(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5842737
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】吸気制御装置
(51)【国際特許分類】
F02B 31/00 20060101AFI20151217BHJP
F02D 9/10 20060101ALI20151217BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20151217BHJP
【FI】
F02B31/00 301D
F02D9/10 H
F02M35/10 301F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-132187(P2012-132187)
(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公開番号】特開2013-256879(P2013-256879A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】石原 啓光
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−526098(JP,A)
【文献】
特開2011−102575(JP,A)
【文献】
特開2011−231688(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/061247(WO,A1)
【文献】
特開2008−215258(JP,A)
【文献】
特開2010−121551(JP,A)
【文献】
特開2009−150328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 31/00
F02D 9/10
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気マニホルドの内部に嵌め込まれるスリーブと、
前記スリーブに支持される軸体とともに回動することで前記吸気マニホルドにおける吸気通路の開口面積を最大にする開放姿勢、及び、前記吸気通路の開口面積を小さくする抑制姿勢に切換自在な弁体とを備えると共に、
前記弁体が、前記開放姿勢にあっては共に前記軸体に対して前記スリーブの一方の壁面側に位置し、前記開放姿勢から前記抑制姿勢への揺動時に前記スリーブの中央側に変位するよう前記軸体から吸気方向の下流側に設けられた主弁部と、前記スリーブに沈み込む方向に変位するよう前記軸体から吸気方向上流側に設けられた副弁部とを有し、
前記弁体が前記抑制姿勢に揺動した際に前記副弁部が入り込む収容空間が、前記スリーブの内面から外方に変位する段部を有する形状に形成され、
前記副弁部には、当該弁体が前記抑制姿勢に達した際に、前記開放姿勢よりも前記段部に接近するシール部を形成している吸気制御装置。
【請求項2】
前記抑制姿勢において前記開放姿勢よりも前記段部に接近するように前記副弁部の表面から突出する突出部で前記シール部が構成されている請求項1記載の吸気制御装置。
【請求項3】
前記弁体が、前記開放姿勢と前記抑制姿勢との中間となる中間姿勢に設定自在に構成され、この中間姿勢において前記開放姿勢よりも前記段部に接近する副シール部を備えている請求項1又は2記載の吸気制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気制御装置に関し、詳しくは、吸気マニホルドの開口面積を調節する弁体を有する吸気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された吸気制御装置として特許文献1には、吸気マニホルド(文献では inlet duct2)においてシリンダヘッドに接続するフランジ面の近傍位置に、軸体(文献ではpivot shaft9)の回転に伴って開閉作動する弁体(文献では control flap3)を備えた構成が示されている。弁体は、Fig1やFig4に示す開放姿勢にセットされることで吸気マニホルドの凹部に嵌り込む状態に達し、吸気マニホルドの開口面積を最大に設定する。また、シャフトの回転により弁体がFig2やFig5に示す抑制姿勢にセットされることにより、吸気マニホルドの内部で弁体が立ち上がる姿勢まで変位し、開口面積を小さくする。
【0003】
また、特許文献2には、特許文献1と同様に、軸体(文献では Klappenschwenkachse 12)と共に揺動する弁体(文献では Klappen 8 )を備えている。この弁体はFig6に示す開放姿勢にセットされることで吸気マニホルドの内面に嵌り込み、吸気マニホルドの開口面積を最大に設定する。また、弁体がFig5に示す抑制姿勢にセットされることで弁体が吸気マニホルドの内部で立ち上がる姿勢まで変位し、開口面積を小さくする。
【0004】
更に、特許文献3には、吸気マニホルド2のうちシリンダヘッド1の近傍位置に制御ユニット3を嵌め込んだ構成の吸気制御装置が示されている。この特許文献3での弁体(文献では制御弁41)の作動形態は特許文献1や特許文献2と同様であるが、制御ユニット3を吸気マニホルド2に備える構成に特徴を有している。
【0005】
つまり、吸気マニホルド2はシリンダヘッド1に当接する第一部材2aと、これに連結する第二部材2bとで構成されている。制御ユニット3は、筒状のハウジング6に対して回動軸41により開閉する板状の弁体を備えている。このような構成から、制御ユニット3のハウジング6を第一部材2aに嵌め込んだ後に、第一部材2aに対して第二部材2bを連結することにより吸気マニホルド2に弁体が備えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6761140号明細書(US 6,761,140 B2)
【特許文献2】独国特許出願公開第102009054184号明細書(DE 10 2009 054 184 A1)
【特許文献3】特開2007−192147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載されるように、弁体を開放姿勢に設定した状態で弁体が吸気マニホルドに嵌り込む構成は、吸気マニホルドの内面を平滑にして吸気通路に流れる空気に作用する抵抗を低減する。しかしながら、弁体を開放姿勢に設定した状態で吸気マニホルドの凹部に弁体が密接する状態で嵌り込む構成では、円滑な作動を実現するために精度を必要とするだけではなく、弁体と凹部との隙間に異物が付着した場合には、円滑な作動を損なうこともあり改善の余地がある。
【0008】
このような不都合を解消するために、弁体と吸気マニホルドとの間の間隙を大きくすることも考えられるが、間隙を大きくした場合には、弁体を抑制姿勢にセットした場合に、間隙に空気が流れ、吸気の流れを適正に抑制できないものとなる。
【0009】
また、吸気マニホルドを樹脂成形により製造する場合には、特許文献3にも記載されるように形状精度が低い場合にも適正な位置に弁体を配置して空気の流れを制御できるように構成することも望まれている。
【0010】
本発明の目的は、弁体の円滑な作動を実現しながら、弁体を抑制姿勢に設定した場合には吸気の流れを適正に抑制する吸気制御装置を高精度に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、吸気マニホルドの内部に嵌め込まれるスリーブと、前記スリーブに支持される軸体とともに回動することで前記吸気マニホルドにおける吸気通路の開口面積を最大にする開放姿勢、及び、前記吸気通路の開口面積を小さくする抑制姿勢に切換自在な弁体とを備えると共に、前記弁体が、前記開放姿勢にあっては共に前記軸体に対して前記スリーブの一方の壁面側に位置し、前記開放姿勢から前記抑制姿勢への揺動時に前記スリーブの中央側に変位するよう前記軸体から吸気方向の下流側に設けられた主弁部と、前記スリーブに沈み込む方向に変位するよう前記軸体から吸気方向上流側に設けられた副弁部とを有し、前記弁体が前記抑制姿勢に揺動した際に前記副弁部が入り込む収容空間が、前記スリーブの内面から外方に変位する段部を有する形状に形成され、前記副弁部には、当該弁体が前記抑制姿勢に達した際に、前記開放姿勢よりも前記段部に接近するシール部を形成している点にある。
【0012】
本構成の弁体は、吸気方向に直交する姿勢でスリーブに支持される軸体の一方側に主弁部と副弁部とを備えるものである。このような弁体では、弁体が開放姿勢にあるときには、主弁部および副弁部はスリーブの一方側の壁面に偏位した初期姿勢となり、弁体が抑制姿勢にあるときには、主弁部と副弁部とでスリーブの略全域を遮断する必要がある。そのため、主弁部は、軸体に対して吸気方向の下流側に形成され、弁体が抑制姿勢に変化した際には、スリーブの中央側に突出するように構成してある。一方、副弁部は、軸体に対して吸気方向の上流側に形成され、弁体が抑制姿勢に変化した際でも、軸体に対して自身が当初位置していた壁面の側の領域を遮断し続ける必要がある。このため、副弁部の移動軌跡は、当初の開放姿勢から抑制姿勢に変化する際にスリーブの外方側に膨らむ。このような弁体を収容するためには、開放姿勢で保持した弁体のさらに外側に所定の空間を確保しておく必要がある。そのため、本構成では、この空間を形成するのに、スリーブの内面から外方に変位する段部を設けてある。
【0013】
本構成では、スリーブの遮断効果を高めるべく、弁体が抑制姿勢にあるときに副弁部と段部との間でシール部が形成される。本構成の弁体は、例えば開放姿勢と抑制姿勢とに択一的に設定され、抑制姿勢にあるときの副弁部の位置は定位置となる。よって、このとき副弁部と段部との間の距離が小さくなるようにシール部を設定してある。これにより、抑制姿勢での吸気遮断効果が高まる。このように所定の姿勢のみに於いて効果を発揮するシール部を形成する結果、シール部を簡単かつコンパクトに構成することが可能となる。
【0014】
また、本構成であれば、弁体が開放姿勢と抑制姿勢との間の姿勢にあるときには、副弁部と段部との間には一定の隙間が現れる。この隙間は吸気の流通が可能である。よって、仮に異物がスリーブ内に侵入した場合でも、弁体とスリーブの壁部との間に溜まりがちな異物を効果的に排出することができる。この結果、弁体の健全な動作状態を長期間維持することができる。
このように本発明によると、弁体の円滑な作動を行いながら、弁体を抑制姿勢に設定した場合には吸気の流れを適正に抑制する吸気制御装置が高精度に構成された。
【0015】
本発明は、前記抑制姿勢において前記開放姿勢よりも前記段部に接近するように前記副弁部の表面から突出する突出部で前記シール部が構成されても良い。
【0016】
これによると、弁体に突出部材を備えることにより、弁体が抑制姿勢に達した場合に、突出部が収容空間の段部に接近する形態で空気の流れを抑制する。つまり、弁体とスリーブとに接触するゴム等の柔軟な素材を用いずとも、シール部を形成することが可能となり、構成が単純化し、製造も容易となる。
【0017】
本発明は、前記弁体が、前記開放姿勢と前記抑制姿勢との中間となる中間姿勢に設定自在に構成され、この中間姿勢において前記開放姿勢よりも前記段部に接近する副シール部を備えても良い。
【0018】
これによると、弁体を中間姿勢に設定した場合には、副シール部が収容空間の段部に接近することになり、この中間姿勢において副弁部の部位で流れる空気の量を制限して主弁部で設定される開口面積により空気の流れを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】エンジン上部と吸気制御装置とを示す断面図である。
【
図2】弁体を抑制姿勢に設定した吸気制御装置を示す断面図である。
【
図3】吸気制御装置を備えた吸気マニホルドの斜視図である。
【
図5】マニホルドとホルダと弁体との分解斜視図である。
【
図8】別実施形態(a)の吸気制御装置を示す断面図である。
【
図9】別実施形態(b)の吸気制御装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1〜
図3に示すように、内燃機関としてのエンジンEのシリンダヘッド1に連結する吸気マニホルドMと、この吸気マニホルドMの内部に嵌め込まれるホルダHと、ホルダHに対して揺動軸芯Xを中心に揺動自在に支持される弁体25と、弁体25の姿勢を設定するアクチュエータAとを備えて吸気制御装置が構成されている。
【0021】
エンジンEはピストン2を内蔵するシリンダブロック3の上端にシリンダヘッド1を連結した構成を有している。シリンダヘッド1には燃焼室に吸気を行う吸気バルブ4と、燃焼ガスを排出する排気バルブ5と、燃焼室の混合気に点火を行う点火プラグ6と、燃焼室に燃料を供給するインジェクタ(図示せず)とを備えている。
【0022】
このエンジンEは、ピストン2の吸気作動時に吸気バルブ4を開放して燃焼室に吸気を行うとともに、燃焼室にインジェクタから燃料を供給する。この後、圧縮作動に続いて点火プラグ6により燃焼室の混合気に点火して燃焼を行わせ、この燃焼による膨張力をピストン2からクランクシャフト(図示せず)に伝え、駆動力をクランクシャフトから取り出す一般的な構成を有している。
【0023】
吸気制御装置は、燃焼室に吸気を行う際に吸気マニホルドMの吸気通路の開口面積を制御することにより、燃焼室にタンブル流を作り出し、燃焼効率を高めるように機能する。このように機能させるためにアクチュエータAはエンジンEの回転数と負荷の状況に基づいて作動マップから取り出した情報に基づいて弁体25の姿勢を制御する。
【0024】
〔吸気制御装置〕
吸気マニホルドMは、エアクリーナ等から空気が供給される単一のマニホルド本体Maと、このマニホルド本体Maからの空気をエンジンEの各燃焼室に供給するように複数に分岐するブランチMbとが樹脂により一体的に形成されている。ブランチMbの先端部分は、上壁部11と、一対の側壁部12と、下壁部13とを形成することで断面形状が矩形となり、複数のブランチMbの先端部に連なる状態でシリンダヘッド1に連結するためのフランジ部14が一体的に形成されている。
【0025】
前述した上壁部11と一対の側壁部12と下壁部13とはホルダHが嵌め込まれる空間であり、この部位を膨らませることにより、ブランチMbの内壁とホルダHの内壁とが直線的に連なるように相対的な位置関係が設定されている。また、側壁部12のうち隣接するもの同士の中間位置には、隣接するブランチ部14の内部空間同士が連なる状態で、フランジ部14から窪む形態で外部軸支空間12aが形成されている。尚、外端位置の2箇所の側壁部12には軸体27を収容するために外方に膨らむ袋状の膨出部12bが形成されている。
【0026】
フランジ部14はボルト15によりシリンダヘッド1に連結されるものであり、このフランジ部14のフランジ面には、ホルダHの挟圧プレートHbが嵌り込む凹部14aが形成されている。この凹部14aはホルダHの挟圧プレートHbが嵌り込む深さで形成され、吸気マニホルドMのフランジ部14がシリンダヘッド1に連結する際に挟圧プレートHbをシリンダヘッド1に圧着できるように構成されている。
【0027】
この実施形態では、4気筒型のエンジンEに対応した吸気制御装置を示しており、吸気マニホルドMは、4気筒型のエンジンEに対応して4つのブランチMbが形成され、夫々のブランチMbに対してホルダHを介して弁体25が支持されている。
【0028】
図4、
図5に示すように、ホルダHは、筒状のスリーブHaと、このスリーブHaの端部に一体形成したフランジ状の挟圧プレートHbとを樹脂により一体的に形成してある。スリーブHaは吸気マニホルドMのブランチMbの上壁部11の内面側に配置されるトッププレート21と、側壁部12の内面側配置されるサイドプレート22と、下壁の13内面側に配置されるボトムプレート23とを一体的に形成することで断面形状が矩形となる。また、トッププレート21と一対のサイドプレート22とボトムプレート23とは挟圧プレートHbに連結している。
【0029】
このホルダHでは、吸気の流れる方向でのトッププレート21の寸法と、一対のサイドプレート22の寸法とが等しく設定されると共に、この方向でのボトムプレート23の寸法が短く設定されている。また、一対のサイドプレート22には、挟圧プレートHbと反対側の端部から切り込む形態で内部軸支空間22aが形成されている。
【0030】
吸気の流れる方向でボトムプレート23の寸法が他のプレートの寸法より短く設定され、これによりホルダHの内部でボトムプレート23が存在しない領域に(吸気の吸引方向でのボトムプレート23の上流側)に収容空間Sが形成される。この収容空間Sは、ボトムプレート23の段部23aと、一対のサイドプレート22と、下壁部13とで取り囲まれる領域に形成されている。段部23aはホルダHのボトムプレート23の内面から外方に変位する形状に形成されるものであり、
図1、
図2に示すように、この段部23aは、ボトムプレート23の内面に対して直交する姿勢で形成されている。
【0031】
弁体25は、プレート状に形成されると共に、両側部に連結する板状のブラケット部26と、この一対のブラケット部26に連結する軸体27とを樹脂により一体的に形成している。一対のブラケット部26は弁体25の幅方向の端部から立ち上がる姿勢で形成され、一対のブラケット部26の外面に軸体27が連結されている。
【0032】
図1に示す如く開放姿勢にある弁体25を、
図2に示す抑制姿勢に作動させた際に、弁体25のうち、スリーブHaのボトムプレート23から持ち上がり、スリーブHaの中央側に変位する部位を主弁部25aと称し、この作動時にスリーブHaのボトムプレート23に沈み込む方向に変位する部位を副弁部25bと称している。また、主弁部25aは、軸体27から吸気方向の下流側に配置され、副弁部25bは吸気方向の上流側に配置されている。
【0033】
弁体25が開放姿勢にある状態で、トッププレート21に向かい合う面を表面とし、これと逆側でボトムプレート23に向かい合う面を裏面とすると、副弁部25bの裏面側には、抑制姿勢では開放姿勢よりもトムプレート23の段部23aに接近するシール部としての突出部28が形成されている。この突出部28は弁体25と一体的に形成されるものであるが、接着やビス等を用いて弁体25に固定する構成であっても良い。
【0034】
図5〜
図7に示す如く、複数の弁体25の軸体27には軸受体30を回転自在に外嵌しており、隣り合う位置に配置される軸体27は、軸状のジョイント31で連結される。
図3〜
図5に示す如く、外部軸支空間12aの内端(吸気の吸引方向で上流側の端部)と、内部軸支空間22aの内端(吸気の吸引方向で下流側の端部)とは半円形に成形され、ブランチMbの内部にスリーブHaを挿入した状態で夫々の半円形を併せて円形となる孔部が形成される。
【0035】
内部軸支空間22aは、軸体27の直径より広い幅のスリット部分の端部位置に前述した半円形の部位を形成しており、この内部軸支空間22aのスリット部分に嵌め込む状態でシールプレート33を備えている。このシールプレート33の端部において軸体27に接触する部位は半円形の凹状に形成されている。この構成により、内部支軸空間22aの半円形の凹部と、シールプレート33に形成された半円形の凹部とで円形の孔部を形成しており、このように2つの半円形の凹部で形成される孔状の部位に軸受体30を配置することで、軸体27が揺動軸芯Xを中心にして回転自在に支持される。
【0036】
吸気制御装置を組み立てる場合には、弁体25の軸体27をジョイント31で連結すると共に、ホルダHのサイドプレート22の内部軸支空間22aに挿入する。尚、軸体27をブランチMbの部位に収容する場合には、一方の端部が膨出部12bに収容され、他方の端部が膨出部12bに収容されると共に、この軸体27の他方の端部に対して、アクチュエータAの出力軸が連結する。更に、内部軸支空間22aのスリット部分にシールプレート33を嵌め込むことにより、内部軸支空間22aの半円形の凹部と、シールプレート33の内端の半円形の凹部とで軸受体30を挟み込む状態となる。このような状態でブランチMbの内部にホルダHとともに弁体25をセットし、ブランチMbをシリンダヘッド1にボルト15を用いて連結する。
【0037】
このように吸気制御装置を組み立てた状態では、ブランチMbの内部にホルダHが嵌め込まれ、ホルダHの挟圧プレートHbが、ブランチMbのフランジ部14に設けた凹部14aの部位において、このフランジ部14とシリンダヘッド1との間に挟圧される。
【0038】
ジョイント31は、軸状の部材の両端部に係合突起を形成しており、この係合突起が嵌合する係合凹部を、軸体27の端部に形成することにより、複数の弁体25が揺動軸芯Xを中心にして一体的に揺動する状態に達する。また、軸体27の一端に対してアクチュエータAの出力軸を連結することにより、このアクチュエータAの駆動力により弁体25の姿勢の切換が可能となる。
【0039】
〔作動形態〕
アクチュエータAの作動により弁体25を
図1に示す開放姿勢にセットした場合には、弁体25がボトムプレート23(一方のスリーブHaの具体例)に位置する状態で、このボトムプレート23と平行する姿勢となり、吸気マニホルドMのブランチMbの吸気通路の開口面積が最大となる。また、アクチュエータAの逆方向への作動により軸体27が揺動軸芯Xを中心に回動して弁体25を
図2に示す抑制姿勢にセットした場合には、主弁部25aがボトムプレート23から立ち上がる方向に変位し、副弁部25bが収容空間Sに入り込む状態に達する。
【0040】
このように弁体25が抑制姿勢に達した場合には、主弁部25aが吸気通路の開口面積を最小に設定し、また、シール部としての突出部28がボトムプレート23の段部23aに接近することで、この部位での空気の流れを抑制する。
【0041】
〔実施形態の効果〕
このように本発明の吸気制御装置は、弁体25を開放姿勢から抑制姿勢に切り換えた場合には、弁体25の副弁部25bが収容空間Sに沈み込む作動形態となる。この収容空間Sを副弁部25bの作動軌跡に沿う円弧状に形成した場合には、吸気に含まれる異物が付着して円滑な作動が損なわれることもあるが、ボトムプレート23の一部を切り欠く形態で収容空間Sを形成しているので、本発明の吸気制御装置では弁体25の円滑な作動を実現する。
【0042】
特に、弁体25を抑制姿勢に設定した場合に、収容空間Sの段部23aに接近する突出部28を副弁部25bに形成したことにより、弁体25の円滑な作動を損なうことなく、副弁部25bと収容空間Sとの隙間に空気が流れる不都合を解消する。
【0043】
また、ホルダHのスリーブHaに対して軸体27を介して揺動自在に弁体25を支持するため、ホルダHを吸気マニホルドMのブランチMbに嵌め込んだ状態では、スリーブHaを介してブランチMbの内部に対して弁体25を高精度で支持することが可能となり、弁体25を抑制姿勢に設定した場合に吸気を良好に抑制する。
【0044】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0045】
(a)
図8に示すように、本発明の吸気制御装置を開放姿勢と、抑制姿勢と、この2姿勢の中間となる中間姿勢とに設定できるように構成すると共に、中間姿勢に対応して弁体25の裏面に副突出部29を備える。この構成では弁体25を抑制姿勢に設定した場合には
図8の上段に示す如く、前述した実施形態と同様に突出部28が収容空間Sの段部23aに接近して、この部位での吸気の流れを抑制する。また、弁体25を中間姿勢に設定した場合には
図8の下段に示す如く、副突出部29が収容空間Sの段部23aに接近して、この部位での吸気の流れを抑制する。
【0046】
このように複数のシール部(突出部28、副突出部29)を形成した場合には、弁体25が抑制姿勢と中間姿勢との何れの姿勢にある場合にも、収容空間Sを介して吸気が流れる不都合を抑制して弁体25による適正なタンブル流れを作り出すことができる。
【0047】
特に、本発明では、弁体25を抑制姿勢と中間姿勢との他の姿勢に設定できるように構成し、これらの姿勢に対応してシール部として3つ以上のシール部を形成しても良い。
【0048】
(b)
図9に示すように、ボトムプレート23の内面側を取り除き、吸気の吸引方向での端部に滑らかな円弧状となる段部23aが形成されるように収容空間Sを形成しても良い。このようにホルダHの内面側に収容空間Sを形成することにより、前述した実施形態のようにボトムプレート23の一部を切り欠く形態で収容空間Sを形成したものと比較して高い強度を得ることができる。
【0049】
(c)ブランチMb、スリーブHaとも断面が矩形に限るものではなく、例えば、断面が長円形や楕円形に成形しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、吸気通路の開口面積を制御する弁体を備えた吸気マニホルドに利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
23a 段部
25 弁体
25a 主弁部
25b 副弁部
27 軸体
28 シール部(突出部)
29 副シール部(副突出部)
Ha スリーブ
M 吸気マニホルド
S 収容空間