(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一表面と第二表面とを有する嵩増加された吸収性部材であって、前記吸収性部材は、少なくともいくつかのセルロール繊維を含む少なくとも1つの一体型吸収性繊維湿式構造を備え、前記一体型吸収性繊維湿式構造は、それが部分的に層状であり、かつ、前記吸収性部材は、前記第一表面及び前記第二表面において複数の分離性の変形部を有することで、特徴づけられている、嵩増加された吸収性部材。
前記第一表面及び前記第二表面のうちの少なくとも1つの上の前記変形部の少なくとも一部分に隣接して高密度化領域を含む、請求項1に記載の嵩増加された吸収性部材。
前記吸収性部材の前記第一表面上の前記変形部が、前記吸収性部材の前記第二表面上の前記隣接する変形部に対して一定の位置にあり、一定の反復パターンを形成する、請求項1に記載の嵩増加された吸収性部材。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
用語「吸収性物品」は、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間装置、創傷包帯、おむつ、成人用失禁物品、拭取り布及びこれらに類するものなどの使い捨て物品を包含する。更に、本明細書に開示されている方法及び装置により製造される吸収性部材は、磨き粉パッド、ドライモップパッド(SWIFFER(登録商標)パッド)及びこれらに類するものなどの他のウェブにおいて有用性を見出すことができる。このような吸収性物品のうちの少なくとも一部は、経血又は血液、膣分泌物、尿及び糞便などの体液の吸収を目的とする。拭取り布は、体液を吸収するために使用されてもよく、又は、表面を洗浄するためなどの他の目的に使用されてもよい。上記の様々な吸収性物品は典型的には、液体透過性トップシートと、このトップシートに接合された液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートの間の吸収性コアと、を備える。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア」は、液体を収容する役割を主に果たす吸収性物品の構成要素を指す。そのようなものとして、吸収性コアは、典型的には吸収性物品のトップシート又はバックシートを含まない。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「吸収性部材」は、典型的には、例えば、液体捕捉、液体移動、液体保存などの1つ以上の液体制御機能性をもたらす吸収性物品の構成要素を指す。吸収性部材が吸収性コア構成要素を含む場合、吸収性部材は、吸収性コア全体又は吸収性コアの一部のみを含むことができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「圧密化」及び「高密度化」は、ウェブの嵩密度が増加するプロセス工程を指す。
【0019】
用語「機械横方向」(又は「横断方向」)は、ウェブの平面において機械方向に垂直な方向を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「密度低減」は、ウェブの嵩密度が低下する「密度低下」を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「密度特性」は、吸収性部材の厚さにわたっての密度変化を指し、厚さ全体にわたって実質的に均一な密度を有する吸収性部材の密度における通常の変種とは識別可能である。密度特性は、本明細書に記載の構成のいずれかに存在し得る。密度特性は、顕微鏡写真及びSEMに示すことができる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「分離性の」は、別個である又は連通していないことを意味する。用語「分離性の」が成形部材上の成形要素に関して使用される場合、成形要素の遠位(又は放射状に最も外側の)端が(例えば、たとえ、成形要素の基底部がロールの同一面に成形されていたとしても)機械方向又は機械横方向のどちらにおいても別個である又は連通していないことを意味する。例えば、リングロール上の隆起は、分離性であるとは考えられない。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「使い捨て」は、洗濯するか又は別の方法で吸収性物品として復元若しくは再使用することを意図したものでない吸収性物品を表す(すなわち、それらは、使用後に廃棄することを、好ましくは、再生利用するか、堆肥にするか、又は別の環境に適合する方式で処分することを意図したものである)。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「ドライラップ」は、ロール又はシート形態である乾燥した湿式セルロースを含有する繊維材料を指す。ドライラップはまた、毛羽パルプ又は粉砕(comminution)パルプとして知られる。一部の用途については、ドライラップは、相対的に重いキャリパーにおいて、高坪量シート形態で製造されたSBSK(Southern Bleached Softwood Kraft)又はNBSK(Northern Bleached Softwood Kraft)パルプを含む。シート製品は、使い捨て物品製造業者への出荷のための連続ロール又は積層体に巻き直される。製造業者の工場にて、ロールは連続してハンマーミルなどの装置の中に供給されて、合理的に可能な限り個々の繊維に低減され、これにより、セルロースの「毛羽」を作製する。あるいは、材料のドライラップグレードは、本明細書に開示されているプロセスにより、密度低減することができる。セルロース繊維に加えて、ドライラップは、レーヨン、ポリエステル、綿、使用済み再利用材料の繊維、他の繊維材料又は更には、ミネラル充填剤、カオリン粘土又は粉末化セルロースなどの品目を含む微粒子添加物を含むことができる。本発明において有用なタイプのドライラップ材料としては、米国特許第6,074,524号及び同第6,296,737号に記載のものが挙げられる。
【0025】
本明細書で吸収性部材の区間を参照しながら使用するとき、用語「外面」、「外側の」、及び「外側」は、吸収性部材の中心を通って走る平面から離れるz方向に離間配置された区間を指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「機械方向」は、ウェブなどの材料が製造プロセス中に通って進む経路を意味する。
【0027】
用語「機械的に衝撃を与える」又は「機械的に変形する」は、機械的力が材料に働くプロセスを指すために本明細書では互換的に使用され得る。
【0028】
用語「マイクロSELF」は、本明細書で定義されるSELFプロセスのものと装置及び方法が類似するプロセスである。マイクロSELF歯は、前縁及び後縁上に開口部を有するタフトを成形するためにより良好に働くように、異なる寸法を有する。マイクロSELFを使用してウェブ基材にタフトを成形するプロセスは、米国特許出願公開第2006/0286343(A1)号に開示されている。本開示の目的のために、マイクロSELFは、SELF技術の部分集合であると考えられる。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「ペーパーボード」は、ボックスボード、カードボール、チップボード、コンテナボード、波形化ボード及びライナーボードなどの0.15ミリメートルよりも厚い厚紙及び他の繊維ボードを指す。
【0030】
本明細書で成形部材を参照しながら使用するとき、用語「パターン化」は、分離性要素をその上に有する成形部材、並びに、リングロール上に隆起及び溝といったように連続的な特徴をその上に有する成形部材を包含する。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「使用済み再利用材料」は通常、家庭、流通、小売、産業及び解体などの使用済み供給源に由来し得る材料を指す。「使用済み繊維」は、使い捨て又は使用用途が完了した後の回収のために廃棄された消費者製品から得られる繊維を意味し、使用済みリサイクル材料の部分集合であることが意図される。使用済み材料は、使い捨ての前に消費者又は製造業者の廃棄流から材料を選別することから入手され得る。この定義は、例えば、波形化カードボード容器などの消費者に製品を移送するのに使用される材料を含むことを意図する。
【0032】
用語「領域」は、吸収性部材のxy平面にわたる部分又は区域を指す。
【0033】
用語「リングロール」又は「リングロール加工」は、連続した隆起及び溝を含有する、逆回転ロール、噛み合うベルト又は噛み合うプレートを含む変形部材を使用するプロセスを指し、変形部材の噛み合う隆起及び溝はそれらの間に挿入されたウェブに係合し、そのウェブを伸張する。リングロール加工の場合、変形部材は、歯及び溝の向きに依存して、機械横方向又は機械方向にウェブを伸張させるように、配置することができる。
【0034】
用語「回転ナイフ穿孔(RKA)」は、SELF又はマイクロSELFに関して本明細書に定義されているものと同様の噛み合う変形部材を使用するプロセス及び装置を指す。RKAプロセスは、SELF又はマイクロSELF変形部材の相対的に平らで細長い歯が一般に遠位端にて尖っているように変更されているという点で、SELF又はマイクロSELFと異なる。歯は、米国特許出願公開第2005/0064136(A1)号、同第2006/0087053(A1)号及び同第2005/021753号に開示されているように、有孔ウェブ又は場合によっては三次元有孔ウェブを作り出すようにウェブを切り通す及び変形するために尖らせることができる。RKAの歯は他の形状及び特性を有することができ、RKAプロセスはまたウェブに穿孔することなく繊維ウェブを機械的に変形するために使用することができる。歯の高さ、歯の間隔、ピッチ、係合深さ、及び他の加工パラメータなどの他の点について、RKA及びRKA装置は、SELF又はマイクロSELFに関して本明細書で説明されているものと同じにすることができる。
【0035】
用語「SELF」又は「SELF加工」は、SELFが構造弾性様フィルム(Structural Elastic Like Film)を表すProcter & Gambleの技術を指す。このプロセスは、ポリマーフィルムを変形して有利な構造特性を持たせるために当初は開発されたものであるが、SELF化プロセスは、繊維材料などの他の材料において、有利な構造を生み出すのに使用できることが判明している。プロセス、装置及びSELFにより製造されるパターンは、米国特許第5,518,801号、同第5,691,035号、同第5,723,087号、同第5,891,544号、同第5,916,663号、同第6,027,483号及び同第7,527,615(B2)号に例示及び記載されている。
【0036】
本明細書で吸収性部材に関して使用するとき、用語「部分的に層化」は、吸収性部材の一部が層に分離しているいくつかの証拠が明白であるが、これらの層の部分の間にある程度の接続が残っており、その結果、これらが(離層及び剥離するよりもむしろ)一緒に接合されたままであることを意味する。
【0037】
本明細書で使用するとき、用語「一体型構造」は、単一層から構成されるか、水素結合及び機械的絡み合いにより一緒に結合されており、別個に形成されて糊などの取り付け手段で一緒に接合された多層を組み立てることにより形成されたものではない、完全に統合された多層から構成されるか、のいずれかの構造を指す。一体型構造の例は、異なるタイプの繊維(組織作製において柔軟性のために外側の層を形成するべく、他のセルロース繊維の上に載置され得るユーカリ油繊維など)を含む構造である。
【0038】
用語「上方」は、使用中に吸収性物品の着用者に近い、すなわち、吸収性物品のトップシートに向かう、層のような吸収性部材を指し、反対に、用語「下方」は、吸収性物品の着用者からバックシートに向かって更に離れる吸収性部材を指す。用語「横方向に」は、物品の短い寸法の方向に対応し、通常、使用中、着用者の左から右の向きに対応する。次に、「長手方向に」は、横方向に垂直な方向を指すが、厚さ方向には対応しない。
【0039】
本明細書で使用するとき、用語「z次元」は、部材、コア、又は物品の長さ及び幅に直交する次元を指す。z次元は、通常、部材、コア、又は物品の厚さに相当する。本明細書で使用するとき、用語「xy次元」は、部材、コア、又は物品の厚さに直交する平面を指す。xy次元は通常、それぞれ部材、コア又は物品の長さ及び幅に対応する。
【0040】
用語「区間」は、吸収性部材のz方向の厚さにわたる部分又は区域を指す。
【0041】
I.吸収性部材
本発明は、吸収性部材及びその作製方法を目的とし、より具体的には嵩増加された吸収性部材及びその作製方法を目的とする。加えて、望ましい場合には、嵩増加した吸収性部材の特性は、吸収性部材の長さ及び/幅にわたって変性することができる。
【0042】
吸収性部材は、紙グレードの材料であってもよいセルロース材料を少なくとも一部含む、ウェブ又はシートの形態である「前駆体材料」から作製される。前駆体材料は、ドライラップ、ライナーボード、ペーパーボード、使用済み再利用材料、濾紙及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な湿式材料を含み得る。場合によっては、吸収性部材は、これらの湿式材料のうちの1つからなり得る、又は本質的になり得る。本明細書に記載の吸収性部材は、したがって、非風成であり得る。結果として、この吸収性部材は、風成材料において時に使用されるラテックス結合剤などの結合剤材料を実質的に含まない又は完全に含まない場合がある。一部の実施形態では、本明細書に記載の吸収性部材はまた、風成材料において別の一般的な成分である吸収性ゲル化材料を実質的に含まない又は完全に含まない場合がある。
【0043】
前駆体材料は、典型的には、複数の別個の繊維を含む。大部分のセルロース繊維は、ウェブのコストを低く維持するなどの様々な利点をもたらすことができる。本発明の特定の態様では、前駆体材料は、繊維の少なくとも約90重量%がセルロースである繊維内容物を有し、あるいは、繊維は約1cm(約0.4インチ)以下の長さを有する。あるいは、繊維の少なくとも約95重量%、場合により繊維の少なくとも約98重量%はセルロースであり、あるいは、繊維は約1cm(約0.4インチ)以下の長さを有する。他の望ましい構成では、前駆体ウェブは、繊維の実質的に約100重量%がセルロースである繊維内容物を有することができ、あるいは、繊維は約1cm(約0.4インチ)以下の長さを有する。
【0044】
前駆体材料を含む繊維としては、木材パルプ繊維として一般に知られているセルロース繊維が挙げられる。適用できる木材パルプとしては、クラフト(Kraft)パルプ、亜硫酸パルプ、及びサルフェートパルプなどの化学パルプ、並びに例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプなどのメカニカルパルプが挙げられる。しかしながら、化学パルプは、それらから作製された前駆体に優れた性質を付与し得るので、特定の実施形態では好まれ得る。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ばれる)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプが利用できる。広葉樹繊維及び針葉樹繊維は、ブレンドすることができ、あるいは、複数層に堆積させることができる。米国特許第3,994,771号及び同第4,300,981号は、広葉樹繊維及び針葉樹繊維を記載している。また、上記部類のいずれか又は全て、並びに前駆体ウェブ作製を容易にするために使用される充填剤及び接着剤などの他の非繊維性物質を含有し得るリサイクル紙から得られる繊維も、本発明に適用可能である。上記に加え、ポリマー、特にヒドロキシルポリマー、から作製された繊維及び/又はフィラメントは、本発明において使用され得る。好適なヒドロキシルポリマーの非限定例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ガム、アラビナン、ガラクタン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
前駆体材料を含む繊維は通常、木材パルプ由来の繊維を含む。他の天然繊維(例えば、綿リンター、バガス、ウール繊維、絹繊維など)を利用することができ、本発明の範囲内であることが意図される。合成繊維(例えば、レーヨン、ポリエチレン及びポリプロピレン繊維)も天然セルロース繊維と組み合わせて利用され得る。利用され得る1つの代表的なポリエチレン繊維は、Hercules,Inc.(Wilmington,Del.)から入手可能なPULPEX(登録商標)である。生体由来ポリエチレン(バイオPE)、生体由来ポリプロピレン(バイオPP)、生体由来ポリエチレンテレフタレート(バイオPET)及び生体由来ポリ(エチレン−2,5−フランジカルボキシレート)(バイオPEF)などの非石油源から作製されたバイオポリマーから形成される繊維も使用することができる。これらのバイオポリマーは、少なくとも1つの再生可能資源に部分的又は完全に由来するものであり得、再生可能資源は、100年の時間枠内で補充できる天然資源を指す。再生可能資源としては、植物、動物、魚、細菌、真菌及び林産物が挙げられ、再生可能資源は天然産物、ハイブリッド又は遺伝子組み換え生物であり得る。生成に100年超かかる原油、石炭、及び泥炭などの天然資源は、再生可能資源であるとは考えられない。デンプン系ポリマー及び/又は再利用樹脂(例えば、使用済み再研削r−HDPE、r−LLDPE、r−LDPE、r−PET、r−PEF又はr−PP)も使用できる。
【0046】
繊維は典型的には、繊維間の絡み合い及び水素結合により、一緒に結合される。繊維は、任意の好適な配向を有し得る。特定の前駆体材料では、繊維は、成形プロセスのうちの成形されるプロセスの方向(又は「機械方向」)に主に整列される。
【0047】
前駆体材料は、強度のような他の性質を付与するために吸収性又は非吸収性材料の追加の層を含んでもよい。これらとしては、スクリム、フィルム及び不織布を挙げることができるがこれらに限定されない。加えて、前駆体材料は、超吸収性粒子又は繊維を含んでもよい。
【0048】
図1は、ドライラップを含む前駆体材料の一実施形態の顕微鏡写真である。
図1に示されるように、前駆体材料は、通常その厚さ全体にわたって相対的に高密度である単一層構造である。この前駆体材料は、空隙容積の欠除及び高い剛性に起因して、吸収性物品の構成要素としての使用に好適ではない。実施例の項における表1は、1つのこのような前駆体材料の特性を示す。
図1に示されるように、前駆体材料の表面にいくらかより密度が低い部分が存在するが、これらは前駆体材料の厚さ全体の有意な部分を構成しない。本明細書に記載の方法は、ドライラップ(又は他の前駆体材料)の全体密度(すなわち、平均)及び剛性を低減し、これらの少なくとも一部の領域においてその空隙容積を増加し、その結果、これは吸収性物品における吸収性部材としての使用に好適である。この方法はまた、前駆体材料の平均厚さを増加させ得る。
【0049】
前駆体材料は、任意の好適な特性を有し得る。ドライラップ前駆体材料の場合、前駆体材料の破裂強度は、破裂強度についてのTAPPI試験方法T 403 om−91に従って測定すると、最大で1,500kPa又はそれ以上であり得る。通常、低い破裂強度を有する前駆体材料は、これらの密度を低減するためにより容易に機械的に変性される(すなわち、「密度低下」プロセスによる「密度低減」)。したがって、前駆体材料が1,500kPa未満、1,400kPa、1,300kPa、1,200kPa、1,100kPa、1,000kPa、900kPa、800kPa、750kPa、700kPa、600kPa、500kPa、400kPa、300kPa、200kPa又は100kPa以下の破裂強度を有することが望ましいものであり得る。破裂強度はまた、これらの破裂強度の数値のいずれかの間の任意の範囲内に入り得る。
【0050】
前駆体材料は、任意の好適な厚さ、坪量及び密度を有し得る。ドライラップは、通常、少なくとも約1.02mm(0.04インチ)以上、例えば、約1〜1.5mm(約0.04〜約0.06インチ)の厚さを有する。しかしながら、本出願者らは、最小で0.5mm(約0.02インチ)の厚さを有するようにドライラップを特別に作製した。したがって、一部の実施形態では、前駆体材料の厚さは、約0.5〜1.5mm(約0.02〜約0.06インチ)の範囲であり得る。市販されているドライラップは典型的には、490〜980gsm(約100〜約200ポンド/1,000ft
2)を有する。しかしながら、本出願者らは、最小で98gsm(20ポンド/1,000ft
2)又はそれ未満の坪量を有するようにドライラップを特別に作製した。したがって、一部の実施形態では、前駆体材料の坪量は、98gsm(約20ポンド/1,000ft
2)〜約980gsm(200ポンド/1,000ft
2)の範囲であり得る。一部の実施形態では、前駆体ウェブ材料は、約0.25g/cc〜約0.6g/cc以上、あるいは約0.3g/cc〜約0.6g/ccの密度を有し得る。典型的にはこのような前駆体材料は、これらの厚さ全体にわたって相対的に均一な密度を有する。
【0051】
前駆体材料は、任意の好適な含水量を有し得る。ドライラップは通常、約10パーセント未満(例えば、約7パーセント)の含水量を有するが、これよりも低い及び高い含水量も使用することができる。一般に、低い含水量を有する前駆体材料ほど、密度を低減(「密度低減」)するために容易に機械的に変性される。例えば、前駆体材料が10%以下、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又はこれらの百分率のいずれかの間の任意の範囲の含水量を有することが望ましいものであり得る。
【0052】
前駆体材料は、特定の実施形態では、処理されてもよく、部分的に処理されてもよく(すなわち、処理された部分と処理されていない部分とを有する)、又は、処理されなくてもよい。前駆体材料が処理される場合、化学的剥離剤などの剥離剤が挙げられるがこれに限定されない任意の好適な処理を行われ得る。好適な処理の例は、米国特許第6,074,524号、同第6,296,737号、同第6,344,109(B1)号及び同第6,533,898(B2)号に記載されている。典型的には、処理されていない前駆体材料は、処理された又は部分的に処理された前駆体材料よりも高い破裂強度を有する。前駆体材料に少なくとも一部の処理を剥離剤の形態で行うことにより、前駆剤材料の機械的な変性をより容易にしてその密度を低減することができる。
【0053】
図2〜4は、嵩増加された吸収性部材20を形成するための本発明の方法の一実施形態に従って加工された、前駆体ウェブの1つの非限定的実施例を示す。吸収性部材20は、第一表面20Aと、第二表面20Bと、x方向に伸びる長さLと、y方向に伸びる幅Wと、z方向の厚さTと、を有する一体型吸収性繊維構造を含む。
【0054】
図2は、吸収性部材20が密度低減され、その結果、嵩増加又は拡大されていることを示す。「嵩増加される」又は「拡大される」により、吸収性部材20が作製される前駆体材料(例えば、
図1に示されている前駆体材料)と比較して、繊維の間に離間している孔が増大していることを意味する。
【0055】
前駆体材料は、吸収性部材は、元の嵩密度の最小で0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9倍の嵩密度を有するような、あるいは、これらの数のいずれか2つの間の範囲の嵩密度における変化を有するような、嵩密度における変化を経る可能性がある。吸収性部材20を説明する別の方法は、吸収性部材が表面を有するセルロース繊維から構成され、繊維表面間の空隙により実質的に割り込まれているセルロース繊維間の繊維間水素結合が存在することである。これにより、xy平面に伸びる吸収性部材20の少なくとも一部分は、「毛羽立たせられている」又は持ち上げられているように見える厚さを有する。前駆体材料はまた、特にロールのうちの1本が下記のプロセス中にウェブの速度よりも遅く動くように設定された場合には、吸収性部材が元の(前駆体ウェブの)坪量の1.01〜1.1倍又はそれ以上の坪量を有するような、坪量における変化を経る可能性がある。
【0056】
本明細書に記載の方法により成形される吸収性部材は、任意の好適な全体的性質を有し得る。吸収性部材は、約0.03〜0.5g/ccの嵩密度範囲を有し得る。様々な可能な前駆体材料及び本明細書に記載の吸収性部材の嵩密度範囲は、重複し得ると考えるべきである。これは、可能な前駆体材料が非常に様々であることに起因する。与えられている前駆体材料については、本明細書で成形される吸収性部材の嵩密度は、前駆体材料の嵩密度よりも小さい。本明細書で記載される方法は、高い可撓性を有したまま、0.25g/cc以下又は以上が挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な嵩密度を有する吸収性部材を成形することができる。この方法はまた、4mm以下又は4mm以上が挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な厚さを有する吸収性部材を成形できる。
【0057】
吸収性部材20は、部分的に離層又は階層化され得る。前駆体ウェブの対向する面上の穿通する歯は、それらの間に速度差を有しながらウェブをせん断し、選択的に繊維間水素結合を破断し、材料を複数の層又は階層22に部分分離させ、これにより吸収性部材の厚さ及び空隙容積を増加させ、嵩密度を低減する。
図2に示されるように、吸収性部材が部分的に離層又は階層化されると言われる場合、吸収性部材の部分が層に分離したといういくつかの証拠が明白であり、層の間に空間又は区間24を生じているが、これらの層の間に26におけるように一部接続が残っており、その結果、これらは(離層及び剥離するよりもむしろ)一緒に接合されたままであることが意味される。したがって、セルロース前駆体材料の場合、一部の繊維は階層を接続したままであり得る。階層22は、階層間の区間24よりも高い密度を有し得ることから、z方向における材料の厚さにわたって高密度及び低密度の区間を交互にもたらす。これらの階層は、前駆体材料と同じか又はそれよりも低い密度を有し得る。
【0058】
吸収性部材20の表面20Aは、その上に複数の変形又は衝撃の印30を有する。
図3及び4に示されるように、変形30は、吸収性部材の厚さの中に少なくとも部分的に伸びるくぼみ32、突出部、又は、吸収性部材の厚さを完全に通過する孔34の形態であり得る。場合により、くぼみ32、突出部又は孔34は、機械方向に伸びてもよく、例えば、
図4に示されている第一端部34A及び第二端部34Bのような、第一及び第二端部を有する。
【0059】
プロセス中、くぼみ又は孔を成形する成形部材上の歯は、ウェブの表面速度に対して異なる表面速度で移動するので、歯は本質的に材料を「刻む」ことになり、その結果、材料は、くぼみ又は孔の一端にて高密度化され、多くの場合、押し上げられる。これらの高密度化領域36は、
図4に示されるような水を通って進むボートにより作り出される船首波に似た曲線状の平面構成を有し得る。この刻み効果は、吸収性部材を成形するのに使用されるプロセス及び使用される装置の成形部材の構成に依存して、ウェブの一面又は両面で生じ得る。
【0060】
したがって、反対側の表面20Bは同様に、ここにおける同様のパターンの変形を有し得る。しかしながら、一部の実施形態では、吸収性部材の第一表面20Aの高密度化領域36はくぼみ又は孔の第一端部に隣接し、吸収性部材の第二表面20B上の高密度化領域はくぼみ又は孔の第二端部に隣接する。このような実施形態における反対側の表面上の船首波は、反対方向を指す。ウェブの一面の上に作られたくぼみ又は孔は、ウェブの反対側においても見ることができ、それぞれ突出部又は孔として見える。本明細書に記載のプロセスの様々な異なる実施形態において、プロセスからの変形は、吸収性部材を成形するのに使用されるプロセス及び使用される装置における成形構造の配置に依存して、多かれ少なかれ見ることができるということを理解すべきである。変形は、くぼみ、突出部、孔又はこれらの組み合わせなどの任意の好適な形状であり得る。変形は、正規パターン又はランダムパターンなどの任意の好適なパターンで配置することができる。変形のパターンは、前駆体材料の嵩密度を低減するのに使用されるプロセス及び装置の産物である。
【0061】
II.吸収性部材の作製方法
吸収性部材20の成形方法は、前駆体ウェブを機械的変形プロセスに通して少なくとも1つのサイクル又は通過にかけることを含む。
【0062】
機械的変形プロセスは、任意の好適なタイプの成形部材を含み得る任意の好適な装置で行うことができる。成形装置の好適なタイプとしては、それらの間にニップを画定する一対のロール、複数の対のプレート、それらの間にニップを画定するベルト、それらの間にニップを画定するパック若しくはプレートを含むコンベアベルト、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本方法における使用のために変更され得るベルト及びロールの例としては、米国特許第8,021,591号(Curro,et al.)に記載されている。プレートの場合、プレートのうちの少なくとも1枚は、本明細書に記載のロールの動きと同様の動きをもたらすために前駆体ウェブに接触するように他のプレートが一緒にやって来るとき、他のプレートに対して機械方向に動き得る。しかしながら、一対のプレート又はベルトにより製造される吸収性部材は、一対のプレート又はベルトを含むプロセスに存在する係合及び係合解除の角度の低下のため、ロールにより製造される吸収性部材とは異なり得ると理解される。プレート又はベルトにより製造される吸収性部材は、嵩増加が少なくなり得、表面の分裂が少なくなり得る。便宜上、主にロールについて装置を本明細書において説明しているが、この説明は、他の成形部材が下記の構成の成形要素(又は歯)を有し得る任意の他の構成を有する成形部材を採用する方法にも適用できると理解され得る。
【0063】
本明細書に記載の装置及び方法において使用されるロールは、典型的には、ほぼ円筒形である。本明細書で使用するとき、用語「ほぼ円筒形」は、完全な円筒形だけではなく、これらの表面上に要素を有し得る円筒形ロールであるロールを包含する。用語「ほぼ円筒形」はまた、(例えば、ロールの端部付近のロールの表面において)直径が減少し得るロール及びクラウン形状であるロールも含む。これらのロールはまた、典型的には実質的に変形不可能である。本明細書で使用するとき、用語「実質的に変形不可能である」は、典型的には本明細書に記載のプロセスを行う際に使用されるときに変形又は圧縮しない表面(及びその上の任意の要素)を有するロールを指す。これらのロールは、鋼又はアルミニウムが挙げられるがこれらに限定されない任意の好適な材料から作製することができる。鋼は、ステンレス鋼のような耐食性及び耐摩耗性鋼であり得る。
【0064】
成形装置38の構成要素は、例えば、
図5に示されているもののような一対のロールを含んでもよい。ロール40及び42はそれぞれ、各ロール上の凸部要素間の溝54により対向するロールの表面と噛み合うことができるその上に分離性の突出部又は「凸部」要素50及び52を含む成形要素を備える。ロールは接触しておらず、軸方向に駆動される。本明細書で使用するとき、用語「噛み合う」又は「噛む」は、成形構造(例えば、ロール)の構成要素のうちの1つの上の成形要素が他の成形構造の表面に向かって伸び、これらの成形要素が、他の成形構造の表面上の成形要素の先端の間及びそれらの先端を通って引かれる想像上の平面の下方に伸びる部分を有する配置を指す。
図5及び
図6に示されるように、各ロール上の凸要素は、噛み合わせることができ、ロールが回転する際に機械方向(MD)において位相を合わせる必要のないように、列に配置され得る。異なる成形部材上の成形要素の頂部又は先端は、したがって、ニップ内で整列しないように、ニップにおいて相互に対してずれている。
【0065】
一対のロールにおけるロール40及び42は、典型的にはどちらも、
図5において矢印により示されるように反対方向に回転する(すなわち、これらのロールは逆回転する)。少なくとも一対のロールにおけるこれらのロールは、異なる表面速度で回転してもよい。同じことが、ロールとベルト、又はベルトの様々な組み合わせにも当てはまる。(しかしながら、プレートの場合、ポレートは典型的には同じ方向に動く(しかしながら、これらのプレートは異なる速度で動いてもよい))。これらのロールは、異なる軸速度でロールを回転することにより、同じ軸速度で回転する異なる直径を有するロールを用いることにより、又は、これら2つの組み合わせにより、異なる速度で回転し得る。これらのロールは、ウェブがこれらのロールの間のニップを通して供給される速度と実質的に同じ速度で回転してもよく、あるいは、これらのロールは、ウェブがこれらのロールの間のニップを通して供給される速度よりも高速又は低速で回転してもよい。これらのロールが異なる速度で回転する場合、これらのロールの間の表面又は周速度には任意の好適な差が存在し得る。速いロールは、遅いロールよりも1.02倍〜最大約3倍速い表面速度を有し得る。表面速度比についての好適な範囲としては、凸要素の形状に依存して、約1.05〜約2.0、より好ましくは1.05〜1.4が挙げられる。ロール間の表面速度差又は比が大きいほど、材料の密度低減は大きくなる。
【0066】
ロール上の成形要素50及び52は、任意の好適な構成を有し得る。与えられている構成要素は、(円形又は正方形の形状の平面を有する成形要素のように)同じ平面長さ及び幅の寸法を有することができる。あるいは、成形要素は、(矩形平面を有する成形要素のように)その幅よりも大きい長さTLを有してもよく、この場合、成形要素は、その長さとその幅について任意の好適なアスペクト比を有し得る。成形要素に好適な構成としては、三角形の形状の側面を有する歯、柱状の形状を有する要素、円、楕円、砂時計の形状、星形、多角形及びこれらに類するものなどの平面構成を有する要素、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。多角形の形状としては、限定はしないが、矩形、三角形、五角形、六角形、又は台形が挙げられる。成形要素50及び52の側壁60は、基底部62から先端64に向かって一定角度で先細であってもよく、又は、角度を変えてもよい。成形要素50及び52は、平坦、円形であるか又は尖った点を形成する先端64を有することができる。成形要素に好適な構成のいくつかの例としては、SELF要素、RKA要素、フカヒレ形状、鈍頭フカヒレ形状又はピン形状要素、及びこれらの変異形が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、以下に
図7〜11を参照しながら詳細に説明される。
【0067】
図5は、成形装置におけるロール40及び42の2つの表面の1つの非限定的実施形態の拡大図である。ロール40及び42は、平行な関係に配置された回転軸を有する各回転シャフト(図示されず)により担持される。この実施形態では、ロール40及び42の各々は、Procter & Gamble CompanyのSELF技術のロールのうちの1つを含む。
【0068】
SELFロール上の成形要素50及び52は、機械方向(MD)又は機械横方向(CD)のいずれかに配向することができる。
図5に示されるように、SELFロールは、ロールの円周に複数の交互の円周方向の隆起及び溝を含み得る。これらの隆起は、ロールの軸に平行に配向された、隆起の中にそれぞれ成形された(それぞれロール40及び42上の)チャネル70及び72を離間配置されている。チャネル70及び72は隆起の中に破断を形成し、SELFロール上に成形要素又は歯50及び52を作る。このような実施形態では、歯50及び52は、機械方向(MD)に配向されたより長い寸法を有する。これらのロール構成は、通常のSELFプロセスにおいて、このようなロールにより形成されるニップの中に供給される材料が機械横方向(又は「CD」)に延伸されることから、本明細書では「CD SELF」ロールと呼ばれる。
【0069】
(
図29に示されるような)他の実施形態では、SELFロール80は、機械方向又は「MD SELF」ロールを含むことができる。このようなロールは、ロールの軸Aに対して(すなわち、機械横方向(CD)において)平行に配向されたより長い寸法を有する交互の隆起及び溝を有する。このようなロール80における隆起は、ロールの円周に沿って配向された、そこに形成されたチャネル88を離間配置されている。これらのチャネルは、隆起に破断を形成して、MD SELFロール上に成形要素又は歯を形成する。
【0070】
本明細書で使用されるプロセスは、多くの点でProcter & GambleのSELFプロセスとは異なる。1つの違いは、本明細書に記載のウェブ材料が典型的には、リブ様要素及び弾性体様特性を備えた構造に成形されないということである。むしろ、
図20に示されているように、SELFプロセスは、本発明の文脈では、前駆体ウェブ10を機械的に変形し、ウェブ10の水素結合を選択的に破断して、嵩密度を低減し、前駆体ウェブ材料の可撓性を増加させることを目的として、異なる表面速度で(又は一部の実施形態では、下記の任意工程において同じ表面速度で)歯50及び52を動かすことにより、成形部材の歯50と52の間の局部的領域12にせん断力をかけるために、使用される。
【0071】
図6に示されるように、1本のロールの歯50及び52は、対向するロールの溝54の中に部分的に伸びて、「係合の深さ」(DOE)を画定する。DOEはロール40と42の噛み合いのレベルの尺度である。係合の深さはゼロであってもよく、噛んでいるロールについては正であり、又は、噛んでいないロールについては負である。
図5に示されるロールの場合、凸要素は、相対的に高いDOEにて噛み合っている。DOEとしては、前駆体ウェブの厚さを超える値を挙げることができるが、これに限定されない。
【0072】
図6は、歯50及び52並びに歯50と52の間の溝54を含む噛み合うロール40及び42の部分を断面で示す。この実施形態における歯50及び52は、断面で見るとき、三角形又は逆V字型を有する。歯の頂点又は先端64は、ロールの表面に対して最も外側である。示されているように、歯50及び52は、歯の高さTH、先端の半径(TR)、歯の長さTL(
図5)、ピッチPとして示されるMDの歯間空隙TD及びCDの歯間空隙(隆起間空隙)を有する。このような実施形態における歯の長さTLは、円周測定値である。歯の最も外側の先端は、前駆体材料における切断又は断裂を避けるために好ましくは丸みを帯びた側面を有する。歯50及び52の前縁LE及び後縁TE(
図5)はそれぞれ、場合により、正方形又は、本プロセスにおいてウェブの密度低減を最大化するために、相対的に尖った端部を形成する形状であり得る。
【0073】
約200〜700gsmの範囲の坪量を有する前駆体ウェブから、
図2〜4に示されているもののような吸収性部材20を作製するために、歯50及び52は、約0.5mm(0.020インチ)以下〜約10mm(0.400インチ)、又は約2mm(0.080インチ)〜約6mm(0.240インチ)の範囲の長さTLと、約0.5mm(0.020インチ)〜約20mm(0.800インチ)、又は約1mm(0.040インチ)〜約4mm(0.160インチ)のMDの空隙TDと、約0.5mm(0.020インチ)〜約10mm(0.400インチ)、又は約2mm(0.080インチ)〜約5mm(0.200インチ)の範囲の歯の高さTHと、約0.05mm(0.002インチ)〜約2.0mm(0.080インチ)、又は約0.1mm(0.004インチ)〜約0.5mm(0.020インチ)の範囲の歯の先端の半径TRと、約1mm(0.040インチ)〜約10mm(0.400インチ)、又は約2mm(0.080インチ)〜約4mm(0.160インチ)のピッチPと、を有し得る。係合の深さDOEは、約1mm(0.040インチ)〜約5mm(0.200インチ)(歯の高さTHに最も近づくまで)であり得る。もちろん、DOE、P、TH、TD、TL及びTRは、前駆体ウェブ10の特性及び吸収性部材20の性質に依存して、互いに独立してそれぞれ様々であり得る。加えて、第一ロールの歯の形状は、第二噛合ロール上の歯の形状と同じであっても又は異なってもよい。
【0074】
図7は、本明細書では「ジグザグ状CD SELF」ロールと呼ばれるロール90の実施形態を示す。
図7に示されるように、ロール90の表面は、複数の離間配置された歯92を有する。歯92は、ジグザグ状のパターンに配置される。より具体的には、歯92は、ロールの周りに94及び96のような複数の円周方向に延在する軸方向に離間した列に配置される。また、各列における歯の間の空隙TDを別とすれば、各ロールにおける歯は、複数の円周方向に延在する軸方向に離間した交互の隆起と溝の領域を形成する。しかしながら、この場合、隣接した列の歯92は互いに対してずれている、又はジグザグ状である。歯の長さTL及び機械方向(MD)の空隙TDは、ロールをこれらの端部のうちの1つから見たときに隣接する列94及び96における歯が重なり合うか又は重なり合うように見えないか、のいずれかであるように画定することができる。示されている実施形態では、隣接する列における歯92は、0.5xの距離で円周方向にずれている(「x」は、歯の長さと所定の列における歯の間のMDの空隙TDとの和に等しい)。換言すれば、隣接する列における隣接する歯の前縁LEは、0.5xでMDにおいてずれている。このようなロール90は、1本のロールにおける歯の列が他のロールにおける歯の間の溝付きの領域と整列するようにニップを形成するために、別のロールと整列されてもよい。
図7に示されているロールは、まず隆起と溝をロールに切り込み、次に各切り込みが連続するようにロールの表面に歯92をらせん状に切り込むことによるといった、任意の好適な方法で作製することができる。所望される場合には、歯の輪郭(特に前及び後縁)は、プランジ切断を用いることにより、変更することができる。
【0075】
図8は、本方法において使用できる別の構成の凸要素102を有するロール100の表面の一部分を示す。
図8に示されるロールは、本明細書では回転ナイフ穿孔(又は「RKA」)ロールと呼ばれる。
図8に示されるように、ロール100は、歯102とそれらの間の溝の円周方向に延在する交互の列を備える。歯102は、角錘状の歯の形状を有し、最大で6つの側面を有することができ、各側面は通常三角形の形状である。歯102は、それらの基底部にて下方のロールに接合される。歯の基底部は、横断面幅寸法より大きい横断面長さ寸法を有する。歯102は、それらの基底部からそれらの先端にかけて一定の角度で先細にすることができ、あるいは、
図8において示されている歯におけるように、先細になる角度を変化させることもできる。
図8は、歯がそれらの先端に向かって先細になり始める前に、基底部に隣接する歯の側面の一部分が実質的に垂直であるように、基底部にて切頭を施されている側面を有する歯の例を示す。RKAロールは、米国特許出願公開第2006/0087053(A1)号により詳細に記載されている。
【0076】
図9は、本方法において使用できる別の構成の凸要素112を有するロール110の表面の一部分を示す。この実施形態では、前縁LE及び後縁TEは、ロールの表面と異なる角度を形成し、サメのヒレの形状と似ている(「フカヒレ歯」と呼ばれ得る)。前縁LEは、後縁TEよりもロールの表面と大きな角度を形成し得る。場合により、後縁TEは、ロールの表面に対してほぼ垂直である角度を形成し得る。
図9に示されているフカヒレ歯の変種では、フカヒレ歯112は、6つの側面114(このうちの3つが、描かれている歯の半分として示されている)を有するほぼ尖った角錘形状を有し、各側面はほぼ三角形の形状である。2つの側面の頂点は前縁LEを作り、2つの側面の頂点は歯112の後縁TEを作る。前縁又は後縁の頂点は相対的に鋭くてもよく、又は他の場合にはこれらは丸い曲率半径を有するように機械加工されてもよい。
図9に示されるように、歯は、それらの基底部からそれらの先端にかけて一定の角度で先細にすることができ、あるいは、角度を変化させることもできる。歯はまた、例えば、LE及びTEが頂点を形成する代わりに方形化されている場合に、6つ未満の側面を有することもできる。
【0077】
図10は、本方法において使用できる別の構成の凸要素122を有するロール120の表面の一部分を示す。
図10に示されているロールは、本明細書では「鈍頭フカヒレ」ロールとも呼ばれる。
図10に示されているように、
図9に示されているほぼ角錘形状は、尖った先端116を除去して台形を作るように、切頭することができる。切頭は、ほぼ平らな領域126が歯122の遠位端に作られるように歯の基底部から既定の距離で行うことができる。ほぼ平らな領域126は、歯122の横断面形に対応する面形を有することができる。したがって、ほぼ平らな領域126は細長くてもよく、すなわち、幅寸法より大きい長さ寸法及び歯122のアスペクト比に対応するアスペクト比ARを有することができる。一実施形態では、平らな領域126は、ほぼ尖った頂点にて側面124に移行することができる。他の実施形態では、この移行は、曲率半径において行うことができ、滑らかで丸みを帯びた平坦な歯の先端をもたらす。本明細書に記載の任意の他の歯の形状も同様に切頭して、異なる台形の歯の形状に成形することができる。
【0078】
図11は、本方法において使用できる別の構成の凸要素132を有するロール130の表面の一部分を示す。
図11に示されているロールは、本明細書では「ピン」ロールとも呼ばれる。先述のいくつかの歯の形状とは異なり、ピンロールの歯132は、切子面を施されておらず、すなわち、平らな面を含まない。ピンの歯132は、円又は楕円といった様々な断面形状を有することができる。歯の先端136は、尖った点になってもよく、丸みを帯びてもよく、あるいは、平らな表面を有するように切頭されてもよい。歯はまた、所定の角度で湾曲させてもよい。側壁134は、基底部から先端にかけて一定の角度で先細になっていてもよく、あるいは、側壁は角度を変化してもよい。例えば、歯130の頂部は、歯の軸と側壁134の間に30度の角度を有する円錐様形状を有してもよく、歯の基底部は、歯の軸に平行に走る垂直な側壁を有する円筒形状を有してもよい。
【0079】
本明細書に記載の様々な構成を有するロールが、それらの間にニップを形成するように任意の好適な組み合わせで互いに噛合させることができる。ロールは、同じ又は異なるパターンを備える別のロールと噛み合わせることができるが、歯が互いに接触しないような方法で行わなければならない。2つの噛合するロールは、第一ロール上の歯の列が第二ロール上の歯の列からCDにおいてずれている(又は間に配置される)ように、整列させることができる。
【0080】
ロールのいくつかの組み合わせについては、ウェブがニップを通過した後にロールのうちの1本又は両方からウェブを取り外すために様々な加工補助が必要である。例えば、シリコーン又はフッ化炭素のようなくっつき防止処理を加えることができる。ウェブをロールから取り外すのを助ける他の方法としては、エアナイフ又はブラッシングが挙げられる。一実施形態では、ロールのうちの少なくとも1本は、ウェブの取り外しのポイントで正空気圧をもたらすために内部チャンバ及び手段を有することができる。更に他の実施形態では、装置は、ロールの溝に穿通し、作動して溝からウェブを持ち上げることができる櫛又は被覆ワイヤの形態のウェブ取り外しシステムを備えることができる。
【0081】
図12及び13は、好適なロールの組み合わせの2つの非限定的な変種を示す。
図12は、(上部に示されている)RKAロール100と下部にあるフカヒレロール110とにより形成される噛合するロールの組み合わせを示す。もちろん、他の実施形態では、2本のロールの位置は逆になり得る。フカヒレロール110は、ロールからウェブを取り外すための力を低減するのを助け、そのロールについてのウェブ取り外し補助の必要をなくすことが分かった。同じことが、ロールの表面から90度を超える角度を形成する前縁LEを有する任意の歯の形状についても当てはまると考えられる。言及されている角度は、歯の外側のロールの表面の部分から前縁の間で測定される。典型的には、1本のロールの速度は、ウェブの速度に近く、噛合するロールの速度はウェブの速度よりも遅い。RKAロール(又は他のタイプのロール)に噛合したフカヒレロールについては、フカヒレロールは典型的にはより速い噛合するロールである。遅いロールに対する速いロールの表面速度比は、1.02以上、1.05、1.1、1.5、2.0又は3.0の任意の好適な量であり得る。
【0082】
図13は、(上部に示されている)CD SELFロール40と下部にあるフカヒレロール110とにより形成される噛合するロールの組み合わせを示す。他の実施形態では、2本のロールの位置は逆になり得る。様々な好適なロールの組み合わせとしては、限定するものではないが、以下の噛合するロールの構成が挙げられる:SELF/SELF、RKA/フカヒレ(
図12)、SELF/フカヒレ(
図13)、フカヒレ/フカヒレ、SELF/ピン、ピン/フカヒレ、及びピン/ピン。
【0083】
所望される場合、プロセスは、第一ロール上のニップにおける歯は、第二ロールのニップにおける歯と位相を合わせることができる。結果として、第一ロール上のニップにおける歯は常に、第二の噛合するロール上のニップにおける歯に対して同じ相対的な位置を有し、(たとえ異なる速度でロールが回転したとしても)ウェブ上に一定の反復パターンの変形をもたらす。
図14は、2本の噛合するロール(この場合、
図7に示されているような2本のジグザグ状CD SELFロール)上の歯がニップにおいてどのように整列してウェブ上に一定の反復パターンを作るかの例を示すウェブ10上の領域の概略平面図である。
図14は、第一ロール上の歯によりウェブ上の衝撃を加えられた領域30Aと、第二ロール上の歯により衝撃を加えられた領域30Bを示す。第一ロールからの変形はそれぞれ常に、第二ロールにより作られた隣接する変形に対して同じ相対的位置にある。本文脈で使用するとき、用語「隣接する」は、他のロールにより作られた最も近い変形(たとえ、その変形がウェブの反対表面上にあったとしても)を指す。このプロセスは、以下のものを包含する、これを達成するための複数の方法で設計することができる。
【0084】
一実施形態では、2本の噛合するロールの直径は同じであってもよく、これらのロールは、異なる軸速度又は回転毎分(rpm)にて駆動させてもよく、少なくとも1本のロール上のMDの歯の繰り返しの長さは、第一のロールと第二のロールのrpmの比が第一ロールと第二ロールのMDの歯の繰り返しの長さの比に等しくなるように、変えることができる。本明細書で使用するとき、用語「MDの歯の繰り返しの長さ」は、歯の長さTLと、歯の間のMDの歯間空隙TDと、の和を指す。
【0085】
別の実施形態では、これらのロールは、同じ軸速度又はrpmで駆動させることができ、ロール直径及びMDの歯の繰り返しの長さは、第一ロールと第二ロールの直径の比が第一ロールと第二ロールのMDの歯の繰り返しの長さに等しくなるように変えることができる。
【0086】
あるいは、このプロセスは、第一ロール上のニップにおける歯が、第二の噛合するロール上のニップにおける歯に位相を合わせず、第一ロール上の歯が、第二ロールの歯に対して歯の1つの列から次の列に一定のMD位置を維持しなくなるように、設計することができる。
図14Aは、2本の噛合するロール(2本のジグザグ状CD SELFロール)上の歯が、いくらかの間隔にて反復しながらもどのように変動パターンを作るかについての例を示すウェブ10上の領域の概略的平面図である。
図14Aは、第一ロール上の歯によりウェブ上の衝撃を加えられた領域30Aと、第二ロール上の歯により衝撃を加えられた領域30Bを示す。「変動」により意味されるものは、第一ロールからの変形が、歯の1つの列から次の列に隣接する変形に対して同じ相対的位置には常にあるわけではないということである。しかしながら、パターンは繰り返す。
図14Aに示される例では、パターンは、第一ロール上の歯の7列毎及び第二ロール上の5列毎に繰り返す。繰り返しの長さは、2本の噛合するロールの表面速度の比、直径及びMDの歯の繰り返しの長さに依存する。
【0087】
前駆体ウェブは、前駆体ウェブがシートの形状である場合、任意の好適な向きで機械的変形プロセスを通して供給することができる。前駆体材料がシートの形状である場合、個々のシートは、RKA又はSELF化プロセスのニップにシートを通過させることにより、重なり合う構成でこれらの端部で接合することができる。典型的には、前駆体材料は、ロール形状である場合、機械方向で機械的変形プロセスに供給される。
【0088】
III.他の代替的実施形態
様々な異なる特性を有する吸収性部材をもたらすために使用できる本明細書に記載の方法の数多くの代替的実施形態が存在する。
【0089】
これらの方法の全ては、密度低下(又は「密度低減」)工程を伴い得る。密度低下工程は、上記のように異なる表面速度で動く成形部材により形成される単一のニップ装置(すなわち、「速度差のある」ニップ)を利用してもよい。
【0090】
一部の代替的実施形態では、速度差のあるニップを形成する成形部材は、吸収性部材に領域特性の変動をもたらすために成形部材の表面にわたって変動を有する構成で成形要素を備え得る。
【0091】
一部の代替的実施形態では、密度低下工程は、1つ以上のニップ(すなわち、多数のニップ)を利用してもよい。これらの後者の実施形態では、多数のニップはそれぞれ、速度差のあるニップにより形成され得る。あるいは、装置は、多数のニップが少なくとも1つの速度差のあるニップを含み、少なくとも1つのニップが、実質的に同じ表面速度で動く複数の成形部材により形成される(「一致した速度」のニップ)、「ハイブリッド」プロセスを含んでもよい。多くの実施形態では、多数の速度の一致したニップが存在することが望ましいものであり得る。速度の一致したニップを形成する成形部材は、下記のような「入れ子型」構成が挙げられるがこれに限定されない多数の異なる構成で配置され得る。作動速度ニップ及び速度の一致したニップは、(プロセスにおいて)任意の順序で配置され得る。速度の一致したニップは、場合により、前駆体材料の各面に低下密度領域を有する前駆体材料(「二面密度低減」前駆体材料)又は前駆体材料の一面に低下密度領域を有する前駆体材料(「一面密度低減」前駆体材料)をもたらすように構成されてもよい。
【0092】
以下の方法のいずれかにおいて、前駆体ウェブ10は更に、前処理工程(密度低下工程の前に行う)及び/又は(密度低下工程の後に行う)にかけてもよい。前処理工程及び後処理工程は、様々な追加特性を有する吸収性部材をもたらす少なくとも1つの速度の一致したニップを利用してもよい。
【0093】
A.領域特性の変動を有する吸収性部材をもたらす方法
図15は、異なる材料特性が材料又は生成物の異なる領域において生じるように複数のロール140の少なくとも1本の表面が区域化できる実施形態を示す。多くの変更が可能であるが、示されているロール140の表面は、第一の高さを有するCD SELFの歯142を備える第一領域と、リングロール加工隆起及び溝144を備える第二領域と、を含み、この隆起はSELFの歯142よりも低い第二の高さを有する。例えば、
図15のロールにより加工されるウェブは、このウェブの他の領域(より低い高さのリングロール隆起により衝撃を加えられる)よりも、(SELFの歯により)多く密度低減され、かつ、高い高さ及び可撓性を有する領域を有し得る。成形部材(すなわち、成形型)の表面は、歯の形状、歯の高さ、歯の長さ、歯の間隔、分離した歯の位置の連続した隆起、1つ又は両方の成形部材上の歯の不在などの差異が挙げられ得る領域における差異を有し得る。表面に異なる特性の成形要素を有する領域を持つロールは、速度差のあるニップにおいて、あるいは、前駆体ウェブを前又は後処理するための速度の一致したニップにおいて、使用され得る。
【0094】
他の実施形態では、成形部材の表面の一部分にかけての1つの又は両方の成形部材における歯の不在を使用して、領域性密度低減を有する吸収性部材をもたらすことができる。用語「領域性密度低減」は、領域低減されない部分を有する吸収性部材を指す。領域性密度低減を有する吸収性部材を作成するためには、前駆体ウェブをxy平面の選択された面積/領域においてのみ密度低減する。これは、前駆体ウェブ材料の部分をその元の状態にしておくように、成形要素を含まない成形部材の選択された部分を用意することにより、行うことができる。
【0095】
B.多数のニップを採用する方法
1.多数の速度差のあるニップを利用する方法
図16は、二対のロール150及び152を含む装置を示し、「対になったロール」と呼ばれ得る。対のロールはそれぞれ2本のロール150Aと150B、及び、152Aと152B、を含み、これらはそれぞれその間に単一のニップNを形成する。
図16に示されている実施形態では、4本のロールが示される。しかしながら、この装置は、任意の好適な数のロールを含むことができる。多数のニップを通して前駆体ウェブ10を動かすことが望ましい場合には、多数のロールが有用である。
【0096】
速度差のあるロールにより形成される多数のニップを使用して、例えば、厚さ/嵩の増加、より速い流体捕捉のための表面密度低下、及び/又は、可撓性の増加といったように、前駆体ウェブの特性を更に向上させることができる。2対以上のロールが存在する任意の実施形態では、対のロールの以下の特性(成形要素の形状、DOE、及び、異なるニップにおけるロール間の速度差)のうちの1つ以上は、別の対のロールに対して変えることができる。
【0097】
図16Aは、吸収性部材を作製するための装置の別の実施形態である。
図16Aに示されている装置は、中心ロール160と、この中心ロール160上に多数のニップを形成する衛星ロール162、162及び166と、を含む遊星構成を有する。このロール配置では、衛星ロールのうちの少なくとも1本は、中心ロールに対して速度差を設けて制御され得る。他の遊星ロールは、中心ロールに対して、速度差を有しながら、又は速度を一致させて、のいずれかで制御され得る。
【0098】
2.少なくとも1つの速度差のあるニップと速度の一致したニップとの組み合わせを利用する密度低下方法
上述のように、本明細書に記載の方法の変種は、少なくとも1つの速度差のあるニップと少なくとも1つの速度の一致したニップとを含み得る多数のニップを利用してもよい。本明細書で使用するとき、語句「実質施的に同じ速度」及び「速度の一致した」は、同義であり、複数のロール又は他の成形部材の間に1.01未満の速度比しか存在しないことを意味する。ロールの速度は、表面又は周速度で測定される。場合により、多数の速度の一致したニップが存在することが望ましいものであり得る。速度の一致したニップを形成する成形部材は、多数の異なる構成で配置され得る。速度差のあるニップ及び速度の一致したニップは、任意の順序で配置され得る(いずれが先に実施されてもよい)。
【0099】
速度差のあるプロセスが、速度の一致したプロセス単独で達成できるものよりも少ないニップで嵩及び可撓性のはるかに大きな増加を前駆体ウェブにもたらせることが判明した。追加の速度の一致したロールを使用して、成形されたウェブの表面密度を更に低下させることができ、可撓性を増加することができ、あるいは、速度差のあるプロセス単独では達成できなかったはずの他の特性をウェブにもたらすことができる。したがって、速度差のある及び速度の一致したロールの組み合わせは、最も少ない数のニップで所望される特性の全てをもたらすことができる。
【0100】
任意追加の速度の一致したロールは、(1)(
図17に示されるように)速度差を設けて回転するロールの前又は上流に、(2)(速度差を設けて回転する2対以上のロールが存在する場合に)速度差を設けて回転するロールの間に、(3)(
図18に示されるように)速度差を設けて回転するロールの後又は下流に、あるいは、(4)これらの任意の組み合わせに、配置されるニップをもたらし得る。
【0101】
追加の速度の一致したロール170の表面は、機械的変形の所望のタイプに依存して、実質的に滑らかである(すなわち、アンビルロール)か、各ニップが、分離性の凸成形要素を有する少なくとも1本のロールを含む限り、突出部又は「凸」要素を含む成形要素を備えるか、であり得る。隆起及び溝を有する表面を持つロールについては、隆起は、凸成形要素であると考えられる。凸要素は、分離性(例えば、SELFの歯、ピン又はRKAの歯)であっても、又は、連続性(例えば、リングロール上の隆起)であってもよい。一部の実施形態では、成形構造の構成要素は、エンボス加工に使用されるもののような、分離性の凸要素と、噛合する分離性の凹要素と、の組み合わせを実質的に含まないか、又は、完全に含まないものであり得る。
【0102】
ロールの間に任意の好適な数の追加のニップを形成する任意の好適な数の追加のロールが存在し得る。前駆体ウェブを受け入れる速度の一致したニップの数は、1から、2〜100、又はそれ以上の範囲であり得る。場合により、例えば、30以上もの数のニップに前駆体ウェブ10を通すことが望ましいこともある。前駆体ウェブ10を30のニップに通すためには、ロールが対の構成に配置されている場合、30対のロールが存在する必要がある。しかしながら、このようなロール構成は、非常に多くのロールが必要とされ、多数のロールが製造現場の過剰な空間を占有するので、最善ではない。したがって、本出願者らは、ロール配置の改善された構成を開発した。ロールは、実施形態に依存して、側面から見たときに、対をなした構成(
図16)、遊星構成(
図16A)、入れ子型構成(
図17及び18に示されている装置の一部)及びこのような構成の組み合わせ(ハイブリッド)(
図17及び18)といった、任意の好適な構成で配置することができる。これらのロール構成は、米国特許出願第13/094,206号(2011年4月26日出願)に更に詳細に記載されている。
【0103】
図17の左側(及び
図18の右側)に示されている装置の部分180は、「入れ子型ロール」構成と呼ばれる。この装置の入れ子型ロール部分において、ロール170は、これらの側面(すなわち、これらの端部)から見たときにずれている構成で配置され、ロール170B、170C及び170Dなどの1本のロールは、これらのロールのうちの少なくとも2本が他のロールと2つ以上のニップNを画定するように、2本の隣接するロールの間の隙間に配置される。典型的には、入れ子型構成では、少なくとも4本のほぼ円筒形のロールが存在する。
【0104】
入れ子型ロール構成は、複数の利点をもたらし得る。入れ子型ロール構成は、非入れ子型ロール構成よりもロールの合計数当たりのニップを多くもたらし得る。これは、対のロール装置よりも成形型(機械加工されたロール)への必要が実質的に少なく済む。入れ子型ロール構成は、ウェブが最初のニップに入る点からウェブが最後のニップを出る位置までウェブの全ての部分が複数のロールのうちの少なくとも1本と接触したままなので、変形を位置合わせするためのウェブの制御をより良好に維持する。入れ子型ロール構成はまた、製造現場に小さな設置面積を有する。
図17及び18に示されている入れ子型ロール構成全体はまた90°回転することができ、これにより、ロールは垂直に積層され、装置は製造現場において更に小さな空間を占有することになる。
【0105】
図19は、2本の速度の一致したロール182及び184の表面の1つの非限定的実施形態の拡大図である。ロール182及び184は、平行な関係に配置された回転軸を有する各回転シャフト(図示されず)により担持される。この実施形態では、ロール182及び184の各々は、Procter & Gamble CompanyのSELF技術のロールのうちの1つの変形を含む。この実施形態では、SELFロール上の成形要素(又は歯)は、機械方向(MD)において配向されている、より長い寸法を有する。
図19に示されるように、このDOEは、
図5に示されているもののような速度差を設けて回転するロールのDOEよりも小さいものであり得る。多くの場合、速度の一致したロールのDOEは、前駆体ウェブの厚さよりも小さく、あるいは更には負である(この場合、ロールが噛み合わないように、ロール間に開放された間隙が存在する)。下記の表の例は、これらのプロセスの速度の一致した部分についての設定の例を表し、DOEに対する厚さの比が典型的には1以上であることを示している。負のDOE値については、DOEに対する厚さの比は、厚さをDOEの絶対値で除算することに得る。
【0107】
図20は、材料のウェブ10が間にある、ロールの複数の相互係合した歯50と52及び溝54の更なる拡大図である。示されているように、ウェブ10の一部は、
図1に示されているもののような前駆体ウェブであり得、各ロールの相互係合した歯50及び52と、溝54との間に収容されている。ロールの歯50及び52と溝54との相互係合により、ウェブ10の横方向に離間した部分12は歯50及び52により対向する溝54の中に押圧される。速度の一致した成形ロールの間を通過する間に、ウェブは歯50及び52の周りで屈曲し、せん断力をウェブの中にかけ、これにより、水素結合の選択的な破断及び保存、並びに、繊維の解きほぐしをもたらす。
図20に示されているように、歯50及び52は、前駆体ウェブ10の厚さ全体を穿通する必要はない。
【0108】
概して、最小の数の打撃で最大量の密度低減を得るためには、ウェブの一体性の部分を保存しながら、歯の周りの屈曲の量を最大化し、材料にかかる圧縮の量を最小化するために短い歯の長さTL及び小さな先端の半径TRを有することが望ましいものであり得る。したがって、歯の先端の半径TRが0.5mm(約0.020インチ)未満であることが望ましいものであり得る。しかしながら、これは、変形からの力が印加されるときに容易に破断しない歯を有する必要と釣り合わなければならない。歯の間の歯の間隔TDは、材料がそれぞれ歯の前縁(LE)及び後縁(TE)の周りで屈曲できるのに十分な大きさであるべきである。TDが小さ過ぎると、材料は歯の間の間隙を埋め、密度低減の量が少なくなってしまう。歯の最適ピッチは、前駆体材料10の厚さに依存し、典型的にはウェブ10の厚さの約2倍である。ピッチPが小さ過ぎると、材料10は、複数の通過の後でも、高密度のままである。ピッチPが高過ぎると、ロールが一緒に噛合した後の歯の間のCDの空隙は、ウェブ10の厚さよりも大きくなり、歯は、水素結合を選択的に破断することが必要であるウェブの層の間のせん断を十分に作れない。
【0109】
本明細書に記載の歯は、材料が歯一面にわたって屈曲するように屈曲材料10の圧密化の量を最小にすべく、典型的なエンボス加工プロセスにおいて使用される凸要素よりも小さな先端半径TRを有し得る。また、エンボス加工とは異なり、歯の間のすきま又は本明細書に記載の成形型の歯の先端の間の最短距離Dは、ウェブにおいて追加のせん断力をかけるためにウェブ10の厚さよりも小さいものであり得る。これにより、より多くの量の材料の密度低減がもたらされるが、それは、水素結合がウェブの外側表面上で破断されるだけでなく、ウェブの外側表面の内側でも破断され得るからである。
【0110】
ウェブ10をウェブ横方向に局部的に伸長した結果、ウェブの幅が大きくなるため、速度の一致した成形ロールから出るウェブ材料は、出る材料が実質的に平らな横方向に拡張された状態のままであれば、入ってくるウェブ材料の坪量よりも低い坪量を有し得る。得られた変性ウェブは、最初のウェブの幅の約100%〜約150%の範囲であり得るウェブ幅と、ウェブの元の坪量以下である坪量と、を有し得る。
【0111】
上記の速度の一致したニップを形成するロールは、吸収性部材を作るための速度差のあるプロセスにかけられる前に前駆体ウェブに様々な低減された密度特性をもたらすように構成され得、これにより、「中間前駆体ウェブ」15を形成する。中間前駆体ウェブは、前駆体ウェブの各面上に密度低下区間(「二面密度低減中間前駆体ウェブ15」)、又は、前駆体ウェブの一面上に密度低下区間(「一面密度低減」中間前駆体ウェブ15)を有し得る。速度の一致したニップにおいて使用される成形部材はまた、二面が密度低減されている、一面が密度低減されている、及び/又は、密度低減されていない、xy領域を有する中間前駆体ウェブ15をもたらすように構成され得る。
【0112】
i.二面密度低減前駆体ウェブ
図17に示されているプロセスの一変種では、追加の速度の一致したロールは、前駆体ウェブの両面上の密度を低下させるように(すなわち、二面密度低減中間前駆体ウェブをもたらすように)構成することができる。
【0113】
図19に示されている装置は、
図21に示されているもののような二面密度低減中間前駆体ウェブ15を作製するための装置の一例である。面15A及び15Bの両方の上の低密度部分200と、それらの間に高密度領域202と、を有する中間前駆体ウェブ15を形成するために、(少なくとも1つのニップにおけるロールの両方といった)成形構造構成要素170の両方は、これらの表面上に成形要素を有するべきである。成形要素に好適な構成としては、SELFロール、マイクロSELFロール、ピンロール及びRKAロールが挙げられるが、これらに限定されない。示されている実施形態では、ロール170の各々は、Procter & Gamble Companyのジグザグ状CD SELF技術のロールのうちの1つを含む。この実施形態では、SELFロール上の成形要素(又は歯)は、機械方向(MD)において配向されている、より長い寸法を有する。
【0114】
約200〜700gsmの範囲の坪量を有する前駆体ウェブ10から
図21に示されているもののような中間前駆体ウェブ15を作製するために、歯は、約0.5mm(0.020インチ)以下〜約10mm(0.400インチ)、又は約1mm(0.040インチ)〜約3mm(0.120インチ)の範囲の長さTLと、約0.5mm(0.020インチ)〜約10mm(0.400インチ)、又は約1mm(0.040インチ)〜約3mm(0.120インチ)の空隙TDと、約0.5mm(0.020インチ)〜約10mm(0.400インチ)、又は約2mm(0.080インチ)〜約5mm(0.200インチ)の範囲の歯の高さTHと、約0.05mm(0.002インチ)〜約0.5mm(0.020インチ)、又は約0.1mm(0.004インチ)〜約0.5mm(0.020インチ)の範囲の歯の先端の半径TRと、約1mm(0.040インチ)〜約10mm(0.400インチ)、又は約1.5mm(0.060インチ)〜約3mm(0.120インチ)のピッチPと、を有し得る。係合の深さDOEは、約−1mm(−0.040インチ)〜約5mm(0.200インチ)(歯の高さTHに最も近づくまで)であり得る。もちろん、E、P、TH、TD、TL及びTRはそれぞれ、中間前駆体ウェブ15において所望の特性を得るために互いに独立して変わり得る。
図21に示されているもののような中間前駆体ウェブ15を作製するのに有用なロールの一実施形態では、歯は、約2mm(0.080インチ)の均一な円周方向の長さ寸法TL、約0.13mm(0.005インチ)の歯の先端における歯の先端の半径TRを有し、約0.080インチ(2mm)の距離TDで円周方向に互いに均一に離間され、3.5mm(0.138インチ)の歯の高さTHを有し、約8.5度の歯の側壁角度を有し(半径の形成前に、歯の基底部から歯の先端近くに向けて測定された)、約2mm(0.080インチ)のピッチを有する。噛合するロールの歯の間のすきまは、プロットされる場合、係合の深さに対して直線的に変化する。この実施形態については、係合の深さ−0.25mm(−0.010インチ)にて噛んでいないロールの歯のすきまは0.86mm(0.034インチ)であり、係合の深さ0.38mm(0.015インチ)にて噛んでいるロールのすきまは0.74mm(0.029インチ)である。
【0115】
ii.一面密度低減前駆体ウェブ
図17に示されているプロセスの別の変種では、追加の速度の一致したロールは、前駆体ウェブの主に一面の密度を低下させるように構成することができる。一面密度低減中間前駆体ウェブ15を作製するための方法では、前駆体ウェブ10は、その上の分離性の成形要素を有するロールと相対的に滑らかな表面パターンを有する対向するロールとの間に形成されたニップを複数回通過させる。
【0116】
この場合、装置は、
図22に示されているもののような一面密度低減中間前駆体ウェブ15を作製するために使用される。この実施形態では、装置は、その上に成形要素を有するロールと相対的に滑らかな表面パターンを有する対向するロールとの間に複数のニップNをもたらす。例えば、装置の入れ子型ロール部分は、その上に成形要素を有する前駆体ウェブ10の第一面10A上にロール170A、170C及び170Eを有し、前駆体ウェブ10の第二面10B上のロール170B及び170Dは相対的に滑らかな表面パターンを有する。示されている実施形態では、相対的に滑らかな表面パターンを有するロール170B及び170Dは、その上に成形要素を有するロールのうちの2本とニップNを形成する。このような実施形態では、その上に成形要素を有するロール170A、170C及び170Eは、SELFロール、ピンロール及びRKAロールが挙げられるがこれらに限定されない任意の好適なタイプの、その上に分離性要素を有するロールを含むことができる。相対的に滑らかな表面を有するロール170B及び170Dは、任意の好適なタイプの、その上に成形要素を有するロールの表面よりも滑らかな表面を有するロールを含むことができる。相対的に滑らかな表面を有するロール170B及び170Dとしては、平らなアンビルロール、リングロール、又は、その上に成形要素を有するロールよりも滑らかな様々なパターンを有する別のSELFロールが挙げられるがこれらに限定されない。相対的に滑らかな表面を有するロール170B及び170Dがリングロール又はSELFロールのいずれかを含む場合には、このようなロールは、その上に成形要素を有するロールよりも小さなピッチ又は大きな先端半径でその上に要素を有し得る。滑らかな表面を有するロール170B及び170DがSELFロールを含む場合、このようなロールは、これらをよりリングロールのようにするために、より長い歯及び/又は歯の間のより小さなMDの空隙でその上に要素を有し得る。このような実施形態では、上記第一成形部材、その上に成形要素を有するロール170A、170C及び170Eの上の成形要素は、上記前駆体ウェブ材料10の第一表面10Aの中に前駆体ウェブ材料の厚さの途中まで穿通するだけであり、上記前駆体ウェブ材料の第二表面10Bは、相対的に滑らかな表面を有するロール170B及び170Dの表面と接触する。
【0117】
図22は、歪められた又は「一面密度低減」中間前駆体ウェブ15を形成するために複数の速度の一致したニップを通されたドライラップのウェブを示す。
図22において示されているように、中間前駆体ウェブ15は、前駆体ウェブの一面15Bに隣接する高密度区間202と、前駆体ウェブの別の面15Aに隣接する低密度区間200と、を有する一体型吸収性繊維層を含む。低密度部分200は、吸収性部材に液体捕捉をより速くするための空隙容積の増加をもたらし得る。高密度区間及び低密度区間は、吸収性部材の厚さ全体のかなりの部分を構成し得る。
【0118】
上記の方法の変種は、異なる特性を有する分離した層をもたらしてこのような層を一緒に結合する必要をなくす一体型構造に与えられる、密度特性を可能にする。これは、加工時に結合工程をなくし、分離した層を一緒に保持するための接着剤又は他の材料に対する必要もなくすことができる(接着剤は層の間の液体の移動に干渉する恐れがある)。
【0119】
本明細書に記載の速度の一致したニップにおける成形部材の操作の数多くの変種が可能である。本明細書に記載のプロセスは、ウェブが1つのニップから別のニップに通過して行くときに前駆体材料10をウェブの表面上で同じ位置において反対側の方向に局所的に屈曲するように構成及び制御することができる。装置はまた、ウェブが1つのニップから別のニップに通過して行くときに前駆体材料10をウェブの表面上で異なる位置において局所的に屈曲するように構成及び制御することができる。プロセスを出る前に前駆体材料が表面上の最大の数の異なる位置で変形するように、並びに、これが最小の数の打撃及び/又は最小の加工設置面積で達成されるように、ロールをパターン化及び配置することが望ましい。ロールは、ジグザグ状又は標準的パターンを有することができる。ロールは、MD及び/又はCDにおいて互いに対して整列する又はずれることができる。ロールは全てその上に同じSELFパターンを有してもよく、あるいは、ロール上のパターン及び/又はDOEはロール間で(すなわち、ニップ通過それぞれについて)様々であり得る。各通過についての所望のDOEは、各通過における前駆体材料の厚さに依存する。小さな加工設置面積における材料10の密度低減を最大化する装置の例は、
図23に示されている。
図23に示されているように、装置は、CDにおいて互いに対して互い違いになっている3本のロールが複合したクラスター212が存在ようにハイブリッド構成で配置されているロール210を含む。
【0120】
C.前処理及び/又は後処理
他の実施形態では、
図24及び25に示されているもののような装置は、前駆体材料10が密度低減プロセスを通過する前及び/又は通過した後に、前駆体材料10を前処理及び/又は後処理するために使用することができる。
図24及び25では、密度低減プロセスは、ブロック220により概略的に表されている。密度低減プロセス220は、上記のように、少なくとも1組の速度差のある成形部材を含むが、速度の一致した成形剤部材も含み得る。これらの装置は、追加の成形ステーション230を形成するロール232及び234のような成形部材を更に含む。このような場合、追加のニップを形成する成形部材は、速度差でよりもむしろ実質的に同じ速度で回転し得る。
【0121】
これらの追加の前処理及び/又は後処理工程は、(1)吸収性部材の再高密度化又は圧密化した変種、(2)三次元(3D)トポグラフィーを有する吸収性部材、(3)吸収性部材の有孔変種、並びに(4)上記のタイプの吸収性部材のいずれかの代替的実施形態及び組み合わせ、が挙げられるがこれらに限定されない特性を有する吸収性部材を形成するために使用することができる。これらの方法及び吸収性部材のタイプの各々は、以下に詳細に説明される。
【0122】
1.圧密化吸収性部材を形成するための方法
一部の実施形態では、前駆体材料は、上記のように密度低減され、材料の表面積の少なくとも一領域は、その後、圧密化される。この圧密化工程は、材料の毛管吸引力を増加させる又は少なくとも選択領域において材料の剛性を増加させるために、行われ得る。密度低減吸収性部材は、その表面全体にわたって又はその少なくとも一領域にわたって圧密化(又は「再高密度化」)することができる。
図26は、前駆体ウェブ10を異なる密度領域を有する吸収性部材に成形する工程のための成形部材240の1つの非限定的実施例を示す。
図26において示されているように、成形部材240は、密度低減した吸収性材料をxy平面の選択された面積/領域においてのみ圧密化するためにその上に隆起した領域242を有するロールを含む。このプロセスは、ウェブの圧密化のレベル増加又は恒久的圧密化をもたらすために、圧密化工程前にウェブをミストすることにより補助され得る。
【0123】
図27は、圧密化ウェブの例を示す。
図27に示されているように、吸収性部材20は、画像の右側に再高密度化又は圧密化された領域250を有する。
図27の左側の吸収性部材20の領域252は、圧密化されず、密度低減されたままである。他の実施形態では、吸収性部材20全体が再高密度化又は圧密化され得る。再高密度化又は圧密化された密度特性を有する吸収性部材は、薄さが決定権をもたらし得る点で有用であることができ、これは一部の消費者にとって重要である。再高密度化又は圧密化吸収性部材において、密度低減吸収性部材の可撓性における改善の大半は、圧密化のレベルが高過ぎない場合に、保持することができる。
【0124】
2.吸収性部材に三次元トポグラフィーをもたらす方法
他の実施形態では、吸収性部材は、三次元トポグラフィー(すなわち、速度差のあるロールにより形成される任意の3Dトポグラフィーに加えて)を備えることができる。このような実施形態では、吸収性部材20の第一表面及び第二表面のうちの少なくとも1つは、追加の(場合によってはより大きな)突出部及び/又はくぼみを備え得る。吸収性部材に三次元トポグラフィーをもたらすことは、ウェブのトポグラフィーを変化させるだけでなく、場合によっては、ウェブの厚さ/嵩を更に増加させる。
【0125】
三次元吸収性部材をもたらす方法は、前駆体ウェブが上記のように密度低減される前及び/又は後に、三次元構造を前駆体ウェブの中に形成するためのプロセスに前駆体ウェブをかけることを伴う。三次元吸収性部材の作製方法は、したがって、上記の装置のうちの1つを使用することによるといったように、前駆体ウェブ材料をまず密度低減することを伴い得る。密度低減された吸収性材料は次に、その上に成形要素を有する成形部材を用い、実質的に等しい表面速度で移動させる
図25において示されているもののような更なる機械的変形工程にかけられる。密度低減された吸収性部材は、任意の好適な方法で更なる機械的変形工程にかけることができる。あるいは、
図24の場合のように、前駆体ウェブ材料10は、まず、その上に成形要素を有する成形部材を用い、実質的に等しい表面速度で移動させる機械的変形工程にかけられ、その後、上記の装置のうちの1つを用いて密度低減させてもよい。
【0126】
図25は、
図30に示されているもののような突出部270を有する三次元吸収性部材20を作製するための装置の1つの非限定的実施形態を概略的に示す。装置の密度低減部分220は、
図5、12又は13に示されているものと同様の2本のロールを含む第一の速度差のあるニップを異なる表面速度で含むことができ、追加の成形ステーション230は、ロールが実質的に同じ表面速度で回転する三次元成形ニップを含み得る。
図24に示されるもののような代替的実施形態では、前駆体ウェブ10は、三次元成形ステーションを通過させ、その後、密度低減プロセスの中を送ることができる。
【0127】
三次元成形ステーションは、前駆体ウェブ10に三次元表面組織を付与し、実質的に同じ表面速度で移動又は回転できる成形部材の任意の好適な組み合わせを含むことができる。三次元成形部材と呼ばれる成形部材のうちの少なくとも1つは、その上に凸要素を有すべきである。このようなロールとしては、例えば、SELFロール(CD又はMD SELF)が挙げられ得る。三次元成形ロールのいくつかの例は、以下に記載される。対向するロールの隆起又は歯の方向は、三次元成形ロール上のものと同じであるべきである。三次元成形ロールの要素と対向するロール上の成形要素との係合の深さは、ウェブにかなりの量のトポグラフィーを付与するために、典型的には少なくとも1mm(0.04インチ)又はそれ以上である。上記の要件を満たす任意のロールが、対向するロールとして使用することができる。対向するロールは、例えば、リングロール又はSELFロールのいずれかであり得る。
【0128】
図28は、前駆体ウェブ10を三次元吸収性部材に成形する工程のための三次元成形ロール260の1つの非限定的実施例を示す。
図28に示されているように、成形ロール260は、歯262が機械方向に配向され、ジグザグ状であるCD SELFロールを含む。
図28に示されている実施形態では、歯262の先端264は、凹状である。
図29は、前駆体ウェブ10を三次元吸収性部材に成形する工程のための成形部材80の別の実施例を示す。
図29に示されているように、成形部材80は、歯82がCDに配向され、ジグザグ状であるMD SELFロールを含む。ロール80は、ロールの円周に沿って配向された、そこに形成された離間配置チャネル88を有する。
図28及び29に示されているロールに好適な成形要素(又は歯)の寸法及びDOEの例は、下記に提供される。対向するリングロール又はSELFロール上の成形要素は、下記のロールと同じピッチを有し得る。
【0130】
3.有孔吸収性部材の作製方法
他の実施形態では、吸収性部材は、有孔であり得る。有孔吸収性部材の作製方法は、前駆体ウェブ材料の密度低減に前及び/又は後に、前駆体ウェブ材料を穿孔することを伴う。有孔吸収性部材を作製するための装置は、それゆえに、
図24又は25に示されているものと同様の構成を利用し得る。一実施例では、密度低減工程は、
図5、12又は13に示されているものと同様の2本のロールにより異なる表面速度で実行され得、穿孔工程は、穿孔装置によりなされる。
【0131】
前駆体ウェブ10は、任意の好適な方法で穿孔することができる。ダイパンチ又はRKAロールが挙げられるがこれらに限定されない当該技術分野において既知の任意の穿孔プロセスを使用することができる。前駆体ウェブ10は、その表面全体にわたって、又は、複数の領域内で、穿孔することができる。
図31は、前駆体ウェブ10を有孔吸収性部材に成形する工程のための穿孔ステーション280の1つの非限定的実施例を示す。
図31に示されているように、穿孔ステーション280は、一対の逆回転する噛み合うローラーを含み、上方のロール282はリングロールであり、下方のロール284は、回転ナイフ穿孔(又は「RKA」)ロールである。
図31に示されるように、上方のリングロール282は、円周方向に延在する隆起286と溝288を含む。下方のロール284は、円周方向に延在する、歯290と溝292の交互の列を含む。歯290は、それらの基底部にて下方のロールに接合される。歯290はこれらの基底部からこれらの先端に向かって先細になっており、歯の基底部は、横断面幅寸法よりも大きな横断面長さ寸法を有する。孔は、RKAロール上の歯がリングロール282上の溝と噛み合うときにウェブ材料10に成形される。RKAロールは、米国特許出願公開第2006/0087053(A1)号により詳細に記載されている。
【0132】
D.他のプロセスの特徴
上記の方法の数多くの代替的実施形態及び組み合わせが可能である。例えば、前駆体ウェブは、本明細書に記載の装置に任意の回数にわたって送ることができ、ウェブはその後、これらの装置のうちの別のものに任意の回数にわたって送ることができる。加えて、2つ以上の吸収性部材及び/又は他の材料を組み合わせて、更に他の吸収性構造を形成することができ、これらの積層体を本明細書に記載の装置のいずれかに一緒に通すことができる。
【0133】
前駆体材料を密度低減するための装置は、吸収性物品の製造プロセスにおいて、任意の好適な位置又は段階にて用いることができる。一部の実施形態では、この方法は、ハンマーミルにおいて材料の細動を除くのに必要とされるエネルギーを低減するために、前駆体材料をハンマーミルに送る前に前処理工程として働くことができる。他の実施形態では、この方法及び装置は、ハンマーミルにより以前は占有されていた位置のような吸収性物品製造ラインから離れた位置にあるハンマーミルの代わりに、用いることができる。更に他の実施形態では、吸収性物品製造ラインから離れた位置にある代わりに、ドライラップの細動を除くための装置は、吸収性物品がラインにおいて作製する際にすぐに使用できる仕上げ完了した吸収性部材を調製するために、吸収性物品製造ラインの開始点又はその近く(又はいくつかの他の便利な点)でユニット操作として配置することができる。
【0134】
前駆体材料のロールの幅を吸収性コア又は成形されることが所望される他の構造の幅若しくは長さに等しくして、吸収性部材材料のロールが便利に個々のコアに切り出せるようにすることが望ましいものであり得る。
【0135】
下記のプロセスは、したがって、1つの表面上に凸要素と、対向する表面上にその凸要素が中に嵌っている凹要素と、を採用するエンボス加工装置と対比して、対向する表面同士の上に凸要素を有する装置を使用し得る。加えて、本プロセスでは、要素間のすきまは、ウェブの厚さよりも小さいものであり得る。これは、ウェブ上に(要素間のすきまが処理されるウェブのすきま以上であることを必要とする装置と対比して)増加したせん断力を印加するのに使用され得る。本明細書に記載のプロセスは、前駆体材料の表面上の弱い水素結合を破断して前駆体材料の表面を軟らかくできるだけでなく、より強い水素結合及び材料の内側に向かう結合を選択的に破断して、著しく密度低減させ、ウェブを弱めることもできる。このプロセスは、前駆体ウェブの厚さ(荷重をかけて測定)を著しく増加させるために使用することもできる。前駆体ウェブの構造は強度のために特定の区間において保存することができ、一方、水素結合は捕捉のために他の区間において破断することができる。
【実施例】
【0136】
【表3】
【0137】
上記の表1の実施例1〜3は、400gsmのドライラップのサンプルを表し、また上記の表でも本発明に従って機械的に変形されている。各実施例について、上記の表1に列挙されている成形型、係合の深さDOE及び表面速度比を使用して、約80ミリメートルの幅のドライラップのウェブが約305メートル/分(1,000フィート毎分)で処理される。
【0138】
フカヒレロールは、
図9に示されているものと同様である。歯は、ジグザグ状に配置され、長手方向がMDで走るように配向される。歯は、2.5mm(0.100インチ)のCDピッチPと、10.5mm(0.414インチ)のMDにおける均一な先端間空隙と、を有する。フカヒレ歯の基底部は、六角形様の形状をしており、長さTLは6.0mm(0.238インチ)である。歯の高さTHは、7.4mm(0.291インチ)である。歯の側壁は、10度の夾角を有する(すなわち、各側壁は垂直から5度の角度をなす)。歯は、尖った先端と、歯の基底部から歯の先端に向かって一定角度で先細になる歯の全部で6つの側面と、を有する。フカヒレは、
図12に示されているように配向され、歯の前縁LEは、ロールの基底部と後縁TEよりも大きな角度をなす。歯の前縁LEはロールの基底部と129度の角度をなし、歯の後縁TEはロールの基底部と90度の角度をなす。ロール半径は、14.4cm(5.69インチ)である。
【0139】
サメヒレロールと噛合させるロールは、
図8に示されているものと同様のジグザグ状RKAロールである。RKAロール上の歯はまたジグザグ状に配置され、長手方向がMDに走るように配向される。歯は、2.5mm(0.100インチ)のCDピッチPと、5.7mm(0.223インチ)のMDにおける均一な先端間空隙と、を有する。RKAの歯の基底部は、六角形様の形状をしており、6.9mm(0.270インチ)の歯の高さTHを有する。歯の側壁は、13.6度の夾角を有する(すなわち、各側壁は垂直から6.8度の角度をなす)。歯は、尖った先端と、歯の先端〜歯の基底部で一定角度で先細になる歯の側壁と、を有する。歯の前縁LEと後縁TEは、50度の夾角を有する(すなわち、各縁は垂直から25度の角度をなす)。歯の前縁及び後縁を作る頂点を形成する壁は、歯の先端〜歯の先端の4.3mm(0.170インチ)下にある歯の点で一定の角度で先細になる。次に、壁は、その角度を歯の基底の0.100”(2.54mm)について垂直である(すなわち、ロールの基底部に対して90度の角度にある)ように変える。RKAロールとフカヒレロールは、互いに対してCDにおいて、歯のいずれの側においてもすきまがほぼ等しくなるように、互い違いである。フカヒレとRKAロール上の歯の位置は、MDにおいてどの方法でも決して位置合わせされない。RKAロールの表面速度は、表に示されている表面速度比により、フカヒレロールの表面速度よりも遅い。この表面速度比を作るために、フカヒレロールは36の歯のギアで走行し、RKAロールは(実施例1の比1.19については)43の歯のギアで、及び、(実施例2及び3の比1.3については)47の歯のギアで、走行する。
【0140】
上記の表1の実施例4はまた、本発明に従って機械的に変形された400gsmのドライラップのサンプルを表す。約80ミリメートルの幅のドライラップのウェブは、
図7に示されているもののような同じSELFロールに1.07mm(0.042インチ)のDOEにて噛合させたSELFロールを使用して、約15m/分(約50フィート毎分)で処理される。第一SELFロールは36の歯のギアで走行し、一方、第二SELFロールは38の歯のギアで走行し、これにより、2本のSELFロール間の表面速度比1.06がもたらされる。SELFロールは、14.4cm(5.6875インチ)の直径を有する。SELF歯は、概ね前縁LE〜後縁TEで測定される約2mm(0.080インチ)の均一な円周方向の長さ寸法TLと、約0.13mm(0.005インチ)の歯の先端における歯の先端の半径TRと、を有し、約2mm(0.078インチ)の距離TDで互いに周囲方向に均一に離間され、3.5mm(0.138インチ)の歯の高さTHを有し、(半径の形成前に歯の基底部から歯の先端近くに向かって測定される)約8.5度の歯の側壁の角度を有し、約2mm(0.080インチ)のピッチを有する。2本のSELFロールは、互いに対してCDにおいて、歯のいずれの側においてもすきまがほぼ等しくなるように、互い違いである。2本のSELFロール上の歯は、MDにおいてどの方法でも決して位置合わせされない。
【0141】
上記の表1の実施例5はまた、複数の速度の一致したニップと、続いて速度差のあるニップを用いて機械的に変形された400gsmのドライラップを示す。約80ミリメートルの幅のドライラップのウェブは、等しい表面速度で回転する同じSELFロールに0.38mm(0.015インチ)のDOEにて噛合させたSELFロール(上記実施例4で説明)を使用して、約15m/分(約50フィート毎分)で処理される。ウェブは、SELF成形型を4回通って処理される。次に、ウェブは、フカヒレロールに1.9mm(0.075”)のDOEにて噛合させたRKAロール(上記実施例1〜3において説明)を後続工程において通して処理される。フカヒレロールは36の歯のギアで走行し、一方、RKAロールは47の歯のギアで走行し、これにより1.31の表面速度比がもたらされ、フカヒレロールはRKAロールよりも速く回転する。RKA及びフカヒレロールは、歯のいずれの側のすきまもほぼ等しくなるように、CDにおいて互いに対して互い違いである。RKAとフカヒレロール上の歯は、MDにおいてどの方法でも決して位置合わせされない。
【0142】
V.試験方法
A.厚さ方法
装置
材料の厚さは、56.4ミリメートルの半径の円形足部を有するThwing−Albert ProGage Thickness Tester又は同等物を使用して、定量化される。
【0143】
試料の数及び調製
試験を完了するのに最少で3つの代表サンプルが必要である。合計で3つの試験試料のために3つのサンプルそれぞれから1つの試料が切り取られる。試料は、サンプルの(例えば、長手方向と横断方向の中心線の交差点における中心に位置する)中心から切り取られる。試験される試料の部分はただ、明細書により定義されているような一体型吸収性部材を含むべきである。したがって、吸収性部材の部分ではない他の材料は、材料の厚さが影響を受けないように、注意深く除去しなければならない。測定される試料は、足部の表面積全体が測定されるサンプルと接触するようになるように、65ミリメートル以上の直径でなければならない。
【0144】
手順
試験装置は、あらゆる測定が行われる前にゼロ目盛りに合わせる。足部は、試験試料が配置される表面よりも12.7mm(0.5インチ)で開始し、3.175mm毎秒(0.125インチ毎秒)の速度で降下する。足部が0.51キロパスカルの目標圧力に到達すると、足部はその圧力を保ちながら9秒にわたって試料と接触を維持する。その9秒間の終わりに読み取りを行う。
【0145】
計算
サンプルはそれぞれ個別に測定され、サンプルの平均が0.01ミリメートル単位で報告される。
【0146】
B.坪量方法
坪量は、標準試験WSP 130.1単位面積当たりの質量についての標準的な試験方法に基づいて、測定される。
【0147】
装置
材料の重量は、Mettler Toledo balance型番AG245又は同等物を用いて、定量化される。
【0148】
試料の数及び調製
試験を完了するのに最少で3つの代表サンプルが必要である。合計で3つの試験試料のために3つのサンプルそれぞれから1つの試料が切り取られる。測定される試料は、ダイを使用して、50mm×200mmに切り取られる。試料は、サンプルの(例えば、より長い寸法が長手方向に対応する、長手方向と横断方向の中心線の交差点における中心に位置する)中心から切り取られる。試験される試料の部分はただ、明細書により定義されているような一体型吸収性部材を含むべきである。したがって、吸収性部材の部分ではない他の材料は、材料の坪量が影響を受けないように、注意深く除去しなければならない。
【0149】
手順
試験装置は、あらゆる測定が行われる前にゼロ目盛りに合わせる。各サンプルの重量は測定され、0.01グラム単位で報告される。
【0150】
計算
坪量は、以下の等式を用いて3つの試料のそれぞれから計算される:
【0151】
【数1】
【0152】
サンプルはそれぞれ個別に測定され、サンプルの平均が0.01グラム毎平方メートル単位で報告される。
【0153】
C.嵩密度の計算
与えられるサンプルの嵩密度は、上記の方法に従う、与えられているサンプルについて測定された厚さ及び坪量を用いて、以下の等式に従って計算される。
【0154】
【数2】
【0155】
サンプルそれぞれの嵩密度は個別に計算され、サンプルの平均嵩密度が0.01グラム毎立方センチメートル単位で報告される。
【0156】
D.引張方法
MD及びCDのピーク引張は、標準試験WSP 110.4(05)−オプションB、不織布材料の破断力及び伸張についての標準的試験方法(ストリップ方法)に基づく方法を用いて測定されるが、仕上がった製品においてはより短い標点距離でも測定は可能である。
【0157】
装置
引張方法に必要な装置は、以下の部分からなる:1)100mm/分の一定の伸張速度を有するMTS Synergie 400(型番SYN400)又は同等物;2)100Nのロードセル(型番SYN100)又は同等物、あるいは、変形したドライラップのようなより硬い材料用の500Nのロードセル(型番SYN500)又は同等物。
【0158】
試料の数及び調製
最少で8つの代表サンプルが必要であり、4つはMDの引張試験用であり、4つはCDの引張試験用である。試料は、サンプルの(例えば、長手方向と横断方向の中心線の交差点における中心に位置する)中心から切り取られる。試験される試料の部分はただ、明細書により定義されているような一体型吸収性部材を含むべきである。したがって、吸収性部材の部分ではない他の材料は、材料の引張強度が影響を受けないように、注意深く除去しなければならない。MD引張試験用のサンプルを調製するために、試料は各サンプルから50mmのCD幅と70mmのMD長さでダイカットされる。女性用パッドなどの製品から採取されるサンプルについては、MDはパッドの長手方向を表すとみなされ、CDはMDと直交する方向である。CD引張試験用のサンプルを調製するために、試料は各サンプルから50mmのMD長さと50mmのCD幅でダイカットされる。
【0159】
手順
標準試験WSP 110.4(05)−オプションBを以下の標点距離の変更に合わせる:
1.MDピーク引張:50mmの標点距離
2.CDピーク引張:30mmの標点距離
【0160】
計算
ピーク引張は、その試料についての最大の力の読み取り値である。各試料は個別に測定され、サンプルの平均ピークMD引張及び平均ピークCD引張が0.1N単位で報告される。
【0161】
本明細書に開示した大きさ及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような大きさのそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40グラム」として開示された大きさは、「約40グラム」を意味することを意図する。
【0162】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、そうしたより小さい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、あたかもそれらの大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているものと同様にして含むものである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるそれよりも狭い全ての数値範囲を、あたかもそれらのより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているものと同様にして含むものである。
【0163】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照することにより組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲については、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0164】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。