【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1に係るめっき装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るめっき装置の構成を示した模式図である。
図2は、本発明の実施例1に係るめっき装置におけるめっき槽内の構成を模式的に示した斜視図である。
図3は、本発明の実施例1に係るめっき装置におけるパイプ組立体の構成を模式的に示した斜視図である。
図4は、本発明の実施例1に係るめっき装置におけるパイプ内の仕切部の構成を模式的に示した部分断面図である。なお、
図2においては、
図1のアノード材料21、アノードバッグ22、アノードマスク板23、カソードマスク板33、及び、めっき材搬送ガイドワイヤ34を省略している。
【0025】
図1を参照すると、めっき装置1は、被めっき材2に金属(例えば、銅など)をめっきする装置である。めっき装置1は、めっき槽内のめっき液3中に配置された被めっき材2に向けてめっき液を噴流させて、被めっき材2に対してめっきを施す噴流式である。めっき装置1は、被めっき材2の仕様(例えば、サイズ、めっき厚、スルーホールやビアのアスペクト比)や、めっき液3の種類によって、被めっき材2に噴流されるめっき液3の流量を制御可能な構成となっている。
【0026】
めっき装置1は、主な構成部として、めっき槽10と、パイプ11a、11bと、仕切板12a、12bと、ノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bと、上辺パイプ13a、13bと、供給口14a、14bと、下辺パイプ15a、15bと、供給口16a、16bと、アノードケース20と、アノード材料21と、アノードバッグ22と、アノードマスク板23と、カソードクランプ30と、カソード吊り金具31と、カソードレール32と、カソードマスク板33と、めっき材搬送ガイドワイヤ34と、ポンプ40と、流路41a、41bと、バルブ42と、流量センサ43と、流路44と、電子制御装置45と、を有する。
【0027】
ここで、被めっき材2は、めっきが形成される基材である(
図1、
図2参照)。被めっき材2は、カソードクランプ30に挟まれて保持(把持)されており、カソードクランプ30及びカソード吊り金具31を介してカソードレール32に吊り下げられている。被めっき材2は、カソードクランプ30、カソード吊り金具31、及びカソードレール32を介してカソード(陰極)に電気的に接続されている。被めっき材2には、例えば、金属基材、プリント配線基板(配線、ビア、スルーホール等を形成する準備ができたもの)を用いることができる。被めっき材2は、プリント配線基板の場合、最初に配線、ビア、スルーホール等を形成する領域の絶縁材料の表面をパラジウム含有浴で活性処理し、その後、無電解銅めっきにより銅の薄膜を析出させて導電性を付与した状態のものが用いられる。この状態のプリント配線基板の銅の薄膜をカソードに電気的に接続して電解処理を行うと、プリント配線基板の銅の薄膜上に銅めっきが形成(析出)される。
【0028】
また、めっき液3は、アノード材料21に含まれる金属原子が酸化された金属イオン(陽イオン)を含む電解液である(
図1参照)。めっき液3は、例えば、アノード材料21が銅の場合、硫酸銅などの一種類以上の金属塩が溶解した水溶液を用いることができる。めっき液3に含まれる金属イオンは、アノード材料21から供給され、カソードとなる被めっき材2の表面で還元されてめっきされる。めっき液3には、細部濡れ性、硬さ、光沢性等の要求を満足させるために添加剤を含有させてもよい。
【0029】
めっき液3は、めっき槽10内から流路44を通じてポンプ40に引き込まれ、ポンプ40によって流路41a、41b、及び、パイプ(11a、11b、13a、13b、15a、15b)を通じてノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bに圧送され、ノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bからめっき槽10内のめっき液3中に配置された被めっき材2に向けて噴流される。
【0030】
めっき槽10は、めっき液3を溜め込んだ容器である(
図1、
図2参照)。めっき槽10内には、被めっき材2が配される位置の両側(
図1の左右両側)に、被めっき材2の搬送をガイドする複数本のめっき材搬送ガイドワイヤ34が配置されており、めっき材搬送ガイドワイヤ34が配される位置の外側にパイプ11a、13a、15aよりなるパイプ組立体、及び、パイプ11b、13b、15bよりなるパイプ組立体が設置されており、パイプ組立体が配される位置の外側に、アノードケース20及びアノード材料21が入ったアノードバッグ22が配置されている。また、めっき槽10内には、カソードとなる被めっき材2の下側端部の近傍をアノード材料21に対してマスクするカソードマスク板33が配置されており、アノード材料21の下側端部の近傍をカソードとなる被めっき材2に対してマスクするアノードマスク板23が配置されている。
【0031】
パイプ11aは、上辺パイプ13a及び下辺パイプ15aからのめっき液3を一時的に溜めてノズルN1a〜N6aに送るための管状の容器である(
図1〜
図4参照)。パイプ11aは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。パイプ11aは、上下方向に延在するように配されている。パイプ11aは、上辺パイプ13aと下辺パイプ15aとの間にて複数本配されており、上辺パイプ13a及び下辺パイプ15aが延在する方向にて等間隔に配されている。パイプ11aの側壁面には、パイプ11a内のめっき液3を被めっき材2に向けて噴流するように複数のノズルN1a〜N6aが等間隔で取り付けられている。パイプ11a内には、上側の液室R1aと下側の液室R2aとに仕切る仕切板12aが固定されている。仕切板12aは、パイプ11a内のノズルN3aとノズルN4aとの間の部位に配されている。パイプ11aの上端部は、液室R1aに係るめっき液3の供給口となっており、上辺パイプ13aと流通可能に接続されている。パイプ11aの下端部は、液室R2aに係るめっき液3の供給口となっており、下辺パイプ15aと流通可能に接続されている。液室R1aに係るめっき液3の供給口と、液室R2aに係るめっき液3の供給口とは、互いに離間している。ノズルN1a〜N3aは、液室R1aに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。ノズルN4a〜N6aは、液室R2aに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。
【0032】
パイプ11bは、上辺パイプ13b及び下辺パイプ15bからのめっき液3を一時的に溜めてノズルN1b〜N6bに送るための管状の容器である(
図1、
図2参照)。パイプ11bは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。パイプ11bは、上下方向に延在するように配されている。パイプ11bは、上辺パイプ13bと下辺パイプ15bとの間にて複数本配されており、上辺パイプ13b及び下辺パイプ15bが延在する方向にて等間隔に配されている。パイプ11bの側壁面には、パイプ11b内のめっき液3を被めっき材2に向けて噴流するように複数のノズルN1b〜N6bが等間隔で取り付けられている。パイプ11b内には、上側の液室R1bと下側の液室R2bとに仕切る仕切板12bが固定されている。仕切板12bは、パイプ11b内のノズルN3bとノズルN4bとの間の部位に配されている。パイプ11bの上端部は、液室R1bに係るめっき液3の供給口となっており、上辺パイプ13bと流通可能に接続されている。パイプ11bの下端部は、液室R2bに係るめっき液3の供給口となっており、下辺パイプ15bと流通可能に接続されている。液室R1bに係るめっき液3の供給口と、液室R2bに係るめっき液3の供給口とは、互いに離間している。ノズルN1b〜N3bは、液室R1bに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。ノズルN4b〜N6bは、液室R2bに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。
【0033】
上辺パイプ13aは、各パイプ11aの上端部を結ぶ上辺に配置された管状の部材である(
図1〜
図3参照)。上辺パイプ13aは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。上辺パイプ13aは、流路41aからのめっき液3が供給される供給口14aを有する。上辺パイプ13aは、各パイプ11aの上端部と流通可能に接続されており、供給口14aからのめっき液3を各パイプ11aの液室R1aに分配する。供給口14aは、各パイプ11aの液室R1aの共通の供給口となる。
【0034】
上辺パイプ13bは、各パイプ11bの上端部を結ぶ上辺に配置された管状の部材である(
図1、
図2参照)。上辺パイプ13bは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。上辺パイプ13bは、流路41aからのめっき液3が供給される供給口14bを有する。上辺パイプ13bは、各パイプ11bの上端部と流通可能に接続されており、供給口14bからのめっき液3を各パイプ11bの液室R1bに分配する。供給口14bは、各パイプ11bの液室R1bの共通の供給口となる。
【0035】
下辺パイプ15aは、各パイプ11aの下端部を結ぶ下辺に配置された管状の部材である(
図1〜
図3参照)。下辺パイプ15aは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。下辺パイプ15aは、流路41bからのめっき液3が供給される供給口16aを有する。下辺パイプ15aは、各パイプ11aの下端部と流通可能に接続されており、供給口16aからのめっき液3を各パイプ11aの液室R2aに分配する。供給口16aは、各パイプ11aの液室R2aの共通の供給口となる。
【0036】
下辺パイプ15bは、各パイプ11bの下端部を結ぶ下辺に配置された管状の部材である(
図1、
図2参照)。下辺パイプ15bは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。下辺パイプ15bは、流路41bからのめっき液3が供給される供給口16bを有する。下辺パイプ15bは、各パイプ11bの下端部と流通可能に接続されており、供給口16bからのめっき液3を各パイプ11bの液室R2bに分配する。供給口16bは、各パイプ11bの液室R2bの共通の供給口となる。
【0037】
アノードケース20は、アノード材料21をめっき液3に吊るした状態にするための導電材料よりなる網状のケースである(
図1、
図2参照)。アノードケース20は、アノード(陽極)に電気的に接続されており、アノード材料21と接触している。アノードケース20は、パイプ組立体(パイプ11a、11b、13a、13b、15a、15b)の外側に配置されている。アノードケース20は、めっき液3に対して、アノード材料21に用いられる材料よりも不溶性の材料が用いられ、例えば、チタン製のバスケット(バッグ)を用いることができる。
【0038】
アノード材料21は、めっきのもととなる金属を含む材料である(
図1参照)。アノード材料21は、表面積を多くするためボール状に形成されている。アノード材料21には、銅めっきを施す場合、銅、銅合金、純銅等が用いられ、例えば、チタン基材を銅の酸化膜などで焼成した不溶性カソードや、可溶性の含リン銅ボールを用いることができる。アノード材料21は、アノードケース20内に多数入っており、アノードケース20と接触し、アノードケース20を介してアノード(陽極)と電気的に接続されている。アノード材料21は、電解処理により減少したときに、定期的にアノードケース20に補給される。
【0039】
アノードバッグ22は、電解処理する際にアノード材料21から副生されるスラッジを外部に出さないようにするための袋状の布である(
図1参照)。アノードバッグ22には、アノード材料21を収容したアノードケース20が入っている。アノードバッグ22は、スラッジを溜められるように、アノードケース20よりも下側に長く形成されている。
【0040】
アノードマスク板23は、電解処理したときに電解集中しやすいアノード(アノード材料21)の先端部(
図1では下側端部)を、カソード(被めっき材2)に対して隠すように配置された板状の部材である(
図1参照)。アノードマスク板23は、パイプ11a、11bとアノードケース20との間においてアノードケース20の下側端部の近傍に配置されている。
【0041】
カソードクランプ30は、被めっき材2を保持(把持)してカソード(陰極)に電気的に接続するための導電性の部材である(
図1、
図2参照)。カソードクランプ30は、カソード吊り金具31の下側端部に固定されている。カソードクランプ30は、被めっき材2を着脱可能に保持(把持)する。カソードクランプ30は、被めっき材2(プリント配線基板の場合は銅の薄膜)と接続している。カソードクランプ30は、カソード吊り金具31及びカソードレール32を介してカソード(陰極)に電気的に接続される。
【0042】
カソード吊り金具31は、カソードクランプ30に保持(把持)された被めっき材2をカソードレール32に吊り下げるための導電性の金具である(
図1、
図2参照)。カソード吊り金具31は、下側端部にカソードクランプ30が固定されており、上側部分でカソードレール32の延在方向に沿ってスライド可能にカソードレール32に引っ掛かっている。カソード吊り金具31は、カソードレール32とカソードクランプ30とを電気的に接続する。
【0043】
カソードレール32は、カソード(陰極)に電気的に接続された棒状で導電性の部材である(
図1、
図2参照)。カソードレール32は、被めっき材2の上方で水平に配置されており、上辺パイプ13a、13b及び下辺パイプ15a、15bと平行に配置されている。カソードレール32は、カソード吊り金具31がカソードレール32の延在方向に沿ってスライド可能に引っ掛けられており、カソード吊り金具31を介してカソードクランプ30に保持(把持)された被めっき材2が吊り下げられる。
【0044】
カソードマスク板33は、電解処理したときに電解集中しやすいカソード(被めっき材2)の先端部(
図1では下側端部)を、アノード(アノード材料21)に対して隠すように配置された板状の部材である(
図1参照)。カソードマスク板33は、パイプ11a、11bと被めっき材2との間において被めっき材2の下側端部の近傍に配置されている。カソードマスク板33は、被めっき材2のサイズに応じて上下方向に移動可能である。
【0045】
めっき材搬送ガイドワイヤ34は、カソードレール32の延在方向に沿って被めっき材2を搬送する際に被めっき材2がノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bからの噴流による振れを抑えるようにガイドするワイヤである(
図1参照)。めっき材搬送ガイドワイヤ34は、被めっき材2の両側に複数本配されている。
【0046】
ポンプ40は、めっき槽10内のめっき液3を供給口14a、14b、16a、16bに向けて圧送する装置である(
図1参照)。ポンプ40は、めっき槽10内のめっき液3を流路44を通じて引き込み、引き込んだめっき液3を流路41a、41bを通じて供給口14a、14b、16a、16bに向けて圧送する。
【0047】
流路41aは、ポンプ40から圧送されためっき液3を上辺パイプ13a、13bの供給口14a、14bに供給するための流路である(
図1参照)。流路41aには、流量調整するバルブ42が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ43が設けられている。
【0048】
流路41bは、ポンプ40から圧送されためっき液3を下辺パイプ15a、15bの供給口16a、16bに供給するための流路である(
図1参照)。流路41bには、流量調整するバルブ42が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ43が設けられている。
【0049】
バルブ42は、流路41a、41bのめっき液3の流量を調整可能なコントロールバルブである(
図1参照)。バルブ42は、電子制御装置45と電気的に接続されており、流路41a、41bのめっき液3の流量を一定に保つように、電子制御装置45によって制御可能なものである。バルブ42は、流路41a、41bのそれぞれに設けられている。
【0050】
流量センサ43は、バルブ42で流量調整された流路41a、41bのめっき液3の流量を検出するセンサである(
図1参照)。流量センサ43は、電子制御装置45と電気的に接続されている。流量センサ43は、流路41a、41bのそれぞれに設けられている。
【0051】
流路44は、めっき槽10内のめっき液3をポンプ40に引き込むための流路である(
図1参照)。
【0052】
電子制御装置45は、流路41a、41bのめっき液3の流量を均一化するように制御するコンピュータである(
図1参照)。電子制御装置45は、各バルブ42及び各流量センサ43と電気的に接続されている。電子制御装置45は、所定のプログラマに基づいて制御処理を実行する。電子制御装置45は、流量センサ43で検出されためっき液3の流量を監視することにより、対応する流路41a、41bのバルブ42を制御する。電子制御装置45は、流量センサ43で検出された流量値が閾値(設定値)よりも大きければ、対応する流路41a、41bのバルブ42でめっき液3の流量を下げて閾値に近づくように制御し、流量値が閾値(設定値)以下であれば、対応する流路41a、41bのバルブ42でめっき液3の流量を上げて閾値に近づくように制御する。
【0053】
(流量試験)
次に、実施例1及び比較例に係るめっき装置の流量試験について図面を用いて説明する。
図5は、実施例1及び比較例に係るめっき装置におけるパイプの構成を模式的に示した比較図である。
図6は、実施例1及び比較例に係るめっき装置の流量試験結果を示した表である。
【0054】
図5を参照すると、比較例(従来例)では、パイプ11の一端からめっき液を供給してノズルN1〜N6から噴流する構成とする。実施例1では、パイプ11内のノズルN3とノズルN4との間の部位に仕切板12を設け、パイプ11の両端からめっき液を供給して、液室R1に供給されためっき液をノズルN1〜N3から噴流し、液室R2に供給されためっき液をノズルN4〜N6から噴流する構成とする。なお、流量試験では、
図3の上辺パイプ13aと下辺パイプ15aとの間に配されたパイプ11aのように、パイプ11を16本有する片側パイプ組立体を用いて試験を行った。また、流量試験では、片側パイプ組立体に供給される流量合計を100L/分と200L/分に変化させたときの各ノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量を測定した。
【0055】
流量合計が200L/分の場合、実施例1のノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量は2.05〜2.10L/分であり、比較例のノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量は1.92〜2.34L/分であった(
図6参照)。比較例では、ノズルの最大流量と最小流量の差は0.42となった。一方、実施例1では、ノズルの最大流量と最小流量の差は0.07であった。このことから、実施例1によれば、比較例よりもノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量のバラツキを小さくすることができるといえる
【0056】
流量合計が100L/分の場合、実施例1のノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量は0.99〜1.18L/分であり、比較例のノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量は072〜1.36L/分であった(
図6参照)。流量合計が100L/分と少なくなった場合、比較例ではめっき液の供給口に近いノズルほど流量が大きくかつ供給口から遠いノズルほど小さくなり、ノズルの最大流量と最小流量の差は0.64となった。一方、実施例1では、ノズルの最大流量と最小流量の差は0.19であった。このことから、実施例1によれば、比較例よりもノズルN1〜N6から吐出されるめっき液の流量のバラツキを小さくできる点は、流量合計が200L/分の場合と同様である。特に、パイプ11に供給される流量が小さくなるにしたがい、実施例1及び比較例のどちらもノズルから吐出される流量のバラツキは大きくなるものの、実施例1によれば、比較例よりもノズルから吐出される流量のバラツキが大きくなるのを抑えることができる。
【0057】
実施例1によれば、パイプ11a、11bに設けられた複数の供給口からめっき液を強制的に供給することによりノズルN1a〜N6a、N1b〜N6b間での流量のバラツキが小さく抑えられ、被めっき材2の全面に渡って均一なめっきを形成することができるようになる。また、複数の供給口からパイプ11a、11bにめっき液を強制的に供給するとともに、パイプ11a、11bの途中に仕切板12a、12bを設けることにより、供給口からノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bまでの距離が短くなり、各ノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bから吐出される流量のバラツキをさらに小さく抑えることができる。
【実施例2】
【0058】
本発明の実施例2に係るめっき装置について図面を用いて説明する。
図7は、本発明の実施例2に係るめっき装置の構成を示した模式図である。
【0059】
実施例2は、実施例1の変形例であり、1本のパイプ(11a、11b)内の途中に2つの仕切部(12a、12b)を設け、1本のパイプ(11a、11b)につき供給口を3つ設け、1つ供給口からの供給されるめっき液3を2つのノズル(N1a〜N6a、N1b〜N6b)から吐出するようにしたものである。
【0060】
パイプ11aは、流路41a、41b、41cからのめっき液3を一時的に溜めてノズルN1a〜N6aに送るための管状の容器である。パイプ11aは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。パイプ11aは、上下方向に延在するように配されている。パイプ11aは、等間隔に複数本配されている。パイプ11aの側壁面には、パイプ11a内のめっき液3を被めっき材2に向けて噴流するように複数のノズルN1a〜N6aが等間隔で取り付けられている。パイプ11a内には、上側の液室R1aと中間の液室R2aとの間、及び、中間の液室R2aと下側の液室R3aの間のそれぞれに仕切板12aが固定されている。仕切板12aは、パイプ11a内のノズルN2aとノズルN3aとの間、及び、ノズルN4aとノズルN5aとの間の部位に配されている。パイプ11aの上端部は、液室R1aに係るめっき液3の供給口となっており、流路41aと流通可能に接続されている。パイプ11aの中間部には、液室R2aに係るめっき液3の供給口が設けられており、流路41bと流通可能に接続されている。パイプ11aの下端部は、液室R3aに係るめっき液3の供給口となっており、流路41cと流通可能に接続されている。液室R1aに係るめっき液3の供給口と、液室R2aに係るめっき液3の供給口と、液室R3aに係るめっき液3の供給口とは、互いに離間している。ノズルN1a、N2aは、液室R1aに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。ノズルN3a、N4aは、液室R2aに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。ノズルN5a、N6aは、液室R3aに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。
【0061】
パイプ11bは、流路51a、51b、51cからのめっき液3を一時的に溜めてノズルN1b〜N6bに送るための管状の容器である。パイプ11bは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。パイプ11bは、上下方向に延在するように配されている。パイプ11bは、等間隔に複数本配されている。パイプ11bの側壁面には、パイプ11b内のめっき液3を被めっき材2に向けて噴流するように複数のノズルN1b〜N6bが等間隔で取り付けられている。パイプ11b内には、上側の液室R1bと中間の液室R2bとの間、及び、中間の液室R2bと下側の液室R3bの間のそれぞれに仕切板12bが固定されている。パイプ11bの上端部は、液室R1bに係るめっき液3の供給口となっており、流路51aと流通可能に接続されている。パイプ11aの中間部には、液室R2bに係るめっき液3の供給口が設けられており、流路51bと流通可能に接続されている。パイプ11bの下端部は、液室R3bに係るめっき液3の供給口となっており、流路51cと流通可能に接続されている。液室R1bに係るめっき液3の供給口と、液室R2bに係るめっき液3の供給口と、液室R3bに係るめっき液3の供給口とは、互いに離間している。ノズルN1b、N2bは、液室R1bに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。ノズルN3b、N4bは、液室R2bに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。ノズルN5b、N6bは、液室R3bに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。
【0062】
流路41a〜41cは、ポンプ40から圧送されためっき液3をパイプ11a内の対応する液室R1a〜R3aに供給するための流路である。流路41a〜41cには、それぞれ、流量調整するバルブ42が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ43が設けられている。
【0063】
バルブ42は、流路41a、41b、41cのめっき液3の流量を調整可能なコントロールバルブである。バルブ42は、電子制御装置45と電気的に接続されており、流路41a、41b、41cのめっき液3の流量を一定に保つように、電子制御装置(
図1の45に相当)によって制御可能なものである。バルブ42は、流路41a、41b、41cのそれぞれに設けられている。
【0064】
流量センサ43は、バルブ42で流量調整された流路41a、41b、41cのめっき液3の流量を検出するセンサである。流量センサ43は、電子制御装置(
図1の45に相当)と電気的に接続されている。流量センサ43は、流路41a、41b、41cのそれぞれに設けられている。
【0065】
ポンプ50は、めっき槽10内のめっき液3を液室R1a、R2b、R3bに向けて圧送する装置である。ポンプ50は、めっき槽10内のめっき液3を流路54を通じて引き込み、引き込んだめっき液3を流路51a、51b、51cを通じて液室R1a、R2b、R3bに向けて圧送する。
【0066】
流路51a〜51cは、ポンプ50から圧送されためっき液3を対応する液室R1b〜R3bに供給するための流路である。流路51a〜51cには、それぞれ、流量調整するバルブ52が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ53が設けられている。
【0067】
流路51bは、ポンプ50から圧送されためっき液3を液室R2bに供給するための流路である。流路51bには、流量調整するバルブ52が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ53が設けられている。
【0068】
流路51cは、ポンプ50から圧送されためっき液3を液室R3bに供給するための流路である。流路51cには、流量調整するバルブ52が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ53が設けられている。
【0069】
バルブ52は、流路51a、51b、51cのめっき液3の流量を調整可能なコントロールバルブである。バルブ52は、電子制御装置(
図1の45に相当)と電気的に接続されており、流路51a、51b、51cのめっき液3の流量を一定に保つように、電子制御装置(
図1の45に相当)によって制御可能なものである。バルブ52は、流路51a、51b、51cのそれぞれに設けられている。
【0070】
流量センサ53は、バルブ52で流量調整された流路51a、51b、51cのめっき液3の流量を検出するセンサである。流量センサ53は、電子制御装置(
図1の45に相当)と電気的に接続されている。流量センサ53は、流路51a、51b、51cのそれぞれに設けられている。
【0071】
流路54は、めっき槽10内のめっき液3をポンプ50に引き込むための流路である。
【0072】
なお、
図7では、電子制御装置(
図1の45に相当)を省略しているが、電子制御装置は、流路41a、41b、41c、51a、51b、51cのめっき液3の流量を均一化するように制御する。電子制御装置は、各バルブ42、52及び各流量センサ43、53と電気的に接続されている。電子制御装置は、所定のプログラマに基づいて制御処理を実行する。電子制御装置は、流量センサ43、53で検出されためっき液3の流量を監視することにより、対応する流路41a、41b、41c、51a、51b、51cのバルブ42、52を制御する。電子制御装置は、流量センサ43、53で検出された流量値が閾値(設定値)よりも大きければ、対応する流路41a、41b、41c、51a、51b、51cのバルブ42、52でめっき液3の流量を下げて閾値に近づくように制御し、流量値が閾値(設定値)以下であれば、対応する流路41a、41b、41c、51a、51b、51cのバルブ42、52でめっき液3の流量を上げて閾値に近づくように制御する。
【0073】
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0074】
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、実施例1のパイプ(
図1の11a、11b)よりも供給口数が多いので、実施例1よりも各ノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bから吐出される流量のバラツキをさらに小さく抑えることができる。
【実施例3】
【0075】
本発明の実施例3に係るめっき装置について図面を用いて説明する。
図8は、本発明の実施例3に係るめっき装置の構成を示した模式図である。
【0076】
実施例3は、実施例2の変形例であり、パイプ(11a、11b)内のノズル(N1a〜N6a、N1b〜N6b)間の全ての部位に仕切部(12a、12b)を設け、各ノズル(N1a〜N6a、N1b〜N6b)に対応する各液室(R1a〜R6a、R1b〜R6b)に供給口を設け、1つ供給口からの供給されるめっき液3を1つのノズル(N1a〜N6a、N1b〜N6b)から吐出するようにしたものである。
【0077】
パイプ11aは、流路41a〜41fからのめっき液3を一時的に溜めてノズルN1a〜N6aに送るための管状の容器である。パイプ11aは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。パイプ11aは、上下方向に延在するように配されている。パイプ11aは、等間隔に複数本配されている。パイプ11aの側壁面には、パイプ11a内のめっき液3を被めっき材2に向けて噴流するように複数のノズルN1a〜N6aが等間隔で取り付けられている。パイプ11a内には、ノズル間の部位のそれぞれに仕切板12aが固定されている。パイプ11aの上端部は、液室R1aに係るめっき液3の供給口となっており、流路41aと流通可能に接続されている。パイプ11aの液室R2aには、めっき液3の供給口が設けられており、流路41bと流通可能に接続されている。パイプ11aの液室R3aには、めっき液3の供給口が設けられており、流路41cと流通可能に接続されている。パイプ11aの液室R4aには、めっき液3の供給口が設けられており、流路41dと流通可能に接続されている。パイプ11aの液室R5aには、めっき液3の供給口が設けられており、流路41eと流通可能に接続されている。パイプ11aの下端部は、液室R6aに係るめっき液3の供給口となっており、流路41fと流通可能に接続されている。液室R1aに係るめっき液3の供給口と、液室R2aに係るめっき液3の供給口と、液室R3aに係るめっき液3の供給口と、液室R4aに係るめっき液3の供給口と、液室R5aに係るめっき液3の供給口と、液室R6aに係るめっき液3の供給口とは、互いに離間している。ノズルN1a〜N6aは、対応する液室R1a〜R6aに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。
【0078】
パイプ11bは、流路51a〜51fからのめっき液3を一時的に溜めてノズルN1b〜N6bに送るための管状の容器である。パイプ11bは、めっき槽10内のめっき液2中に配置されている。パイプ11bは、上下方向に延在するように配されている。パイプ11bは、等間隔に複数本配されている。パイプ11bの側壁面には、パイプ11b内のめっき液3を被めっき材2に向けて噴流するように複数のノズルN1b〜N6bが等間隔で取り付けられている。パイプ11b内には、ノズル間の部位のそれぞれに仕切板12bが固定されている。パイプ11bの上端部は、液室R1bに係るめっき液3の供給口となっており、流路51aと流通可能に接続されている。パイプ11bの液室R2bには、めっき液3の供給口が設けられており、流路51bと流通可能に接続されている。パイプ11bの液室R3bには、めっき液3の供給口が設けられており、流路51cと流通可能に接続されている。パイプ11bの液室R4bには、めっき液3の供給口が設けられており、流路51dと流通可能に接続されている。パイプ11bの液室R5bには、めっき液3の供給口が設けられており、流路51eと流通可能に接続されている。パイプ11aの下端部は、液室R6bに係るめっき液3の供給口となっており、流路51fと流通可能に接続されている。液室R1bに係るめっき液3の供給口と、液室R2bに係るめっき液3の供給口と、液室R3bに係るめっき液3の供給口と、液室R4bに係るめっき液3の供給口と、液室R5bに係るめっき液3の供給口と、液室R6bに係るめっき液3の供給口とは、互いに離間している。ノズルN1b〜N6bは、対応する液室R1b〜R6bに供給されためっき液3を被めっき材2に向けて噴流する。
【0079】
流路41a〜41fは、ポンプ40から圧送されためっき液3をパイプ11a内の対応する液室R1a〜R6aに供給するための流路である。流路41a〜41fには、それぞれ、流量調整するバルブ42が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ43が設けられている。
【0080】
バルブ42は、流路41a〜41fのめっき液3の流量を調整可能なコントロールバルブである。バルブ42は、電子制御装置45と電気的に接続されており、流路41a、41b、41cのめっき液3の流量を一定に保つように、電子制御装置(
図1の45に相当)によって制御可能なものである。バルブ42は、流路41a、41b、41cのそれぞれに設けられている。
【0081】
流量センサ43は、バルブ42で流量調整された流路41a〜41fのめっき液3の流量を検出するセンサである。流量センサ43は、電子制御装置(
図1の45に相当)と電気的に接続されている。流量センサ43は、流路41a〜41fのそれぞれに設けられている。
【0082】
流路51a〜51fは、ポンプ50から圧送されためっき液3を対応する液室R1b〜R6bに供給するための流路である。流路51a〜51fには、それぞれ、流量調整するバルブ52が設けられており、調整された流量を検出する流量センサ53が設けられている。
【0083】
バルブ52は、流路51a〜51fのめっき液3の流量を調整可能なコントロールバルブである。バルブ52は、電子制御装置(
図1の45に相当)と電気的に接続されており、流路51a〜51fのめっき液3の流量を一定に保つように、電子制御装置(
図1の45に相当)によって制御可能なものである。バルブ52は、流路51a〜51fのそれぞれに設けられている。
【0084】
流量センサ53は、バルブ52で流量調整された流路51a〜51fのめっき液3の流量を検出するセンサである。流量センサ53は、電子制御装置(
図1の45に相当)と電気的に接続されている。流量センサ53は、流路51a〜51fのそれぞれに設けられている。
【0085】
なお、
図8では、電子制御装置(
図1の45に相当)を省略しているが、電子制御装置は、流路41a〜41f、51a〜51fのめっき液3の流量を均一化するように制御する。電子制御装置は、各バルブ42、52及び各流量センサ43、53と電気的に接続されている。電子制御装置は、所定のプログラマに基づいて制御処理を実行する。電子制御装置は、流量センサ43、53で検出されためっき液3の流量を監視することにより、対応する流路41a〜41f、51a〜51fのバルブ42、52を制御する。電子制御装置は、流量センサ43、53で検出された流量値が閾値(設定値)よりも大きければ、対応する流路41a〜41f、51a〜51fのバルブ42、52でめっき液3の流量を下げて閾値に近づくように制御し、流量値が閾値(設定値)以下であれば、対応する流路41a〜41f、51a〜51fのバルブ42、52でめっき液3の流量を上げて閾値に近づくように制御する。
【0086】
その他の構成は、実施例2と同様である。
【0087】
実施例3によれば、実施例2と同様な効果を奏するとともに、ノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bごとに対応する供給口を設けているので、各ノズルN1a〜N6a、N1b〜N6bから吐出される流量をバラツキをさらに小さく抑え一定にすることができる。