特許第5843971号(P5843971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5843971電池の最適充電のための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5843971
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】電池の最適充電のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20151217BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20151217BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20151217BHJP
【FI】
   H02J7/04 C
   H02J7/00 P
   B60L11/18 C
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-529052(P2014-529052)
(86)(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公表番号】特表2014-526868(P2014-526868A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】FR2012051992
(87)【国際公開番号】WO2013034856
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】1157961
(32)【優先日】2011年9月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504462489
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ドゥ・フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】514057455
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ルソー・ディストリビュシオン・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】メレーヌ・ルーセル
(72)【発明者】
【氏名】ガイスカ・アルベルディ
【審査官】 田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−004674(JP,A)
【文献】 特表2013−500693(JP,A)
【文献】 特開2000−209707(JP,A)
【文献】 特表2010−539866(JP,A)
【文献】 特開2010−110044(JP,A)
【文献】 特開2011−182518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的充電デバイス(TE)による、少なくとも1つの電気システム(VE)の電池(BAT)の最適化された充電方法であって、前記電池が、電池充電システム前記電気的充電デバイスへの接続によって開始される利用可能な充電時間間隔(Td)の範囲内の充電時間間隔(Tc)中に充電され(500)、充電の開始時間(tdc)に始まる前記充電時間間隔が、前記電気的充電デバイス負荷プロファイル(TLC)と、負荷の制限容量レベル(Plim)と、前記電池充電システムが前記電気的充電デバイスに接続されたとき前記電池に含まれている残留電気エネルギーのレベル(Ein)との関数として求められ(400)、前記負荷プロファイルが前記電気的充電デバイスの電気的電力負荷を時間の関数として示す、方法。
【請求項2】
前記充電時間間隔(Tc)の期間(T100)が、前記電池充電システムが前記電気的充電デバイスに接続されたとき前記電池に含まれている残留電気エネルギーのレベル(Ein)の関数として求められる(200)請求項1に記載の最適化された充電方法。
【請求項3】
前記充電時間間隔(Tc)の前記期間(T100)が、前記電池を電気エネルギーの所望レベル(E)まで充電するのに必要な時間の総計に相当する充電期間(Tcomp)と、前記電池を残留電気エネルギーのレベル(Ein)まで充電するのに必要な時間の総計に相当する部分的充電期間(Tx)の間の差に等しい請求項2に記載の最適化された充電方法。
【請求項4】
前記電気エネルギーの所望レベル(E)が前記電池の最大充電レベル(Emax)である請求項3に記載の最適化された充電方法。
【請求項5】
前記充電の開始時間(tdc)を求めるステップ(400)が、
複数の連続した可能な充電の開始時間(tpdc(k))について、前記負荷プロファイル(TLC)と前記負荷の制限容量レベル(Plim)の間の差の関数として定義される、可能な負荷パラメータ(Ak)を計算するステップ(420)と、
すべての前記計算された可能な負荷パラメータの中で最大値の前記可能な負荷パラメータ(Akmax)を有する前記可能な充電の開始時間(tpdc(kmax))として前記充電の開始時間(tdc)を選択するステップ(430)とを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項6】
計算(420)が、可能な充電の開始時間(tpdc(k))に関して、
前記可能な時点(tpdc(k))に関連した前記可能な負荷パラメータ(Ak)を、前記負荷プロファイル(TLC)と前記負荷の制限容量レベル(Plim)の間の差の関数として計算するステップ(421)と、
前記可能な充電の開始時間(tpdc(k))と前記利用可能な充電時間間隔(Td)の終了時間(tD)とによって定義されるタイムインターバル前記充電時間間隔(Tc)の期間(T100)と比較するステップ(423)と
を含む反復計算であり、
前記反復計算(420)が、複数の連続した可能な充電の開始時間の中の各時点(tpdc(k))に関して、発生順に、前記可能な充電の開始時間(tpdc(k))と前記終了時間(tD)とによって定義される前記タイムインターバルが、前記充電時間間隔(Tc)の前記期間(T100)未満になるまで実行される請求項2または5に記載の最適化された充電方法。
【請求項7】
前記充電の開始時間(tdc)を求めるステップ(400)が、n個の連続した可能な充電の開始時間({tpdc(i)} 1≦i≦n)においてそれぞれ始まるn個のタイムインターバル({ΔT(i)} 1≦i≦n)にそれぞれ関連した1組のn個の負荷プロファイルの電力値({TLC(i)} 1≦i≦n)を得るために、前記利用可能な充電時間間隔(Td)にわたって前記負荷プロファイル(TLC)をサンプリングするステップ(411)をさらに含み、
可能な充電の開始時間(tpdc(k))に関連した前記可能な負荷パラメータ(Ak)が、前記可能な充電の開始時間から始まる複数の連続したタイムインターバルの中の各タイムインターバル(ΔT(i))についての、前記制限容量レベル(Plim)と前記タイムインターバルに関連した前記負荷プロファイルの電力値(TLC(i))の間のそれぞれの差の総計に等しい請求項1から6のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項8】
前記求めるステップ(400)が、n個の連続した可能な充電の開始時間({tpdc(i)} 1≦i≦n)においてそれぞれ始まる前記n個のタイムインターバル({ΔT(i)}1≦i≦n)にそれぞれ関連した1組のn個の制限容量レベル値({Plim(i)}1≦i≦n)を得るために、前記利用可能な充電時間間隔(Td)にわたって負荷の制限容量プロファイル(Plim(t))をサンプリングするステップ(413)をさらに含み、
可能な充電の開始時間(tpdc(k))に関連した前記可能な負荷パラメータ(Ak)が、前記可能な充電の開始時間から始まる複数の連続したタイムインターバルの中の各タイムインターバル(ΔT(i))についての、前記制限容量レベル値(Plim(i))と前記タイムインターバルに関連した前記負荷プロファイルの電力値(TLC(i))の間のそれぞれの差の総計に等しい請求項7に記載の最適化された充電方法。
【請求項9】
前記利用可能な充電時間間隔(Td)が、前記電池(BAT)の充電システム前記電気的充電デバイス(TE)への接続で開始され、電気車両のユーザによって与えられた終了時間(tD)において終了する、ものとして求められる(100)請求項1から8のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項10】
前記利用可能な充電時間間隔(Td)を、前記充電時間間隔(Tc)の期間(T100)の関数として事前に検証するステップ(300)を含み、前記電池に対する前記充電の開始時間(tdc)を求めるステップ(400)が、前記利用可能な充電時間間隔(Td)が前記充電時間間隔(Tc)の前記期間(T100)より長い場合にだけ行なわれる請求項1から9のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項11】
前記電池(BAT)が、メモリ効果を有する電池のクラスに属するものである請求項1から10のいずれか一項に記載の最適化された充電方法。
【請求項12】
電気的充電システムの処理ユニットによって実行されたとき請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項13】
配電網(ENET)に接続され、電気車両(VE)の電池(BAT)に接続するのに適切な少なくとも1つの接続ポート(p1)を備える、少なくとも1台の電気車両を充電するように最適化された充電デバイス(TE)であって、電気車両(VE)の前記電池(BAT)の前記最適化された充電デバイスの前記接続ポートへの接続後、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するように構成されている充電デバイス(TE)。
【請求項14】
電気車両(VE)を電気的に充電するための最適化された充電システム(SE)であって、配電網(ENET)と、前記配電網に接続された、請求項13に記載の少なくとも1つの電気的充電デバイス(TE)とを備える充電システム(SE)。
【請求項15】
前記電気的充電デバイスに接続された遠隔コンピュータシステムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するのに適切な処理ユニットを備える遠隔コンピュータシステムをさらに備える請求項14に記載の最適化された充電システム(SE)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の充電管理の分野に関し、詳細には、電気車両の電池の充電に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの電気システムが、電気エネルギーを蓄積するためのシステムを備えており、具体的には、1つまたは複数の電池と、充電のために配電網に接続可能な関連した充電システムとから成るシステムを備えている。
これらの電気システムには、充電プラグによって電源端子に接続可能な電気エネルギー蓄積システムを有する電気車両が含まれる。電源端子は、それぞれが配電網に接続されている。
通常、そのような電気システムの電池の充電は、この電池が配電網に接続された瞬間に始まり、この電池が配電網から切り離されたとき終了する。
電気車両の特定のケースでは、充電は、電気車両の充電プラグが電源端子に差し込まれた瞬間に始まって電気車両のプラグが抜かれるまで継続し、これは、車両のユーザが車両に対して求めるまで、または電池が満充電になるまで継続することを意味する。
しかし、このタイプの充電は、配電網に関係した制約、充電される電池、または充電される電気システムのユーザを考慮に入れないので最適ではない。
電源端子が接続される配電網の制約は、変圧器または配電ポイントの負荷曲線として表すことができ、これは時間に対して一様ではない。たとえば、変圧器は、負荷がその定格容量を超過するとストレスがかかる。
変圧器に対する負荷が大きければ大きいほど、変圧器が、より加熱して経時変化が加速する。それに加えて、負荷が大きく変動すると、突然膨脹したり、機械的応力が生じたりすることがある。最終的に、この変圧器は、間隙が広がることによって、より大きくなる可能性がある。
充電される電池に関しては、電源端子に差し込まれたとき広範な充電レベルを有する可能性があり、これによって、電源端子から得られる必要な量の電気エネルギーが決まり、したがって満充電に達するのに必要な充電時間が決定される。
最後に、電気的充電システムのユーザの制約については、ユーザは、そのスケジュール次第で大幅に変化する時々に、システムを接続したり切り離したりする。電気システムが電気車両であるとき、車両の運転者が、そのスケジュール次第で自分の車両を駐車したり取り戻したりすることが、電源端子の利用可能な充電時間に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、配電網に関連した制約と、充電される電気システムのユーザに関連した制約との両方、ならびに充電される電池に関係した制約を考慮に入れて最適化された充電方法であって、配電網の充電デバイスのより優れた保護をもたらす充電方法を提案することにより、上記の不都合を克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明は、電気的充電デバイスによる、少なくとも1つの電気システムの電池の最適化された充電方法を提案するものであり、電池は、電池充電システムを電気的充電デバイスに接続することによって開始される利用可能な充電時間帯の範囲内の充電時間帯中に充電され、充電時点(charge instant)の開始に始まるこの充電時間帯は、電気的充電デバイスに関連した負荷曲線と、負荷の制限容量レベルと、電池充電システムが電気的充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーのレベルとの関数として求められる。
有利な一実施形態によれば、充電時点の開始の割出しは、充電時点の複数の連続した可能な開始の中の各時点について、負荷曲線と負荷の制限容量レベルの間の差に依拠する可能な負荷パラメータの計算と、すべての計算された可能な負荷パラメータの中で最大値の負荷パラメータに関連した充電時点の可能な開始に相当する充電時点の開始の選択とを含む。
有利には、この計算は、充電時点の可能な開始に関して、
可能な時点に関連した可能な負荷パラメータを、負荷曲線と負荷の制限容量レベルの間の差の関数として計算するステップと、充電時点の可能な開始と利用可能な充電時間帯の終了時間の間の時間間隔の期間を充電時間帯の期間と比較するステップとを含む反復計算であり、
この反復計算は、複数の連続した充電時点の可能な開始の中の各時点に関して、発生順に、充電時点のこの可能な開始と利用可能な充電時間帯の終了時間の間の時間間隔の期間が、充電時間帯の期間未満になるまで実行される。
有利な実施形態では、充電時点の開始の割出しは、n個の連続した充電時点の可能な開始においてそれぞれ始まるn個の時間間隔にそれぞれ関連した1組のn個の負荷曲線の電力値を得るために、利用可能な充電時間帯にわたった負荷曲線のサンプリングをさらに含み、充電時点の可能な開始に関連した負荷パラメータは、充電時点の可能な開始から始まる複数の連続した時間間隔の中の各時間間隔についての、制限容量レベルと時間間隔に関連した負荷曲線の電力値の間のそれぞれの差の総計に等しい。
有利には、この割出しは、n個の連続した充電時点の可能な開始においてそれぞれ始まるn個の時間間隔にそれぞれ関連した1組のn個の制限容量レベル値を得るために、利用可能な充電時間帯にわたった負荷の制限容量曲線のサンプリングをさらに含み、充電時点の可能な開始に関連した負荷パラメータは、充電時点の可能な開始から始まる複数の連続した時間間隔の中の各時間間隔についての、制限容量レベル値と時間間隔に関連した負荷曲線の電力値の間のそれぞれの差の総計に等しい。
一実施形態によれば、利用可能な充電時間帯は、電池充電システムが電気的充電デバイスに接続された瞬間と、電気車両のユーザによって与えられた充電終了時間に関する指標との関数として求められる。
別の実施形態によれば、充電時間帯の期間は、電池充電システムが電気的充電デバイスに接続されたとき電池に含まれている残留電気エネルギーのレベルの関数として求められる。
有利には、充電時間帯の期間は、電池を電気エネルギーの所望レベルまで充電するのに必要な時間に相当する充電期間と、電池を残留電気エネルギーのレベルまで充電するのに必要な時間に相当する部分的充電期間の間の差に等しい。特定の一実施形態では、電気エネルギーの所望レベルは電池の最大充電レベルである。
別の実施形態では、この方法には、利用可能な充電時間帯を、充電時間帯の期間の関数として事前に検証するステップが含まれており、電池に対する充電時点の開始の割出しが行なわれるのは、利用可能な充電時間帯の期間が充電時間帯の期間より長い場合に限られる。
一実施形態では、この電池は、一定レベルのメモリ効果を伴う電池のクラス、具体的にはNiCdまたは鉛蓄電池のクラスに属するものである。
【0005】
本発明は、電気的充電システムの処理ユニットによって実行されたとき、上記の方法のステップを実施するための命令を含むコンピュータプログラムをさらに提供するものである。そのようなプログラムは、本特許出願によって要求される保護の文脈内の製品と見なされることになっている。
【0006】
本発明により、配電網に接続され、電気車両の電池に接続するのに適切な少なくとも1つの接続ポートを備える、少なくとも1台の電気車両を充電するように最適化された充電デバイスも提供され、このデバイスは、電気車両の電池の最適化された充電デバイスの接続ポートへの接続後、上記の方法のステップを実施するように構成されている。
【0007】
最後に、本発明は、少なくとも1台の電気車両で構成されたフリート(fleet)を充電するように最適化された充電システムを提案するものであり、このシステムは、配電網と、前述のように前記配電網に接続された少なくとも1つの電気的充電デバイスとを備える。好ましくは、このシステムには、電気的充電デバイスに接続され、上記の方法のステップを実行するのに適切な処理ユニットを備える遠隔コンピュータシステムがさらに含まれ得る。
【0008】
本発明の他の特徴および利点が、次の詳細な説明および添付図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による、電気車両を充電するための最適化されたシステムを示す図である。
図2】本発明による、電気車両を充電するための最適化された方法のステップを示す図である。
図3】本発明による最適化された充電方法の事前検証ステップの一実装形態を示す図である。
図4】本発明による方法の、充電時点の開始時点を求めるステップの一実装形態を示す図である。
図5】本発明の最適化された充電方法を用いることによって得られた良い影響を示すグラフを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明による、電気車両を充電するための最適化されたシステムを示す図1が最初に参照されることになる。
【0011】
図1のSEで示されるこの最適化された充電システムは、1つまたは複数の電気システムVEの電池BATを充電するための充電システムに接続するのに適切な少なくとも1つの電気的充電デバイスTEを備える。
図1には、単なる説明のために、単一の電気的充電デバイスTEおよび単一の電気システムVEが表されているが、最適化された充電システムSEは、任意の数の電気システムを充電することができるように任意の数の電気的充電デバイスを含むことができる。
この電気的充電デバイスTEは、それ自体が配電網ENETに接続されて充電に必要な電気エネルギーを取得するものであり、たとえば電力変圧器からなってよい。したがって、デバイスTEは、配電網ENETによって供給される電力を用いて電気システムの電池BATを充電するために、電気システムの電池BATに接続するのに適切な1つまたは複数の接続ポートp1、...、plを有する。
電気システムVEは、電池充電システムと関連した1つまたは複数の電池BATを含む。この電気システムVEは、この電池BAT用の充電システムを、自分のスケジュールに従って電気的充電デバイスTEに対して接続したり切り離したりするユーザUによって使用される。
本発明が電気車両という特定のタイプの電気システムに対して特に有利な用途を有するので、図1は、単に説明のために、電気システムVEを電気車両として表す。この説明に役立つ実例では、電気車両VEは、電池BAT用の充電システムを、自分のスケジュールに従って電気的充電デバイスTEに対して接続したり切り離したりするユーザUによって運転される。そのような電気車両は、自動車、モペッド、または配電網から充電することができる電池を有する他の任意のシステムであり得る。
したがって、電気的充電システムVEの最適化では、図1で説明された最適化された充電システムに対して、
- 電気的充電デバイスTEと関連した負荷曲線などの、充電配電網に関係する制約、
- 電池BATの充電プロファイル、またはユーザUが電気的充電デバイスTEに電池BATを接続するとき、まだ電池に蓄積されている電気エネルギーなどの、充電される電池に関係する制約、および
- 電気的充電デバイスTEに対してユーザが電気システムを接続したり切り離したりする時間に影響を及ぼし、したがって電池BATに関する利用可能な充電時間に影響を及ぼす、ユーザU自身に、特にそのスケジュールに関係した制約、といった種々の制約が適用される。
本発明では、電気システムVEの電池BATは、利用可能な充電時間帯Td内の少なくとも1つの充電時間間隔ΔTchg(i)中に充電され、充電時間間隔ΔTchg(i)は、この電池BAT用の充電システムを電気的充電デバイスTEに接続することによって開始され、これによって、ユーザのスケジュールに関係する特定の制約に基づいてこの電池の充電を最適化することが可能になる。
充電時間間隔ΔTchg(i)は、電気的充電デバイスTEに関連した負荷曲線TLCの関数として求められ、このことも、電気的充電デバイスTEに関係する、したがって最適化された充電システムSEに関係する制約に基づいて電池BATの充電を最適化することを可能にする。
そのような負荷曲線TLCは、所与の瞬間に、たとえば予期された負荷変化に基づいて推定することができ、または時間内のその瞬間に、電気的充電デバイスTEの状態に従って、進行中の負荷最適化を保証するように、充電中に更新することができる。説明のために、負荷曲線TLCは、所定の負荷曲線モデルまたは電気的充電デバイスTEの負荷の記録された経過から計算された負荷曲線モデルに基づいて推定されてよい。充電中の更新は、接続された多数の電池が同時に充電されていて、負荷曲線TLCの大きな変化をもたらす可能性がある場合には、特に好ましいものである。
【0012】
次に図2を参照すると、本発明による、電気システムの電池を充電するための最適化された方法のステップが示されている。
【0013】
この方法は、電気的充電デバイスTEによる1つまたは複数の電気システムVEの電池の最適化された充電に関するものであり、電気システムVEは、この充電を遂行するためにこの電気的充電デバイスTEに接続され得る充電システムに関連した電池BATを備える。以下では、説明のために単一の電気システムVEの最適化された充電が説明されるが、この方法は任意の数の電気システムの充電に適用することができる。
この方法は、最初に、利用可能な充電時間帯Tdを求めるステップ(ステップ100)を含んでよく、ステップ100は、電池BATの充電に利用可能な時間に影響を及ぼすユーザの制約、特にユーザのスケジュールを考慮に入れるために遂行されるものである。
したがって、電池BAT充電システムが電気的充電デバイスTEに接続された瞬間tAによって、利用可能な充電時間帯Tdの開始を決定することができる。言い換えれば、電池が接続されたときの瞬間tAに、利用可能な充電時間帯Tdが始まる。
利用可能な充電時間帯Tdの終了に対応する瞬間tDを求めるために、電気システムVEを切り離すと予想される時間(たとえばユーザが電気車両を取り戻す予定の時間)、たとえばユーザが仕事のために朝出かけると予期される時間を示すようにユーザに依頼することが有利である。ユーザUは、たとえばスマートフォンまたは使用している電気車両のダッシュボードの専用のウェブインターフェースを介して、この充電終了時間tDに関する指標を与えることができる。
【0014】
一旦、この利用可能な充電時間帯Tdが求められると、この方法は、電池BATに適用すべき充電の期間T100を、充電デバイスTEに接続されたとき電池BATに含まれている残留電気エネルギーEinの関数として求めるステップ(ステップ200)によって継続される。
具体的には、この充電期間T100は、電池を、所定の値である電気エネルギーの所望レベルEまで充電することができるように求められ、所定の値とは、一般に、この電池BATに蓄積することができる最大エネルギーEmaxであり、満充電の電池に対応するものである。
図3には、電池に適用される充電時間帯の期間T100を求めるそのようなステップ200の一実施形態が示されている。
この実施形態では、充電デバイスTEに接続されたとき電池BATに残っている残留電気エネルギーEinのレベルに対応して、第1の部分的充電期間Txが最初に計算される(ステップ210)。
言い換えれば、この部分的充電期間Txは、電池BATを、エネルギーが空の状態(ゼロの充電状態SoC)から残留電気エネルギーEinのレベルまで充電するのに必要な時間に相当する。
接続した時間に入手可能な情報が、電池BATの充電状態SoC0から成る特別な場合には、残留電気エネルギーEinのこのレベルは、次の式(1)を用いてあらかじめ計算され、
(1) Ein=Eexpl・SoC0
ここで、
- Eexplは、この電池BATの使用可能容量であり、
- SoC0は、充電デバイスTEに接続されたとき(図4に示された時間tAを意味する)の電池BATの充電状態である。
【0015】
次いで、次式(2)を用いて部分的充電期間Txが求められ、
【0016】
【数1】
【0017】
ここで、
- ηBATは、電池BATの0〜100%の間の効率パラメータであり、
- ηchrgrは、この電池BAT用の充電器の、やはり0〜100%の間の効率パラメータであり、
- PFL(t)は、電池BATの、配電網から充電する充電プロファイルである。
次いで、電池BATの充電プロファイルPFL(t)に基づいて、電池BATを、エネルギーが空の状態(ゼロの充電状態SoC)から始めて、電気エネルギーの所望レベルEまで充電するのに必要な時間に相当する第2の充電期間Tcompが求められる(ステップ220)。
この第2の充電期間Tcompは、次の式(3)を用いて計算することができる。
【0018】
【数2】
【0019】
具体的には、電気エネルギーの所望レベルEが電池BATの最大充電レベルEmaxに相当するとき、この第2の充電期間Tcompは、電池BATを、エネルギーが空の状態から始めて満充電するのに必要な時間を意味する十分な充電期間に相当する。
この特定のケースでは、この十分な充電期間Tcompは次の式(4)を用いて取得される。
【0020】
【数3】
【0021】
ここで、Emaxは電池BATの最大充電レベルである。
【0022】
第1の部分的充電期間Txを求めるステップ210と第2の充電期間Tcompを求めるステップ220とは、必ずしも上記で示された順番で遂行されるわけではなく、第2の充電期間Tcompの割出しが第1の部分的充電期間Txの割出しに先行することを意味する逆順でも、非常によく遂行され得る。
一旦、期間TxおよびTcompが求められると、次いで、電池BATを、残留電気エネルギーEinを含んでいる状態から所望の電気エネルギーE(一般にレベルEmaxの満充電状態)を含む状態まで充電するのに必要な時間に相当する充電期間T100が、次の式(5)を用いて求められ得る(ステップ230)。
(5) T100=Tcomp-Tx
【0023】
利用可能な充電時間帯Tdおよび電池BATに適用される充電期間T100を求めた後、図2に示される最適化された充電方法に戻るために、利用可能な充電時間帯Tdが十分にある場合に限って最適化された充電プロセスが始められるように、利用可能な充電時間帯Tdが十分にあることを検証するのが有利である。利用可能な充電時間帯Tdが十分になければ、利用可能な充電時間帯Tdの全体を通じて従来の充電プロセスを適用することができる。
これを行なうには、満充電を完了するのに十分な時間があるかどうか判断するために、利用可能な充電時間帯Tdの期間と充電期間T100とが比較される(ステップ300)。
この期間T100が利用可能な充電時間帯Tdの期間未満であれば、本発明による最適化された充電方法を適用することが有利に可能である。
反対に、この期間T100が利用可能な充電時間帯Tdより長ければ、電池BATの完全で最適な充電は不可能である。後者の場合、利用可能な充電時間帯Tdの全体を通じて、期間Txだけ短縮された充電プロファイルPFL(t)が適用される従来の充電(ステップ350)を遂行することができ、この期間Td中の充電スケジュールがP(t)=PFL(Tx+t)に相当するプロファイルを有する充電電力に基づくことを意味する。
【0024】
利用可能な充電時間帯Tdおよび充電期間T100を求めた後に、また、場合により、期間T100がこの利用可能な充電時間帯Tdの期間以内であることを検証した後に、tdcで示される充電時点の開始が、利用可能な充電時間帯Tdの範囲内で、電気的充電デバイスに関連した負荷曲線TLCと、(電気的充電デバイスTEのこの負荷曲線TLCに反映されている)配電網の制約を考慮に入れるための、たとえば電気的充電デバイスTEの定格負荷容量の50〜60%に有利に固定されている、Plimで示される負荷制限容量レベルとの関数として求められる(ステップ400)。
【0025】
次いで、電池BATは、利用可能な充電時間帯Tdの範囲内に含まれる、充電時点の開始tdcから始まって充電期間T100に相当する期間を有する充電時間帯Tcの間中充電される(ステップ500)。言い換えれば、充電時間帯Tcは、次の式(6)によって定義することができる。
(6) Tc=[tdc; tdc+ T100]
【0026】
したがって、電池BATの充電は、ユーザの(利用可能な充電時間帯Tdを反映した)制約と、配電網の(電気的充電デバイスTEおよび制限容量値Plimの負荷曲線TLCを反映した)制約と、電気車両の(電気的充電デバイスTEに接続されたとき電池BATにまだ含まれている残留電気エネルギーEinを反映した)制約とを考慮に入れながら行なわれる。
【0027】
図4は、本発明によって、充電時点の開始tdcの時点を求めるステップ300の一実装形態を示す図である。
【0028】
具体的には、この割出しは、負荷曲線TLCと負荷の制限容量レベルPlimの間の差に依拠して、可能な負荷パラメータAkの利用可能な充電時間帯Td内に含まれる充電時点の複数の連続した可能な開始tpdc(1)、...、tpdc(n)(nは1以上の整数である)の中の各時点tpdc(k)(kは整数である)の計算 (ステップ420)を含む。したがって、負荷曲線TLCと負荷の制限容量レベルPlimの間の差に依拠して、充電時点のそれぞれの可能な開始tpdc(k)に対応する可能な負荷パラメータAkが存在する。
次いで、充電時点の開始tdcは、すべての計算された可能な負荷パラメータA1、...、Anの中で最大値を有する最大の可能な負荷パラメータAkmaxと関連した充電時点の可能な開始として選択される(ステップ430)。この最大の可能な負荷パラメータAkmaxがインデックスkmaxの充電時点の可能な開始に関連付けられているので、言い換えればtpdc(kmax)に関連付けられているので、したがって、充電時点の開始tdcは、充電時点の可能な開始tpdc(kmax)として求められる。
したがって、充電時点の複数の可能な開始tpdc(k)に関して、計算された負荷パラメータAkの中で最大の負荷パラメータに対応する充電時点の可能な開始tpdc(kmax)を選択する前に、負荷パラメータAkが最初に計算される。
これらの負荷パラメータAkを得るために、計算ステップ420は、電池充電システムが電気的充電デバイスTEに接続された瞬間tAに相当し得る充電時点の第1の可能な開始tpdc(1)で始まる充電時点のk番目の可能な開始tpdc(k)に関して、
・k番目の可能な時点tpdc(k)に関連した可能な負荷パラメータAkを、負荷曲線TLCと負荷の制限容量レベルPlimの間の差の関数として計算するステップ(ステップ421)と、
・次いで、充電時点のk番目の可能な開始tpdc(k)と利用可能な充電時間帯Tdの終了時間tDの間の時間間隔の期間[tpdc(k); tD]を充電時間帯Tcの期間T100と比較するステップ(ステップ423)とを含む反復計算として有利に実施される。
これらのステップは、充電時点の複数の連続した可能な開始の中の各時点tpdc(k)に関して、発生順(インデックスkをインクリメントすることによるtpdc(1)、tpdc(2)、などの順序を意味する)に、比較ステップによって時間間隔の期間[tpdc(k);tD]が充電時間帯Tcの期間T100未満であることが明らかになるまで、繰り返される。
ステップ421および423の繰返しは、1の初期値から始まるインデックスkをインクリメントする反復ループ(ステップ425)で図4に記号化されている。
この操作は、図表で、制限容量値Plimと充電期間T100に相当する幅の時間のスライディングウィンドウ内の電気的充電デバイスTEの負荷曲線TLCとの間の領域の評価に等しく、前記ウィンドウは、電池BATが接続された瞬間tAから始まって、スライディングウィンドウが、利用可能な充電時間帯Tdの終端に到達するまで、利用可能な充電時間帯Tdにわたってスライドされる。
電池BATの充電を開始するように選択される瞬間は、次いで、時間のウィンドウが利用可能な充電時間帯Tdにわたってスライドされるとき、この領域を最大化するものになる。これによって、充電開始時間は、充電が主として電気的充電デバイスTEの負荷曲線が最小になる瞬間に時間決めされるように、また、利用可能な充電期間Tdの終了までに電池がエネルギーの所望レベルへと充電されるように、十分早期であるように最適化される。
【0029】
有利な実施形態では、割出しステップ400は、計算ステップ420に先立つサンプリングステップ410を含み、これによって、特に離散時間において負荷曲線TLCおよび/または負荷の制限容量レベルPlimに関するデータを容易に扱うことが可能になり、コンピュータ化された手段を用いると、より容易に達成される。
具体的には、それぞれが利用可能な充電時間帯Td内のn個の充電時点の連続した可能な開始tpdc(1)、...、tpdc(i)、...、tpdc(n)で始まるn個の時間間隔ΔT(1)、...、ΔT(i)、...、ΔT(n)にそれぞれ関連したn個の負荷曲線の電力値TLC(1)、...、TLC(i)、...、TLC(n)を含むセット{TLC(i)}1≦i≦nを得るために、利用可能な充電時間帯Tdにわたって負荷曲線TLCがサンプリングされる(ステップ411)。
このサンプリングは好ましくは周期的であり、周期の長さは、所定であって充電時間間隔ΔTの期間に対応するものであり、次いで、負荷曲線の電力値TLC(i)が、利用可能な充電時間帯Td内に含まれているi番目の時間間隔ΔT(i)を示す時間インデックスiに関連付けられる。
この場合、このサンプリング段階の最後で、連続した時間間隔ΔT(1)、...、ΔT(i)、...、ΔT(n)が、充電時点のn個の連続した可能な開始tpdc(1)、...、tpdc(i)、...、tpdc(n)でそれぞれ始まり、それぞれ負荷曲線の電力値TLC(1)、...TLC(i)、...、TLC(n)、に関連付けられ、やはり一連の時間インデックス1、...、i、....、nで示され、ΔT(i)=i*ΔTという関係を満たす。
この場合、充電時点のk番目の可能な開始tpdc(k)に関連したk番目の負荷パラメータAkは、充電時点の可能な開始tpdc(k)から始まる複数の連続した時間間隔ΔT(k)〜ΔT(k+k100)(インデックスk100は、第1の間隔ΔT(k)の後の連続した時間間隔の数をカウントする整数である)の中の各時間間隔ΔT(i)の、制限容量レベルPlimと前記時間間隔ΔT(i)に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)との間のそれぞれの差の総計に等しい。
言い換えれば、負荷パラメータAkは次の式(7)によって得られる。
【0030】
【数4】
【0031】
この実施形態は、制限容量値Plimが利用可能な充電時間帯Tdにわたって一定の場合に特に適合する。
【0032】
制限容量値Plimが、利用可能な充電時間帯Tdにわたって一定ではないが、この期間Tdにわたって負荷の制限容量曲線によって表される可変関数Plim(t)である別の実施形態では、サンプリングステップ410は、有利には、利用可能な充電時間帯Td内のn個の連続した充電時点の可能な開始tpdc(1)、... tpdc(i)、...、tpdc(n)でそれぞれ始まるn個の時間間隔ΔT(1)、...、ΔT(i)、...、ΔT(n)にそれぞれ関連した1組のn個の制限容量レベル値Plim(1)、...、Plim(i)、...、Plim(n)を得るために、利用可能な充電時間帯Tdにわたって負荷の制限容量曲線Plim (t)をサンプリングするステップ(ステップ413)をさらに含む。
したがって、この実施形態では、充電時点のそれぞれの可能な開始tpdc(i)は、その時点で始まる関連した時間間隔ΔT(i)に加えて、それ自体が関連付けられている制限容量レベル値Plim(i)および負荷曲線の電力値TLC(i)を有する。
この場合、充電時点のk番目の可能な開始tpdc(k)に関連した負荷パラメータAkは、複数の連続した時間間隔ΔT(k)〜ΔT(k+k100)の中の、充電時点の可能な開始tpdc(k)に始まるそれぞれの時間間隔ΔT(i)について、制限容量レベル値Plim(i)と前記時間間隔ΔT(i)に関連した負荷曲線の電力値TLC(i)の間のそれぞれの差の総計に等しい。
言い換えれば、負荷パラメータAkは、ここでは次の式(8)を用いて取得される。
【0033】
【数5】
【0034】
図5は、本発明の最適化された充電方法を用いたとき得られるプラスの効果を示すグラフである。
【0035】
このグラフは、変圧器に対する全日にわたる負荷曲線TLCならびに制限容量Plimのある期間にわたる変化を表す曲線を示すものであり、負荷曲線TLCが制限容量Plimを上回ると悪影響が生じ、制限容量レベルPlimは、ここでは80kWと定義されている。
午後6時のユーザの到着時間tA(すなわち電気車両VEが変圧器に接続された瞬間)および午前7時ごろのユーザの出発時間tD(すなわち電気車両VEが電源端子から切り離された瞬間)が示されており、間隔[tA;tD]に等しい利用可能な充電期間Tdを定義している。
このグラフの下部には、電池BATに印加される充電電力のある期間にわたる変化を表す曲線CRMが見られる。
負荷曲線TLCがその最小値をとる瞬間、または少なくとも制限容量レベルPlimを下回るとき、電池BATに印加される充電が主としてその最大になることが、この曲線CRMにおいて特に明らかである。また、充電期間Tcは、午前0時と6時の間の連続した期間であり、この期間で、ユーザが予期する出発時間tDまでに所望の充電レベルに達し得ることになっている。
もたらされた負荷曲線もTLC+VEで示されている。このもたらされた負荷曲線から、車両VEの最適化された充電によって上昇されるのは、主に制限容量レベルPlimの下にある負荷曲線TLCの低点であり、これは利用可能な充電期間Tdの全体に沿って分散した負荷値に対して生じることが明らかである。
結果として、車両VEを充電することによって誘起される負荷曲線の増加は、主として負荷曲線TLCにおける最小限の負荷値に制限され、このことにより、期間[tA;tD]の全体にわたって充電が連続的に許容される場合と異なって、変圧器に対するマイナスの効果が制限される。
【0036】
上記で説明された最適化された充電方法の種々のステップは、最適化された充電システムの処理ユニットによって実行するのに適切なプログラムによって実施され得て、たとえばコンピュータまたはデータプロセッサとして実施され、前記プログラムは、前述のように、方法のステップの実行を制御するための命令を含む。
具体的には、対象の処理ユニットは、電気車両の充電を局所的に管理するために、最適化された充電デバイスTEまたは電気システムVE内に配置されてよい。
または、対象の処理ユニットは、大きなフリートの場合に適切な、充電の中心的管理のために、最適化された充電デバイスTEから遠く、最適化された充電システムSEの一部分である遠隔コンピュータシステムの中に配置されてもよい。そのような場合、最適化された充電を管理するために、命令は、種々の通信網を介して、最適化された充電デバイスTEまたは電気システムVEに伝達される。
プログラムに関しては、任意のプログラミング言語を用いることができ、また、ソースコード、オブジェクトコード、もしくは部分的にコンパイルされた形態などのソースコードとオブジェクトコードの中間のコード、またはその他の望ましい形態であり得る。
本発明は、コンピュータまたはデータプロセッサによる読取りが可能な、前述のようなプログラムの命令を含んでいる媒体にも関する。この媒体は、プログラムを格納することができる任意の実体または装置でよい。たとえば、媒体は、たとえばCD-ROMもしくは超小形電子回路ROMといったROM、またはディスケットもしくはハードディスクなどの磁気記憶装置などの記憶媒体から成ってよい。
一方、媒体は、電気信号、光信号、電磁信号などの伝達可能な媒体でもよく、電気ケーブルまたは光ケーブルを介して、無線で、または他の手段によって伝達され得る。本発明によるプログラムは、具体的にはインターネットなどのネットワークを通じてダウンロードされてよい。あるいは、媒体は、プログラムを内蔵する集積回路でもよく、この回路は、対象となっている方法を実行するか、または実行するのに用いられるように適合されている。
本発明の最適充電方法は、休止/中断を伴う充電は推奨されない電池の充電を伴う用途に対して、または特定のメモリ効果(たとえばNiCd電池、鉛蓄電池)を有する特定の電池技術に対して特に有利である。
もちろん、本発明は、上記に説明され図示された実施形態に制限されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および他の実装形態を思いつくことができる。
電気システムは、上記では電気車両の形で示されている。しかし、電気システムVEは、再充電可能電池を有する携帯電話など、電気エネルギーを蓄積するための容量を有する何らかの電気システムの形態を非常によくとることができる。
【符号の説明】
【0037】
VE 電気システム
U ユーザ
BAT 電池
P1 接続ポート
Pi 接続ポート
SE 最適化された充電システム
TE 電気的充電デバイス
ENET 配電網
図1
図2
図3
図4
図5