特許第5841715号(P5841715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5841715映像音声出力装置、および映像音声出力システム、およびマスタ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5841715
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】映像音声出力装置、および映像音声出力システム、およびマスタ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/43 20110101AFI20151217BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20151217BHJP
   H04N 21/434 20110101ALI20151217BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20151217BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20151217BHJP
【FI】
   H04N21/43
   H04N21/436
   H04N21/434
   G09G5/00 510V
   H04L7/00 990
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2010-190257(P2010-190257)
(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公開番号】特開2012-49836(P2012-49836A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】町田 芳広
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 学
【審査官】 古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−011475(JP,A)
【文献】 特開2008−096756(JP,A)
【文献】 特開2008−252422(JP,A)
【文献】 特開2008−090080(JP,A)
【文献】 特開2008−096746(JP,A)
【文献】 特開2004−078414(JP,A)
【文献】 特開2005−300845(JP,A)
【文献】 総合マルチメディア選書 MPEG,株式会社オーム社,1996年 4月20日,初版,p.51−55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
G09G 5/00 − 5/42
H04L 7/00 − 7/10
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置と、1つ以上の映像音声出力装置と、を有する映像音声出力システムであって、
前記マスタ装置は、
前記マスタ装置と1つ以上の前記映像音声出力装置とに対してマルチキャスト送信された、映像信号と、時刻情報と、を含むストリームをサーバから受信する第1の受信部と、
前記時刻情報に基づき同期情報を生成する第1の時計部と、
マルチキャスト送信された前記ストリームに含まれる前記映像信号を、前記映像音声出力システムの構成にもとづき特定の領域が拡大された映像信号として出力する第1の映像出力部と、
前記同期情報を前記映像音声出力装置へ前記映像信号のフレーム周期よりも短い周期で送信する送信部と、を備え、
前記映像音声出力装置は、
前記サーバからマルチキャスト送信された前記ストリームと、前記マスタ装置から前記映像信号のフレーム周期よりも短い周期で送信された前記同期情報と、を受信する第2の受信部と、
前記同期情報を基に、マルチキャスト送信された前記ストリームに含まれる前記映像信号を、前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して、前記映像音声出力システムの構成にもとづき特定の領域が拡大された映像信号として出力する第2の映像出力部と、
を備えることを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項2】
請求項1に記載の映像音声出力システムであって、
前記時刻情報はプログラム時刻基準値を含み、
前記マスタ装置の前記第1の時計部は、前記プログラム時刻基準値が示す時刻を用いて前記マスタ装置が備える第1の基準時刻を調整することで、調整された前記第1の基準時刻を示す前記同期情報を生成する、
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項3】
請求項2に記載の映像音声出力システムであって、
前記時刻情報は再生出力時刻情報を含み、
前記マスタ装置は、前記第1の基準時刻と、前記第1の受信部が受信した前記ストリームに含まれる前記再生出力時刻情報が示す時刻とが一致した場合に、前記映像信号を出力する前記第1の映像出力部を備える、
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の映像音声出力システムであって、
前記映像音声出力装置は、前記マスタ装置から受信した前記同期情報が示す時刻を用いて前記映像音声出力装置の第2の基準時刻を調整する第2の時計部を備え、
前記第2の映像出力部は、前記ストリームに含まれる前記映像信号を前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して出力する、
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項5】
請求項4に記載の映像音声出力システムであって、
前記映像音声出力装置の前記第2の映像出力部は、前記第2の基準時刻と、前記第2の受信部が受信した前記ストリームに含まれる前記時刻情報が示す時刻と、が一致した場合に前記映像信号を出力することで、前記ストリームに含まれる前記映像信号を前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して出力する
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項6】
請求項1に記載の映像音声出力システムであって、
前記時刻情報は、プログラム時刻基準値と再生出力時刻情報と、を含み、
前記マスタ装置の前記第1の時計部は、前記プログラム時刻基準値が示す時刻を用いて前記マスタ装置が備える第1の基準時刻を調整し、調整された前記第1の基準時刻を示す前記同期情報を生成し、
前記マスタ装置は、前記第1の基準時刻が、前記第1の受信部が受信した前記ストリームに含まれる前記再生出力時刻情報が示す時刻を過ぎた場合に、前記映像信号を出力する前記第1の映像出力部を備え、
前記映像音声出力装置は、前記マスタ装置から受信した前記同期情報が示す時刻を用いて前記映像音声出力装置の第2の基準時刻を調整する第2の時計部を備え、
前記第2の映像出力部は、前記第2の基準時刻が、前記第2の受信部が受信した前記ストリームに含まれる前記時刻情報が示す時刻を過ぎた場合に、前記映像信号を出力する、
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の映像音声出力システムであって、
前記時刻情報は復号時刻情報を含み、
前記マスタ装置は、
前記マスタ装置の内部時計が示す時刻と、前記復号時刻情報が示す情報とが一致した場合に、前記映像信号を復号する第1のデコーダと、
前記第1のデコーダによって復号された前記映像信号を出力する前記第1の映像出力部と、
を備える
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の映像音声出力システムであって、
前記時刻情報は復号時刻情報を含み、
前記映像音声出力装置は、前記映像音声出力装置の内部時計が示す時刻と、前記復号時刻情報が示す情報とが一致した場合に、前記映像信号を復号する第2のデコーダを備え、
前記第2の映像出力部は、前記第2のデコーダによって復号された前記映像信号を出力する、
ことを特徴とする映像音声出力システム。
【請求項9】
マスタ装置と1つ以上の映像音声出力装置とを有する映像音声出力システムにおけるマスタ装置であって、
前記マスタ装置と1つ以上の前記映像音声出力装置とに対してマルチキャスト送信された、映像信号と、時刻情報と、を含むストリームをサーバから受信する第1の受信部と、
前記時刻情報に基づき同期情報を生成する第1の時計部と、
マルチキャスト送信された前記ストリームに含まれる前記映像信号を、前記映像音声出力システムの構成にもとづき特定の領域が拡大された映像信号として出力する第1の映像出力部と、
前記サーバからマルチキャスト送信された前記ストリームを受信する第2の受信部と、前記同期情報を基に、マルチキャスト送信された前記ストリームに含まれる前記映像信号を前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して、前記映像音声出力システムの構成にもとづき特定の領域が拡大された映像信号として出力する第2の映像出力部と、を備える前記映像音声出力装置に、前記映像信号のフレーム周期よりも短い周期で前記同期情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とするマスタ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のマスタ装置であって、
前記時刻情報はプログラム時刻基準値を含み、
前記第1の時計部は、前記プログラム時刻基準値が示す時刻を用いて前記マスタ装置が備える第1の基準時刻を調整することで、調整された前記第1の基準時刻を示す前記同期情報を生成する、
ことを特徴とするマスタ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のマスタ装置であって、
前記時刻情報は再生出力時刻情報を含み、
前記第1の基準時刻と、前記第1の受信部が受信した前記ストリームに含まれる前記再生出力時刻情報が示す時刻とが一致した場合に、前記映像信号を出力する前記第1の映像出力部を備える、
ことを特徴とするマスタ装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載のマスタ装置であって、
前記時刻情報は復号時刻情報を含み、
前記マスタ装置の内部時計が示す時刻と、前記復号時刻情報が示す情報とが一致した場合に、前記映像信号を復号する第1のデコーダと、
前記第1のデコーダによって復号された前記映像信号を出力する前記第1の映像出力部と、
を備えることを特徴とするマスタ装置。
【請求項13】
マスタ装置と1つ以上の映像音声出力装置とを有する映像音声出力システムにおける映像音声出力装置であって、
前記マスタ装置と1つ以上の前記映像音声出力装置とに対してマルチキャスト送信された、映像信号と、時刻情報と、を含むストリームをサーバから受信する第1の受信部と、前記時刻情報に基づき同期情報を生成する第1の時計部と、マルチキャスト送信された前記ストリームに含まれる前記映像信号を、前記映像音声出力システムの構成にもとづき特定の領域が拡大された映像信号として出力する第1の映像出力部と、前記同期情報を前記映像音声出力装置へ送信する送信部と、を備える前記マスタ装置から前記映像信号のフレーム周期よりも短い周期で送信された前記同期情報を受信するとともに、前記サーバからマルチキャスト送信された前記ストリームを受信する第2の受信部と、
前記同期情報を基に、マルチキャスト送信された前記ストリームに含まれる前記映像信号を前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して、前記映像音声出力システムの構成にもとづき特定の領域が拡大された映像信号として出力する第2の映像出力部と、
を備えることを特徴とする映像音声出力装置。
【請求項14】
請求項13に記載の映像音声出力装置であって、
前記マスタ装置から受信した前記同期情報が示す時刻を用いて、前記映像音声出力装置の第2の基準時刻を調整する第2の時計部を備え、
前記第2の映像出力部は、前記ストリームに含まれる前記映像信号を前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して出力する、
ことを特徴とする映像音声出力装置。
【請求項15】
請求項14に記載の映像音声出力装置であって、
前記第2の映像出力部は、前記第2の基準時刻と、前記第2の受信部が受信した前記ストリームに含まれる前記時刻情報が示す時刻とが一致した場合に前記映像信号を出力することで、前記ストリームに含まれる前記映像信号を前記マスタ装置の前記第1の映像出力部の出力と同期して出力する
ことを特徴とする映像音声出力装置。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか一項に記載の映像音声出力装置であって、
前記時刻情報は復号時刻情報を含み、
前記映像音声出力装置の内部時計が示す時刻と、前記復号時刻情報が示す情報とが一致した場合に、前記映像信号を復号する第2のデコーダを備え、
前記第2の映像出力部は、前記第2のデコーダによって復号された前記映像信号を出力する、
ことを特徴とする映像音声出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
映像および音声を出力する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野に関し、コンピュータネットワークの普及に伴い、例えば特許文献1には同期再生機能を持った映像再生装置が開発されている。
【0003】
今後、更に高度な通信機能を持った映像再生装置が普及するものと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−183654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、フレーム単位で時刻情報を送信しており、伝送するネットワークの伝送安定性については考慮がされていない。このため、例えばネットワークの帯域不足で時刻情報が欠損すると同期ができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本明細書では、映像および音声のフレーム周期より小さい周期で時刻情報を送信する構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、伝送安定性に配慮した映像音声出力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】映像音声出力装置を含む映像音声伝送システムを示す図の一例である。
図2】映像音声出力装置のブロック構成図の一例である。
図3】サーバ装置のブロック構成図の一例である。
図4】映像音声出力装置の時計部のブロック構成図の一例である。
図5】映像音声出力装置の処理開始時のフローチャートの一例である。
図6】サーバから映像音声出力装置に配信される画面を示す図の一例である。
図7】各映像音声出力装置の映像表示部における映像の表示例である。
図8】同期パケットの送信シーケンスを示す図の一例である。
図9】同期パケットテーブルの一例である。
図10】グループ管理テーブルの一例である。
図11】グループ作成画面の一例である。
図12】装置管理テーブルの一例である。
図13】装置位置決定画面の一例である。
図14】映像音声出力装置を用いたシステムの一例である。
図15】グループ管理テーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は、映像音声出力装置を含む映像音声伝送システムの一例である。映像音声伝送システムは映像音声出力装置11、12、13、14、15、16、17、18、19、映像音声データを配信するサーバ装置2、例えばインターネットのようなネットワーク3、例えば有線あるいは無線のローカルエリアネットワーク5から構成され、それぞれの映像音声出力装置11、12、13、14、15、16、17、18、19はローカルエリアネットワーク5に接続され、ルータ4を介してネットワーク3に接続されている。
【0010】
以降の説明では特に必要が無い限り、映像音声出力装置11について説明を行うが、他の映像音声出力装置12、13、14、15、16、17、18、19も映像音声出力装置11と同様の構成をとり、同様の処理を行う。ただし、映像音声出力装置同士が完全に同じ装置である必要は無い。
【0011】
ネットワーク3、およびローカルエリアネットワーク5においては、ネットワークプロトコルとして標準のIP(Internet Protocol)を使用し、上位のトランスポートプロトコルにはTCP(Transmission Control Protocol)およびUDP(User Datagram Protocol)を用いる。コンテンツの伝送には更に上位のアプリケーションプロトコル、例えばRTP(Real−time Transport Protocol)やHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)等が使用される。映像音声出力装置11は、サーバ装置2から配信される映像音声データを受信し、映像、音声を出力する。
【0012】
図2は、映像音声出力装置11のブロック構成図の一例である。映像音声出力装置11は、ディジタル放送信号入力端子101、ディジタルチューナ102、バッファ制御部105、再生用バッファ106、復号処理部107、記録用バッファ108、暗号処理部109、内蔵記録部110、外部記録部111、制御部112、メモリ113、システムデコーダ114、映像デコーダ115、音声デコーダ116、時計部117、映像信号の拡大処理や、文字情報などを重畳する映像処理部118、音声信号の左右のスピーカの音量バランスの調整などを行う音声処理部119、例えば液晶パネル等の映像出力部122、例えば内蔵スピーカ等の音声出力部123、映像信号出力端子124、音声信号出力端子125、リモコン受信素子126、ネットワーク接続部127、ネットワーク接続端子128、装置管理部129、同期処理部130から構成される。
【0013】
装置管理部129および同期処理部130は記憶部110に記憶される。制御部112は記憶部110に記憶されたされた装置管理プログラム129や同期処理プログラム130をメモリ113に展開して実行することで、ソフトウェアによって装置管理および同期処理の各機能を実現することができる。
【0014】
また、ソフトウェアとして実現された各機能は装置管理部129や同期処理部130などのように各処理を行う処理部として集積回路化するなどしてハードウェアで実現することもできる。以下では説明を簡略化するために、装置管理プログラム129および同期処理プログラム130を制御部112が実行することで実現される各処理を、各処理部が主体となって行うものとして説明する。なお、各処理部をハードウェアで実現した場合には、その各処理部が主体となって各処理を行う。
【0015】
ディジタル放送信号入力端子101は、アンテナ、ケーブル等から放送されたディジタル放送信号の入力を受け付ける。ディジタルチューナ102は、ディジタル放送信号入力端子101から入力されるディジタル放送信号から所望のチャンネルを復調、選局し、映像音声データが多重化されたシステムストリームを抽出する。
【0016】
また、ネットワーク接続部127は、ネットワーク3、ルータ4、ローカルエリアネットワーク5、ネットワーク接続端子128を介して、サーバ装置2から、映像音声データが多重化されたシステムストリームを受信する。
【0017】
ディジタル放送信号入力端子101およびネットワーク接続端子128から受信したストリームを記録する場合には、ストリームとして、記録媒体110、111に記録される。記録媒体110、111に記録されるストリームは、制御部112によってストリームリストとして管理される。
【0018】
ここで、記録されるストリームのコピー制限情報が世代コピーの制限をもつ場合、暗号処理部109はストリームを暗号化し、記録媒体に記録させる。暗号処理部109は、記録バッファ108に格納されているストリームを暗号化し、再度記録バッファ108に格納する。暗号化されたストリームはバッファ制御部105を介して、記録媒体110、111に記録される。暗号化の際の鍵は、例えば、映像音声出力装置11の持つ固有情報、記録媒体110、111の持つ固有情報、そのほか乱数などから生成される。
【0019】
ディジタル放送信号入力端子101およびネットワーク接続端子128から受信したストリームを視聴する場合、ディジタル放送信号入力端子101およびネットワーク接続端子128から入力されたストリームはバッファ制御部105を介してシステムデコーダ114に入力される。また、記録媒体110あるいは111から再生されるストリームは、バッファ制御部105を介して再生用バッファ106に格納され、復号処理部107によって復号された後にバッファ制御部105を介してシステムデコーダ114に入力される。
【0020】
ここで、ディジタル放送信号入力端子101およびネットワーク接続端子128から受信したストリーム、または記憶部110、111で記憶したストリームがMPEG2ストリームの場合は、映像音声出力装置11で映像データと音声データを同期して出力できるように、映像音声出力装置11が参照する時刻基準情報値であるプログラムクロックリファレンス(PCR)がストリームに多重されている。システムデコーダ114は、入力されるトランスポートストリーム(TS)からプログラムアソシエーションテーブル(PAT)/プログラムマップテーブル(PMT)を取得し、パケット識別子(PID)を判別する。システムデコーダ114は、判明したPIDを持つTSパケットを取得し、圧縮符号化映像データ、圧縮符号化音声データ、PCRに分離する。システムデコーダ114はそれぞれ圧縮符号化映像データを映像デコーダ115に、圧縮符号化音声データを音声デコーダ116に、PCRを時計部117に出力する。
【0021】
圧縮符号化映像データは、映像デコーダ115で伸張が施された後、映像処理部118にて付属情報が重畳されて映像信号とされた後に、映像出力部122に出力される。また、圧縮符号化音声データは音声デコーダ116で伸長が施されて音声信号とされた後に、音声出力部123に出力される。さらに、映像信号は映像信号出力端子124から、音声信号は音声信号出力端子125からそれぞれ外部の機器に出力することができ、必要であれば映像処理部118および音声処理部119はそれぞれ映像信号および音声信号をデジタル形式からアナログ形式へ変換して映像信号出力端子124および音声信号出力端子125に出力する。
【0022】
さらに、時計部117は、上記で得られたPCRをシステムタイムクロック(STC)カウンタの計数値の初期値として設定する。時計部117はカウンタの計数値を増加させ、各映像データ、音声データに付随している復号時刻情報(DTS)がこの計数値に一致した時刻にデコード(復号)を行うように映像デコーダ115および音声デコーダ116に指示を行う。映像音声出力装置11は映像または音声データに付随する再生出力時刻情報(PTS)が一致した時刻に映像または音声データの出力を行う。
【0023】
本処理では、受信したストリームがMPEG2システムのPESパケットの場合には、PESに含まれるPTS、DTSの値と時計部117のカウンタ値とに基づき、デコード開始及び出力開始タイミングが制御される。
【0024】
また、ネットワーク接続部127は、例えば、データの到達が保証されず信頼性はないがリアルタイム性のある伝送モード(以降、リアルタイム伝送モードと呼ぶこともある)と、データの到達が保証され信頼性はあるがリアルタイム性のない伝送モード(以降、信頼性のある伝送モードと呼ぶこともある)に動作を切り換え可能である。
【0025】
ここで、リアルタイム伝送モードには、例えば、UDP(User Datagram Protocol)、およびRTP(Real−Time Transport Protocol)が用いられる。この方式では、送信したデータが相手に届いたかどうかを確認しないので、伝送パケットが失われて相手に届かない場合があり、映像や音声、その他制御情報が途切れることがあるが、反面、データの送信は継続するので遅延が少なく、リアルタイム性が維持できる。
【0026】
例えば、RTPでは、ネットワークを経由して転送されると、パケットの喪失や、配送の遅れが起こる。しかし、映像や音声のデータは、データの一部が欠けていても再生が可能である。データの受信側では、喪失や、配送の遅れたパケットは無視し、受信側が期待する時間に到着したパケットだけを利用してデータの再生を行う。受信側は、受信したパケットについて、受信確認応答(ACKnowledgement)を逐一送ることはしない。
【0027】
また、信頼性のある伝送モードには、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)、およびHTTP(HyperText Transfer Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)が用いられる。この方式では、送信したデータが相手に届いたかどうかを確認し、伝送パケットが失われて相手に届かなかった場合は、再度送信処理を行うので、その間、映像や音声が停止してしまうことあるが、データの信頼性は確保される。
【0028】
装置管理部129は、映像音声出力装置11および他の映像音声出力装置を管理する。
同期処理部130は、映像音声出力装置11が他の映像音声出力装置と同期して映像音声を出力する場合に、時計部117の時刻の調整などを行う。
【0029】
図3は、サーバ装置2の構成図の一例である。サーバ装置2は、制御部201、メモリ202、暗号化/復号処理部203、記録部204、ネットワーク接続部205、ネットワーク接続端子206、外部機器制御部207、外部機器接続端子208で構成される。
【0030】
制御部201は、ネットワーク接続部205を介して受信したデータの解析及び送信データの生成、送信指示を行う。また、記録部204に記憶されたプログラムなどをメモリ202に展開し、プログラムの実行などを行う。
【0031】
記録部204は、圧縮符号化された映像データ、および圧縮符号化された音声データを含むストリームをハードディスクなどの記録媒体に格納しており、制御部201からの指示により、記録媒体に格納しているストリームを必要に応じ暗号化復号処理部203で暗号化して出力する。
【0032】
ネットワーク接続部205は、ネットワーク接続端子206を介してネットワーク3に接続する。また、ネットワーク3に接続した他の機器に対して映像音声データの配信、制御コマンド等の送受信を行う。
【0033】
サーバ装置2は映像音声出力装置に対し、映像音声データをIPマルチキャスト方式で送信してもよい。IPマルチキャスト方式は、例えばルータ4内のローカルエリアネットワーク5に接続されているすべての端末装置を宛先として映像音声データを伝送する伝送方式である。この方式により、サーバ装置2は、複数の映像音声出力装置に対し同じ映像音声データをネットワークの占有伝送帯域幅を増加させることなく効率よく伝送できる。
【0034】
各映像音声出力装置がサーバ装置2から配信される映像音声データを、映像、音声を組み合わせて同時に出力する場合、各映像音声出力装置は、互いに映像、音声の出力タイミングを同期させて出力する必要がある。そのため、基準時刻を示す同期パケットをネットワーク上のいずれかの装置が出力し、各映像音声出力装置はその基準時刻に合わせて映像、音声を出力する。映像音声出力装置11が時刻マスタ装置となり、映像音声データを受信した場合に、時刻マスタ装置は基準時刻を示す同期パケットを送信する。
【0035】
他の映像音声出力装置12、13、14、15、16、17、18、19は映像音声データを受信した場合に映像音声出力装置11が送信する基準時刻を示す同期パケットを受信して、それに合わせて映像、音声を出力する。
【0036】
図4は、時計部117の構成例である。時計部117は、PCR取得部1091、時計制御部1092、27MHzカウンタ1093、発振部1094、90KHzカウンタ1095から構成される。
【0037】
PCR取得部1091は、システムデコーダ114から送信されるPCR、あるいはネットワーク接続部127から送信される同期パケットテーブルに記載されたタイムスタンプPCR(後述)を受信し、時計制御部1092に送信する。時計制御部1092は、PCR取得部1091から受信したPCRを、27MHzカウンタ1093、および90kHzカウンタ1095に設定する。発振部1094は、27MHzカウンタ1093及び90kHzカウンタ1095を動作させるためのクロックを生成し、それぞれ27MHzカウンタ1093及び90kHzカウンタ1095に供給する。
【0038】
27MHzカウンタ1093は、発振部1094から供給されるクロックを参照して計数値をカウントアップするとともに、計数値をネットワーク接続部127に供給する。90kHzカウンタ1095は、発振部1094から供給されるクロックを参照して計数値をカウントアップするとともに、計数値を映像デコーダ115、音声デコーダ116に供給する。
【0039】
ここで、システムデコーダ114から送信されるPCRはネットワーク接続部116からシステムデコーダ114に入力されたストリーム、または記憶部110からシステムデコーダ114に入力されたストリームに記録されている。
【0040】
図12は、各映像音声出力装置の記憶部110に記憶され、装置管理部129が管理する装置管理テーブル1200の一例である。装置管理テーブル1200は、ID情報1201と、アドレス情報1202と、位置情報1203から構成される。
【0041】
ID情報1201は、それぞれの映像音声出力装置に固有のIDを登録する。固有のIDとは、少なくともローカルエリアネットワーク5内で唯一の値であればよく、製造番号などを用いることができる。
【0042】
アドレス情報1202は、各映像音声出力装置のローカルエリアネットワーク5上のアドレスである。映像音声出力装置11がローカルエリアネットワーク5に接続された場合、装置管理部129は、ネットワーク接続部127を介してローカルエリアネットワーク5に接続されている他の映像音声出力装置を検索し、装置間で例えばUPnPなどのプロトコルを用いて機器間でIPアドレスやMACアドレスを相互確認する。装置管理部129は、相互確認によって得られた各装置のIDおよびローカルエリアネットワーク5上のアドレスを、ID情報1201およびアドレス情報1202として装置ごとに装置管理テーブル1200に登録する。
【0043】
位置情報1203は、設置された映像音声出力装置の相対位置を表す。図13の位置登録画面で登録された位置情報が登録され、位置登録をしていない場合は空欄である。
【0044】
図13は、各映像音声出力装置の装置管理部129が作成し、映像出力部122に表示される相対位置を決定する装置位置決定画面1300の一例である。
【0045】
1301は、映像音声出力装置を示すブロックである。図13の例では9つの映像音声出力装置が接続されていることが分かる。例えば4台の映像音声出力装置が接続されている場合は、ブロックが縦横に2つずつ装置の並んだ装置位置決定画面1300が、装置管理部129によって作成される。各ブロックには装置管理テーブルの位置情報1203に登録される位置1302と、位置1302に登録する映像音声出力装置のIDを入力するID入力ボックス1303が含まれる。
【0046】
決定ボタン1304がリモコンなどで選択された場合、装置管理部129が、ID入力ボックス1303にIDを入力された映像音声出力装置の装置管理テーブル1200に、位置1302を位置情報1203として登録する。
【0047】
図10は、各映像音声出力装置の記憶部110に記憶され、各映像音声出力装置の装置管理部129が管理するグループ管理テーブル1000の一例である。グループ管理テーブル1000は、ID情報1001、アドレス情報1002、グループ情報1003、マスタ情報1004、分割情報1005から構成される。
【0048】
ID情報1001は、各映像音声出力装置に固有のIDを示す。図10の例では図1における各装置の符号をIDとして用いているが、少なくともローカルエリアネットワーク5内で固有の値であれば任意に定めてよい。各装置のID情報には、例えば映像音声出力装置の製造時に予め固有の情報を付す、ユーザが予め各映像音声出力装置に設定する、などが挙げられる。
【0049】
アドレス情報1002は、各映像音声出力装置間で通信を行う場合に必要なローカルエリアネットワーク5上の各映像音声出力装置のアドレスである。
【0050】
グループ情報1003は、出力の同期を行う複数の映像音声出力装置を一つのグループとして管理するための情報である。グループ情報1003は、グループの作成順に連番を付すなど、他のグループと重複しなければどのように定めても良い。ローカルエリアネットワーク5内に1つのグループしか存在しないなどのグループ情報1003を使用しない場合はグループ情報1003を省略することができる。
【0051】
マスタ情報1004は、同一グループ内に1台だけ存在する時刻マスタ装置を判別するための情報であり、映像音声出力装置がマスタである場合は「1」、マスタではない場合は「0」の値が登録される。装置管理部129は、グループ内に存在する映像音声出力装置のうち、IPアドレスあるいはMACアドレスの最も小さい、あるいは大きい値を持つ装置をマスタ装置としてマスタ情報1004に1の値を設定することができ、それ以外の装置には0の値を設定する。マスタ装置の決定方法は、装置の位置に応じて複数の映像音声出力装置の一番右上の装置がマスタ装置となる方法、特定の部分を表示するように設定された装置が時刻マスタ装置になる方法、図示しない画面を用いてユーザに選択させる方法などがあるが、時刻マスタ装置になるかどうかを決定する方法は、これらに限定するものではない。
【0052】
分割情報1005は、グループに所属する各映像音声出力装置が図7のように1つの映像を分割して表示する場合は「1」、分割して表示しない場合は「0」が登録される。
【0053】
図11は、装置管理部129が作成し、映像出力部122に表示させるグループ作成画面1100の一例である。グループ作成画面1100は、例えば映像音声出力装置11の入力部(図示せず)がユーザからのグループ作成の命令を受け付けた場合に表示する。図11図10のグループAを作成しようとするグループ作成画面の例である。
【0054】
ボックス1101は、選択された位置にある複数の装置が一つの画面を分割表示するか否かを選択するチェックボックスである。ボックス1101にチェックを入れることで後述する方法などで画面を分割表示する。画面を分割表示しない場合は、後述する方法などで各装置間で同期を取り、同じストリームを同時に表示する。
【0055】
ボックス1102は、新しく作成するグループに加える装置を選択するチェックボックスである。ユーザはリモコンなどの入力手段を用いてボックス1102にチェックを入れることで、ボックス1102が示す位置に設定された映像音声出力装置をグループに加えることを選択する。
【0056】
決定ボタン1103は、リモコンなどで選択することによってグループ作成画面1100に入力した情報を確定させる部分である。決定ボタン1103が選択されると、装置管理部129はグループ作成画面1100に入力された情報をグループ管理テーブル1000に登録してグループ作成の処理を終了する。また、終了ボタン1104が選択されるとグループ作成画面1100に入力された情報をグループ管理テーブル1000に登録せずにグループ作成の処理を終了する。
【0057】
装置管理部129がグループ作成画面1100に入力された情報をグループ管理テーブル1000に登録するに当たって、装置管理部129は、チェックボックス1102にチェックを入れられた位置1105に登録されている映像音声出力装置のID情報1201およびアドレス情報1202をチェックを入れられたブロックごとに装置管理テーブル1200から取得する。図11の例では、「1」「2」「4」「5」の位置に登録された映像音声出力装置のID情報「11」「12」「13」「14」とアドレス情報「aaa.bbb.ccc.1」「aaa.bbb.ccc.2」「aaa.bbb.ccc.3」「aaa.bbb.ccc.4」を取得する。
【0058】
次に、装置管理部129は、取得した各映像音声出力装置のID情報1201およびアドレス情報1202を図10のグループ管理テーブル1000のID情報1001およびアドレス情報1002に登録する。また、装置管理部129は、図11のボックス1105にチェックが入っている場合は、新しく登録するグループに属する装置の分割情報1005に「1」を登録し、チェックは入っていない場合は「0」を登録する。さらに、新しく登録するグループに属する装置に対して装置管理部129は同じグループ名をグループ情報1003に登録する。また、先述した方法などで新しく登録するグループに属する装置の中からマスタ装置となる映像音声出力装置を選択してマスタ情報1004に「1」を登録し、その他の新しく登録するグループに属する装置には「0」を登録する。
【0059】
また、装置管理部129はローカルエリアネットワーク5を介して他の出力装置の装置管理部129にグループ作成画面1100に登録した情報を通知する。グループ作成画面1100に入力された情報を通知された他の出力装置の装置管理部129はそれぞれ自装置で管理するグループ管理テーブル1000に通知された情報を上述した方法と同様にして登録する。 ここで、グループ設定画面1100を表示している映像音声出力装置11以外の映像音声出力装置に自装置の名前を表示させてもよい。具体的には、映像音声出力装置11の装置管理部129は、他の映像音声処理装置の装置管理部129とローカルエリアネットワーク5を介して通信を行ってグループ作成中であることを通知する。グループ作成中であることを通知された他の映像音声処理装置の装置管理部129は制御部112にグループ作成中であることを通知する。制御部112は、映像処理部118に自装置の名前を含む画面情報を作成させ、作成された画面情報をそれぞれの映像出力部122が表示する。このようにグループ作成中に各装置の名前を各装置が表示することにより、ユーザにとって装置の識別が容易になり、使い勝手が向上する。
【0060】
図5は、同期再生処理のフローチャートの一例である。ユーザからの操作により、グループAの映像音声出力の要求があった場合、映像音声出力装置のネットワーク接続部127はサーバ装置2に対し、映像音声データの配信を要求する(ステップS501)。また、同期処理部130は、グループ管理テーブル1000を参照し、映像音声出力の要求があったグループAに属する映像音声出力装置の情報を取得する(ステップS502)。
その後、同期処理部130は取得したアドレス情報1002が示すアドレスに対して同期再生を行う旨を通知する(ステップS503)。
【0061】
次に、同期処理部130は、取得したマスタ情報1004から自装置がグループAにおけるマスタ装置であるか否かを確認する(ステップS504)。自装置がマスタ装置である場合は、映像音声出力装置の同期処理部130はステップS501の配信要求に応じてサーバから送信された映像音声データを受信し、映像音声データからPCRを取得する。次に同期処理部130は取得したPCRを時計部117のPCR取得部1091に通知し、時計部117の時計制御部1092は通知されたPCRをSTCの初期値として設定する(ステップS505)。その後、時計制御部1092はSTCをカウンタから取得し、同期パケットを作成する。同期処理部130は、時計部117から取得した同期パケットをグループAの他の映像音声出力装置に送信する(ステップS506)。なお、同期パケットはPCR取得部1091が取得したPCRから時計制御部1092が作成してもよい。
【0062】
また、ステップS504において映像音声出力装置がマスタ装置でない場合は、映像音声出力装置はネットワーク接続部127を介してマスタ装置である他の映像音声出力装置から送信される同期パケットを受信する(ステップS507)。映像音声出力装置の同期処理部130はネットワーク接続部127を介して受信した同期パケットを時計部117に送信する。PCR取得部1091を介して同期パケットを取得した時計制御部1092は、取得した同期パケットをSTCの初期値に設定する(ステップS508)。
【0063】
次に映像音声出力装置における時計部117の時計制御部1092はカウンタの計数値を増加させ、各映像音声データに付随している復号時刻情報(DTS)がこの計数値に一致した時刻に映像デコーダ115および音声デコーダ116はそれぞれ映像および音声のデコード(復号)を行う(ステップ509、510)。
【0064】
ここで、同期処理部130が取得したグループ管理テーブルの分割情報1005が各映像音声出力装置が映像および音声を組合せて出力しないことを示す「0」である場合、映像処理部118および音声処理部119はステップ511とステップ512の処理を行わず、デコードされた映像および音声を映像出力部107および音声出力部108に出力させる。これによって、各映像音声出力装置は同じ映像および音声を同時に出力することが可能である。
【0065】
また、分割情報1005が各映像音声出力装置が映像および音声を組合せて出力することを示す「1」である場合、各映像音声出力装置の同期処理部130は、装置管理テーブル1200を参照して出力を要求されたグループに属する各映像音声出力装置の位置情報1203を取得する。
【0066】
位置情報1203を取得した同期処理部130は、グループに属する各映像音声出力装置の位置から拡大倍率を計算する。例えば、縦横に2台ずつ合計4台の装置が並んでいる場合は映像を縦2倍、横2倍に拡大し、縦1台、横2台の計2台の装置が並んでいる場合は縦は拡大せずに横に2倍に拡大する。その後、同期処理部130は、計算した拡大倍率と、自装置の位置情報1203を映像処理部118に通知する。
【0067】
同期処理部130から出力すべき部分の位置と拡大倍率を通知された映像処理部118は、映像デコーダ115がデコードした映像のうち、受信した位置情報1203が示す映像の一部分を通知された拡大倍率で拡大し、時計制御部1092が制御するカウンタの計数値と再生出力時刻情報(PTS)が一致した時刻に映像出力部122に出力させる(ステップ511)。
【0068】
映像の一部分の拡大方法としては、画面全体に映像の一部分が出力されるように映像の一部分のアスペクト比を変更して拡大する方法、映像の一部分のアスペクト比を保持したまま映像出力部122の縦もしくは横のサイズに合わせて拡大する方法、などがあるが、各映像音声出力装置が同じ方法で映像を拡大するのであればどのような方法で拡大してもよい。
【0069】
このように同期再生処理を行うことで、コンテンツの視聴者に複数の映像出力装置を組み合わせた大画面でコンテンツを提供することができる。
【0070】
また、音声処理部119は出力する音声の左右バランスを映像音声出力装置の組み合わせの位置により左チャンネル、右チャンネルの音声バランス処理を行い、時計制御部1092が制御するカウンタの計数値と再生出力時刻情報(PTS)が一致した時刻に音声出力部123に出力させる(ステップ512)。
【0071】
左側に位置する映像音声出力装置の左スピーカを左側スピーカ、右スピーカを中央スピーカとし、同様に右側に位置する映像音声出力装置の右スピーカを右側スピーカ、左スピーカを中央スピーカとする。音声処理部119が行う音声バランス処理として例えば、ステレオ(2チャンネル)の音声の右チャンネルおよび左チャンネルをそれぞれ右側スピーカおよび左側スピーカで出力し、中央スピーカは出力を行わないように出力を制御する処理や、2チャンネルよりもチャンネル数が多い音声を出力する場合に中央スピーカが左右のチャンネル以外のチャンネルを出力するように出力を制御する処理、2チャンネルの音声を出力する場合に中央スピーカが左右のチャンネルを合わせたモノラルの音声を出力するように出力を制御するなどがある。
【0072】
このように同期再生処理を行うことで、コンテンツの視聴者にステレオもしくはそれ以上のチャンネルの音声を提供することができる。以上の処理により、各映像音声出力装置間で同期再生処理を行うことで、同期再生機能を映像音声出力装置に内蔵することが可能である。
【0073】
上記には映像配信における同期処理を説明したが、各映像音声出力装置に記録済のコンテンツを同期再生する場合における異なる箇所を説明する。
ステップS501において、ユーザからの操作により、グループAの映像音声出力の要求があった場合、映像音声出力装置のシステムデコーダ114は記憶部110からストリームの格納されたデータを読み出す。(ステップS501)
ステップS505において、自装置がマスタ装置である場合は、映像音声出力装置の同期処理部130はステップ501の記憶部110から読み出した映像音声データの記録されたTTS(後述)からタイムスタンプPCR(後述)を取得する。次に同期処理部130は取得したタイムスタンプPCRと時計部117の27MHzカウンタ1093の値を監視し、同一の値になったらタイムスタンプPCRを除去した映像音声データをシステムデコーダ114に入力することにより、PCRを時計部117に通知する。
【0074】
時計部117の時計制御部1092は通知されたPCRをSTCの初期値として設定する(ステップS505)。その後、同期処理部130は、時計部117から取得した基準時刻を示す同期パケットをグループAの他の映像音声出力装置に送信する(ステップS506)。
【0075】
マスタ装置でない装置の場合、ステップS509、ステップS510において出力する映像音声データを、サーバ2から送信された映像音声データの代わりにシステムデコーダ114が読み出した映像音声データを用いること以外の動作は同様である。以上の処理により、各映像音声出力装置間で記録済の映像音声データの同期再生処理を行うことで、同期再生機能を映像音声出力装置に内蔵することが可能である。
【0076】
図8は、本実施例における、マスタ装置と非マスタ装置間の同期パケット送受信シーケンスである。
【0077】
マスタ装置はストリームの格納されたデータをネットワークから受信すると、各TSパケットに記録されたPCRに基づき同期パケットを非マスタ装置に送信する。非マスタ装置は同期パケットを受信し、機器内部の時計を同期設定する。マスタ装置は、PCRを含まないTSパケットを受信した場合、自装置の27MHzカウンタ値に基づき同期パケットを非マスタ装置に送信してもよく、非マスタ装置は同期パケットを受信し、機器内部の時計を同期設定する。
【0078】
また、マスタ装置はストリームの格納されたデータを記憶部110から読み出すと、後続するTSパケットのシステムデコーダへの到着時刻をMPEGシステムクロックに同期した27MHzのカウンタ値を4バイトで表現した値のヘッダ情報を先頭に付加したタイムスタンプ付きTS(以下TTS)パケットに記録されたタイムスタンプ(以下、タイムスタンプPCR)に基づき、自装置の27MHzカウンタと一致した時点で、同期パケットを非マスタ装置に送信する。非マスタ装置は同期パケットを受信し、機器内部の時計を同期設定する。
【0079】
また、再生フレームの出力時刻情報であるPTSを含むTSパケットまたはTTSパケットを受信あるいは読み出した場合、PTSに基づき同期パケットを送信する。非マスタ装置は同期パケットを受信し、機器内部の時計を設定する。PTSは一定周期のTS、あるいはTTSパケットのみに記録されているため、全てのTTSパケットに記録されているタイムスタンプPCRを元にした同期パケット送信の周期よりも長い周期で送信される。以上より、PTSのみを元にした同期パケット送信周期よりも短い周期で同期をとることが可能となる。このため、ネットワークの伝送安定性が低いため、フレーム同期情報であるPTSのみを元にした同期パケットが欠損し同期がとれない場合でも、PCR、タイムスタンプPCRを元にした同期パケットを用いることにより、同期の精度を向上することが可能となる。
【0080】
本説明においては、全てのTS、TTSパケットを受信した際にPCRを元にしたパケット情報を送信したが、PTSを元にした送信周期よりも短い周期であれば、所定の周期で送信してもよい。
【0081】
図9は、本実施例における同期パケットに含まれる情報テーブルの例である。STCは基準時刻、PTSは再生出力時刻情報であり、これらを同期パケットとして送信することにより、映像音声出力機器の映像音声出力を同期させることができる。なお、図5のステップS506において、同期パケットをPCR取得部1091が取得したPCRから時計制御部1092が作成する場合はSTCの替わりにPCRを用いる。PIDは再生するプログラムの識別子、チャンネルは衛星、ケーブルから受信するデジタル放送信号の選局情報であり、これらを同期パケットとして送信することにより、映像音声出力機器の再生するプログラム、チャンネルを同期させることができる。
【0082】
輝度は、映像出力部122のバックライトの明度であり、これを同期パケットとして送信することにより、映像音声出力機器の表示の明るさを同期させることができる。音量は音声出力のレベルであり、これを同期パケットとして送信することにより、映像音声出力機器の音量レベルを消音も含め同期させることができる。コンテンツ名は各装置の記録部110、111に記録したコンテンツであり、これを同期パケットとして送信することにより、各装置に記録したコンテンツの再生を同期させることができる。本テーブルに記載の項目は単一で使用しても良いし、複数を組み合わせて使用しても良い。なお、情報テーブルに使用する項目は、本説明に記載した項目に限定するものでない。また、時刻マスタ装置がパケットの形式で情報を送信するとして説明したが、マスタ装置が送信する情報はパケットの形式に限るものではない。
【0083】
図6は、サーバ装置2から映像音声出力装置に配信される映像音声データの映像61の一例である。
【0084】
図7は、各映像音声出力装置11、12、13、14、15、16、17、18、19の映像表示部611、612、613、614、615、616、617、618、619における映像の表示例である。
図7では図5における同期再生処理に従い、図10におけるグループAに属する映像音声出力装置11、12、13、14の映像表示部611、612、613、614がサーバ装置2から配信された図6の映像61を、各映像音声出力装置の映像、音声を同期して分割表示している。また、グループAと同様に同期再生処理を行うことで、グループBに属する映像音声出力装置15、16の映像表示部615、616がニュースを同期して分割表示し、グループCに属する映像音声出力装置17、19の映像表示部617、619が株価情報を同期して個別に表示している。さらに、グループA、B、Cに属していない映像音声出力装置18の映像表示部618は天気予報を表示している。
【0085】
なお、図10のグループ管理テーブルに登録されているグループDはユーザによる表示の要求がされていないため、グループDに属する映像音声出力装置14、16、18、19は映像を同期再生していない。グループDに属する映像音声出力装置を用いて映像を同期再生する場合には、グループに属する映像音声出力装置が重複するためにグループA、B、Cが映像を同期再生することはできないため、映像音声出力装置11、12、13、15、17は表示をしない、若しくは個別に映像を表示する、若しくはグループDに属さない映像音声出力装置で作成されたグループで同期再生をする。
【0086】
また、図示しないが、各映像音声出力装置の組み合わせの位置に応じてスピーカから出力する音声についても、例えば映像61の音声に関して、左側の映像音声出力装置11、13、15は左チャンネルの音声を左チャンネル用のスピーカから出力し、右側の映像音声出力装置17、18、19は右チャンネルの音声を右チャンネル用のスピーカから出力する。
【0087】
このように各映像音声出力装置が同期して、組み合わせ設置位置に応じて映像を表示し音声を出力することで、ネットワークの占有伝送帯域幅を増加させることなく効率よくサーバ装置2からの映像音声データを出力することが可能になる。
【0088】
本実施例では、9つの映像音声出力装置のうち4つの映像音声出力装置を組み合わせ、同期して映像を出力する際の例を示したが、これに限定するものではない。組み合わせの数に応じて、映像61の切り出し位置と拡大率を変えればよい。
【0089】
このように各映像音声出力装置が組み合わせ設置位置に応じて映像を表示し音声を出力することで、ネットワークの占有伝送帯域幅を増加させることなく効率よくサーバ装置2からネットワーク3を介して受信した映像音声データを出力することが可能になる。
【実施例2】
【0090】
図14は映像音声出力装置を用いた情報提供システムの一例である。
映像音声出力装置1401、1402は動く歩道1403の近傍に設置されており、歩行者はモータ1404の回転速度に応じて進行方向に向けて進む。このとき、歩行者がAからBの間の位置にいる場合は映像音声出力装置1401の映像を視聴可能であり、CからDの間の位置にいる場合は映像音声出力装置1402の映像を視聴可能である。しかし、BからCの間の位置にいる場合はどちらの映像音声出力装置も視聴できない。このため、映像音声出力装置1401にユーザの興味を引くコンテンツを表示していた場合、途中で視聴できない期間があり、映像音声出力装置1402を視聴可能になっても、映像音声出力装置1401でユーザの興味を引いたコンテンツが表示される保証は無い。そこで、視聴不可の期間を挟んでも提供するコンテンツの連続性を保つために再生映像音声を同期させたうえで、再生ポイントのオフセットを持つ方法を説明する。
【0091】
ここで、搭乗者の移動速度はモータ1404の回転速度と一致するため、BからCの視聴不可範囲の距離を回転速度で割ると視聴不可時間がわかる。また、本実施例では説明のために、映像音声出力装置1401をマスタ装置、映像音声出力装置1402をスレーブ装置とし、スレーブ装置はマスタ装置から送信された同期パケットを基に映像音声を出力するとするが、マスタ装置とスレーブ装置との位置関係に制限は無い。
【0092】
本実施例は、図5の処理の一部と、図10のグループ管理テーブル1000の構成と、が実施例1と異なり、その他の部分は実施例1と同様にして実施することができる。以下では実施例1と実施例2との相違点のみを述べる。 図15はオフセット値1006を指定したグループ管理テーブル1000の図である。同期処理部130は、マスタ装置1401とスレーブ装置1402の距離から視聴不可時間を計算する。例えば、視聴不可時間が「2」の時間である場合、マスタ装置1401のオフセット値は0、スレーブ装置1402のオフセット値は2が設定される。オフセット値の設定方法は図11に示したグループ作成画面で各画面に数値を入力する方法等があるが、オフセット値の設定方法はこの限りではない。
【0093】
図5のステップS504において、マスタ装置1401は自装置のオフセット値が0であることを確認し、続くステップS505、S506で実施例1と同様に同期パケットをスレーブ装置1402に出力する。スレーブ装置1402は、同期パケットを受信すると実施例1の図5で示したステップS508と同様に時計設定を行う。ただし、同期パケットによる時計設定を行う際に自装置のオフセット値が2であることを確認し、オフセット値分を減算した値で時計設定を行う。
【0094】
以上の処理を行うことにより、スレーブ装置1402はマスタ装置1401よりオフセット値である「2」の時間だけ、再生ポイントを遅らせて再生することになり、搭乗者がAからBまでの間にマスタ装置1401から出力される映像音声を視聴した続きをその搭乗者はCから連続してスレーブ装置1402で視聴することが可能となる。
【0095】
このようにオフセットを持つことで設置位置の離れた出力装置を用いて、コンテンツの連続性を保つことができる。また、離れて搭乗する複数の視聴者に対し、異なるコンテンツを提供することができる。本方式によれば、移動速度が変更されたり、出力装置の位置が変更されてもオフセット値を求めることが可能であり、動く歩道の他にエスカレータ等と組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0096】
11、12、13、14、15、16、17、18、19…映像音声出力装置、2…サーバ装置、3…ネットワーク、4…ルータ、5…ローカルネットワーク、101…ディジタル放送信号入力端子、102…ディジタルチューナ、105…バッファ制御部、106…再生用バッファ、107…復号処理部、108…記録用バッファ、109…暗号処理部、110…内蔵記憶部、111…外部記憶部、112…制御部、113…メモリ、114…システムデコーダ、115…映像デコーダ、116…音声デコーダ、117…時計部、118…映像処理部、119…音声処理部、122…映像出力部、123…音声出力部、124…映像信号出力端子、125…音声信号出力端子、126…リモコン受信素子、127…ネットワーク接続部、128…ネットワーク接続端子、129…装置管理部、130…同期処理部、201…ネットワーク接続部、202…メモリ、203…暗号化復号処理部、204…記録部、205…ネットワーク接続部、206…ネットワーク接続端子、207…外部機器制御部、208…外部機器接続端子、1091…PCR取得部、1092…時計制御部、1093…27MHzカウンタ、1094…発振部、1095…90kHzカウンタ、1401…マスタ装置、1402…スレーブ装置、1404…モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15