(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の電子機器に係る実施の形態を説明する。
【0024】
本発明の実施の形態に係る電子機器の例は、携帯型の通信機器、例えばスマートフォン等の携帯電話、携帯可能なPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)等の通信機器である。あるいは、自動車電話や携帯電話の通信モジュールを備えた車載情報端末など、通信機器は車載器であってもよい。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係る電子機器の他の例は、携帯型の画像音声出力装置、例えば携帯型DVDプレイヤー、携帯型ゲーム機、携帯型のナビゲーション装置等である。あるいは、自動車用テレビやカーナビゲーション装置など、画像音声出力装置は車載器であってもよい。
【0026】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る電子機器100は、電子機器100が備える機能を実行する機能部6に加えて、機能部6に対して行われるユーザによる操作の履歴を記録する操作履歴記録部1を備える。操作履歴記録部1は、判別部11、履歴記録部12、記憶部13、消去部14、事故検出部15および消去禁止部16を備える。
【0027】
機能部6は、上述したように、電子機器100が備える機能を実行するための構成要素を備えており、操作履歴記録部1の各構成要素を実現するためのデバイスを共有してもよい。表示部7は、既存の各種表示デバイスにより構成され、機能部6が実行する各種機能に関する表示等を行う。
【0028】
判別部11は、電子機器100が有する、車両の運転時にすべきでない操作をする必要がある機能を備える機能部6から、これらの機能のステータス情報を受け取り、これらの機能が有効になっているか否かを判別する。車両の運転時にすべきでない操作とは、車両の運転時に実行すると、注意が散漫になる可能性がある操作であり、法的に禁止されている操作や、法的に禁止されていなくとも操作の実行により事故を誘発するような操作を含んでもよい。
【0029】
電子機器100が通信機器である場合には、車両の運転時にすべきでない操作は、例えば、通話や、メールの閲覧・作成、インターネットの利用などである。電子機器100が画像音声出力装置である場合には、車両の運転時にすべきでない操作は、例えば、DVD等の映像を伴う情報の再生や、ゲームのプレイ、テレビの視聴、所定の音量以上の音声再生などである。車両の運転時にすべきでない操作をする必要がある機能を以下、対象機能という。
【0030】
操作履歴記録部1は、例えば記憶部13に、
図2に示すような対象機能および操作内容を示すデータを記憶しており、判別部11および履歴記録部12は、このデータに基づいて、対象機能であるか否かを判別する。
図2の例では、メールアプリケーション、カメラアプリケーションおよび電話アプリケーションが対象機能に含まれている。
【0031】
履歴記録部12は、判別部11が、対象機能が有効になっていると判別した場合に、機能部6から、対象機能のステータス情報を受け取り、
図2に示すような対象機能および操作内容を示すデータに基づいて、これらの機能に関する電子機器100に対する操作の履歴を示す操作履歴を示す操作履歴情報を抽出し、記憶部13に記録する。
図2の例では、メールアプリケーションの操作内容は、メール閲覧、メール作成、メール送信などである。カメラアプリケーションの操作内容は、写真閲覧、写真撮影、写真保存などである。および電話アプリケーションの操作内容は、通話開始、通話終了、留守電再生などである。
【0032】
なお、対象機能および操作内容を示すデータにおいて、対象機能に対応付けられる操作内容は、すべての操作であってもよいし、車両の運転時にすべきでない操作に限定してもよい。
【0033】
記憶部13は、履歴記録部12から受け取った操作履歴情報を記憶する。また、記憶部13は、対象機能および操作内容を示すデータを記憶する。
【0034】
消去部14は、記憶部13の容量を超えた場合、古い操作履歴情報から消去する。また、消去部14は、ユーザの消去指示を受け付け、ユーザに指定された操作履歴情報を消去する。
【0035】
事故検出部15は、事故の発生を検出する。本実施の形態では、事故検出部15は、所定の値以上の加速度や衝撃があった場合に事故が発生したと判別する。事故検出部15は、例えば、加速度センサや衝撃センサで構成され、所定の値以上の加速度や衝撃があった場合に事故の発生を検出する。また、事故検出部15による事故の検出は、加速度や衝撃による検出以外に、例えばバッテリが外れたことを検出することによる事故検出など、衝撃により発生するなんらかの部品外れや断線等により検出してもよい。
【0036】
消去禁止部16は、事故検出部15が事故の発生を検出した場合、記憶部13が記憶する操作履歴情報に禁止フラグを立て、消去部14に消去されないように制御する。消去を禁止する方法の詳細は後述する。
【0037】
図3は、実施の形態1に係る操作履歴消去防止の動作の一例を示すフローチャートである。操作履歴消去防止処理1は、電子機器100に電源が投入されたときに開始する。
【0038】
まず、判別部11は、対象機能を備える機能部6から、これらの機能が有効になったか否かを示す情報を取得し、これらの機能が有効になっているか否かを判別する(ステップS11)。対象機能が有効になっていない場合(ステップS11;NO)、ステップS11を繰り返す。ステップS11の判断は、対象機能が有効となったことに代えて、表示部7が動作したか否かによる判断であってもよい。電子機器100が通信機器である場合、表示部7が動作している、つまりなんらかの表示が行われていることは、機能部6において車両の運転時にすべきでない機能が動作している可能性が高いためである。
【0039】
対象機能が有効になった場合(ステップS11;YES)、履歴記録部12は、これらの機能を備える機能部6から受け取ったステータス情報の中から、これらの機能の操作履歴を示す操作履歴情報を抽出し、記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS12)。履歴記録部12が履歴記録処理を開始すると、事故検出部15は、所定の値以上の加速度や衝撃があったか否かで事故の発生を検出する事故検出処理を開始する(ステップS13)。
【0040】
事故検出部15によって事故の発生が検出されると(ステップS14;YES)、消去禁止部16は、事故検出時刻を含む所定の期間の操作履歴情報が消去されないように禁止フラグを立てる消去禁止処理を実行する(ステップS15)。消去禁止処理の詳細は後述する。そして、判別部11が、対象機能が無効になっていないと判別した場合(ステップS16;NO)、処理はステップS14に戻って、ステップS14〜ステップS16を繰り返す。
【0041】
一方、事故検出部15によって事故の発生が検出されず(ステップS14;NO)、判別部11が、対象機能が無効になっていないと判別した場合(ステップS16;NO)、処理はステップS14に戻って、ステップS14〜ステップS16を繰り返す。
【0042】
判別部11が、対象機能が無効になったと判別した場合(ステップS16;YES)、履歴記録部12は、履歴記録処理を終了し(ステップS17)、事故検出部15は事故検出処理を終了する(ステップS18)。
【0043】
電子機器100の電源がオフになっていなければ(ステップS19;NO)、処理はステップS11に戻って、ステップS11〜ステップS19を繰り返す。電子機器100の電源がオフになれば(ステップS19;YES)、処理を終了する。
【0044】
ステップS18において事故検出処理を終了した場合、消去部14は、記憶部13に記録された操作履歴情報を消去してもよい。この場合、通話履歴やメールの送受信履歴など、通信機器の一般的な機能として保存される操作履歴情報は記憶部13の容量が超過しない限り消去されないものとする。また、消去部14は、禁止フラグが立っている操作履歴情報は消去しないこととする。
【0045】
なお、電子機器100がマルチタスクである場合には、例えば、すべきでない操作をする必要がある機能がアクティブになったときに開始したと判別し(ステップS11;YES)、非アクティブになったときに終了したと判別する(ステップS14;YES)。
【0046】
図3のフローチャートのステップS12で開始し、ステップS17で終了する操作履歴記録処理を説明する。
【0047】
図4は、実施の形態1に係る操作履歴記録の動作の一例を示すフローチャートである。履歴記録部12は、対象機能のステータス情報を受け取り、
図2に示すような対象機能および操作内容を示すデータに基づいて、これらの機能に関する電子機器100に対する操作の履歴を示す操作履歴を示す操作履歴情報を抽出し(ステップ21)、記憶部13に記録する(ステップS22)。履歴記録部12は、ステップS21およびステップS22を繰り返す。
【0048】
ここで、消去部14が実行する操作履歴消去処理について説明する。
【0049】
図5は、実施の形態1に係る操作履歴消去の動作の例を示すフローチャートである。
図5(a)に示す操作履歴消去処理1−1は、電子機器100に電源が投入されたときに開始する。
【0050】
消去部14は、記憶部13の容量が超過したか否かを判定する(ステップS31)。記憶部13の容量が超過していない場合(ステップS31;NO)、ステップS31を繰り返す。
【0051】
記憶部13の容量が超過した場合(ステップS31;YES)、消去部14は、記憶部13が記憶する古い操作履歴情報から順に禁止フラグが立っているか否かを判定する(ステップS32)。禁止フラグが立っている場合(ステップS32;YES)、消去部14は、該操作履歴情報を消去しない。このとき、消去部14は、消去不可であることを示す情報を電子機器100の画面に表示させてもよい。記憶部13の容量はまだ超過しているので(ステップS34;YES)、処理はステップS32に戻り、次の操作履歴情報の禁止フラグが立っているか否かを判定する(ステップS32)。
【0052】
次の操作履歴情報の禁止フラグが立っていない場合、(ステップS32;NO)、消去部14は、該操作履歴情報を消去する(ステップS33)。記憶部13の容量がまだ超過している場合(ステップS34;YES)、処理はステップS32に戻り、ステップS32〜ステップS34を繰り返す。一方、記憶部13の容量が超過していない場合(ステップS34;NO)、処理はステップS31に戻り、ステップS31〜ステップS34を繰り返す。
【0053】
図5(b)に示す操作履歴消去処理1−2は、電子機器100に電源が投入されたときに開始する。
【0054】
消去部14は、ユーザの消去指示があったか否かを判定する(ステップS41)。ユーザの消去指示がない場合(ステップS41;NO)、ステップS41を繰り返す。
【0055】
ユーザの消去指示があった場合(ステップS41;YES)、消去部14は、消去指示があった操作履歴情報に禁止フラグが立っているか否かを判定する(ステップS42)。禁止フラグが立っている場合(ステップS42;YES)、消去部14は、該操作履歴情報を消去せず、処理はステップS41に戻り、ステップS41およびステップS42を繰り返す。このとき、消去部14は、消去不可であることを示す情報を電子機器100の画面に表示させてもよい。
【0056】
禁止フラグが立っていない場合、(ステップS42;NO)、消去部14は、該操作履歴情報を消去する(ステップS43)。処理はステップS41に戻り、ステップS41〜ステップS43を繰り返す。
【0057】
続いて、
図6および
図7を用いて、消去禁止部16が実行する消去禁止処理について説明する。
【0058】
図6は、実施の形態1に係る通信機器の操作履歴情報の一例を示す図である。電子機器100が通信機器である場合、操作履歴記録部1の履歴記録部12は、
図6に示すような操作履歴情報を記憶部13に記録する。
図6の例では、操作履歴情報は、操作履歴情報を識別する番号である「No.」と操作を行った日時を示す「日時」と、操作の内容を示す「操作内容」と、消去が禁止されているか否かを示す「禁止フラグ」とで構成される。
【0059】
図6の操作履歴情報が記録される流れを
図3に当てはめて説明する。まず、ユーザは、メールアプリケーションを起動する。メールアプリケーションが起動すると、判別部11は、対象機能が有効になったと判別し(ステップS11;YES)、履歴記録部12は、メールアプリケーションの操作履歴情報を記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS12)。同時に、事故検出部15は、所定の値以上の加速度や衝撃があったか否かで事故の発生を検出する事故検出処理を開始する(ステップS13)。
【0060】
図6の操作履歴情報には、ユーザが、2012/2/1 10:01にメールを開封した操作、2012/2/1 10:02にメールを作成した操作、2012/2/1 10:05にメールを送信した操作が記録されている。ここで、ユーザは、メールアプリケーションを終了する。メールアプリケーションを終了すると、判別部11は、対象機能が無効になったと判別し(ステップS16;YES)、履歴記録部12は、履歴記録処理を終了する(ステップS17)。この間、事故は発生しておらず(ステップS14;NO)、事故検出部15は事故検出処理を終了する(ステップS18)。
【0061】
このとき、電子機器100の電源はオフになっていない(ステップS19;NO)。ユーザは、カメラアプリケーションを起動する。カメラアプリケーションが起動すると、判別部11は、対象機能が有効になったと判別し(ステップS11;YES)、履歴記録部12は、カメラアプリケーションを実行する機能部6から、この機能の操作履歴を示す操作履歴情報を取得し、記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS12)。同時に、事故検出部15は、所定の値以上の加速度や衝撃があったか否かで事故の発生を検出する事故検出処理を開始する(ステップS13)。
【0062】
続いて、ユーザが、2012/2/1 11:22に写真を撮影した操作、2012/2/1 11:23に写真を保存した操作が記録されている。ここで、ユーザは、カメラアプリケーションを終了する。カメラアプリケーションを終了すると、判別部11は、対象機能が無効になったと判別し(ステップS16;YES)、履歴記録部12は、履歴記録処理を終了する(ステップS17)。この間、事故は発生しておらず(ステップS14;NO)、事故検出部15は事故検出処理を終了する(ステップS18)。
【0063】
翌日、ユーザは、電話アプリケーションを起動する。電話アプリケーションが起動すると、判別部11は、対象機能が有効になったと判別し(ステップS11;YES)、履歴記録部12は、電話アプリケーションを実行する機能部6から、この機能の操作履歴を示す操作履歴情報を取得し、記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS12)。同時に、事故検出部15は、所定の値以上の加速度や衝撃があったか否かで事故の発生を検出する事故検出処理を開始する(ステップS13)。
【0064】
図6の操作履歴情報には、ユーザが、2012/2/2 15:21に通話を開始した操作が記録されている。2012/2/2 15:45に事故が発生したとすると、事故検出部15は、所定の値以上の加速度または衝撃を検出し、事故の発生を検出する(ステップS14;YES)。消去禁止部16は、事故検出時刻を含む所定の期間(ここでは、事故が発生した日)の操作履歴情報の「禁止フラグ」を1にする(ステップS15)。
図6の例では、事故が発生した2012/2/2のNo.6の操作履歴情報の「禁止フラグ」に1が設定され、消去が禁止されている。これにより、ユーザは、No.6の操作履歴情報を消去することができない。また、記憶部13の容量を超えて操作履歴情報が記録されることにより、No.6の操作履歴情報が追い出されて消えることもない。
【0065】
ユーザが、事故発生後、2012/2/2 15:55に通話を終了した操作が記録されている。ここで、ユーザは、電話アプリケーションを終了している。電話アプリケーションを終了すると、判別部11は、対象機能が無効になったと判別し(ステップS16;YES)、履歴記録部12は、履歴記録処理を終了する(ステップS17)。事故検出部15も事故検出処理を終了する(ステップS18)。
【0066】
「禁止フラグ」に1を設定する対象となる所定の期間は、事故が発生した日に限らず、事故発生前1時間や事故発生前後30分といったように、事故に関係する操作を行った可能性のある時間帯を任意に設定すればよい。あるいは、事故検出部15が、事故が発生したと判別すると、消去禁止部16は、事故発生時に記憶部13が記憶するすべての操作履歴情報の「禁止フラグ」を1にしてもよい。
【0067】
操作履歴情報の消去の禁止する方法は、消去フラグを立てる方法以外に、消去部14を不能にする方法、電子機器100のリセットを不可にする方法などがある。
【0068】
図7は、実施の形態1に係る画像音声出力装置の操作履歴情報の一例を示す図である。電子機器100が画像音声出力装置である場合、操作履歴記録部1の履歴記録部12は、
図7に示すような操作履歴情報を記憶部13に記録する。
図7の操作履歴情報は、
図6の操作履歴情報と同様に、「No.」と「日時」と「操作内容」と「禁止フラグ」とで構成される。
【0069】
図7の操作履歴情報には、ユーザが、2012/2/1 10:00にDVDを挿入した操作、2012/2/1 10:01にDVDを再生した操作、2012/2/1 12:02に再生を終了した操作、2012/2/1 12:03にDVDを取り出した操作が記録されている。また、翌日には、ユーザが、2012/2/2 15:00にゲームを開始した操作、2012/2/2 15:25にゲームを終了した操作が記録されている。さらに、ユーザが、2012/2/2 15:34にテレビをオンにした操作、2012/2/2 16:05にテレビをオフにした操作が記録されている。
【0070】
図7の例では、事故が発生していないので、「禁止フラグ」にはすべて0が設定されている。記憶部13の容量を超えた場合は、No.1の操作履歴情報から順に消去される。
【0071】
以上説明したように、実施の形態1の電子機器100によれば、機器操作の履歴が消去されないようにすることができる。本実施の形態では、注意が散漫になる可能性がある機能の操作が行われている期間のみ履歴記録処理と事故検出処理を行うため、処理負荷の低減や、履歴を記録するメモリの利用効率の向上が可能である。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態2の電子機器100は、実施の形態1と同様に、機能部6および表示部7に加えて、判別部11、履歴記録部12、記憶部13、事故検出部15および消去禁止部16を備える操作履歴記録部1からなる。実施の形態2の電子機器100は通信機器であって、事故検出部15は、ユーザが110番や119番などの緊急番号に発信する緊急通報を行ったか否かで、事故の発生を検出する。
【0073】
また、消去禁止部16は、履歴記録部12が記憶部13に操作履歴情報を記録すると、所定の期間(以下、消去禁止期間という)操作履歴情報が消去されないように制御する。消去禁止部16は、消去禁止期間(例えば、30分)が経過すると、記憶部13に記録された操作履歴情報を消去する。消去禁止期間が経過する前に事故検出部15が事故の発生を検出すると、消去禁止部16は、消去禁止期間を延長する(例えば、6時間)。
【0074】
図8は、実施の形態2に係る操作履歴消去防止の動作の一例を示すフローチャートである。
図8の操作履歴消去防止処理2は、電子機器100に電源が投入されたときに開始する。
【0075】
まず、判別部11は、通信機器が有する対象機能が有効になったか否かを判別する(ステップS51)。対象機能が有効になっていない場合(ステップS51;NO)、ステップS51を繰り返す。対象機能が有効になった場合(ステップS51;YES)、履歴記録部12は、これらの機能を備える機能部6から受け取ったステータス情報の中から、これらの機能の操作履歴を示す操作履歴情報を抽出し、記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS52)。
【0076】
判別部11が、対象機能が無効になっていないと判別した場合(ステップS53;NO)、ステップS53を繰り返す。判別部11が、対象機能が無効になったと判別した場合(ステップS53;YES)、履歴記録部12は、履歴記録処理を終了し(ステップS54)、消去禁止部16は、ステップS52〜ステップS54までに記憶部13に記録した操作履歴情報に消去禁止期間を設定する消去禁止処理を実行する(ステップS55)。なお、消去禁止部16は、履歴記録部12が操作履歴情報を記憶部13に記憶するごとに消去禁止期間を設定してもよい。
【0077】
電子機器100の電源がオフになっていなければ(ステップS56;NO)、処理はステップS51に戻って、ステップS51〜ステップS56を繰り返す。電子機器100の電源がオフになれば(ステップS56;YES)、処理を終了する。
【0078】
ステップS52で開始し、ステップ54で終了する操作履歴記録処理は、実施の形態1の操作履歴記録処理と同様である。
【0079】
図9は、実施の形態2に係る消去禁止期間延長の動作の一例を示すフローチャートである。
図9の消去禁止期間延長処理は、消去禁止期間に実行される。
【0080】
消去禁止部16が、記憶部13が記憶する操作履歴情報に消去禁止期間を設定すると、事故検出部15は、緊急通報が行われた否かで事故の発生を検出する事故検出処理を開始する(ステップS61)。事故検出部15によって事故の発生が検出されなければ(ステップS62;NO)、消去禁止部16は、消去禁止期間が経過したか否かを判別する(ステップS64)。消去禁止期間が経過していない場合(ステップS64;NO)、処理はステップS62に戻って、ステップS62〜ステップS64を繰り返す。
【0081】
一方、事故検出部15によって事故の発生が検出されると(ステップS62;YES)、消去禁止部16は、事故検出時刻を含む所定の期間の操作履歴情報の消去禁止期間を延長する(ステップS63)。消去禁止部16は、消去禁止期間が経過したか否かを判別し(ステップS64)、消去禁止期間が経過していない場合(ステップS64;NO)、処理はステップS62に戻って、ステップS62〜ステップS64を繰り返す。
【0082】
消去禁止期間が経過した場合(ステップS64;YES)、事故検出部15は事故検出処理を終了する(ステップS65)。消去部14は、消去禁止期間が経過した操作履歴情報を消去し(ステップS66)、処理を終了する。この場合、通話履歴やメールの送受信履歴など、通信機器の一般的な機能として保存される操作履歴情報は記憶部13の容量が超過しない限り消去されないものとする。
【0083】
ここで、消去部14が実行する操作履歴消去処理について説明する。
【0084】
図10は、実施の形態2に係る操作履歴消去の動作の例を示すフローチャートである。
図10(a)に示す操作履歴消去処理2−1は、電子機器100に電源が投入されたときに開始する。
【0085】
消去部14は、記憶部13に消去禁止期間中でない操作履歴情報があるか否かを判定する(ステップS71)。記憶部13に消去禁止期間中でない操作履歴情報がない場合(ステップS71;NO)、ステップS71を繰り返す。
【0086】
記憶部13に消去禁止期間中でない操作履歴情報がある場合(ステップS71;YES)、消去部14は、該操作履歴情報を消去し(ステップS72)。ステップS71に戻り、ステップS71およびステップS72を繰り返す。
【0087】
図10(b)に示す操作履歴消去処理2−2は、電子機器100に電源が投入されたときに開始する。
【0088】
消去部14は、ユーザの消去指示があったか否かを判定する(ステップS81)。ユーザの消去指示がない場合(ステップS81;NO)、ステップS81を繰り返す。
【0089】
ユーザの消去指示があった場合(ステップS81;YES)、消去部14は、消去指示があった操作履歴情報に消去禁止期間中であるか否かを判定する(ステップS82)。消去禁止期間中である場合(ステップS82;YES)、消去部14は、該操作履歴情報を消去せず、処理はステップS81に戻り、ステップS81およびステップS82を繰り返す。このとき、消去部14は、消去不可であることを示す情報を電子機器100の画面に表示させてもよい。
【0090】
消去禁止期間中でない場合、(ステップS82;NO)、消去部14は、該操作履歴情報を消去する(ステップS83)。処理はステップS81に戻り、ステップS81〜ステップS83を繰り返す。
【0091】
図11は、実施の形態2に係る通信機器の操作履歴情報の一例を示す図である。本実施の形態では、履歴記録部12は、
図11に示すような操作履歴情報を記憶部13に記録する。
図11の例では、操作履歴情報は、操作履歴情報を識別する番号である「No.」と操作を行った日時を示す「日時」と、操作の内容を示す「操作内容」と、消去禁止期間を示す「消去禁止期間」とで構成される。例えば、「消去禁止期間」に30分が設定されている場合、操作を行った日時から30分間操作履歴情報の消去が禁止される。「消去禁止期間」は、経過するにつれて、例えば分単位でカウントダウンされる。
【0092】
図11(a)は、事故が発生する前の操作履歴情報である。まず、ユーザは、カメラアプリケーションを起動する。カメラアプリケーションが起動すると、判別部11は、対象機能が有効になったと判別し(ステップS51;YES)、履歴記録部12は、カメラアプリケーションの操作履歴情報を記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS52)。これにより、ユーザが、2012/2/2 15:31に写真を撮影した操作、2012/2/2 15:33に写真を撮影した操作、2012/2/2 15:34に写真を保存した操作が記録されている。ここで、ユーザは、カメラアプリケーションを終了する。カメラアプリケーションを終了すると、判別部11は、対象機能が無効になったと判別し(ステップS53;YES)、履歴記録部12は、履歴記録処理を終了する(ステップS54)。消去禁止部16は、ステップS52〜ステップS54までに記憶部13に記録した操作履歴情報に消去禁止期間(30分)を設定する消去禁止処理を実行する(ステップS55)。消去禁止部16が、消去禁止期間を設定すると、事故検出部15は、緊急通報が行われた否かで事故の発生を検出する事故検出処理を開始する(ステップS61)。
【0093】
その後、ユーザは、電話アプリケーションを起動する。電話アプリケーションが起動すると、判別部11は、対象機能が有効になったと判別し(ステップS51;YES)、履歴記録部12は、電話アプリケーションの操作履歴情報を記憶部13に記録する履歴記録処理を開始する(ステップS52)。これにより、ユーザが、2012/2/2 15:41に通話を開始した操作が記録されている。
図11(a)の例では、消去禁止部16は、No.1〜3の操作履歴情報の消去禁止期間を初期設定として30分に設定しており、このとき、アプリケーションの終了から4分経過しているので、No.1〜3の操作履歴情報の消去禁止期間は残り26分になっている。No.4の操作履歴情報は、まだ機能が無効になっていないので、消去禁止期間が設定されていない。
【0094】
2012/2/2 15:45に事故が発生したとする。
【0095】
図11(b)は、事故が発生した後の操作履歴情報である。
図11(b)の例では、ユーザが、事故発生後、2012/2/2 15:55に通話を終了した操作、2012/2/2 16:00に緊急番号に発信した操作が記録されている。2012/2/2 16:00の緊急番号の発信を示す操作履歴情報No.6に基づいて、事故検出部15は事故が発生したと判別する(ステップS62;YES)。消去禁止部16は、事故検出時刻を含む所定の期間(ここでは、事故の発生の検出から20分前まで)の操作履歴情報の消去禁止期間を初期設定の30分から6時間に延長する(ステップS63)。
図11の例では、2012/2/2 15:40〜16:00の間のNo.4〜6の操作履歴情報の消去禁止期間が6時間に延長されている。これにより、ユーザは、No.4〜6の操作履歴情報を6時間消去することができない。また、6時間はNo.4〜6の操作履歴情報が自動的に消去されることもない。このとき、カメラアプリケーションの終了から23分経過しているので、No.1〜3の操作履歴情報の消去禁止期間は残り7分になっている。
【0096】
消去禁止期間を延長する所定の期間は、事故の発生の検出から20分前までに限らず、事故の発生を検出した日や事故検出前後30分といったように、事故に関係する操作を行った可能性のある時間帯を初期設定の消去禁止期間内で任意に設定すればよい。あるいは、事故検出部15が、事故が発生したと判別すると、消去禁止部16は、事故発生時に記憶部13が記憶するすべての操作履歴情報の消去禁止期間を延長してもよい。
【0097】
以上説明したように、実施の形態2の電子機器100によれば、機器操作の履歴が消去されないようにすることができる。本実施の形態では、注意が散漫になる可能性がある機能の操作が行われている期間のみ履歴記録処理を行って消去禁止期間が経過すると操作履歴情報を消去し、消去禁止期間のみ事故検出処理を行う。このため、処理負荷の低減や、履歴を記録するメモリの利用効率の向上が可能である。また、事故を起こしたユーザが、緊急電話の発信を行う前に事故の発生につながった可能性のある操作履歴情報を消去することを防止することができる。
【0098】
実施の形態2では、電子機器100を通信機器とし、事故検出部15は、ユーザが110番や119番などの緊急番号に発信する緊急通報を行ったか否かで、事故の発生を検出する。これに限らず、例えば、事故検出部15は、車両間通信や路車間通信で緊急通報を行ったか否かで、事故の発生を検出してもよい。電子機器100は、緊急通報を行う機能を備える電子機器であればよい。
【0099】
上述の実施の形態における車両とは、自動車だけでなく、二輪車、原動機付自転車や、自転車なども含む。特に原動機付自転車や自転車では、運転者の状況判断にとって周囲の音が重要であるため、注意が散漫になる可能性がある機能として、例えばヘッドホンの使用を含むとよい。ヘッドホンの使用は、ヘッドホンジャックにヘッドホンプラグが挿入されたか否かで判別する。
【0100】
また、上述の実施の形態では、履歴記録部12は、履歴記録処理を開始してから終了するまでの間の操作履歴情報を記憶部13に記録しているが、例えば、履歴記録処理を開始すると、操作履歴情報を一時記憶し、対象機能が無効になると、動作の終了から所定の時間前までの操作履歴情報だけを記憶部13に記録することとしてもよい。
【0101】
さらに、上述の実施の形態では、履歴記録部12は、対象機能の操作履歴を示す操作履歴情報を記憶部13に記録し、事故検出部15は、車両の事故の発生を検出する。これに限らず、履歴記録部12は、屋外での歩行時にすべきでない操作をする必要がある機能に分類される機能の操作履歴を示す操作履歴情報を記憶部13に記録し、事故検出部15は、歩行者と車両との事故の発生を検出してもよい。
【0102】
また、電子機器100は、図示しないGPS(Global Positioning System)による自己位置取得部を備え、自己位置取得部によって電子機器100の位置が移動中である場合に、本発明の機能を動作させるようにしてもよい。
【0103】
図12は、本発明の実施の形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例を示す図である。電子機器100は、
図12に示すように、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、センサ34および入力部35を備える。主記憶部32、外部記憶部33、センサ34および入力部35はいずれも内部バス30を介して制御部31に接続されている。
【0104】
制御部31はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39に従って、電子機器100の判別部11、履歴記録部12および消去禁止部16の各処理を実行する。
【0105】
主記憶部32はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39をロードし、制御部31の作業領域として用いられる。
【0106】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、電子機器100の処理を制御部31に行わせるためのプログラムをあらかじめ記憶し、また、制御部31の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。記憶部13は、外部記憶部33によって構成される。
【0107】
センサ34は、電子機器100の加速度や、電子機器100に与えられた衝撃を計測する。センサ34は、計測結果を示すデータを制御部31に送る。センサ34は、事故検出部15として機能する。
【0108】
入力部35は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェース等から構成されている。入力部35は、電子機器100に各種データを入力するインターフェースである。
【0109】
図1に示す判別部11、履歴記録部12、記憶部13、事故検出部15および消去禁止部16の処理は、制御プログラム39が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、センサ34および入力部35等を資源として用いて処理することによって実行する。
【0110】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0111】
制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、センサ34、入力部35および内部バス30等から構成される操作履歴消去防止処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する電子機器100を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで電子機器100を構成してもよい。
【0112】
また、電子機器100の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0113】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、通信ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。