特許第5841907号(P5841907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コロナの特許一覧

<>
  • 特許5841907-暖房装置 図000002
  • 特許5841907-暖房装置 図000003
  • 特許5841907-暖房装置 図000004
  • 特許5841907-暖房装置 図000005
  • 特許5841907-暖房装置 図000006
  • 特許5841907-暖房装置 図000007
  • 特許5841907-暖房装置 図000008
  • 特許5841907-暖房装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5841907
(24)【登録日】2015年11月20日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/06 20060101AFI20151217BHJP
【FI】
   F24H3/06 302
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-151689(P2012-151689)
(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公開番号】特開2014-16044(P2014-16044A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】中村 政晴
(72)【発明者】
【氏名】庭山 正志
(72)【発明者】
【氏名】当山 朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑輔
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−289513(JP,A)
【文献】 特開平4−13048(JP,A)
【文献】 特開平2−195153(JP,A)
【文献】 特開昭62−106251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/06 − 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃油を燃焼する燃焼部を内部に備えた器具本体と、該器具本体内に設置され前記燃焼部で発生した高温の燃焼ガスが流入する熱交換器と、前記器具本体の背面に設置され所定の回転数で駆動する対流ファンと、前記器具本体の前面に設置され前記対流ファンで送風された温風が吹き出る吹出口が形成された前面板と、前記器具本体の一部を構成し前記前面板の側方に設置された前面側方板とを備えた暖房装置において、前記前面側方板に前記吹出口へ開口を向け前記対流ファンで送風された空気が吹き出る開口部を形成したことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記開口部は複数のスリットで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温風を送風して室内を暖める暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいて、器具本体の前面に複数枚の水平羽根を平行配設したルーバー枠で構成された吹出口を備え、該吹出口側方の端部を所定幅の吹出規制片で部分的に塞ぐことで、吹出口の側方から送風される高温の温風量を規制し、器具本体近傍の側方にある壁の温度上昇を防止することで、安全性を向上させたものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3573794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、吹出口から送風された後の温風の流動方向は修正されていないため、吹出規制片で塞がれていない箇所の吹出口から側方へ温風が流動して壁を加熱してしまうので、器具本体近傍の側方にある壁の温度上昇を防止する手段として改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、燃油を燃焼する燃焼部を内部に備えた器具本体と、該器具本体内に設置され前記燃焼部で発生した高温の燃焼ガスが流入する熱交換器と、前記器具本体の背面に設置され所定の回転数で駆動する対流ファンと、前記器具本体の前面に設置され前記対流ファンで送風された温風が吹き出る吹出口が形成された前面板と、前記器具本体の一部を構成し前記前面板の側方に設置された前面側方板とを備えた暖房装置において、前記前面側方板に前記吹出口へ開口を向け前記対流ファンで送風された空気が吹き出る開口部を形成したものである。
【0006】
また、請求項2では、前記開口部は複数のスリットで形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の請求項1によれば、前面側方板に吹出口へ開口を向け対流ファンで送風された空気が吹き出る開口部を形成したので、吹出口から吹き出た温風が器具本体の側方に向けて流動しようとしても、前面側方板の開口部から吹き出された空気がエアカーテンとなって遮るため、器具本体近傍の側方にある壁を加熱することがなく、安全性を高めることが可能となった。
【0008】
また、請求項2によれば、開口部は複数のスリットで形成されたので、前面側方板の強度を低下させることなく器具本体の側方に対してエアカーテンをすることが可能となり、安全性を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態を示す暖房装置の斜視図
図2】同発明の内部構造を説明する正面断面図
図3】同発明の熱交換器を説明する側面断面図
図4】同発明の制御部を説明する側面断面図
図5】同発明の背面構造を説明する背面図
図6】同発明の操作部の各ボタンを説明する図
図7】同発明の前面送風板のスリット形状と温風及び空気の流動方向を説明する図
図8】同発明の温風の送風方向について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明を適用した暖房装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は温風と輻射による暖房を行う縦長の器具本体、2は暖房運転の開始や暖房運転における火力等の設定が可能なボタンを複数備えた操作部、3は通常の暖房運転時に設定温度や室内温度を表示し、異常発生時に所定のエラーコードを表示して使用者に異常内容を報知する表示部、4は器具本体1の前面に設置された前面板5の上下2箇所に形成され温風を室内に吹き出す吹出口である。
【0011】
6は燃焼部であり、電磁ポンプ7から送油された所定量の燃油を気化ヒータ8で加熱して気化させる気化筒9と、該気化筒9の下部に設置され気化筒9の温度を検知するポットサーミスタ10と、前記気化筒9の上方に設置され一次空気と均一に混合させてバーナヘッド11の炎孔から気化された燃油を放出する整炎筒12と、前記バーナヘッド11の炎孔から放出した気化燃油に火花放電で着火する点火プラグ13と、該点火プラグ13で着火され図示しない風洞から送風された二次空気と混合した火炎の状態を監視するフレームロッド14とで構成されている。
【0012】
15は燃焼部6で加熱され赤熱する赤熱筒、16は前記赤熱筒15の周囲を覆う耐熱性のガラス管、17は前記ガラス管16の背面側に備えられた反射板であり、前記赤熱筒15の赤熱状態を反射させ、ガラス板で構成された輻射窓18から室内に放射して輻射暖房を行う。
【0013】
19は器具本体1の正面視左下部に設置された燃焼ファンであり、図示しない回転数検知装置で検知した回転数をフィードバック制御することで、前記操作部2で設定した火力に対して最適な空燃比となる回転数で駆動する。
【0014】
20は前記ガラス管16の上方に備えられ複数のパイプを併設して構成された熱交換器であり、赤熱筒15通過後の燃焼ガスが各パイプ内を流通して室内空気と熱交換し、器具本体1の正面に形成された吹出口4から温風が室内に送風されることで、輻射暖房と共に温風暖房を行う。
【0015】
21は器具本体1の背面に設置されファンガード22で周囲を覆われた対流ファンであり、操作部2で設定された火力に応じて所定の回転数で駆動し、熱交換器20で加熱された空気を温風として吹出口4から室内に送風する。
【0016】
23は器具本体1の背面に設けられた給排気筒であり、室外から取り入れた空気を燃焼ファン19へ導く給気ホース24と、熱交換器20で室内空気と熱交換された排ガスを室外に放出する排気ホース25とが接続されており、室内の空気を汚すことなく暖房運転が行える。
【0017】
26は熱交換器20の上方にある熱交上面板27上に備えられ所定の高温度を検知する過熱防止サーモ、28は前記過熱防止サーモ26と同じく熱交上面板27に備えられ前記過熱防止サーモ26よりも低い所定の低温度を検知する温風温度センサであり、熱交換器20付近の温度を検知して暖房運転に異常がないか監視する。
【0018】
29は家庭用のコンセントに差し込んで器具本体1へ電力を供給する電源プラグ、30はリード線が断線したかで給排気筒23と排気ホース25との接続箇所が外れたことを検知する排気経路外れ検知用リード線、31は室内の温度を検知する室内温度センサである。
【0019】
32は暖房運転の開始及び停止を指示する運転ボタン、33は最大火力を抑えて消費電力と消費燃料とを低下させたエコモードを設定するエコボタン、34は上下に頂点を向けた三角形状のボタンで火力や時刻の設定が可能な上下ボタン、35は設定室温に対する火力を自動で調節する自動運転と火力を手動で調節する手動運転とを切り替える自動/手動ボタン、36は現在の設定温度や設定火力に関わらず最小火力まで落として室内の暖まり過ぎを防止する微少ボタン、37は設定された時刻に暖房運転を開始させるタイマーボタンであり、前記操作部2にそれぞれ備えられてある。
【0020】
38は器具本体1の正面に備えられた前面板5を囲う前面ガードであり、吹出口4や輻射窓18に直接触れないようにして火傷を防止する。
【0021】
39は器具本体1の一部を構成し前面板5の側方に備えられ、前面板5に開口を向けた開口部としてのスリット40を縦方向に複数形成した前面側方板であり、対流ファン21で器具本体1内に取り入れた空気について反射板17の背面側を通過させてスリット40から吹き出すので、高温の気化筒9や熱交換器20を通過させず低温の空気をスリット40から室内に吹き出すものである。
【0022】
41は器具本体1の正面視右側面に備えられマイコンで構成された制御部であり、操作部2の各ボタンによる指示に基づいて燃焼ファン19や対流ファン21の回転数等を制御し、室内温度センサ31で検知された現在の室温や時刻等を表示部3に表示させる。
【0023】
次に、この暖房装置における暖房運転について詳細を説明する。
まず、操作部2の運転ボタン32を操作すると気化ヒータ8に通電して気化筒9内を加熱し、ポットサーミスタ10が150℃以上を検知したら燃焼ファン19を所定の回転数で駆動させて燃焼空気を送風し、その後、ポットサーミスタ10が210℃以上を検知したら、電磁ポンプ7をONにして所定量の燃油を気化筒9内に噴射して気化させ、点火プラグ13に通電して火花電流を発生させることで着火する。
【0024】
着火後、フレームロッド14で検知される炎電流値が所定値以上であるか確認して着火が成功したか判断し、着火が成功していれば対流ファン21を駆動させ、操作部2の自動/手動ボタン35で自動か手動のどちらが設定されているか確認する。
【0025】
自動/手動ボタン35で自動が設定されていれば、上下ボタン34で設定された室内設定温度まで室温が上昇するように燃焼ファン19の回転数や電磁ポンプ7から気化筒9内に送る燃油量を調節して燃焼量を増減させ、対流ファン21の回転数を増減させて室内に送風する温風を調節するものであり、室内温度センサ31で検知される室温と設定された室内温度とを比較して最適な火力での暖房運転を行う。
【0026】
また、自動/手動ボタン35で手動が設定されていれば、上下ボタン34で設定された1灯から6灯までの火力に応じて燃焼ファン19の回転数と電磁ポンプ7から気化筒9内に送る燃油量を調節し、対流ファン21の回転数を調節して室内に送風する温風の強弱を変化させることで、使用者が設定した火力の暖房運転を行う。
【0027】
次に、器具本体1の前面板5の吹出口4から送風される温風と前面側方板39のスリット40から送風される空気の流動方向について説明する。
図7で示すように、暖房運転時において前面板5に形成された吹出口4からは、気化筒9や熱交換器20で加熱された温風が器具本体1の前面方向に向かって流動し、また、前面側方板39に形成された複数のスリット40からは、前面板5の吹出口4と前面側方板39との間に形成された凹部に向かって対流ファン21から送風された空気が吹き出され、該凹部から器具本体1の前面に向けて空気が流動する。
【0028】
次に、器具本体1の設置場所と暖房運転時における温風の送風経路について説明する。
図8で示すように、側面方向と背面方向の三方が壁で囲われたマントルピース等に器具本体1を設置した場合、暖房運転を開始し前面板5の吹出口4から室内に温風を送風すると、吹出口4から吹き出た温風の一部が側面方向の壁に向かって流動しようとするが、前面側方板39のスリット40から吹き出る空気がエアカーテンとなり、器具本体1の側面方向へ流動する温風を前面方向へ案内するので、器具本体1の側面方向にある壁を加熱することなく暖房運転が行える。
【0029】
以上のように、前面板5の側方にあり器具本体1の一部を構成する前面側方板39について、前面板5の吹出口4方向へ開口を向け対流ファン21で送風された空気が吹き出される複数のスリット40を形成したので、器具本体1を側面方向と背面方向とが囲われたマントルピース等に設置した場合、吹出口4から側面方向に温風が流動しようとしても、スリット40から吹き出る空気がエアカーテンとなり遮ることから、器具本体1近傍の側面方向にある壁を加熱することがなく安全性を高めた。
【0030】
また、開口部としてのスリット40を前面側方板39に複数形成したことで、前面側方板39の強度を低下させることなく吹出口4から吹き出る温風に対するエアカーテンを可能とし、器具本体1の側方にある壁を加熱することがなく安全性を高めた。
【0031】
また、対流ファン21で器具本体1内に取り入れた空気を反射板17の背面側を通過させてスリット40から室内に吹き出すので、高温の気化筒9や熱交換器20を通過せず、ほぼ室内温度と同等の温度の空気が器具本体1内部の側面を通過するため、器具本体1の側面の加熱を防止可能としている。
【0032】
なお、前記実施形態では本発明を石油ストーブに適用したものについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ガスストーブ等に適用可能なものである。
【符号の説明】
【0033】
1 器具本体
2 操作部
3 表示部
4 吹出口
5 前面板
20 熱交換器
21 対流ファン
39 前面側方板
40 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8