特許第5843959号(P5843959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5843959
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】非共振型ノッキングセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20151217BHJP
【FI】
   G01H17/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-512970(P2014-512970)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】JP2013078822
(87)【国際公開番号】WO2014097737
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2014年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-276513(P2012-276513)
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】青井 克樹
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−144677(JP,A)
【文献】 特開2008−185414(JP,A)
【文献】 特開2006−112953(JP,A)
【文献】 特開2010−101696(JP,A)
【文献】 特開昭61−153530(JP,A)
【文献】 特表2003−517597(JP,A)
【文献】 特開2005−337858(JP,A)
【文献】 特開2008−175719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された金具側筒状部、および、該金具側筒状部における一方の端部から径方向外側に向かって延びる金具側鍔部を含む主体金具と、
第1貫通孔に前記金具側筒状部が挿通された圧電素子と、
第2貫通孔に前記金具側筒状部が挿通され、前記金具側鍔部との間に前記圧電素子を挟んで配置されるウェイトと、
第3貫通孔に前記金具側筒状部が挿通され、前記金具側筒状部の外周面に固定されつつ、前記ウェイトを前記金具側鍔部に向かって押し付けて固定する固定部と、
を有するセンサ本体と、
該センサ本体を樹脂で被覆して形成された樹脂成形体と、
を備える非共振型ノッキングセンサであって、
前記圧電素子の内周面と前記ウェイトの内周面は、前記金具側筒状部の外周面と環状の内部空間をもって配置されており、
前記固定部は、自身の外周側が前記ウェイト側へ向かって立ち下がり、軸方向断面からみてハの字状をなすと共に、前記金具側筒状部の外周面と前記圧電素子の内周面との間の前記内部空間に前記樹脂を流入させるための流路を当該固定部のうちで前記ウェイトの上面に接する部分よりも内側に有しており、前記流路は、前記第3貫通孔に連結する形態、及び、前記第3貫通孔と別体に設けられる形態の少なくとも一方の形態を有すると共に、前記固定部の周方向に沿って断続的に複数設けられていることを特徴とする非共振型ノッキングセンサ。
【請求項2】
前記固定部は、板状の1つの部材からなり、前記流路は板厚方向に貫通してなる請求項1に記載の非共振型ノッキングセンサ。
【請求項3】
前記固定部は、前記第3貫通孔を有して前記金具側筒状部の外周面に固定される固定側筒状部、および、該固定側筒状部における前記ウェイト側の端部から径方向外側に向かって延びるとともに、前記ウェイトを前記金具側鍔部に向かって押し付ける固定側鍔部を有し、
前記金具側筒状部の外周面に沿って延びる延伸流路が前記固定側筒状部に設けられ、該延伸流路は、前記流路に連結してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の非共振型ノッキングセンサ。
【請求項4】
前記固定側筒状部は、前記延伸流路が形成された領域以外の領域を前記金具側筒状部の外周面に固定されてなることを特徴とする請求項3に記載の非共振型ノッキングセンサ。
【請求項5】
前記金具側筒状部の外面には雄ネジ部が設けられ、
前記固定部は、前記金具側筒状部の前記雄ネジ部にネジ止めされるナット部、および、前記ナット部と前記ウェイトとの間に位置し、板厚方向に弾性的に撓んで前記ウェイトを前記金具側鍔部に向かって押し付ける座金部を有し、
前記流路は、前記座金部における前記ナット部より径方向外側の位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の非共振型ノッキングセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関におけるノッキング振動の検出に用いられる非共振型ノッキングセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関には、ノッキング現象を検出するノッキングセンサが配置されており、ノッキングセンサから出力された検出信号に応じて、ノッキング現象の発生を抑制する制御が行われている。具体的には、ノッキングセンサの出力信号に応じて、内燃機関における点火プラグの点火時期を変更する遅角制御が行われている。
【0003】
上記したノッキングセンサとしては、内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付孔を中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサが知られている(特許文献1)。このノッキングセンサは、筒状部とその一端に位置する鍔部とを有する主体金具を備え、筒状部の外周に鍔部側から順に、それぞれ環状の絶縁部材、圧電素子、及びウェイトを挿通して構成されている。そして、筒状部の外周面の雄ネジ部にウェイトをネジ止めすることによりウェイトを係止し、鍔部とウェイトとの間に圧電素子を挟んで固定している。さらに、主体金具に絶縁部材、圧電素子、ウェイト等を組み付けた内部部品(センサ本体)全体が樹脂によって被覆されることで、ノッキングセンサは構成されている。なお、筒状部の内面が上記した取付孔となっている。
ここで、筒状部の外周面と圧電素子の内周面との間に絶縁性を確保するために樹脂を流入させる通路として、ウェイトの雌ネジに軸方向に沿う複数の切欠部を設け、樹脂注入穴や樹脂注入溝を別途設けることを不要として製造コストの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−185414号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェイトは重量を確保すべく厚肉とされるため、一般に金属の鍛造及び切削加工、又は金属粉末の焼結によって製造される。このため、ウェイトに雌ネジ及び樹脂の流入通路となる切欠部を加工すると、加工コストが大幅に上昇し、かえってノッキングセンサの製造コストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、内部の絶縁性低下を抑制するとともに、製造コストの低減を図ることができる非共振型ノッキングセンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の非共振型ノッキングセンサは、筒状に形成された金具側筒状部、および、該金具側筒状部における一方の端部から径方向外側に向かって延びる金具側鍔部を含む主体金具と、第1貫通孔に前記金具側筒状部が挿通された圧電素子と、第2貫通孔に前記金具側筒状部が挿通され、前記金具側鍔部との間に前記圧電素子を挟んで配置されるウェイトと、第3貫通孔に前記金具側筒状部が挿通され、前記金具側筒状部の外周面に固定されつつ、前記ウェイトを前記金具側鍔部に向かって押し付けて固定する固定部と、を有するセンサ本体と、該センサ本体を樹脂で被覆して形成された樹脂成形体と、を備える非共振型ノッキングセンサであって、前記圧電素子の内周面と前記ウェイトの内周面は、前記金具側筒状部の外周面と環状の内部空間をもって配置されており、前記固定部は、自身の外周側が前記ウェイト側へ向かって立ち下がり、軸方向断面からみてハの字状をなすと共に、前記金具側筒状部の外周面と前記圧電素子の内周面との間の前記内部空間に前記樹脂を流入させるための流路を当該固定部のうちで前記ウェイトの上面に接する部分よりも内側に有しており、前記流路は、前記第3貫通孔に連結する形態、及び、前記第3貫通孔と別体に設けられる形態の少なくとも一方の形態を有すると共に、前記固定部の周方向に沿って断続的に複数設けられている。
この非共振型ノッキングセンサによれば、固定部にてウェイトを固定すると共に、固定部に樹脂の流入通路となる流路を設けているので、ウェイトに雌ネジ部や樹脂の流入通路となる切欠部を加工する必要がなく、内部の絶縁性低下を確実に抑制しつつ、製造コストを低減することができる。
なお、流路が「第3貫通孔に連結する形態」とは、固定部の外面から第3貫通孔に連結する形態(図4の固定側筒状部33tに設けられた延伸流路33r、延伸流路33rは固定側筒状部33tの外面から切り欠かれて第3貫通孔に連結している)、及び固定部の第3貫通孔の孔壁から径方向外側に向かって拡径した形態(図2の流路31r、及び図4の固定側鍔部33fに設けられた流路31r)の両方を含む。


【0007】
前記固定部は、板状の1つの部材からなり、前記流路は板厚方向に貫通していてもよい。
この非共振型ノッキングセンサによれば、固定部の部品点数を低減し、さらに製造コストを低減することができる。
【0008】
前記固定部は、前記第3貫通孔を有して前記金具側筒状部の外周面に固定される固定側筒状部、および、該固定側筒状部における前記ウェイト側の端部から径方向外側に向かって延びるとともに、前記ウェイトを前記金具側鍔部に向かって押し付ける固定側鍔部を有し、前記金具側筒状部の外周面に沿って延びる延伸流路が前記固定側筒状部に設けられ、該延伸流路は、前記流路に連結してもよい。
この非共振型ノッキングセンサによれば、固定側筒状部を金具側筒状部に挿入するので、固定側筒状部がガイドとなると共に金具側筒状部に広い面積で接し、固定部を精度よく、かつ確実に金具側筒状部に固定することができる。又、固定側筒状部に設けられた延伸流路は、金具側筒状部の外周面に沿って延びているため、金具側筒状部の軸方向に沿って樹脂が流入し易くなる。
【0009】
前記固定側筒状部は、前記延伸流路が形成された領域以外の領域を前記金具側筒状部の外周面に固定されてなってもよい。
この非共振型ノッキングセンサによれば、固定側筒状部が確実に金具側筒状部の外周面に固定されると共に、固定側筒状部のうち流路が形成された領域は金具側筒状部の外周面に固定されないので樹脂の流入を妨げることがない。
【0010】
前記金具側筒状部の外面には雄ネジ部が設けられ、前記固定部は、前記金具側筒状部の前記雄ネジ部にネジ止めされるナット部、および、前記ナット部と前記ウェイトとの間に位置し、板厚方向に弾性的に撓んで前記ウェイトを前記金具側鍔部に向かって押し付ける座金部を有し、前記流路は、前記座金部における前記ナット部より径方向外側の位置に設けられていてもよい。
この非共振型ノッキングセンサによれば、従来から用いられてきたナット部と座金部を用いることができるので、部品コストが低減すると共に、座金部の流路をナット部に干渉しない位置に設けているため、内部空間へ樹脂が流入し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、内部の絶縁性低下を抑制するとともに、製造コストの低減を図ることができる非共振型ノッキングセンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの外観を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの分解斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの分解斜視図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図3を参照し、本発明の第1の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサについて説明する。
図1は非共振型ノッキングセンサの外観を示し、図2は非共振型ノッキングセンサの分解斜視図を示し、図3は非共振型ノッキングセンサを軸方向に破断した断面図を示している。
図1において、非共振型ノッキングセンサ1は、内燃機関のシリンダブロック等へ取付けるための取付孔11(図2図3参照)を中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサである。非共振型ノッキングセンサ1は、樹脂モールド材料である合成樹脂(例えばナイロン66)製の樹脂成形体3により覆われている。この樹脂成形体3は、上部がテーパ状に成形された円柱形状の素子収納部5と、図示しない点火時期制御装置からのコネクタを接続するコネクタ部7とから構成されている。
図2及び図3に示すように、非共振型ノッキングセンサ1は、金属材料(例えばSPHD、SWCH25K)からなる主体金具9を備えており、主体金具9は、ボルトを挿通するための取付孔11を有する円筒形状の金具側筒状部13と、金具側筒状部13の一端部(図1の下側)から径方向外側に向かって延びる金具側鍔部15とを有している。金具側筒状部13の外周面には、雄ネジ部13sが設けられている。
この主体金具9の金具側鍔部15の厚み方向(面方向)の一面(図1の上面)側には、金具側筒状部13の外周に挿通される貫通孔(第1貫通孔)を有する環状(円筒形状)で、圧電セラミックス(例えばPZT)からなる圧電素子17が載置されている。
また、圧電素子17の上面側には、金具側筒状部13の外周に挿通される貫通孔(第2貫通孔)を有する環状(円筒形状)で、錘としての効果を発揮する比重を有する金属材料(例えばSMF4050)からなるウェイト19が載置されている。なお、ウェイト19の貫通孔の内面には雌ネジ部が設けられていない。
【0014】
金具側鍔部15と圧電素子17との間、及びウェイト19と圧電素子17との間、即ち圧電素子17の厚み方向の両側には、導電材料(例えば黄銅)からなる出力端子21、23が、それぞれ圧電素子17と接するように配置されている。なお、出力端子21、23のうち圧電素子17と接する部分は環状であり、この環状部の一端から径方向外側に、長片状のリード部が延びている。
また、金具側鍔部15と出力端子21との間、及び出力端子23とウェイト19との間には、絶縁性を有するフィルム状の合成樹脂(例えばPET)からなる環状の絶縁体25、27がそれぞれ配置され、出力端子21、23が主体金具9の鍔部15やウェイト19と短絡しないようにされている。
そして、圧電素子17とウェイト19と出力端子21、23(環状部分)と絶縁体25、27との内周面と、金具側筒状部13の外周面との間には、環状の内部空間20(図3参照)が形成されており、この環状の内部空間20にも上記樹脂が充填されている。
【0015】
更に、ウェイト19の上面側には、金具側筒状部13の外周に挿通される貫通孔31h(第3貫通孔)を有する環状(円板状)で、ウェイト19を金具側鍔部15方向(同図下方)へ押し付けて固定する固定部31が取り付けられている。
固定部31は、バネ性の金属材料(例えばSK−5M)からなり、貫通孔31hの内面に雌ネジ部31sが設けられている。さらに、貫通孔31hの径方向の4箇所にて、雌ネジ部31sより径方向外側にそれぞれ延び、自身の板厚方向に貫通する半円状の流路31rが形成され、上記内部空間20に樹脂を流入させる通路(図3の矢印参照)をなしている。
なお、主体金具9、圧電素子17、ウェイト19、固定部31、及び必要に応じて絶縁体25、27を、「センサ本体」と称する。又、軸方向を「面方向」とする。
【0016】
又、本実施形態では、固定部31は、自身の外周側がウェイト19側(同図下方)へ向かって立ち下がり、軸方向断面からみて「ハの字」状をなしている。このため、雌ネジ部31sにて固定部31が金具側筒状部13の外周面の雄ネジ部13sにネジ止め固定されつつ、固定部31の外周側が雌ネジ部31sよりも下方側でウェイト19の上面に接するようになり、固定部31の弾性によってウェイト19が固定部31に弾性的に押圧される。これにより、経時により絶縁体25、27がクリープ変形して上記センサ本体が面方向に収縮しても、固定部31が面方向に弾性的に膨らみ、ウェイト19と固定部31の間に隙間が生じることを防止し、ウェイト19を確実に固定することができる。
但し、絶縁体25、27としてクリープ変形し難い材料を選択した場合は、固定部31を「ハの字」状でなく平板状としてもよく、非共振型ノッキングセンサ全体のコストや使用環境に応じて絶縁体25、27の材料を選択すればよい。例えば、絶縁体25、27の材料として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)や、ポリエーテルサルフォン(PES)や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂を選択すれば、クリープ変形し難くなるが、コストが高くなる。一方、絶縁体25、27の材料として、PETを選択すれば、コストが低下するが、クリープ変形が大きくなる傾向にある。
【0017】
以上のように、本実施形態では、固定部31にてウェイト19を固定すると共に、固定部31に樹脂の流入通路となる流路31rを設けているので、ウェイト19に雌ネジ部や樹脂の流入通路となる切欠部を加工する必要がなく、内部の絶縁性低下を確実に抑制しつつ、非共振型ノッキングセンサ全体の製造コストを低減することができる。
又、固定部31の面方向に弾性を持たせてウェイト19を固定するようにすれば、経時により絶縁体25、27がクリープ変形してもウェイト19を確実に固定することができ、絶縁体25、27に低コストの材料を選択して非共振型ノッキングセンサ全体の製造コストをさらに低減することができる。
なお、流路31rの個数、形状、及び位置は上記に限定されず、流路31rは少なくとも1つ設けられていればよい。
【0018】
次に、図4図5を参照し、本発明の第2の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサについて説明する。なお、第2の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサ1Bは、固定部33の構成が異なること以外は、第1の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサ1と同一であるので、同一部分の構成には同一符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、ウェイト19の上面側には固定部33が取り付けられている。固定部33は、筒状に形成された固定側筒状部33tと、固定側筒状部33tにおけるウェイト19側の端部から径方向外側に向かって延びる固定側鍔部33fを有している。固定側筒状部33tの内側は金具側筒状部13の外周に挿通される貫通孔33hになっており、又、略円板状の固定側鍔部33fがウェイト19を金具側鍔部15方向(同図下方)へ押し付けて固定する。
固定部33は、バネ性の金属材料(例えばSK−5M)からなり、固定側筒状部33tの径方向に対向する2箇所にて、軸方向に切れ目(延伸流路33r)が形成され、この切れ目が固定側鍔部33fの径方向外側に向かって外周縁より内側の所定位置まで延びる流路31rに連結されている。この流路31rも固定部33の板厚方向に貫通し、上記内部空間20に樹脂を流入させる通路(図5の矢印参照)をなしている。
【0019】
以上のように、固定部33にてウェイト19を固定すると共に、固定部33に樹脂の流入通路となる延伸流路33rを設けているので、ウェイト19に雌ネジ部や樹脂の流入通路となる切欠部を加工する必要がなく、内部の絶縁性低下を確実に抑制しつつ、非共振型ノッキングセンサ全体の製造コストを低減することができる。又、第2の実施形態においては、固定側筒状部33tを金具側筒状部13に挿入するので、固定側筒状部33tがガイドとなると共に金具側筒状部13に広い面積で接し、固定部33を精度よく、かつ確実に金具側筒状部13の外周面に固定することができる。
ここで、第2の実施形態においては、金具側筒状部13の外周面に雄ネジ部13sが設けられず、貫通孔33hの内面にも雌ネジ部が設けられていない。そして、固定側筒状部33tを金具側筒状部13に挿入し、固定側鍔部33fにてウェイト19を下方へ押圧しつつ、固定側筒状部33tのうち、延伸流路33rが形成された領域以外の領域にて外側から溶接部Wにて溶接(レーザ溶接等)し、又は固定側筒状部33tのうち、延伸流路33rが形成された領域以外の領域を径方向内側に向かって加締めることで、固定側筒状部33tを金具側筒状部13の外周面に固定することができる。これにより、金具側筒状部13の外周面に雄ネジ部を加工する必要がなく、非共振型ノッキングセンサ全体の製造コストをより一層低減することができる。
なお、第2の実施形態においても、固定側鍔部33fを、自身の外周側がウェイト19側へ向かって立ち下がり、軸方向断面からみて「ハの字」状になるように形成してもよく、これにより絶縁体25、27がクリープ変形してもウェイト19を確実に固定することができることは既に説明したとおりである。
延伸流路33rの個数、形状、及び位置は上記に限定されず、延伸流路33rは少なくとも1つ設けられていればよい。又、固定側鍔部33fのみに流路を設けてもよいが、上記内部空間20に近い固定側筒状部33tにも延伸流路33rを設けると、樹脂を流入させ易くなる。
【0020】
次に、図6図7を参照し、本発明の第3の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサについて説明する。なお、第3の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサ1Cは、固定部35の構成が異なること以外は、第1の実施形態に係る非共振型ノッキングセンサ1と同一であるので、同一部分の構成には同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、ウェイト19の上面側には固定部35が取り付けられている。固定部35は、金具側筒状部13の雄ネジ部13sにネジ止めされる六角ナット(ナット部)35N、および、ナット部35Nとウェイト19との間に位置するワッシャ(座金部)35Wとを有している。ナット部35Nの内側は金具側筒状部13の外周に挿通される貫通孔35hになっていて、貫通孔35hの内面に雌ネジ部35sが設けられている。又、座金部35Wがウェイト19を金具側鍔部15方向(同図下方)へ押し付けて固定する。
座金部35Wは、バネ性の金属材料(例えばSK−5M)からなり、板厚方向に弾性的に撓むことが可能になっている。又、座金部35Wにおけるナット部35Nより径方向外側の周方向に沿った位置に、複数個の円孔状の流路35rが形成されている。この流路35rは座金部35Wの板厚方向に貫通し、上記内部空間20に樹脂を流入させる通路(図7の矢印参照)をなしている。なお、「ナット部35Nより径方向外側」とは、図7に示すナット部35Nの最大径(ナット部35Nの外接円)35Dよりも径方向外側に流路35rの少なくとも一部が位置していることをいう。これにより、ナット部35Nに干渉されずに外部から樹脂が流入し易くなる。
【0021】
以上のように、固定部35にてウェイト19を固定すると共に、固定部35に樹脂の流入通路となる流路35rを設けているので、ウェイト19に雌ネジ部や樹脂の流入通路となる切欠部を加工する必要がなく、内部の絶縁性低下を確実に抑制しつつ、非共振型ノッキングセンサ全体の製造コストを低減することができる。又、従来から用いられてきた汎用品でわるナット部35Nと座金部35Wを用いることができるので、部品コストが低減すると共に、座金部35Wの流路35rをナット部35Nに干渉しない位置に設けているため、内部空間20へ樹脂が流入し易くなる。
ここで、座金部35Wは、自身の外周側がウェイト19側へ向かって立ち下がり、軸方向断面からみて「ハの字」状になるように形成されているので、絶縁体25、27がクリープ変形してもウェイト19を確実に固定することができることは既に説明したとおりである。
流路35rの個数、形状、及び位置は上記に限定されず、流路35rは少なくとも1つ設けられていればよい。
【0022】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、固定部の形状は上記に限定されない。
【符号の説明】
【0023】
1、1B、1C 非共振型ノッキングセンサ
3 樹脂成形体
9 主体金具
13 金具側筒状部
13s 雄ネジ部
15 金具側鍔部
17 圧電素子
19 ウェイト
20 内部空間
31、33、35 固定部
31h、33h、35h 第3貫通孔
31r、35r 流路
33r 延伸流路
33t 固定側筒状部
33f 固定側鍔部
35N ナット部
35W 座金部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7