(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
圧縮空気を利用して釘、ネジなどの止具を打撃する
打込機が知られており、その一例としての打込機が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された打込機は、中空のケーシングを有し、ケーシング内には蓄圧室が設けられている。また、ケーシング内にはヘッドバルブが設けられており、ケーシング内には、ヘッドバルブを動作させる空気圧を生じるヘッドバルブ室が設けられている。また、打込機は、蓄圧室の圧縮空気をヘッドバルブ室に供給する第1通路を有する。また、打込機は、第1通路と蓄圧室とを接続及び遮断するトリガバルブを有する。トリガバルブは、スプールが動作して、第1通路と蓄圧室とを接続及び遮断する構成を有する。スプールは、トリガの操作により動作する構成である。
【0003】
一方、ケーシング内には円筒形状のシリンダ(閉鎖部材)が設けられており、シリンダは中心線に沿った方向に移動可能な状態でケーシング内に取り付けられている。また、シリンダ内には中心線に沿った方向に移動可能なピストンが設けられている。ピストンには、棒状のドライバブレードが連結されており、ピストン及びドライバブレードが中心線に沿った方向に一体的に動作可能に構成されている。
【0004】
また、ヘッドバルブはシリンダの中心線に沿った方向に移動可能であり、ヘッドバルブとピストンとの間に第1空気室が設けられている。さらに、ヘッドバルブ室には、中心線に沿った方向でシリンダに向けてヘッドバルブを押すバネが設けられている。そして、ヘッドバルブとシリンダの端面との間には、蓄圧室と第1空気室とを接続する第2通路が形成されている。さらに、ヘッドバルブの外周面には、蓄圧室の空気圧を受ける受圧面が形成されている。受圧面に加わる空気圧は、ヘッドバルブをバネに抗して移動させる向きの力を発生させる。
【0005】
一方、シリンダの外周面とケーシングの内周面との間には戻り空気室が設けられており、シリンダには、半径方向に貫通する第3通路が設けられている。シリンダの内部における第1空気室とは反対側の箇所には、第2空気室が形成されており、第2空気室と戻り空気室とは、第3通路により接続されている。また、シリンダには、第2空気室と戻り空気室とを連通させる逆止弁が設けられている。この逆止弁は、第2空気室の圧縮空気が戻り空気室に流れる向きで開き、戻り空気室の圧縮空気が第2空気室に流れる向きで閉じる構成である。さらに、シリンダの外周面にはフランジが形成されており、戻り空気室の空気圧がフランジに加わると、シリンダをヘッドバルブに近づける向きで押圧する力が発生するように構成されている。さらに、ケーシング内には、シリンダをヘッドルブから離れる向きで押圧するバネが設けられている。
【0006】
このように構成された特許文献1の打込機においては、トリガが操作されていないときには、蓄圧室の空気圧及びバネの力がヘッドバルブに作用している。このため、ヘッドバルブはシリンダに接触して第1通路が閉じられており、蓄圧室と第1空気室とが遮断され、ピストンはストッパに接触して停止している。
【0007】
これに対して、トリガが操作されると、ヘッドバルブ室が大気に連通されて、ヘッドバルブをシリンダに向けて押圧する力が低下する。すると、蓄圧室からヘッドバルブの受圧面に加わる力により、ヘッドバルブがバネの力に抗して上昇し、第1通路が開く。
【0008】
すると、蓄圧室の空気圧は、第1通路を経由して第1空気室に伝達され、ピストンが下降する。ピストンが逆止弁に到達する前の段階では、第2空気室の圧縮空気は第3通路を経由して戻り空気室に流れ込むとともに、逆止弁は閉じられている。ピストンが更に下降して、ドライバブレードにより釘が対象物に打ち込まれ、かつ、ピストンが逆止弁よりも下へ移行すると、第1空気室の空気圧の方が、戻り空気室の空気圧よりも高いため逆止弁が開く。その後、ピストンがストッパに接触して停止する。
【0009】
上記の作用中、戻り空気室の空気圧でフランジを押圧する力が、バネの押圧力を超えると、シリンダがケーシング内でヘッドバルブに近づく向きで動作し、シリンダの端部とヘッドバルブとが接触し、第1通路が閉じられる。このため、トリガが操作されている状態において、シリンダが戻り空気室の空気圧で上昇して第1通路を閉じることができる。したがって、ドライバブレードで釘を打撃した後に、蓄圧室から第1空気室に供給される空気量を低減することができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載された打込機においては、第1空気室で消費される空気量を低減するにあたり、ヘッドバルブ付近からストッパ付近に到達する長さを有するシリンダを中心線方向に動作させる構成となっている。このため、シリンダの動作応答性が低いという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、第1空気室で消費される空気量を低減するために動作する閉鎖部材の応答性を、なるべく向上させることのできる打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、本体部と、前記本体部の内部に設けられた筒形状のシリンダと、前記シリンダ内に前記シリンダの中心線に沿った方向に往復動作可能に設けられたピストンと
、前記ピストンと共に動作して被打込物を打撃するドライバブレードと、前記ピストンに前記中心線に沿った方向の動作力を加える圧縮空気が供給される第1空気室と、前記ピストンが前記中心線に沿った方向に動作して容積が変化する第2空気室と、前記第1空気室に供給する圧縮空気を蓄えている蓄圧室と、前記第1空気室と前記蓄圧室とを接続する通路と、前記中心線に沿った方向に移動することで前記通路の開閉を切り替える弁体とを備えた打込機であって、前記弁体の移動により前記通路が開かれて、前記第1空気室の空気圧により前記ピストンが移動するときに空気が流れ込む第3空気室と、前記通路が開かれているときに、前記第3空気室の空気圧で前記中心線に沿った方向に動作して前記通路を閉じる閉鎖部材とを有し、前記閉鎖部材は、前記中心線に沿った方向の長さが前記シリンダよりも短いことを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記閉鎖部材は、前記中心線に沿った方向で前記弁体とは異なる位置に設けられ、かつ、前記中心線に沿った方向に動作可能であり、前記通路は、前記閉鎖部材と前記弁体との間に形成されており、前記通路は、前記ピストンに前記蓄圧室の空気圧が加えられることなく前記ピストンが初期位置で停止している状態において、前記弁体と前記閉鎖部材とが接触して閉じられている一方、前記ドライバブレードで前記被打込物を打撃する際には前記弁体が前記閉鎖部材から離れて開かれる構成を有しており、前記閉鎖部材は、前記弁体が動作し
て前記通路が開かれた後、前記第3空気室の空気圧で前記中心線に沿った方向に動作して前記通路を閉じることを特徴とする。
【0015】
本発明は、前記閉鎖部材は、前記中心線に沿った方向の動作範囲が、前記中心線に沿った方向における前記シリンダの配置領域と重なっており、前記閉鎖部材は、前記ピストンが前記第1空気室の空気圧で動作する向きと同じ向きに動作して前記通路を開き、前記弁体は、前記中心線に沿った方向で前記閉鎖部材とは異なる位置に、かつ、前記閉鎖部材と同軸に設けられており、前記閉鎖部材は、前記ピストンが前記第1空気室の空気圧で動作する向きと同じ向きに動作して前記通路を閉じることを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記弁体は、前記中心線に沿った方向で前記シリンダとは異なる位置に、かつ、前記シリンダと同軸に配置されており、前記閉鎖部材は、前記中心線に沿った方向の動作範囲が、前記中心線に沿った方向における前記シリンダの配置領域と重なっており、前記閉鎖部材は、前記ピストンが前記第1空気室の空気圧で動作する向きと逆向きに動作して前記通路を閉じ、前記閉鎖部材は、前記ピストンが前記第1空気室の空気圧で動作する向きと同じ向きに動作して前記通路を開くことを特徴とする。
【0017】
本発明は、前記第3空気室は、打込み動作の終了後に前記ピストンを前記初期位置に戻すための圧縮空気を蓄積する戻り空気室を兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明(請求項1)によれば、閉鎖部材は、中心線に沿った方向の長さが、シリンダの長さよりも短く、閉鎖部材の動作に必要な力をなるべく小さくすることができる。したがって、閉鎖部材の動作応答性をなるべく向上させることができる。
【0019】
本発明(請求項2)によれば、ドライバブレードが被打込物を打撃した後に、ピストンの動作により第2空気室の容積が狭められて、第2空気室から第3空気室に流れ込んだ空気の空気圧を利用して、閉鎖部材を動作することができる。したがって、閉鎖部材を動作させるために専用のアクチュエータを設ける必要はない。
【0020】
本発明(請求項3、4)によれば、閉鎖部材は、中心線に沿った方向の動作範囲が、シリンダの配置領域と重なっている。したがって、中心線に沿った方向において、閉鎖部材の配置スペースを専用で設ける必要がなく、打込機の大型化を抑制できる。
【0021】
本発明(請求項5)によれば、第3空気室は、ピストンを初期位置に戻すための圧縮空気を蓄積する戻り空気室を兼ねている。したがって、閉鎖部材を動作させるために、専用の空気室を設ける必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。まず、打込機の第1実施例を、
図1〜
図8に基づいて説明する。打込機10は、本体部11及び打ち込み部12及びマガジン13を有する。本体部11は、釘(図示せず)を打ち込む打撃力を発生する部品、要素、機構を収容するケーシングである。本体部11は、ハウジング14及びハンドル15及びヘッドカバー16及びガイド部17を有する。ハウジング14は中空に構成されており、ハウジング14の一端側の開口部と、ヘッドカバー16との間にガイド部17が配置された状態で、ハウジング14とガイド部17とヘッドカバー16とが相互に固定されている。ハウジング14及びガイド部17及びヘッドカバー16の内部に亘り、円筒形状のシリンダ18が設けられている。シリンダ18は中心線Aを中心として設けられており、シリンダ18は、ハウジング14に対して中心線Aに沿った方向には移動不可能に固定されている。シリンダ18は、金属材料により構成されている。
【0024】
一方、ハンドル15は、打込機10を使用する作業者が手で掴む箇所であり、ハンドル15は中空に構成されている。ハンドル15の内部には蓄圧室15aが設けられている。ハンドル15は、棒形状に構成されており、ハンドル15の長手方向の一端は、ハウジング14の外壁及びガイド部17に固定されている。ハンドル15であって、ハウジング14に固定された端部とは反対側の端部には、プラグ15bが設けられている。プラグ15bは、蓄圧室15aに連通する空気管であり、プラグ15bには、エアホース(図示せず)を取り付けたり取り外したりすることができる。
【0025】
ガイド部17は、外筒17a及び内筒17bを有しており、外筒17a及び内筒18bは中心線Aを中心として同軸に配置されている。外筒17aは、中心線Aを中心とする半径方向で、内筒17bの外側を取り囲むように設けられている。外筒17aと内筒17bとは、円周方向の一部において接続部17cにより接続されており、外筒17aと内筒17bとの間には第1通路17dが設けられている。ヘッドカバー16は、筒部16aと、筒部16aの一端を閉じたエンド部16bとを有している。外筒17aの開口端は、筒部16aの開口端に接触して固定されている。蓄圧室15aは、第1通路17dを介してヘッドカバー16の内部16cに連通されている。
【0026】
ヘッドカバー16の内部16c、具体的にはエンド部16bに、中心線Aを中心としてマウント部19が設けられている。マウント部19にはストッパ20が取り付けられており、ストッパ20は、ゴム状弾性体により構成されている。また、ヘッドカバー16のエンド部16bには、マウント部19を取り囲むように環状のシリンダ16dが設けられている。また、マウント部19とシリンダ16dとの間にはヘッドバルブ21が設けられている。ヘッドバルブ21の外周面はシリンダ16dに接触し、ヘッドバルブ21の内周面はマウント部19に接触した状態で、ヘッドバルブ21は中心線Aに沿った方向に動作可能である。ヘッドバルブ21とエンド部16bとの間にはヘッドバルブ室22が設けられている。さらに、ヘッドバルブ21とマウント部19との間にはバネ23が設けられており、バネ23は、中心線Aに沿った方向で、ヘッドバルブ21をストッパ20から離れる向きで押す力を有する。ヘッドバルブ21は、中心線Aに沿った方向の長さが、シリンダ18の長さよりも短い。また、ヘッドバルブ21は樹脂材料により構成されており、シリンダ18よりも軽量である。
【0027】
前記マガジン13は、多数の釘を連結した状態で保持する容器である。マガジン13は、保持している釘を、順次、打ち込み部12へ移送する機構(図示せず)を有する。前記打ち込み部12は、マガジン13から供給される釘をドライバブレードで打撃される位置に保持し、かつ、打撃される釘の打ち込み方向を直線状に案内する機構である。打ち込み部12は、アンダーカバー12a及びガイド筒12bを有している。アンダーカバー12aは、ハウジング14であって、ガイド部17が取り付けられた開口端とは反対側の開口端に固定されている。アンダーカバー12aは、中心線Aと同軸の軸孔22aを有する。軸孔22aの内径は、シリンダ18の内径よりも小さい。ガイド筒12bは、シリンダ18及び軸孔22aと同軸に設けられている。また、ガイド筒12bの先端にはプッシュロッド24が取り付けられている。プッシュロッド24は、釘を打ち込む対象物に接触される。
【0028】
前記シリンダ18の内部からアンダーカバー12aの内部に亘ってダンパ25が設けられている。ダンパ25はゴム状弾性体により一体成形されており、ダンパ25は筒形状を有する。ダンパ25の軸孔25aの内径は、軸孔22aの内径よりも大きい。ダンパ25はシリンダ18と同軸に配置されている。そして、シリンダ18の内部にはピストン26が設けられている。ピストン26の外周面にはOリング26aが取り付けられており、ピストン26は、中心線Aに沿った方向に移動可能である。ピストン26におけるダンパ25側の端部にはドライバブレード26bが設けられている。ドライバブレード26bは棒状に構成されており、ドライバブレード26bはシリンダ18の内部及び軸孔25aの内部に亘って設けられている。ドライバブレード26bは、ピストン26がストッパ20に接触して停止している状態で、その先端がアンダーカバー12aの軸孔22aに到達する長さを有している。
【0029】
また、
図7、
図8のように、シリンダ18におけるストッパ20側の端部と、ストッパ20との間に円筒部材27が介在されている。円筒部材27は、中心線Aを中心として半径方向に貫通する第2通路27aを有する。さらに、ストッパ20とピストン26との間に第1空気室28が設けられており、第1空気室28は第2通路27aと接続されている。第1空気室28は、ピストン26を介してドライバブレード26bに打撃力を与える機構である。さらにまた、円筒部材27の外周面には、中心線Aに沿った方向に切り欠き27bが設けられている。切り欠き27bは、円周方向に沿って所定間隔をおいて複数配置されている。シリンダ18の外側を取り囲むようにメインバルブ29が設けられている。メインバルブ29は、中心線Aを中心として円筒形状に構成されており、メインバルブ29は中心線Aに沿った方向に動作可能である。メインバルブ29は、中心線Aに沿った方向の動作範囲が、中心線Aに沿った方向におけるシリンダ18の配置領域と重なっている。メインバルブ29におけるヘッドバルブ21側の端部には、受圧面29aが設けられている。受圧面29aは、
図7、
図8においてヘッドバルブ21の上端に設けられている。受圧面29aは、中心線Aを中心として環状に構成されており、受圧面29aは、中心線Aに対して傾斜している。メインバルブ29は、空気圧が受圧面29aに加わると、マウント部19から離れる向きに押圧される。
【0030】
さらに、シリンダ18の外周面には、環状のバルブシート(弁座)30が取り付けられている。そして、メインバルブ29とバルブシート30との間に第3通路31が形成されている。さらにまた、メインバルブ29とシリンダ18との間には第4通路32が設けられており、第4通路32は本体部11の外、つまり、大気と連通されている。
【0031】
一方、シリンダ18と内筒17bとの間にはホルダ33が設けられている。ホルダ33は、中心線Aを中心とする環状に構成されており、ホルダ33とメインバルブ29との間にはバネ34が介在されている。メインバルブ29は、バネ34の力によりヘッドバルブ21に向けて押されている。メインバルブ29の端部とヘッドバルブ21の端部との間に第5通路35が形成されている。
【0032】
前記シリンダ18の内部におけるピストン26とダンパ25との間には第2空気室36が設けられている。ピストン26に取り付けたOリング26aは、シリンダ18の内周面に接触してシール面を形成している。つまり、第1空気室28と第2空気室36とは、Oリング26aにより気密に仕切られている。また、シリンダ18の外周面とハウジング14の内周面との間には、中心線Aを中心とする環状の第3空気室37が設けられている。そして、シリンダ18には、半径方向に貫通する第6通路18aが形成されている。第6通路18aは、第2空気室36と第3空気室37とを接続している。また、ハウジング14の内部には、第6通路18aを開閉する逆止弁38が設けられている。逆止弁38は、第2空気室36から第3空気室37に空気が流れる向きで開き、第3空気室37から第2空気室36に空気が流れる向きで閉じられる構成を有する。さらにシリンダ18には、第2空気室36と第3空気室37とを常時接続する第7通路39が設けられている。第7通路39は、中心線Aに沿った方向で、第6通路18aとダンパ25との間に配置されている。
【0033】
さらに、本体部11は、
図2のように、第3空気室37とヘッドバルブ室22とを接続する第8通路40を有する。第8通路40は、ハウジング14及びガイド部17及びヘッドカバー16に亘って設けられている。さらに、ハンドル15にはトリガバルブ41が設けられている。トリガバルブ41はスプール41aを有している。本体部11には、作業者により操作されるトリガ42が設けられている。スプール41aは、トリガ42の操作により動作する。
【0034】
次に、第1実施例の打込機10の動作及び作用を説明する。なお、
図1〜
図8においては、中心線Aが上下(垂直)方向に沿って配置されているものとして、打込機10の動作及び作用を説明する。
【0035】
打込機10は、
図1のように、プッシュロッド24が対象物に接触していないか、またはプッシュロッド24が対象物に接触していても、トリガ42が操作されていないとき、ヘッドバルブ21はバネ23の力でエンド部16bに向けて押されて停止している。打込機10に圧縮空気が供給され、プッシュロッド24及びトリガ42が操作されていない状態を初期状態とする。また、
図7のように、メインバルブ29はバネ34の力で押されてヘッドバルブ21に接触して、第5通路35は閉じられている。なお、トリガ42が操作されていないときは、トリガバルブ41の動作により、蓄圧室15aの空気圧は、メインバルブ29の受圧面29aには加わらないようになっている。さらに、メインバルブ29とバルブシート30との間に形成された第3通路31は開いている。このため、第1空気室28は、第2通路27a及び切り欠き27b及び第3通路31及び第4通路32を介して大気と連通している。さらに、ピストン26はストッパ20に接触して上死点で停止している。
【0036】
次いで、プッシュロッド24が対象物に接触され、かつ、トリガ42が操作されると、トリガバルブ41の動作により、蓄圧室15aの空気圧はメインバルブ29は受圧面29aに加わる。すると、メインバルブ29は、
図8のように、バネ34の力に抗してホルダ33に近づく向きで動作(下降)する。メインバルブ29が下降すると、第5通路35が開き、かつ、第3通路31が閉じられる。そして、蓄圧室15aの空気は第5通路35を経由して第1空気室28に流れ込み、第1空気室28の空気圧が上昇する。すると、ピストン26はダンパ25に向けて動作(下降)するとともに、第2空気室36の空気の一部は、第7通路39を経由して第3空気室37に流れ込む。ここで、ピストン26が、中心線Aに沿った方向で第6通路18aとストッパ20との間に位置しているときは、第3空気室37の空気圧で逆止弁38は閉じられている。また、第3空気室37の空気の一部はヘッドバルブ室22に流れ込む。しかしながら、ヘッドバルブ室22の空気圧でヘッドバルブ21に加わる力よりも、バネ23からヘッドバルブ21に加わる力の方が強いときは、ヘッドバルブ21はエンド部16bに接触して停止している。
【0037】
その後、ドライバブレード26bにより釘が打撃され、かつ、ピストン26が第6通路18aとダンパ25との間へ移動すると、第1空気室28の空気圧で逆止弁38が開く。すると、第1空気室28の空気の一部は、第6通路18aを経由して第3空気室37に流れ込む。さらに、ピストン26がダンパ25に近づき、
図4のようにピストン26がダンパ25に接触して、ピストン26は下死点で停止する。
【0038】
ドライバブレード26bにより釘の打撃が行われた後、ヘッドバルブ室22の空気圧でヘッドバルブ21に加わる力が、バネ23からヘッドバルブ21に加わる力を超えると、ヘッドバルブ21は、
図5のようにバネ23の力に抗して、メインバルブ29に近づく向きで動作(下降)し、ヘッドバルブ21はメインバルブ29に接触し、第5通路35は閉じられる。
【0039】
ついで、
図6のようにトリガ42の操作が解除されると、蓄圧室15aからメインバルブ29の受圧面29aに加わる空気圧が低下する。すると、メインバルブ29はバネ34の力でシリンダ16dに近づく向きで動作(上昇)する。また、ヘッドバルブ21はメインバルブ29に接触したまま動作し、ヘッドバルブ21がエンド部16bに接触して、メインバルブ29及びヘッドバルブ21が停止する。すると、第3通路31は開き、第1空気室28は、第2通路27a及び切り欠き27b及び第4通路32を経由して大気と連通し、第1空気室28の空気圧は低下する。さらに、第3空気室37の空気の一部は第2空気室36に流れ込み、ピストン26はストッパ20に近づく向きで動作(上昇)する。そして、ピストン26はストッパ20に接触して上死点で停止する。つまり、打込機10は
図1の初期状態に戻る。
【0040】
上記のように、打込機10は、ドライバブレード26bにより釘を打撃し、かつ、ピストン26が第6通路18aとダンパ25との間へ移動すると、ヘッドバルブ21が動作して第5通路35が閉じられる。このため、トリガ42が操作されていても、蓄圧室15aの圧縮空気が第1空気室28に流れ込むことを防止できる。すなわち、打込機10は圧縮空気の消費量を低減できる。また、ヘッドバルブ21は、中心線Aに沿った方向の長さがシリンダ18の長さよりも短く、ヘッドバルブ21が接触する部分の動作抵抗(摩擦抵抗)をなるべく少なくすることができる。このため、蓄圧室15aの圧縮空気が第1空気室28に流れ込むことを防止するにあたり、ヘッドバルブ21の動作に必要な力を、なるべく小さくすることができる。したがって、ヘッドバルブ21の動作応答性が向上する。
【0041】
さらに、ヘッドバルブ21は、シリンダ18よりも軽量であるため、ヘッドバルブ21の動作に必要な力を、一層小さくすることができる。さらにまた、打込機10は、中心線Aが上下方向(垂直方向)に沿った状態で使用すると、ヘッドバルブ21が重力の作用方向に沿って下降して第5通路35が閉じられる。したがって、ヘッドバルブ21の動作に必要な力を一層少なくすることができる。また、第3空気室37の空気圧を利用して、ヘッドバルブ21を動作させる。このため、ヘッドバルブ21を動作させるために、専用のアクチュエータを設ける必要はない。
【0042】
また、メインバルブ29は、中心線Aに沿った方向の動作範囲が、シリンダ18の配置領域と重なっている。したがって、中心線Aに沿った方向において、メインバルブ29の配置スペースを専用で設ける必要がなく、打込機10の大型化を抑制できる。
【0043】
なお、バネ23のバネ定数は、ヘッドバルブ21が動作して、第5通路35を閉じるタイミングを決定する要因となる。例えば、バネ定数をなるべく小さくすると、ヘッドバルブ21が動作して第5通路35を閉じるタイミングを、なるべく早くすることができる。
【0044】
上記の第1実施例は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項5の発明に対応する実施例である。ここで、第1実施例の構成と請求項1、請求項2、請求項3、請求項5の発明の構成との対応関係を説明すると、第5通路35が、本発明の通路に相当し、メインバルブ29が、本発明の
弁体に相当し、ヘッドバルブ21が、本発明の
閉鎖部材に相当
し、ヘッドバルブ室22及び第3空気室37が、本発明の第3空気室に相当する。また、ピストン26がストッパ
20に接触して停止している位置(上死点)が、本発明の初期位置に相当する。
【0045】
次に、本発明の打込機の第2実施例を、
図9〜
図12に基づいて説明する。打込機50は、本体部51及び打ち込み部52及びマガジン53を有する。本体部51は、釘を打ち込む打撃力を発生するための機構であり、本体部51は、ハンドル54及びヘッドカバー55及びハウジング56を有する。ハンドル54は、打込機50を使用する作業者が手で掴む箇所であり、ハンドル54は中空に構成されている。ハンドル54の内部には蓄圧室54aが設けられている。ハンドル54は、棒形状に構成されており、ハンドル54の長手方向の一端は、ハウジング56の外壁に固定されている。ハンドル54であって、ハウジング56に固定された端部とは反対側の端部には、プラグ54bが設けられている。プラグ54bは、蓄圧室54aに連通する空気管であり、プラグ54bには、エアホースを取り付けたり取り外したりすることができる。
【0046】
ハウジング56は筒形状を有しており、ハウジング56の一方の開口端はヘッドカバー55により閉じられている。ヘッドカバー55は、筒部55aと、筒部55aの一方の開口端を閉じたエンド部55bとを有している。エンド部55bにはストッパ57が取り付けられている。ストッパ57は、ゴム状弾性体により構成されている。また、ハウジング56の内部及びヘッドカバー55の内部に亘りシリンダ58が設けられている。シリンダ58は円筒形状を有しており、シリンダ58は、ハウジング56及びヘッドカバー55に対して移動不可能に固定されている。シリンダ58は金属材料により構成されている。
【0047】
前記マガジン53は、多数の釘を連結した状態で保持する容器である。マガジン53は、保持している釘を、順次、打ち込み部52へ移送する機構(図示せず)を有する。打ち込み部52は、マガジン53から供給される釘をドライバブレードで打撃される位置に保持し、かつ、打撃される釘の打ち込み方向を直線状に案内する機構である。打ち込み部52は、アンダーカバー59及びガイド筒60を有している。アンダーカバー59は、ハウジング56であって、ヘッドカバー55が取り付けられた開口端とは反対側の開口端に固定されている。アンダーカバー59は、中心線Bと同軸の軸孔59aを有する。軸孔59aの内径は、シリンダ58の内径よりも小さい。ガイド筒60は、シリンダ58及び軸孔59aと同軸に設けられている。また、ガイド筒60の先端にはプッシュロッド61が取り付けられている。プッシュロッド61は、釘が打ち込まれる対象物に接触する。
【0048】
前記シリンダ58の内部からアンダーカバー59の内部に亘ってダンパ62が設けられている。ダンパ62はゴム状弾性体により一体成形されており、ダンパ62は筒形状であり、ダンパ62は軸孔62aを有する。軸孔62aの最小内径は、軸孔59aの内径以上である。ダンパ62はシリンダ58と同軸に配置されている。そして、シリンダ58の内部にはピストン63が設けられている。ピストン63の外周面にはOリング63aが取り付けられており、ピストン63は、シリンダ58の中心線Bに沿った方向に移動可能である。ピストン63におけるダンパ62側の端部にはドライバブレード63bが設けられている。ピストン63がストッパ57に接触しているとき、ドライバブレード63bは、シリンダ58の内部及び軸孔62aの内部に亘って設けられている。ドライバブレード63bは、ピストン63がストッパ57に接触している状態で、先端が軸孔59aに到達する長さを有している。
【0049】
一方、前記エンド部55bにはヘッドバルブ保持部64が設けられている。ヘッドバルブ保持部64は中心線Bを中心として環状に設けられている。ヘッドバルブ保持部64内には、中心線Bに沿った方向に動作可能なヘッドバルブ65が挿入されている。ヘッドバルブ65は、ストッパ57を取り囲むように、中心線Bを中心として円筒形状に構成されている。ヘッドバルブ保持部64の内部には、ヘッドバルブ65とエンド部55bとの間にヘッドバルブ室66が設けられている。ヘッドバルブ65は、ヘッドバルブ室66の空気圧でシリンダ58に近づく向きで押される。さらに、
図12のように、ヘッドバルブ65は、中心線Bに沿った方向でヘッドバルブ室66と反対側の端部に受圧面65aが形成されている。
【0050】
さらに、ヘッドカバー55の内部には、円筒形状のガイド部材67が設けられている。ガイド部材67は、シリンダ58と同軸に設けられており、中心線Bに沿った方向に移動しないように固定されている。ガイド部材67の内周面には内向きフランジ67aが設けられており、内向きフランジ67aには、中心線Bに沿った方向に貫通する第1通路68が設けられている。第1通路68は、常時、蓄圧室54aに接続されている。蓄圧室54aの空気圧は、第1通路68を経由してヘッドバルブ65の受圧面65aに加わり、ヘッドバルブ65をエンド部55bに近づける向きの力を発生させる。また、ヘッドバルブ65は、中心線Bに沿った方向に移動するときに、その外周面がガイド部材67の内周面及びヘッドバルブ保持部64の内周面に接触することでガイドされる。
【0051】
さらに、ストッパ57の外周面には環状の鍔部57aが設けられており、鍔部57aとヘッドバルブ65との間に第2通路69が形成されている。さらに、ストッパ57とピストン63との間に第1空気室70が形成されている。また、ヘッドカバー55には、本体部51の外の大気に連通された第3通路71が設けられている。さらに、ヘッドバルブ65とシリンダ58との間に第4通路82が形成されている。第4通路82は、第1通路68と第1空気室70とをつなぐ経路である。
【0052】
一方、ハンドル54にはトリガバルブ72が設けられている。トリガバルブ72はスプール72aを有している。本体部51には、作業者により操作されるトリガ73が設けられている。スプール72aは、トリガ73の操作により動作する。ヘッドバルブ室66は第5通路74を介してトリガバルブ72に接続されており、第5通路74は、スプール72aの動作により、蓄圧室54aまたは大気のいずれかに接続される。
【0053】
前記シリンダ58の内部におけるピストン63とダンパ62との間には第2空気室75が設けられている。ピストン63の外周面に取り付けたOリング63aは、シリンダ58の内周面に接触して、シール面を形成している。第1空気室70と第2空気室75とは、シール面により気密に仕切られている。また、シリンダ58の外周面とハウジング56の内周面との間には、中心線Bを中心とする環状の第3空気室76が設けられている。本実施形態では、第3空気室76は戻り空気室の役割を兼ねている。第3空気室76と戻り空気室は同一である必要はないが、このように構成することで、圧縮空気の無駄な使用を防止できるとともに、本体部51の内部に形成する部屋の数を少なくできるため、本体部51の小型化が可能となる。そして、シリンダ58には、半径方向に貫通する第6通路77が形成されている。第6通路77は、第2空気室75と第3空気室76とを接続する通路である。
【0054】
また、シリンダ58の外周には、第6通路77を開閉する逆止弁78が設けられている。逆止弁78は、第2空気室75から第3空気室76に空気が流れる向きで開き、第3空気室76から第2空気室75に空気が流れる向きで閉じられる構成を有する。さらにシリンダ58には、第2空気室75と第3空気室76とを常時接続する第7通路79が設けられている。第7通路79は、中心線Bに沿った方向で、第6通路77とアンダーカバー59との間に設けられている。
【0055】
さらに、シリンダ58の外側には円筒形状のスリーブ80が設けられている。スリーブ80は、中心線
Bに沿った方向で第6通路77とヘッドバルブ65との間に設けられている。スリーブ80は、第3空気室76の空気圧でヘッドバルブ65に向けて押される。スリーブ80は金属材料により構成されている。スリーブ80は、中心線Bに沿った方向の長さが、シリンダ58よりも短く、かつ、シリンダ58よりも軽量である。また、スリーブ80はシリンダ58と同軸に配置されており、スリーブ80はシリンダ58の外周面に接触した状態で、中心線Bに沿って移動可能である。スリーブ80は、中心線Bに沿った方向の動作範囲が、シリンダ58の配置領域と重なっている。さらに、ハウジング56の内周面には、ストッパ81が固定されている。ストッパ81は、中心線Bを中心として環状に構成されている。ストッパ81は、中心線Bに沿った方向で、スリーブ80と第6通路77との間に配置されている。さらに、スリーブ80であって、ヘッドバルブ65側の端部には、蓄圧室54aの空気圧が第1通路68を経由して加わる構成である。このため、スリーブ80は、第1通路68を経由して加わる空気圧により、ストッパ81に向けて押される。
【0056】
次に、第2実施例の打込機50の動作及び作用を説明する。なお、
図9〜
図12においては、中心線Bが上下方向に沿って配置されているものとして、打込機50の動作及び作用を説明する。
【0057】
打込機50は、プッシュロッド61が対象物に接触していないか、または、プッシュロッド61が対象物に接触していても、
図9のようにトリガ73が操作されていない状態では、蓄圧室54aは、第5通路74を介してヘッドバルブ室66に接続されている。蓄圧室54aの空気圧は、第1通路68を経由してヘッドバルブ65の受圧面65aに加わっている。しかしながら、ヘッドバルブ室66の空気圧がヘッドバルブ65を押す力の方が、蓄圧室54aの空気圧が、第1通路68を経由してヘッドバルブ65を押す力よりも強い。
【0058】
このため、ヘッドバルブ65はスリーブ80に近づく向きで押され、ヘッドバルブ65とスリーブ80とが接触して、第4通路82は閉じられている。さらに、ヘッドバルブ65に押されたスリーブ80は、ストッパ81に接触して停止している。また、第2通路69は開いており、第1空気室70は第2通路69を介して大気に連通している。さらに、ピストン63はストッパ57に接触して上死点で停止している。
【0059】
次いで、プッシュロッド61が対象物に接触され、かつ、1トリガ73が操作されると、ヘッドバルブ室66は、第5通路74を介して大気と連通する。すると、
図10、
図12のように、ヘッドバルブ65は、受圧面65aに加わる空気圧でスリーブ80から離れる向きで動作(上昇)する。ヘッドバルブ65が上昇すると、第4通路82は開かれ、かつ、第2通路69は閉じられる。なお、蓄圧室54aの空気圧は、スリーブ80におけるヘッドバルブ65側の端部に加わっているため、スリーブ80はストッパ81に接触して停止した状態に維持される。
【0060】
また、第4通路82が開かれると、蓄圧室54aの圧縮空気は、第1通路68及び第4通路82を介して第1空気室70へ流入する。すると、第1空気室70の圧力が上昇してピストン63がダンパ62に近づく向きで動作(下降)する。ピストン63が下降すると、第2空気室75の空気の一部は、第7通路79を経由して第3空気室76に流れ込む。また、逆止弁78は、第3空気室76の空気圧で閉じられている。
【0061】
ピストン63の下降中、第4通路82を通る空気の圧力は、スリーブ80におけるヘッドバルブ65側の端部に加わっている。一方、第3空気室76の空気圧は、スリーブ80の端面に加わっている。ここで、ピストン63が中心線Bに沿った方向で第6通路77とストッパ57との間にあるときは、第3空気室76の空気圧よりも、蓄圧室54aの空気圧の方が高いため、スリーブ80はストッパ81に接触した状態に維持される。
【0062】
その後、ピストン63と共にドライバブレード63bが下降して、ドライバブレード63bにより釘が打撃された後、
図11のように、ピストン63が第6通路77とダンパ62との間へ移行する。すると、第1空気室70の空気圧の方が、第3空気室76の空気圧よりも高いため、逆止弁78が開き、第1空気室7
0の空気の一部は、第6通路77を経由して第3空気室76に流入する。スリーブ80は、第3空気室76の空気圧でヘッドバルブ65に近づく向きで動作(上昇)する。
【0063】
スリーブ80が上昇すると、スリーブ80はヘッドバルブ65に接触して第4通路82が閉じられ、蓄圧室54aと第1空気室70とが遮断される。その結果、トリガ73が操作されていても、蓄圧室54aの圧縮空気は、第1空気室70に供給されなくなる。
【0064】
ついで、トリガ73の操作が解除されると、蓄圧室54aとヘッドバルブ室66とが第5通路74を介して接続され、ヘッドバルブ室66の空気圧が上昇してヘッドバルブ65がシリンダ58に近づく向きで動作(下降)する。ヘッドバルブ65が下降すると第2通路69が開き、第1空気室70と大気とが接続され、第1空気室70の空気圧が低下する。また、ヘッドバルブ65と共にスリーブ80が下降し、ストッパ81に接触して停止する。すなわち、第4通路82はヘッドバルブ65により閉じられた状態が維持される。
【0065】
上記のように、第1空気室70の空気圧が低下すると、第2空気室75の空気圧でピストン63がストッパ57に近づく向きで動作(上昇)する。そして、ピストン63がストッパ57に接触して上死点で停止し、
図9の初期状態に戻る。
【0066】
このように、第2実施例においては、ドライバブレード63bにより釘が打撃された後、ピストン63が第6通路77とダンパ62との間へ移動すると、トリガ73が操作されていても、第4通路82が閉じられて、蓄圧室54aの圧縮空気は、第1空気室70には供給されなくなる。したがって、打込機50は圧縮空気の消費量を低減できる。
【0067】
また、スリーブ80は、中心線Bに沿った方向の長さがシリンダ58の長さよりも短く、スリーブ80が接触する部分の動作抵抗(摩擦抵抗)をなるべく少なくすることができる。このため、蓄圧室54aの圧縮空気が第1空気室70に流れ込むことを防止するにあたり、スリーブ80の動作に必要な力を、なるべく小さくすることができる。したがって、スリーブ80の動作応答性が向上する。
【0068】
さらに、スリーブ80は、シリンダ58よりも軽量であるため、スリーブ80の動作に必要な力を、一層小さくすることができる。さらに、スリーブ80は、シリンダ58の外周面に沿って動作するため、ヘッドバルブ65との同軸度が維持され、第4通路82を確実に閉じることができる。さらに、ヘッドバルブ65は、第3空気室76の空気圧を利用して動作するため、ヘッドバルブ65を動作するために専用のアクチュエータを設ける必要がない。さらに、スリーブ80は、中心線Bに沿った方向の動作範囲が、シリンダ58の配置領域と重なっている。したがって、打込機50が大型化することを抑制できる。
【0069】
上記の第2実施例は、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5の発明に対応する実施例である。ここで、第2実施例の構成と請求項1、請求項2、請求項4、請求項5の発明の構成との対応関係を説明すると、第4通路82が、本発明の通路に相当し、スリーブ80が、本発明の閉鎖部材に相当し、ヘッドバルブ65が、本発明の弁体に相当
し、第3空気室76が、本発明の第3空気室に相当する。ピストン63がストッパ57に接触して停止している上死点が、本発明の初期位置に相当する。
【0070】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、前記実施の形態においては、釘は、直線状の釘の他、コ字
形に屈曲されたタッカであってもよい。また、各図においては、中心線A,Bが上下方向に沿って配置されているが、本実施形態の打込機は、中心線A,Bが水平方向に沿った状態、または、中心線A,Bが上下方向と水平方向との間に沿った状態であるときにも、ドライバブレードで釘を打撃することができる。本発明において、各通路は空気が通る経路であり、通路には、部品同士の隙間、孔、切り欠き部、溝、ポート等が含まれる。
【0071】
また、メインバルブの圧縮空気を用いてネジを打ち込むねじ打ち機に対しても、本発明の打込機は適用可能であることは勿論である。すなわち、打込機により打ち込まれる被打込物には、釘、ネジ等が含まれる。