特許第5840959号(P5840959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5840959
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】塗布方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20151210BHJP
   B05B 15/12 20060101ALI20151210BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20151210BHJP
   B05C 11/00 20060101ALN20151210BHJP
   B05C 15/00 20060101ALN20151210BHJP
【FI】
   B05D3/00 F
   B05B15/12
   H01L33/00 410
   !B05C11/00
   !B05C15/00
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-6062(P2012-6062)
(22)【出願日】2012年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-144279(P2013-144279A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】510009832
【氏名又は名称】エムテックスマート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(72)【発明者】
【氏名】松永 正文
【審査官】 細井 龍史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/104398(WO,A1)
【文献】 特開2007−136450(JP,A)
【文献】 特開2010−279865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00− 7/26
B05B 15/00−15/12
B05C 7/00−21/00
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の流れがある場所で被塗物に塗布器で塗材を塗布する方法であって、前記被塗物への塗布前に塗布重量測定用物体に前記塗布器で前記塗材を塗布する第一の工程と、塗布された前記塗布重量測定用物体を、気体の流れの無いまたは重量測定に影響しない気体の流れの雰囲気下の重量測定室まで自動的に移動し重量測定する第二の工程と、予め決められた塗布重量範囲の時、又は塗布重量範囲外の時は塗布条件を補正した後、前記被塗物へ前記塗布器で塗布を行う第三の工程とからなることを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記被塗物への塗布終了後、再度自動的に塗布重量測定を行い塗布量を確認した後、乾燥装置へ移動する第四の工程を有することを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
少なくとも排気ラインに接続され、気体の流れがある塗布ブース内で前記塗布重量測定用物体への塗布が行われ、該塗布重量測定用物体への塗布ポジションと前記塗布重量測定室が隣接していることを特徴とする請求項1またはに記載の塗布方法。
【請求項4】
前記塗布器と前記被塗物を相対移動させ、前記塗布器がパルス的に塗布できるディスペンサー、インクジェット、微粒子発生塗布装置の少なくとも一つから選択されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記塗布条件補正は、塗材圧力、前記塗布器と被塗物の相対スピード、塗布ピッチ、パルスサイクル、ワンショット塗布時間、流路面積の少なくとも一つを選択することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の塗布方法。
【請求項6】
前記被塗物がLED又はLED部材であって、前記塗材が少なくとも蛍光体とバインダーからなるスラリーであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の塗布方法。
【請求項7】
前記塗布器が微粒子発生装置であって、前記塗布重量測定物体へ前記スラリーを塗布し前記塗布重量測定室で塗布重量測定を行った後、前記微粒子発生塗布装置とLED又はLED部材は相対的にピッチ移動し、少なくとも一層塗布するごとにピッチの位相をずらして塗布することを特徴とする請求項6に記載の塗布方法。
【請求項8】
前記微粒子発生装置がエアスプレイ装置であって、該エアスプレイ装置の先端噴出部とLED又はLED部材とは5乃至80ミリメートルの距離に調整可能とし、かつ2乃至15ミリメートルのピッチで相対移動し、一層塗布するごとに0.1乃至7.5ミリメートル位相をずらしながら塗布することを特徴とする請求項7に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記スラリーは重量比で前記バインダーより前記蛍光体の比率を大きくし、かつ溶剤を含むスラリーであって、粘度が1乃至100mPa・s(1乃至100センチポイズ)の範囲であることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の塗布方法。
【請求項10】
前記スラリーは循環装置により循環させ、又は二つ以上の小型容器間で移動させて蛍光体の沈降を防止することを特徴とする請求項9に記載の塗布方法。
【請求項11】
前記塗布重量測定用物体及び被塗物へ1乃至50ヘルツのサイクルでパルス的に塗布することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の塗布方法。
【請求項12】
少なくとも排気ラインに接続された塗布ブース内で被塗物に塗材を塗布器で塗布する装置であって、前記被塗物への塗布前に前記塗布ブース内で塗布重量測定用物体に前記塗材を前記塗布器で塗布し、次いで塗材が塗布された前記塗布量測定用物体を塗布重量測定室まで自動的に移動し重量を測定し、さらに予め決められた範囲の塗布重量の時、被塗物へ塗布を開始することを特徴とする塗布装置。
【請求項13】
前記塗布ブースと前記塗布重量測定室間の隔壁の開口には自動開閉できるシャッターが設置されており、該シャッターは自動的に塗材の塗布時及び重量計測時は閉に、前記塗布重量測定用物体の移動時には開になることを特徴とする請求項12に記載の塗布装置。
【請求項14】
前記塗布重量測定器の上部の計量部には、該計量部の一部として細く軽いスタンドを設置したことを特徴とする請求項12または13に記載の塗布装置。
【請求項15】
前記塗材が蛍光体とシリコーン溶液からなるスラリーであって、前記塗布器がパルス的にスプレイするエアスプレイ装置であって、前記被塗物はLED又はLED部材であって、前記エアスプレイ装置と前記LED又はLED部材は相対的にピッチ移動して塗布し、一層塗布するごとにオフセットさせて複数層塗布することを特徴とする請求項12乃至14の何れか一項に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗材を被塗物に塗布する方法に係わり、特にバインダーに蛍光体などの固形粒子を混合したスラリー(slurry)等をLEDやLED部材等の被塗物に塗布する方法と装置、又更に効果的には溶媒等の揮発分を含む低粘度の塗材の塗布方法及び装置に係わる。尚本発明の塗布とは、連続的又は断続的なディスペンス、インクジェット、マイクロカーテン施与、スロットノズル施与、霧化施与、スプレイ等を含みその方法や装置を限定するものではない。又被塗物の材質、形状等を限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
塗材のなかでその取扱い難易度と求められる均一性の付加価値からして、その代表的な例をLEDに被覆される蛍光体スラリーにすることができる。従来、白色発光LEDの製造方法として紫外光や青色発光ダイオードに少なくとも一つのYAG、TAG,シリカ系などの蛍光体とバインダーを混合したスラリーをディスペンサー等でディスペンスしたり、更に溶剤などを加えて粘度を低くし微粒子発生装置の一種である超音波霧化装置やスプレイ装置等を用いてLEDに直接スプレイし被覆したり、フォスファープレートやフィルム等を作成してLEDに被覆していた。又、リモートフォスファーと呼ばれるフォスファーシートを作成しLEDから離れた場所に貼り付けたりもしていた。
【0003】
特許文献1にはスラリーを循環装置で循環し、加熱したLEDチップに蛍光体を含むスラリーを圧縮エアで螺旋状に旋回させてスプレイ塗布し、一般的なスプレイ方法ではコーティングすることが難しいとされるLEDの側壁にも付着させてLEDを製造する方法が提案されている。
【0004】
特許文献2にはLEDチップにシリコーンなどのバインダーを被覆し硬化させて、その上に蛍光体、バインダー、溶剤からなるスラリーを塗布し、必要により拡散材などをそれらに混合して、色温度を測定して合否を判定しながら積層する方法が提案されている。
【0005】
特許文献3には特開2004−300000を応用して蛍光体とバインダーと溶剤からなる粘度が0.1乃至200センチポイズのスラリーを2つのシリンジ間で移動させ、同じく特開昭59−281013のエアパルススプレイを応用して、又スプレイ流を旋回させてチップへ前記スラリーを何回も塗り重ねて塗布する方法が提案されている。
【0006】
特許文献4には事実上100センチポイズ(100mPa.s)以上の粘性物質をリザーバーからオーガバルブ等の計量装置を経由して分配要素(ニードル)から分配し、計量器が計量された量の粘性物質を受け取り計測してロボットの移動スピードやニードルからの粘性物質の排出スピードを調整する装置が提案されている。
【0007】
非特許文献1などに開示されているようなディスペンサーを用いる方法はハイパワーでない砲弾型LEDやTVやPCのバックライト向けLEDなどのカップの内側に装着されたチップに前記スラリーを充填して大量生産向けに多く採用されている。
【0008】
しかし、特許文献1の方法では確かに蛍光体粒子を含むスラリーを循環させるので一般的な装置と比較して、蛍光体粒子が沈降しにくく理想的な面はあるが、回路が大型で塗布に必要な材料の数倍から20倍程度の高価な材料が必要であった。また回路が複雑なため、回路のいたるところでミクロ的な沈殿や詰りが生じ塗布量の不安定さにつながっていた。
【0009】
特許文献2ではバインダーをLEDチップに被覆し硬化させた後、その上に蛍光体を含むスラリーをエアスプレイ方法で塗布し積層する方法が開示されている。またプロセスの途中で色温度を計測し、OKの場合のみ次工程に進むことが許可されるようになっている。しかし生産ラインでかつ層ごとに色温度を測定するためには複雑な工程と高価な装置が必要であった。又LEDチップ1個づつを処理しなければいけないので時間がかかりすぎた。
【0010】
特許文献3では少量の材料で効率よく循環できるのでR&Dや、中程度の生産を所望される場合は適している。しかし加圧エア設定を低くして循環スピードを遅くすると沈殿が生じ、又エア圧を高くして循環を早くするとスラリーに、必要以上にシェアがかかり粘度が経時的に低下するので塗布量が増加傾向にあったため頻繁に手動で重量チェックを繰り返しながらワークへの塗布作業を行っていた。
【0011】
一方、非特許文献1などの簡易装置を使用して無溶剤のシリコーンなどのバインダーと蛍光体粒子からなるスラリーをディスペンサーなどで塗布する場合は粘度を比較的高くするので沈殿はしにくい傾向にあるが経時的には沈降するため、より塗布重量を管理しやすい小型オーガポンプやプランジャーポンプなど容積ポンプ式が多く採用されていた。それでも沈殿に伴い単位容積当たりの比重が変わるので品質のばらつきは生じていた。少しでも品質を向上させるため塗布ブース内で特許文献4を応用して計量器で重量を確認しながら塗布作業を行う試みがなされているが、溶媒などの揮発成分を含むスラリーをスプレイ方式などで塗布する場合、塗布ブース内の吸排気が必要でスプレイブース扉付近の面風速は0.4メートル/秒が義務づけられている為、速い風の流れが測定器に悪影響を与え、またスプレイ流などが計量皿等に衝撃を与えるため依然として課題を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−152811
【特許文献2】特開2010−119945
【特許文献3】TW201034759A1
【特許文献4】特開平11−513607
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】武蔵エンジニアリングカタログ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特に照明用ハイパワーLEDに蛍光体を被覆する場合、LED被覆蛍光体膜厚が薄膜であればあるほど空中またはモールドしたレンズへのLED表面からの距離が短いため性能は良いとされている。そのためリモートフォスファー方式よりフォスファー・オン・LEDの性能が高いとされる。それゆえにバインダーはLEDに蛍光体を付着させるための手段として用いられるだけなのでLEDへの密着性があれば少ないほどよいとされている。前記バインダーは耐久性や対変色性の面からエポキシ系から濡れの悪いシリコーン系樹脂へと移行されているのが現状である。又一部ではゾルゲル法などによる液状ガラスを使用し最終的に固化させて耐熱性を高め、変色させない方法も提案されている。ところがスプレイ法であってもウェットで厚く被覆すると前記のようにチップ上面の端部はバインダーやチップ表面の表面張力や界面張力も作用して引け現象が発生し薄くなって品質的に問題が生じていた。又側壁に関しても前記の如き現象になり、特にそれぞれの空間での色温度バラつきが大きく業界ではこの問題を解決するために関連各社がしのぎを削っている。
【0015】
ところが前述のごとくシリコーンバインダーはチップ上で濡れにくいのでチップの表面をコロナ、プラズマ、フレームトリートメントなどで改質して濡れを良くするか、無理に濡らしてレベリングさせるか、その両方を応用するかが必要とされていた。しかし低粘度のスラリーをウェットで厚膜にするとエッジや側壁で垂れが生じてその部位の要求される塗膜を維持することは難しかった。
【0016】
一方、多層塗布し都度乾燥させると、これらの課題は解決するが、塗布する時間より被塗物の脱着時間や乾燥時間、手動での塗布重量測定などの間接的所要時間が遥かに長くなり生産性が極めて悪かった。
【0017】
仮に自動的に塗布重量を測定できたとしても例えば1層塗りの場合、塗布重量が少ない場合は補正塗布できるが、多すぎた場合製品不良となる。2乃至3層塗りの場合でも塗布量が不安定なスラリーや低粘度のスラリーでは容積式ポンプを使用したとしても最終塗布工程で不良になる確率が高かった。そのため実際の被塗物に塗布して直接重量を測定する方法は極めてリスクが高かった。
【0018】
そのため、薄膜で多層塗布はこれらのアプリケーションでは不可欠であるが、さりとて硬化時に体積収縮が少ない5,000mPa・s(5,000センチポイズ)好ましくは数万mPa・s(センチポイズ)以上の高粘度のシリコーンなどのバインダーを使用するとスラリーの粘度が高くなる為、高速でドット(Dot)吐出する小液滴塗布ディスペンスやインクジェット或いはスプレイなどの手段で微粒子にして塗布することはできなかった。そればかりか前記のような高粘度のシリコーンを使用するとスラリー内の蛍光体の比率を重量比で30%以上好ましくは50%以上にすることは流動性を欠くためおおよそ不可能であった。
【0019】
そのため、粘度を下げる手段としては有機溶剤を使用する方法が現実的である。しかし有機溶剤を前記スラリーに加えて粘度を100mPa・s(センチポイズ)以下好ましくは50mPa・s(センチポイズ)以下にすると蛍光体の沈降が激しく、一般のディスペンサーやインクジェット或いはスプレイ装置では塗布量を例えば設定値に対して±5%、好ましくは±1.5%にすることはおおよそ不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は前述の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は性能が従来工法より遥かに優れ又生産性の高い塗布方法と装置及びそれらにより生産されたLED等の製品を提供することである。又有機溶剤を使用したスラリー等であっても本発明者が権利を保有するPCT/JP2011/050168の方法を併用することにより安全及び衛生的に優れ、生産コストを大幅に下げることができる塗布方法と装置を提供することである。
【0021】
上記課題を解決する為本発明は、気体の流れがある場所で被塗物に塗材を塗布器で塗布する方法であって、前記被塗物への塗布前に塗布重量測定用物体に前記塗材を前記塗布器で塗布する第一の工程と、塗布された前記塗布重量測定用物体を、気体の流れの無い又は重量測定に影響しない気体の流れの雰囲気下の重量測定室まで自動的に移動し、重量測定する第二の工程と、予め決められた範囲内の塗布重量の時、又は塗布重量範囲外の時は塗布条件を補正した後、被塗物へ塗布を行う第三の工程とからなる事を特徴とする液体の塗布方法を提供する。
【0022】
上記課題を解決する為本発明の塗布方法は、前記被塗物への塗布終了後、再度自動的に塗布重量測定を行い塗布量を確認した後、乾燥装置へ移動する第四の工程を有することが好ましい
【0023】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法においては少なくとも排気ラインに接続され、気体の流れがある塗布ブース内で前記重量測定用物体への塗布が行われ、該塗布重量測定用物体への塗布ジションと塗布重量測定室とが隣接していることが好ましい
【0024】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記塗布器と前記被塗物を相対移動させて、塗布器がパルス的に塗布できるディスペンサー、インクジェット、微粒子発生塗布装置の少なくとも一つから選択されることが好ましい。
【0025】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記塗布条件補正は、塗材圧力、塗布器と被塗物の相対スピード、塗布ピッチ、パルスサイクル、ワンショット当たりの塗布時間、流路面積の少なくとも一つを選択することが好ましい。
【0026】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記被塗物がLED又はLED部材であって、前記塗材が少なくとも蛍光体とバインダーからなるスラリーであることが好ましい。
【0027】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記塗布器が微粒子発生塗布装置であって、前記重量測定用物体へ前記スラリーを塗布し、前記塗布重量測定室で重量測定を行った後、前記微粒子発生塗布装置とLED又はLED部材は相対的にピッチ移動し、少なくとも一層塗布するごとにピッチの位相をずらして塗布することが好ましい
【0028】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記微粒子発生塗布装置がエアスプレイ装置であって該エアスプレイ装置の先端噴出部とLED又はLED集合体とは5乃至80ミリメートルの距離に調整可能とし、かつ2乃至15ミリメートルのピッチで相対移動し、一層塗布するごとに0.1乃至7.5ミリメートル位相をずらしながら塗布することが好ましい
【0029】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記スラリーは重量比で前記バインダーより蛍光体の比率を多くし、かつ溶剤を含むスラリーであって、粘度が1乃至100mPa.s(1乃至100センチポイズ)であることが好ましい
【0030】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記スラリーは循環装置により循環させ、又は2つ以上の小型容器間で移動させて蛍光体の沈降を防止することが好ましい
【0031】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布方法において前記塗布重量測定用物体への塗布及び被塗物へ1乃至100ヘルツのサイクルでパルス的に塗布を行う事が好ましい。
【0032】
上記課題を解決する為に、少なくとも排気ラインに接続された塗布ブース内で被塗物に塗材を塗布器で塗布する装置であって、前記被塗物への塗布前に前記塗布ブース内で塗布重量測定用物体に前記塗材を前記塗布器で塗布し、次いで塗材が塗布された前記塗布重量測定用物体を塗布重量測定室まで自動的に移動し重量を測定し、さらに予め決められた範囲の塗布重量の時、被塗物へ塗布を開始することを特徴とする塗布装置を提供する。
【0033】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布装置において前記塗布ブースと前記塗布重量測定室間の隔壁の開口には自動開閉できるシャッターが設置されており、該シャッターは自動的に塗材の塗布時及び重量計測時には閉に、前記塗布重量測定用物体移動のときは開になることが好ましい
【0034】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布装置において前記重量測定器の上部の計量部には該計量部の一部として細い軽量の物体を設置し計量作業が迅速に行われることが望ましい。
【0035】
上記課題を解決する為に、本発明の塗布装置において前記塗材が蛍光体とシリコーン溶液とからなるスラリーであって、前記塗布器がパルス的にスプレイするエアスプレイ装置であって、前記被塗物はLED又はLED部材であって、前記エアスプレイ装置と前記LED又はLED部材は相対的にピッチ移動して塗布し、一層塗布するごとにオフセットさせて複数層塗布するが好ましい
【発明の効果】
【0036】
上記のように本発明の塗材の塗布方法及び装置は塗布重量測定を外乱の影響を受けない塗布重量測定室で自動的に行うことができ、そのデータに基づいて被塗物に塗布するので高品質な製品を効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態にかかる塗布装置の正面からみた概略的断面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる塗布装置の概略的平面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる重量測定器の側面からみた概略的断面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる重量測定器の側面からみた概略的断面面図である。
図5】本発明の実施形態にかかる重量測定部の概略的平面図である。
図6】本発明の実施形態にかかる重量測定物体への第一塗布概略図である。
図7】本発明の実施形態にかかる重量測定物体への第二塗布概略図である。
図8】本発明の実施形態にかかる塗布重量物体ハンドリングブラケット先端部の概略的断面図である。
図9】本発明の実施形態にかかる塗布重量物体ハンドリングブラケット先端部の概略的正面図である。
図10】本発明の実施形態にかかるパルス的塗布サイクルのチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は発明の理解を容易にするための一例にすぎず本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加、置換、変形等を施すことを排除するものではない。
【0039】
図面は本発明の好適な実施の形態を概略的に示している。
【0040】
図1及び図2は、本発明の形態にかかわる塗布装置を示しており、図1は該塗布装置の側面からみた断面概略図、図2は平面概略図、図3乃至図9は重量測定部の詳細、図10はパルスサイクルのチャートである。
【0041】
図1及び図2において塗布ブース1内の塗布器5の上流に図示しない吸気又は給気部があって、被塗物3の下流に排気部18がある。排気部18は装置外部の排気ファンに通常連結され、排気ファンが作動すると塗布ブース1内に理想的な風の流れが起きる。被塗物への塗布を開始する前に、塗布ブース1と塗布重量測定室2の間の開閉装置9でシャッター10が開になった開口部19から重量測定物体4をセットしたハンドリングブラケットが塗布ブースの所望するポジションへ移動する。ハンドリングブラケット7の先端部にセットされたプレートや容器形状などの重量測定物体4へその上流に位置する塗布器5から塗材を塗布し、塗布重量測定室に戻り、シャッターを閉にしてトータル重量を測定する。
重量測定物体4は予め測定してあるので例えば外部通信できて最少表示が0.1ミリグラムのA&D社の計量器AD−4212B−101と市販の工業用計算機やソフト等を使用してシーケンサーで簡単に処理し塗布重量の表示なり、合否の信号を自動的に出力できる。
被塗物載置ユニット6に被塗物(LED,LED部材等)3がセットされ図示されない第2の駆動源と第2の駆動軸11により移動する。塗布器5はブラケット17に固定されブラケット17は第3の駆動源15第3の駆動源15の駆動軸16に連結し上下移動する。更に第3の駆動軸15は第1の駆動源13により第2の駆動軸11と直交して動く第1の駆動軸14に固定されるので塗布器5は直交移動でき被塗物載置ユニット6にセットされた被塗物3はピッチ送りすることができるので各駆動軸のストロークの範囲まで均一に塗布できる。勿論のこと前記の“横塗り”に対し塗布器をピッチ移動させ被塗物載置ユニットを連続移動させて塗布する“縦塗り”もできる。又それらを交互に繰り返すこともできる。塗布器5で被塗物11に塗材が一層塗布され、又はより均一に塗布する為、層ごとに位相をずらし(オフセット)しながら複数層塗布し、乾燥ゾーン等の次工程へ手動又は自動で移動する。
【0042】
図2においてハンドリングブラケット7は90度回転かつ上下に昇降する装置によって自動で塗布ブースから塗布重量測定室2に移動させることができる。移動手段は前後、回転等特に限定するものでないが多軸や多関節ロボットなど高価な装置を使用しなくとも安価な回転或いは上下移動するシリンダーを使用することができる。
【実施例】
【0043】
図3乃至図8において本発明の実施例を説明する。
【0044】
図3において重量測定器30の測定物受け31の上には軽くて塗布重量測定用物を受け取りやすくするスタンド40がセットされている。重量測定器の上部に移動したハンドリングブラケット7はスタンド40の幅より広い溝が加工されている。ハンドリングブラケット7をゆっくり下降させ塗布重量測定物体4をスタンド40上面に軟着陸させる。塗布測定用物体は金属やセラミック製のプレートでも、又小型容器でも良い。塗材を塗布した上に次回以降の計量の塗材を推積させ特に溶媒を使用するスラリーでは、それを再利用することができる。
【0045】
図4においてスタンド40の上部に塗布重量測定用物体を軟着陸させた後、ハンドリングブラケットは重量測定物体と完全に離れるまで下降し、重量測定が開始される。
【0046】
図5においてハンドリングブラケット7上の重量測定物体4は単に乗せただけであるが、特にハンドリングブラケットを重量測定物体の形状に合わせて加工し、振動等で移動しないようにすることができる。
【0047】
図6は塗布器5から塗布重量測定用物体へスプレイ流50で一点だけ複数ショット塗布している。塗布された塗材20は最新ショット直後の半球状に示される部分とそれ以前に塗布され時間経過に伴いレべリングされた直方体状に示される部分から成る。スプレイ噴出部と塗布重量策定物の距離は被塗物への塗布と同じ距離でも良く、短くすると風の影響を受けないのでより良い。
塗布時間の長さは限定しないが、塗材のコストを考えたらできるだけ短時間で少量塗布が好ましい。その点からも最少測定は0.1ミリグラムが測定できることが好ましい。その場合少しの風の流れなどの外乱で影響を受けるので、二重に例えば一般的電子天秤に備わっているボックスも使用するなど特に測定時の風の流れは完全に遮断すべきである。
【0048】
図7において塗布器を移動させながら塗布重量測用定物体へ図10のようにパルス的に塗布をしている。特に有機溶剤で希釈した塗材を一点に重ねると有機溶剤が蒸発しにくいため、精度よく測定しにくい。また蛍光体スラリーは流量を絞るとノズル詰り等が発生するが例えば1乃至30ヘルツ(の1分間当たり60乃至1800サイクルのパルスで塗布を行えばそれも解決できるので重量測定同様被塗布物への塗布に適している。
【0049】
図8図9はサポーティングブラケットの先端をC型にして塗布重量測定用物体が左右にずれないようにしている。特にインパクトをもったパルス的スプレイでは塗布された塗材20は塗布直後の半球状に示される部分とそれ以前に塗布され時間経過によりレべリングされた直方体状に示される部分から成る。そのパルス的振動波でスプレイ粒子が移動するので凹部や例えばLEDの段差やコーナーなどへも確実に付着させることができる優れた特長がある。その反面ただ載せているだけのプレートなどは振動波で移動してしまうことがある。その場合前後にも移動しないようにすることが肝要である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば流量が不安定な塗材であっても、自動で少なくとも塗布前に塗布量を測定してから被塗物への塗布を行うので、安定した品質を得られるばかりでなく、生産性を高くできる。
【符号の説明】
【0051】
1 塗布ブース
2 塗布重量測定室
3 被塗物
4 重量測定物体
5 塗布器
6 被塗物載置ユニット
7 ハンドリングブラケット
8 昇降装置
9 開閉装置
10 シャッター
11 第二駆動軸
12 ベルト
13 第一駆動源
14 第一駆動軸
15 第三駆動軸
16 第三駆動源
17 ブラケット
18 排気部
19 開口部
20 塗材
30 重量測定器
31 計量皿
40 スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10