特許第5843976号(P5843976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 東芝三菱電機産業システム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5843976-電力変換装置 図000002
  • 特許5843976-電力変換装置 図000003
  • 特許5843976-電力変換装置 図000004
  • 特許5843976-電力変換装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5843976
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20151217BHJP
【FI】
   H02M1/08 C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-551913(P2014-551913)
(86)(22)【出願日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】JP2013073516
(87)【国際公開番号】WO2014091801
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-271250(P2012-271250)
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(72)【発明者】
【氏名】小柳 公之
(72)【発明者】
【氏名】地道 拓志
(72)【発明者】
【氏名】東 聖
(72)【発明者】
【氏名】細川 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】玉井 伸三
(72)【発明者】
【氏名】船橋 眞男
(72)【発明者】
【氏名】東 耕太郎
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−051770(JP,A)
【文献】 特開2011−193615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチング素子およびコンデンサを有する主回路と、上記半導体スイッチング素子を駆動する駆動回路と、上記主回路から電力供給されて上記駆動回路に電源供給する自己給電装置とを備えたセル変換器が複数カスケード接続された電力変換装置において、
上記各自己給電装置には、自身のセル変換器内の上記駆動回路に電源供給するための第1の給電線と他のセル変換器内の上記駆動回路に電源供給するための第2の給電線とが接続され、
上記各駆動回路は、自身のセル変換器内の上記自己給電装置から上記第1の給電線を介して電源供給されると共に、他のセル変換器内の上記自己給電装置から上記第2の給電線を介して電源供給可能に構成された
電力変換装置。
【請求項2】
上記第2の給電線を介して電源供給される側と電源供給する側との2つのセル変換器の電位差以上の絶縁耐量を有する絶縁入出力回路を上記第2の給電線に設けた
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記各セル変換器は、上記セル変換器内の上記自己給電装置の動作異常時に、上記駆動回路への給電線を、上記第1の給電線から上記第2の給電線に切り替える切替器を備えて、切り替えにより上記他のセル変換器内の上記自己給電装置から上記第2の給電線を介して上記駆動回路に電源供給する
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
上記切替器は、上記第1の給電線からの給電停止時に自動的に上記第2の給電線側に切り替わるNORMALLY ON型スイッチを備えた
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
上記NORMALLY ON型スイッチを半導体スイッチング素子で構成した
請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記主回路内の上記コンデンサの電圧を検出する電圧センサと、上記コンデンサの電圧に応じて上記切替器を操作するコントローラとを備えた
請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項7】
上記各駆動回路は、上記自身のセル変換器内の上記自己給電装置と上記他のセル変換器内の上記自己給電装置との双方から電源供給される
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項8】
上記各第1の給電線に逆電流防止用の第1のダイオードが接続され、上記各第2の給電線に逆電流防止用の第2のダイオードが接続され、上記第1の給電線と上記第2の給電線との間で流れる電流が阻止される
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、それぞれ半導体スイッチング素子を備えた複数のセル変換器がカスケード接続された電力変換装置に関するものであり、特に、半導体スイッチング素子の駆動回路に電源供給する自己給電装置を各セル変換器が備えた電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モジュラー・マルチレベルコンバータ(MMC)は、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)などのオン・オフ制御可能なスイッチング素子を使用し、上記スイッチング素子の耐圧以上の電圧を出力できる回路方式であり、直流送電システム(HVDC)や無効電力補償装置(STATCOM)などへの応用が期待されている回路方式である。
従来の電力変換装置は、上記MMCに適用可能なもので、複数のセル変換器をカスケード接続して構成されている。セル変換器の主回路は、高電圧側スイッチング素子、低電圧側スイッチング素子および直流コンデンサからなる双方向チョッパ回路である。各セル変換器は、セル制御回路と自給電源を備えており、自給電源は、直流コンデンサと並列に接続されて直流コンデンサから電力を供給される。また、短絡スイッチをセル変換器の出力に並列に接続し、短絡スイッチの駆動電力を上記自給電源から供給する。この短絡スイッチは、セル変換器が故障した場合、セル変換器の出力を短絡する手段であり、自給電源から駆動電力がない場合、セル変換器の出力を短絡するNORMALLY ON型のスイッチである。自給電源が停止すると短絡スイッチによって異常セル変換器の出力は短絡されるため、セル変換器が故障してもシステムとして運転継続させることが可能である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−193615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電力変換装置では、自給電源が停止すると短絡スイッチによって異常セル変換器の出力が短絡される。このため、複数のセル変換器がカスケード接続された電力変換装置の出力電圧は低下し、所望の出力を得ることができないという問題点があった。また、回路に冗長性を持たせても、冗長分の個数以上の自給電源が停止してセル変換器が短絡すると同様の問題が発生すると共に、回路構成が複雑となる。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、それぞれ自己給電装置を有する複数のセル変換器がカスケード接続された回路方式で、自己給電装置の異常時にも所望の出力を継続して得ることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による電力変換装置は、半導体スイッチング素子およびコンデンサを有する主回路と、上記半導体スイッチング素子を駆動する駆動回路と、上記主回路から電力供給されて上記駆動回路に電源供給する自己給電装置とを備えたセル変換器が複数カスケード接続される。そして、上記各自己給電装置には、自身のセル変換器内の上記駆動回路に電源供給するための第1の給電線と他のセル変換器内の上記駆動回路に電源供給するための第2の給電線とが接続され、上記各駆動回路は、自身のセル変換器内の上記自己給電装置から上記第1の給電線を介して電源供給されると共に、他のセル変換器内の上記自己給電装置から上記第2の給電線を介して電源供給可能に構成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明による電力変換装置は上記のように構成されているため、セル変換器の自己給電装置が異常時に、セル変換器の駆動回路には、他のセル変換器内の自己給電装置から電源供給でき、所望の出力を継続して得ることができ、信頼性良く運転継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を示す図である。
図2】この発明の別例による実施の形態1による電力変換装置の構成を示す図である。
図3】この発明の実施の形態2による電力変換装置の構成を示す図である。
図4】この発明の実施の形態3による電力変換装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置を図に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による電力変換装置の構成を示す図である。図1に示すように、電力変換装置は、複数のセル変換器20a〜20cがカスケード接続されて成る。即ち、複数のセル変換器20a〜20cの出力端子が直列接続される。ここではセル変換器20aのみ詳述するが、各セル変換器20a〜20cは同様の構成である。
【0010】
セル変換器20aは、例えばIGBTから成る半導体スイッチング素子1a、1bを2個直列接続した直列回路にコンデンサ2aを並列接続して構成されるチョッパ回路を主回路3aとする。そして、高電圧側の半導体スイッチング素子1aと低電圧側の半導体スイッチング素子1bとの接続点と、低電圧側の半導体スイッチング素子1bとコンデンサ2aとの接続点とを、セル変換器20aの2つの出力端子とする。
なお、各半導体スイッチング素子1a、1bにはダイオードが逆並列接続されている。また、半導体スイッチング素子1a、1bには、IGBT以外にMOSFET等、他の半導体スイッチング素子を用いても良い。
そして、複数のセル変換器20a〜20cが、各セル変換器20a〜20cの出力端子でカスケード接続され、電力変換装置は、半導体スイッチング素子1a、1bの耐圧以上の高い電圧を出力できる。
【0011】
また、セル変換器20aは、各半導体スイッチング素子1a、1bのゲート電極にゲート信号を与える駆動回路4aと、駆動回路4aに電源供給する、即ち各半導体スイッチング素子1a、1bの駆動電力を供給するための自己給電装置5aとを備える。
自己給電装置5aには、第1の給電線6aと第2の給電線7aとが接続され、第2の給電線7aには、後述する絶縁入出力回路9aが設けられる。また、駆動回路4aにはゲート給電線8aが接続される。
【0012】
主回路3aのコンデンサ2aは、コンデンサ2aに電流が流入することで電圧が上昇し蓄積されている。自己給電装置5aは、DC/DC電力変換部を有し、コンデンサ2aの電圧を、コンデンサ2aの両端から取り込んでDC/DC電力変換する。そして、駆動回路4aの電源に適した電圧値に変換し、第1、第2の給電線6a、7aに出力する。
他の各セル変換器20b、20cもセル変換器20aと同様であり、それぞれ主回路3b、3c、駆動回路4b、4c、自己給電装置5b、5c、第1の給電線6b、6c、第2の給電線7b、7c、ゲート給電線8b、8c、絶縁入出力回路9b、9cを備える。
【0013】
第1の給電線6aは、自己給電装置5aが、自身のセル変換器20aの駆動回路4aに電源供給するための給電線である。第2の給電線7aは、自己給電装置5aが、隣接するセル変換器20bの駆動回路4bに電源供給するための給電線であり、絶縁入出力回路9aを介して隣接するセル変換器20b内に接続される。
また、セル変換器20bとは反対側に隣接するセル変換器20cから、第2の給電線7cが絶縁入出力回路9cを介してセル変換器20a内に接続される。そして、第1の給電線6aと、隣接するセル変換器20cの自己給電装置5cからの第2の給電線7cとを介して供給される電力は、ゲート給電線8aを介して駆動回路4aに接続される。
【0014】
これにより駆動回路4aは、自身のセル変換器20aの自己給電装置5aと、隣接するセル変換器20cの自己給電装置5cとの双方から電源供給される。
また、セル変換器20bの駆動回路4bは、セル変換器20b内の自己給電装置5bから第1の給電線6bを介して電源供給されると共に、セル変換器20bに隣接するセル変換器20a内の自己給電装置5aから第2の給電線7aを介して電源供給される。
電力変換装置内の複数のセル変換器20a〜20cが3個である場合、セル変換器20bとセル変換器20cとは、カスケード接続の両端となる。この場合、セル変換器20bから、第2の給電線7bが絶縁入出力回路9bを介してセル変換器20c内に接続される。そして、セル変換器20cでは、第1の給電線6cと、セル変換器20bからの第2の給電線7bとを介して供給される電力が、駆動回路4cに接続される。
【0015】
第2の給電線7aは、隣接するセル変換器20bの駆動回路4bに自己給電装置5aが電源供給するためのものであり、2つのセル変換器20a、20b間で給電を遣り取りする。自己給電装置5aの第2の給電線7aに設けられる絶縁入出力回路9aは、給電を遣り取りするセル変換器20a、20b同士の電位差以上の絶縁耐量を持つものであり、絶縁トランス等で構成する。
複数のセル変換器20a〜20cはカスケード接続されるため、各々の主回路3a〜3cの基準電位が異なる。このため、セル変換器20aの駆動回路4aに対し、他のセル変換器20cの主回路3cのコンデンサ2に蓄積された電圧から変換した給電電圧を直接与えるとすると、駆動回路4aに対して過電圧を印加して損傷させる懸念がある。
【0016】
この実施の形態では、給電を遣り取りするセル変換器同士の電位差以上の絶縁耐量を持つ絶縁入出力回路9aを第2の給電線7aに設けたため、第2の給電線7aを介して駆動回路4bに供給される電源電圧も、駆動回路4bに適した電圧となる。
なお、絶縁入出力回路9b、9cについても同様である。
【0017】
この実施の形態による電力変換装置は以上のように構成され、いずれかのセル変換器20(20a〜20c)の自己給電装置5(5a〜5c)が停止しても、他のセル変換器20の自己給電装置5からも駆動回路4(4a〜4c)に電源供給されているため、駆動電力を供給して主回路3(3a〜3c)を継続して駆動できる。このため、自己給電装置5の異常により主回路3の出力を短絡させる必要がなく、電力変換装置は、出力低下を招くことなく所望の出力で信頼性良く継続運転できる。
【0018】
なお、電力変換装置は、主回路3の各半導体スイッチング素子1a、1bへのゲート信号を生成する制御回路(図示省略)を備え、通常、制御回路のための電源も有しているが、セル変換器20の自己給電装置5が制御回路に電源供給することもできる。
【0019】
また図2に示すように、第1の給電線6aには、ゲート給電線8aに向かう電流を通過させ上記第2の給電線7cからの電流を阻止する第1のダイオード14aを接続し、第2の給電線7cには、ゲート給電線8aに向かう電流を通過させ第1の給電線6aからの電流を阻止する第2のダイオード15cを接続して突き合わせダイオード構成とすることで、第1の給電線6aと第2の給電線7cとの間で流れる電流を阻止できる。このように各セル変換器20(20a〜20c)に同様に、第1のダイオード14a〜14cと第2のダイオード15a〜15cを設けて突き合わせダイオード構成とすることで、各自己給電装置5a〜5cが他の自己給電装置5a〜5cから充電されるのが防止できる。
【0020】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2による電力変換装置の構成を示す図である。
上記実施の形態1では、駆動回路4aは、自身のセル変換器20aの自己給電装置5aと、隣接するセル変換器20cの自己給電装置5cとの双方から電源供給されていたが、この実施の形態2では、切替器12aを設けて、駆動回路4aへの給電線を、第1の給電線6aと第2の給電線7cとの間で切り替える。その他の構成は、上記実施の形態1と同様である。
なお、他の各セル変換器20b、20cもセル変換器20aと同様であり、便宜上、図示は省略するが、それぞれ切替器12b、12cを有し同様に動作する。
【0021】
図3に示すように、セル変換器20aにおいて、切替器12aは、入力側の第1の給電線6aあるいは第2の給電線7cの一方を選択して出力側のゲート給電線8aに接続する。これにより、駆動回路4aは、自己給電装置5aから第1の給電線6aを介して、あるいは隣接するセル変換器20cの自己給電装置5cから第2の給電線7cを介して電源供給される。具体的には、切替器12aは通常時に第1の給電線6aを選択し、自身のセル変換器20aの自己給電装置5aの動作異常時に第2の給電線7cを選択するように切り替え動作を行う。
【0022】
切替器12aは、第1の給電線6a側のa接点と、第2の給電線7c側のb接点とを切り替えるもので、b接点側に高速半導体スイッチング素子から成るNORMALLY ON型スイッチを備え、a接点側に通常のスイッチ(NORMALLY OFF型)を備える。
そして切替器12aがa接点を選択して、自己給電装置5aから第1の給電線6aを介した電源供給を行い、自己給電装置5aの異常により第1の給電線6aを介した給電がなくなると、自動的にb接点に切り替わる。これにより他のセル変換器20cの自己給電装置5cから第2の給電線7cを介した電源供給に移行する。
【0023】
この場合、切替器12aの電源は自己給電装置5aから供給され、自己給電装置5aからの電圧が低下し動作不能の場合には、a接点側のスイッチはオフし、b接点側のNORMALLY ON型スイッチが自動オンして他のセル変換器20cの自己給電装置5cに第2の給電線7cを介して接続される。また自身のセル変換器20aの自己給電装置5aからの電圧が充分高くなると、逆にa接点側のスイッチがオンして、b接点側のNORMALLY ON型スイッチはオフする。
【0024】
この実施の形態では、いずれかのセル変換器20の自己給電装置5が停止しても、駆動回路4には、他のセル変換器20の自己給電装置5から電源供給されるように自動的に切り替わり、主回路3を継続して駆動できる。このため、上記実施の形態1と同様に、自己給電装置5の異常により主回路3の出力を短絡させる必要がなく、電力変換装置は、出力低下を招くことなく所望の出力で信頼性良く継続運転できる。
【0025】
なお、切替器12(12a〜12c)が切り替え動作を行う際、駆動回路4には瞬時給電中断が発生するものであるが、b接点側のNORMALLY ON型スイッチおよびa接点側のスイッチを、高速スイッチング動作するIGBTやMOSFET等の半導体スイッチング素子で構成することにより、瞬時給電中断は、電力変換装置の制御に影響を与えない程度に抑えられる。
【0026】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3による電力変換装置の構成を示す図である。
上記実施の形態2では、切替器12は自動で切り替え動作を行うものであったが、この実施の形態3では、外部から切り替え制御される切替器13(13a〜13c)を備える。
図4に示すように、セル変換器20aは、切替器13aと、コンデンサ2aの両端に接続してコンデンサ2aの電圧を検出する電圧センサ10aと、電圧センサ10aで検出した電圧値に応じて切替器13aを操作するコントローラ11とを備える。この場合、コントローラ11はセル変換器20aの外部に設けられ、自己給電装置5a以外から電源供給され切替器13aを駆動する。その他の構成は、上記実施の形態2と同様である。
【0027】
他の各セル変換器20b、20cもセル変換器20aと同様であり、便宜上、図示は省略するが、それぞれ切替器13b、13cと、電圧センサ10b、10cと、コントローラ11を有し同様に動作する。なお、コントローラ11は、複数のセル変換器20で共通の1つとしても良い。
【0028】
セル変換器20aにおいて、コントローラ11は、電圧センサ10aで検出したコンデンサ2aの電圧が規定値より高い場合、切替器13aがa接点を選択するよう制御して、自己給電装置5aから第1の給電線6aを介して駆動回路4aに電源供給する。そして、電圧センサ10aで検出したコンデンサ2aの電圧が規定値以下になると、a接点からb接点に切り替えるように切替器13aを制御する。これにより他のセル変換器20cの自己給電装置5cから第2の給電線7cを介して駆動回路4aに電源供給するように切り替わる。
【0029】
この実施の形態においても、いずれかのセル変換器20の自己給電装置5が停止しても、駆動回路4には、他のセル変換器20の自己給電装置5から電源供給されるように切り替えるため、主回路3を継続して駆動できる。このため、上記実施の形態1、2と同様に、自己給電装置5の異常により主回路3の出力を短絡させる必要がなく、電力変換装置は、出力低下を招くことなく所望の出力で信頼性良く継続運転できる。
【0030】
なお、上記各実施の形態では、第2の給電線7(7a〜7c)に設けられる絶縁入出力回路9(9a〜9c)は、電源供給する側のセル変換器20が備えるものとしたが、電源供給される側のセル変換器20内に配置されても良い。
【0031】
また、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
図1
図2
図3
図4