(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、かご内操作盤に備えられるエレベータのかご内表示装置には、乗りかごの走行方向及び走行位置を表示する方向・位置表示部と、行先階登録ボタン、戸開閉ボタンのほか、非常時に外部への通話を可能にするインターホン装置などが備えられている。インターホン装置は非常時に外部に異常を発報する非常呼びボタンを操作することで、外部との通話が可能となる。この非常呼びボタンは、かご内表示装置とは独立して設けられており、操作時には機械的なストロークを持つボタンとなっている。
【0003】
非常呼びボタンは非常時以外には使用されることがない。そのため通常時には押し間違えがないように非常呼びボタンは行先階登録ボタンなどと差異化を図ったデザインが要求されている。
【0004】
また、非常呼びボタンと連動して機能するインターホン装置はかご内の利用者が使用しやすい高さに設置されるため、非常呼びボタンについても人が最も操作しやすい位置に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るかご内操作盤の外観図である。
図2は本発明の第1の実施形態に係るかご内操作盤の制御ブロック図である。
図3は本発明の第1の実施形態に係る表示内容切替制御を示すフローチャートである。
【0012】
まず
図1(a)を用いて本発明の第1の実施形態に係るかご内操作盤の構成について説明する。エレベータの乗りかご内には、かご内操作盤1が設置されている。かご内操作盤1には、エレベータの走行方向及び走行位置を示す方向・位置表示部2が備えられている。また、非常時などにおいて外部との連絡手段としてのスピーカ、マイク機能を備えるインターホン装置3と、行先階登録ボタン4や戸開閉ボタン5等をキャラクタ表示するタッチパネルディスプレイ6が備えられている。タッチパネルディスプレイ6に表示される行先階登録ボタン4や戸開閉ボタン5は、これらのキャラクタにタッチすることで、静電容量を電気信号に変換し、タッチパネルディスプレイ6上でタッチされた座標を検出して、利用者による操作を認識する。
【0013】
図1(b)に示すように、本発明の第1の実施形態に係るかご内表示装置は特定の動作が生じた場合にタッチパネルディスプレイ6上に非常呼びボタン7を表示させる。非常呼びボタン7の表示制御については詳細を後述する。
【0014】
次に
図2の制御ブロック図を用いて本発明の第1の実施形態に係るかご内制御装置の構成を説明する。エレベータの運行を制御する主制御装置8が図示しない昇降路内に設置されており、かご内操作盤の制御を行うかご内操作盤制御部9とその主制御装置8とが伝送信号によって接続されている。
【0015】
かご内操作盤制御部9は、方向・位置表示部2を制御する方向・位置表示制御部10と、タッチパネルディスプレイ6の表示内容を制御するタッチパネルディスプレイ表示制御部11とバス信号によって接続されている。
【0016】
そのほか、インターホン装置3を制御するインターホン制御部12が主制御装置8とインターホン通話信号によって接続されている。
【0017】
次に、
図3のフローチャートを用いて本実施形態に係るかご内表示装置の制御動作について説明する。なお、ここでは、エレベータが運転制御が通常状態から異常状態に切り替わる状況について説明する。
【0018】
タッチパネルディスプレイ6には行先階登録ボタン4及び戸開閉ボタン5がキャラクタ表示されている。エレベータ利用者はこのキャラクタ部分をタッチすることで、行先階の指定や戸開閉操作を行うことができる。
【0019】
まず主制御装置8はエレベータの運転が正常運転であるか否かを判断する(S1)。エレベータの運転が正常状態である場合(S1のYES)、伝送信号により正常運転信号をかご内操作盤制御部9に出力する(S2)。正常運転信号を受信したかご内操作盤制御部9は、エレベータの運転状態が正常状態であると判断する(S2)。エレベータの運転状態が正常状態であると判断された場合、かご内操作盤制御部9はエレベータの運行制御における各種の異常フラグをクリア状態にする(S3)。
【0020】
そしてタッチパネルディスプレイ表示制御部11に非常呼びボタン7表示OFF指令を出力する(S4)。非常呼びボタン7表示OFF指令を受けたタッチパネルディスプレイ表示制御部11は、非常呼びボタン7表示OFF処理を実行し、タッチパネルディスプレイ6に非常呼びボタン7を表示しないよう制御する(S5)。
【0021】
よって、エレベータの通常運転時にはタッチパネルディスプレイ6に行先階登録ボタン4と戸開閉ボタン5が表示される。一方、エレベータの運転が異常状態になった場合について説明する。
【0022】
主制御装置8はエレベータの運転が異常状態であると判断した場合(S1のNO)、伝送信号により異常信号をかご内操作盤制御部9に出力する(S6)。異常信号を受信したかご内操作盤制御部9はタッチパネルディスプレイ表示制御部11に非常呼びボタン7表示ON指令を出力する(S7)。非常呼びボタン7表示ON指令を受けたタッチパネルディスプレイ表示制御部11は、非常呼びボタン7表示ON処理を実行し、タッチパネルディスプレイ6に非常呼びボタン7を表示するように制御する(S8)。具体的には、タッチパネルディスプレイ表示制御部11はタッチパネルディスプレイ6にキャラクタデータを出力し、さらに本実施形態においては、タッチパネルディスプレイ6の表示部の最上部に非常呼びボタン7を表示させる。また、その際、必要に応じて行先階登録ボタン4や戸開閉ボタン5の表示キャラクタの座標データをシフトさせる。
【0023】
以上のようにして、エレベータの運転状態が異常である場合にのみ、非常呼びボタン7をタッチパネルディスプレイ6に表示させることで、通常の運転時に非常呼びボタン7を表示する必要がなくなる。それにより、乗りかご利用者による誤操作やいたずら操作を防止することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は本発明の第2の実施形態に係るかご内操作盤の制御ブロック図である。
図5は本発明の第2の実施形態に係る加重検出センサの取り付けを示す乗りかご概略図である。
図6は本発明の第2の実施形態に係る表示内容切替制御を示すフローチャートである。
【0025】
本実施形態では第1の実施形態の構成に加え、加重検出センサを乗りかごに設置している。これは、乗りかごへの衝撃を検出し、一定値以上の加重値が検出された場合に、タッチパネルディスプレイ6に非常呼びボタン7を表示させるものである。以下、構成及び作用を説明する。
【0026】
図4及び
図5に示すようにかご内操作盤制御部9には、乗りかご側板14の外部壁面に設置される加重検出センサ13が設置される。
図5においては、2側面に加重検出センサ13が取り付けられているが、これに限らず、複数の加重検出センサ13を乗りかご外壁に等間隔に配置してもよい。これは、等間隔で配置することにより均等に加重を検出することが可能となるためである。
【0027】
また、本実施形態では、加重検出センサ13として主に衝撃の検知に使用される高G加速度センサを用いる。なお、加重検出センサ13は乗りかご側板の横幅中央付近であって、乗客の平均的な肩の高さに当たる箇所付近に設置される。
【0028】
また、加重検出センサ13の検出信号は制御信号線を介してかご内操作盤制御部9に出力されるように設定されている。
【0029】
以下、本実施形態に係るかご内表示装置の制御動作について説明する。ここでは、加重検出センサ13によって加重を検出する場合について説明する。まず、エレベータの運行が正常状態である場合の制御について説明する。
【0030】
主制御装置8はエレベータの運転が正常運転であるか否かを判断する。エレベータの運転が正常状態である場合、伝送信号により正常運転信号をかご内操作盤制御部9に出力する。正常運転信号を受信したかご内操作盤制御部9は、エレベータの運転状態が正常状態であると判断する。エレベータの運転状態が正常状態であると判断された場合、かご内操作盤制御部9はエレベータの運行制御における各種の異常フラグをクリア状態にする。
【0031】
そしてタッチパネルディスプレイ表示制御部11に非常呼びボタン7表示OFF指令を出力する。非常呼びボタン7表示OFF指令を受けたタッチパネルディスプレイ表示制御部11は、非常呼びボタン7表示OFF処理を実行し、タッチパネルディスプレイ6に非常呼びボタン7を表示しないよう制御する。
【0032】
よって、エレベータの通常運転時にはタッチパネルディスプレイ6に行先階登録ボタン4と戸開閉ボタン5が表示される。
【0033】
次に、
図6のフローチャートを用いて加重検出センサ13によって所定値以上の加重検出がなされた場合について説明する。
【0034】
主制御装置8は加重検出センサ13から得られる信号から、
加重検出センサが所定値以上の加重値を検出したか否かを判断する(S21)。加重検出センサ13が所定値以上の加重値を検出した場合(S21のYES)、かご内操作盤制御部9に加重検出フラグをセットする(S22)。
【0035】
一方、加重検出センサ13が所定値以上の加重値を検出していない場合(S21のNO)、かご内操作盤制御部9に対して加重検出フラグをクリア状態にしておく(S23)。
【0036】
その後、かご内操作盤制御部9は加重検出フラグがセットされているのかの確認を行う(S24)。その結果、加重検出フラグがセットされている場合(S24のYES)、かご内操作盤制御部9はタッチパネルディスプレイ表示制御部11に非常呼びボタン表示ON指令を出力する(S25)。非常呼びボタン表示ON指令を受けたタッチパネルディスプレイ表示制御部11は、非常呼びボタン表示ON処理を実行し、タッチパネルディスプレイ6に非常呼びボタンを表示するように制御する(S26)。具体的には、タッチパネルディスプレイ表示制御部11はタッチパネルディスプレイ6にキャラクタデータを出力し、さらに本実施形態においては、タッチパネルディスプレイ6の表示部の最上部に非常呼びボタンを表示させる。また、その際、必要に応じて行先階登録ボタン4や戸開閉ボタン5の表示キャラクタの座標データをシフトさせる。
【0037】
その後、主制御装置8は非常呼びボタンが操作されたか否かの判断を行う(S27)。非常呼びボタンが操作された場合(S27のYES)、インターホン装置3の機能を発揮させたり、外部の監視センタと連絡を取るなどのいわゆる、非常呼びボタン操作時のオペレーション処理がなされる(S28)。そして、その後タッチパネルディスプレイ表示制御部11に非常呼びボタン表示OFF指令を出力する(S29)。非常呼びボタン表示OFF指令を受けたタッチパネルディスプレイ表示制御部11は、非常呼びボタン表示OFF処理を実行し、タッチパネルディスプレイ6に非常呼びボタンを表示しないよう制御する(S30)。
【0038】
一方、非常呼びボタンが操作されていない場合(S27のNO)、主制御装置8は一定時間経過したか否かの判断を行う(S31)。一定時間が経過していると判断された場合(S31のYES)、上述のステップ29(S29)に移行する。一定時間が経過していないと判断された場合(S31のNO)、上述のステップ25(S25)に戻り、非常呼びボタンの表示を継続する。
【0039】
なお、本実施形態で述べた処理は、通常の運行制御に対して割り込み制御として処理される。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、乗りかご内で何らかの異常が発生した場合に利用者の任意によって非常呼びボタンをタッチパネルディスプレイ6に表示させることが可能となる。