【実施例1】
【0029】
図1に示すように、カーテンエアバッグ装置1は、ルーフサイドレール18内のレールインナーパネル17に取付けておくことができる。カーテンエアバッグ装置1のエアバッグ2は、エアバッグ2内に配したインフレータ10と共にインフレータ10に設けたスタッドボルト11を介して、レールインナーパネル17に取付けられている。即ち、スタッドボルト11にナット12を螺合させることで、エアバッグ2とインフレータ10とをレールインナーパネル17に取付けておくことができる。
【0030】
エアバッグ2は、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16aに係合したヘッドライニング13とレールインナーパネル17との間に配設されており、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16aよりも上方であって、車両の前後方向においてセンターピラー15と重なる部位に配設されている。
【0031】
尚、ここでセンターピラー15とは、後述する前気室30a及び後気室30bの間の部位の側方に位置しており、車両の前後に配される端部のピラーではないピラーであって、展開したエアバッグ2によって覆われるピラーを示している。また、車両の種類によっては、片側に、例えば、4本以上のピラーを備えた構成の車両も存在するが、このような車両でも車両の前から3本目以降のピラーに関しては、本願発明では、リアピラーとして扱うことにする。
【0032】
エアバッグ2 は、インフレータ10を内蔵した膨張部4 と窓に沿ってカーテン状に膨張展開するエアバッグ本体部3 とを有する構成になっている。
図2に示すように、膨張部4 は、車両の左右方向に対して所定の
長さ寸法を有し、膨張部4 の先端部4aには、エアバッグ本体部3 の中央上部3aが連通して取り付けられている。
【0033】
即ち、
図3に示すように、膨張部4は三角柱形状に構成され、三角柱形状の稜線部にあたる膨張部4の先端部4aは、膨張部4内とエアバッグ本体部3内とが連通するように、車両の左右方向に対して所定の長さ寸法を有するエアバッグ本体部3の中央上部3aを取り付けている。
【0034】
膨張部4は、
図7に示す形状に切断されたサブ基布パネル2bを、一対の辺23aと一対の辺24aとを
図3で示すように縫製部8で縫着し、一対の辺24bと一対の辺22aとを
図3で示すように縫製部8で縫着することによって、膨張展開時に三角柱形状に変形することができる。そして、サブ基布パネル2bの辺22bと辺23bとを
図2に示したメイン基布パネル2aの辺21aと21bとにそれぞれ縫着することによって、膨張部4とエアバッグ本体部3とを連通した状態で連結することができる。
【0035】
尚、三角柱形状に構成された膨張部4の構成について説明を行ったが、膨張部4の構成としては、三角柱形状に限定されるものではなく、後述するような膨張部4としての機能を奏することができる形状であれば、四角柱形状、円柱形状等の適宜の形状に構成しておくことができる。
【0036】
図2に示すように、エアバッグ本体部3はメイン基布パネル2aを二つ折りにして周縁部等を縫製部8で縫着した構成になっており、車両の前後方向に前気室30aと後気室30bとを有する構成になっている。また、エアバッグ本体部3が膨張したときの厚さを規制するため、ステッチ7が二つ折りにしたメイン基布パネル2a間に構成されている。
【0037】
各ステッチ7のそれぞれの両端末には、円形のステッチである端末保護サークル7aが設けられている。端末保護サークル7aを設けておくことによって、膨張時のメイン基布パネル2aにおける伸びの確保と皺の発生の防止並びに応力集中に対して十分な強度を得ることができる。
【0038】
尚、必要に応じて、メイン基布パネル2a及びサブ基布パネル2bの表面には、ゴムコーティング、シリコン系樹脂のコーティング等を施して、通気性を低下させ、あるいは不通気状態となるように構成しておくこともできる。また、メイン基布パネル2a及びサブ基布パネル2bの構成材料としては、ナイロン66糸、ナイロン6糸、ポリエステル糸の織布を利用することができる。また、メイン基布パネル2a及びサブ基布パネル2bの構成材料としては、ナイロン66糸やナイロン6糸、ポリエステル糸の織布等に限定されるものではなく、エアバッグの構成材料として使用することのできる他の構成材料を用いることもできる。
【0039】
膨張部4に内蔵したインフレータ10の配置構成としては、
図4に示すような配置構成としておくことができる。尚、
図4では、インフレータ10及びエアバッグ2の膨張部4を、インフレータ10に設けたスタッドボルト11を介して車体に対して取付可能な取付ブラケット20に取り付ける構成例を示しているが、
図1に示したように、スタッドボルト11を介してレールインナーパネル17に取り付ける構成としておくこともできる。
【0040】
図5及び
図6に示しているように、折塊に折り畳まれたエアバッグ2は、ロール状に折り畳まれたエアバッグ本体部3に連続して、エアバッグ本体部3の上に中央上部3aから膨張
部4が折り畳まれた形状に構成されている。即ち、
図6に示す構成例では、エアバッグ本体部3は、膨張展開したときの下端部から時計回り方向に右巻きに巻回している。そして、膨張部4はエアバッグ本体部3を上側から包み込んで覆い被せるように、膨張部4の先端部4aからエアバッグ本体部3の上にジグザグ状に折り畳まれた形状に構成されている。
【0041】
このように折塊に構成したエアバッグ2は、
図2、
図4に示すように膨張部4内に配設したインフレータ10のスタッドボルト11を膨張部4に形成したスタットボルト取付孔5から外部に突出させて、
図4に示すように取付ブラケット20を介してレールインナーパネル17に取り付けた構成にしたり、
図1に示すように直接レールインナーパネル17に取り付けた構成にすることができる。
【0042】
インフレータ10は、膨張部4内に内蔵した構成例について説明を行ったが、
図8に示すように、膨張部4のガス導入部4bに接続用パイプ6を介してインフレータ10を接続する構成にしておくこともできる。このように、インフレータ10をエアバッグ2の外部に配設しておくことにより、折塊に折り畳んだエアバッグ2をコンパクトに構成することができる。また、インフレータ10を適宜の設置場所に配設することが可能となり、インフレータ10の大きさも適宜の大きさのものを使用することができる。
【0043】
このようにして、折塊に構成したエアバッグ2は
図1に示すように、ヘッドライニング13とレールインナーパネル17との間に形成された空間部に配設されることになる。ヘッドライニング13の下端縁とセンターピラーガーニッシュ16及び図示せぬフロントピラーがーニッシュ及びリアピラーガーニッシュの各上端縁とは、係脱自在に係合している。
【0044】
ヘッドライニング13に対して、エアバッグ2 が膨張展開を開始して前記各上端縁との係合状態を解除する方向に所定の押圧力が作用したときには、膨張部4 の膨張展開によってヘッドライニング13とセンターピラーガーニッシュ16との係合状態が最初に外れることになる。そして、ヘッドライニング13は、前記押圧力によって
図1の反時計回り方向に回動することになり、ヘッドライニング13とセンターピラーガーニッシュ16との間に形成される開口部から、エアバッグ2 の膨張部4 は、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16a
における車内側の先端以上の
長さ寸法を有しているので、膨張部4 が上縁部16a を
越えた状態でエアバッグ本体部3 を車内側に膨張展開することができる。即ち、エアバッグ2 の膨張部4 の寸法としては、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16a と一致する寸法、または、上縁部16a を
越えることができる寸法である。
【0045】
好ましくは、エアバッグ2 の膨張部4 は、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16a
における車内側の端部を越える
寸法に構成する。これにより、膨張展開した膨張部4 によってセンターピラーガーニッシュ16の上縁部16a を確実に
越えることができ、エアバッグ本体部3 は車内側で膨張展開することができる。
【0046】
そして、車内側に膨張展開した膨張部4は、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16aとの干渉を避けて、或いは、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16aとの干渉を最小限に抑え、車内側まで膨張展開することができる。このとき、エアバッグ本体部3もヘッドライニング13とセンターピラーガーニッシュ16との間に形成される開口部から車内側に押し出され、ヘッドライニング13の下端縁とセンターピラーガーニッシュ16の上縁部16aとの開口部を更に広げ、ヘッドライニング13の下端縁と図示せぬフロントピラーガーニッシュの上縁部及びリアピラーガーニッシュの上縁部との係合状態を解除していくことになる。
【0047】
ヘッドライニング13がセンターピラーガーニッシュ16及び図示せぬフロントピラーガーニッシュ及びリアピラーガーニッシュとの係合領域から外れると、エアバッグ本体部3は
、膨張部4の先端部4aからカーテン状にぶら下った状態になり、エアバッグ本体部3は膨張部4を通してインフレータ10から供給されるガスによって、車両の前後方向に膨張展開すると共に、窓に沿って下方に膨張展開することができる。
【0048】
即ち、車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、インフレータ10が作動してガスが噴射される。インフレータ10から噴射されたガスは、膨張部4を最初に膨張展開させ、エアバッグ本体部3をセンターピラーガーニッシュ16の上縁部16aに干渉しない車内側の位置まで移動させることができる。
【0049】
そして、エアバッグ本体部3は、センターピラーガーニッシュ16の上縁部16aに干渉することなく膨張部4の先端部4aから窓に沿って下方にカーテン状に展開するとともに、車両の前後方向に向かって膨張展開することができる。そして、膨張展開したエアバッグ2によって、車両の窓部におけるサイドウィンドガラスを覆うことができ、側面衝突事故やロールオーバ等の事故に対して乗員の頭部を保護することができる。
【0050】
また、以上の説明は、前気室30aと後気室30bとの2列の座席を備えた車両に適用するカーテンエアバッグの実施例に基づいて行ったが、例えば、所謂ミニバン車における第1列(最前列)、第2列(中間列)、及び第3列(最後列)の3列席に対応するカーテンエアバッグに対しても、本願発明を好適に適用することができる。即ち、第2列と第3列との側部に展開する2つの気室を有するカーテンエアバッグに対しても、本願発明を好適に適用することができる。