特許第5843952号(P5843952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5843952
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】乾燥処理物の半炭化方法とその装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/32 20060101AFI20151217BHJP
   C10B 53/00 20060101ALI20151217BHJP
   C10L 9/08 20060101ALI20151217BHJP
   C10B 51/00 20060101ALI20151217BHJP
【FI】
   F26B17/32 F
   F26B17/32 H
   C10B53/00 A
   C10L9/08
   C10B51/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-257471(P2014-257471)
(22)【出願日】2014年12月19日
【審査請求日】2014年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591079018
【氏名又は名称】株式会社大和三光製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100109966
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】高塚 義雄
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−219176(JP,A)
【文献】 特開2013−190143(JP,A)
【文献】 特開2011−111480(JP,A)
【文献】 特許第5102499(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0242351(US,A1)
【文献】 特開2006−008736(JP,A)
【文献】 特開2007−127330(JP,A)
【文献】 特開平03−131682(JP,A)
【文献】 特開昭61−256180(JP,A)
【文献】 特開2009−083971(JP,A)
【文献】 特開2011−240295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 17/32
C10B 51/00
C10B 53/00
C10L 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥設備で乾燥させた後の乾燥処理物をトレファクション設備側に送り込むことで半炭化した略絶乾状態に近づけるよう該トレファクション設備では乾燥処理物の発火防止と該トレファクション設備内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気を熱源として使用する乾燥処理物の半炭化方法であって、
トレファクションロータリーシェル装置内で揺動する乾燥処理物に過熱蒸気混合ガスを吹き付けるための熱風発生炉を備え、
該トレファクションロータリーシェル装置の乾燥減率区間において、乾燥処理物の水分と該トレファクションロータリーシェル装置より排出されるガスの排気温度との相関関係に基づき、該トレファクションロータリーシェル装置の出口コンベヤに設置した水分計により乾燥処理物が目的の水分になるように該トレファクションロータリーシェル装置の入口温度と出口温度の間でカスケード制御を行うようにし、
該トレファクションロータリーシェル装置における発火への前兆を速やかに捉えるため、該トレファクションロータリーシェル装置の排ガス出口部にCO計を設置し、また、該トレファクションロータリーシェル装置内部には、炉内に散水する設備を設け、発火前のいぶりが出た状態で上昇するCO濃度を感知し、該炉内に散水させ、発火を未然に防ごうとするシステムを備えた、
ことを特徴とする乾燥処理物の半炭化方法。
【請求項2】
トレファクション設備側に備えたトレファクションロータリーシェル装置の内部で過熱蒸気混合ガスによる乾燥処理物の直接加熱と同時に、該トレファクションロータリーシェル装置のシェル外部を熱風導入可能な二重ジャケット構造にして乾燥処理物の間接加熱を行うハイブリッド化を可能にし、該トレファクションロータリーシェル装置内の乾燥処理物と過熱蒸気混合ガスとの平均温度差を大きく設定できるようにした請求項1記載の乾燥処理物の半炭化方法。
【請求項3】
トレファクションロータリーシェル装置外部の前記間接加熱用の二重ジャケット構造を介して熱交換器より熱回収した熱風を導入すると共に、その際、該トレファクションロータリーシェル装置内部での乾燥処理物の半炭化状態が過度に炭化方向に進まないようジャケット入口温度を制御する請求項2記載の乾燥処理物の半炭化方法。
【請求項4】
乾燥装置とトレファクションロータリーシェル装置とを併設し、該乾燥装置で乾燥させた後の乾燥処理物を該トレファクションロータリーシェル装置側に導入することで半炭化した略絶乾状態に近づけるよう該トレファクションロータリーシェル装置に、乾燥処理物の発火防止と該トレファクションロータリーシェル装置内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気混合ガスを導入するための熱風発生炉を備え、
該トレファクションロータリーシェル装置は、乾燥減率区間において、乾燥処理物の水分と該トレファクションロータリーシェル装置より排出されるガスの排気温度との相関関係に基づき、乾燥処理物の水分を所望の値に近づけるよう該トレファクションロータリーシェル装置の入口温度と出口温度の間でカスケード制御を行うべく該トレファクションロータリーシェル装置の出口コンベヤに設置した水分計と熱風導入口に設置した吹込ガス温度指示調節計とを連動させるものとし、
該トレファクションロータリーシェル装置の排ガス出口部にCOの濃度を感知するセンサーとしてCO計を設置し、また、該トレファクションロータリーシェル装置内部には、該CO計による濃度感知信号に連動して散水作動を開始する散水装置を設けた、
ことを特徴とする乾燥処理物の半炭化装置。
【請求項5】
乾燥処理物を導入させる回転可能なトレファクションロータリーシェル装置と、該トレファクションロータリーシェル装置内に回転軸と平行方向に引き込まれ、旦つ、複数の枝管部を順設して成る主管部と、該主管部に接続された該枝管部を介して、該トレファクションロータリーシェル装置内で揺動する乾燥処理物に過熱蒸気混合ガスを吹き付けるための熱風発生炉とを備え、該トレファクションロータリーシェル装置のシェル外部を熱風通過可能な二重ジャケット構造にして乾燥処理物の間接加熱を可能にしたハイブリッド型とし、該トレファクションロータリーシェル装置内の乾燥処理物と過熱蒸気混合ガスとの平均温度差を大きく設定できるようにした請求項4記載の乾燥処理物の半炭化装置。
【請求項6】
トレファクションロータリーシェル装置外部の間接加熱用の二重ジャケット構造を介して熱交換器より熱回収した熱風を導入する際、該トレファクションロータリーシェル装置内部での乾燥処理物の半炭化状態が過度に炭化方向に進まないようジャケット入口に外気を連動させた温度指示調節計を設けた請求項5記載の乾燥処理物の半炭化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥処理した廃棄物のエネルギー密度を向上させるための乾燥処理物の半炭化方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、東日本大震災による福島原発事故後の原子力発電に代わる再生可能エネルギーの模索が喫緊の課題として日本国内で進められている。その代表的なものは太陽光や風力発電等であるが、気象条件等に左右され、安定したエネルギー源になるまでにはまだまだ多くの時間を要する。それに比べてバイオマスエネルギーは植物由来のもので、世界的に見れば、多くのバイオマス副産物が定常的に排出され、未処理のままで放置されることが多い。例えば、パーム油製造に伴う廃棄物、植林事業で発生する間伐材等のような廃棄物に対しては、種々の有効利用の方法が考えられるが、当然有機物なのでエネルギーとしての用途も考えられる。
【0003】
また、一番身近に想定されるのは石炭火力発電所等における混焼であるが、廃棄物のままでは投入できない。投入可能なものとするためには、エネルギー密度を上げ、ペレット化して形状を揃えてやる必要がある。エネルギー密度を上げるためには、バイオマスが本来持っている水分をなるべく除去する必要がある。技術的には乾燥や炭化のプロセスを利用することになるが、完全に炭化をしてしまうと水素分等も揮発してしまい、石炭等に比べると体積エネルギー密度が大分低いものになってしまう。
【0004】
そこで、炭化に行く過程でエネルギー密度を極力最大限に残しておこうとするのがトレファクション(半炭化)の技術である。欧州では、年間当たりの処理量が3,500〜60,000tonベースのトレファクション(半炭化)プラントが2010〜2011年にかけてスタートした。北米でもいくつかの興味深い開発がなされているが、いまだ開発途上にある。
【0005】
従来から、廃棄物の乾燥技術としては、例えば本件出願人による先願でありその後登録された特許文献1に示すように、ごみの処理に好適な通気式回転乾燥装置が存在する。これは、回転駆動するシェル内に熱風用の主管を軸方向に挿入し、前記主管から多数の枝管を分岐させ、前記枝管から前記シェル内の原料が形成する横断面三日月形の層流に対して熱風を吹き付ける構成となっている。
【0006】
また、上記トレファクション(半炭化)技術としては、本件出願人による先願でありその後登録された特許文献2に開示されているロータリー炭化方法及びその装置が存在する。この技術は、前処理工程で約10〜20%に乾燥された乾燥処理物が投入される乾燥品ホッパと、乾燥処理物が導入される回転可能なロータリーシェル炉装置と、該ロータリーシェル炉装置内に過熱蒸気を圧送させるよう蒸気ボイラに接続した過熱蒸気発生器と、該ロータリーシェル炉装置からの排ガス中のダストを捕集するサイクロン集塵器と、ダスト捕集後の排ガスを700〜800℃に昇温して可燃分を分解してから該過熱蒸気発生器に還流させるための乾留ガス燃焼炉と、該過熱蒸気発生器で熱放散させた排ガスからさらに熱を回収すると共に、該回収された熱を炭化前処理用の乾燥熱源として利用可能とした吹込ファンを備えた熱交換器とから概ね構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3164059号公報
【特許文献2】特許第5102499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところでトレファクション技術による半炭化といえども、欧米のデータを見ると残存水分が半炭化ペレツトで1〜5(%WB)含まれている。半炭化という言葉は使われているが、言い換えれば絶乾状態に近づけようとする乾燥プロセスとも言える。乾燥プロセスで、この様な絶乾状態に近づけようとする時に、一番問題になるのは乾燥物の発火である。発火を抑えるためには、雰囲気の酸素濃度を低下させなければならない。雰囲気を窒素等の不活性ガスに置換するためには、それなりの装置やコストも必要になる。雰囲気を酸素Poorにするために、炭化で用いられる間接加熱の方法もあるが、処理物を絶乾状態で連続的に制御するのは、極めて難しい操作になる。
【0009】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、乾燥処理物の発火防止に加え、乾燥処理した廃棄物のエネルギー密度を向上した低コストで連続稼動可能な乾燥処理物の半炭化方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明に係る乾燥処理物の半炭化方法にあっては、乾燥設備で乾燥させた後の乾燥処理物をトレファクション設備側に送り込むことで半炭化した略絶乾状態に近づけるよう該トレファクション設備では乾燥処理物の発火防止と該トレファクション設備内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気を熱源として使用する乾燥処理物の半炭化方法であって、
トレファクションロータリーシェル装置内で揺動する乾燥処理物に過熱蒸気混合ガスを吹き付けるための熱風発生炉を備え、
該トレファクションロータリーシェル装置の乾燥減率区間において、乾燥処理物の水分と該トレファクションロータリーシェル装置より排出されるガスの排気温度との相関関係に基づき、該トレファクションロータリーシェル装置の出口コンベヤに設置した水分計により乾燥処理物が目的の水分になるように該トレファクションロータリーシェル装置の入口温度と出口温度の間でカスケード制御を行うようにし、
該トレファクションロータリーシェル装置における発火への前兆を速やかに捉えるため、該トレファクションロータリーシェル装置の排ガス出口部にCO計を設置し、また、該トレファクションロータリーシェル装置内部には、炉内に散水する設備を設け、発火前のいぶりが出た状態で上昇するCO濃度を感知し、該炉内に散水させ、発火を未然に防ごうとするシステムを備えた、
ことを特徴とする。
【0011】
トレファクション設備側に備えたトレファクションロータリーシェル装置の内部で過熱蒸気混合ガスによる乾燥処理物の直接加熱と同時に、該トレファクションロータリーシェル装置のシェル外部を熱風導入可能な二重ジャケット構造にして乾燥処理物の間接加熱を行うハイブリッド化を可能にし、該トレファクションロータリーシェル装置内の乾燥処理物と過熱蒸気混合ガスとの平均温度差を大きく設定できるようにした。
【0012】
トレファクションロータリーシェル装置外部の前記間接加熱用の二重ジャケット構造を介して熱交換器より熱回収した熱風を導入すると共に、その際、該トレファクションロータリーシェル装置内部での乾燥処理物の半炭化状態が過度に炭化方向に進まないようジャケット入口温度を制御する。
【0013】
一方、本発明に係る乾燥処理物の半炭化装置にあっては、乾燥装置とトレファクションロータリーシェル装置とを併設し、該乾燥装置で乾燥させた後の乾燥処理物を該トレファクションロータリーシェル装置側に導入することで半炭化した略絶乾状態に近づけるよう該トレファクションロータリーシェル装置に、乾燥処理物の発火防止と該トレファクションロータリーシェル装置内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気混合ガスを導入するための熱風発生炉を備え、
該トレファクションロータリーシェル装置は、乾燥減率区間において、乾燥処理物の水分と該トレファクションロータリーシェル装置より排出されるガスの排気温度との相関関係に基づき、乾燥処理物の水分を所望の値に近づけるよう該トレファクションロータリーシェル装置の入口温度と出口温度の間でカスケード制御を行うべく該トレファクションロータリーシェル装置の出口コンベヤに設置した水分計と熱風導入口に設置した吹込ガス温度指示調節計とを連動させるものとし、
該トレファクションロータリーシェル装置の排ガス出口部にCOの濃度を感知するセンサーとしてCO計を設置し、また、該トレファクションロータリーシェル装置内部には、該CO計による濃度感知信号に連動して散水作動を開始する散水装置を設けた、
ことを特徴とする。
【0014】
乾燥処理物を導入させる回転可能なトレファクションロータリーシェル装置と、該トレファクションロータリーシェル装置内に回転軸と平行方向に引き込まれ、旦つ、複数の枝管部を順設して成る主管部と、該主管部に接続された該枝管部を介して、該トレファクションロータリーシェル装置内で揺動する乾燥処理物に過熱蒸気混合ガスを吹き付けるための熱風発生炉とを備え、該トレファクションロータリーシェル装置のシェル外部を熱風通過可能な二重ジャケット構造にして乾燥処理物の間接加熱を可能にしたハイブリッド型とし、該トレファクションロータリーシェル装置内の乾燥処理物と過熱蒸気混合ガスとの平均温度差を大きく設定できるようにした。
【0015】
トレファクションロータリーシェル装置外部の間接加熱用の二重ジャケット構造を介して熱交換器より熱回収した熱風を導入する際、該トレファクションロータリーシェル装置内部での乾燥処理物の半炭化状態が過度に炭化方向に進まないようジャケット入口に外気を連動させた温度指示調節計を設けた。
【0016】
前記乾燥処理物の半炭化方法、又は、前記乾燥処理物の半炭化装置によって乾燥処理物の半炭化物が製造されることになる
【0017】
以上、本発明においては、プロセス上、乾燥設備Pとトレファクション設備Qとを区画分離して併用される(図1参照)。乾燥設備Pにおいては、一般的なバイオマスの場合、乾燥装置によって、乾燥前水分60〜70(%WB)から約15(%WB)位まで乾燥させる。二つの区分に分離する理由は、バイオマス副産物を発生させる工場などに、今回の設備を併設すれば既設工場の排ガスエネルギーが利用できる可能性があり、その場合、乾燥過程では排ガスの酸素濃度をそれほど気にする必要はないからである。
【0018】
トレファクション設備Qには、上記した特許文献2のトレファクションロータリーシェル装置の技術が一部採用される。この場合のトレファクションロータリーシェル装置の熱源としては、処理物発火を防止するため過熱蒸気を一部使用し、当該装置内の酸素濃度を低減する。また、併設工場に余剰蒸気などがあれば、トレファクションランニングコスト削減の為にそれを利用できるシステムとする。
【0019】
また、本発明におけるトレファクションロータリーシェル装置では、当該装置内部で一部過熱蒸気を用いた乾燥を行い、装置外部にはジャケットを取り付け、熱を有効に利用するいわゆる直接加熱と間接加熱とのハイブリッド化が実施される。
【0020】
また、上記した特許文献1の応用例として、一般都市ごみからRDF(ごみ固形燃料)を製造する際に、破砕ごみ造粒の段階で乾燥後の水分を10(%WB)以下に下げることが仕様として出されることが多かつた。乾燥の恒率区間(内部水分が表面へ定常的に移行)において、排気温度及び品温は雰囲気の湿球温度に沿つて大体一定であるが、減率区間(内部水分の表面への移行が遅くなる)では、排気温度及び品温が徐々に上昇の傾向を示す。この場合乾燥後の水分と排気温度で、ある程度の相関関係が出てくることが確認されている。
【0021】
本発明では、システム上、トレファクションロータリーシェル装置の出口コンベヤ(図1中の符号10)に水分計を設置し、乾燥品が目的の水分になるように、シェル装置本体の入口温度(図1中の*F)と出口温度(図1中の*D)の間でカスケード制御を行う。具体的な例としては、出口コンベヤの水分計で検知される水分値をマスターループ制御系の制御量として、フィードバック制御用の温度指示調節計で検知される温度をスレーブループ系の制御量とする。そして、水分計の水分値が目標値に一致するようにスレーブループ制御系の目標値を決定し、温度指示調節計で検知される温度がスレーブルー プ制御系の目標値に一致するように加熱量を決定する。
【0022】
熱源を一部過熱蒸気にすることで、発火への心配は大幅に減少するが、それでも発火への前兆があつた場合は機内に散水装置を設ける(図1中の*B)。発火前の前兆を監視するセンサーはCO計を用いる。特許文献1を応用したRDF製造用乾燥装置では、発火監視のためのセンサーを色々現場で試行錯誤した。その中の一つに赤外線監視カメラのような物を取り付けたこともあるが、この場合、微小な炎を感知するシステムなのだが、感知した時点ではすでに遅く、その後の発火につながり結局高価な割には役目を果たすことができなかつた。最終的にはセンサーをCO計にして落ち着いた経緯がある。CO計を設置すると、発火前のいぶりの段階でCOが増加してくるので、そのタイミングで散水すれば発火を未然に防げる。
【0023】
トレファクションロータリーシェル装置外部ジャケットには、熱交換器(図1中の符号13)で熱回収した外気を取り入れ、熱効率を上げる。この場合トレファクション後の水分を暴走させないために、ジャケットに入る温度については外気を入れながら規制する。(図1中の*C)。
【0024】
今回熱源を一部過熱蒸気にしたことについては、「閉回路乾燥器と逆転点温度(化学工学:巻39号:頁225−229)」文献の内容を取り入れた。一般的には乾燥品雰囲気の湿度が低いほど、乾燥が進むことは理解しやすいことだが、他方、媒体として空気のかわりに過熱蒸気を用いると、蒸発や乾燥の速度がある温度を境にして、空気に比べて増加するという研究が多くなされている。その理由は、過熱蒸気の場合、ガス放射が加わることに起因する。文献によると、逆転点温度は大体170℃より200℃の範囲にあるが、対象バイオマスにより変化してくるものと思われる。
【0025】
防爆及び発生タール付着防止の当該防爆については、トレファクションロータリーシェル装置の排ガス出口に設けたCO計でCO濃度を感知し、発火、爆発前に兆候として現れるいぶり状態を捉え、事前に散水を行う。また、当該排ガス出口に防爆口を設け、装置内圧が規定以上に上昇した場合、自動的に防爆口の扉が開放するような装置構造を用いる。タールは主に、排ガス出口と熱風発生炉(図1中の符号12)までの循環戻りダクト内に発生する可能性があるが、この区間のダクトは極力水平構造を避け、また二重ジャケット構造にして、ジャケット内に熱風を通し、ダクト内面温度を適切にキープする。
【0026】
また、乾燥、トレファクション工程でのエネルギーコストを下げるため、工場からの排ガス及び余剰蒸気を利用できるフローとした。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、乾燥処理物の発火防止に加え、乾燥処理した廃棄物のエネルギー密度を向上した低コストで連続稼動可能な乾燥処理物の半炭化方法とその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明を実施するための一形態における乾燥設備及びトレファクション設備の各装置の概要を示す構成図である。
図2】同じくトレファクションロータリーシェル装置内部の構成を示すもので、(a)は一部切欠側面図、(b)は断面図である。
図3】木質チップの乾燥フローを示す説明図である。
図4】熱源を都市ガスとした半炭化フローを示す説明図である。
図5】木質チップの乾燥及び半炭化における処理条件・ユーティリティ・生産費用(マレーシアで製造した場合)の検討等の諸数値の集計を表で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
本実施形態においては、図1及び図5に示すように、一般的なバイオマスの場合では前処理工程として乾燥前水分60〜70(%WB)から約15(%WB)位まで乾燥させる乾燥設備Pと、該乾燥設備Pで乾燥させた後の乾燥処理物を半炭化した略絶乾状態に近づけるように処理するためのトレファクション設備Qとを区画分離して併用する。このトレファクション設備Qにおいては、過熱蒸気を一部使用することで該トレファクション設備Qでの乾燥処理物の発火防止と、半炭化のための酸素濃度低減とを可能にしている。
【0031】
乾燥設備Pにおいては、図1図3及び図5に示すように、バイオマス破砕品(木質チップ等)が投入される原料ホッパ1と、バイオマス破砕品の水分含有量を約10〜20(%WB)に乾燥させるための炉内に散水装置(図1中の*B)を備えた回転可能な乾燥装置2と、該乾燥装置2の炉内に一部外気と共に熱風を圧送させる燃焼ファン付きの熱風発生炉3と、該乾燥装置2からの排ガスを誘引ファン5により煙突19から大気に放出させると同時に、該乾燥装置2からの排ガス中のダストを捕集して乾燥処理物として第1乾燥品コンベア6a上に落下させるための、例えば、サイクロン式等の集塵装置4とから概ね構成している。
【0032】
なお、この熱風発生炉3は後述するトレファクション設備Qの熱風発生炉12と同様に、省エネルギーのために一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとしている。また、第1乾燥品コンベア6a上に落下した乾燥処理物は、第2乾燥品コンベア6bを介して、後述のトレファクション設備Qにおける乾燥品ホッパ8に投入される。
【0033】
トレファクション設備Qにおいては、図1図4及び図5に示すように、上記乾燥設備Pで水分含有量が約10〜20(%WB)に乾燥された乾燥処理物が投入される乾燥品ホッパ8と、乾燥処理物が導入される回転可能なトレファクションロータリーシェル装置9と、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内に吹き込みフアン11を介して一部外気と共に過熱蒸気を圧送させるよう、例えば、0.2〜0.3Mpaの飽和蒸気を発生させる燃料タンク付きの蒸気ボイラ17に接続した熱風発生炉12と、該トレファクションロータリーシェル装置9からの排ガス中のダストを捕集して誘引ファン16により該熱風発生炉12に還流させるための、例えば、サイクロン式等の集塵装置15と、熱風発生炉12で熱放散させた排ガスからさらに熱を回収すると共に、該回収された熱を該トレファクションロータリーシェル装置9における炭化処理用の乾燥熱源として利用可能とした外気取り込み用の吹き込みフアン14を備えた熱交換器13と、該トレファクションロータリーシェル装置9及び熱交換器13からの排ガスを煙突19から大気に放出させるための誘引ファン7とから概ね構成している。なお、この熱風発生炉12は省エネルギーのために一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとしている。
【0034】
トレファクションロータリーシェル装置9は、図2に示すように、シェル外周面を外部ジャケット25により所定の間隔で覆い、且つ、外熱空気入口から外熱空気出口までを通じて熱風導入可能として成る重ジャケット構造にしてあり、これによって後述する主管21及び枝管22を介しての炉内部での過熱蒸気混合ガスによる乾燥処理物の直接加熱と同時に、乾燥処理物の間接加熱をも行うハイブリッド化が図られている。このようにハイブリッド型とすることで、該トレファクションロータリーシェル装置9内の乾燥処理物と過熱蒸気混合ガスとの平均温度差を大きく設定できるようにしている。
【0035】
すなわち、トレファクションロータリーシェル装置9は、図2に示すように、長さと幅員との比率が、例えば、3:1に設定された略中空円筒状に形成しており、熱風発生炉12に連通接続した主管21が、該トレファクションロータリーシェル装置9の回転軸と平行方向に引き込まれ、該主管21の周面には、複数の枝管22が該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内壁に向け、且つ、回転軸に沿って交互に傾きをずらした状態で等間隔に順設してある。このトレファクションロータリーシェル装置9内には、乾燥処理物が、全容積に対して約10〜15%程度の容積比をもって揺動自在若しくは転動自在に収容される。
【0036】
そして、トレファクションロータリーシェル装置9自体の回転に伴う乾燥処理物の揺動若しくは転動と同時に、主管21の過熱蒸気混合ガス入口から熱風発生炉12の過熱蒸気が導入され、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内で枝管22から過熱蒸気が吹き出されることによって、炉内の乾燥処理物を無酸素に近い状態で炭化できるようにしている。
【0037】
また、トレファクションロータリーシェル装置9の炉内周壁には、乾燥処理物の付着・溶着を回避できる程度の、例えば、20〜50mm程度の高さを有するリフター24を周方向に沿って等間隔毎に突設している。
【0038】
半炭化された乾燥処理物は、半炭化排出口を経て、第3乾燥品コンベア10に供給される。そして、該第3乾燥品コンベア10より排出された半炭化処理物は、製品として不図示の後工程に導かれるものとしている。
【0039】
本実施形態では、トレファクションロータリーシェル装置9の出口コンベヤ(半炭化排出口下方の第3乾燥品コンベア)に設置した水分計(図1中の*D)と、熱風導入口(過熱蒸気混合ガス入口)に設置した吹込ガス温度指示調節計とを連動させることで、乾燥処理物の水分を所望の値に近づけるよう該トレファクションロータリーシェル装置9の入口温度と出口温度の間でカスケード制御を行う。因みに、該トレファクションロータリーシェル装置9は、乾燥減率区間において、乾燥処理物の水分と該トレファクションロータリーシェル装置9より排出されるガスの排気温度との間に相関関係があることが判明しており、この相関関係に基づき、乾燥処理物の水分を所望の値に近づけるようにしている。
【0040】
また、トレファクションロータリーシェル装置9の排ガス出口部には、一酸化炭素(CO)の濃度を感知するセンサーとしてCO計(図示省略)を設置し、更に、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内部には、該CO計による濃度感知信号に連動して散水作動を開始する散水装置(図1中の*B)を設けている。
【0041】
トレファクションロータリーシェル装置9の外部の前記間接加熱用の二重ジャケット構造の外部ジャケット25の外熱空気入口には、温度指示調節計(図1中の*C)を設け、該外熱空気入口を介して、熱交換器13より熱回収した熱風を導入する際に、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内部での乾燥処理物の半炭化状態が過度に炭化方向に進まないようにしている。
【0042】
次に、以上のように構成された形態についての乾燥設備P及びトレファクション設備Qの各装置による処理手順の一例について説明する。
【0043】
(処理物の流れ)
(1)前工程の破砕機で破砕された、水分60〜70%のバイオマス23(約1〜3cm)が原料ホッパ1に投入される。
【0044】
(2)投入された原料は原料ホッパ1のスクリュー切り出しコンベヤ及び乾燥機2の投入コンベヤを経由して、乾燥機2に投入される。該乾燥機2の排ガス出口部にはCO計を設置し、該乾燥機2内部に設置される散水設備と連動し、いぶり等でCO濃度が上昇すれば、発火前に散水を行う。
【0045】
(3)熱風温度200〜300℃で、水分が約15%程度まで乾燥されたバイオマス23は、第1乾燥品コンベヤ6a、第2乾燥品コンベヤ6bを経由して乾燥品ホッパ8に投入される。
【0046】
(4)投入された乾燥品は、乾燥品ホッパ8のスクリュー切り出しコンベヤ及びトレファクションロータリーシェル装置9の入口部にあるロータリーバルプを経由して、該トレファクションロータリーシェル装置9に投入される。
【0047】
(5)トレファクションロータリーシェル装置9内では、過熱蒸気混合ガスが主管21に取り付けられている複数の枝管22から約30m/秒程度の速度でバイオマス23に吹き付けられる。バイオマス23は炉内に滞留している間、炉内壁面に取り付けられている高さ2〜3cmのリフター24で効果的に揺動し、吹き付けられる過熱蒸気混合ガスのエネルギーを適切に吸収する。
【0048】
(6)水分が1〜5%程度まで乾燥されたバイオマス23は、トレファクションロータリーシェル装置9の出口部にあるロータリーバルブを経由して、第3乾燥品コンベヤ10に排出され、水分計により水分値を検出された後、次のトレファクション製品のための破砕工程及び製品造立工程へ導入される。
【0049】
(熱風及び過熱蒸気の流れ)
1.乾燥区における熱風の流れ
(1)乾燥の熱源としては熱風発生炉3によって生成される。この熱風発生炉3は省エネルギーのために、一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとする(図1中の*A)。
【0050】
(2)熱風発生炉3で生成された熱風は、誘引フアン5の吸い込み圧力で、約250〜300℃で乾燥機2へ導入され、バイオマス23の乾燥のためにエネルギーを放出する。該乾燥機2の出口では排ガス温度が約100〜150℃程度に降下し、集塵機4へと導かれる。
【0051】
(3)集塵機4で煤塵濃度を下げた熱風は、誘引フアン5へと導かれ、一部は煙突19から大気に放出され、一部は省エネルギーのために熱風発生炉3へと戻される。
【0052】
2.トレファクション区における熱風及び過熱蒸気の流れ
(1)蒸気ポイラー17で生成された0.2〜0.3MPaの飽和蒸気は熱風発生炉12へ導入される。また、一方では既設工場18から排出される余剰蒸気(図1中の*E)も省エネルギーのため、該熱風発生炉12へ導入可能な構造とする。
【0053】
(2)熱風発生炉12に導入された飽和蒸気は、該熱風発生炉12で生成された燃焼ガスと混合して300〜350℃の過熱蒸気混合ガスとなり、吹き込みフアン11を経由してトレファクションロータリーシェル装置9へ導入される。
【0054】
(3)導入された過熱蒸気混合ガスは、トレファクションロータリーシェル装置9の炉内に設置されている主管21と枝管22を経由してバイオマスに吹き付けられ、適切なエネルギーを放出したあと、温度降下し、誘引フアン16の吸い込み圧力でトレファクションロータリーシェル装置9の排ガス出口部へと導かれる。
【0055】
(4)トレファクションロータリーシェル装置9では、最終バイオマスの水分を要求仕様の値(1〜5%)に近づけるため、温度指示調節計、水分計(図1中の*D)及びトレファクション装置吹込ガス温度指示調節計(図1中の*F)を適切に連動させる。
【0056】
(5)トレファクションロータリーシェル装置9の出口部から排出された排ガスは集塵装置15で煤塵濃度を下げ、誘引ファン16へと導かれ、省エネルギーのために熱風発生炉12へと戻される。この熱風発生炉12は省エネルギーのために、一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとする(図1中の*A)。
【0057】
(6)熱風発生炉12から生成された過熱蒸気混合ガスは、一部排ガスとして熱交換器13の放熱側に導入され、吹き込みフアン14から該熱交換器13の受熱側に導入された外気を間接的に加熱(図1中の*G)した後、誘引ファン7に導入され、その後、煙突19より大気に放出される。
【0058】
(7)吹き込みフアン14により、熱交換器13の受熱側に導入された外気は、熱交換器13によって加熱された後、一部は熱風発生炉3、熱風発生炉12の燃焼空気として利用され、残りの熱風はトレファクションロータリーシェル装置9の外部ジャケット25に導入される。導入される前に予め設定された上限温度を超えないように、外気を連動させた温度指示調節計によって制御される(図1中の*C)。
【0059】
(8)トレファクションロータリーシェル装置9の外部ジャケット25に導入された熱風は、間接加熱的にエネルギーを放出した後、誘引ファン7の吸い込み圧力で、熱交換器13から出るガスと合流し、該誘引ファン7に導入され、その後、煙突19より大気に放出される。
【0060】
なお、図3は木質チップ(バイオマス)の都市ガスを熱源とする乾燥工程のフローシートを示すもので、図4は、半炭化(トレファクション)工程のフローシートを示すもので、図5は、木質チップ(バイオマス)の乾燥及び半炭化における処理条件・ユーティリティ・生産費用(マレーシアで製造した場合)の検討等の諸数値の集計を示す表である。これらの詳細な説明は、各図中の記載をもって省略する。
【符号の説明】
【0061】
P 乾燥設備
Q トレファクション設備
1 原料ホッパ
2 乾燥装置
3、12 熱風発生炉
4、15 集塵装置
5、7、16 誘引ファン
6a 第1乾燥品コンベア
6b 第2乾燥品コンベア
8 乾燥品ホッパ
9 トレファクションロータリーシェル装置
10 第3乾燥品コンベア
11、14 吹き込みファン
13 熱交換器
17 蒸気ボイラ
18 設備工場
19 煙突
【要約】
【課題】乾燥処理物の発火防止に加え、乾燥処理した廃棄物のエネルギー密度を向上した低コストで連続稼動可能な乾燥処理物の半炭化方法とその装置及び半炭化物を提供する。
【解決手段】乾燥設備Pとトレファクション設備Qとを区画分離して併用し、該乾燥設備Pで乾燥した後の乾燥処理物を該トレファクション設備Q側に送り込むことで半炭化した略絶乾状態に近づけるよう該トレファクション設備Qでは乾燥処理物の発火防止とトレファクション設備Q内の酸素濃度低減とを可能にする過熱蒸気を熱源として使用することを特徴とする乾燥処理物の半炭化方法。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5