【実施例1】
【0030】
本実施形態においては、
図1及び
図5に示すように、一般的なバイオマスの場合では前処理工程として乾燥前水分60〜70(%WB)から約15(%WB)位まで乾燥させる乾燥設備Pと、該乾燥設備Pで乾燥させた後の乾燥処理物を半炭化した略絶乾状態に近づけるように処理するためのトレファクション設備Qとを区画分離して併用する。このトレファクション設備Qにおいては、過熱蒸気を一部使用することで該トレファクション設備Qでの乾燥処理物の発火防止と、半炭化のための酸素濃度低減とを可能にしている。
【0031】
乾燥設備Pにおいては、
図1、
図3及び
図5に示すように、バイオマス破砕品(木質チップ等)が投入される原料ホッパ1と、バイオマス破砕品の水分含有量を約10〜20(%WB)に乾燥させるための炉内に散水装置(
図1中の*B)を備えた回転可能な乾燥装置2と、該乾燥装置2の炉内に一部外気と共に熱風を圧送させる燃焼ファン付きの熱風発生炉3と、該乾燥装置2からの排ガスを誘引ファン5により煙突19から大気に放出させると同時に、該乾燥装置2からの排ガス中のダストを捕集して乾燥処理物として第1乾燥品コンベア6a上に落下させるための、例えば、サイクロン式等の集塵装置4とから概ね構成している。
【0032】
なお、この熱風発生炉3は後述するトレファクション設備Qの熱風発生炉12と同様に、省エネルギーのために一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとしている。また、第1乾燥品コンベア6a上に落下した乾燥処理物は、第2乾燥品コンベア6bを介して、後述のトレファクション設備Qにおける乾燥品ホッパ8に投入される。
【0033】
トレファクション設備Qにおいては、
図1、
図4及び
図5に示すように、上記乾燥設備Pで水分含有量が約10〜20(%WB)に乾燥された乾燥処理物が投入される乾燥品ホッパ8と、乾燥処理物が導入される回転可能なトレファクションロータリーシェル装置9と、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内に吹き込みフアン11を介して一部外気と共に過熱蒸気を圧送させるよう、例えば、0.2〜0.3Mpaの飽和蒸気を発生させる燃料タンク付きの蒸気ボイラ17に接続した熱風発生炉12と、該トレファクションロータリーシェル装置9からの排ガス中のダストを捕集して誘引ファン16により該熱風発生炉12に還流させるための、例えば、サイクロン式等の集塵装置15と、熱風発生炉12で熱放散させた排ガスからさらに熱を回収すると共に、該回収された熱を該トレファクションロータリーシェル装置9における炭化処理用の乾燥熱源として利用可能とした外気取り込み用の吹き込みフアン14を備えた熱交換器13と、該トレファクションロータリーシェル装置9及び熱交換器13からの排ガスを煙突19から大気に放出させるための誘引ファン7とから概ね構成している。なお、この熱風発生炉12は省エネルギーのために一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとしている。
【0034】
トレファクションロータリーシェル装置9は、
図2に示すように、シェル外周面を外部ジャケット25により所定の間隔で覆い、且つ、外熱空気入口から外熱空気出口までを通じて熱風導入可能として成る重ジャケット構造にしてあり、これによって後述する主管21及び枝管22を介しての炉内部での過熱蒸気混合ガスによる乾燥処理物の直接加熱と同時に、乾燥処理物の間接加熱をも行うハイブリッド化が図られている。このようにハイブリッド型とすることで、該トレファクションロータリーシェル装置9内の乾燥処理物と過熱蒸気混合ガスとの平均温度差を大きく設定できるようにしている。
【0035】
すなわち、トレファクションロータリーシェル装置9は、
図2に示すように、長さと幅員との比率が、例えば、3:1に設定された略中空円筒状に形成しており、熱風発生炉12に連通接続した主管21が、該トレファクションロータリーシェル装置9の回転軸と平行方向に引き込まれ、該主管21の周面には、複数の枝管22が該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内壁に向け、且つ、回転軸に沿って交互に傾きをずらした状態で等間隔に順設してある。このトレファクションロータリーシェル装置9内には、乾燥処理物が、全容積に対して約10〜15%程度の容積比をもって揺動自在若しくは転動自在に収容される。
【0036】
そして、トレファクションロータリーシェル装置9自体の回転に伴う乾燥処理物の揺動若しくは転動と同時に、主管21の過熱蒸気混合ガス入口から熱風発生炉12の過熱蒸気が導入され、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内で枝管22から過熱蒸気が吹き出されることによって、炉内の乾燥処理物を無酸素に近い状態で炭化できるようにしている。
【0037】
また、トレファクションロータリーシェル装置9の炉内周壁には、乾燥処理物の付着・溶着を回避できる程度の、例えば、20〜50mm程度の高さを有するリフター24を周方向に沿って等間隔毎に突設している。
【0038】
半炭化された乾燥処理物は、半炭化排出口を経て、第3乾燥品コンベア10に供給される。そして、該第3乾燥品コンベア10より排出された半炭化処理物は、製品として不図示の後工程に導かれるものとしている。
【0039】
本実施形態では、トレファクションロータリーシェル装置9の出口コンベヤ(半炭化排出口下方の第3乾燥品コンベア)に設置した水分計(
図1中の*D)と、熱風導入口(過熱蒸気混合ガス入口)に設置した吹込ガス温度指示調節計とを連動させることで、乾燥処理物の水分を所望の値に近づけるよう該トレファクションロータリーシェル装置9の入口温度と出口温度の間でカスケード制御を行う。因みに、該トレファクションロータリーシェル装置9は、乾燥減率区間において、乾燥処理物の水分と該トレファクションロータリーシェル装置9より排出されるガスの排気温度との間に相関関係があることが判明しており、この相関関係に基づき、乾燥処理物の水分を所望の値に近づけるようにしている。
【0040】
また、トレファクションロータリーシェル装置9の排ガス出口部には、一酸化炭素(CO)の濃度を感知するセンサーとしてCO計(図示省略)を設置し、更に、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内部には、該CO計による濃度感知信号に連動して散水作動を開始する散水装置(
図1中の*B)を設けている。
【0041】
トレファクションロータリーシェル装置9の外部の前記間接加熱用の二重ジャケット構造の外部ジャケット25の外熱空気入口には、温度指示調節計(
図1中の*C)を設け、該外熱空気入口を介して、熱交換器13より熱回収した熱風を導入する際に、該トレファクションロータリーシェル装置9の炉内部での乾燥処理物の半炭化状態が過度に炭化方向に進まないようにしている。
【0042】
次に、以上のように構成された形態についての乾燥設備P及びトレファクション設備Qの各装置による処理手順の一例について説明する。
【0043】
(処理物の流れ)
(1)前工程の破砕機で破砕された、水分60〜70%のバイオマス23(約1〜3cm)が原料ホッパ1に投入される。
【0044】
(2)投入された原料は原料ホッパ1のスクリュー切り出しコンベヤ及び乾燥機2の投入コンベヤを経由して、乾燥機2に投入される。該乾燥機2の排ガス出口部にはCO計を設置し、該乾燥機2内部に設置される散水設備と連動し、いぶり等でCO濃度が上昇すれば、発火前に散水を行う。
【0045】
(3)熱風温度200〜300℃で、水分が約15%程度まで乾燥されたバイオマス23は、第1乾燥品コンベヤ6a、第2乾燥品コンベヤ6bを経由して乾燥品ホッパ8に投入される。
【0046】
(4)投入された乾燥品は、乾燥品ホッパ8のスクリュー切り出しコンベヤ及びトレファクションロータリーシェル装置9の入口部にあるロータリーバルプを経由して、該トレファクションロータリーシェル装置9に投入される。
【0047】
(5)トレファクションロータリーシェル装置9内では、過熱蒸気混合ガスが主管21に取り付けられている複数の枝管22から約30m/秒程度の速度でバイオマス23に吹き付けられる。バイオマス23は炉内に滞留している間、炉内壁面に取り付けられている高さ2〜3cmのリフター24で効果的に揺動し、吹き付けられる過熱蒸気混合ガスのエネルギーを適切に吸収する。
【0048】
(6)水分が1〜5%程度まで乾燥されたバイオマス23は、トレファクションロータリーシェル装置9の出口部にあるロータリーバルブを経由して、第3乾燥品コンベヤ10に排出され、水分計により水分値を検出された後、次のトレファクション製品のための破砕工程及び製品造立工程へ導入される。
【0049】
(熱風及び過熱蒸気の流れ)
1.乾燥区における熱風の流れ
(1)乾燥の熱源としては熱風発生炉3によって生成される。この熱風発生炉3は省エネルギーのために、一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとする(
図1中の*A)。
【0050】
(2)熱風発生炉3で生成された熱風は、誘引フアン5の吸い込み圧力で、約250〜300℃で乾燥機2へ導入され、バイオマス23の乾燥のためにエネルギーを放出する。該乾燥機2の出口では排ガス温度が約100〜150℃程度に降下し、集塵機4へと導かれる。
【0051】
(3)集塵機4で煤塵濃度を下げた熱風は、誘引フアン5へと導かれ、一部は煙突19から大気に放出され、一部は省エネルギーのために熱風発生炉3へと戻される。
【0052】
2.トレファクション区における熱風及び過熱蒸気の流れ
(1)蒸気ポイラー17で生成された0.2〜0.3MPaの飽和蒸気は熱風発生炉12へ導入される。また、一方では既設工場18から排出される余剰蒸気(
図1中の*E)も省エネルギーのため、該熱風発生炉12へ導入可能な構造とする。
【0053】
(2)熱風発生炉12に導入された飽和蒸気は、該熱風発生炉12で生成された燃焼ガスと混合して300〜350℃の過熱蒸気混合ガスとなり、吹き込みフアン11を経由してトレファクションロータリーシェル装置9へ導入される。
【0054】
(3)導入された過熱蒸気混合ガスは、トレファクションロータリーシェル装置9の炉内に設置されている主管21と枝管22を経由してバイオマスに吹き付けられ、適切なエネルギーを放出したあと、温度降下し、誘引フアン16の吸い込み圧力でトレファクションロータリーシェル装置9の排ガス出口部へと導かれる。
【0055】
(4)トレファクションロータリーシェル装置9では、最終バイオマスの水分を要求仕様の値(1〜5%)に近づけるため、温度指示調節計、水分計(
図1中の*D)及びトレファクション装置吹込ガス温度指示調節計(
図1中の*F)を適切に連動させる。
【0056】
(5)トレファクションロータリーシェル装置9の出口部から排出された排ガスは集塵装置15で煤塵濃度を下げ、誘引ファン16へと導かれ、省エネルギーのために熱風発生炉12へと戻される。この熱風発生炉12は省エネルギーのために、一部既設工場18の排ガスを利用できる構造のものとする(
図1中の*A)。
【0057】
(6)熱風発生炉12から生成された過熱蒸気混合ガスは、一部排ガスとして熱交換器13の放熱側に導入され、吹き込みフアン14から該熱交換器13の受熱側に導入された外気を間接的に加熱(
図1中の*G)した後、誘引ファン7に導入され、その後、煙突19より大気に放出される。
【0058】
(7)吹き込みフアン14により、熱交換器13の受熱側に導入された外気は、熱交換器13によって加熱された後、一部は熱風発生炉3、熱風発生炉12の燃焼空気として利用され、残りの熱風はトレファクションロータリーシェル装置9の外部ジャケット25に導入される。導入される前に予め設定された上限温度を超えないように、外気を連動させた温度指示調節計によって制御される(
図1中の*C)。
【0059】
(8)トレファクションロータリーシェル装置9の外部ジャケット25に導入された熱風は、間接加熱的にエネルギーを放出した後、誘引ファン7の吸い込み圧力で、熱交換器13から出るガスと合流し、該誘引ファン7に導入され、その後、煙突19より大気に放出される。
【0060】
なお、
図3は木質チップ(バイオマス)の都市ガスを熱源とする乾燥工程のフローシートを示すもので、
図4は、半炭化(トレファクション)工程のフローシートを示すもので、
図5は、木質チップ(バイオマス)の乾燥及び半炭化における処理条件・ユーティリティ・生産費用(マレーシアで製造した場合)の検討等の諸数値の集計を示す表である。これらの詳細な説明は、各図中の記載をもって省略する。