(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記誤差信号をフィルタリングするステップが、比例積分(proportional-plus-integer)フィルタを用いて前記誤差信号をフィルタリングするステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
前記燃焼チャンバの自由体積(free volume)が増加するにつれて、前記比例積分フィルタの積分フィルタの利得を変化させるステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
前記積分フィルタの利得を変化させるステップが、所定の利得スケジュール(gain schedule)に従って利得を変化させるステップを含む請求項3に記載の方法。
前記燃焼チャンバの圧力を調整するために、物理領域での前記補償された総流積制御信号に応答して少なくとも1つの弁を位置決めする(positioning)ステップ
をさらに含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
圧力設定点(pressure set point)を決定するステップと、前記圧力設定点を基準(reference)チャンバ圧力値として利用する(utilizing)ステップをさらに含む請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
所定の(predetermined)推力値を実現する(meet)と予想される(anticipated)ガス排出(emission)のレベルよりも高い最小の割合(minimum rate)でガスを排出(emit)するためにロケットモータを制御するステップと、弁の応答速度(response rate)でロケット推力の増加を実現できるようにするために、対向する(opposing)弁を通して余剰の(excess)ガスを抜く(venting)ステップと
をさらに含む請求項1から4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの実施形態では、ロケット用のロケットモータが、
図1に示されるような上側または最終段ロケットモータを備えることがある。モータケースアセンブリがモータケースハウジング12を備えることができ、モータケースハウジング12は、圧力容器14(「モータケース」と呼ぶこともある)を収容し、複数の弁10、28、30、36a、36b、38a、38b(
図1および2)が圧力容器14と連絡している。圧力容器14内部では、低密度フォーム20などの断熱ライニングが、固体推進剤粒子22を少なくとも部分的に取り囲み、断熱することができる。
【0011】
固体推進剤粒子22は、ヒドロキシル末端ポリブタジエン(HTPB)ポリマーをベースとする結合剤系を有する自己保持型クラス7HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)酸化複合物推進剤を含むことができ、オパシファイアとして少量のカーボンブラックを含むイソホルンジイソシアネート(IPDI)で硬化され、推進剤は、広い圧力範囲にわたって比較的安定して燃焼するように配合される。追加の実施形態では、固体推進剤粒子22は、例えば、アルミニウム粉末を燃料とするヒドロキシル基末端ポリブタジエン(HTPB)ポリマーベース結合剤を含むことができる。しかし、使用のために選択される固体推進剤は、当業者に知られている任意の適した推進剤でよい。固体推進剤粒子22は、燃焼して、排ガスおよび他の燃焼生成物を発生することがあり、それらの生成物がロケットモータから放出されて、推力を発生する。固体推進剤粒子22がひとたび点火されると、消火するのは難しいことがあり、通常は点火後にすべての粒子が消費される。
【0012】
いくつかの実施形態では、軸方向推力弁10は、軸方向スラスタ26を通した軸方向推力の比例動作および制御を行うように構成されたピントル弁として構成することができる。
図2に示されるように、この図では分かりやすくするために軸方向スラスタ26の出口円錐部24が破線で示されており、機動制御スラスタ32、34、40a、40b、42a、42bを、それぞれ機動制御弁28、30、36a、36b、38a、38bに動作可能に結合させることができ、ピッチ、ヨー、およびロール制御を含む機動機能を行うために位置させて向きを定めることができる。さらに、機動制御弁28、30、36a、36b、38a、38bは、比例弁として構成することができる。
【0013】
「開いた」または「閉じた」状態で動作するように構成することができる弁が知られている。さらに、少なくとも第3の動作状態、すなわち「部分的に開いた」動作状態を含む弁が、「比例弁」として知られている。各弁の状態は、各弁ごとのオリフィスまたは「スロート」の横方向開放断面積によって決定することができる。
【0014】
さらに、ロケットモータは、圧力容器14内部のチャンバ圧力を測定するように位置決めされた1つまたは複数の圧力センサ56(
図3)(すなわち、圧力トランスデューサ)を含むことができる。同様に、チャンバ温度を測定するために温度センサを含むこともでき、さらに、推力を予測することができるようにする、またはシステム性能を監視することができるようにする測定値を提供するために加速度計を含むこともできる。推進システムの所望のパラメータを制御するために、加速度計からのフィードバックを閉ループ制御システムで使用することもできる。
【0015】
図2に示されるように、180°離隔して位置され、ロケットモータの長手方向軸Lに対して横向きの共面機動制御スラスタ32、34をそれぞれ関連して備える2つの機動制御弁28、30の選択動作を、ピッチ制御のために使用することができる。ヨー制御は、一対の機動制御スラスタ40aおよび42aを機動制御弁36aおよび38aによって選択動作させること、またはそれと直径方向で対向する一対の機動制御スラスタ40bおよび42bを機動制御弁36bおよび38bによって選択動作させることによって行うことができる。図示されるように、一対の機動制御スラスタ40a、42aおよび40b、42bは、共面で、ロケットモータの長手方向軸Lに対して横方向に向けることができ、これらを使用して、長手方向軸Lの各側に、軸を通して同一の側方オフセットで、均衡の取れた平行な推力ベクトルを提供することができる。
【0016】
固体推進剤粒子22の燃焼中に上述の弁10、28、30、36a、36b、38a、38bの任意のものを開くことによって総出口流積を増加させることで、圧力容器14内部の圧力を低下させる。圧力容器14内部でのそのような圧力低下は、推進剤の燃焼速度を低下させ、したがって推力を減少させる。
【0017】
姿勢制御弁すべてが、完全に閉じた位置など固定位置で保持されている状態では、軸方向推力弁10を部分的に閉じることによって、圧力容器14内部でのより高い動作圧力、およびそれに対応してより高い推力を達成することができる。軸方向推力弁10を部分的に閉じることで、ノズルスロート48の実効横方向断面積を縮小し、これにより、より高い動作圧力、したがってより高い推力を生み出すことができる。これは、ロケットの速度を増加させ、ミッション時間を短縮させることができる。上述したように、軸方向推力弁10はピントル弁として構成することができ、アクチュエータ44が電池46によって動力供給され、アクチュエータ44は、ノズルスロート48に対して近づいたり離れたりするようにピントル要素50を移動させるように構成され、それにより、ノズルスロート面積を変え、圧力容器14内部での圧力および得られる推力を変える。ただ1つの軸方向推力弁およびそれに関連する軸方向スラスタを図示し、前述の実施形態を参照して説明したが、追加の実施形態では、複数の軸方向推力弁およびそれらに関連する軸方向スラスタを含むことができることが企図される。機動制御弁28、30、36a、36b、38a、および38bは、軸方向推力弁10と同様に、電池46など1つまたは複数の他の電池によって動力供給される電池式アクチュエータ(図示せず)によって作動させることができる。追加の実施形態では、燃料電池によって弁に動力供給することができる。追加の実施形態では、各弁が比例弁でよく、これは、電気駆動式、空気圧駆動式、油圧駆動式、および機械駆動式システムの1つまたは複数によって制御することができ、それらのシステムは、動作モードで線形または非線形に作用することができる。
【0018】
図3は、
図1および2を参照して説明したもののような1つまたは複数のロケットモータと制御システム54とを含むロケットモータシステム52の一実施形態を概略的に示す。ロケットモータは、固体推進剤エンジンとして、またはハイブリッドエンジンとして構成することができる。適切な推進剤、酸化剤、および点火源の構造の詳細は当業者に知られており、また、例えば本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6393830号で見ることもできる。
【0019】
いくつかの実施形態では、各弁の状態を制御するための方法は、制御システム54への制御入力またはプロセス変数として使用される圧力測定値に依拠する。この制御モードでの制御入力58は、総推力コマンド、推力ベクトルコマンド、およびチャンバ圧力コマンドである。弁セット当たりの正味推力(F
net,i)は、推力ベクトルコマンドから導出される。本明細書で使用するとき、正味推力とは、対向するノズルの推力の差、およびいかなる対向するノズルにも対応しないノズルからの推力と定義される。
【0020】
標準の弾道方程式によれば、所与のチャンバ圧力を得るための総スロート面積は、以下の式で与えられる。
A
t=(C
*ρA
sr(P
c/P
ref)
n)/(g
cP
c)
ここで、
ρ=推進剤の密度[kg/m
3]
P
ref=基準圧力[N/m
2]
A
s=推進剤の表面積[m
2]
n=指数
r=P
refでの燃焼速度[m/s]
A
t=弁iのスロート流積[m
2]
P
c=ガス発生器圧力[N/m
2]
g
c=重力定数[(kg/N)(m/s
2)]
C
*=特性排気速度[m/秒]
である。
【0021】
所与の弁セットからの正味推力は、ガス発生器(GG)圧力(すなわち圧力容器14の圧力)に比例し、対向する弁の調整されたスロート面積の差は、
F
net,i=(A
t,i−A
t,j)PC
Fであり、ここで、弁iおよびjは、弁セットを備え、逆向きの推力を発生させる。
【0022】
図3に示されるように、制御システム54は、ミッション目的を達成するためにロケットモータの各弁10、28、30、36a、36b、38a、および38bを操作するように構成することができる。さらに、制御システム54は、1つまたは複数の燃焼チャンバ圧力センサ56など、1つまたは複数のセンサから信号を受信するように構成することができる。制御システム54は、ミッション目的に合うようにコマンドを分析することができ、1つまたは複数のセンサ56からの信号を分析することができ、予想されない、未知の、または予測が難しい状態を補償することができ、ミッション目的に合うように適切なシステム応答、例えば1つまたは複数の弁10、28、30、36a、36b、38a、38bの適切な位置決めを決定することができる。例えば、制御システム54は、1つまたは複数の総推力コマンド、推力ベクトルコマンド、およびチャンバ圧力コマンドを受信することができる。次いで、制御システム54は、弁10、28、30、36a、36b、38a、38bを、コマンドを実現すると予測される位置に位置決めし、コマンドを実現するように圧力コマンドを決定することができる。弁10、28、30、36a、36b、38a、38bが位置決めされた後、または弁10、28、30、36a、36b、38a、38bが位置決めされるとき、制御システム54は、圧力センサ56から信号を受信することができ、誤差値を計算することができる。次いで、制御システム54は、誤差値を利用して、補償された弁位置コマンドを計算することができ、補償された弁位置コマンドを弁制御装置に送信して、弁10、28、30、36a、36b、38a、38bを新たな位置に位置決めし、圧力コマンドと測定された圧力との誤差を減少させる。制御システム54は、圧力センサ56からの信号を繰り返し受信して、圧力コマンドと比較することができ、非ゼロの誤差値が計算されたときはいつでも、補償された弁位置コマンドを生成して、測定された圧力とコマンド圧力の誤差を減少させることができる。
【0023】
図4に示されるように、補償された弁位置コマンドなど、補償されたコマンドの計算を容易にするために、制御システム54の制御装置は、入力信号を対数領域に変換することができる。例えば、制御装置は、圧力コマンド60(P
c)を、圧力コマンドの自然対数62(ln(P
c))に変換し、測定された圧力64(P
m)を、測定された圧力の自然対数66(ln(P
m))に変換することができる。圧力コマンドの自然対数62と測定された圧力の自然対数66の差を計算して、誤差値68(すなわち、ln(P
c)−ln(P
m)=誤差値)を決定することができる。次いで、比例利得フィルタ72、積分器74、および積分利得フィルタ76を有する比例積分(PI)制御装置70など1つまたは複数の制御装置を使用して、誤差値68を利用して対数領域での利得値を計算することができる。PI制御装置70において、比例利得フィルタ72によって、誤差値68を利用して比例利得78を計算することができる。さらに、積分器74によって誤差値68を積分して、積分された誤差値80を提供することができ、積分された誤差値80を利用して積分補償値82を計算することができ、積分補償値82に自由体積84を乗算して、積分利得86を計算することができる。いくつかの実施形態では、燃焼チャンバ内部での自由体積84(すなわち、固体材料によって占有されていない空間)を一定値で表すことができる。追加の実施形態では、自由体積84を表す値は、例えば所定の関数またはテーブルに応じて燃焼チャンバ内部の自由体積が増加するにつれて、時間と共に変化することがある。次いで、比例利得78と積分利得86を加算して、対数領域での総利得88を提供することができる。次いで、逆対数器90が、総利得88の真数を計算することができ、物理領域での補償された制御信号92を提供することができる。
【0024】
圧力制御法を利用する推力制御の難点として、制御装置への入力、およびそれらの入力と制御装置出力との関係が、物理領域で非線形となることがある。例えば、弁の複合的な開放のサイズと燃焼チャンバの圧力との関係が線形に相関しないことがある(すなわち、燃焼速度がチャンバ圧力の非線形関数である)。これにより、未知の変数を補償して、正確に制御された圧力応答を提供することができる圧力補償方式の利用が難しくなっている。しかし、チャンバ圧力の対数と弁10、28、30、36a、36b、38a、38bの複合的な開放のサイズの対数との関係は、実質的に線形になることがある。これに鑑みて、線形制御理論およびPI制御装置70などの線形制御装置は、本明細書で説明するように対数領域でそのような制御装置を利用するとき、ロケットの動作範囲にわたって利用することができる。
【0025】
典型的には制御装置によって利用される線形時不変系の入力と出力の関係の数学的表現であり、しかしこの場合にはPI制御装置70によって使用するために制御システム54の入力の対数と出力の対数の関係の数学的表現である伝達関数(すなわちG
p(s))は、以下のように表すことができる。
【0026】
G
p(s)=K
p/(τ
ps+1)
ここで、
K
p=1/(N−1)であり、
Nは燃焼速度指数であり、
τ
pはプラント時定数であり、これは、
1/τ
p=−{(K
gas/V
c)
*((N−1)/P
c)
*(ρA
BR
B)
*((P
c/P
m)^N)}
で表すことができる。ここで、
V
cは燃焼チャンバの自由体積であり、
ρは推進剤密度であり、
A
Bは燃焼表面積であり、
R
Bは基準圧力での燃焼速度であり、
K
gas=12RT/MWであり、
Rは理想気体定数であり、
Tはガス温度であり、
MWはガスの分子量である。
【0027】
次いで、関数G
p(s)を利用して、比例フィルタ72に関する制御利得を分析計算することができる。例えば、PI制御装置70に関して、比例フィルタ72の利得Kcおよび積分フィルタ76の利得K
iは、以下に表すように決定することができる。
【0028】
K
i=CL
x2/(τ
pK
p)
および
K
c=(2ζCL
x−1)/K
p
ここで、
ζは減衰比であり、
CL
xは、
CL
x=ω
nτ
p
によって定義される閉ループ因子であり、
ここで、
ω
nはシステムの自然周波数である。
【0029】
離散時間に関しては、積分制御装置利得K
iをさらに簡略化することができる。例えば、線形体積推定器を利用して、時間が経つにつれて増加するチャンバ自由体積を推定することができ、積分制御装置利得K
iは、以下のように表すことができる。
【0030】
K
i[n]=(CL
x2/K
p)
*(V
c0/V
est[n])
*(1/τ
p0)
ここで、
V
c0は初期自由チャンバ体積であり、
V
est[n]はチャンバ自由体積推定値であり、
τ
p0は初期チャンバ自由体積での開ループ時定数である。
【0031】
システム利得を計算して正確な制御応答を提供することに加えて、制御システムを利用して、システム応答時間および飛行中のシステム効率を変え、ミッション目的に合うように調整することができる。あるミッション段階に関しては、制御システムは、正味推力の変更など、コマンドに対する比較的高速のシステム応答を容易にすることができ、またあるミッション段階に関しては、制御システムは、燃料の比較的効率的な使用を容易にすることができる。制御装置は、圧力設定点を利用することによってそのようなシステム変化を容易にすることができ、この圧力設定点は、特定のミッション段階に関するエンジンに関するコマンド圧力でよい。例えば、特定のミッション段階に関して比較的急速な推力の変化を予想することができる場合、圧力設定点は、現在の正味推力の要件を満たすのに必要な圧力よりも高い圧力値に設定することができ、さらには、予想される正味推力の要件を満たすのに十分に高い圧力値に設定することもできる。圧力が、現在の正味推力の要件よりも高い値に設定されるとき、対向する弁を通してガスを抜くことができ、これは、システムの燃料効率を低下させることがある。しかし、正味推力の増加が必要とされるとき、システムは、燃焼チャンバの圧力を増加させずに、弁を位置決めし直して、正味推力増加の要件を実現することができ、これは、弁を位置決めし直すのにかかる時間内に推力の増加を実現できるようにすることができる。圧力設定点P
setは、最大予想推力F
maxが必要になると予想される時点よりも前に、最大予想推力F
maxを実現するように設定することができる。圧力設定点は、以下の式に従って決定することができる。
【0032】
P
set=F
max/(C
fA
max)
ここで、
C
fは、(1つまたは複数の)スラスタの放出効率であり、
A
maxは、(1つまたは複数の)弁の最大流積である。
【0033】
特定のミッションまたはミッションの特定の段階に関して、応答時間よりも燃料効率が重要である場合、圧力設定点は、正味推力コマンドを実現するのに必要な最小圧力に、またはその付近に設定することができる。任意の特定のミッションまたはミッション段階に関して、圧力設定点は、性能および燃料効率要件を最良に満たすように選択することができる。これに鑑みて、圧力設定点は、例えば外部信号および制御装置にプログラミングされた所定のスケジュールの1つまたは複数によって、飛行中の任意の点で変更することができる。
【0034】
さらに、本明細書で説明される制御方法を利用して、例えばコンピュータシミュレーションシステムを用いてロケット設計を評価することができる。例えば、特定のロケット設計に関するパラメータを、コンピュータシミュレーションシステムのメモリ構成要素に入力することができ、そのロケット設計に関する燃焼チャンバ圧力値を計算することができる。次に、計算された燃焼圧力の対数を計算することができる。次いで、計算された燃焼圧力の対数と所定の圧力の対数の差を計算することによって、誤差値を決定することができる。次いで、例えば
図4を参照して説明したものと同様にしてPIフィルタを用いて、誤差値をフィルタリングして、対数領域での補償された制御信号を決定することができる。最後に、対数領域での補償された制御信号の逆対数を取ることによって、対数領域での補償された制御信号の真数を計算して、物理領域での補償された制御信号を決定することができる。また、圧力設定点の値を、本明細書で述べるようにロケットを操作する際に使用するのと同様に、ロケット設計を評価する際にも利用することができる。
【0035】
非限定な実施形態の追加の例を以下に記載する。
(実施形態1)
ロケットを制御する方法であって、
燃焼チャンバ圧力を測定するステップと、
測定された燃焼チャンバ圧力の対数を計算するステップと、
誤差信号を発生するために、測定された燃焼チャンバ圧力の対数と基準燃焼チャンバ圧力値の対数の差を計算するステップと、
制御装置を用いて、対数領域での補償された総流積制御信号を発生するために誤差信号をフィルタリングするステップと、
物理領域での補償された総流積制御信号を提供するために、対数領域での補償された総流積制御信号の逆対数を取るステップと、
物理領域での補償された総流積制御信号に応答して少なくとも1つの弁を移動させるステップと
を含む方法。
(実施形態2)
誤差信号をフィルタリングするステップが、比例積分フィルタを用いて誤差信号をフィルタリングするステップをさらに含む実施形態1の方法。
(実施形態3)
燃焼チャンバの自由体積が増加するにつれて、比例積分フィルタの積分フィルタの利得を変化させるステップをさらに含む実施形態2の方法。
(実施形態4)
積分フィルタの利得を変化させるステップが、所定の利得スケジュールに従って利得を変化させるステップを含む実施形態3の方法。
(実施形態5)
燃焼チャンバの圧力を調整するために、物理領域での補償された総流積制御信号に応答して少なくとも1つの弁を位置決めするステップ
をさらに含む実施形態1から4のいずれか1つの方法。
(実施形態6)
燃焼チャンバの圧力を調整するために、物理領域での補償された総流積制御信号に応答して複数の弁を位置決めするステップ
をさらに含む実施形態5の方法。
(実施形態7)
圧力設定点を決定するステップと、圧力設定点を基準チャンバ圧力値として利用するステップをさらに含む実施形態1から4のいずれか1つの方法。
(実施形態8)
圧力設定点を決定するステップが、
特定の弁特性を利用して、弁セットに関して、利用可能なスロート面積に対する最高正味推力コマンドを実現するのに必要な圧力を計算するステップと、
推進剤の特性を利用して、正味推力の要件すべてを満たすのに必要な圧力を計算するステップと、
計算された値の最大値を選択するステップと
を含む実施形態7の方法。
(実施形態9)
圧力設定点を決定するステップが、
最大予想推力を決定するステップと、
最大予想推力を実現するのに必要な圧力を計算するステップと、
最大予想推力未満である現在の推力の要件を満たしながら、最大予想推力を実現するのに必要な圧力を圧力設定点として利用するステップと
を含む実施形態7の方法。
(実施形態10)
圧力設定点を決定するステップが、
現在の推力の要件を決定するステップと、
現在の推力の要件を満たすのに必要な圧力を計算するステップと、
現在の推力の要件を満たすのに必要な圧力を圧力設定点として利用するステップと
を含む実施形態7の方法。
(実施形態11)
所定の推力値を実現すると予想されるガス排出のレベルよりも高い最小の速度でガスを排出するためにロケットモータを制御するステップと、弁の応答速度でロケット推力の増加を実現できるようにするために、対向する弁を通して余剰のガスを抜くステップと
をさらに含む実施形態1から4のいずれか1つの方法。
(実施形態12)
燃焼チャンバと、
燃焼チャンバの圧力を測定するための圧力センサと、
燃焼チャンバからのガス流を調整するための少なくとも1つの弁と、
制御装置とを備えるロケットであって、制御装置が、圧力センサから圧力測定値を受信するように構成され、かつ
圧力センサからの信号の対数を計算し、
誤差信号を決定し、
対数領域での補償された制御信号を決定するために誤差信号をフィルタリングし、
補償された制御信号の逆対数を取って、物理領域での補償された制御信号を提供し、物理領域での補償された制御信号に応答して少なくとも1つの弁を位置決めさせる
ようにプログラムされたロケット。
(実施形態13)
少なくとも1つの弁が、少なくとも1つの比例弁を備える実施形態12のロケット。
(実施形態14)
制御装置が、比例積分制御装置を使用して誤差信号をフィルタリングするようにさらにプログラムされた実施形態12または13のロケット。
(実施形態15)
コンピュータシミュレーションシステムを用いてロケット設計を評価する方法であって、
ロケット設計に関するパラメータを、コンピュータシミュレーションシステムのメモリ構成要素に入力するステップと、
ロケット設計に関する燃焼チャンバ圧力値を計算するステップと、
計算された燃焼圧力の対数を計算するステップと、誤差値を決定するために、計算された燃焼圧力の対数と所定の圧力の対数の差を計算するステップと、
対数領域での補償された制御信号を決定するために誤差値をフィルタリングするステップと、
物理領域での補償された制御信号を決定するために、対数領域での補償された制御信号の逆対数を取るステップと
を含む方法。
(実施形態16)
誤差信号をフィルタリングするステップが、比例積分フィルタを用いて誤差信号をフィルタリングするステップをさらに含む実施形態15の方法。
(実施形態17)
計算された燃焼チャンバ自由体積に従って、比例積分フィルタの積分フィルタの利得を変化させるステップをさらに含む実施形態15または16の方法。
(実施形態18)
積分フィルタの利得を変化させるステップが、所定の利得スケジュールに従って利得を変化させるステップを含む実施形態17の方法。
(実施形態19)
圧力設定点を決定するステップと、圧力設定点を基準チャンバ圧力値として利用するステップとをさらに含む実施形態15から18のいずれか1つの方法。
【0036】
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、本発明は、これらの記載した実施形態に限定されない。そうではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、特許請求の範囲は、その範囲内にすべての均等デバイス、システム、および方法を含む。本願で特許請求する本発明の範囲から逸脱することなく、開示した実施形態に追加、削除、および変更を施すことができる。同様に、本発明の範囲内に留めながら、1つの実施形態からの特徴を別の実施形態の特徴と組み合わせることもできる。