(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気的充電システムの処理ユニットによって実行されたとき請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための命令を含むコンピュータプログラム。
前記電気的充電デバイスに接続された遠隔コンピュータシステムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するのに適切な処理ユニットを備える遠隔コンピュータシステムをさらに備える請求項14に記載の最適化された充電システム(SE)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明による、電気車両を充電するための最適化されたシステムを示す
図1が最初に参照されることになる。
【0011】
図1のS
Eで示されるこの最適化された充電システムは、1つまたは複数の電気システムV
Eの電池BATを充電するための充電システムに接続するのに適切な少なくとも1つの電気的充電デバイスT
Eを備える。
図1には、単なる説明のために、単一の電気的充電デバイスT
Eおよび単一の電気システムV
Eが表されているが、最適化された充電システムS
Eは、任意の数の電気システムを充電することができるように任意の数の電気的充電デバイスを含むことができる。
この電気的充電デバイスT
Eは、それ自体が配電網E
NETに接続されて充電に必要な電気エネルギーを取得するものであり、たとえば電力変圧器を含んでよい。したがって、デバイスT
Eは、配電網E
NETによって供給される電力を用いて電気システムの電池BATを充電するために、電気システムの電池BATに接続するのに適切な1つまたは複数の接続ポートp
1、...、p
lを有する。
電気システムV
Eは、電池充電システムと関連した1つまたは複数の電池BATを含む。この電気システムV
Eは、この電池BAT用の充電システムを、自分のスケジュールに従って電気的充電デバイスT
Eに対して接続したり切り離したりするユーザUによって使用される。
本発明が電気車両という特定のタイプの電気システムに対して特に有利な用途を有するので、
図1は、単に説明のために、電気システムV
Eを電気車両として表す。この説明に役立つ実例では、電気車両V
Eは、電池BAT用の充電システムを、自分のスケジュールに従って電気的充電デバイスT
Eに対して接続したり切り離したりするユーザUによって運転される。そのような電気車両は、自動車、モペッド、または配電網から充電することができる電池を有する他の任意のシステムであり得る。
したがって、電気的充電システムV
Eの最適化では、
図1で説明された最適化された充電システムに対して、
- 電気的充電デバイスT
Eと関連した負荷曲線などの、充電配電網に関係する制約、
- 電池BATの充電プロファイル、またはユーザUが電気的充電デバイスT
Eに電池BATを接続するとき、まだ電池に蓄積されている電気エネルギーなどの、充電される電池に関係する制約、および
- 電気的充電デバイスT
Eに対してユーザが電気システムを接続したり切り離したりする時間に影響を及ぼし、したがって電池BATに関する利用可能な充電時間に影響を及ぼす、ユーザU自身に、特にそのスケジュールに関係した制約、といった種々の制約が適用される。
本発明では、電気システムV
Eの電池BATは、利用可能な充電時間帯Td内の少なくとも1つの充電時間間隔ΔT
chg(i)中に充電され、充電時間間隔ΔT
chg(i)は、この電池BAT用の充電システムを電気的充電デバイスT
Eに接続することによって開始され、これによって、ユーザのスケジュールに関係する特定の制約に基づいてこの電池の充電を最適化することが可能になる。
充電時間間隔ΔT
chg(i)は、電気的充電デバイスT
Eに関連した負荷曲線TLCの関数として求められ、このことも、電気的充電デバイスT
Eに関係する、したがって最適化された充電システムS
Eに関係する制約に従って電池BATの充電を最適化することを可能にする。
そのような負荷曲線TLCは、所与の瞬間に、たとえば予期された負荷変化に基づいて推定することができ、または時間内のその瞬間に、電気的充電デバイスT
Eの状態に従って、進行中の負荷最適化を保証するように、充電中に更新することができる。説明のために、負荷曲線TLCは、所定の負荷曲線モデルまたは電気的充電デバイスT
Eの負荷の記録された経過から計算された負荷曲線モデルに基づいて推定されてよい。負荷曲線TLCの更新は、電気的充電デバイスT
Eの負荷をリアルタイムサンプリングすることによって達成されてよい。そのような更新は、接続された多数の電池が同時に充電されていて、負荷曲線TLCの大きな変化をもたらす可能性がある場合には、特に好ましいものである。
【0012】
次に
図2を参照すると、本発明による、電気システムの電池を充電するための最適化された方法のステップが示されている。
【0013】
この方法は、電気的充電デバイスT
Eによる1つまたは複数の電気システムV
Eの電池の最適化された充電に関するものであり、電気システムV
Eは、この充電を遂行するためにこの電気的充電デバイスT
Eに接続され得る充電システムに関連した電池BATを備える。以下では、説明のために単一の電気システムV
Eの最適化された充電が説明されるが、この方法は任意の数の電気システムの充電に適用することができる。
この方法は、最初に、利用可能な充電時間帯Tdを求めるステップ(ステップ100)を含んでよく、ステップ100は、電池BATの充電に利用可能な時間に影響を及ぼすユーザの制約、特にユーザのスケジュールを考慮に入れるために遂行されるものである。
したがって、電池BAT充電システムが電気的充電デバイスT
Eに接続された瞬間t
Aによって、利用可能な充電時間帯Tdの開始を決定することができる。言い換えれば、電池が接続されたときの瞬間t
Aに、利用可能な充電時間帯Tdが始まる。
利用可能な充電時間帯Tdの終了に対応する瞬間t
Dを求めるために、電気システムV
Eを切り離すと予想される時間(たとえばユーザが電気車両を取り戻す予定の時間)、たとえばユーザが仕事のために朝出かけると予期される時間を示すようにユーザに依頼することが有利である。ユーザUは、たとえばスマートフォンまたは使用している電気車両のダッシュボードの専用のウェブインターフェースを介して、この充電終了時間t
Dに関する指標を与えることができる。
一旦、この利用可能な充電時間帯Tdが決定されると、利用可能な充電時間帯Tdが十分にある場合に限って最適化された充電プロセスが始められるように、十分にあることをあらかじめ検証する(ステップ200)ことが有利である。利用可能な充電時間帯Tdが十分になければ、利用可能な充電時間帯Tdの全体を通じて従来の充電プロセスを実施する(ステップ250)ことができ、このことは以下で説明される。
【0014】
図3は、そのような事前検証ステップ200の一実施形態を示すものである。
この実施形態では、充電デバイスT
Eに接続されたとき電池BATに残っている残留電気エネルギーE
inのレベルに対応して、部分的充電期間Txが最初に計算される(ステップ210)。
言い換えれば、この部分的充電期間Txは、電池BATを、エネルギーが空の状態(ゼロの充電状態SoC)から残留電気エネルギーE
inのレベルまで充電するのに必要な時間に相当する。
接続した時間に入手可能な情報が、電池BATの充電状態SoC
0から成る特別な場合には、残留電気エネルギーE
inのこのレベルは、次の式(1)を用いてあらかじめ計算され、
(1) E
in=E
expl・SoC
0
ここで、
- E
explは、この電池BATの使用可能容量であり、
- SoC
0は、充電デバイスT
Eに接続されたとき(
図4に示された時間t
Aを意味する)の電池BATの充電状態である。
次いで、次式(2)を用いて部分的充電期間Txが求められ、
【0016】
ここで、
- η
BATは、電池BATの0〜100%の間の効率パラメータであり、
- η
chrgrは、この電池BAT用の充電器の、やはり0〜100%の間の効率パラメータであり、
- PFL(t)は、電池BATの、配電網から持ってくる充電プロファイルである。
【0017】
次いで、電池BATの充電プロファイルPFL(t)に基づいて、電池BATを空き状態(ゼロの充電状態SoC)から満充電するのに必要な時間に相当する十分な充電期間Tcompが求められる(ステップ220)。
具体的には、この充電期間Tcompは次の式(3)を用いて計算され、
【0019】
ここで、E
maxは、この満充電の最後に到達する電気エネルギーのレベルであり、一般に電池BATの最大充電レベルに相当する。しかし、本発明は、この場合に限定されることなく、E
maxが電池BATの最大充電レベルとは異なる特定の充電レベルに相当する電気エネルギーのレベルである場合にも適用することができる。
【0020】
部分的充電期間Txを求めるステップ210と十分な充電期間Tcompを求めるステップ220とは、必ずしも上記で示された順番で遂行されるわけではなく、十分な充電期間Tcompの割出しが部分的充電期間Txの割出しに先行することを意味する逆順でも、非常によく遂行され得る。
【0021】
一旦、期間TxおよびTcompが求められると、残留エネルギーE
inを含んでいる電池BATの満充電を達成するのに必要な充電期間T
100は、次式を用いて求めることができる(ステップ230)。
(4) T
100=Tcomp-Tx
【0022】
次いで、満充電を完了するのに十分な時間があるかどうか判断するために、この期間T
100が、利用可能な充電時間帯Tdの期間と比較され得る(ステップ240)。
この期間T
100が利用可能な充電時間帯Tdの期間未満であれば、本発明による最適化された充電方法を適用することが有利に可能である。反対に、この期間T
100が利用可能な充電時間帯Tdの期間より長ければ、電池BATの完全な充電は不可能である。
後者の場合、利用可能な充電時間帯Tdの全体を通じて、期間Txだけ短縮された充電プロファイルPFL(t)が適用される従来の充電を遂行することができ、この期間Td中の充電スケジュールがP(t)=PFL(Tx+t)に相当する充電電力に基づくことを意味する。
【0023】
図2に示されている最適化された充電方法に戻るために、利用可能な充電時間帯Tdを求めた後に、また、任意選択で、期間T
100がこの利用可能な充電時間帯Tdの期間より短いことを検証した後に、次いで、電気的充電デバイスT
Eに電池BATの充電システムを接続することによって始まった利用可能な充電時間帯Td内の1つまたは複数の充電時間間隔ΔT
chg(i)中にそれぞれ印加されることになる1つまたは複数の充電電力レベルP
k(i)が求められ(ステップ300)、各充電時間間隔ΔT
chg(i)について充電電力レベルP
k(i)が求められ、前記充電時間間隔に関連付けられる。
充電電力レベルP
k(i)の割出しは、電気的充電デバイスT
Eに関連した負荷曲線TLCと、電池が電気的充電デバイスに接続されたとき電池BATに含まれている残留電気エネルギーE
inとの関数として遂行される。
次いで、電池BATは、各充電時間間隔ΔT
chg(i)中に、それと関連した充電電力レベルP
k(i)を印加することによって充電時間間隔ΔT
chg(i)の間中充電される(ステップ400)。
したがって、電池BATの充電は、ユーザの(利用可能な充電時間帯Tdを反映した)制約と、配電網の(電気的充電デバイスT
Eの負荷曲線TLCを反映した)制約と、電気車両の(電気的充電デバイスT
Eに接続されたとき電池BATにまだ含まれている残留電気エネルギーE
inを反映した)制約とを考慮に入れながら行なわれる。
【0024】
図4は、印加すべき電力レベルを求めるステップ300の一実装形態を示す。
【0025】
この割出しステップは、電気的充電デバイスT
Eに関連した負荷曲線TLCに基づいて昇順にソートされた負荷曲線の電力値のセット{TLC(i)}
1≦i≦nの事前の割出し(ステップ310)を含む。
具体的には、この事前の割出しステップは、利用可能な充電時間帯Td内の連続した時間間隔ΔT(1)〜ΔT(n)にそれぞれが関連している負荷曲線の電力値TLC(1)〜TLC(n)のセット{TLC(i)}
1≦i≦nを得るために、電気的充電デバイスT
Eと関連した負荷曲線TLCを、利用可能な充電時間帯Tdにわたってサンプリングするステップ(サブステップ311)を最初に含んでよい。
このサンプリングは、好ましくは充電時間間隔ΔTの期間に対応する所定の間隔で周期的なものである。次いで、負荷曲線の電力値TLC(i)が、利用可能な充電時間帯Td内に含まれているi番目の時間間隔ΔT(i)を示す時間インデックスiに関連付けられる。
このサンプリング段階の最後では、負荷曲線の電力値TLC(1)、...、TLC(i)、...、TLC(n)が、それぞれ一連の連続した時間間隔ΔT(1)、...、ΔT(i)、...、ΔT(n)に関連付けられ、これらの時間帯自体が、一連の時間インデックス1、...、i、....、nで示され、ΔT(i)=i*ΔTという関係を満たす。
この負荷曲線TLCのサンプリングにより、特に負荷曲線の電力値に関連したインデックスをソートするとき離散時間での動作が可能になり、コンピュータ化された手段を用いて、より容易に実現される。
一旦、負荷曲線TLCがサンプリングされると、次いで、ソートされた負荷曲線の電力値のセット{TTC(i)}
1≦i≦nを得るように、負荷曲線の電力値TLC(1)〜TLC(n)が昇順にソートされ(サブステップ313)、これらのソートされた負荷曲線の電力値{TTC(i)}
1≦i≦nのそれぞれが、前記時間間隔ΔT(1)〜ΔT(n)のうちの1つとそれぞれ関連付けられる。
単なる実例として、午前1時と午前7時の間で1時間ごとに負荷曲線をサンプリングすることによって得られたTLC(i)の値が、
TLC(1)=75kW
TLC(2)=80kW
TLC(3)=70kW
TLC(4)=65kW
TLC(5)=65kW
TLC(6)=60kW
TLC(7)=70kW
であれば、
TTC(1)=TLC(6)=60kW
TTC(2)=TLC(4)=65kW
TTC(3)=TLC(5)=65kW
TTC(4)=TLC(3)=70kW
TTC(5)=TLC(7)=70kW
TTC(6)=TLC(1)=75kWおよび
TTC(7)=TLC(2)=80kW、といったソートされた負荷曲線の電力値TTC(i)が得られる。
【0026】
このソートでは、いくつかの負荷曲線の電力値TLC(i)同一であると、たとえば発生順でそれらをソートすることができ、このことは、ソートされた負荷曲線の電力値にTTC(2)およびTTC(3)をそれぞれ与える値TLC(4)およびTLC(5)で上記に示されている。
一旦、ソートされた負荷曲線の電力値TTC(1)〜TTC(n)が得られると、次いで、電気車両の電池BATの残留電気エネルギーE
inが求められる(ステップ315)。
前記車両が残留電気エネルギーE
inを測定することができる場合、この残留電気エネルギーE
inが、電気車両V
Eによってそのようなものとして通信される。しかし、電気車両V
Eが、電気的充電デバイスT
Eに接続されたとき、電池BATの残留充電状態SoC
0を測定する場合には、次いで、残留電気エネルギーE
inは、この残留充電状態SoC
0に基づいて上記の式(1)を用いて計算され得る。
一旦、ソートされた負荷曲線の電力値TTC(1)〜TTC(n)および電池BATの残留電気エネルギーE
inが得られると、次いで、連続した時間間隔ΔT(i)のうちの1つまたは複数の充電時間間隔中に印加すべき充電電力レベルP
k(i)が、これらのパラメータを用いて求められる。
具体的には、ソートされた負荷曲線の電力値の第1の値TTC(1)に関連した時間間隔ΔT(i)に対応する第1の充電時間間隔ΔT
chg(1)中に、少なくとも第1の充電電力レベルP
k(1)が印加され、この第1の充電電力レベルは、上昇させることができるように、ソートされた負荷曲線の電力値の第2の値TTC(2)の関数として求められる。
より一般的には、k+1個のソートされた負荷曲線の電力値TTC(k)の関数として求められるk個の充電電力レベルP
k(1)、...、P
k(k)が、それぞれ、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に関連したk個の時間間隔中に印加され、これによって、電気的充電デバイスT
Eの負荷曲線TLCの低負荷領域における電池BATの充電電力レベルを上昇させることができる。
これらの瞬間に電池の充電電力レベルを上昇させると、負荷曲線TLCに対する電気的充電デバイスT
Eの影響が制限され、この負荷曲線TLCの高負荷領域に関連したマイナスの効果が回避される。
図4に示された実施形態では、k個の充電電力レベルP
k(1)、...、P
k(k)の割出しは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に関連した前記k個の時間間隔中に適用され、インデックスkの関数である反復プロセスを含み、前記インデックスは初期値1を有し、特定の状態が満たされない限りインクリメントされる。
【0027】
この反復プロセスは、インデックスkがインクリメントされたとき繰り返される、以下のステップを含む。
【0028】
・k個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれが、ソートされた負荷曲線の電力値のi番目の値TTC(i)に関連した時間間隔に関するTLC
k(i)で示される、ソートされた負荷曲線のk+1番目の電力値TTC(k+1)に等しい、ソートされた負荷曲線の電力値のランクkにおける負荷曲線の電力値に関連付けられる(ステップ320)。
【0029】
この操作のために、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したすべての時間間隔に関して、ランクkの負荷曲線の電力値TLC
k(i)が、k+1番目のソートされた負荷曲線の電力値TTC(k+1)のレベルに上昇される。
【0030】
・次に、k個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれに関して、ソートされた負荷曲線の電力値のランクkにおける充電電力レベルが計算され(ステップ330)、このレベルがi番目のソートされた負荷曲線の電力値TTC(i)に関連した時間間隔自体に関連付けられたとき、P
k(i)で示される。
【0031】
ここで、i番目のソートされた負荷曲線の電力値TTC(i)に関連した時間間隔に関して、ランクkの充電電力レベルP
k(i)が、ランクkの負荷曲線の電力値TLC
k(i)と、この時間間隔に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差の関数として求められる。
【0032】
有利な一実施形態では、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、この時間間隔に関連したランクkの充電電力レベルP
k(i)は、一方、最大の負荷曲線の電力値P
maxと、他方、ランクkの負荷曲線の電力値TLC
k(i)とこの時間間隔に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)の差と、の間の最小値に等しい。
言い換えれば、ランクkの充電電力レベルP
k(i)は次の式(5)を用いて計算される。
(5) P
k(i)=min(P
max,TLC
k(i)-TLC(i))
最大の負荷曲線の電力値P
maxは、電池または契約された電力に依拠するパラメータである。
【0033】
したがって、この有利な実施形態では、電力レベルP
k(i)が、常に、最大でもこの最大負荷曲線電力値P
maxと等しく、このことによって、この閾値を超過しないことが保証される。
【0034】
・次いで、ランクkの充電電力レベルP
k(i)を、それらがそれぞれ関連しているk個の時間間隔ΔT
chg(1)、...、ΔT
chg(k)にわたって印加することにより、E
kで示されるランクkの電気エネルギーが求められる(ステップ340)。
【0035】
このエネルギーE
kは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値を上昇させることによって得ることができる電気エネルギーの増加に対応する。
具体的には、このエネルギーE
kは、次の式(6)を用いて得ることができる。
【0037】
・次いで、このようにして求められたランクkの電気エネルギーE
kが、電池BATを充電するのに必要な電気エネルギーEと比較される(ステップ350)。
【0038】
そのような必要な電気エネルギーEは、あらかじめ定義することができる。具体的には、必要な電気エネルギーEは、電池BATを満充電するのに必要なエネルギーであると定義することができる。この場合、必要な電気エネルギーEは、電池が電気的充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーE
inに依拠する。より具体的には、必要な電気エネルギーEは、電池の最大充電レベルE
maxと、電池が電気的充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーE
inとの間に差に等しい。
【0039】
・次いで、ランクkの電気エネルギーE
kが電池を充電するのに必要なエネルギーE以下である場合、インデックスkがインクリメントされる(ステップ355)。
【0040】
一方、ランクkの電気エネルギーE
kが電池を充電するのに必要なエネルギーEより大きい場合、インデックスkはインクリメントされず、充電電力レベルを得るための反復プロセスは、この時点で停止することになる。
第1の実施形態では、ここまでに得られた充電電力レベルP
k(1)〜P
k(k)が、次いで、関連した時間間隔ΔT
chg(1)〜ΔT
chg(k)中にそれぞれ印加され得る。
【0041】
しかし、別の有利な実施形態では、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連したk個の時間間隔のそれぞれについて、この時間間隔に関連したランクkの充電電力レベルP
k(i)が、一方、上記で定義された最大の負荷曲線の電力値P
maxと、他方、この時間間隔に関連したランクk-1の充電電力レベルP
k-1(i)に、必要な電気エネルギーEとランクk-1の電気エネルギーE
k-1の間の差を数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しくなるように計算され得る(ステップ360)。
言い換えれば、関係するi番目の時間間隔に関して、ランクkの充電電力レベルP
k(i)は次の式(7)を用いて計算される。
【0043】
この操作により、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)、...、TTC(i)、...、TTC(k)に関連した時間間隔にわたって、ランクk-1の電気エネルギーE
k-1と必要な電気エネルギーEとの間の必要な追加のエネルギーを公平に分配することが可能になる。
【0044】
ここまでに言及された、反復プロセスを継続すべきかどうか判断するための、ランクkの電気エネルギーE
kと電池を充電するのに必要なエネルギーEとの比較に関係する条件は1つだけである。しかし、さらなる条件を追加するのが有利なことがある。
【0045】
有利な一実施形態では、ランクkの電気エネルギーE
kが電池BATを充電するのに必要なエネルギーE以下であるとき、割出しプロセス300は、ΣΔT
chgで示されるランクkの充電期間を利用可能な充電時間帯Tdの期間と比較するステップ(ステップ370)をさらに含んでよい。より具体的には、ランクkの充電期間ΣΔT
chgは、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値に関連したk個の時間間隔の総計に等しい。
具体的には、時間間隔ΔT(i)および充電時間間隔ΔT
chg(i)が、周期的サンプリングの間の所定の間隔に相当する期間ΔTを有するとき、これは、インデックスkを連続した時間間隔ΔT(i)の数nと比較することを意味する。
次いで、kは、利用可能な充電期間の存続時間が、そのときまでに求められたk個の電力レベルP
k(i)を、それらのk個のそれぞれの時間間隔にわたって印加し得るのに十分であることを意味する、ランクkの充電期間ΣΔT
chgが利用可能な充電時間帯Tdの期間以下であるとき(言い換えれば、インデックスkが、ΔTごとの周期的サンプリングの場合の数n未満であるとき)のみインクリメントさる。
そうでなければ、つまり、ソートされた負荷曲線の容量値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に関連したk個の時間間隔の期間の合計が、利用可能な充電期間Tdの期間を超過する場合(言い換えればインデックスkが、ΔTごとの周期的サンプリングの数n以上である場合)には、この時点で反復プロセスが停止され、電池BATに印加すべき充電電力は、利用可能な充電期間Tdの全体にわたって調節される。
【0046】
一実施形態では、ここまでに得られた充電電力レベルP
k(1)〜P
k(k)が、次いで、それぞれ関連付けられている時間間隔ΔT
chg(1)〜ΔT
chg(k)中にそれぞれ印加され得る。
しかし、別の実施形態では、この時点で、このランクkの電気エネルギーE
kが、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEから少なくとも所定の差だけ異なるかどうか判断するために、ランクkの電気エネルギーE
kを、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEと再び比較する(ステップ380)のが有利なことがある。
ランクkの電気エネルギーE
kが、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEから実質的に異ならない場合、次いで、ここまでに得られた充電電力レベルP
k(1)〜P
k(k)が、それぞれ関連付けられている時間間隔ΔT
chg(1)〜ΔT
chg(k)中にそれぞれ印加され得る。
反対に、ランクkの電気エネルギーE
kが、電池BATを充電するのに必要なエネルギーEから少なくとも所定の差だけ異なるとき、次いで、利用可能な時間期間Tdのそれぞれの連続した時間間隔ΔT(j)について、この時間間隔と関連したランクkの電力レベルP
k(j)およびランクkの電気エネルギーE
kと必要なエネルギーEとの間の差の関数として、印加すべき充電電力レベルが計算される(ステップ390)。
より具体的には、それぞれの連続した時間間隔ΔT(j)について、印加すべき充電電力レベルは、一方、最大の負荷曲線の電力値P
maxと、他方、前記時間間隔に関連したランクkの電力レベルP
k(j)に、ランクkの電気エネルギーE
kと必要なエネルギーEの間の差を数kで割った値を加えたものと、の間の最小値に等しい。
言い換えれば、関係するj番目の時間間隔に関して、ランクkの充電電力レベルP
k(j)は次の式(8)を用いて計算される。
【0048】
したがって、この反復プロセスの最後で、特定の数k個の充電電力レベルP
k(1)〜P
k(k)が、ソートされた負荷曲線の電力値のk個の第1の値TTC(1)〜TTC(k)に対応するk個の充電時間間隔ΔT
chg(1)〜ΔT
chg(k)の間に印加され、これらk個の充電時間間隔ΔT
chg(1)〜ΔT
chg(k)は、利用可能な充電期間Tdが充電すべき電気エネルギー量と比較して相対的に短ければ、場合により、利用可能な充電期間Tdの全体を対象として含む。
特定の一実施形態では、充電電力レベルP
k(i)が制限容量レベルP
limを超過するのを防止することができ、制限容量レベルP
limは、負荷レベルがこの値を超過するのは不利であると考えて、たとえば電気的充電デバイスT
Eの定格負荷容量の50〜60%に有利に固定することができる。
この制限容量値P
limは、利用可能な充電期間の全体にわたって一定でも変化してもよく、変化する場合、制限容量値P
lim(i)は各時間間隔ΔT(i)に関連付けられ、P
lim(i)の値は、場合により、互いに異なるものである。
この実施形態では、k個の充電電力レベルP
k(1)〜P
k(k)を求めた後、関連する充電電力レベルP
k(i)を有する時間間隔ΔT
chg(i)のそれぞれについて、時間間隔ΔT
chg(i)に関連した制限容量レベルP
lim(i)と、TLC+VE(i)で示される予測された増加後の負荷曲線の電力値とが比較され、この電力値は、時間間隔ΔT
chg(i)に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)と、時間間隔ΔT
chg(i)に関連した充電電力レベルP
k(i)の総計に相当するものである。
時間間隔ΔT
chg(i)の間に充電電力レベルP
k(i)で充電が行なわれるのは、この時間間隔ΔT
chg(i)に関連する予測された増加後の負荷曲線の電力値TLC+VE(i)が、制限容量レベルP
lim(i)未満である場合、言い換えれば、本発明の最適化された充電方法を適用することにより、負荷曲線がこの制限容量レベルP
lim(i)を越えて増加することのない場合のみである。
反対に、この時間間隔ΔT
chg(i)に関連する予測された増加後の負荷曲線の電力値TLC+VE(i)が、制限容量レベルP
lim(i)以上である場合には、求められた充電電力レベルP
k(i)は印加されない。一実施形態では、次いで、この時間間隔ΔT
chg(i)の間に充電が無効になる。別のより有利な実施形態では、次いで、充電電力値P
k(i)が、制限容量レベルP
lim(i)と負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差に実質的に等しくなるように再計算され、時間間隔ΔT
chg(i)に関連付けられる。
具体的には、増加した負荷曲線の値TLC+VE(i)が、制限容量レベルP
lim(i)に達するのを許容できる場合、充電電力値P
k(i)が、制限容量レベルP
lim(i)と負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差に等しくなり得て、時間間隔ΔT
chg(i)に関連付けられる。
反対に、増加した負荷曲線の値TLC+VE(i)が制限容量レベルP
lim(i)に達するのを許容できない場合、充電電力値P
k(i)が、制限容量レベルP
lim(i)と負荷曲線の電力値TLC(i)との間の差に等しくなり得て、時間間隔ΔT
chg(i)に関連付けられ、増加した負荷曲線の値が、制限容量レベルP
lim(i)にほぼ到達するが、それ以下になるように、小さな所定の電力差(たとえば約1kW)だけ低減される。
このようにして、電池BATの充電が、制限容量レベルP
limより大きい負荷曲線TLCの領域に入るのを防止することにより、この実施形態は、場合によっては電池BATの充電が不完全になっても、電気的充電デバイスT
Eを保護する。
【0049】
図5は、本発明の最適化された充電方法を用いたとき得られるプラスの効果を示すグラフである。
【0050】
このグラフは、変圧器に対する全日にわたる負荷曲線TLCならびに制限容量P
limのある期間にわたる変化を表す曲線を示すものであり、負荷曲線TLCが制限容量P
limを上回ると悪影響が生じ、制限容量レベルP
limは、ここでは80kWと定義されている。
午後6時のユーザの到着時間t
A(すなわち電気車両V
Eが変圧器に接続された瞬間)および午前7時ごろのユーザの出発時間t
D(すなわち電気車両V
Eが電源端子から切り離された瞬間)が示されており、間隔[t
A;t
D]に等しい利用可能な充電期間Tdを定義している。
このグラフの下部には、電池BATに印加される充電電力のある期間にわたる変化を表す曲線CRMが見られる。
負荷曲線TLCがその最小値をとる瞬間、または少なくとも制限容量レベルP
limを下回るとき、電池BATに印加される充電電力が主としてその最大になることが、この曲線CRMにおいて特に明らかである。
もたらされた負荷曲線もTLC+VEで示されている。このもたらされた負荷曲線から、車両V
Eの最適化された充電によって上昇されるのは、主に制限容量レベルP
limの下にある負荷曲線TLCの低点であり、これは利用可能な充電期間Tdの全体に沿って分散した負荷値に対して生じることが明らかである。したがって、本発明の方法によって負荷曲線TLCが平滑化される。
結果として、車両V
Eを充電することによって誘起される負荷曲線の増加は、主として負荷曲線TLCにおける最小限の負荷値に制限され、このことにより、期間[t
A;t
D]の全体にわたって充電が連続的に許容される場合と異なって、変圧器に対するマイナスの効果が制限される。本発明を用いると、電力の連続的な消費が必ず生じるのではなく、充電による消費電力が、電池の充電に必要なものだけに制限される。
【0051】
上記で説明された最適化された充電方法の種々のステップは、最適化された充電システムの処理ユニットによって実行するのに適切なプログラムによって実施され得て、たとえばコンピュータまたはデータプロセッサとして実施され、前記プログラムは、前述のように、方法のステップの実行を制御するための命令を含む。
具体的には、対象の処理ユニットは、電気車両の充電を局所的に管理するために、最適化された充電デバイスT
Eまたは電気システムV
E内に配置されてよい。
または、対象の処理ユニットは、大きなフリートの場合に適切な、充電の中心的管理のために、最適化された充電デバイスT
Eから遠く、最適化された充電システムS
Eの一部分である遠隔コンピュータシステムの中に配置されてもよい。そのような場合、最適化された充電を管理するために、命令は、種々の通信網を介して、最適化された充電デバイスT
Eまたは電気システムV
Eに伝達される。
プログラムに関しては、任意のプログラミング言語を用いることができ、また、ソースコード、オブジェクトコード、もしくは部分的にコンパイルされた形態などのソースコードとオブジェクトコードの中間のコード、またはその他の望ましい形態であり得る。
本発明は、コンピュータまたはデータプロセッサによる読取りが可能な、前述のようなプログラムの命令を含んでいる媒体にも関する。この媒体は、プログラムを格納することができる任意の実体または装置でよい。たとえば、媒体は、たとえばCD-ROMもしくは超小形電子回路ROMといったROM、またはディスケットもしくはハードディスクなどの磁気記憶装置などの記憶媒体から成ってよい。
一方、媒体は、電気信号、光信号、電磁信号などの伝達可能な媒体でもよく、電気ケーブルまたは光ケーブルを介して、無線で、または他の手段によって伝達され得る。本発明によるプログラムは、具体的にはインターネットなどのネットワークを通じてダウンロードされてよい。あるいは、媒体は、プログラムを内蔵する集積回路でもよく、この回路は、対象となっている方法を実行するか、または実行するのに用いられるように適合されている。
本発明の最適化された充電方法は、メモリ効果、部分的充電の不都合または製造業者からの禁忌がない電池の充電を伴う用途に特に有利であり、このタイプの電池は、充電可能状態から充電不能状態への移行期間が短く、必ずしも100%に充電するわけではない。したがって、電池BATは、有利にはリチウムイオン電池であり得る。
もちろん、本発明は、上記に説明され図示された実施形態に制限されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および他の実装形態を思いつくことができる。
電気システムは、上記では電気車両の形で示されている。しかし、電気システムV
Eは、再充電可能電池を有する携帯電話など、電気エネルギーを蓄積するための容量を有する何らかの電気システムの形態を非常によくとることができる。