(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸方向に延びる線に沿って複数に分割された筒状の本体と、該本体の複数の分割部同士を開閉可能に連結するとともに、前記複数の分割部を閉じる方向に付勢する開閉手段と、前記複数の分割部を閉じた状態に連結する連結手段とを備えたプロテクターを、柱状又は管状の保護対象部材の外面に取り付けるプロテクターの取付工具であって、
遠隔から操作して、前記本体の複数の分割部を開いた状態で前記保護対象部材の取付位置に位置決めし、該位置決めした状態の前記複数の分割部を閉じた状態として、取付位置にその外面を囲むように取り付ける第1取付工具と、
遠隔から前記連結手段を操作して、前記本体の複数の分割部を閉じた状態に連結する第2取付工具とを備えていることを特徴とするプロテクターの取付工具。
前記プロテクターは、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する固定手段を備え、該固定手段を遠隔から操作して、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する第3取付工具を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプロテクターの取付工具。
前記第1取付工具は、前記本体の何れか一の分割部に着脱可能に取り付けられる支持部材と、前記本体の他の何れか一の分割部に掛着されるとともに、引っ張ることによって前記本体の複数の分割部を開いた状態とし、離すことによって前記本体の複数の分割部を閉じた状態とする紐状部材とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロテクターの取付工具。
軸方向に延びる線に沿って複数に分割された筒状の本体と、該本体の複数の分割部同士を開閉可能に連結するとともに、前記複数の分割部を閉じる方向に付勢する開閉手段と、前記複数の分割部を閉じた状態に連結する連結手段とを備えたプロテクターを柱状又は管状の保護対象部材の外面に取り付けるプロテクターの取付方法であって、
前記本体の複数の分割部を開いた状態で前記保護対象部材の取付位置に位置決めする工程と、
前記本体の複数の分割部を閉じた状態として、前記保護対象部材の取付位置にその外面の周囲を囲むように取り付ける工程と、
遠隔から前記連結手段を操作して、前記本体の複数の分割部を閉じた状態に連結する工程とを備えていることを特徴とするプロテクターの取付方法。
前記プロテクターは、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する固定手段を備え、該固定手段を遠隔から操作して、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する工程を備えていることを特徴とする請求項6に記載のプロテクターの取付方法。
【背景技術】
【0002】
加圧流動床ボイラを用いた火力発電設備の一例が非特許文献1に記載されている。この加圧流動床ボイラは、石炭と石灰石と水とを混合させたペースト状の燃料を用い、この燃料を火炉の内部に投入して燃焼させることにより蒸気を発生させ、この蒸気で蒸気タービン(高圧タービン、中圧タービン、及び低圧タービン)を駆動させるとともに、火炉からの排ガスでガスタービンを駆動させるように構成したものである。
【0003】
上記のような構成の加圧流動床ボイラにあっては、火炉の内部に過熱器及び再熱器が設けられ、過熱器で生成された過熱蒸気は、蒸気タービンの高圧タービンに送られて高圧タービンを駆動させ、この過熱蒸気は、高圧タービンで仕事をした後に再熱器に戻され、再熱器で再度加熱されて過熱蒸気とされた後に中圧タービン及び低圧タービンに送られ、中圧タービン及び低圧タービンを駆動させている。
【0004】
ところで、上記のような構成の加圧流動床ボイラにあっては、火炉の内部において流動媒体(燃料、燃料を燃焼させることによって生じた灰等)が流動し、この流動媒体が過熱器及び再熱器の管に衝突することにより、管の外面が磨耗し、減肉する問題が生じる。
【0005】
このため、過熱器及び再熱器の磨耗し、減肉した管の部分に、例えば、特許文献1に記載のような構成のプロテクターを取り付け、磨耗し、減肉した部分を補修する作業が必要になる。しかし、このようなプロテクターの取付作業は、一般には、加圧流動床ボイラの運転を停止させて、過熱器及び再熱器の管の一部を切断し、対象の管パネルを吊り上げた状態で、磨耗し、減肉した管の部分にプロテクターを取り付け、溶接によって管側に固定しているため、その作業に多大な労力、時間、及び費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、加圧流動床ボイラの過熱器及び再熱器の磨耗、減肉した管等の保護に適用した場合に、容易に、短時間で、かつ安い費用で
プロテクターを取り付けることができるプロテクターの取付工具及びプロテクターの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、軸方向に延びる線に沿って複数に分割された筒状の本体と、該本体の複数の分割部同士を開閉可能に連結するとともに、前記複数の分割部を閉じる方向に付勢する開閉手段と、前記複数の分割部を閉じた状態に連結する連結手段とを備えたプロテクターを、柱状又は管状の保護対象部材の外面に取り付けるプロテクターの取付工具であって、 遠隔から操作して、前記本体の複数の分割部を開いた状態で前記保護対象部材の取付位置に位置決めし、該位置決め
した状態の前記複数の分割部を閉じた状態として、取付位置にその外面を囲むように取り付ける第1取付工具と、遠隔から前記連結手段を操作して、前記本体の複数の分割部を閉じた状態に連結する第2取付工具とを備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明のプロテクターの取付工具によれば、遠隔から操作して、第1取付工具により、本体の複数の分割部を開いた状態で保護対象部材の取付位置に位置決めし、位置決め後に複数の分割部を閉じた状態として、取付位置にその外面を囲むように取り付ける。そして、遠隔から第2取付工具で連結手段を操作することにより、本体の複数の分割部を閉じた状態に連結することができ、本体の複数の分割部を保護対象部材の外面に固定することができる。
【0019】
さらに、本発明において、前記プロテクターは、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する固定手段を備え、該固定手段を遠隔から操作して、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する第3取付工具を備えていることとしてもよい。
【0020】
本発明のプロテクターの取付工具によれば、遠隔から第3取付工具で固定手段を操作することにより、本体を保護対象部材の外面に固定することができる。
【0021】
さらに、本発明において、前記第1取付工具は、前記本体の何れか一の分割部に着脱可能に取り付けられる支持部材と、前記本体の他の何れか一の分割部に掛着されるとともに、引っ張ることによって前記本体の複数の分割部を開いた状態とし、離すことによって前記本体の複数の分割部を閉じた状態とする紐状部材とからなることとしてもよい。
【0022】
本発明のプロテクターの取付工具によれば、支持部材を本体の何れか一の分割部に取り付け、紐状部材を本体の他の何れか一の分割部に掛着させ、紐状部材を引っ張ることにより本体の複数の分割部を開いた状態とすることができる。また、紐状部材を離すことにより、本体の複数の分割部を閉じた状態とすることができる。
【0023】
さらに、本発明において、前記連結手段は、前記本体の各分割部に設けられた雌ねじ部と、前記雌ねじ部間を締結する雄ねじ部とからなり、前記第2取付工具は、把手部と、該把手部の先端に設けられるとともに、前記雄ねじ部に着脱可能に装着される締結具とからなることとしてもよい。
【0024】
本発明のプロテクターの取付工具によれば、本体の各分割部の雌ねじ部間に雄ねじ部を螺合させ、第2取付け工具の締結具を雄ねじ部に装着して、把手部を介して締結具を操作することにより、雄ねじ部を雌ねじ部間に締結することができる。
【0025】
さらに、本発明において、前記固定手段は、前記本体の何れか一の分割部に設けられた雌ねじ部と、該雌ねじ部に螺合される雄ねじ部とからなり、前記第3取付工具は、把手部と、該把手部の先端に設けられるとともに、前記雄ねじ部に着脱可能に装着される締結具とからなることとしてもよい。
【0026】
本発明のプロテクターの取付工具によれば、本体の何れか一の分割部の雌ねじ部に雄ねじ部を螺合させ、第3取付工具の締結具を雄ねじ部に装着して、把手部を介して締結具を操作することにより、雄ねじ部を雌ねじ部に螺合させることができる。
【0027】
さらに、本発明は、軸方向に延びる線に沿って複数に分割された筒状の本体と、該本体の複数の分割部同士を開閉可能に連結するとともに、前記複数の分割部を閉じる方向に付勢する開閉手段と、前記複数の分割部を閉じた状態に連結する連結手段とを備えたプロテクターを柱状又は管状の保護対象部材の外面に取り付けるプロテクターの取付方法であって、前記本体の複数の分割部を開いた状態で前記保護対象部材の取付位置に位置決めする工程と、前記本体の複数の分割部を閉じた状態として、前記保護対象部材の取付位置にその外面の周囲を囲むように取り付ける工程と、遠隔から前記連結手段を操作して、前記本体の複数の分割部を閉じた状態に連結する工程とを備えていることを特徴とする。
【0028】
本発明のプロテクターの取付方法によれば、まず、本体の複数の分割部を開いた状態で保護対象部材の取付位置に位置決めする。次に、本体の複数の分割部を閉じた状態として、保護対象部材の取付位置にその外面の周囲を囲むように取り付ける。次に、遠隔から連結手段を操作して、本体の複数の分割部を閉じた状態に連結する。これにより、本体の複数の分割部を保護対象部材の外面に取り付けることができ、保護対象部材の外面を保護することができる。
【0029】
さらに、本発明において、前記プロテクターは、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する固定手段を備え、該固定手段を遠隔から操作して、前記本体を前記保護対象部材の外面に固定する工程を備えていることとしてもよい。
【0030】
本発明のプロテクターの取付方法によれば、プロテクターの本体の固定手段を、遠隔から操作することにより、本体を保護対象部材の外面に固定することができる。
【0031】
さらに、本発明において、撮像手段により前記保護対象部材の画像を取得して表示し、該表示された画像を目視しながら、前記各工程を行うこととしてもよい。
【0032】
本発明のプロテクターの取付方法によれば、保護対象部材の取付位置が直接に目視できない場合に、撮像手段により保護対象部材の画像を取得して表示し、この表示された画像を目視しながら、各工程を行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
以上、説明したように、本発明の
プロテクターの取付工具及びプロテクターの取付方法によれば、加圧流動床ボイラの過熱器及び再熱器の外面が磨耗し、減肉した管等の管状の部材、外面が磨耗し、減肉した棒状の部材、外面が磨耗し、減肉した柱状の部材等の保護対象部材の外面に、
その部分を保護するプロテクターを容易に、短時間で、安い費用で取り付けることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜
図3には、本発明による
プロテクターの取付工具及びプロテクターの取付方法が適用される火力発電設備の加圧流動床ボイラ50が示されている。
【0036】
火力発電設備の加圧流動床ボイラ50は、
図1に示すように、圧力容器51の内部に火炉52が設けられ、火炉52の内部に過熱器53及び再熱器56が設けられ、火炉52の内部に石炭と石灰石と水とを混合させたペースト状の燃料を投入し、この燃料を火炉52の底部から上方に向けて噴出させた空気によって流動状態にして燃焼させることにより蒸気を生成するものである。
【0037】
加圧流動床ボイラ50の過熱器53で生成された主蒸気(過熱蒸気)は、蒸気タービンの高圧タービン60に送られ、高圧タービン60を駆動させた後に再熱器56に戻され、再熱器56で再度加熱されて再熱蒸気(過熱蒸気)とされた後に、蒸気タービンの中圧タービン61及び低圧タービン62に送られ、中圧タービン61及び低圧タービン62を駆動させる。また、火炉52の内部で燃料を燃焼させることによって発生した高温、高圧の排ガスは、ガスタービンに送られてガスタービンを駆動させる。
【0038】
過熱器53及び再熱器56は、例えば、
図2及び
図3に示すように、管55、58が縦方向に複数段(本実施の形態では32段)に配置されるように、1本の管55、58をジグザグに折り曲げてパネル状に形成した管パネル54、57を、過熱器53の管パネル54と再熱器56の管パネル57とが火炉52の内部に交互に配置されるように、横並びに複数枚(本実施の形態では48枚)配置したものであって、各管パネル54、57は、火炉52の内部に支持管59によって吊り下げられた状態に支持されている。
【0039】
上記のような構成の加圧流動床ボイラ50は、火炉52の内部において流動媒体(燃料、燃料を燃焼させることによって生じた灰等)が流動し、この流動媒体が過熱器53及び再熱器56の管55、58に衝突することにより、管55、58の外面が磨耗し、減肉する問題が生じる。このため、磨耗し、減肉した管55、58を保護するために、磨耗し、減肉した管55、58に
プロテクター1が取り付けられる。
【0040】
プロテクターの一例が
図4〜
図9に示されている。
このプロテクター1は、軸方向
に延びる線に沿って複数
に分割された筒状の本体2と、本体
2の分割部3、4を開閉自在に連結するとともに、分割部3、4を閉じる方向に付勢する開閉手段5と、分割部3、4を閉じた状態に連結する連結手段11と、一の分割部3、4を過熱器53及び再熱器56の管55、58に固定する固定手段17とを備えている。
【0041】
なお、
この例では、本体2を軸線に平行な線で半筒状の2つの分割部3、4に分割し、両分割部3、4の周方向の一端間を開閉手段5で連結し、他端間を連結手段
11で連結し、一方の分割部3を固定手段17で管55、58に連結している。なお、本体2は、3つ以上に分割してもよいし、軸線に対して所定の角度で傾斜する線に沿って2つ又は3つ以上に分割してもよい。
【0042】
本体2の両分割部3、4は、過熱器53及び再熱器56の管55、58よりも硬度が高く、かつ、耐熱、耐食性に優れた材料(ステンレス鋼、インコネル(商品名)等)から形成されている。本体2を対象の管55、58の外面に取り付けることにより、対象の管55、58の外面を保護することができる。
【0043】
開閉手段5は、軸7を中心として回動自在な一対の羽根部8、9と、両羽根部8、9を回動方向の一方向に付勢するばね10とを備えたばね付蝶番6であって、本体2の両分割部3、4の周方向の一端部間に、両分割部3、4の長手方向に間隔をおいて一対設けられている。
【0044】
各ばね付蝶番6は、一方の羽根部8が一方の分割部3の周方向の一端部の外面側に溶接等によって一体に連結され、他方の羽根部9が他方の分割部4の周方向の一端部の外面側に溶接等によって一体に連結されている。
【0045】
これにより、
図5〜
図9に示すように、両分割部3、4は、開口部が互いに対向する閉じた位置と、開口部が同一方向を向く開いた位置との間を開閉自在となり、両分割部3、4を開いた状態とすることにより、両分割部3、4を過熱器53及びは再熱器56の内部に挿入することができ、両分割部3、4を閉じた状態とすることにより、両分割部3、4で過熱器53及び再熱器56の管55、58の周囲を囲むことができる。
【0046】
連結手段11は、各分割部3、4の周方向の他端部の外面側にそれぞれ一体に設けられる雌ねじ部12、13と、両分割部3、4の両雌ねじ部12、13間を締結する雄ねじ部14とから構成され、両分割部3、4の長手方向に間隔をおいて一対設けられている。
【0047】
各連結手段11の雌ねじ部12、13は、例えば、ナット12、13であって、各分割部3、4の周方向の他端部の外面側に溶接によって一体に連結されている。両ナット12、13は、両分割部3、4を閉じたときに、互いに平行となるように(軸線が一致するように)、各分割部3、4に一体に連結されている。
【0048】
雄ねじ部14は、例えば、六角穴付ボルト14であって、両分割部3、4を閉じた状態で、両分割部3、4の両ナット12、13間を締結することにより、両分割部3、4を閉じた状態に連結することができる。
【0049】
なお、連結手段11の雌ねじ部12、13は、ナット12、13に限らず、両分割部3、4にそれぞれねじ孔を設けるように構成してもよい。又、雄ねじ部14は、六角穴付ボルト14に限らず、六角ボルトであってもよい。
【0050】
固定手段17は、一方の分割部3又は他方の分割部4(本実施の形態では一方の半割部3)に貫通した状態に設けられる雌ねじ部18と、雌ねじ部18に螺合される雄ねじ部19とから構成されている。雄ねじ部19を雌ねじ部18に螺合させて締め付け、雄ねじ部19の先端を過熱器53及び再熱器56の管55、58の外面に押し付けることにより、両分割部3、4を管55、58の外面に固定することができる。
【0051】
雌ねじ部18は、例えば、一方の分割部3に設けられるねじ孔18であって、雄ねじ部19は、例えば、ねじ孔18に螺合される六角ボルト19であって、六角ボルト19をねじ孔18に螺合させて締め付け、六角ボルト19の先端を管55、58の外面に押し付けることにより、両分割部3、4を管55、58に固定することができる。
【0052】
なお、固定手段17の雌ねじ部18は、ねじ孔18に限らず、ナットを溶接して構成してもよい。また、雄ねじ部19は、六角ボルト19に限らず、六角穴付ボルトであってもよい。
【0053】
一方の分割部3の周方向の他端部の外面側には、後述する第1取付工具25の支持部材29を取り付けるためのナット21が溶接によって一体に連結され、他方の分割部4の周方向の他端部の外面側には、後述する第1取付工具25の紐状部材28を掛けるためのリング22が溶接等によって一体に連結されている。
【0054】
上記のように構成した
プロテクター1は、
図10〜
図18に示すように、第1取付工具25、第2取付工具30、及び第3取付工具35
からなる本発明のプロテクター1の取付工具を用いることにより、過熱器53及び再熱器56の内部に挿入され、過熱器53及び再熱器56の保護対象の管55、58の外面に取り付けられる。
【0055】
第1取付工具25は、
図10、
図17、及び
図18に示すように、丸棒状の把手部26と、把手部26の先端に溶接等によって一体に連結されるねじ軸27とからなる支持部材29と、紐状部材28とから構成されている。
【0056】
第1取付工具25の支持部材29のねじ軸27の先端を一方の分割部3の外面側のナット21に螺合させて締め付けることにより、支持部材29の先端に両分割部3、4を取り付けることができる。
【0057】
支持部材29の先端に両分割部3、4を取り付けた状態で、他方の分割部4の外面側のリング22に紐状部材28を通し、紐状部材28の両端を支持部材29の把手部26の方向に引っ張ることにより両分割部3、4を開いた状態とすることができる。そして、この状態で、紐状部材28の両端部を支持部材29の把手部26と一緒に把持することにより両分割部3、4を開いた状態に固定でき、この状態で両分割部3、4を過熱器43及び再熱器56の内部に挿入する。
【0058】
第2取付工具30は、
図11、
図12、及び
図15に示すように、丸棒状の把手部31と、把手部31の先端に溶接等によって一体に連結される締付具としての六角レンチ32とから構成されている。六角レンチ32は、
図12に示すように、先端部が2段に形成されるとともに、先端面が所定の曲面に形成されている。
【0059】
第2取付工具30の六角レンチ32の先端部を2段に形成し、先端面を曲面に形成したことにより、
図15に示すように、両分割部3、4の両ナット12、12間を六角穴付ボルト14で締結する場合に、六角穴付ボルト14の軸線方向からだけでなく、六角穴付ボルト14の軸線に対して所定の角度に傾斜した斜め方向からでも、第2取付工具30の六角レンチ32の先端部を六角穴付ボルト14の頭部20の六角穴16内に挿入して、六角穴付ボルト14を締め付けることができる。
【0060】
第3取付工具35は、
図13、
図14、及び
図16に示すように、丸棒状の把手部36と、把手部36の先端に溶接等によって一体に連結される支持軸37と、支持軸37の先端に取り付けられるL形板状の支持部38と、支持部38に取り付けられる締付具としてのメガネレンチ39とから構成されている。
【0061】
メガネレンチ39は、レンチ部40と、レンチ部40の外面に溶接により一体に連結される板状のレバー部41とから構成され、レバー部41がボルト・ナット42によって支持部48に取り付けられている。レバー部41の支持部48に対する取付角度を調整することにより、把手部36に対するレンチ部40の角度を調整することができる。
なお、
図14は、メガネレンチ39の角度を把手部36の軸線に対して略直角に調整した状態を示している。
【0062】
図16に示すように、第3取付工具35のメガネレンチ39のレンチ部40を六角ボルト19の頭部20に装着し、把手部36を操作してメガネレンチ39を時計周りに回し、一方の分割部3のねじ孔18に六角ボルト19を螺合させて締め付け、六角ボルト19の先端を過熱器53及び再熱器56の管55、58の外面に押し付けることにより、両分割部3、4を過熱器53及び再熱器56の管55、58の外面に固定することができる。
【0063】
次に、本実施の形態のプロテクターの取付方法について説明する。
まず、
図17及び
図18に示すように、第1取付工具25の支持部材29ねじ軸27の先端を一方の分割部3の外面側のナット21に螺合させて締め付けることにより、支持部材29の先端に本体2の両分割部3、4を取り付ける。そして、他方の分割部4の外面側のリング22に紐状部材28を通し、紐状部材28の両端を支持部材29の把手部26の方向に引っ張ることにより両分割部3、4を開いた状態とする。そして、紐状部材28の両端を支持部材29の把手部26と一緒に把持することにより、両分割部3、4を開いた状態に固定する。
【0064】
この場合、予め、一方の分割部3のねじ孔18に六角ボルト19を取り付け、他方の分割部4の各連結手段11の各ナット13にそれぞれ六角穴付ボルト14を取り付けておく。また、過熱器53及び再熱器56の内部の状態を把握するために撮像手段46を用意しておく。
【0065】
撮像手段46は、例えば、丸棒状の支持部47と、支持部47の先端に取り付けられたCCDカメラ等のカメラ48と、カメラ48によって取得した画像を表示するモニター49とから構成される。撮像手段46により、過熱器53及び再熱器56の対象の管55、58の画像を取得して表示するには、過熱器53及び再熱器56の上部にモニター49を配置し、支持部47を操作して、先端のカメラ48を、過熱器53及び再熱器56の上方から、過熱器53及び再熱器56の管55、58間の隙間を利用して、過熱器53及び再熱器56の内部に挿入する。そして、支持部47を操作して、カメラ48の位置、向き等を調整することにより、カメラ48を対象の管55、58を撮影することが可能な位置に位置決めし、カメラ48を介して対象の管55、58の画像を取得する。カメラ48で取得した対象の管55、58の画像は、過熱器53及び再熱器56の上部に配置したモニター49に表示され、このモニター49に表示を目視しながら、プロテクター1を過熱器53及び再熱器56の内部に挿入し、このプロテクター1を対象の管55、58の外面に取り付ける作業を行う。
【0066】
次に、
図19に示すように、撮像手段46のモニター49に表示された画像を目視しながら、第1取付工具25の支持部材29の把手部26を操作することにより、プロテクター1の本体2の両分割部3、4を、過熱器53及び再熱器56の上方から、過熱器53及び再熱器56の隣接する管55、58間の隙間を利用して、過熱器53及び再熱器56の内部に挿入する。
【0067】
そして、
図20に示すように、本体2の両分割部3、4の位置を調整することにより、一方の分割部3の内面を対象の管55、58の外面に被せる。そして、この状態で、
図21及び
図22に示すように、紐状部材28の一端を離し、紐状部材28による両分割部3、4の固定状態を解除し、両分割部3、4をばね付蝶番6のばね10の付勢力によって閉じる方向に回動させ、他方の分割部4を対象の管55、58の外面に被せる。これにより、両分割部3、4で対象の管55、58の周囲を囲むことができる。
【0068】
次に、
図24に示すように、必要に応じて、丸棒状の把手部44の先端にフック45を一体に連結した
落下防止工具43を用い、撮像手段46のモニター49に表示された画像を目視しながら、この
落下防止工具43のフック45を過熱器53及び再熱器56の内部に挿入し、プロテクター1の本体にフック45を下方から引掛けることにより、本体2が落下するのを防止するとともに、本体2の取付位置の調整を行う。
【0069】
次に、
図22に示すように、撮像手段46のモニター49に表示された画像を目視しながら、第2取付工具30の把手部31を操作して、第2取付工具30の六角レンチ32を、過熱器53及び再熱器56の上方から、過熱器53及び再熱器56の隣接する管55、58間の隙間を利用して、過熱器55及び再熱器58の内部に挿入し、六角レンチ32の先端を各六角穴付ボルト14の頭部15の六角穴16内に挿入する。そして、把手部31を介して六角レンチ32を時計回りに回すことにより、各六角穴付ボルト14を各両ナット12、13間に螺合させ、各六角穴付ボルト14を締め付けることにより各両ナット12,13間を六角穴付ボルト14で締結する。この場合、六角レンチ32の先端部は2段に形成され、先端面が曲面に形成されているので、各六角穴付ボルト14の軸線に対して斜め方向からでも、六角レンチ32の先端を各六角穴付ボルト14の六角穴に挿入して、各六角穴付ボルト14を締め付けることができる。
【0070】
次に、
図23に示すように、撮像手段46のモニター49に表示された画像を目視しながら、第3取付工具35の把手部36を操作して、第3取付工具35のメガネレンチ39のレンチ部40を六角ボルト19の頭部に装着し、把手部36を介してメガネレンチ39を時計回りに回すことにより、六角ボルト19を一方の分割部3のねじ孔20に螺合させ、六角ボルト19を締め付けることにより、六角ボルト19の先端を過熱器53及び再熱器56の管55、58の外面に押し付け、両分割部3、4を管55、8の外面に固定する。
【0071】
そして、第1取付工具25の支持部材29の把手部26を半時計周りに回すことにより、支持部材29のねじ軸27を一方の分割部3のナット21から取り外し、第4取付工具43のフック45を本体2から外すことにより、保護対象の管55、58の外面にプロテクター1を取り付けることができ、外面に磨耗、減肉が生じた管55、58の部分をプロテクター1の本体2で囲んで保護することができる。
【0072】
上記のように構成した本実施の形態の
プロテクター1の取付工具及びプロテクター1の取付方法にあっては、過熱器53及び再熱器56の管55、58の外面に磨耗、減肉が生じた場合に、遠隔から(過熱器53及び再熱器56の上方から)第1取付工具25、第2取付工具30、第3取付工具35、
落下防止工具43、及び撮像手段46を操作して、過熱器53及び再熱器56の隣接する管55、58間の隙間を利用して、保護対象の管55、58の外面にプロテクター1を取り付けることができる。
【0073】
従って、過熱器53及び再熱器56の管55、58の複数箇所を切断して、過熱器53及び再熱器56の管パネルを吊り上げる必要はなく、過熱器53及び再熱器56をそのままの状態にして各作業を行うことができるので、保護対象の管55、58へのプロテクター1の取り付けを、容易に、短時間で、かつ安い費用で行うことができる。
【0074】
なお、上記の説明においては、本発明の
プロテクター1の取付工具及びプロテクター1の取付方法を、加圧流動床ボイラ50の火炉52の内部に設けられた過熱器53及び再熱器56の管55、58の摩耗、減肉した部分に
プロテクター1を取り付けて保護するのに適用したが、各種の管に
プロテクターを取り付けて保護するのに本発明の
プロテクターの取付工具及びプロテクターの取付方法を適用してもよいし、管に限らず、各種の柱状の部材の摩耗、減肉した部分に本発明を適用してもよい。