特許第5843970号(P5843970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5843970電池の最適充電のための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5843970
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】電池の最適充電のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20151217BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20151217BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20151217BHJP
【FI】
   H02J7/04 C
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-529051(P2014-529051)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公表番号】特表2014-526867(P2014-526867A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】FR2012051990
(87)【国際公開番号】WO2013034854
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】1157960
(32)【優先日】2011年9月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504462489
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ドゥ・フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】514057455
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ルソー・ディストリビュシオン・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】メラニー・ルーセル
(72)【発明者】
【氏名】ガイスカ・アルベルディ
【審査官】 田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02219278(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02355294(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0156651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的充電デバイス(TE)による、少なくとも1つの電気システム(VE)の電池(BAT)の最適化された充電方法であって、前記電池が、少なくとも1つのタイムインターバル(ΔTchg(i))中に、前記タイムインターバルに関連した充電電力レベル(Pk(i))を印加することによって充電され(400)、前記タイムインターバル(ΔTchg(i))が、電池充電システムを前記電気的充電デバイスに接続することによって開始される利用可能な充電期間(Td)内にあり、前記充電電力レベル(Pk(i))が、前記電気的充電デバイスに関連した負荷プロファイル(TLC)と、前記電池が前記電気的充電デバイスに接続されたとき前記電池に含まれている残留電気エネルギー(Ein)との関数として求められ(300)、前記負荷プロファイルが前記電気的充電デバイスの電気的電力負荷を時間の関数として示す、前記方法が、
前記利用可能な充電期間の連続したタイムインターバル(ΔT(i))にそれぞれ関連した電力値({TLC(i)}1≦i≦n)の第1セットを得るために、前記利用可能な充電期間(Td)にわたって前記負荷プロファイル(TLC)をサンプリングするステップ(311)と、
電力値({TTC(i)}1≦i≦n)の第2セットを得るために、前記電力値の第1セットの前記電力値({TLC(i)}1≦i≦n)を昇順にソートするステップ(313)とをさらに含み、
前記少なくとも1つのタイムインターバル(ΔTchg(i))が、前記電力値({TTC(i)}1≦i≦n)の第2セットの第1のk個の値にそれぞれ関連したk個の充電インターバルを含み、前記k個の充電インターバル中にそれぞれ印加される前記充電電力レベルが、前記電力値の第2セットのk+1番目の電力値(TTC(k+1))の関数として求められる、方法。
【請求項2】
前記k個の充電インターバル中に印加する前記充電電力レベルを求めるステップ(300)は、1の初期値から始まるインデックスkであって、前記求めるステップ(300)におけるランクkを定義するインデックスkがインクリメントされる間に実行される以下のステップ、
前記電力値の第2セットの前記第1のk個の値({TTC(i)}1≦i≦k)に関連した前記k個のタイムインターバルに対して、前記電力値の第2セットの前記k+1番目の電力値(TTC(k+1))と等しい、ランクkの電力値(TLCk(i))を関連付けるステップ(320)と、
前記電力値の第2セットの前記第1のk個の値({TTC(i)}1≦i≦k)と関連した前記k個のタイムインターバルのそれぞれについて、ランクkの充電電力レベル((Pk(i))を前記ランクkの電力値(TLCk(i))と、前記タイムインターバルに関連した前記電力値の第1セットの電力値(TLC(i))との間の差の関数として計算するステップ(330)と、
それらがそれぞれ関連付けられた前記k個のタイムインターバルの間の前記ランクkの充電電力レベル(Pk(i))を印加することによって得られる電気エネルギーの増加として、ランクkの電気エネルギー(Ek)を求めるステップ(340)と、
前記ランクkの電気エネルギー(Ek)と、前記電池(BAT)を充電するのに必要な電気エネルギー(E)とを比較するステップ(350)と、
前記ランクkの電気エネルギー(Ek)が、前記電池(BAT)を充電するのに必要な前記電気エネルギー(E)以下である場合にインデックスkをインクリメントするステップ(355)とを含む請求項1に記載の最適化された充電方法。
【請求項3】
前記電力値の第2セットの前記第1のk個の値({TTC(i)}1≦i≦k)に関連した前記k個のタイムインターバルのそれぞれについて、前記ランクkの関連した充電電力レベル(Pk(i))が、一方、予め定められた最大の電力値(Pmax)と、他方、前記ランクkの電力値(TLCk(i))と前記タイムインターバルに関連した前記第1セットの電力値(TLC(i))の差と、の間の最小値に等しい請求項2に記載の最適化された充電方法。
【請求項4】
前記ランクkの電気エネルギー(Ek)が前記電池(BAT)を充電するのに必要な前記電気エネルギー(E)より大きいとき、前記電力値の第2セットの前記第1のk個の値({TTC(i)}1≦i≦k)に関連した前記k個のタイムインターバルのそれぞれについて、前記ランクkの関連した充電電力レベル(Pk(i))が、一方、予め定められた最大の電力値(Pmax)と、他方、前記ランクk-1の充電電力レベル(Pk-1(i))に、前記必要な電気エネルギー(E)と前記ランクk-1の電気エネルギー(Ek-1)の間の差を前記数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しい(360)請求項2または3に記載の最適化された充電方法。
【請求項5】
前記ランクkの電気エネルギー(Ek)が前記電池(BAT)を充電するのに必要な前記電気エネルギー(E)以下であるとき、前記求めるステップ(300)は、前記第2セットの電力値の前記第1のk個の値に関連した前記k個のタイムインターバルの和に等しいランクkの充電期間(ΣΔTchg(k))と、利用可能な充電期間(Td)との間の比較(370)をさらに含み、前記インデックスkが、前記ランクkの充電期間(ΣΔTchg(k))が前記利用可能な充電期間(Td)以下の場合にだけインクリメントされる(355)請求項2から4のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項6】
前記ランクkの充電期間(ΣΔTchg(k))が前記利用可能な充電期間(Td)より長(370)、かつ、前記ランクkの電気エネルギー(Ek)が、前記電池(BAT)を充電するのに必要な前記電気エネルギー(E)から少なくとも所定の差だけ異なる(380)とき、前記求めるステップ(300)は、前記利用可能な充電期間(Td)のそれぞれの連続したタイムインターバル(ΔT(j))について、印加すべき充電電力レベルを計算するステップ(390)を含み、前記印加すべき充電電力レベルは、一方、予め定められた最大の電力値(Pmax)と、他方、前記タイムインターバルに関連したランクkの充電電力レベル(Pk(j))に、前記ランクkの電気エネルギー(Ek)と前記必要なエネルギー(E)の間の差を前記数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しい請求項5に記載の最適化された充電方法。
【請求項7】
前記電池を充電するステップ(400)が、充電電力レベル(Pk(i))が関連している前記充電インターバル(ΔTchg(i))のそれぞれについて、前記充電インターバルに関連した制限容量レベル(Plim(i))と、前記電力値の第1セットの電力値(TLC(i))に、前記充電インターバルに関連した前記充電電力レベル(Pk(i))を加えたものに等しい、予測された増加後の電力値(TLC+VE(i))との間の比較をさらに含み、前記充電インターバル中に前記充電電力レベル(Pk(i))が、前記予測された増加後の電力値(TLC+VE(i))が、前記充電インターバルに関連した制限容量レベル(Plim(i))未満である場合にだけ印加される請求項1から6のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項8】
前記予測された増加後の負荷プロファイルの電力値(TLC+VE(i))が前記充電インターバルに関連した前記制限容量レベル(Plim(i))以上であると発見された充電インターバル(ΔTchg(i))に対して前記関連した充電電力値(Pk(i))が、前記制限容量レベル(Plim(i))と、前記充電インターバル(ΔTchg(i))に関連した前記電力値の第2セットの電力値(TLC(i))との間の差に等しいように選択される請求項7に記載の最適化された充電方法。
【請求項9】
前記利用可能な充電期間(Td)が、前記電気システムのユーザによって与えられた充電終了時間(tD)において終了する請求項1から8のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項10】
前記電池(BAT)を満充電するのに必要な時間(T100)の総計の関数として前記利用可能な充電期間(Td)を事前に検証するステップ(200)と、前記利用可能な充電期間(Td)が、前記電池を満充電するのに必要な時間(T100)の総計より長い場合にだけ、前記少なくとも1つの充電インターバル(ΔTchg(i))中に前記電池を充電するステップ(400)とを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項11】
前記電池が、充電電力を調整され得て、メモリ効果を有しない請求項1から10のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項12】
電気的充電システムの処理ユニットによって実行されたとき請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
配電網(ENET)に接続され、電気的な電気車両(VE)の電池(BAT)に接続するのに適切な少なくとも1つの接続ポート(p1)を備える、少なくとも1台の電気車両(VE)を充電するように最適化された充電デバイス(TE)であって、前記電池(BAT)が前記最適化された充電デバイスの前記接続ポートに接続された後、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するように構成されている充電デバイス(TE)。
【請求項14】
少なくとも1台の電気車両(VE)を電気的に充電するための最適化された充電システム(SE)であって、配電網(ENET)と、前記配電網に接続された、請求項13に記載の少なくとも1つの電気的充電デバイス(TE)とを備える充電システム(SE)。
【請求項15】
前記電気的充電デバイスに接続された遠隔コンピュータシステムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するのに適切な処理ユニットを備える遠隔コンピュータシステムをさらに備える請求項14に記載の最適化された充電システム(SE)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の充電管理の分野に関し、詳細には、電気車両の電池の充電に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの電気システムが、電気エネルギーを蓄積するためのシステムを備えており、具体的には、1つまたは複数の電池と、充電のために配電網に接続可能な関連した充電システムとから成るシステムを備えている。
これらの電気システムには、充電プラグによって電源端子に接続可能な電気エネルギー蓄積システムを有する電気車両が含まれる。電源端子は、それぞれが配電網に接続されている。
通常、そのような電気システムの電池の充電は、この電池が配電網に接続された瞬間に始まり、この電池が配電網から切り離されたとき終了する。
電気車両の特定のケースでは、充電は、電気車両の充電プラグが電源端子に差し込まれた瞬間に始まって電気車両のプラグが抜かれるまで継続し、これは、車両のユーザが車両に対して求めるまで、または電池が満充電になるまで継続することを意味する。
しかし、このタイプの充電は、配電網に関係した制約、充電される電池、または充電される電気システムのユーザを考慮に入れないので最適ではない。
電源端子が接続される配電網の制約は、変圧器または配電ポイントの負荷曲線として表わすことができ、これは時間に対して一様ではない。たとえば、変圧器は、負荷がその定格容量を超過するとストレスがかかる。
変圧器に対する負荷が大きければ大きいほど、変圧器が、より加熱して経時変化が加速する。それに加えて、負荷が大きく変動すると、突然膨脹したり、機械的応力が生じたりすることがある。最終的に、この変圧器は、間隙が広がることによって、より大きくなる可能性がある。
充電される電池に関しては、電源端子に差し込まれたとき広範な充電レベルを有する可能性があり、これによって、電源端子から得られる必要な量の電気エネルギーが決まり、したがって満充電に達するのに必要な充電時間が決定される。
最後に、電気的充電システムのユーザの制約については、ユーザは、そのスケジュール次第で大幅に変化する時々に、システムに接続したり切り離したりする。電気システムが電気車両であるとき、車両の運転者が、そのスケジュール次第で自分の車両を駐車したり取り戻したりすることが、電源端子の利用可能な充電時間に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、配電網に関連した制約と、充電される電気システムのユーザに関連した制約との両方、ならびに充電される電池に関係した制約を考慮に入れて最適化された充電方法であって、配電網の充電デバイスのより優れた保護をもたらす充電方法を提案することにより、上記の不都合を克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明は、電気的充電デバイスによる、少なくとも1つの電気システムの電池の最適化された充電方法を提案するものであり、電池は、少なくとも1つの時間間隔中に、この時間間隔と関連した充電電力レベルを印加することによって充電され、この時間間隔は、電池充電システムを電気的充電デバイスに接続することによって開始される利用可能な充電時間帯の範囲内にあり、充電電力レベルは、前記電気的充電デバイスに関連した負荷曲線と、電池充電システムが充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーとの関数として求められる。
一実施形態では、この方法は、連続した時間間隔にそれぞれ関連した1組の負荷曲線の電力値を得るために、利用可能な充電時間帯にわたって負荷曲線をサンプリングするステップと、1組のソートされた負荷曲線の電力値を得るために、負荷曲線の電力値を昇順にソートするステップとを含み、
電気車両の電池は、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値にそれぞれ関連したk個の充電時間間隔中に充電され、前記k個の充電時間間隔中にそれぞれ印加される充電電力レベルは、k+1番目のソートされた負荷曲線の電力値の関数として求められる。
特に有利な一実施形態では、前記k個の充電時間間隔中に印加する充電電力レベルの割出しは、1の初期値から始まるインデックスkがインクリメントされる間に実行される以下のステップ、
ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値に関連したk個の時間間隔に対して、k+1番目のソートされた負荷曲線の電力値と等しい、ランクkの負荷曲線の電力値を関連付けるステップと、
ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値と関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、前記時間間隔と関連したランクkの充電電力レベルを計算するステップであって、ランクkの充電電力レベルが、ランクkの負荷曲線の電力値と、この時間間隔に関連した負荷曲線の電力値との間の差の関数として求められる、ステップと、
ランクkの充電電力レベルを、それらがそれぞれ関連付けられたk個の時間間隔にわたって印加することによって求められたランクkの電気エネルギーと、電池を充電するのに必要な電気エネルギーとを比較するステップと、
ランクkの電気エネルギーが、電池を充電するのに必要なエネルギー以下である場合に、インデックスkをインクリメントするステップとを含む。
一実施形態では、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値に関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、この時間間隔と関連したランクkの充電電力レベルは、一方、最大の負荷曲線の電力値と、他方、ランクkの負荷曲線の電力値とこの時間間隔に関連した負荷曲線の電力値の差と、の間の最小値に等しい。
別の実施形態では、ランクkの電気エネルギーが電池を充電するのに必要なエネルギーより大きいとき、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値に関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、この時間間隔と関連したランクkの充電電力レベルは、一方、最大の負荷曲線の電力値と、他方、ランクk-1の充電電力レベルに、必要なエネルギーとランクk-1の電気エネルギーの間の差を数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しい。
別の実施形態では、ランクkの電気エネルギーが、電池を充電するのに必要なエネルギー以下であるとき、この割出しは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値に関連したk個の時間間隔の総計に等しいランクkの充電期間と、利用可能な充電時間帯の期間との間の比較をさらに含み、インデックスkは、ランクkの充電期間が利用可能な充電時間帯の期間以下の場合にだけインクリメントされる。
具体的には、ランクkの充電期間が利用可能な充電時間帯の期間より長いとき、およびランクkの電気エネルギーが、電池を充電するのに必要なエネルギーから少なくとも所定の差だけ異なるとき、この割出しは、利用可能な時間帯のそれぞれの連続した時間間隔について、印加すべき充電電力レベルを計算するステップを含み、この充電電力レベルは、一方、最大負荷曲線の電力値と、他方、前記時間間隔に関連したランクkの電力レベルに、ランクkの電気エネルギーと必要なエネルギーの間の差を数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しい。
特定の一実施形態では、電池の充電は、充電電力レベルが関連している充電時間帯のそれぞれについて、この充電時間間隔に関連した制限容量レベルと、負荷曲線の電力値に、この充電時間間隔に関連した充電電力レベルを加えたものに等しい、予測された増加後の負荷曲線の電力値との間の比較をさらに含み、その充電電力レベルは、この充電時間間隔中、前記予測された増加後の負荷曲線の電力値が、この充電時間間隔に関連した制限容量レベル未満である場合にだけ印加される。
予測された増加後の負荷曲線の電力値が、この充電時間間隔に関連した制限容量レベル以上である各充電時間間隔と、この充電時間間隔に関連した制限容量レベルと負荷曲線の電力値の間の差に実質的に等しい充電電力値とが関連付けられていれば特に有利である。
一実施形態では、利用可能な充電時間帯は、電池充電システムが電気的充電デバイスに接続された瞬間と、電気車両のユーザによって与えられた充電終了時間に関する指標との関数として求められる。
別の実施形態では、この方法は、利用可能な充電時間帯を、電池を満充電するのに必要な時間長の関数として事前に検証するステップを含み、前記少なくとも1つの充電時間間隔中に電池は、利用可能な充電時間帯の期間が、電池を満充電するのに必要な時間長より長い場合にだけ充電される。
特定の一実施形態では、電池、特にリチウムイオン電池は、充電電力を調整され得て、実質的にメモリ効果を有しない。
【0005】
本発明は、電気的充電システムの処理ユニットによって実行されたとき、上記の方法のステップを実施するための命令を含むコンピュータプログラムをさらに提供するものである。そのようなプログラムは、本特許出願によって要求される保護の文脈内の製品と見なされることになっている。
【0006】
本発明により、配電網に接続され、電気車両の電池に接続するのに適切な少なくとも1つの接続ポートを備える、少なくとも1台の電気車両を充電するように最適化された充電デバイスも提供され、このデバイスは、電気車両の電池が最適化された充電デバイスの接続ポートに接続された後、上記の方法のステップを実施するように構成されている。
【0007】
最後に、本発明は、少なくとも1台の電気車両で構成されたフリート(fleet)を充電するように最適化された充電システムを提案するものであり、このシステムは、配電網と、前述のように前記配電網に接続された少なくとも1つの電気的充電デバイスとを備える。具体的には、このシステムには、電気的充電デバイスに接続され、上記の方法のステップを実行するのに適切な処理ユニットを備える遠隔コンピュータシステムがさらに含まれる。
【0008】
本発明の他の特徴および利点が、次の詳細な説明および添付図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による、電気車両を充電するための最適化されたシステムを示す図である。
図2】本発明による、電気車両を充電するための最適化された方法のステップを示す図である。
図3】本発明による最適化された充電方法の事前検証ステップの一実装形態を示す図である。
図4】本発明による最適化された充電方法において印加すべき電力レベルを求めるステップの一実装形態を示す図である。
図5】本発明の最適化された充電方法を用いることによって得られた良い影響を示すグラフを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明による、電気車両を充電するための最適化されたシステムを示す図1が最初に参照されることになる。
【0011】
図1のSEで示されるこの最適化された充電システムは、1つまたは複数の電気システムVEの電池BATを充電するための充電システムに接続するのに適切な少なくとも1つの電気的充電デバイスTEを備える。
図1には、単なる説明のために、単一の電気的充電デバイスTEおよび単一の電気システムVEが表されているが、最適化された充電システムSEは、任意の数の電気システムを充電することができるように任意の数の電気的充電デバイスを含むことができる。
この電気的充電デバイスTEは、それ自体が配電網ENETに接続されて充電に必要な電気エネルギーを取得するものであり、たとえば電力変圧器を含んでよい。したがって、デバイスTEは、配電網ENETによって供給される電力を用いて電気システムの電池BATを充電するために、電気システムの電池BATに接続するのに適切な1つまたは複数の接続ポートp1、...、plを有する。
電気システムVEは、電池充電システムと関連した1つまたは複数の電池BATを含む。この電気システムVEは、この電池BAT用の充電システムを、自分のスケジュールに従って電気的充電デバイスTEに対して接続したり切り離したりするユーザUによって使用される。
本発明が電気車両という特定のタイプの電気システムに対して特に有利な用途を有するので、図1は、単に説明のために、電気システムVEを電気車両として表す。この説明に役立つ実例では、電気車両VEは、電池BAT用の充電システムを、自分のスケジュールに従って電気的充電デバイスTEに対して接続したり切り離したりするユーザUによって運転される。そのような電気車両は、自動車、モペッド、または配電網から充電することができる電池を有する他の任意のシステムであり得る。
したがって、電気的充電システムVEの最適化では、図1で説明された最適化された充電システムに対して、
- 電気的充電デバイスTEと関連した負荷曲線などの、充電配電網に関係する制約、
- 電池BATの充電プロファイル、またはユーザUが電気的充電デバイスTEに電池BATを接続するとき、まだ電池に蓄積されている電気エネルギーなどの、充電される電池に関係する制約、および
- 電気的充電デバイスTEに対してユーザが電気システムを接続したり切り離したりする時間に影響を及ぼし、したがって電池BATに関する利用可能な充電時間に影響を及ぼす、ユーザU自身に、特にそのスケジュールに関係した制約、といった種々の制約が適用される。
本発明では、電気システムVEの電池BATは、利用可能な充電時間帯Td内の少なくとも1つの充電時間間隔ΔTchg(i)中に充電され、充電時間間隔ΔTchg(i)は、この電池BAT用の充電システムを電気的充電デバイスTEに接続することによって開始され、これによって、ユーザのスケジュールに関係する特定の制約に基づいてこの電池の充電を最適化することが可能になる。
充電時間間隔ΔTchg(i)は、電気的充電デバイスTEに関連した負荷曲線TLCの関数として求められ、このことも、電気的充電デバイスTEに関係する、したがって最適化された充電システムSEに関係する制約に従って電池BATの充電を最適化することを可能にする。
そのような負荷曲線TLCは、所与の瞬間に、たとえば予期された負荷変化に基づいて推定することができ、または時間内のその瞬間に、電気的充電デバイスTEの状態に従って、進行中の負荷最適化を保証するように、充電中に更新することができる。説明のために、負荷曲線TLCは、所定の負荷曲線モデルまたは電気的充電デバイスTEの負荷の記録された経過から計算された負荷曲線モデルに基づいて推定されてよい。負荷曲線TLCの更新は、電気的充電デバイスTEの負荷をリアルタイムサンプリングすることによって達成されてよい。そのような更新は、接続された多数の電池が同時に充電されていて、負荷曲線TLCの大きな変化をもたらす可能性がある場合には、特に好ましいものである。
【0012】
次に図2を参照すると、本発明による、電気システムの電池を充電するための最適化された方法のステップが示されている。
【0013】
この方法は、電気的充電デバイスTEによる1つまたは複数の電気システムVEの電池の最適化された充電に関するものであり、電気システムVEは、この充電を遂行するためにこの電気的充電デバイスTEに接続され得る充電システムに関連した電池BATを備える。以下では、説明のために単一の電気システムVEの最適化された充電が説明されるが、この方法は任意の数の電気システムの充電に適用することができる。
この方法は、最初に、利用可能な充電時間帯Tdを求めるステップ(ステップ100)を含んでよく、ステップ100は、電池BATの充電に利用可能な時間に影響を及ぼすユーザの制約、特にユーザのスケジュールを考慮に入れるために遂行されるものである。
したがって、電池BAT充電システムが電気的充電デバイスTEに接続された瞬間tAによって、利用可能な充電時間帯Tdの開始を決定することができる。言い換えれば、電池が接続されたときの瞬間tAに、利用可能な充電時間帯Tdが始まる。
利用可能な充電時間帯Tdの終了に対応する瞬間tDを求めるために、電気システムVEを切り離すと予想される時間(たとえばユーザが電気車両を取り戻す予定の時間)、たとえばユーザが仕事のために朝出かけると予期される時間を示すようにユーザに依頼することが有利である。ユーザUは、たとえばスマートフォンまたは使用している電気車両のダッシュボードの専用のウェブインターフェースを介して、この充電終了時間tDに関する指標を与えることができる。
一旦、この利用可能な充電時間帯Tdが決定されると、利用可能な充電時間帯Tdが十分にある場合に限って最適化された充電プロセスが始められるように、十分にあることをあらかじめ検証する(ステップ200)ことが有利である。利用可能な充電時間帯Tdが十分になければ、利用可能な充電時間帯Tdの全体を通じて従来の充電プロセスを実施する(ステップ250)ことができ、このことは以下で説明される。
【0014】
図3は、そのような事前検証ステップ200の一実施形態を示すものである。
この実施形態では、充電デバイスTEに接続されたとき電池BATに残っている残留電気エネルギーEinのレベルに対応して、部分的充電期間Txが最初に計算される(ステップ210)。
言い換えれば、この部分的充電期間Txは、電池BATを、エネルギーが空の状態(ゼロの充電状態SoC)から残留電気エネルギーEinのレベルまで充電するのに必要な時間に相当する。
接続した時間に入手可能な情報が、電池BATの充電状態SoC0から成る特別な場合には、残留電気エネルギーEinのこのレベルは、次の式(1)を用いてあらかじめ計算され、
(1) Ein=Eexpl・SoC0
ここで、
- Eexplは、この電池BATの使用可能容量であり、
- SoC0は、充電デバイスTEに接続されたとき(図4に示された時間tAを意味する)の電池BATの充電状態である。
次いで、次式(2)を用いて部分的充電期間Txが求められ、
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、
- ηBATは、電池BATの0〜100%の間の効率パラメータであり、
- ηchrgrは、この電池BAT用の充電器の、やはり0〜100%の間の効率パラメータであり、
- PFL(t)は、電池BATの、配電網から持ってくる充電プロファイルである。
【0017】
次いで、電池BATの充電プロファイルPFL(t)に基づいて、電池BATを空き状態(ゼロの充電状態SoC)から満充電するのに必要な時間に相当する十分な充電期間Tcompが求められる(ステップ220)。
具体的には、この充電期間Tcompは次の式(3)を用いて計算され、
【0018】
【数2】
【0019】
ここで、Emaxは、この満充電の最後に到達する電気エネルギーのレベルであり、一般に電池BATの最大充電レベルに相当する。しかし、本発明は、この場合に限定されることなく、Emaxが電池BATの最大充電レベルとは異なる特定の充電レベルに相当する電気エネルギーのレベルである場合にも適用することができる。
【0020】
部分的充電期間Txを求めるステップ210と十分な充電期間Tcompを求めるステップ220とは、必ずしも上記で示された順番で遂行されるわけではなく、十分な充電期間Tcompの割出しが部分的充電期間Txの割出しに先行することを意味する逆順でも、非常によく遂行され得る。
【0021】
一旦、期間TxおよびTcompが求められると、残留エネルギーEinを含んでいる電池BATの満充電を達成するのに必要な充電期間T100は、次式を用いて求めることができる(ステップ230)。
(4) T100=Tcomp-Tx
【0022】
次いで、満充電を完了するのに十分な時間があるかどうか判断するために、この期間T100が、利用可能な充電時間帯Tdの期間と比較され得る(ステップ240)。
この期間T100が利用可能な充電時間帯Tdの期間未満であれば、本発明による最適化された充電方法を適用することが有利に可能である。反対に、この期間T100が利用可能な充電時間帯Tdの期間より長ければ、電池BATの完全な充電は不可能である。
後者の場合、利用可能な充電時間帯Tdの全体を通じて、期間Txだけ短縮された充電プロファイルPFL(t)が適用される従来の充電を遂行することができ、この期間Td中の充電スケジュールがP(t)=PFL(Tx+t)に相当する充電電力に基づくことを意味する。
【0023】
図2に示されている最適化された充電方法に戻るために、利用可能な充電時間帯Tdを求めた後に、また、任意選択で、期間T100がこの利用可能な充電時間帯Tdの期間より短いことを検証した後に、次いで、電気的充電デバイスTEに電池BATの充電システムを接続することによって始まった利用可能な充電時間帯Td内の1つまたは複数の充電時間間隔ΔTchg(i)中にそれぞれ印加されることになる1つまたは複数の充電電力レベルPk(i)が求められ(ステップ300)、各充電時間間隔ΔTchg(i)について充電電力レベルPk(i)が求められ、前記充電時間間隔に関連付けられる。
充電電力レベルPk(i)の割出しは、電気的充電デバイスTEに関連した負荷曲線TLCと、電池が電気的充電デバイスに接続されたとき電池BATに含まれている残留電気エネルギーEinとの関数として遂行される。
次いで、電池BATは、各充電時間間隔ΔTchg(i)中に、それと関連した充電電力レベルPk(i)を印加することによって充電時間間隔ΔTchg(i)の間中充電される(ステップ400)。
したがって、電池BATの充電は、ユーザの(利用可能な充電時間帯Tdを反映した)制約と、配電網の(電気的充電デバイスTEの負荷曲線TLCを反映した)制約と、電気車両の(電気的充電デバイスTEに接続されたとき電池BATにまだ含まれている残留電気エネルギーEinを反映した)制約とを考慮に入れながら行なわれる。
【0024】
図4は、印加すべき電力レベルを求めるステップ300の一実装形態を示す。
【0025】
この割出しステップは、電気的充電デバイスTEに関連した負荷曲線TLCに基づいて昇順にソートされた負荷曲線の電力値のセット{TLC(i)}1≦i≦nの事前の割出し(ステップ310)を含む。
具体的には、この事前の割出しステップは、利用可能な充電時間帯Td内の連続した時間間隔ΔT(1)〜ΔT(n)にそれぞれが関連している負荷曲線の電力値TLC(1)〜TLC(n)のセット{TLC(i)}1≦i≦nを得るために、電気的充電デバイスTEと関連した負荷曲線TLCを、利用可能な充電時間帯Tdにわたってサンプリングするステップ(サブステップ311)を最初に含んでよい。
このサンプリングは、好ましくは充電時間間隔ΔTの期間に対応する所定の間隔で周期的なものである。次いで、負荷曲線の電力値TLC(i)が、利用可能な充電時間帯Td内に含まれているi番目の時間間隔ΔT(i)を示す時間インデックスiに関連付けられる。
このサンプリング段階の最後では、負荷曲線の電力値TLC(1)、...、TLC(i)、...、TLC(n)が、それぞれ一連の連続した時間間隔ΔT(1)、...、ΔT(i)、...、ΔT(n)に関連付けられ、これらの時間帯自体が、一連の時間インデックス1、...、i、....、nで示され、ΔT(i)=i*ΔTという関係を満たす。
この負荷曲線TLCのサンプリングにより、特に負荷曲線の電力値に関連したインデックスをソートするとき離散時間での動作が可能になり、コンピュータ化された手段を用いて、より容易に実現される。
一旦、負荷曲線TLCがサンプリングされると、次いで、ソートされた負荷曲線の電力値のセット{TTC(i)}1≦i≦nを得るように、負荷曲線の電力値TLC(1)〜TLC(n)が昇順にソートされ(サブステップ313)、これらのソートされた負荷曲線の電力値{TTC(i)}1≦i≦nのそれぞれが、前記時間間隔ΔT(1)〜ΔT(n)のうちの1つとそれぞれ関連付けられる。
単なる実例として、午前1時と午前7時の間で1時間ごとに負荷曲線をサンプリングすることによって得られたTLC(i)の値が、
TLC(1)=75kW
TLC(2)=80kW
TLC(3)=70kW
TLC(4)=65kW
TLC(5)=65kW
TLC(6)=60kW
TLC(7)=70kW
であれば、
TTC(1)=TLC(6)=60kW
TTC(2)=TLC(4)=65kW
TTC(3)=TLC(5)=65kW
TTC(4)=TLC(3)=70kW
TTC(5)=TLC(7)=70kW
TTC(6)=TLC(1)=75kWおよび
TTC(7)=TLC(2)=80kW、といったソートされた負荷曲線の電力値TTC(i)が得られる。
【0026】
このソートでは、いくつかの負荷曲線の電力値TLC(i)同一であると、たとえば発生順でそれらをソートすることができ、このことは、ソートされた負荷曲線の電力値にTTC(2)およびTTC(3)をそれぞれ与える値TLC(4)およびTLC(5)で上記に示されている。
一旦、ソートされた負荷曲線の電力値TTC(1)〜TTC(n)が得られると、次いで、電気車両の電池BATの残留電気エネルギーEinが求められる(ステップ315)。
前記車両が残留電気エネルギーEinを測定することができる場合、この残留電気エネルギーEinが、電気車両VEによってそのようなものとして通信される。しかし、電気車両VEが、電気的充電デバイスTEに接続されたとき、電池BATの残留充電状態SoC0を測定する場合には、次いで、残留電気エネルギーEinは、この残留充電状態SoC0に基づいて上記の式(1)を用いて計算され得る。
一旦、ソートされた負荷曲線の電力値TTC(1)〜TTC(n)および電池BATの残留電気エネルギーEinが得られると、次いで、連続した時間間隔ΔT(i)のうちの1つまたは複数の充電時間間隔中に印加すべき充電電力レベルPk(i)が、これらのパラメータを用いて求められる。
具体的には、ソートされた負荷曲線の電力値の第1の値TTC(1)に関連した時間間隔ΔT(i)に対応する第1の充電時間間隔ΔTchg(1)中に、少なくとも第1の充電電力レベルPk(1)が印加され、この第1の充電電力レベルは、上昇させることができるように、ソートされた負荷曲線の電力値の第2の値TTC(2)の関数として求められる。
より一般的には、k+1個のソートされた負荷曲線の電力値TTC(k)の関数として求められるk個の充電電力レベルPk(1)、...、Pk(k)が、それぞれ、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に関連したk個の時間間隔中に印加され、これによって、電気的充電デバイスTEの負荷曲線TLCの低負荷領域における電池BATの充電電力レベルを上昇させることができる。
これらの瞬間に電池の充電電力レベルを上昇させると、負荷曲線TLCに対する電気的充電デバイスTEの影響が制限され、この負荷曲線TLCの高負荷領域に関連したマイナスの効果が回避される。
図4に示された実施形態では、k個の充電電力レベルPk(1)、...、Pk(k)の割出しは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に関連した前記k個の時間間隔中に適用され、インデックスkの関数である反復プロセスを含み、前記インデックスは初期値1を有し、特定の状態が満たされない限りインクリメントされる。
【0027】
この反復プロセスは、インデックスkがインクリメントされたとき繰り返される、以下のステップを含む。
【0028】
・k個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれが、ソートされた負荷曲線の電力値のi番目の値TTC(i)に関連した時間間隔に関するTLCk(i)で示される、ソートされた負荷曲線のk+1番目の電力値TTC(k+1)に等しい、ソートされた負荷曲線の電力値のランクkにおける負荷曲線の電力値に関連付けられる(ステップ320)。
【0029】
この操作のために、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したすべての時間間隔に関して、ランクkの負荷曲線の電力値TLCk(i)が、k+1番目のソートされた負荷曲線の電力値TTC(k+1)のレベルに上昇される。
【0030】
・次に、k個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれに関して、ソートされた負荷曲線の電力値のランクkにおける充電電力レベルが計算され(ステップ330)、このレベルがi番目のソートされた負荷曲線の電力値TTC(i)に関連した時間間隔自体に関連付けられたとき、Pk(i)で示される。
【0031】
ここで、i番目のソートされた負荷曲線の電力値TTC(i)に関連した時間間隔に関して、ランクkの充電電力レベルPk(i)が、ランクkの負荷曲線の電力値TLCk(i)と、この時間間隔に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差の関数として求められる。
【0032】
有利な一実施形態では、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、この時間間隔に関連したランクkの充電電力レベルPk(i)は、一方、最大の負荷曲線の電力値Pmaxと、他方、ランクkの負荷曲線の電力値TLCk(i)とこの時間間隔に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)の差と、の間の最小値に等しい。
言い換えれば、ランクkの充電電力レベルPk(i)は次の式(5)を用いて計算される。
(5) Pk(i)=min(Pmax,TLCk(i)-TLC(i))
最大の負荷曲線の電力値Pmaxは、電池または契約された電力に依拠するパラメータである。
【0033】
したがって、この有利な実施形態では、電力レベルPk(i)が、常に、最大でもこの最大負荷曲線電力値Pmaxと等しく、このことによって、この閾値を超過しないことが保証される。
【0034】
・次いで、ランクkの充電電力レベルPk(i)を、それらがそれぞれ関連しているk個の時間間隔ΔTchg(1)、...、ΔTchg(k)にわたって印加することにより、Ekで示されるランクkの電気エネルギーが求められる(ステップ340)。
【0035】
このエネルギーEkは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値を上昇させることによって得ることができる電気エネルギーの増加に対応する。
具体的には、このエネルギーEkは、次の式(6)を用いて得ることができる。
【0036】
【数3】
【0037】
・次いで、このようにして求められたランクkの電気エネルギーEkが、電池BATを充電するのに必要な電気エネルギーEと比較される(ステップ350)。
【0038】
そのような必要な電気エネルギーEは、あらかじめ定義することができる。具体的には、必要な電気エネルギーEは、電池BATを満充電するのに必要なエネルギーであると定義することができる。この場合、必要な電気エネルギーEは、電池が電気的充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーEinに依拠する。より具体的には、必要な電気エネルギーEは、電池の最大充電レベルEmaxと、電池が電気的充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーEinとの間に差に等しい。
【0039】
・次いで、ランクkの電気エネルギーEkが電池を充電するのに必要なエネルギーE以下である場合、インデックスkがインクリメントされる(ステップ355)。
【0040】
一方、ランクkの電気エネルギーEkが電池を充電するのに必要なエネルギーEより大きい場合、インデックスkはインクリメントされず、充電電力レベルを得るための反復プロセスは、この時点で停止することになる。
第1の実施形態では、ここまでに得られた充電電力レベルPk(1)〜Pk(k)が、次いで、関連した時間間隔ΔTchg(1)〜ΔTchg(k)中にそれぞれ印加され得る。
【0041】
しかし、別の有利な実施形態では、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、この時間間隔に関連したランクkの充電電力レベルPk(i)が、一方、上記で定義された最大の負荷曲線の電力値Pmaxと、他方、この時間間隔に関連したランクk-1の充電電力レベルPk-1(i)に、必要な電気エネルギーEとランクk-1の電気エネルギーEk-1の間の差を数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しくなるように計算され得る(ステップ360)。
言い換えれば、関係するi番目の時間間隔に関して、ランクkの充電電力レベルPk(i)は次の式(7)を用いて計算される。
【0042】
【数4】
【0043】
この操作により、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連した時間間隔にわたって、ランクk-1の電気エネルギーEk-1と必要な電気エネルギーEとの間の必要な追加のエネルギーを公平に分配することが可能になる。
【0044】
ここまでに言及された、反復プロセスを継続すべきかどうか判断するための、ランクkの電気エネルギーEkと電池を充電するのに必要なエネルギーEとの比較に関係する条件は1つだけである。しかし、さらなる条件を追加するのが有利なことがある。
【0045】
有利な一実施形態では、ランクkの電気エネルギーEkが電池BATを充電するのに必要なエネルギーE以下であるとき、割出しプロセス300は、ΣΔTchgで示されるランクkの充電期間を利用可能な充電時間帯Tdの期間と比較するステップ(ステップ370)をさらに含んでよい。より具体的には、ランクkの充電期間ΣΔTchgは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値に関連したk個の時間間隔の総計に等しい。
具体的には、時間間隔ΔT(i)および充電時間間隔ΔTchg(i)が、周期的サンプリングの間の所定の間隔に相当する期間ΔTを有するとき、これは、インデックスkを連続した時間間隔ΔT(i)の数nと比較することを意味する。
次いで、kは、利用可能な充電期間の存続時間が、そのときまでに求められたk個の電力レベルPk(i)を、それらのk個のそれぞれの時間間隔にわたって印加し得るのに十分であることを意味する、ランクkの充電期間ΣΔTchgが利用可能な充電時間帯Tdの期間以下であるとき(言い換えれば、インデックスkが、ΔTごとの周期的サンプリングの場合の数n未満であるとき)のみインクリメントさる。
そうでなければ、つまり、ソートされた負荷曲線の容量値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に関連したk個の時間間隔の期間の合計が、利用可能な充電期間Tdの期間を超過する場合(言い換えればインデックスkが、ΔTごとの周期的サンプリングの数n以上である場合)には、この時点で反復プロセスが停止され、電池BATに印加すべき充電電力は、利用可能な充電期間Tdの全体にわたって調節される。
【0046】
一実施形態では、ここまでに得られた充電電力レベルPk(1)〜Pk(k)が、次いで、それぞれ関連付けられている時間間隔ΔTchg(1)〜ΔTchg(k)中にそれぞれ印加され得る。
しかし、別の実施形態では、この時点で、このランクkの電気エネルギーEkが、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEから少なくとも所定の差だけ異なるかどうか判断するために、ランクkの電気エネルギーEkを、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEと再び比較する(ステップ380)のが有利なことがある。
ランクkの電気エネルギーEkが、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEから実質的に異ならない場合、次いで、ここまでに得られた充電電力レベルPk(1)〜Pk(k)が、それぞれ関連付けられている時間間隔ΔTchg(1)〜ΔTchg(k)中にそれぞれ印加され得る。
反対に、ランクkの電気エネルギーEkが、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEから少なくとも所定の差だけ異なるとき、次いで、利用可能な時間期間Tdのそれぞれの連続した時間間隔ΔT(j)について、この時間間隔と関連したランクkの電力レベルPk(j)およびランクkの電気エネルギーEkと必要なエネルギーEとの間の差の関数として、印加すべき充電電力レベルが計算される(ステップ390)。
より具体的には、それぞれの連続した時間間隔ΔT(j)について、印加すべき充電電力レベルは、一方、最大の負荷曲線の電力値Pmaxと、他方、前記時間間隔に関連したランクkの電力レベルPk(j)に、ランクkの電気エネルギーEkと必要なエネルギーEの間の差を数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しい。
言い換えれば、関係するj番目の時間間隔に関して、ランクkの充電電力レベルPk(j)は次の式(8)を用いて計算される。
【0047】
【数5】
【0048】
したがって、この反復プロセスの最後で、特定の数k個の充電電力レベルPk(1)〜Pk(k)が、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に対応するk個の充電時間間隔ΔTchg(1)〜ΔTchg(k)の間に印加され、これらk個の充電時間間隔ΔTchg(1)〜ΔTchg(k)は、利用可能な充電期間Tdが充電すべき電気エネルギー量と比較して相対的に短ければ、場合により、利用可能な充電期間Tdの全体を対象として含む。
特定の一実施形態では、充電電力レベルPk(i)が制限容量レベルPlimを超過するのを防止することができ、制限容量レベルPlimは、負荷レベルがこの値を超過するのは不利であると考えて、たとえば電気的充電デバイスTEの定格負荷容量の50〜60%に有利に固定することができる。
この制限容量値Plimは、利用可能な充電期間の全体にわたって一定でも変化してもよく、変化する場合、制限容量値Plim(i)は各時間間隔ΔT(i)に関連付けられ、Plim(i)の値は、場合により、互いに異なるものである。
この実施形態では、k個の充電電力レベルPk(1)〜Pk(k)を求めた後、関連する充電電力レベルPk(i)を有する時間間隔ΔTchg(i)のそれぞれについて、時間間隔ΔTchg(i)に関連した制限容量レベルPlim(i)と、TLC+VE(i)で示される予測された増加後の負荷曲線の電力値とが比較され、この電力値は、時間間隔ΔTchg(i)に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)と、時間間隔ΔTchg(i)に関連した充電電力レベルPk(i)の総計に相当するものである。
時間間隔ΔTchg(i)の間に充電電力レベルPk(i)で充電が行なわれるのは、この時間間隔ΔTchg(i)に関連する予測された増加後の負荷曲線の電力値TLC+VE(i)が、制限容量レベルPlim(i)未満である場合、言い換えれば、本発明の最適化された充電方法を適用することにより、負荷曲線がこの制限容量レベルPlim(i)を越えて増加することのない場合のみである。
反対に、この時間間隔ΔTchg(i)に関連する予測された増加後の負荷曲線の電力値TLC+VE(i)が、制限容量レベルPlim(i)以上である場合には、求められた充電電力レベルPk(i)は印加されない。一実施形態では、次いで、この時間間隔ΔTchg(i)の間に充電が無効になる。別のより有利な実施形態では、次いで、充電電力値Pk(i)が、制限容量レベルPlim(i)と負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差に実質的に等しくなるように再計算され、時間間隔ΔTchg(i)に関連付けられる。
具体的には、増加した負荷曲線の値TLC+VE(i)が、制限容量レベルPlim(i)に達するのを許容できる場合、充電電力値Pk(i)が、制限容量レベルPlim(i)と負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差に等しくなり得て、時間間隔ΔTchg(i)に関連付けられる。
反対に、増加した負荷曲線の値TLC+VE(i)が制限容量レベルPlim(i)に達するのを許容できない場合、充電電力値Pk(i)が、制限容量レベルPlim(i)と負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差に等しくなり得て、時間間隔ΔTchg(i)に関連付けられ、増加した負荷曲線の値が、制限容量レベルPlim(i)にほぼ到達するが、それ以下になるように、小さな所定の電力差(たとえば約1kW)だけ低減される。
このようにして、電池BATの充電が、制限容量レベルPlimより大きい負荷曲線TLCの領域に入るのを防止することにより、この実施形態は、場合によっては電池BATの充電が不完全になっても、電気的充電デバイスTEを保護する。
【0049】
図5は、本発明の最適化された充電方法を用いたとき得られるプラスの効果を示すグラフである。
【0050】
このグラフは、変圧器に対する全日にわたる負荷曲線TLCならびに制限容量Plimのある期間にわたる変化を表す曲線を示すものであり、負荷曲線TLCが制限容量Plimを上回ると悪影響が生じ、制限容量レベルPlimは、ここでは80kWと定義されている。
午後6時のユーザの到着時間tA(すなわち電気車両VEが変圧器に接続された瞬間)および午前7時ごろのユーザの出発時間tD(すなわち電気車両VEが電源端子から切り離された瞬間)が示されており、間隔[tA;tD]に等しい利用可能な充電期間Tdを定義している。
このグラフの下部には、電池BATに印加される充電電力のある期間にわたる変化を表す曲線CRMが見られる。
負荷曲線TLCがその最小値をとる瞬間、または少なくとも制限容量レベルPlimを下回るとき、電池BATに印加される充電電力が主としてその最大になることが、この曲線CRMにおいて特に明らかである。
もたらされた負荷曲線もTLC+VEで示されている。このもたらされた負荷曲線から、車両VEの最適化された充電によって上昇されるのは、主に制限容量レベルPlimの下にある負荷曲線TLCの低点であり、これは利用可能な充電期間Tdの全体に沿って分散した負荷値に対して生じることが明らかである。したがって、本発明の方法によって負荷曲線TLCが平滑化される。
結果として、車両VEを充電することによって誘起される負荷曲線の増加は、主として負荷曲線TLCにおける最小限の負荷値に制限され、このことにより、期間[tA;tD]の全体にわたって充電が連続的に許容される場合と異なって、変圧器に対するマイナスの効果が制限される。本発明を用いると、電力の連続的な消費が必ず生じるのではなく、充電による消費電力が、電池の充電に必要なものだけに制限される。
【0051】
上記で説明された最適化された充電方法の種々のステップは、最適化された充電システムの処理ユニットによって実行するのに適切なプログラムによって実施され得て、たとえばコンピュータまたはデータプロセッサとして実施され、前記プログラムは、前述のように、方法のステップの実行を制御するための命令を含む。
具体的には、対象の処理ユニットは、電気車両の充電を局所的に管理するために、最適化された充電デバイスTEまたは電気システムVE内に配置されてよい。
または、対象の処理ユニットは、大きなフリートの場合に適切な、充電の中心的管理のために、最適化された充電デバイスTEから遠く、最適化された充電システムSEの一部分である遠隔コンピュータシステムの中に配置されてもよい。そのような場合、最適化された充電を管理するために、命令は、種々の通信網を介して、最適化された充電デバイスTEまたは電気システムVEに伝達される。
プログラムに関しては、任意のプログラミング言語を用いることができ、また、ソースコード、オブジェクトコード、もしくは部分的にコンパイルされた形態などのソースコードとオブジェクトコードの中間のコード、またはその他の望ましい形態であり得る。
本発明は、コンピュータまたはデータプロセッサによる読取りが可能な、前述のようなプログラムの命令を含んでいる媒体にも関する。この媒体は、プログラムを格納することができる任意の実体または装置でよい。たとえば、媒体は、たとえばCD-ROMもしくは超小形電子回路ROMといったROM、またはディスケットもしくはハードディスクなどの磁気記憶装置などの記憶媒体から成ってよい。
一方、媒体は、電気信号、光信号、電磁信号などの伝達可能な媒体でもよく、電気ケーブルまたは光ケーブルを介して、無線で、または他の手段によって伝達され得る。本発明によるプログラムは、具体的にはインターネットなどのネットワークを通じてダウンロードされてよい。あるいは、媒体は、プログラムを内蔵する集積回路でもよく、この回路は、対象となっている方法を実行するか、または実行するのに用いられるように適合されている。
本発明の最適化された充電方法は、メモリ効果、部分的充電の不都合または製造業者からの禁忌がない電池の充電を伴う用途に特に有利であり、このタイプの電池は、充電可能状態から充電不能状態への移行期間が短く、必ずしも100%に充電するわけではない。したがって、電池BATは、有利にはリチウムイオン電池であり得る。
もちろん、本発明は、上記に説明され図示された実施形態に制限されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および他の実装形態を思いつくことができる。
電気システムは、上記では電気車両の形で示されている。しかし、電気システムVEは、再充電可能電池を有する携帯電話など、電気エネルギーを蓄積するための容量を有する何らかの電気システムの形態を非常によくとることができる。
【符号の説明】
【0052】
VE 電気システム
U ユーザ
BAT 電池
P1 接続ポート
Pl 接続ポート
SE 最適化された充電システム
TE 電気的充電デバイス
ENET 配電網
図1
図2
図3
図4
図5