常等により、原動側制御装置16から反原動側制御装置17への運転信号が途絶えた場合には、反原動側制御装置17は次のように動作する。上記したように、反原動側制御装置17には索条移動量検出器50からのパルス信号が入力されており、反原動側制御装置17内において通信線19での運転信号の断絶を検知すると、このパルス信号の計数を開始する。反原動側制御装置17には、索道の制動停止時に索条18が移動する距離に相当する設定パルス数が設定されており、この設定パルス数と計数したパルス数とを比較する。そして、計数を行っているパルス数が設定パルス数を超えた場合には、制動停止が行われていない状態、すなわち運転が継続している状態であると判断されるので、反原動側制御装置17では、通信回路が異常であると判断して、非常停止用通信線24を介して運転停止の信号を原動側制御装置16へ発信し、索道全体の運転を停止する。
【0027】
次に、上記の構成においては、索条移動量検出器50からのパルス信号を計数して実際の運転状態を検出し、通信回路の異常を判断するように構成したが、パルス信号の計数に代えて以下のように構成することもできる。図4に示すように、反原動側制御装置17にはタイマ51を備えるとともに、このタイマ51には、対応する運転速度における制動停止に要する時間が設定されている。そして、通信線19での運転信号の断絶を検知するとタイマ51の動作を開始させ、設定された制動停止に要する時間が経過しても索条移動量検出器50からのパルス信号が検出されるようであれば、上記と同様に運転停止の信号を発信して索道全体の運転を停止する。
【0028】
さらに、次のような構成とすることもできる。図5に示すように、反原動側停留場12には、索条18の速度に比例して電圧を発生する索条速度検出器52を設ける。索条速度検出器52は、図に示すように停留場内で索条18を支承する受索輪の回転によりタコジェネレータを回転させて電圧を発生させるように構成したり、または、反原動滑車15の回転により同様に電圧を発生させるように構成する。反原動側制御装置17は、この電圧信号により索条18の移動速度を判定している。そして、反原動側制御装置17は、運転信号が途絶えたことを検知すると、索条速度検出器52からの電圧信号により判定する索条18の移動速度と運転信号が途絶えた時点からの経過時間とから、連続的に索条18の移動距離を算出する。一方、反原動側制御装置17には、制動停止に要する索条18の移動距離が設定されており、この設定移動距離と算出された移動距離が逐次比較される。そして、算出された移動距離が設定移動距離を超えた時点において、未だ索条速度検出器52からの電圧信号を受信している場合には、運転が継続している状態であると判断されるので、反原動側制御装置17は、通信回路が異常であると判断して、上記と同様に索道全体の運転を停止する。
【0029】
さらに、この索条速度検出器52を用いた構成においては、次のようにすることもできる。反原動側制御装置17にはタイマ51を備えるとともに、このタイマ51には、対応する運転速度における制動停止に要する時間が設定されている。そして、通信線19での運転信号の断絶を検知するとタイマ51の動作を開始させ、設定された制動停止に要する時間が経過しても索条速度検出器52からの電圧信号に変化がないようであれば、上記と同様に運転停止の信号を発信して索道全体の運転を停止する。
【0030】
以上説明したように、いずれの実施形態においても運転信号が断絶した場合には、反原動側停留場12内の実際の機器の動作に基づいて反原動側制御装置17が通信回路の状態を判断しており、異常時には索道全体を停止させるようにしている。このように、通信回路の状態を監視することにより、索道の運行上の安全性が向上する。また、上記の索条移動量検出器50は、自動循環式索道においては通常備えているものであり、上記実施形態を実施するにあたっては、反原動側制御装置17内のプログラムを変更するだけでよく、コストを要することもなく既存の設備であっても容易に適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
11 原動側停留場
12 反原動側停留場
13 原動装置
14 原動滑車
15 反原動滑車
16 原動側制御装置
17 反原動側制御装置
18 索条
19 通信線
20 レール
22 レール
23 乗降場
24 非常停止用通信線
26 搬器
27 握索機
30 ゴムタイヤ車輪
31 減速移送装置
32 回送移送装置
33 加速移送装置
34 出発間隔規制装置
50 索条移動量検出器
51 タイマ
52 索条速度検出器
A、B 矢印
図1
図2
図3
図4
図5