特許第5840984号(P5840984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5840984固形物用熱交換器および有機性廃棄物の処理設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5840984
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月6日
(54)【発明の名称】固形物用熱交換器および有機性廃棄物の処理設備
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20151210BHJP
   C10B 53/00 20060101ALI20151210BHJP
   C02F 11/10 20060101ALI20151210BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20151210BHJP
【FI】
   F28D7/16 Z
   C10B53/00 AZAB
   C02F11/10 Z
   B09B3/00 303Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-52615(P2012-52615)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-185116(P2013-185116A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 厚志
(72)【発明者】
【氏名】川端 友寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良介
(72)【発明者】
【氏名】河口 雄紀
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01975536(EP,A1)
【文献】 特開2011−226774(JP,A)
【文献】 米国特許第04546821(US,A)
【文献】 特開2006−063179(JP,A)
【文献】 特開2001−192668(JP,A)
【文献】 特開平5−288482(JP,A)
【文献】 1.欧州特許出願公開第01975536号明細書 翻訳文
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28C,F28D,F28F,C10B,C02F,B09B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に延びるように設けられて内部に熱媒体が供給される筒状のシェルと、このシェル内にさらに縦方向に延びるように設けられて内部に上方から固形物が供給される伝熱管とを備え、上記伝熱管の内部の中空部に供給される上記固形物と上記伝熱管の周りの空間に供給された上記熱媒体との間で熱交換を行う固形物用熱交換器であって、上記中空部の下方の固形物出口には、熱交換された上記固形物を間欠的に排出する排出装置が設けられており、
上記排出装置は、それぞれ開口部を有して縦方向に重ねられるとともに横方向に相対的に移動可能とされた一対の開閉部材を備え、
これら一対の開閉部材のうち上側の開閉部材は、横方向に平行に並べられた複数の板材により構成され、これらの板材の間の部分が上側の開閉部材の上記開口部とされるとともに、
上記一対の開閉部材のうち下側の開閉部材は、上記上側の開閉部材を構成する板材の平面視における幅以下の口径の穴が板状の部材に間隔をあけて形成されたものであって、これらの穴が下側の開閉部材の上記開口部とされ、
これらの開閉部材の少なくとも一方が移動させられて互いの上記開口部が連通することにより、熱交換された上記固形物が排出されることを特徴とする固形物用熱交換器。
【請求項2】
上記一対の開閉部材のうち上側の開閉部材は上記シェル内に固定されていて、下側の開閉部材が横方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の固形物用熱交換器。
【請求項3】
上記一対の開閉部材は横方向に直線的にスライドさせられて相対的に移動可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固形物用熱交換器。
【請求項4】
上記一対の開閉部材のうち上側の開閉部材の上部には、この上側の開閉部材の上記開口部に向かうに従い下方に向けて傾斜する傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の固形物用熱交換器。
【請求項5】
上記シェル内の上部には、上記中空部に供給される上記固形物が貯留される貯留室が設けられるとともに、この貯留室内における上記固形物の貯留量に基づいて上記排出装置による上記固形物の排出を制御する制御装置が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の固形物用熱交換器。
【請求項6】
有機性廃棄物を加熱して上記固形物を生成する加熱手段と、この固形物を熱交換によって冷却する請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の固形物用熱交換器とを備えることを特徴とする有機性廃棄物の処理設備。
【請求項7】
上記加熱手段が、上記有機性廃棄物を炭化する炭化炉であることを特徴とする請求項6に記載の有機性廃棄物の処理設備。
【請求項8】
上記有機性廃棄物が下水汚泥であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の有機性廃棄物の処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物と熱媒体との間で熱交換を行う固形物用熱交換器、およびこの固形物用熱交換器を用いた有機性廃棄物の処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような固形物用熱交換器として、例えば特許文献1には、下水汚泥や畜産廃棄物などを乾留して炭化する炭化炉の後段に設けられて、炭化炉から排出された高温炭化物を冷却する冷却装置が記載されている。この特許文献1に記載された冷却装置では、スクリューコンベヤの周りに設けたジャケットに冷却水を導入してスクリューコンベヤにより搬送される高温炭化物を間接的に冷却したり、スクリューコンベヤの内部に加湿水を直接噴霧して冷却したりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−63179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように冷却された炭化物は、近年では発電施設において燃料として使用されることが多くなってきているが、特許文献1に記載された冷却装置のうち、炭化物に加湿水を直接噴霧するのでは、冷却後の炭化物に水分が残存してしまって低発熱量が低下し、燃料としての価値が損なわれてしまう。
【0005】
一方、スクリューコンベヤ式の冷却装置では炭化物がジャケットの下側に貯まって充填率が低くなるため、より多くの炭化物を冷却するのに必要な伝熱面積を確保するには複数の冷却装置が必要となり、従って大きな設置スペースが必要となる。また、スクリューコンベヤを連続的に回転駆動するために大きな駆動力が必要となるとともに、搬送される炭化物によってスクリューコンベヤのフライトやシャフト、ジャケットに摩耗が生じるおそれがあって、ランニングコストが増加することが避けられない。
【0006】
さらに、スクリューコンベヤのフライトとの接触によって炭化物が破砕されてしまって粉塵が生じるおそれもある。また、スクリューコンベアのシャフトのシール部から外気が内部に混入してしまって炭化物が発火する懸念や、逆にシール部からスクリューコンベアの内部ガスが外部に漏洩してしまう懸念もある。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたもので、高温の炭化物を冷却するような場合でも、炭化物の低発熱量の低下を招くことがなく、また小さな設置スペースで大きな伝熱面積を確保することができるとともに、少ない動力で運転可能で部品の損傷のおそれも少なく、さらには粉塵の発生や炭化物の発火、内部ガスの漏洩のおそれも少ない固形物用熱交換器、およびこの固形物用熱交換器を用いた有機性廃棄物の処理設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の固形物用熱交換器は、縦方向に延びるように設けられて内部に熱媒体が供給される筒状のシェルと、このシェル内にさらに縦方向に延びるように設けられて内部に上方から固形物が供給される伝熱管とを備え、上記伝熱管の内部の中空部に供給される上記固形物と上記伝熱管の周りの空間に供給された上記熱媒体との間で熱交換を行う固形物用熱交換器であって、上記中空部の下方の固形物出口には、熱交換された上記固形物を間欠的に排出する排出装置が設けられており、上記排出装置は、それぞれ開口部を有して縦方向に重ねられるとともに横方向に相対的に移動可能とされた一対の開閉部材を備え、これら一対の開閉部材のうち上側の開閉部材は、横方向に平行に並べられた複数の板材により構成され、これらの板材の間の部分が上側の開閉部材の上記開口部とされるとともに、上記一対の開閉部材のうち下側の開閉部材は、上記上側の開閉部材を構成する板材の平面視における幅以下の口径の穴が板状の部材に間隔をあけて形成されたものであって、これらの穴が下側の開閉部材の上記開口部とされ、これらの開閉部材の少なくとも一方が移動させられて互いの上記開口部が連通することにより、熱交換された上記固形物が排出されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の有機性廃棄物の処理設備は、有機性廃棄物を加熱して上記固形物を生成する加熱手段と、この固形物を熱交換によって冷却する本発明の固形物用熱交換器とを備えることを特徴とする。ここで、上記加熱手段は、上記有機性廃棄物を炭化する炭化炉であってもよく、また上記有機性廃棄物は下水汚泥であってもよい。
【0010】
上述のように構成された固形物用熱交換器では、縦方向に延びるシェル内にさらに縦方向に延びる伝熱管が設けられており、この伝熱管の内部の中空部内に上方から供給された固形物は、下方の固形物出口に設けられた排出装置によって下方の固形物が間欠的に排出される度に、重力によって順次降下し、その間に、中空部外のシェル内部に供給される熱媒体との間で熱交換される。
【0011】
従って、熱媒体が冷却水でも水分が直接添加されることはないので、固形物が、上述のように炭化炉等の加熱手段により加熱されて排出された下水汚泥等の有機性廃棄物の炭化物であって、燃料として用いられるものであったとしても、その低発熱量が低下することはない。また、横方向に延びるスクリューコンベア式の冷却装置と比べて設置スペースは小さくて済む上、重力によって中空部内に固形物を密に充填することができて、大きな伝熱面積を確保することができる。
【0012】
さらに、駆動力を要するのは排出装置だけで、固形物の排出は間欠的であるため、この排出装置の駆動力も少なくて済み、他に可動部がないので部品の摩耗等による損傷や固形物の破砕による粉塵の発生のおそれも少なく、ランニングコストの低減を図ることができる。しかも、外部に連通するのも中空部下方の固形物出口に設けられた排出装置を駆動するシリンダ装置のシリンダロッドのシェルへの挿入部分だけであり、同じく固形物の排出が間欠的であって短時間で済むことと、中空部の下方は冷却された固形物が充填されていることによって、外気の混入による固形物の発火や内部ガスの漏洩のおそれも少なくて済む。
【0013】
さらにまた、この排出装置は、それぞれ開口部を有して縦方向に重ねられるとともに横方向に相対的に移動可能とされた一対の開閉部材を備えたものであり、これらの開閉部材の少なくとも一方が移動させられて互いの上記開口部が連通することにより、熱交換された上記固形物が排出されるようにすることで、一層少ない駆動力で固形物を排出することが可能となる。
【0014】
また、このような排出装置において、一対の開閉部材を横方向に相対的に移動可能とするには、例えばこれらの開閉部材を縦方向に延びる回転軸回りに相対的に回転させて移動させることも可能であるが、この場合には、複数の開口部を回転軸から異なる距離で設けると開口部の移動量も異なるものとなるために開口部の配置が複雑となる。そこで、上記一対の開閉部材は横方向に直線的にスライドさせられて相対的に移動可能とされるのが望ましい。
【0015】
さらに、上記構成の排出装置にあっては、縦方向に重ねられる上記一対の開閉部材のうち上側の開閉部材の上部に、この上側の開閉部材の上記開口部に向かうに従い下方に向けて傾斜する傾斜面を設けることにより、固形物の排出時にはこの傾斜板に沿って固形物を案内して円滑に排出することが可能となる。
【0016】
一方、上記シェル内の上部には、上記中空部に供給される上記固形物が貯留される貯留室を設けるとともに、この貯留室内における上記固形物の貯留量に基づいて上記排出装置による上記固形物の排出を制御する制御装置を備えることにより、固形物の排出を自動化することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、高温の炭化物を冷却して燃料として使用するような場合でもその低発熱量を低下させることがなく、小さな設置スペースで大きな伝熱面積を確保することができるとともに、少ない駆動力で運転可能であって部品の損傷のおそれも少ないため、ランニングコストの削減を図ることができ、さらには粉塵の発生や炭化物の発火、内部ガスの漏洩も抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の固形物用熱交換器の一実施形態を示す断面図である。
図2図1に示す実施形態における排出装置の固形物貯留時の(a)断面図、(b)平面図である。
図3図1に示す実施形態における排出装置の固形物排出時の(a)断面図、(b)平面図である。
図4図1に示す実施形態における排出装置の下側の開閉部材の平面図である。
図5図1に示す実施形態の固形物用熱交換器を冷却装置として用いた有機性廃棄物の処理設備の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1ないし図4は、本発明の固形物用熱交換器の一実施形態を示すものであり、図5は、この実施形態の固形物用熱交換器を用いた有機性廃棄物の処理設備の一実施形態を示すものである。本実施形態の有機性廃棄物の処理設備は、有機性廃棄物を加熱して固形物を生成する加熱手段と、この固形物を熱交換によって冷却する冷却装置とを少なくとも備えており、この冷却装置として上記実施形態の固形物用熱交換器が用いられている。なお、以下に示す実施形態の説明は、本質的な例示に過ぎず、本発明、その適用、あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
より具体的に、有機性廃棄物は下水汚泥であり、加熱手段はこの下水汚泥を炭化する炭化炉である。図5に示すように、下水汚泥は供給装置によってまず乾燥機に供給されて乾燥させられ、次いで造粒機によって所定の大きさの粒子状に造粒させられる。さらに、こうして造粒された乾燥下水汚泥の粒子は、炭化炉において炭化温度が250℃から500℃、望ましくは炭化温度が250℃から350℃で、いわゆる低温炭化されて炭化物とされた後、異物除去装置に供給される。
【0021】
この異物除去装置は、櫛状の篩のような構造をしており、櫛の隙間を通過する炭化物(固形物)は冷却装置、すなわち本実施形態の固形物用熱交換器に供給されて冷却(熱交換)され、これよりも大きな異物や塊状の炭化物は除去される。また、冷却装置によって冷却された炭化物は、ホッパ等の貯留装置に一旦貯留された後、例えば火力発電施設に搬出されて燃料として使用される。
【0022】
本実施形態の固形物用熱交換器は、図1に示すように鉛直縦方向に延びるように設けられた鋼材等からなる円筒状のシェル1を備えている。このシェル1の上端部は上方に向かうに従い漸次縮径する円錐台面状とされて、その上端には熱交換前の固形物(上記実施形態の処理設備では、炭化炉において加熱されて炭化させられ、異物除去装置において異物や塊状のものが除去された高温の粒状炭化物)が供給される固形物供給口2が形成される。一方、シェル1の下端部は下方に向かうに従い漸次縮径する円錐台面状とされて、その下端には熱交換された固形物(冷却された粒状炭化物)が排出される固形物排出口3が形成されている。
【0023】
また、シェル1内部の円筒状部分の上下端部寄りには、それぞれ管板1aがシェル1の内壁面を液密に覆うように設けられている。これらの管板1aには、平面視において互いに同じ位置に同径の多数の丸穴が開けられており、上下の管板1aの対応する位置の丸穴には縦方向に延びる円管状の伝熱管4の上下端が液密に取り付けられていて、これらの伝熱管4の内部が、固形物が充填される中空部4aとされる。
【0024】
さらに、シェル1の下側の管板1aの僅かに上方にはシェル1内に冷却水等の熱媒体を供給する熱媒体供給口5が設けられるとともに、シェル1の上側の管板1aの僅かに下方にはこの熱媒体を排出する熱媒体排出口6が設けられており、熱媒体供給口5からシェル1内の上下の管板1a間における伝熱管4の周りの空間に供給された熱媒体が、上記中空部4aに充填された固形物との間で伝熱管4を介して熱交換(上記実施形態の処理設備では高温の粒状炭化物の冷却)を行い、熱媒体排出口6から排出される。
【0025】
また、シェル1内の上部における上側の管板1aと、固形物供給口2との間の空間は、上記固形物供給口2から供給された固形物が一時的に貯留される貯留室7となる。後述するように中空部4aに充填された固形物が下方から抜き出されることにより、この貯留室7に貯留された固形物が中空部4a内に落下して流入し、中空部4aに上方から充填されてゆく。さらに、この貯留室7には、該貯留室7内に貯留された固形物の貯留量を検出する検出手段8が備えられている。本実施形態における検出手段8は、上下に間隔をあけて設けられた複数のレベル計であって、貯留室7に貯留された固形物の高さを測定することによって貯留量を検出する。
【0026】
一方、シェル1内の下部における下側の管板1aの下方の空間には、上記中空部の下方の固形物の出口とシェル1からの上記固形物排出口3との間に排出装置9が設けられており、熱交換された固形物はこの排出装置9によって間欠的に排出されるようになされている。ここで、本実施形態における排出装置9は、それぞれ開口部10a、11aを有して縦方向に重ねられるとともに横方向に相対的に移動可能とされた一対の開閉部材10、11を備え、これらの開閉部材10、11の少なくとも一方が移動させられて互いの開口部10a、11aが連通することにより、固形物が排出されるようにされている。
【0027】
これら一対の開閉部材10、11のうち、本実施形態では上側の開閉部材10がシェル1内に固定されていて、下側の開閉部材11が横方向に直線的にスライドさせられることにより、両開閉部材10、11が横方向に相対的に移動可能とされている。この上側の開閉部材10は、平面視において図2(b)および図3(b)に示すように、互いに等しい幅とされて横方向に等間隔に平行に並べられた複数の板材10bにより構成され、これらの板材10bの間の部分が、上側の開閉部材10の上記開口部10aとされる。
【0028】
また、この上側の開閉部材10を構成する上記板材10bは、縦断面においては図2(a)および図3(a)に示すように逆V字状をなしており、これによって上側の開閉部材10の上部には、この上側の開閉部材10の上記開口部10aに向かうに従い下方に向けて傾斜する傾斜面10cが形成される。また、シェル1の内壁面にも、内周側に向かうに従い下方に向けて傾斜するすり鉢状の傾斜面1bが形成されている。
【0029】
さらに、一対の開閉部材10、11のうち下側の開閉部材11は、図4に示すように円板状の部材に多数の同径の丸穴が間隔をあけて形成されたものであって、これらの丸穴が下側の開閉部材11の開口部11aとされる。これらの開口部11aは、その直径が、上側の開閉部材10を構成する板材10bの平面視における幅以下とされて、図2(b)および図4に示すように上側の開閉部材10の複数の開口部10aの間隔と等しい間隔の複数の列をなすように形成されている。また、隣接する開口部11aの列の間の幅は、上側の開閉部材10の開口部10aの幅以上とされている。なお、下側の開閉部材11に形成される開口部11aは、丸穴に限らず、多角形の孔などでも良く、また、その口径も同一に限定されることなく、異形であっても良い。
【0030】
このような下側の開閉部材11は、その開口部11aがなす上記複数の列が延びる向きを上側の開閉部材10の開口部10aが延びる向きと平行にして、平面視においてこれらの向きに直交する横方向(図2および図3における左右方向)に、その上面を断面逆V字状に形成された上側の開閉部材10の板材10bの下端縁と僅かな隙間を有するか、若しくは摺接させながら、シェル1の外部に設けられたシリンダ装置12によってスライド可能に取り付けられている。シリンダ装置12としては電動シリンダ、エアシリンダ、油圧シリンダ等が使用可能であり、シリンダロッドのシェル1への挿通部分はシールされている。
【0031】
ここで、排出装置9が閉じられた状態では図2に示すように、下側の開閉部材11の開口部11aが上側の開閉部材10の上記板材10bと重ね合わされるとともに、上側の開閉部材10の開口部10aには下側の開閉部材11の開口部11aの列の間の部分が重ね合わされて閉鎖されており、熱交換されて中空部4aから落下した固形物はこれらの開閉部材10、11の上に堆積して貯留されることにより中空部4aの下端にまで達し、さらにその上に中空部4a内の固形物が充填されることになる。
【0032】
そして、この状態からシリンダ装置12によって下側の開閉部材11をスライドさせると、図3に示すように下側の開閉部材11の開口部11aの列が上側の開閉部材10の開口部10aと重ね合わされて連通することにより開放され、開閉部材10、11上に貯留されていた固形物が固形物排出口3から排出されて上記貯留装置に貯留されるとともに、中空部4a内下部の固形物が落下して下方に抜き出される一方、シェル1上部の貯留室7からは上述のように貯留された固形物が中空部4a内に流入し、上方から充填される。
【0033】
こうして所定量の固形物が排出された後は、シリンダ装置12によって下側の開閉部材11を逆向きにスライドさせて元の位置に戻すことにより開口部10a、11aは閉鎖され、中空部4a内下部の熱交換された固形物は開閉部材10、11上に堆積して貯留されるとともに、中空部4a内上部にあった固形物は下部に落下して貯留室7から流入した固形物とともに中空部4a内に充填され、伝熱管4の周りに供給された熱媒体との間で熱交換させられる。
【0034】
なお、このようなシリンダ装置12による排出装置9の開閉は、作業者が手動で間欠的に行うことも可能であるが、本実施形態ではシェル1内上部の貯留室7に備えられた検出手段8によって貯留室7内の固形物の貯留量を検出し、これに基づいて図示されないコンピュータ等の制御手段により制御することができる。
【0035】
具体的には、上下に間隔をあけて貯留室7に設けられた本実施形態における検出手段8としての複数のレベル計により、貯留室7内の固形物の高さを測定して貯留量を検出し、上側のレベル計で測定される高さまで固形物が貯留されたときに排出装置9を開放して固形物を排出するとともに、これによって貯留室7内の固形物の貯留量が減って下側のレベル計で測定される高さ以下まで貯留された固形物が減少したときに排出装置9を閉鎖して固形物の排出を終了することにより、固形物を間欠的に排出するように制御すればよい。
【0036】
なお、レベル計に代えて、上下に間隔をあけて設けられた複数の温度計を検出手段8とし、固形物高さを測定して貯留量を検出することもできる。固形物が高温の粒状炭化物固形物である場合、温度計の設置高さまで固形物が貯留されると、この温度計により測定される貯留室7内または貯留室7の壁面の温度が上昇するため、上側の温度計が所定の設定温度となったところで排出装置9から固形物を排出し、下側の温度計が所定の設定温度以下まで低下したところで排出装置9を閉鎖して固形物の排出を終了すればよい。さらに、レベル計または温度計を貯留室7内での排出装置9による固形物排出開始高さに対応した1箇所に設置し、このレベル計または温度計で貯留量を検出して排出装置9により固形物を所定の時間排出するように制御手段によって制御することも可能である。
【0037】
このように、上記構成の固形物用熱交換器では、シェル1内上部の貯留室7に供給された固形物は、熱交換された固形物が排出装置9によって下部から排出されることにより伝熱管4内部の中空部4aに流入し、固形物が間欠的に排出される度に重力によって中空部4a内を降下して、その間に熱媒体により伝熱管4を介して間接的に熱交換され、中空部4aの下部から抜き出されて排出装置9から排出される。従って、固形物と熱媒体が直接接することがないので、熱媒体が冷却水であり、固形物が上述のように燃料に使用される下水汚泥等の有機性廃棄物の炭化物であっても、燃料としての低発熱量が低下することはない。
【0038】
また、縦方向に延びるシェル1内に同じく縦方向に延びる伝熱管4が設けられ、その内部の中空部4aに固形物が充填されて熱交換されるので、横方向に延びるスクリューコンベア式の冷却装置などと比べて平面視における設置スペースは少なくて済み、省スペース化を図ることができる。その一方で、中空部4a内には重力によって固形物を密に充填することができるので、伝熱管4を介して固形物と熱媒体との間に大きな伝熱面積を確保することができ、効率的な熱交換を行うことができる。
【0039】
さらに、固形物は上述のように重力によって中空部4a内を降下するうちに熱交換されるため、駆動力を要するのは排出装置9だけであり、しかも固形物の排出は間欠的であるので、少ない駆動力で熱交換を行うことができる。特に上記処理設備では、大きな異物や塊状の炭化物は異物除去装置によって除去されるので、降下中に固形物が中空部4a内で詰まりを生じるようなこともない。また、この排出装置9以外には可動部がないため、固形物との摺接により可動部の部品が摩耗して損傷するおそれも少なく、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0040】
さらにまた、シェル1内で外部に連通するのは、中空部4aの下方の固形物出口と固形物排出口3との間に設けられた排出装置9を駆動するシリンダ装置12のシリンダロッドのシェル1への挿通部分だけである。さらに、この排出装置9による固形物の排出は間欠的であって、しかも開閉に要する時間も短時間であるので、外気がシェル1内に混入して固形物が発火したり、逆にシェル1内の内部ガスが外部に漏洩するおそれも少ない。さらに、上述のように可動部が少ないため、可動部との接触により固形物が破砕されて粉塵が発生したりすることも少なく、従って周囲の環境への汚染も抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上記排出装置9が、縦方向に重ねられて横方向に相対的に移動可能とされた上下一対の開閉部材10、11を備え、これらの開閉部材10、11に形成された開口部10a、11aを、開閉部材10、11の少なくとも一方を移動させることで連通させることにより、排出装置9を開放して固形物を排出することができる。このため、排出装置9が閉鎖された状態での開口部10a、11aを平面方向において近接するように配置しておくことにより、少ない移動量で排出装置9を開閉することができるので、一層の駆動力の低減を図ることができる。
【0042】
その一方で、排出装置9が閉鎖された状態では、開閉部材10、11の互いの開口部10a、11aが、縦方向に重ねられた他方の開閉部材11、10により封止されるので、固形物の落下や内部ガスの漏洩などを抑制することができる。なお、本実施形態では、一対の開閉部材10、11のうち上側の開閉部材10はシェル1内に固定しておいて、下側の開閉部材11を横方向に移動可能としているが、例えば上側の開閉部材10に傾斜面10cが形成されていない場合などには、下側の開閉部材11を固定しておいて上側の開閉部材10を移動可能としてもよく、さらに一対の開閉部材10、11の双方を移動可能としてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態の排出装置9では、これら一対の開閉部材10、11が横方向に直線的にスライドさせられて相対的に移動可能とされている。しかるに、この点、例えば一対の開閉部材10、11の少なくとも一方をその中心線回りに回転させて横方向に相対移動させることにより、互いの開口部10a、11aを連通させて固形物を排出し、また他方の開閉部材11、10によって封止することも可能ではあるものの、この場合には、中心線からの距離によって開閉部材10、11の移動量が異なるものとなるため、この距離の異なる位置に複数の開口部10a、11aを形成しようとすると、その配置が複雑となるので、本実施形態のように横方向に直線的にスライドさせられて相対移動可能とされるのが望ましい。
【0044】
さらにまた、本実施形態では、縦方向に重ねられた上記一対の開閉部材10、11のうち上側の開閉部材10は断面逆V字状の板材10bにより構成されていて、これにより開閉部材10の上部には、この開閉部材10の開口部10aに向かうに従い下方に向けて傾斜する傾斜面10cが形成される。従って、固形物を排出する際には、この傾斜面10cに沿って固形物が開口部10aに案内され、さらに下側の開閉部材11の開口部11aから排出されるので、円滑な固形物の排出を促すことが可能となる。また、シェル1の内壁面にも傾斜面1bが形成されているので、この内壁面と開閉部材10、11とが交差する隅部に固形物が滞留するのを防いで、やはり円滑な排出を促すことができる。
【0045】
また、シェル1の上部には、固形物供給口2から供給されて中空部4aに充填される固形物が一旦貯留される貯留室7が設けられており、本実施形態では上述のように、この貯留室7における固形物の貯留量に基づいて、上記制御装置により排出装置9による固形物の排出が制御可能とされている。このため、固形物の排出を自動化することができるのは勿論、中空部4a内に常に一定量の固形物を充填しておくことができ、こうして充填された固形物により、内部ガスの漏洩や外気の流入を抑制することができる。
【0046】
一方、本実施形態の有機性廃棄物の処理設備においては、上記構成の固形物用熱交換器を、加熱手段によって加熱された固形物を冷却する冷却装置として用いることにより、省スペースかつ省エネルギーで低ランニングコストでありながら効率的な冷却を図ることができる。特に、有機性廃棄物が下水汚泥であり、また加熱手段がこのような有機性廃棄物を炭化する炭化炉である場合に、冷却した炭化物を燃料として用いるときに低発熱量が低下することがなく、さらに粉塵の発生や炭化物の発火、臭気を有する内部ガスの漏洩を抑制することができるので、効果的である。
【0047】
ただし、本実施形態の処理設備では、このように下水汚泥を炭化炉で炭化した炭化物の冷却に上記構成の固形物用熱交換器を用いているが、本発明の固形物用熱交換器はこれ以外の処理設備において固形物の熱交換に用いることも勿論可能であるし、冷却ではなく、固形物の加熱に用いることも可能である。また、中空部4aは伝熱管4の内部ではなくても、例えばシェル1内を複数の縦壁で仕切って複数の空間を形成し、そのうち一部を中空部とするとともに残りに熱媒体を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 シェル
2 固形物供給口
3 固形物排出口
4 伝熱管
4a 中空部
5 熱媒体供給口
6 熱媒体排出口
7 貯留室
8 検出手段
9 排出装置
10、11 開閉部材
10a、11a 開口部
10c 傾斜面
12 シリンダ装置
図1
図2
図3
図4
図5