(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに分離された一連の部材に紐状体が順に挿通され、これら一連の部材のうちの一端部に位置する部材に前記紐状体の一端部が係止され、他端部に位置する部材から外部に出る前記紐状体の部分に、当該紐状体を前記他端部に位置する部材に係止する留め具が取り付けられており、当該留め具は、操作により前記紐状体に沿って移動させることも、当該紐状体に固定することも可能である部材連結体を、ハンガー本体に含み、
前記紐状体を前記他端部に位置する部材から引き出し、当該紐状体に張力を付与した状態で、前記留め具を前記他端部に位置する部材に当接させることにより、当該ハンガー本体の形状を、衣服を掛けるのに適した形状に維持することが可能なハンガー。
前記紐状体は、当該紐状体の一端部から遠い方へ留め具を移動させることにより、前記部材の列を互いに屈曲自在な状態にすることが可能なほどに、十分な長さを有する、請求項1に記載のハンガー。
前記ハンガー本体は、一方の端部に位置する部材を前記一連の部材のうち前記一端部に位置する部材とし、他方の端部に位置する部材を前記一連の部材のうち前記他端部に位置する部材として、前記部材連結体をなしている、請求項1又は2に記載のハンガー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、ハンガーの腕が適度に端下がりとなるように、ハンガー本体の形状を変えることのできるハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、ハンガーであって、互いに分離された一連の部材に紐状体が順に挿通され、これら一連の部材のうちの一端部に位置する部材に前記紐状体の一端部が係止され、他端部に位置する部材から外部に出る前記紐状体の部分に、当該紐状体を前記他端部に位置する部材に係止する留め具が取り付けられており、当該留め具は、操作により前記紐状体に沿って移動させることも、当該紐状体に固定することも可能である部材連結体を、ハンガー本体に含んでいる。そして、前記紐状体を前記他端部に位置する部材から引き出し、当該紐状体に張力を付与した状態で、前記留め具を前記他端部に位置する部材に当接させることにより、当該ハンガー本体の形状を、衣服を掛けるのに適した形状に維持することが可能となっている。
【0007】
この構成によれば、ハンガーの利用者は、ハンガー本体に含まれる一連の部材のうちの他端部に位置する部材から引き出すように紐状体を引張り、当該紐状体に張力を付与することにより、一連の部材を同時に互いに引き寄せることができ、それにより、ハンガー本体を、衣服を掛けるのに適した本来の形状にすることができる。この状態で、一連の部材のうちの他端部に位置する部材に留め具を当接させることにより、ハンガー本体を前記の形状に維持することができる。また、着衣や脱衣の際等において、紐状体の一端部から遠い方へ留め具を適度に移動させることにより、紐状体を適度に緩めることができ、それにより、ハンガーの腕を端下がりにすることも可能である。それにより四十肩などにより肩の動きが自由でない利用者の負荷を軽減して、着衣及び脱衣を容易なものとすることができる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るハンガーであって、前記紐状体は、当該紐状体の一端部から遠い方へ留め具を移動させることにより、前記一連の部材を互いに屈曲自在な状態にすることが可能なほどに、十分な長さを有するものである。
【0009】
この構成によれば、紐状体の一端部から遠い方へ留め具を十分に移動させることにより、一連の部材を互いに屈曲自在な状態にして、収納及び携行を容易なものとすることが可能である。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1又は第2の態様に係るハンガーであって、 前記ハンガー本体は、ハンガーの両腕と当該両腕の間に挟まれる中間部材とを、互いに分離された形態で含んでいる。そして、前記中間部材と一方の腕とが、当該中間部材を前記他端部に位置する部材とする前記部材連結体である第1の部材連結体をなしている。同様に、前記中間部材と他方の腕とが、当該中間部材を前記他端部に位置する部材とする前記部材連結体である第2の部材連結体をなしている。さらに、前記第1の部材連結体に対応する第1の紐状体と、前記第2の部材連結体に対応する第2の紐状体の双方が、前記中間部材から外部に出ている。
【0011】
この構成によれば、留め具が両腕の間に位置することとなるので、衣服を掛けた状態で、留め具を操作することが容易である。例えば、衣服を掛けた後に紐状体の緊張を強めたり、衣服をハンガーから外して着衣するときに、紐状体の緊張を緩めたりすることが容易に行い得る。なお、留め具は、第1及び第2の紐状体の双方の部分に個別に取り付けられるように2個の留め具に分割されていてもよく、一体化されたものであってもよい。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第3の態様に係るハンガーであって、前記中間部材から外部に出ている前記第1及び第2紐状体が、互いに連結されているものである。
【0013】
この構成によれば、中間部材から出て一続きの環状となっている紐状体のうち、中間部材から最も遠い端部を、中間部材から離れるように引張ることにより、両腕のそれぞれを連結する第1及び第2紐状体を同時に緊張させることができる。
【0014】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第4の態様に係るハンガーであって、前記第1及び第2紐状体は、前記中間部材の頂部から外部に出ているものである。
【0015】
この構成によれば、中間部材の頂部から出て一続きの環状となっている紐状体を、例えば壁の吊り下げ金具に掛けることにより、ハンガーを吊り下げることが可能となる。また、環状となっている紐状体に、例えば壁掛け用の鉤状の金具を取り付けることも可能となる。
【0016】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1又は第2の態様に係るハンガーであって、前記ハンガー本体が、一方の端部に位置する部材を前記一連の部材のうち前記一端部に位置する部材とし、他方の端部に位置する部材を前記一連の部材のうち前記他端部に位置する部材として、前記部材連結体をなしているものである。
【0017】
この構成によれば、紐状体とこれに取り付けられる留め具とを操作することにより、複数の部材に分割された本体部の形状を一度に変えることが可能である。
【0018】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第1又は第2の態様に係るハンガーであって、前記ハンガー本体は、ハンガーの両腕と当該両腕の間に挟まれる中間部材とを、互いに分離された形態で含んでいる。そして、前記中間部材と一方の腕とが、当該中間部材を前記一端部に位置する部材とする前記部材連結体である第1の部材連結体をなしている。同様に、前記中間部材と他方の腕とが、当該中間部材を前記一端部に位置する部材とする前記部材連結体である第2の部材連結体をなしている。さらに、前記第1の部材連結体に対応する第1の紐状体が、前記一方の腕の端部に位置する部材から外部に出ており、前記第2の部材連結体に対応する第2の紐状体が、前記他方の腕の端部に位置する部材から外部に出ている。
【0019】
この構成によれば、第1及び第2の紐状体とこれらに取り付けられる留め具とを操作することにより、ハンガー本体のうち、一方の腕を含む部分の形状と、他方の腕を含む部分の形状とを、個別に変えることが可能である。
【0020】
本発明のうち第8の態様に係るものは、第1ないし第7のいずれかの態様に係るハンガーであって、前記部材連結体の一連の部材は、互いに面で接触する形状を有するものである。
【0021】
この構成によれば、紐状体を緊張させたときに、本体部が定められた形状となる。
【0022】
本発明のうち第9の態様に係るものは、第1ないし第7のいずれかの態様に係るハンガーであって、前記部材連結体の一連の部材は、実質的に紐状体の周囲でのみ互いに接触する形状を有するものである。
【0023】
この構成によれば、紐状体を緊張させ、ハンガー本体に衣服を掛けたときに、重みによりハンガー本体の腕が端下がりの自然な形状となる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、腕が適度に端下がりとなるように、ハンガー本体の形状を変えることのできるハンガーが実現する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態によるハンガーの構成を示す正面図である。このハンガー101は、左腕1と、右腕2と、それらの中間に位置する中間部材3と、紐4,5と、紐4,5にそれぞれ取り付けられた留め具6,7と、中間部材3の頂部に取り付けられたフック8とを含んでいる。左腕1と右腕2における「左」及び「右」の名称は、両者を区別するために便宜的に付しているに過ぎない。両腕1、2及び中間部材3は、衣類を掛けるためのハンガー本体を構成する。
【0027】
左右の腕1,2は、中間部材3から切り離された部材である。さらに左右の腕1,2は、いずれも、互いに切り離された複数の部材に分割されている。
図1に示す例では、左腕1は、腕部材11〜17からなる7個の部材に分割されており、同様に、右腕2は、腕部材21〜27からなる7個の部材に分割されている。中間部材、腕部材11〜17、及び腕部材21〜27は、例えば、木製あるいは合成樹脂製である。
【0028】
左腕1の端部に位置する腕部材17には、紐4の一端部が係止されている。残る腕部材11〜16には、紐4の通路をなす貫通孔(図示略)が形成されており、中間部材3にも、紐4が貫通する通路が形成されている。中間部材3から正面に出ている紐4を引き出し、張力を加えることにより、中間部材3及び腕部材11〜17を、
図1に示すような本来のハンガー本体の形状とすることができる。紐4に取り付けられた留め具6を、紐4に沿って中間部材3に当接するまで移動させ、さらに、紐4に固定されるように紐4を捕捉させることにより、紐4が中間部材3の貫通通路へ逆戻りすることを妨げ、それにより中間部材3及び腕部材11〜17を
図1に示す形状に維持することができる。
【0029】
中間部材3及び腕部材21〜27についても、紐5及び留め具7を同様に操作することにより、
図1に示す形状に維持することができる。この状態において、ハンガー101は、衣服を掛ける用途に使用することが可能となる。このように、留め具6,7は、紐4,5の緊張を維持する係止部材として機能するものである。中間部材3から正面に出ている紐4,5の端部には、留め具6,7が紐4,5から抜け落ちることを防止するための抜け止め41,51が取り付けられている。
【0030】
紐4,5に沿った留め具6,7の固定位置を調節することにより、紐4,5の緊張を適度に調節することも可能である。例えば着衣や脱衣の際に、紐6,7を適度に緩めることにより、腕1及び2を端下がりにすることが可能となる。それにより、四十肩などにより肩の動きが自由でない利用者が、着衣及び脱衣を容易に行うことが可能となる。
【0031】
図2は、ハンガー101について、紐4,5を緩めた状態を示す斜視図である。留め具6,7による紐4,5の捕捉を手操作により解除することにより、紐4,5を緩めることができる。
図2に示すように、留め具6を抜け止め41に当接するまで移動させたときには、腕部材11〜17及び中間部材3は、紐4により互いに連結状態を維持しつつも、互いに屈曲自在となる。
【0032】
紐4は、腕部材11〜16に形成された貫通孔111,121等を移動可能であり、中間部材3に形成された貫通通路をも移動可能である。腕1の端部に位置する腕部材17にも、紐4を挿通させるための貫通孔171が形成されている。紐4の端部は、貫通孔171の内部または貫通孔171の端部側開口部(図示略)にて、接着剤(図示略)あるいは紐4の結び目(図示略)等により、腕部材17に係止される。腕部材11〜17は、各々が紐4の周りに回転しても腕1の形状に影響しないように、紐4を挿通させる貫通孔111、121、171等の周りに回転対称となる形状に形成されている。
【0033】
図2には更に、中間部材3に形成された、紐4のための貫通通路の一部をなす孔32及び34、及び紐5のための貫通通路の一部をなす孔35が示されている。紐5及び留め具6についても、同様に操作することにより、図示を略する腕部材21〜27及び中間部材3を、互いに屈曲自在とすることができる。それにより、ハンガー101は、収納や携行に適したものとなる。なお
図2では、腕部材11及び12を便宜上、紐4に沿った上方に浮いたように描いているが、ハンガー101を
図2のように吊り下げたときには、腕部材11〜16は、本来は重力の作用により、腕1の端部に位置する腕部材17の上に積み重なるべきものである。
【0034】
図3は、ハンガー101の中間部材3の構造を示す図である。
図3(a)は、中間部材3について、一部を切除して斜め上方から見た形状を示す斜視図であり、
図3(b)は斜め下方からみた外観を示す斜視図である。中間部材3は、一例として立体台形状ないし四角錘台状であり、底面に開口する有底の孔31が形成されている。着衣及び脱衣時の衣服の滑らかな動きを妨げないように、中間部材3の角部は丸みを持つように形成されるのが望ましい。
図3に示す例では、孔31は、加工が容易な円柱状の窪みである。中間部材3の左側壁には孔32が形成され、正面壁には孔34、35が形成され、右側壁には孔33が形成されている。これらの孔32〜35は、中間部材3の内部において、いずれも孔31の側壁面に開口している。紐4(
図2参照)は、孔32、31及び34を貫通通路とし、紐5(
図2参照)は、孔33、31及び35を貫通通路とする。
【0035】
中間部材3の上面壁中央、すなわち孔31の底壁中央には、この底壁を貫通する孔36が垂直に形成されており、この孔36にフック8の直線状の脚部が挿通されている。孔31に侵入するフック8の下端部には、抜け止め81が固定され、それによりフック8が中間部材3から外れないようになっている。フック8は例えば金属製であり、抜け止め81とフック8の針金状の本体部とは、例えば蝋付け、或いは溶接により固着されている。抜け止め81を設けずに、フック8の針金状の下端部を折り曲げることにより、抜け止めとして機能させることも可能である。抜け止め81を有するフック8を中間部材3に取り付けるには、例えば、直線状の針金の一端部に抜け止め81を固着し、他端部を孔36に下方から挿入し、さらに孔36の上方に引き上げ、その後に、孔36の上方に出ている針金をフック8の形状に曲げるとよい。
【0036】
図4は、ハンガー101の腕1の端部に位置する腕部材17の構造を示す部分切断斜視図である。
図4の例では、腕部材17は略円錐形に形成され、さらに、中心軸に沿って貫通孔171及び172が形成されている。略円錐形の頂部は、衣服の滑らかな動きを妨げないように、丸みを持つように形成されている。貫通孔171は、腕部材17の中間部材3に近い側に開口し、貫通孔172は遠い側に開口している。貫通孔171は、他の腕部材11、12等の貫通孔111、121(
図2参照)等と同様に、紐4が挿通可能な程度の径を有するように形成される。貫通孔172は、貫通孔171よりも大きい径を有するように形成される。紐4の端部は貫通孔171に、中間部材3に近い側から挿入され、貫通孔171を通り抜けた紐4の端部には結び目43が形成される。結び目43が貫通孔172内に納まり、貫通孔171の開口端縁に当接することにより、紐4の端部が腕部材17に係止される。
【0037】
図5は、留め具6及び7を代表して、留め具6の構造を示す部分切断正面図である。
図5に例示する留め具6は、「コードストッパー」の名称で知られる周知の器具である。この留め具6は、シリンダ61、可動部65、及びスプリング64を含んでいる。有底であるシリンダ61の空洞62の底面には、スプリング64の一端が固定されている。可動部65は、円筒状の空洞62に摺動可能に挿入された円柱状部66と、円柱状部66の上面に固定された円盤状の押しボタン68とを含んでいる。スプリング64の他端は、円柱状部66の底面に固定されている。
【0038】
シリンダ61の側壁のうち、径方向に向き合う関係にある2箇所に、貫通孔63が径方向に形成されている。また、円柱状部66には、貫通孔67が径方向に形成されている。これらの貫通孔63及び67は、スプリング64がある程度収縮するように可動部68を押し下げたときに、互いに重なり合うように形成される。紐4は、貫通孔63及び67に挿通される。可動部68を押し下げると、留め具6は紐4の捕捉を解除するので、留め具6を紐4に沿って移動させることが可能となる。可動部68を手から離して自由にすると、可動部38は、スプリング64の弾性復元力により押し上げられ、貫通孔63と貫通孔67の位置がずれる。それにより、紐4が留め具6に捕捉される。すなわち、留め具6が紐4に固定されることとなる。
【0039】
図1に戻って、中間部材3の正面から出ている紐4及び5の端部を互いに結ぶことにより、1本の紐を成すように連結してもよい。あるいは、紐4及び5として、一本の紐を使用しても良い。この場合、中間部材3の正面から出て、一続きの環状となって垂れ下がる紐4及び5の下端部を引張ることにより、両腕1及び2のそれぞれを連結する紐4および5の部分を、同時に緊張させることができる。また、抜け止め41及び51が無くても、留め具6及び7が、紐4及び5から抜け落ちる恐れがない。なお、抜け止め41及び51は、例えば、
図4に示した腕部材17と同要領で、紐4及び5をそれぞれ係止する。
【0040】
図6は、本発明の別の実施の形態によるハンガーの構成を示す正面図である。このハンガー102では、中間部材3の正面から出ている紐4及び5に、留め具6Aが取り付けられている。留め具6Aは、2本の紐4及び5を同時に捕捉及び捕捉解除可能に構成されている。かかる機能を有する留め具6Aも、コードストッパーの名により市販されており、すでに周知の器具である。ハンガー102では、留め具6Aの操作を、紐4及び5について、個別に行う必要がないので、取扱いがさらに容易となる。留め具6Aに形成される紐4及び5を挿通させる孔が、紐4用と紐5用とに分離されている場合には、抜け止め41及び51を除去して、紐4及び5の端部を互いに連結するだけで、あるいは紐4および5を1本の紐とするだけで、留め具6Aの抜け落ちを防ぐことができる。
【0041】
図7は、本発明のさらに別の実施の形態によるハンガーの構成を示す正面図である。このハンガー103は、紐4及び5に代えて、1本の紐9が用いられる。紐9の一端部は、腕1の端部に位置する腕部材17に係止されている。腕1を貫通する紐9は、中間部材3Aを左右方向に貫通し、さらに腕2Aを貫通し、腕2Aの端部に位置する腕部材27Aの端部から外部に現れる。腕部材27Aの外部に出ている紐9の部分には、留め具7が取り付けられ、さらに紐9の他端には抜け止め91が取り付けられている。
【0042】
紐9の一端部は、一例として
図4に示した形態と同様に、紐9自身の結び目93により、腕部材17に係止されている。中間部材3Aには、中間部材3(
図3)において、貫通孔34及び35が形成されないものが、一例として採用される。また、抜け止め91には、一例として抜け止め41(
図1)と同一のものが採用される。腕部材27Aには、一例として、円筒状の留め具7を受け入れるための略半円柱状の溝が、端部に形成されている。
【0043】
ハンガー103は、腕部材27Aの端部から出ている紐9を引き出し、張力を加えることにより、中間部材3A及び腕1、2Aを同時に、
図6に示すような本来のハンガー本体の形状とすることができる。留め具7を、紐9に沿って腕部材27Aの端部の溝に当接するまで移動させ、さらに、紐9に固定されるように紐9を捕捉させることにより、中間部材3A及び腕1、2Aを
図6に示す形状に維持することができる。留め具7による紐9の捕捉を手操作により解除することにより、紐9を緩めることができる。それにより、腕1及び2Aを構成する多数の腕部材及び中間部材3Aを、互いに屈曲自在とすることが可能である。また、紐6の緊張を適度に緩めることにより、腕1及び2Aを同時に端下がりとすることも可能である。
【0044】
以上のように、ハンガー103によれば、1本の紐9及び1個の留め具7を操作することにより、腕1及び2Aの双方の形状を同時に変えることが可能である。また、腕1、中間部材3A及び腕2Aを貫通する紐9の形状が直線に近く、強い折れ曲がりがない。このため、紐9を緊張させるときに、折れ曲がり部による摩擦抵抗が比較的低く、余分な力を要しない。
【0045】
図8は、本発明のさらに別の実施の形態によるハンガーの構成を示す正面図である。このハンガー104は、
図7に示したハンガー103において、1本の紐9が2本の紐4及び5に分離された形態をなしている。紐4は、その一端部が中間部材3Aに係止され、腕1Aを貫通し、腕1Aの端部に位置する腕部材17Aの端部から外部に現れる。腕部材17Aの外部に出ている紐4の部分には、留め具6が取り付けられ、さらに紐4の他端には抜け止め41が取り付けられている。同様に、紐5は、その一端部が中間部材3Aに係止され、腕2Aを貫通し、腕2Aの端部に位置する腕部材27Aの端部から外部に現れる。腕部材27Aの外部に出ている紐5の部分には、留め具7が取り付けられ、さらに紐5の他端には抜け止め51が取り付けられている。
【0046】
中間部材3Aは、一例として、
図3に示した中間部材3において貫通孔34及び35の形成を略した形状を有する。紐4の一端部は、一例として紐4自身の結び目45が、中間部材3Aの貫通孔32(
図3参照)の内側開口部の端縁に当接することにより、中間部材3Aに係止される。同様に、紐5の一端部は、一例として紐5自身の結び目55が、中間部材3Aの貫通孔33(
図3参照)の内側開口部の端縁に当接することにより、中間部材3Aに係止される。腕部材17A及び27Aには、一例として、円筒状の留め具6及び7をそれぞれ受け入れるための略半円柱状の溝が、端部に形成されている。
【0047】
ハンガー104は、腕部材17Aの端部から出ている紐4と留め具6とを操作することにより、腕1Aの形状を変えることができる。同様に、腕部材27Aの端部から出ている紐5と留め具7とを操作することにより、腕2Aの形状を変えることができる。このように、ハンガー101と同様に、腕1Aと腕2Aの形状を、個別に変えることが可能である。
【0048】
図9は、本発明のさらに別の実施の形態によるハンガーの構成を示す正面図である。このハンガー105は、ハンガー102(
図6)において、紐5及び6が、中間部材3の頂部から引き出された形態をなしている。また、紐5及び6は、1本の紐9Aをなすように連結されている。ハンガー105の中間部材3Cは、
図3に示した中間部材3において、貫通孔34、35、36が形成されず、代わりに、往復する紐9Aの双方を挿通するための孔(図示略)が、中間部材3Cの上面壁中央付近、すなわち孔31の底壁中央付近を貫通するように形成されている。この孔は、2個に分離されていても良く、1個であっても良い。
【0049】
中間部材3Cの頂部から出て環状となる紐9Aには、留め具6A及びフック8Aが取り付けられている。留め具6Aは、往復2本の紐9Aを捕捉及び捕捉解除するもので、一例として、
図6に示した留め具6Aと同一に構成される。フック8Aの下端部は、輪を作るように折り曲げられた折り曲げ部83を有している。折り曲げ部83が作る輪に、紐9Aが挿通されている。これにより、フック8Aは、紐9Aから外れないようになっている。折り曲げ部83が作る輪は、紐9Aに沿って移動可能な程度の形状及び大きさに設定されるのが望ましい。
【0050】
ハンガー105は、中間部材3Cの頂部から出ている紐9と留め具6とを操作することにより、腕1及び2の形状を同時に変えることができる。また、中間部材3Cから出ている紐9Aの部分が、一続きの環状をなすので、この環状の紐9Aの部分のうち、中間部材3Cから最も遠い端部を引張ることにより、腕1及び2のそれぞれを連結する紐9Aの部分を同時に緊張させることができる。また、一続きの環状をなす紐9Aの部分が、中間部材3Cの頂部から出ているので、フック8Aに代えて環状の紐9Aの部分を、例えば壁の吊り下げ金具に掛けることにより、ハンガー105を吊り下げることも可能となる。従って、ハンガー105からフック8Aを除去した形態も、有用性を発揮する。
【0051】
図10は、本発明のさらに別の実施の形態によるハンガーの腕の構成を示す正面図である。このハンガー106の腕1Bは、ハンガー101(
図1)の腕1と同様に、多数の腕部材11B〜17Bに分割されている。腕部材11B〜17Bは、互いに向き合う面、及び中間部材3と向き合う面が、凸面状に膨出している。それにより、腕部材11B〜17B及び中間部材3の互いの間は、実質的に紐4の周囲でのみ互いに接触する。また、図示を略するが、腕1Bと反対側の腕も同様に構成される。このため、紐4を緊張させた状態のハンガー106の両腕に、衣服を掛けたときに、重みにより両腕が先下がりの自然な形状となる。