特許第5841621号(P5841621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5841621アミノアルコール及び水性系のための殺生物剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5841621
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】アミノアルコール及び水性系のための殺生物剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/08 20060101AFI20151217BHJP
   A01N 43/66 20060101ALI20151217BHJP
   A01N 43/84 20060101ALI20151217BHJP
   A01N 47/12 20060101ALI20151217BHJP
   A01N 43/80 20060101ALI20151217BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20151217BHJP
   C07C 215/08 20060101ALN20151217BHJP
【FI】
   A01N33/08
   A01N43/66
   A01N43/84 101
   A01N47/12 Z
   A01N43/80 102
   A01P3/00
   !C07C215/08
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-2600(P2014-2600)
(22)【出願日】2014年1月9日
(62)【分割の表示】特願2009-545551(P2009-545551)の分割
【原出願日】2007年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-111611(P2014-111611A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年1月28日
(31)【優先権主張番号】60/880,333
(32)【優先日】2007年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/899,450
(32)【優先日】2007年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509195386
【氏名又は名称】アングス ケミカル カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コバーン,チャールズ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ポルマン,ジョン,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ピゾウスキー,ボニー,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブルート,パトリック,イー.
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ジョージ,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】スウェド,レイモンド,ジェイ.
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−503726(JP,A)
【文献】 特開昭52−025705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 33/08
A01N 43/66
A01N 43/80
A01N 43/84
A01N 47/12
A01P 3/00
C07C 215/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺生剤;および
式(II)の第一級アミノアルコール化合物:
【化1】

(式中、
は、C−Cアルキルまたはフェニルであり
は、−Cアルキルであり、
は、HまたはC−Cアルキルであり、
及びRは、ともに2又はそれ未満の炭素原子を含む
を含む殺生物組成物。
【請求項2】
前記アミノアルコール化合物が、2−アミノ−3−ヘキサノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘキサノール、3−アミノ−4−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−3−ヘプタノール、2−アミノ−1−フェニルブタノール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の殺生物組成物。
【請求項3】
水性系;及び請求項1または2に記載の殺生物組成物を含む、微生物増殖が阻害される組成物。
【請求項4】
前記第1級アミノアルコール化合物は、2−アミノ−4−エチル−3−オクタノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、及びそれらの塩からなる群より選択される、請求項1に記載の殺生物組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年1月12日出願の米国特許仮出願第60/880,333号、及び
2007年2月5日出願の米国特許仮出願第60/899,450号の優先権を主張する
【0002】
本発明は、水性系、例えば金属加工流体などで用いる殺生物組成物、使用法、及び新規
なアミノアルコール化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
短鎖アミノアルコールは、それらの耐蝕性、中和及びpH調節及び維持特性のために、
幅広い種類の用途において商業的に使用されている。かかる用途の一つは金属加工流体に
おけるものである。
【0004】
金属加工流体(「MWF」)は、それらの冷却剤特性、滑沢剤特性、及び耐蝕性のため
に、運転中、例えば金属切断、粉砕、ボーリング、掘削、及び旋削などの間、製造業全体
にわたって用いられている。これらの流体は、油、洗浄剤、界面活性剤、滑沢剤、防蝕剤
、水及びその他の成分の混合物からなり、通常、アルカリ性pHを維持し、MWF中の酸
機能性成分を中和するために、アミノアルコールを含む。
【0005】
水混和性MWFを製造及び使用している企業は、運用コスト及び廃棄物処理コストなら
びに製造時間のロスを最小限にするために、水混和性MWFが長持ちすることを望んでい
る。アミノアルコールを腐蝕抑制剤として含有する水混和性MWFは、微生物分解などの
プロセスにより経時的に劣化する。微生物は流体中の有効成分を餌とするので、微生物増
殖は流体の性能に直接関係する場合が多い。
【0006】
微生物増殖を促進せず、長期間にわたって性能を維持する、アミノアルコール成分に対
する産業上の必要性が存在する。それら自体は殺生物性ではないが、水性MWFで使用さ
れる広い範囲の殺生物剤の性能を強化するアミノアルコールに対する必要性も存在する。
第二級アミンが常用されているが、世界の特定の地域では第二級アミンの使用に関して法
令による制限があるために、上記の目的を果たす第一級アミンが望ましいであろう。
【0007】
本発明は上記の必要性に対応する。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、本発明は殺生物組成物を提供する。この組成物は、殺生剤及び殺生物性で
ない第一級アミノアルコール化合物を含み、該第一級アミノアルコール化合物は、式(I
)の化合物である:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、下に定義されるとおりである)。
【0009】
もう一つの態様では、本発明は、水性系(すなわち微生物増殖を促進するために十分な
水を含有する系)、例えば、本明細書に開示される殺生物組成物を含む金属加工流体を提
供する。
【0010】
もう一つの態様では、本発明は、水性系で微生物の増殖を阻害する方法であって、本明
細書に記載されるように当該系に有効量の組成物を添加することを含む、上記方法を提供
する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、新規なアミノアルコール化合物及びそれらの塩を提
供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】殺生物剤を含まない8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
図2】殺生物剤を含まない8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
図3】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
図4】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
図5】ベンズイソチアゾリノン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
図6】ベンズイソチアゾリノン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
図7】トリアジン殺生物剤を含有する8%アミノアルコール系流体のマイコバクテリアの増殖データを示すグラフである。
図8】トリアジン殺生物剤を含有する4%アミノアルコール系流体の細菌の増殖データを示すグラフである。
図9】トリアジン殺生物剤を含有する4%アミノアルコール系流体の真菌の増殖データを示すグラフである。
図10】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)の細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図11】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、BIOBAN P−1487(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図12】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図13】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、トリアジン/IPBC殺生物剤ブレンドの真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図14】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、ベンズイソチアゾリノン(BIT)の細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図15】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、ベンズイソチアゾリノン(BIT)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図16】従来の2種類のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)ブレンドの細菌に対する性能向上を比較するグラフである。
図17】従来のアミノアルコールと比較した、本発明のアミノアルコールでの、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(CMIT/MIT)の真菌に対する性能向上を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、少なくとも6個、好ましくは12個までの炭素原子を含有する第一級ア
ミノアルコールが、それら自体は殺生物性ではないが、驚くことに、様々な媒体で用いら
れる殺生物剤の性能を向上させることを見出した。上記のように、本発明の一態様は殺生
物組成物の提供である。殺生物組成物は、殺生剤と、殺生物性でない式(I)の第一級ア
ミノアルコール化合物を含む。
【0014】
殺生剤(本明細書において「殺生物剤」又は「防腐剤」とも称される)は、微生物、例
えば細菌、カビ、粘液、真菌、藻などを死滅させるか又はそれらの増殖を阻害するあらゆ
る物質であり、それにはホルムアルデヒド系及び非ホルムアルデヒド系殺生剤が含まれる
。適した薬剤の具体的な、限定されない例としては、トリアジン類、例えば1,3,5−
トリス−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン及びトリメチル−1,3,5−トリ
アジン−1,3,5−トリエタノールなど、一例はTroy Corporationに
よるGROTAN、ヨードプロピニルブチルカルバメート、例えばTroy Corpo
rationにより提供されるPOLYPHASEなど、1,2−ベンズイソチアゾリン
−3−オン、例えばThe Dow Chemical Companyにより販売され
るBIOBAN BIT、4,4−ジメチルオキサゾリジン、一例はThe Dow C
hemical Company製のBIOBAN CS−1135、7−エチルビシク
ロオキサゾリジン(The Dow Chemical Co.によりBIOBAN C
S−1246として販売されている)、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4
'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモルホリンの組合せ(The Dow
Chemical Co.によりBIOBAN P−1487として販売されている)、
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾ
リン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せ、例えばRohm
&Haas Corporationにより提供されるKATHONという商標のものな
ど、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、オクチルイソチアゾリノン、
ジクロロ−オクチルイソチアゾリノン、ジブロモ−オクチルイソチアゾリノン、フェノー
ル類、例えば、o−フェニルフェノール及びp−クロロ−m−クレゾールなど、ならびに
それらの対応するナトリウム塩及び/又はカリウム塩、ナトリウムピリチオン、亜鉛ピリ
チオン、n−ブチルベンズイソチアゾリノン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−
トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、クロロタロニル、カルベンダジム、ジ
ヨードメチルトリルスルホン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DB
NPA)、グルタルアルデヒド、N,N’−メチレン−ビス−モルホリン、エチレンジオ
キシメタノール(例えばTroyshield B7)、フェノキシエタノール、(例え
ば、Comtram 121)、テトラメチロールアセチレンジウレア(例えばProt
ectol TD)、ジチオカルバミン酸、2,6−ジメチル−m−ジオキサン−4−オ
ールアセテート(例えばBioban DXN)、ジメチロール−ジメチル−ヒダントイ
ン、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、二環式オキサゾリジン(例えばNuos
pet95)、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物が挙げられる。本発明では、非
ホルムアルデヒド剤が、先進国において工業的に選好されるために好ましいが、本発明の
利点の一つは、本発明が幅広い種類の殺生物剤に適用可能であることである。
【0015】
特に好ましい殺生物剤は、トリアジン、置換オキサゾリジン、ベンズイソチアゾリノン
、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ナトリウムピリチオン、オクチルイソチアゾリ
ノン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソ
チアゾリン−3−オンの組合せ、フェノール類、グルタルアルデヒド、2,2−ジブロモ
−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、1−(3−クロロアリル)−3,5,
7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、N,N’−メチレン−ビス−モル
ホリン、ならびにそれらの2又はそれ以上の混合物である。
【0016】
第一級アミノアルコール化合物は、式(I):
【化2】
(式中、
1及びR3は、各々独立に、H、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキ
ニル基、シクロアルキル、又はアリール(好ましくは、フェニル)であるか、あるいは、
1、R3及びそれらと結合している炭素はシクロアルキル環を形成し、
2及びR4は、各々独立に、H又はアルキルであり、但し、R2及びR4はともに2又は
それ以下の炭素原子を含み;かつ
5は存在しないか、又はC1−C10脂肪族アルキレン(架橋アルキル)、アリーレン(
好ましくは、フェニル)、−アリーレン−アルキレン−、又は−アルキレン−アリーレン
−(例えば、ベンジル、フェネチルなど)であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、アリール、及びアリーレンは、アル
キル又はフェニルで置換されていてもよく、かつ、式(I)の化合物は、少なくとも6個
の炭素原子、好ましくは12個以下の炭素原子を含む)の化合物である。
【0017】
式(I)の一部の好ましい実施形態では、R1は、C1−C6アルキル、より好ましくは
直鎖もしくは分枝鎖プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル、さらに特に好ましくは
n−ブチルである。
【0018】
式(I)の一部のさらなる好ましい実施形態では、R2はメチルである。その他の好ま
しい実施形態では、R2はエチルである。一層さらに好ましい実施形態では、R2はHであ
る。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、R3は水素であり、R4も水素である。
【0020】
また好ましくは、R5は存在しないか(すなわち、結合である)又は、メチレンもしく
はエチレン架橋である。
【0021】
さらに好ましい式Iのアミノアルコールとしては、式(II)の化合物が挙げられる:
【化3】
(式中、
1は、C2−C6アルキルであり;かつ
2及びR4は、各々独立に、H又はC1−C2アルキルであり、R2及びR4はともに2又
はそれ以下の炭素原子を含み、かつ、該化合物は少なくとも6個の炭素原子を含む)。
【0022】
本発明における使用に特に好ましい第一級アミノアルコールとしては、2−アミノ−3
−ヘキサノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘキサノール、3−アミノ−4−オクタ
ノール、2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、2−アミノ−4−エチル−3−オ
クタノール、2−アミノ−3−ヘプタノール、2−アミノ−1−フェニルブタノール、及
びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいものは3−アミノ−4−オクタノールであ
る。
【0023】
アミノアルコールは酸塩の形態で使用されてもよい。適した塩としては、限定されるも
のではないが、ホウ酸、乳酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、ネオデカン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸、クエン酸、安息香酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、トール油脂肪酸、エチレンジアミンテトラ酢酸などの物質が挙げら
れる。
【0024】
殺生物組成物にはさらなる添加剤が含まれてよく、それには、例として、その他の腐蝕
抑制剤、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−1
−エタノール(MEA)、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)、ビス(2−ヒド
ロキシプロピル)アミン(DIPA)、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(TI
PA)、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン(DEA)、トリス(2−ヒドロキシエチ
ル)アミン(TEA)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(DGA)、又はそれら
の混合物が含まれる。これらのさらなる添加剤の中であまり好ましくないものは、第二級
アミンである、なぜなら世界の様々な地域で一層厳しく規制されているためである。
【0025】
上記のように、アミノアルコールは殺生物性でない、すなわちそれらは殺生物性の増殖
を有意に阻害しない。つまり、典型的な使用レベル(例えば、希釈したMWF中4000
ppmまで)で、これらの物質は、この目的のために意図される認識された殺生剤の程度
まで微生物増殖を阻害しない。これは、保護されていない流体中の本発明の化合物の1つ
(3A4O)のデータ(図1)を、同じ流体中で認識された殺生剤(トリアジン)と組み
合わせた、本発明のものでないアミノアルコール(AMP)のデータ(図3)と比較する
と明白である。
【0026】
アミノアルコール化合物は当業者により当技術分野で周知の技法を用いて容易に調製す
ることができる。例えば、かかる化合物は、ニトロアルカンと芳香族アルデヒドもしくは
ケトンの反応、又はより好ましくは、脂肪族アルデヒドとの反応、それに続いて接触水素
化により調製することができる。
【0027】
本発明の組成物は、アミノアルコール化合物及び殺生物剤を様々な重量比で含み、それ
は、例として使用される特定の殺生物剤、及び特定の水性媒体によって決まる。この比は
当業者が容易に決定することができる。一般的な一つの例として、アミノアルコールの殺
生物剤に対する重量比は、一般に、約0.25:1又はそれ以上、好ましくは約500:
1又はそれ以下である。さらなる好ましい量は下に記載される。
【0028】
本明細書に記載されるアミノアルコールの一部は新しい。従って、本発明のさらなる態
様は、新規なアミノアルコール化合物及びそれらの塩の提供である。新規な化合物は、2
−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール、及び2−アミノ−4−エチル−3−オクタノ
ールである。
【0029】
上記のように、本発明の殺生物剤を含有する組成物は、水性系において微生物の増殖を
阻害するために有用である。本発明の組成物が特に適する好ましい系は、金属加工流体(
MWF)である。組成物は、可溶性油、合成、半合成、非合成、エマルジョン形成、及び
非エマルジョン形成流体を含む、全ての種類のMWFとともに使用することができる。一
般に、MWFは、濃縮形態で提供され、使用前に水で希釈される。本発明は、殺生物組成
物を含有する金属加工流体濃縮物、その希釈された金属加工流体、水で予め希釈した金属
加工流体濃縮物、ならびに殺生物組成物が添加されている非濃縮物金属加工流体を包含す
る。一般に、1重量部のMWF濃縮物は、約10から約100部の水、より好ましくは1
0から50部の水、さらに最も好ましくは、15から30部の水で希釈される。
【0030】
本発明の殺生物組成物を含有する金属加工流体及び濃縮物は、炭化水素油を含んでよく
、炭化水素油は合成又は非合成であってもよい。慣用される合成及び非合成油の例として
は、例えば、鉱油、植物油、動物由来の油、及び合成ポリマー/共重合体が挙げられる。
かかる油の具体例としては、限定されるものではないが、厳密に水素処理されたナフテン
油及びパラフィン油、ダイズ油及びポリグリコールブロック共重合体が挙げられる。
【0031】
金属加工流体(合成であろうと非合成であろうと)に含むことのできる当技術分野で周
知の任意のその他の添加剤としては、例えば、着色剤;粘度調整剤;乳化剤(一般に、合
成MWFにはそれらは非エマルジョン系であるので必要とされない);バッファー;可溶
化剤;抗酸化剤;消泡剤;界面活性剤及び霧化防止剤及び極圧添加剤が挙げられる。金属
加工流体は、通常、腐蝕を阻害するための薬剤、例えば、有機酸のアルカリ及びアミノア
ルコール塩(本発明の組成物に加えて)、スルホン酸塩、アミン、アミド、及び有機ホウ
酸塩化合物などを含む。
【0032】
より具体的な例として、可溶性油及び半合成として一般に公知のエマルジョン形成金属
加工流体濃縮物は、次の種類の成分を典型的に含む:低粘度炭化水素油及び合成滑沢剤、
例えばポリアルキレングリコールなど;乳化剤、例えば低分子量石油スルホン酸ナトリウ
ム、アルカノールアミド、アミン−脂肪酸塩、及び非イオン性界面活性剤、例えばノニル
フェノールエトキシレートなど;腐蝕抑制剤、例えば、中〜高分子量石油スルホン酸ナト
リウム、アルカノールアミド、ならびに様々な有機及び無機酸(ノナン酸、ネオデカン酸
、セバシン酸、オレイン酸、トール油、ホウ酸及びその他の多数の酸を含む)のアミノア
ルコール塩など;カップリング剤(グリコールエーテル及び高級アルコール及びグリコー
ルを含む)。各々のクラスの例としては、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ヘ
キサノール及びヘキシレングリコール;ならびに潤滑剤及び極圧剤(脂肪酸エステル、リ
ン酸エステル、塩素化脂肪酸及び硫化脂肪酸を含む)が挙げられる。
【0033】
さらなる例として、合成又は溶液合成流体として一般に公知の非エマルジョン形成金属
加工流体濃縮物は、一般に次のものを含む:潤滑剤及び極圧剤、例えば、逆溶解性エステ
ル、リン酸エステル、塩素化脂肪酸及びポリアルキレングリコールなど;有機及び無機酸
(ペラルゴン酸、ネオデカン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、ホウ酸、乳
酸及びその他の多数の酸を含む)のアミン塩。これらの物質は腐蝕抑制剤である。
【0034】
MWF濃縮物中の(すなわち希釈より前の)ニートアミノアルコール化合物の濃度は、
好ましくは少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約2%、さらにより好まし
くは少なくとも約3%である。また好ましくは、この濃度は約20%以下、より好ましく
は約12%以下、さらにより好ましくは約8%以下である。その他の実施形態では、この
濃度は約1から20%、より好ましくは約2から12%、最も好ましくは約3から8%の
範囲内である。
【0035】
MWF濃縮物中の殺生物剤に好ましい活性濃度範囲は、用いられる殺生物剤によって変
動するが、当業者が容易に決定してもよい。例として、濃度は好ましくは少なくとも約0
.01重量%であって約5重量%以下である。
【0036】
具体的な殺生物剤の例として、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−ト
リアジンは、0.76から3重量%の活性範囲で好ましく用いられ、最も好ましい範囲は
1.1から3%であり、ヨードプロピニルブチルカルバメートは、0.2から0.6%の
範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.3から0.6%であり、1,2−ベンゾイソチ
アゾリノンは、0.08から0.36%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.16
から0.36%であり、4,4−ジメチルオキサゾリジンは、0.78から3.1%の範
囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.2から3.1%であり、7−エチルビシクロオキ
サゾリジンは、1から4%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1.5から4%であり
、4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメ
チレン)ジモルホリンの組合せは、1から4%の範囲で用いられ、最も好ましい範囲は1
.5から3%であり、かつ、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの組合せは、0.01%から0.08%の範
囲で用いられ、最も好ましい範囲は0.05%から0.08%である。
【0037】
最終の希釈されたMWFにおいて、ニートアミノアルコールの使用範囲は、好ましくは
約0.05%から1.0%の間であり、好ましい範囲は0.1%から0.6%、最も好ま
しい範囲は0.15%から0.4%である。殺生物剤は、好ましくは(希釈時の活性ベー
スで)、0.04%から0.3%の1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−
トリアジン(好ましい範囲は0.06%から0.15%)、0.01%から0.04%の
ヨードプロピニルブチルカルバメート(好ましい範囲は0.015%から0.03%)、
0.004%から0.03%の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(好ましい範囲
は0.008%から0.02%)、0.04%から0.3%の4,4−ジメチルオキサゾ
リジン(好ましい範囲は0.06%から0.2%)、0.05%から0.3%の7−エチ
ルビシクロオキサゾリジン(好ましい範囲は0.075%から0.2%)、4−(2−ニ
トロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモル
ホリンの組合せの0.05%から0.3%(好ましい範囲は0.075%から0.2%)
、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチア
ゾリン−3−オンの組合せの0.002%から0.005%(好ましい範囲は0.002
5%から0.004%)の範囲で用いられる。
【0038】
金属加工流体は本発明の殺生物組成物の使用される好ましい系ではあるが、該組成物は
、水を含むか又は水で希釈されることが意図される幅広い種類のその他の系でも有用であ
る。例として、該組成物は、水性エマルジョン、例えば、ラテックス、水性塗料及びコー
ティング、コーキング材及び接着剤、テープ目地材(tape joint compound)、無機スラリ
ー、水冷システム、パーソナルケア製品、石けん及び洗浄剤、殺菌剤、クリーナー、及び
サニタイザー、農薬製品、油田水及び油田用途で用いられる水系流体(掘削泥、破砕流体
、及びハイドロテスト(hydrotest)流体を含む)などの中で使用されてもよい。
【0039】
本明細書で用いられる「アルキル」は、1から8個の炭素原子、より好ましくは1から
6個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖脂肪族基を包含する。好ましいアルキル基として
は、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びヘキシルが挙げられる。
【0040】
本明細書において用語「アルケニル」とは、2から8個の炭素原子、好ましくは2から
6個の炭素原子を有する、1又はそれ以上の炭素−炭素二重結合をもつ直鎖又は分枝鎖の
不飽和脂肪族基を意味する。好ましいアルケニル基としては、限定されるものではないが
、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルが挙げられる。
【0041】
本明細書において用語「アルキニル」とは、2から8個の炭素原子、好ましくは2から
6個の炭素原子を有する、1又はそれ以上の炭素−炭素三重結合をもつ直鎖又は分枝鎖の
不飽和脂肪族基を意味する。好ましいアルキニル基としては、限定されるものではないが
、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルが挙げられる。
【0042】
「アルキレン」基は、本明細書の上文で定義されるように、他の2つの化学基の間に位
置し、他の2つの化学基を結び付ける働きをするアルキルである。好ましいアルキレン基
としては、限定されるものではないが、メチレン、エチレン、プロピレン、及びブチレン
が挙げられる。
【0043】
本明細書において用いられる用語「シクロアルキル」には、3から12個の炭素、好ま
しくは3から8個の炭素、より好ましくは3から7個の炭素を有する、飽和及び部分的に
不飽和の環状炭化水素基が含まれる。好ましいシクロアルキル基としては、限定されるも
のではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シ
クロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0044】
「アリール」基は、1から3つの芳香環を含むC6−C12芳香族部分である。好まし
くは、アリール基は、C6−C10アリール基である。好ましいアリール基としては、限
定されるものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフルオレニルが挙
げられる。より好ましいものはフェニルである。
【0045】
アルキル、シクロアルキル、及びアリール(ならびにそれらの架橋誘導体アルキレン、
シクロアルキレン、及びアリーレン)は、1又はそれ以上のその他のアルキル(例えば、
メチル、エチル、ブチル)、フェニル、又はその両方で置換されていてもよい。置換され
る場合、置換基中の炭素の数は、化合物の6から12個の炭素に数え入れられる。
【0046】
本発明の限定されない実施例が以下に提供される。
【実施例】
【0047】
実施例A:3−アミノ−4−オクタノールアルカノールアミンの調製及び評価
1−ニトロプロパン及びバレルアルデヒドからの3−ニトロ−4−オクタノールの調製
。3−ニトロ−4−オクタノールの試料を、1−ニトロプロパン(1−NP、300g、
3.37モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口
、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/
42、24/40)へ添加することにより合成した。この淡黄色の液体を、メタノール(
MeOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食
性触媒を添加した(16gの10%水溶液及び0.60gの50%腐食性水溶液、合計1
.9g、1.4モル%)。これにより反応物の色がオレンジ色に変化し、わずかな発熱が
もたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗
に装填し、1−NPに3時間かけてゆっくり添加した。反応熱は40から45℃の温度ま
で上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルの
ガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラ
フィーによりモニターした。2週間後、変換は84面積%に達し、10%塩酸水溶液(1
9ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じるpH1の溶液を真空濃縮し(
50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じるオ
リーブグリーン色の溶液(491g、修正純度(corrected purity)95面積%、収率8
9%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存
した。
【0048】
3−ニトロ−4−オクタノールの3−アミノ−4−オクタノールアルカノールアミンへ
の接触水素化。3−アミノ−4−オクタノール(3A4O)の試料を、Parrオートク
レーブユニットによる3−ニトロ−4−オクタノールの還元により合成した。ステンレス
鋼、2リットルのオートクレーブに、Grace 3201 ラネーニッケル(RaNi
、湿重量90g、乾重量45g、10重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を
詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(6
00psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロアル
コール(491g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈し、オートクレーブ
にポンプ注入した(4ml/分)。3.5時間後に添加が完了し、4時間後、反応は、水
素取込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を
停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してR
aNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体が単離され(92面積%)、それを真
空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(57から62
℃/完全真空)。この結果、透明な無色の半固体(344g、95.3面積%、全収率7
5%)が単離され、それはいくらかのオキサゾリジン(2.2面積%)及びいくらかの第
二級アミン(0.5面積%)を含んだ。
【0049】
この化合物は、8重量%で表1に記載される一般的な半合成金属加工流体濃縮物に処方
された。従来のアミノアルコール化合物を3A4Oの代わりに用いることを除いて同一の
処方物が調製された。この従来のアミノアルコールは、2−アミノ−2−メチル−1−プ
ロパノール(AMP)及びn−ブチルエタノールアミン(BEA)であった。1,3,5
−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン防腐剤の77%水溶液の1.5%を
含む、同一のセットの流体濃縮物を調製することにより、本発明者らが防腐剤を含む流体
と含まない流体を評価することが可能となった。流体濃縮物を、20部のシカゴ水道水に
対して1部の流体濃縮物(重量による)の割合で希釈した;従って希釈時の活性アミノア
ルコール濃度はおよそ0.4%であり、(保護されたセット中の)活性防腐剤量はおよそ
0.058%であった。これらの流体を、ASTM Practice E 2275−
03による微生物暴露試験に供した。この方法では、流体は最初に、次に週に一度、腐敗
した金属加工流体から単離された混合細菌/真菌接種剤で播種される。細菌数及び真菌数
は、週に一度連続希釈プレートカウント法を用いて測定され、1ミリリットルあたりのコ
ロニー形成単位として報告される(CFU/mL)。CFU/mLが小さいほど、微生物
防除が良好であり、かつ、予測される流体の耐用年数が長い。微生物の結果は、図1及び
2(保護されていない)ならびに図3及び4(トリアジンで保護)に記載される。保護さ
れていない流体は、予期された挙動を示し、微生物の順化に起因して最初のカウントがわ
ずかに低下した後、急速に増加した。保護された流体は、最初に予期されたカウントの低
下を示すが、3A4Oを含む流体は、試験の全経過にわたって思いもよらない成長率の低
下を示す。これは真菌の場合に特に有意義である、それは、トリアジン防腐剤は用いた投
与量で真菌に対して効果的でないためである。
【表1】
【0050】
実施例B:2−アミノ−3−ヘプタノールアルカノールアミンの調製及び評価。
ニトロエタン(NE)及びバレルアルデヒドからの2−ニトロ−3−ヘプタノールの調
製。上述した同じ方法で、2−ニトロ−3−ヘプタノールの試料を、ニトロエタン(NE
、275g、3.67モル)を、熱電対、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗
、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/
40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した。透明な無色の液体を、
95%エタノール(EtOH、160g)を添加することにより希釈し、その結果吸熱が
もたらされた。腐食性触媒を添加し(10gの10%水溶液、0.68モル%)、それに
より反応物の色が黄色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(25
8g、3.00モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、4時間かけてNEにゆっくり
添加した。反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了
するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、夜には周
囲温度で、昼には50℃で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニタ
ーした。6日後、変換は81面積%に達し、10%塩酸水溶液(9ml)の添加により反
応を停止させた。結果として生じるpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.
5時間)、溶媒及び残りの試薬を除去した。結果として生じる緑色の溶液(494g、修
正純度90面積%、収率83%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要に
なるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0051】
2−ニトロ−3−ヘプタノールの2−アミノ−3−ヘプタノールアルカノールアミンへ
の接触水素化。2−アミノ−3−ヘプタノール(2A3H)の試料を、Parrオートク
レーブユニットによる2−ニトロ−3−ヘプタノールの還元により合成した。ステンレス
鋼、2リットルのオートクレーブにGrace 3201 ラネーニッケル(RaNi、
湿重量90g、乾重量45g、9重量%)及びメタノール(MeOH、300g)を詰め
た。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で、次いで水素でパージし、水素(600
psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温めた。ニトロアルコー
ル(491g)を無水エタノール(EtOH、150g)で希釈し、オートクレーブにポ
ンプ注入した(4ml/分)。3時間後に添加が完了し、3.5時間後、反応は、水素取
込みが観察されないので完全であると判断された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止
し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを分解し、内容物を真空濾過してRaN
i触媒を取り除いた。この結果、黄色の液体が単離され(82面積%)、それを真空濃縮
(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバーヘッドに取った(40から50℃/完
全真空)。この結果、透明な無色の固体が単離され(302g、91.2面積%、全収率
64%)それはいくらかのオキサゾリジン(3.4面積%)を含んだ。
【0052】
この物質は、実施例Aに記載されるものと同じ金属加工流体濃縮物に8%の濃度で処方
された。同一の流体が、8%の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及
び8%ジシクロヘキシルアミン(DCHA)を用いて調製された。防腐剤ベンズイソチア
ゾリノン(Dow Biocides製BIOBAN BIT 20 DPG)を、各々
の流体濃縮物に1.2%で加え、流体濃縮物中の活性濃度は0.24%となり、使用のた
めに希釈された流体中では0.012%となった。希釈された流体を、実施例Aに記載さ
れるものと同じ微生物試験プロトコールに供した。その結果は図5及び6に記載される。
BITは、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対して効果的でないことが知られており
、典型的なグラム陰性細菌が金属加工流体中に見出された。これは、AMPを含む処方物
中での細菌に対する比較的低い性能から明白である。しかし、流体の寿命を促進すること
が知られているDCHAはAMPに対して向上した性能を有することが予期された;これ
は事実とは違い、実際には、正反対のことが真実である。また、2A3Hを含む流体が、
他のものよりも細菌の襲撃に対してより耐性を示すはずであることも予想外であるが、有
意な利点は特に4から8週の期間に観察される。真菌に関して、2A3Hを含む流体は、
AMPを含むものよりも襲撃に抵抗し、DCHAを含む流体の抵抗性に匹敵する。2A3
Hでの結果は、保護されていない流体での同様の試験で、それが細菌又は真菌の増殖を有
意に阻害しないことが示されるので、予想外である。
【0053】
実施例C:2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノールの調製及び評価
2−ニトロプロパン(2−NP)及びバレルアルデヒドからの2−メチル−2−ニトロ
−3−ヘプタノールの調製。上述した同じ方法で、2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタ
ノールの試料を、2−ニトロプロパン(2−NP、300g、3.37モル)を、熱電対
、マグネチックスターラー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した
1リットルの三口丸底フラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加
することにより合成した。透明な無色の液体を、無水エタノール(EtOH、150g)
を添加することにより希釈し、その結果吸熱がもたらされた。腐食性触媒を添加し(16
gの10%水溶液及び0.6gの50%水溶液、1.4モル%)、それにより反応物の色
が黄色に変化し、わずかな発熱がもたらされた。バレルアルデヒド(258g、3.00
モル、0.89当量)を添加漏斗に装填し、3時間かけて2−NPにゆっくり添加した。
反応熱は40から45℃の温度まで上昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐ
にRBFの内容物を1リットルのガラス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した
。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターし、3週間後に72%完了に達し
、10%塩酸水溶液(16ml)の添加により反応を停止させた。結果として生じる紺青
色のpH1の溶液を真空濃縮し(50℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試薬
を除去した。結果として生じる緑色の溶液(422g、修正純度90面積%、収率80%
)を無水エタノール(150g)で希釈し、濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし
、必要になるまで冷蔵庫の中で保存した。
【0054】
2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノールの2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノ
ールへの接触水素化。2−アミノ−2−メチル−3−ヘプタノール(2A2M3H)の試
料を、Parrオートクレーブユニットによる2−メチル−2−ニトロ−3−ヘプタノー
ルの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブに、Grace
3201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量90g、乾重量45g、10重量%)及び
メタノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素
で、次いで水素でパージし、水素で加圧し、600RPMで攪拌し、そして40℃まで温
めた。黄色のニトロ−アルコール(422g)を無水エタノール(EtOH、150g)
で希釈しておき、オートクレーブにポンプ注入した(4ml/分)。3時間後に添加が完
了し、3.5時間後、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断された。
オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートクレーブを
分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の液体(8
0面積%)が単離され、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生成物をオーバ
ーヘッドに取った(50から52℃/完全真空)。この結果、透明な無色の固体が単離さ
れ(268g、91.9面積%、全収率57%)、それはいくらかのオキサゾリジンを含
んだ(4.9面積%)。
【0055】
この物質は、既に記載される半合成金属加工流体濃縮物に8%の濃度で処方された。既
に記載されるトリアジン防腐剤(77%活性)を、1.5%のレベルで添加した。同一の
流体を、AMP、3A4O及び2A3Hを用いて調製した。次に、これらの流体を、マイ
コバクテリウム・イムノゲヌム(mycobacterium immunogenum)の標準的なATTCC株
(700505)を用いて流体を播種することを除いて、上述した実施例に記載される同
じASTM微生物暴露試験に供した。これは、その親油性の細胞壁構造のために、制御の
難しい微生物である可能性があり、最近は過敏性肺炎(HP)として一般に知られている
疾病の発症に関与している。上記流体のこの生物に対する耐性を示すデータが図7に見出
される。AMPを含む対照流体は、事実上活性が阻害されず、予期された反応をした。し
かし、その他の流体は、この生物に対して予想外な耐性を示した。
【0056】
実施例D:使用レベルの調査
本発明のアミノアルコールの使用レベルの影響を理解するため、本発明者らは、既に記
載されるものと同様であるが、4%アミノアルコールを用いて2000ppmの使用時希
釈度を得る半合成流体濃縮物を調製した;処方物の差は水で埋め合わせをした。この流体
濃縮物を、同じレベルの既に記載されるトリアジン−77%で保護した。これらの流体を
希釈し、実施例A及びBに記載される同じ細菌/真菌暴露試験に供した;データは図8
び9に見出される。本発明のアミノアルコールを含有する流体は、従来のアミノアルコー
ルAMPを含有する流体よりも、細菌と真菌の両方に対して有意に良好な耐性を示す。
【0057】
実施例E:2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールの調製
ニトロエタン及び2−エチルヘキサナールからの2−ニトロ−4−エチル−3−オクタ
ノールの調製。上述した同じ方法で、2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの試料
を、ニトロエタン(NE、200g、2.67モル)を、熱電対、マグネチックスターラ
ー、500ml添加漏斗、窒素注入口、及びガラス栓を装備した1リットルの三口丸底フ
ラスコ(RBF、24/40、29/42、24/40)へ添加することにより合成した
。これを無水エタノール(EtOH、150g)を添加することにより希釈し、その結果
吸熱がもたらされた。脱イオン水(7.5g)、それに続いて腐食性触媒(8.0mlの
10%水溶液)を添加した。反応物の色は暗くなってオレンジ色となり、わずかな発熱が
観察された。2−エチルヘキサナール(307g、2.40モル、0.90当量)を添加
漏斗に装填し、3.5時間かけてNEにゆっくり添加した。反応熱は30℃の温度まで上
昇した。バレルアルデヒドの添加が完了するとすぐにRBFの内容物を1リットルのガラ
ス瓶に移し、窒素でパージし、周囲温度で保存した。反応の進行をガスクロマトグラフィ
ーによりモニターした。2日後には測定される変換は53.2面積%であり、2週間後に
は55.8面積%であった。次に、10%塩酸水溶液(8ml)の添加により反応を停止
させ、pH1の溶液を真空濃縮し(55℃/完全真空/0.5時間)、溶媒及び残りの試
薬を除去した。結果として生じる黄色の溶液(362g、純度72面積%、収率74.3
%)を濾過し(0.5ミクロン)、窒素でパージし、必要になるまで冷蔵庫の中で保存し
た。
【0058】
2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノールの2−アミノ−4−エチル−3−オクタノ
ールアミノアルコールへの接触水素化。2−アミノ−4−エチル−3−オクタノールの試
料を、Parrオートクレーブユニットによる2−ニトロ−4−エチル−3−オクタノー
ルの還元により合成した。ステンレス鋼、2リットルのオートクレーブにGrace 3
201 ラネーニッケル(RaNi、湿重量70g、乾重量35g、10重量%)及びメ
タノール(MeOH、300g)を詰めた。オートクレーブを密封し、組み立て、窒素で
、次いで水素でパージし、水素(750psig)で加圧し、600RPMで攪拌し、そ
して40℃まで温めた。ニトロ−アルコール(362g)をメタノール(MeOH、38
0ml)で希釈し、オートクレーブにポンプ注入した(5ml/分)。2時間後には添加
が完了し、さらに15分後に、反応は、水素取込みが観察されないので完全であると判断
された。オートクレーブを冷却し、攪拌を停止し、排出し、窒素でパージした。オートク
レーブを分解し、内容物を真空濾過してRaNi触媒を取り除いた。この結果、淡黄色の
液体(純度84面積%)が単離され、それを真空濃縮(55℃/完全真空)してから、生
成物を真空ジャケット付き18”ビグローカラム(vigreux column)/ヘッドアセンブリー
を用いてオーバーヘッドに取った(122℃/15mm)。この結果、生成物が透明な無
色の溶液として単離された(182g、96.9面積%、全収率44%)。
【0059】
実施例F.3−アミノ−4−オクタノールのさらなる評価
図10から17は、様々な殺生物剤と併用した、本発明のアミノアルコールである3−
アミノ−4−オクタノール(3A4O)と、本発明でないアミノアルコール化合物、2−
アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)及びn−ブチルエタノールアミン(B
EA)のさらなる比較を提供する。特に、図10及び11、BIOBAN P−1487
(4−(2−ニトロブチル)−モルホリンと4,4'−(2−エチル−2−ニトロトリメ
チレン)ジモルホリンの組合せ)を含むアミノアルコールの、細菌及び真菌有効性比較。
この殺生物剤を希釈された流体に添加して750ppmとした。アミン投与量は、希釈時
に4000ppmとなるように調節した。図12及び13は、トリアジン/IPBC殺生
物剤ブレンドの存在下、アミノアルコールの細菌及び真菌有効性を示す。トリアジン−7
8%を、希釈された流体に基づいて750ppmで添加し、ヨードプロピニルブチルカル
バメート(IPBC)を、希釈時に300ppmの活性で添加した。アミン投与量を、希
釈時に3000ppmとなるように調節した。図14及び15は、ベンズイソチアゾリノ
ン(BIT)を含む化合物の細菌及び真菌有効性を示す。BITを、希釈された流体に基
づいて120ppmの活性で添加し、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)
を、希釈時に300ppmの活性で添加した。アミン投与量を、希釈時に3000ppm
となるように調節した。図16及び17は、クロロメチルイソチアゾリノン/メチルイソ
チアゾリノン(CMIT/MIT)ブレンドを含むアミノアルコールの細菌及び真菌有効
性を示す。このブレンドを、希釈された流体に直接加えて12ppmの活性を得た;用い
た生成物は、Dow Biocidesにより提供されるBIOBAN CM14であっ
た。アミン投与量を、希釈時に3000ppmとなるように調節した。
【0060】
データは一般に、その他のアミノアルコールと比較して、本発明の3A4Oでの殺生物
剤の有効性のさらなる向上を示す。その上、3A4Oと試験したその他のアミノアルコー
ルとの間の細菌に対する有効性の向上が類似している場合でも、3A4Oは一般に、真菌
に対してより大きな向上を示す。従って、3A4Oは一層広範囲の殺生物剤の向上を提供
し、その材料を防腐剤促進剤としてさらに一層望ましいものにする。
【0061】
本発明は、様々な具体的かつ好ましい実施形態及び技法に関して説明された。しかし、
本発明の精神及び範囲内にとどまる一方で、多くの変形例及び変更例が作成され得ること
は当然理解される。
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