(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エンドレスベルトが、前記板ガラスの前記エッジを受け入れるように構成された、該板ガラスの該エッジにおける前記既定の断面輪郭の前記形状に幾何学的に類似した溝を、含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示の実施形態例を示している添付の図面を参照し、いくつかの方法を以下でより十分に説明する。可能な限り、図面を通じて、同じまたは同様の部分の参照に同じ参照番号を使用する。ただし、本開示は多くの異なる形で具現化し得、本書に明記される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0011】
板ガラスのエッジを機械加工して板ガラスのエッジの強度を高める方法には、種々の装置を使用することができる。さらなる考察のために、板ガラス、特に液晶ディスプレイの製造に使用するのに適した板ガラスを、以下で想定しかつ説明する。しかしながら、本発明は他の種類の板ガラスのエッジの仕上げに適用可能であることに留意されたい。
【0012】
例えば
図1は、板ガラス106のエッジ104の仕上げをする方法の例で使用し得る、第1機械加工機器102の一例の概略図である。
図2は、
図1の線2−2に沿った板ガラス106の断面図を示している。
図2に示したガラスの厚さ「T」は、幅広い値を有し得る。例えば、板ガラス106の厚さ「T」は3mm以下でもよく、2mm以下、または1.5mm以下、あるいは0.7mm以下などとし得る。
【0013】
図示のように線2−2は、板ガラス106のエッジ104を横切る平面に沿って延在し、未仕上げのエッジ輪郭104aの一例が明示される。未仕上げのエッジ輪郭104aは、例えば、ガラス分離プロセスを使用してガラス部材(ガラスリボンなど)の一部分をガラス部材の別の部分から分離することによって形成され得る。例えば、ガラスリボンの対向するエッジを除去して形成され得る未仕上げのエッジ輪郭104aは、
図2に示した形状を有する可能性がある。別の例では、1つの板ガラスを別の板ガラスから分離するときに、未仕上げのエッジ輪郭104aが形成され得る。種々の分離技術を使用して、ガラス部材の一部分をガラス部材の別の部分から分離することができる。例えば一例では、レーザと流体冷却を組み合わせて、クラックを伝播させてもよい。さらなる例では、罫書きした後に折り曲げるプロセスや、あるいは他の技術で分離させることができる。
【0014】
図2に示したように、分離プロセスはフラットエッジ108をもたらし得、このフラットエッジ108は、第1ガラス表面110および第2ガラス表面112の位置で実質的な稜角114で急に途切れ得る。分離プロセスにより形成された稜角114および/または損傷エリア118は、未仕上げのエッジ輪郭104aの深さ116の範囲内に含まれ得る。稜角114および/または損傷エリア118は、応力集中を、および/または亀裂が形成される可能性のある位置を、提供し得るため、稜角114および/または損傷エリア118は板ガラス106の平均エッジ強度を低下させる可能性がある。
【0015】
したがって、板ガラスのエッジ104の仕上げをする方法は、エッジ104を機械加工して既定の断面輪郭104bを提供するプロセスステップを含み得る。
図4は、
図1の線4−4に沿った板ガラス106の断面図を示している。図示のように、線4−4も同様に板ガラス106のエッジ104を横切る平面に沿って延在し、板ガラス106のエッジ104を第1機械加工機器102で機械加工することにより生成され得る既定の断面輪郭104bの一例が明示される。一例において、第1機械加工機器102は稜角114を除去するように設計することができる。実際には
図4に示したように、急な角部は、フラットエッジ122を第1ガラス表面110および第2ガラス表面112に移行させる、丸みを帯びた角120に置き換えられる。従って図示のように、既定の断面輪郭104bは、図示の丸みを帯びた角120とフラットエッジ122とを備えた実質的にU字状を有し得る。さらなる例では、他の既定の輪郭を提供してもよい。例えばフラットエッジ122は、いくつかの例において、凸状または凹状の表面を有した、丸みを帯びたものでもよい。一例において既定のエッジ輪郭は、フラットエッジ122が、丸みを帯びた角120の間に延在する凸状エッジを含む、実質的にU字状の輪郭を有したものでもよい。既定のエッジ輪郭はV字状の輪郭を備えたものでもよいが、さらなる例では他の輪郭形状を提供してもよい。さらなる例において、既定の輪郭は、第1ガラス表面110および第2ガラス表面112の間に延在しているC字状の輪郭を備えたものでもよい。
【0016】
上述したように、エッジ104を機械加工するプロセスステップの例は既定の断面輪郭104bを提供し得、このとき稜角114を除去してもよい。さらに、またはあるいは、損傷エリア118がエッジ104付近から低減されるまたはなくなるように、未仕上げのエッジ輪郭104aの深さ116を除去してもよい。例えば、(稜角114に類似している)急な角部は依然として存在させた状態で深さ116の範囲内に位置している損傷エリア118を機械加工で取り除いて、深さ116を除去してもよい。あるいは図示のように、エッジ104を機械加工して深さ116を除去すると同時に、さらに稜角114を除去してもよい。従って、損傷エリア118を除去する他、
図2に示した稜角114などの比較的鋭い角部に典型的には関連する、高い応力が集中するエリアを除去してもよい。除去される深さ116は、約3/8mmから約1/2mmまでを含み得るが、具体的な機械加工プロセスに応じて、この範囲より小さくても、これを超えてもよい。
【0017】
板ガラス106のエッジ104を機械加工するステップは、幅広い機械加工技術で実行することができる。
図1および3に示したように、一例において機械加工するステップは、回転式研削工具を含む図示の第1機械加工機器102を取り込んだものでもよいが、さらなる例によれば他の機械加工機器を提供してもよい。
図3は、
図1の線3−3に沿った板ガラス106の断面図を示している。図示のように、線3−3も同様に板ガラス106のエッジ104を横切る平面に沿って延在し、砥石ホイール124とモータ126とを含んだ回転式研削工具の例を概略的に明示している。モータ126は心棒128を駆動し、それによりホイールを回転軸132に沿って時計回り(矢印130参照)または反時計回りのいずれかに回転させるように構成されている。さらに図示していないが、この装置は、砥石ホイール124に対して方向136への板ガラス106に関する相対運動を提供するように構成された、並進装置をさらに含み得る。一例では砥石ホイール124を、静止した板ガラス106に対して動かしてもよい。さらなる例では板ガラス106を、静止した砥石ホイール124に対して動かしてもよい。さらに他の例では、砥石ホイール124と板ガラス106との両方を同一方向または反対方向に動かして、板ガラス106に対する砥石ホイール124の方向136への相対運動を実現することができる。
【0018】
砥石ホイール124は、提供される場合には、板ガラス106のエッジ104を横切る平面に沿って既定の研削輪郭134を含み得る。既定の研削輪郭134は、その少なくとも一部分が、板ガラス106のエッジ104に機械加工された既定の断面輪郭104bに対応するように設計される。
【0019】
砥石ホイール124は、板ガラスのエッジを機械加工するように構成される幅広い材料を含み得る。一例では、400グリットの金属結合ダイヤモンドホイールを使用してもよいが、さらなる例では他の材料および/またはグリットサイズを使用してもよい。
【0020】
板ガラスのエッジを機械加工して既定の断面輪郭104bとすると、板ガラスに初期平均エッジ強度ES
iを実質的には与えることができる。初期エッジがレーザ罫書きによって提供されたものではない用途では、レーザ罫書き技術で生成されたものではない未仕上げのエッジ輪郭104aを含む板ガラスの平均エッジ強度に比べて、初期平均エッジ強度ES
iは実質的に改善されたものとなり得る。例えばエッジ104を機械加工して既定の断面輪郭104bとすると、4点H曲げ試験形状で測定した初期平均エッジ強度ES
iが約90MPaから約150MPaまでの範囲内である、板ガラス106を提供することができる。
【0021】
図5に示したように、板ガラス106のエッジ104の仕上げをする方法は、少なくとも1つのエンドレスベルトを備えている第2機械加工機器140でエッジ104を仕上げするステップをさらに含んでもよい。第2機械加工機器140は、板ガラス106のエッジ104を、既定の断面輪郭104bの形状を実質的に変化させずに仕上げするように構成されている。実際に、
図4は
図5の線4−4に沿った断面をも実質的に表し得る。従って、既定の断面輪郭104b、104c、104dの断面は、実質的に同一の形状を有し得、そして図示のように、実質的に同一のサイズをも有し得る。さらなる例では、その形状は実質的には変化しないが、表面から少量のガラスが除去されることによって小規模のサイズ変動が生じることがある。いくつかの例では、小規模のサイズ変動によって、幾何学的に互いに類似した形状が生じ得る。さらなる例において、これらの形状は一致したものでもよいし、または幾何学的には類似していないが実質的に同一形状のものでもよい。従って、
図5に示されている既定の断面輪郭104b、104c、104dは、サイズおよび形状が互いに実質的に一致したものでもよい。さらなる例では、機械加工中に小さいガラス部分が除去されて、既定の断面輪郭104b、104c、104dのうちの少なくとも1つが、小規模のサイズ変動および/または形状変動を有し得る。
【0022】
図5に示したように第2機械加工機器140は、少なくとも1つのエンドレスベルトなどの仕上げ部材を含み得るが、さらなる例では、往復パッド、回転ディスク、または他の仕上げ部材を提供してもよい。例えば第2機械加工機器140は、少なくとも第1エンドレスベルト152を含んだ、第1仕上げ装置150を含み得る。第1エンドレスベルト152は、提供される場合には、少なくとも2つのローラ154、156の周りで駆動され得るが、さらなる例では3以上のローラを使用してもよい。
【0023】
第1仕上げ装置150は、仕上げプロセスを実行するために多種多様な位置に位置付けることができる。一例において第1仕上げ装置150は、種々の自由度を有し得る。例えば第1仕上げ装置150は、x軸、y軸、および/またはz軸に沿って平行移動するものでもよい。さらに、またはあるいは、第1仕上げ装置150は、x軸、y軸、および/またはz軸に関して回転するものでもよい。従って、第1仕上げ装置150を配向に制限を設けずに配置して、板ガラス106のエッジ104で仕上げ技術を実行することができる。一例において第1仕上げ装置150は、ニューヨーク州オンタリオのOptiPro Systems(オプティプロ・システムズ)社から入手可能な、UltraForm Finishing machine(ウルトラフォーム仕上げ装置)を含み得る。
【0024】
図5は、第1仕上げ装置150の軸158が板ガラス106のエッジ104に対して角度「A
1」で位置付けられた、第1仕上げ装置150の単に1つの配向を示している。図示では角度「A
1」はおよそ45°として明示されているが、さらなる例では他の角度を与えてもよい。例えば図示のように、角度「A
1」は第1仕上げ装置150の移動方向160を追う鋭角として提供される。第1仕上げ装置150に関して別の軸162により明示されているが、角度「A
2」は移動方向160を先導する鋭角を含み得る。さらなる例において、角度「A
1またはA
2」はおよそ90°の角度を含み得る。従って第1仕上げ装置150を、板ガラス106のエッジ104を横切る方向に延在するZ軸に対して、多種多様な配向に旋回させ得ることは明らかであろう。
【0025】
さらに
図6は、
図5の線6−6に沿った、板ガラス106の代表的な断面図を示している。図示のように、線6−6も同様に板ガラス106のエッジ104を横切る(例えば、図示のZ軸に沿った)平面に沿って延在し、第1仕上げ装置150を図示のX軸に対して旋回させた位置のほんの一例を概略的に明示している。実際には図示のように、第1仕上げ装置150の軸158は、板ガラス106の中心平面107に沿って延在していてもよい。さらなる例では、第1仕上げ装置150を、X軸に関して種々の他の角度に旋回させてもよい。例えば、別の軸164により明示されているように、第1仕上げ装置150を鋭角「B
1」の位置に旋回させてもよいが、さらなる例では第1仕上げ装置150を、
図6にさらに別の軸166で示されているように、Z軸に対して鈍角「B
2」の位置に旋回させてもよい。
【0026】
図5に戻ると、エンドレスベルト152は(
図5に示したように)時計回りの方向に移動し得るが、さらなる例では反時計回りの回転を実行してもよい。ベルトはさらに、特定の用途、特定のベルト特性、実行されているステップ、および/または他の特徴に応じて、様々な回転速度で回転させてもよい。例えば、ベルトは約50rpmから約600rpmまでの速度で回転させてもよいが、さらなる例では他の回転速度を設定してもよい。この回転速度をガラスエッジ104に対するベルトの速度で言い換えると、エンドレスベルトの周囲の長さに応じて約50cm/秒から約1,220cm/秒までとなり得る。さらに、第1仕上げ装置150は移動方向160に沿って、ガラスエッジ104に対して約25mm/分から約800mm/分までの速度で移動し得る。
【0027】
エンドレスベルト152は、ポリウレタンベルトまたは他のベルト材料など、幅広い材料から形成することができる。さらに、エッジ104の適切な仕上げ、またはエッジ104の中間仕上げのために、ベルトを様々な研磨材料と共に提供してもよいし、および/または、ベルトを様々な研磨材料を備えたものとしてもよい。一例では研磨材料をベルトに結合させてもよいが、さらなる例では研磨材、または研磨材のスラリーを、ベルトとは別に提供してもよい。例えば
図7は、
図6の視野7を見た概略拡大図を示し、任意のベルトが、種々の寸法のダイヤモンド粒子168を含んだダイヤモンド埋込みベルトを含み得ることを明示している。一例ではダイヤモンド粒子168の平均サイズまたはメジアンサイズを、約1μmから約8μmまで、例えば約2μmから約5μmまで、約2μmから約4μmまで、約3μmなどとし得るが、さらなる例では他のサイズのダイヤモンド粒子を使用してもよい。さらに、本開示の態様に従って、他の粒子の種類を使用してもよい。
【0028】
さらに
図8は、粒子研磨材(ダイヤモンド粒子など)に加えて、またはこれに代えて、任意のベルトがベルト表面に機械加工されたマイクロ複製表面170を含み得る、
図7に類似した図を示している。このマイクロ複製表面は、均一な深さの表面下損傷を与えることができ、また潜在的には、より高い強度レベルでのエッジの破損強度のより細かい制御を可能にする。
図9は、四角錐の形をしたマイクロ複製表面170の、一例の拡大断面図を示しているが、さらなる例では三角錐または他の3次元表面を提供してもよい。
図10は、角錐台を含み得る、さらに別の例のマイクロ複製表面180を示している。角錐台の設計によれば、錐体の先端が一貫性なく破砕したり、または早期に折れたりすることなく、機械加工を行うことができる。
【0029】
図6に示したように、エンドレスベルト152は、板ガラス106のエッジ104を受けるように構成された溝172を含んでもよい。図示のように、溝が提供される場合には、板ガラス106のエッジ104の既定の断面輪郭104bの形状に幾何学的に類似したものとし得る。溝172は、
図6では実質的にU字状を有しているが、さらなる例では他の形状を提供してもよい。例えば
図11および12は、エンドレスベルト152に類似したものとし得る、代わりの溝形状を備えたベルト252、352を示している。
図11は実質的にV字状を有している溝272を備えたベルトを示し、一方
図12は、下方に実質的にC字状の部分を含んでいる、別の実質的にU字状を有している溝372を示している。
【0030】
溝172、272、372は、提供される場合には、
図6に示したような既定の断面のエッジ輪郭104bの全体と係合するように構成され得るが、さらなる例ではこの溝を、その輪郭の特定の部分または複数の部分のみと係合するように構成してもよい。例えばV字状の溝272は、幾何学的に類似したV字状のエッジ輪郭の全体のエッジ輪郭と係合するように構成してもよい。代替の例においてV字状の溝272は、頂部が平面で切断されたV字状エッジ輪郭のエッジを機械加工することができる。この例では、V字状エッジ輪郭の面取りされたエッジを、V字状の溝272で同時に仕上げすることができる。
【0031】
溝172、272、372は、提供される場合には、多種多様なやり方で形成され得る。例えば
図13を参照すると、ローラ154は輪郭184を有した十分に剛性のコア182を含み得、この輪郭184は、ローラ154の回転軸186の周りを回転している溝172の形状を含み得る。従ってコア182は、回転軸186に関して対称に配置された外円筒表面を有し得る。この例においてエンドレスベルト152は、ローラ154の周りのベルトとして輪郭184の形状に一致したものでもよい。
図13に示したようにローラは、エンドレスベルト152がローラ154から外れて横にシフトしないように設計された、外側隆起フランジ188をさらに含んでもよい。
【0032】
さらなる例においてローラのコアは、ローラ154がエンドレスベルト152を板ガラス106の既定の断面輪郭104bに対して押し付けたときに、コアを少なくとも部分的に変形させることができるほど十分な柔軟性を有したものでもよい。例えば
図13に示したローラ154を、コア182を
図13に示した形状に少なくとも部分的に変形させることができるほど十分に軟質のコア182を含むものとしてもよい。一例においてコアは、ベルトがローラ154上を移動するときに僅かな溝を生みだすように設計された、僅かな輪郭を含む。この例では、仕上げの際にローラ154を既定の断面輪郭104bに対して(エンドレスベルト152がその間に位置付けられた状態で)押し付けることで、コアは
図13に示した輪郭184を得ることができる。
【0033】
明らかであろうが、ローラ154のコア182は個々の構造に応じて種々のデュロメータを有し得る。例えば、コア182のデュロメータは0から約60までの範囲内でもよいが、さらなる例では他のデュロメータのローラを使用してもよい。さらなる例においてこのデュロメータは、約10から約50まででもよく、例えば約30など、約20から約40までなどでもよい。
【0034】
さらに他の例では、ベルトを、少なくとも部分的に溝を含むように形成してもよい。例えば
図14に示したように、ベルト452を、溝472をその中に形成して含むように設計することができる。この例においてローラ454は、円形の円筒形状や、あるいはベルト452の溝472の形状に必ずしも対応しなくてもよい他の形状を有した、コア482を含み得る。この例では、ローラのコア482は実質的に剛性でもよく、ベルト452によって、溝472が板ガラス106の既定の断面輪郭104bを受けることを可能にする柔軟性が提供される。
【0035】
図15は、上述した第1仕上げ装置150に類似または一致し得る別の例の第1仕上げ装置550を含み得る、別の例の第2機械加工機器540を示している。
図5に示したように、第1仕上げ装置150は、エッジ104の既定の断面輪郭104b全体を単一通過で機械加工するように設計され得る。一方、
図15に示した第1仕上げ装置550は、既定の断面輪郭の一部を単一通過で単に機械加工するように設計され得る。この例では、エッジの輪郭全体の仕上げをするために、複数回の通過が実行され得る。
【0036】
図16に示したように、一例においてローラ454は
図14に示した構造を有し得、このときベルトは溝を含んでいない実質的に円筒状のセグメント553を有しているが、さらなる例では僅かな溝を設けてもよい。例えば、ローラ454に
図14に示した構造を与える場合には、ベルトが変形してエッジ輪郭のセグメントに一致するようにベルトを設計することができる。さらなる例では、このローラはローラ154に類似したものでもよく、このとき押し付けられていない状態での初期のコア輪郭は、ローラの軸に沿って実質的に同一の円筒半径を有した実質的に円形の円筒状である。押し付けられた後、ローラのコアは上述したような十分なデュロメータを有しているため、機械加工される輪郭の対応する部分の形状に一致し得る。
【0037】
図5に戻ると、第2機械加工機器140は、第1仕上げ装置150に類似または一致し得る、随意的な第2仕上げ装置190をさらに含んでもよい。さらに、またはあるいは、第2仕上げ装置190は提供される場合には、種々の研磨材の種類を含み得る研磨材196を適用するために湿式スラリー194を送出するように構成された、ノズル192を含んでもよい。従ってベルトは、ベルトに直接結合された研磨材料を含んだものでもよいし、あるいは含んでいないものでもよい。むしろ、研磨材196をスラリー中に懸濁させて含んでいる液体スラリーを使用してもよく、このときエンドレスベルト198と湿式スラリー194とが共に機能して板ガラス106のエッジ104を仕上げする。一例では研磨材196はセリアを含み得るが、さらなる例ではアルミナまたは他の研磨材の種類を提供してもよい。
【0038】
第2仕上げ装置190は、提供される場合には、第1仕上げ装置150と共に据え付けて、移動方向160に沿って共に移動させてもよい。さらなる例では、第1仕上げ装置150と第2仕上げ装置190とを必ずしも共に連結させずに、第1仕上げ装置を使用して、後に続いて独立した処置の間に第2仕上げ装置を使用してもよい。
【0039】
第2機械加工機器140は、板ガラス106の平均エッジ強度を著しく向上させることができる。平均エッジ強度は、第2機械加工機器140が第1仕上げ装置150のみを備えている用途、または第2機械加工機器140が第1仕上げ装置150および第2仕上げ装置190の両方を備えている用途において、著しく向上させることができる。一例では、第1機械加工機器102で既定の輪郭を機械加工した後にエッジ104を第2機械加工機器140で仕上げすると、板ガラス106に、約300MPaから約450MPaまでなど、少なくとも約250MPaの仕上げ後平均エッジ強度ES
fを与えることができるが、さらなる例では他の平均エッジ強度を実現することができる。
【0040】
図15に戻ると、第2機械加工機器540は、第1仕上げ装置550に類似または一致し得る、随意的な第2仕上げ装置590をさらに含んでもよい。さらに、またはあるいは、第2仕上げ装置590は提供される場合には、種々の研磨材の種類を含み得る研磨材596を適用するために湿式スラリー594を送出するように構成された、ノズル592をさらに含んでもよい。従ってベルトは、ベルトに直接結合された研磨材料を含んだものでもよいし、あるいは含んでいないものでもよい。むしろ、研磨材596をスラリー内に懸濁させて含んでいる液体スラリーを使用してもよく、このときエンドレスベルト598と湿式スラリー594とが共に機能して板ガラス106のエッジ104を仕上げする。一例では研磨材596はセリアを含み得るが、さらなる例ではアルミナまたは他の研磨材の種類を提供してもよい。
【0041】
第2仕上げ装置590は、提供される場合には、第1仕上げ装置550と共に据え付けて、移動方向160に沿って共に移動させてもよい。さらなる例では、第1仕上げ装置550と第2仕上げ装置590とを必ずしも共に連結させずに、第1仕上げ装置を使用して、後に独立した処置の間に第2仕上げ装置を使用してもよい。
【0042】
第2機械加工機器540は、板ガラス106の平均エッジ強度を著しく向上させることができる。平均エッジ強度は、第2機械加工機器540が第1仕上げ装置550のみを備えている用途、または第2機械加工機器540が第1仕上げ装置550および第2仕上げ装置590の両方を備えている用途において、著しく向上させることができる。一例では、第1機械加工機器102で既定の輪郭を機械加工した後にエッジ104を第2機械加工機器540で仕上げすると、板ガラス106に、約300MPaから約450MPaまでなど、少なくとも約250MPaの仕上げ後平均エッジ強度ES
fを与えることができるが、さらなる例では他の平均エッジ強度を実現することができる。
【0043】
ここで、板ガラス106のエッジ104を仕上げする方法を、
図22に示したフローチャート600を最初に参照して説明する。このプロセスは602で開始し、例えば、板ガラス106を、第1機械加工機器102に対して移動させるために用意しかつ据え付けるステップ604から始まる。この方法は次いで、図示の回転式研削工具を含み得る第1機械加工機器102で、板ガラス106のエッジ104を機械加工するステップ606を含んでもよい。機械加工の間、第1機械加工機器102は板ガラス106に対して動き、
図1に示した既定の断面輪郭104bを得ることができる。一旦完了すると、板ガラス106の深さ116が、対応する損傷エリア118と共に除去され得る。除去されると、損傷エリアおよび稜角が除去されて、所望の既定の断面輪郭104bを得ることができる。
図4に示したように、例えば既定の断面輪郭104bは実質的にU字状でもよいが、さらなる例ではC字状、V字状、または他の既定の断面輪郭を得ることができる。ステップ606での機械加工技術が完了した後、既定の断面輪郭104bによって板ガラス106に約90MPaから約150MPaまでの範囲内の初期平均エッジ強度ES
iが与えられ得るが、さらなる例では他の平均強度範囲を与えることができる。
【0044】
この方法は、エッジを仕上げ部材で仕上げするステップをステップ608の間にさらに含んでもよい。一例において仕上げ部材は、
図5に示した第1仕上げ装置150および/または第2仕上げ装置190を含み得る。例えばステップ608は、第1仕上げ装置150および第2仕上げ装置190に対応するエンドレスベルト152、198のうちの少なくとも一方の対応する溝の内部に受け入れられる、既定の断面輪郭104b全体を機械加工するものでもよい。
【0045】
さらなる例においてステップ608は、例えば第1仕上げ装置550および第2仕上げ装置590のエンドレスベルト552、598のうちの少なくとも一方を用いて1回以上通過させることによって、既定の断面輪郭104bの一部を機械加工するものでもよい。
図16〜19を参照し、第2仕上げ装置590での仕上げを同様の手法で実行できるという理解の下、第1仕上げ装置550での仕上げを説明する。さらに機械加工の順序を、さらなる例ではステップを異なる順で実行し得るという理解の下、
図16から19に段階的に示す。
図16を参照すると、第1仕上げ装置550の軸558が板ガラス106の中心平面107に対して斜めに設定されるように、第1仕上げ装置550を配向してもよい。
図17に示したように、第1仕上げ装置550を次いで軸558に沿って方向551に平行移動させ、第1の丸みを帯びた角120aに対してベルトを押し付けてもよい。ローラ454および/またはエンドレスベルト552の適合性のため、ベルトの外側は既定の断面輪郭104bの第1の丸みを帯びた角120aの周りに一致し得る。それにより、第1仕上げ装置550を
図15に示したように板ガラス106に対して移動方向160に動かすと、この仕上げプロセスは丸みを帯びた角120a上で実行され得る。
【0046】
次に、
図18に示したように、軸558が板ガラス106の中心平面107と位置合わせされるように、第1仕上げ装置550を再配向してもよい。第1仕上げ装置550を次いで軸558に沿って方向555に平行移動させ、フラットエッジ122に対してベルトを押し付けてもよい。ローラ454および/またはエンドレスベルト552の適合性のため、ベルトの外側はフラットエッジ122に亘って一致し得る。それにより、第1仕上げ装置550を
図15に示したように板ガラス106に対して移動方向160に動かすと、この仕上げプロセスはフラットエッジ122上で実行され得る。
【0047】
さらに、
図19に示したように、軸558が板ガラス106の中心平面107に対して斜めに設定されるように、第1仕上げ装置550を再配向してもよい。第1仕上げ装置550を次いで軸558に沿って方向557に平行移動させ、第2の丸みを帯びた角120bに対してベルトを押し付けてもよい。ローラ454および/またはエンドレスベルト552の適合性のため、ベルトの外側は第2の丸みを帯びた角120bの周りに一致し得る。それにより、第1仕上げ装置550を
図15に示したように板ガラス106に対して移動方向160に動かすと、この仕上げプロセスは丸みを帯びた角120b上で実行され得る。
【0048】
図20および21は、仕上げ装置550、590のY軸に関する他の配向を示したものである。例えば
図20は、
図15の線20−20に沿った第1仕上げ装置550の断面図である。図示のようにエンドレスベルト552は、板ガラス106のエッジ104に実質的に平行な方向570に移動し得る。このような構造では、ローラ454の回転軸572が板ガラス106のエッジ104に実質的に垂直になり得る。
図21は、エンドレスベルト552の方向570を板ガラス106のエッジ104に対して斜めの角度で配向した、別の配向を示している。
図20のエンドレスベルト552とエッジ104との間の接触エリア574は、
図21のエンドレスベルト552とエッジ104との間の接触エリア576よりも小さい。従って、
図21に示した配向での機械加工プロセスは、
図20に示した平行配向に比べると、より高速で実行することができる。しかしながら、斜めの角度(
図21など)よりも平行配向(
図20など)での機械加工の方が、より大きい平均エッジ強度を実現することができる。従って、より高い平均エッジ強度が望ましい用途では平行配向を設定してもよく、一方、十分な強度のエッジを変わらず提供すると同時に処理時間を短縮するべき用途では傾斜配向を選択してもよい。
【0049】
第1仕上げステップ608を実行した後、プロセス終了610で示したように仕上げプロセスを完了してもよいし、あるいは、第2仕上げステップ612を実行してもよい。例えば第2仕上げステップは、第1仕上げ装置150、550のうちの1つで実行することができ、これらの第1仕上げ装置の研磨材ベルトの特徴は、類似したものでもよいし、または異なったものでもよい。さらなる例では第2仕上げステップを、第1仕上げ装置に類似したやり方で移動方向160に沿って平行移動させることが可能な、第2仕上げ装置190、590で実行してもよい。第1仕上げステップ608および/または第2仕上げステップ612を完了した後、既定の断面輪郭104c、104dによって板ガラス106に、約300MPaから約450MPaまでなど、少なくとも約250MPaの最終平均エッジ強度ES
fが与えられ得るが、さらなる例では他の平均エッジ強度を与えることができる。
【0050】
第2仕上げステップ612を実行した後、プロセス終了610で示したようにプロセスを完了してもよい。あるいはプロセス終了610で終える前に、ステップ614で1以上のさらなる仕上げ技術を実行してもよい。一例において最終仕上げプロセス614は、約250MPaから900GPaまでの範囲以上の最終平均エッジ強度を与え得る磁性流体仕上げ技術(MRF)を含んでもよいが、さらなる例では他の強度範囲を与えることができる。
【0051】
板ガラス106のエッジ104を仕上げする方法の1つの特定の例は、板ガラスのエッジ104を、板ガラス106のエッジ104を横切る平面に沿って既定の断面輪郭104bとなるように、機械加工するステップを含み得る。例えば、砥石ホイール124を備えた図示の機器などの第1機械加工機器102を使用して、既定の断面輪郭104bを生成することができる。その後、研磨材を含んだ湿式スラリーを、仕上げ部材と板ガラスのエッジ104とのうちの少なくとも一方に適用してもよい。例えば研磨材は、アルミナおよび/またはセリアを含み得る。さらに仕上げ部材は、エンドレスベルト、回転ディスク、往復パッド、または他の仕上げ部材を含み得る。この方法は次いで、エッジ104を仕上げ部材および湿式スラリーで仕上げるステップを含んでもよい。
【0052】
別の例においてこの方法は、板ガラス106のエッジを、板ガラス106のエッジ104を横切る平面に沿って初期平均エッジ強度ES
iの既定の断面輪郭104bとなるように、機械加工するステップによって、板ガラス106のエッジ104を仕上げするものを含み得る。このプロセスは、例えば、砥石ホイール124を備えた第1機械加工機器102で実行することができる。この方法はその後、既定の断面輪郭の形状を実質的に変化させずに、エッジ104を少なくとも1つの仕上げ部材で仕上げするステップを含んでもよい。この仕上げは、上述したように第1仕上げ装置または第2仕上げ装置で実行することができるが、さらなる例では他の技術を使用してもよい。プロセスが完了すると、板ガラス106のエッジ104は仕上げ後平均エッジ強度ES
fを有し得、このとき比率ES
f/ES
iは約1.6から約5.6までの範囲内となる。例えば、初期平均エッジ強度ES
iは約90MPaから約150MPaまでの範囲内となり得、かつ仕上げ後平均エッジ強度ES
fは、約300MPaから約450MPaまでなど、少なくとも約250MPaとなり得る。
【0053】
非限定的な例を、以下で説明する実験結果とともにここで説明する。実験は種々のベルト構造を用いて行われ、400グリットの金属結合ダイヤモンド工具技術で既定の断面輪郭104bを準備した。次いで、機械加工された断面輪郭104b全体を以下の3つの手法(条件)で仕上げし、以下の表に記載されている対応する平均エッジ強度を得た。
【0054】
【表1】
プロセスAでは3μmのダイヤモンドベルトを使用し、このダイヤモンドベルトを既定の断面輪郭104bに対して1mm押し付けた。すなわち、ローラが一旦既定の断面輪郭104bの表面に触れると、ローラを押し付けるようにエッジに向けてローラを1.0mmスライドさせる。ベルトを500rpmで動かして200mm/分で進めた。
【0055】
プロセスBでは0.5μmのダイヤモンドベルトを使用し、このダイヤモンドベルトを既定の断面輪郭104bに対して1mm押し付けた。ベルトを500rpmで動かして400mm/分で進めた。
【0056】
プロセスCは、ポリウレタンベルトGR−25を使用し、ベルト上でCeO
2スラリーを用いた。このベルトを既定の断面輪郭104bに対して1mm押し付けた。ベルトを150rpmの速度で回転させて100mm/分で進めた。
【0057】
表示したように、条件2は条件1よりも大幅に長く時間がかかったが、比較的少量の平均エッジ強度しか板ガラスに追加されなかった。一方条件3は、244MPaの平均強度をもたらした条件1と比較すると、平均エッジ強度を414MPaに著しく増加させた。
【0058】
さらなるテストを、最初に400グリットの金属結合ダイヤモンド工具技術を用いて用意した既定の断面輪郭104bで、さらに実行した。機械加工された断面輪郭104b全体を以下の6つの手法(下記#)で機械加工して、以下の表に記載されている対応する平均エッジ強度を得た。
【0059】
【表2】
ステップAでは3μmのダイヤモンドベルトを使用し、ステップBではCeO
2が結合されたベルトを使用し、一方でステップCではベルト上でCeO
2スラリーを使用した。配向は、板ガラスのエッジに平行または垂直のいずれかの位置付けとした。特に、少なくとも300MPaの著しい平均エッジ強度が、ステップAをステップCと組み合わせて使用したときに達成された。
【0060】
本開示の方法によれば、潜在的により費用が掛からないものとして、磁性流体仕上げ(MRF)の代わりに使用することができると同時に、十分に高い平均エッジ強度を実現することができる。さらなる例では、本開示の方法ステップを、サイクルタイムを短縮させるためにMRFと併せて使用してもよい。従って本開示の仕上げ技術は、従来の回転研削工具を使用したときよりも大幅に高い平均エッジ強度を実現することができ、かつ従来の工具での手法に比較して、より高強度のエッジをより高速で生成することができる。さらに、この仕上げ技術は、従来の研削手法やMRF技術によって典型的に得られるような平均エッジ強度の間の、中間範囲の平均エッジ強度を実現し得ると同時に、より短い処理時間で十分な平均エッジ強度を得ることができる。さらに処理時間は、ベルトを板ガラスのエッジに対して斜めに配向することによってさらに向上させることができる。
【0061】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の種々の改変および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。すなわち、本開示の改変および変形が添付の請求項およびその同等物の範囲内であるならば、本発明はこのような改変および変形を含むと意図されている。