(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5844152
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】分岐カテーテルの二重バルーン結合及び結合方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20151217BHJP
【FI】
A61M25/10 520
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-521296(P2011-521296)
(86)(22)【出願日】2009年7月29日
(65)【公表番号】特表2011-529739(P2011-529739A)
(43)【公表日】2011年12月15日
(86)【国際出願番号】US2009052135
(87)【国際公開番号】WO2010014734
(87)【国際公開日】20100204
【審査請求日】2012年7月23日
【審判番号】不服2014-14543(P2014-14543/J1)
【審判請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】12/183,869
(32)【優先日】2008年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】プリンドル、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、カレン
(72)【発明者】
【氏名】ブロンソン、メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ハインダー、マシュー
【合議体】
【審判長】
長屋 陽二郎
【審判官】
山口 直
【審判官】
平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−518450(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/022278(WO,A2)
【文献】
特表平8−507939(JP,A)
【文献】
特開平2−209159(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/100672(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル主枝管を備えるカテーテルアセンブリにおいて、
前記カテーテル主枝管が、
基端部及び先端部を有し、該先端部が主膨張管腔を形成するカテーテルシャフトであって、同カテーテルシャフトは、先端部を有するとともに主ガイドワイヤ管腔を形成する主ガイドワイヤハウジングを有し、該主ガイドワイヤハウジングの先端部は、前記カテーテルシャフトの先端部を越えて先端側に延びる、前記カテーテルシャフトと、
先端部に先端側ウェスト部を有するとともに基端部に基端側ウェスト部を有する主バルーンであって、該基端側ウェスト部は前記カテーテルシャフトに装着され、該先端側ウェスト部は、前記主ガイドワイヤハウジングの先端部に装着される、前記主バルーンと、
膨張可能部を有し、先端部に先端側ウェスト部を有するとともに基端部に基端側ウェスト部を有する側バルーンと、を有し、
前記側バルーンが膨張されると側バルーンが主バルーンを基準として半径方向に延び、前記膨張可能部が主バルーンの基端部及び先端部の間の位置に配置され、前記側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及びカテーテルシャフトの先端部は、前記側バルーン及び主バルーンが、前記カテーテルシャフトの先端部から前記主バルーンの基端側ウェスト部の長さと同じ距離だけ離間する単一の基端側バルーン接合部において前記カテーテルシャフトの主膨張管腔に連通するように、単一の接合部にて結合され、
前記カテーテルシャフトの前記先端部は、同カテーテルシャフトの先端部が前記主バルーンの基端側ウェスト部の先端部に配置されるように主バルーンの基端側ウェスト部内を延びることを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記主バルーンの先端側ウェスト部及び側バルーンの先端側ウェスト部が主ガイドワイヤハウジングの先端部に装着される請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
互いに対向する開口基端及び開口先端ならびに側面枝開口部を有するステントを備え、該側面枝開口部が開口基端及び開口先端の間の位置に配置され、前記側バルーンの膨張可能部が側面枝開口部に対して整合すべく配向された状態になるよう前記ステントが主バルーンに動作可能に装着される請求項1又は2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記単一の基端側バルーン接合部が、カテーテルシャフトの先端から基端側に1〜10mmの距離を離間して配置される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
先端部を有するカテーテル側枝管を備え、該カテーテル側枝管が枝ガイドワイヤ管腔を形成し、前記主バルーン及び側バルーンの膨張に先立ちカテーテル側枝管の先端部が側面枝開口部を貫通して延びる請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記単一の基端側バルーン接合部が熱結合によりともに結合される請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記単一の基端側バルーン接合部がレーザー結合によりともに結合される請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
カテーテルシャフトと主バルーンと側バルーンとを有するカテーテル主枝管を備え、前記カテーテルシャフトが先端部を有するとともに主膨張管腔を形成し、前記主バルーンが主バルーンの基端部に基端側ウェスト部を有するとともに主バルーンの先端部に先端側ウェスト部を有し、前記側バルーンが膨張可能部及びこの膨張可能部より基端側に延びる基端側ウェスト部を有し、前記膨張可能部が主バルーンの基端側ウェスト部及び先端側ウェスト部の間の位置に配置され、前記側バルーンが膨張されると膨張可能部が主バルーンを基準として半径方向に延びるカテーテルアセンブリを製造する方法において、
前記側バルーンの基端側ウェスト部の開口基端、及び前記主バルーンの基端側ウェスト部の開口基端を、互いに近接するよう配置するとともに前記カテーテルシャフトの先端部において主膨張管腔に連通するよう配置する工程であって、前記カテーテルシャフトの先端部は、同カテーテルシャフトの先端部が前記主バルーンの基端側ウェスト部の先端部に配置されるように主バルーンの基端側ウェスト部内に位置される、前記配置工程と、
前記側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及び主膨張管腔が互いに連通した状態を保ちつつ、前記側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及びカテーテルシャフトの先端部を、前記カテーテルシャフトの前記先端部から前記主バルーンの基端側ウェスト部の長さと同じ距離だけ離間する単一の基端側バルーン接合部においてともに固定する固定工程と、からなることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記固定工程が、前記側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及びカテーテルシャフトの先端部を互いに熱結合させるべく加熱する工程を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固定工程に先立ち、第1のマンドレルを前記カテーテルシャフトの先端部に挿入させるとともに主バルーンの基端側ウェスト部を経て主バルーンに挿入させる工程と、第2のマンドレルを前記カテーテルシャフトの先端部に挿入させるとともに側バルーンの基端側ウェスト部に挿入させる工程と、を含む請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記固定工程が、前記側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及びカテーテルシャフトの先端部を互いに熱結合させるべく加熱する加熱工程と、前記単一の基端側バルーン接合部を冷却させる工程と、前記マンドレルを取り出す工程と、を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱工程をレーザーを用いて行うことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記固定工程が、接着剤を施す工程及び該接着剤を硬化させる工程を含む請求項8乃至
12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルシステム、及び血管分岐部の治療方法に関し、より詳細には、分岐カテーテルシステムのバルーン結合構成に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、ステント及び膨張型構造物とともに体内の様々な部位の狭窄の治療に用いられる。狭窄の拡張、及び人体内の治療部位へのステントの搬送及び配置を目的として、様々なステント構成が開発されてきた。
【0003】
一般的に、ステントは静脈、動脈、又は他の管状の体内器官内にカテーテルによって配置され、血管の拡張もしくは血管壁の強化を行うことにより、閉塞、狭窄、動脈瘤、切開等の症状の治療や、脆弱化したり、患部を有していたり、異常に広がったりしている血管又は血管壁等の治療に用いられる。該当部位に搬送されたステントは、バルーン等の1つ又は複数の膨張型部材により拡張される。ステントは、弾性収縮を抑制し、血管壁を強化することにより血管形成を促進する。また、ステントは、冠動脈のバルーン式血管形成術により切開した血管壁を治療する。さらに、ステントは、血管の損傷部位を治療するための薬剤の搬送媒体としても使用される。
【0004】
従来のステント技術の開発は比較的進んでいるが、血管分岐部の領域の治療に関するステント技術はいまだ開発途上にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、分岐カテーテルの二重バルーン結合及び結合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者の体内の分岐した管腔、例えば血管分岐部の治療用カテーテルアセンブリに関する。一実施形態においては、カテーテルアセンブリはカテーテル主枝管及びカテーテル側枝管を有する。カテーテル主枝管は先端部を有するカテーテルシャフトを有する。カテーテルシャフトは主膨張管腔を形成する。カテーテルシャフトは、先端部を有するとともに主ガイドワイヤ管腔を形成する主ガイドワイヤハウジングを有し、主ガイドワイヤハウジングの先端部は、カテーテルシャフトの先端部を越えて先端側に延びる。主バルーン及び側バルーンが、カテーテルシャフトの先端部に配置され、主膨張管腔に連通する。主バルーンは、先端に先端部ウェスト部を有し、基端に基端側ウェスト部を有する。基端側ウェスト部はカテーテルシャフトに装着され、先端側ウェスト部は、主ガイドワイヤハウジングの先端部に装着される。側バルーンは、膨張可能部、基端側ウェスト部、及び先端側ウェスト部を有し、この基端側ウェスト部及び先端側ウェスト部が側膨張管腔を形成する。側バルーンの膨張可能部は、側バルーン膨張時に主バルーンを基準として半径方向外方に延びるよう構成される。膨張可能部は主バルーンの基端部及び先端部の間の位置に配置される。側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及びカテーテルシャフトの先端部が、
カテーテルシャフトの先端部から主バルーンの基端側ウェスト部の長さと同じ距離だけ離間する単一の結合部において結合され、側バルーン及び主バルーンがカテーテルシャフトの先端部に位置する単一の基端側バルーン接合部においてカテーテルシャフトの主膨張管腔に連通する。カテーテルシャフトの先端部は、カテーテルシャフトの先端部が主バルーンの基端側ウェスト部の先端部に配置されるように主バルーンの基端側ウェスト部内を延びる。
【0007】
本明細書に記載される全ての要素を含んでいない構成又は方法であっても、本発明の効果をもたらし得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】基端部及び先端部を有し、同先端部が主バルーン及び側バルーンならびにカテーテル主枝管及びカテーテル側枝管を有する、血管分岐部の治療用カテーテルアセンブリの例を示す概略図。
【
図2】ステント及びカテーテル側枝管を取り除いた状態における
図1のカテーテルアセンブリの先端部を示す概略側面図。
【
図3】
図2のカテーテルアセンブリの先端部を示す概略側断面図。
【
図4】
図3の二重バルーン接合部を示す概略拡大図。
【
図5】マンドレルが挿入された状態における
図3の二重バルーン接合部を示す拡大概略図。
【
図6】血管分岐部治療のための準備位置に配置された
図1のカテーテルアセンブリを示す概略側面図。
【
図7】カテーテル側枝管が血管分岐部の枝血管内に延びた状態における
図6のカテーテルアセンブリの概略側面図。
【
図8】血管分岐部において主バルーン及び側バルーンが膨張されてステントが拡張した状態における
図7のカテーテルアセンブリを示す概略側面図。
【
図9】主バルーン接合部と側バルーン接合部を別々に有するカテーテルアセンブリの例を示す概略側断面図。
【
図10】
図9の側バルーン接合部を示す概略拡大図。
【
図11】
図9の主バルーン結合部を示す概略拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.背景技術
本明細書は、分岐部治療システム、カテーテルアセンブリ、及び患者の体内の分岐部の治療に関連する方法を開示する。分岐部とは、1単元から2つ以上の単元に分割される部位を指す。一般的に、体器官の分岐部は2種類に分類される。一種類目の分岐部は、主管腔を形成する主管状部位、及び枝管腔を形成する枝管状部位を含む。枝管状部位は、主管状部位から延びるか、主管状部位から枝分かれしている。主管腔と枝管腔は、互いに連通している。二種類目の分岐部は、第1及び第2の枝管腔を形成する第1及び第2の枝部位に分岐する一次管腔すなわち主管腔(親管腔とも称される)を形成する一次部位(主部位)を含む。管腔という用語は、管状器官等(血管等)の管状構造の空隙又は穴を指す。
【0010】
分岐部の例としては、切れ目なく連結する主血管及び枝血管を含む血管分岐部が挙げられる。これらの血管はそれぞれ主管腔と枝管腔を形成し、これらの管腔は互いに連通している。分岐部の別の例は、第1の枝血管及び第2の枝血管に分割される親血管を含む血管分岐部である。これらの血管は、それぞれ親管腔、第1の枝血管、及び第2の枝管腔を形成する。これらの管腔はすべて互いに連通している。
【0011】
本明細書により開示する発明の適用例としては、心臓系、冠状動脈系、腎臓系、末梢血管系、胃腸系、呼吸器系、泌尿器系、及び神経系が挙げられる。本明細書に記載するカテーテルアセンブリ、システム、及び方法は、血管分岐部の枝血管を特定するためや、血管分岐部を治療すべくステントを血管分岐部に対して配置するために用いることができる。
【0012】
本明細書において例示的に開示するカテーテルアセンブリの先端部にはカテーテル主枝管及びカテーテル側枝管が配されている。カテーテル側枝管は、側ガイドワイヤ管腔を形成する側ガイドワイヤハウジングを有する。カテーテル側枝管の先端部は、血管分岐部において枝血管内に延びるよう構成される。カテーテル側枝管は、血管分岐部治療システムの基端部に搬送されるステントを、枝血管への小孔(枝血管開口とも称される)に対して整合させるために用いられる。
【0013】
カテーテル主枝管は、先端部を有するカテーテルシャフトを備える。カテーテルシャフトの先端部には、主バルーン及び側バルーンが配される。カテーテル主枝管は、主ガイドワイヤ管腔を形成する主ガイドワイヤハウジングを備える。主バルーンの先端側ウェスト部は、主ガイドワイヤハウジングに動作可能に装着される。主バルーンの基端側ウェスト部は、カテーテルシャフトの先端部に動作可能に装着される。
【0014】
側バルーンは、主バルーンと概して平行に延びる側膨張部材上に配置される。この側膨張可能部材が側膨張管腔を形成する。側膨張部材は、側バルーンに連通する基端側セグメント及び先端側セグメントを含む。側膨張部材の先端側セグメント及び基端側セグメントは、それぞれ先端方向と基端方向に延びる、側バルーンの長尺状ウェスト部であるとみなすこともできる。
【0015】
バルーンのウェスト部は、通常の場合バルーンの互いに対向する端部の一方に設けられる。ウェスト部は、シャフトの外面等の装着面にバルーンを固定又は装着するために用いられる。主バルーンのウェスト部が装着される面の例としては、カテーテルシャフトの先端部の外面や主ガイドワイヤハウジングの外面が挙げられる。ウェスト部は、バルーンが膨張流体により膨張された際にもその大きさが拡張しない構成となっている。多くの場合、バルーンは管状構造(例えば、熱可塑性素材からなるカテーテルシャフト)に成形を施すことにより形成される。管状構造の、成形されたバルーンの両側からそれぞれ延びる部分は、その部分の長さにかかわらずそのバルーンのウェスト部とみなすことができる。
【0016】
図9〜11に、カテーテル主枝管112の先端部の断面を例示的に示す。カテーテル主枝管12は、カテーテルシャフト20を有する。カテーテルシャフト20は、先端部30及びシャフト先端側セグメント120を含み、これらがともに主膨張管腔32を形成する。主ガイドワイヤハウジング32はカテーテルシャフトの先端部30を越えて延びる。主バルーン24は先端に先端側ウェスト部36を有し、この先端側ウェスト部36は主ガイドワイヤハウジング32に動作可能に装着される。主バルーン24の基端に設けられる基端側ウェスト部38は、主バルーン基端側接合部170においてシャフト先端側セグメント120に動作可能に装着される。
【0017】
主バルーン24の近傍に側バルーン26が配置される。側バルーン26は、膨張可能部45、先端側40から延びる先端側ウェスト部44、及び基端側42から延びる基端側ウェスト部46を備える。膨張可能部45は主バルーンの先端側ウェスト部36及び基端側ウェスト部38の間のある位置に配置される。ウェスト部44、46は、主膨張管腔32から側バルーン26への連通をもたらす側膨張管腔45を形成する。膨張時には、側バルーン26は主バルーン24(主バルーン24の長手方向軸)を基準として半径方向外方に延びる。先端側ウェスト部44及び基端側ウェスト部46は、側膨張部材の先端側セグメント及び基端側セグメントとも称される。
【0018】
一般的に、先端側ウェスト部44の先端は、主バルーン24より先端側に位置する主ガイドワイヤ部材22に動作可能に装着される。先端側ウェスト部44の基端は、側バルーン26に連通するよう動作可能に装着される。基端側ウェスト部46の先端は、側バルーン26に連通するよう動作可能に装着される。基端側ウェスト部46の基端は、側バルーンの基端側接合部148において主膨張管腔32に連通するようカテーテルシャフト20の先端部に動作可能に装着される。側バルーン基端側接合部148はシャフト先端側セグメント120の先端から距離L4だけ離れている。この距離L4は、シャフト先端側セグメント120の全長とほぼ同じ長さである。また、側バルーン基端側接合部148は、主バルーン24の基端側ウェスト部38の先端から距離L5だけ離れている。距離L4は、一般的に約20〜50mmである。
【0019】
先端側セグメント120の基端とシャフト30の先端は、独立したシャフト先端側セグメント120を用いて接合される。この接合部において、側バルーンの基端側ウェスト部46は主膨張管腔32に連通するよう固定される。基端側ウェスト部46との連通を形成するためには、3個のコンポーネント(基端側ウェスト部46、先端側セグメント120、及びカテーテルシャフト20)が、例えば熱結合手法を用いて互いに対して同時に結合される。この同時結合に先立ち、第1のマンドレルがカテーテルシャフト30から先端側セグメント120に挿入され、第2のマンドレルがカテーテルシャフト30から基端側ウェスト部46に挿入される。いくつかの実施形態においては、カテーテルシャフト30と先端側セグメント120との整合及び接触を維持しつつカテーテルシャフト30から基端側ウェスト部46へ第2のマンドレルを容易に挿入するために、カテーテルシャフト30の先端及び先端側セグメント120の基端の片方又は両方に少なくとも1つのスリットが施されている。ある結合方法においては、3つのコンポーネントが互いに連通して接合されるように第1及び第2のマンドレルが配置された状態において、3つのコンポーネントが加熱される。もしくは、接着やレーザー溶着等の他の接合手法を用いて3つのコンポーネントを結合してもよい。主バルーン24の基端側ウェスト部38は別の結合工程により先端側セグメント120に接合される。
【0020】
主バルーン基端側接合部170から基端側の位置に独立した側バルーン基端側接合部148を用い、この基端側接合部148を主バルーンの基端から距離L5だけ離間した位置に配置した場合、多くの不都合が生じる虞がある。例えば、主バルーン24よりも基端側に2つの独立した接合部及びカテーテルシャフトの独立した先端側セグメント120を配置することにより、カテーテル主枝管112の剛性が増し、曲げ及び回転が制限される虞がある。カテーテル主枝管112の先端の可撓性が減少すると、血管分岐部(
図6〜8の血管分岐部80等)を治療する際に、側バルーン、及び主バルーン24に搬送されるステント(
図1のステント16等)の構成要素が枝血管の小孔に対して半径方向に自己整合できる可能性が低くなる。
【0021】
その他の不都合の例としては、カテーテル主枝管112の製造プロセス及び製造方法に関する不都合が挙げられる。各接合部148、170の形成には時間と追加工程が必要となる。過失はあらゆる製造工程において起こり得るため、品質保持のための監視も必要である。接合部の数を減らせば製造に要する全体的時間及び製造プロセスの工程数を減らすことができ、その結果、製造プロセスのコスト低減及び整合性向上が可能となる。さらに、接合部の数を減らすことにより、アセンブリの余分な部品を省くことができる。側バルーン基端側接合部148と主バルーン基端側接合部170とを後述のように組み合わせることにより、カテーテル主枝管112の先端側セグメント120を省くことができる。このように部品数を減らすことにより、アセンブリのコスト及び製造プロセスの複雑度を低減することが可能となる。
2.
図1〜5に示す実施形態
カテーテルアセンブリ10の概要を
図1〜8に例示的に示す。カテーテルアセンブリ10は、
図6〜8に示す血管分岐部80のような血管分岐部の治療に用いられる。カテーテルアセンブリ10は、カテーテル主枝管12、カテーテル側枝管14、及びステント16を備える。カテーテル主枝管12は、基端部28及び先端部30を有するカテーテルシャフト20を備える。カテーテルシャフト20は、主膨張管腔32(
図3)を形成している。カテーテル主枝管12は、主ガイドワイヤハウジング22をさらに有する。
図3に示すように、主ガイドワイヤハウジング22は、主ガイドワイヤ管腔34を形成している。カテーテル主枝管12は、ガイドワイヤハウジング22に沿って延びる主バルーン24を備える。主バルーン24の基端側ウェスト部38はカテーテルシャフト20に動作可能に装着され、主バルーン24の先端側ウェスト部は主ガイドワイヤハウジング22に動作可能に装着される。
【0022】
カテーテル主枝管12はさらに側バルーン26を備える。側バルーン26は、膨張可能部45、先端側ウェスト部44、及び基端側ウェスト部46を有する。ウェスト部材44、46は側膨張管腔45を形成し、この側膨張管腔45を介して膨張用流体が側バルーン26に供給される。先端側ウェスト部44の長さはL2であり、L2は約3〜15mm、好ましくは約6〜10mmである。基端側ウェスト部46の長さはL3であり、L3は約3〜15mm、好ましくは約6〜10mmである。側バルーン26は前側40及び後側42を有し、先端側ウェスト部44と基端側ウェスト部46はこれらの前側40及び後側42からそれぞれ延びる。非膨張時には、側バルーン26の膨張可能部45は折り畳まれた形状をなす(例えば、
図1、6、及び7に示す折り畳まれた状態の側バルーン26)。膨張時には、側バルーン26の膨張可能部45は、主バルーン24の長手方向軸を基準として半径方向外方に延びる(
図2、3、及び8参照)。
【0023】
一般的に、先端側ウェスト部44の先端は、主バルーン24より先端側に位置する主ガイドワイヤ部材22に動作可能に装着される。先端側ウェスト部44の基端は、側バルーン26に動作可能に連通される。基端側ウェスト部46の先端も、側バルーン26に動作可能に連通される。基端側ウェスト部46の基端は、カテーテルシャフト20の先端部に動作可能に装着され、基端側接合部48において主膨張管腔32に連通する。主バルーン24も、主バルーン24の基端側ウェスト部38を介して、基端側接合部48において主膨張管腔32に連通する。基端側接合部48は、シャフト先端側セグメント120から距離L1だけ離れている。距離L1は、主バルーン24の基端側ウェスト部38の全長とほぼ同じ長さである。距離L1は、一般的に約1〜10mmであり、より好適には、約2〜5mmである。
【0024】
主膨張管腔32と側バルーン26を連通させるために、基端側ウェスト部46、カテーテルシャフト20の先端部30、及び主バルーンの基端側ウェスト部38が熱結合技術等により互いに対して同時に結合される。結合に先立ち、第1のマンドレル90がカテーテルシャフト30から側バルーンの基端側ウェスト部46に挿入され、第2のマンドレル92がカテーテルシャフト30から主バルーンの基端側ウェスト部38に挿入される(
図5参照)。いくつかの構成においては、カテーテルシャフト20及び主バルーンの基端側ウェスト部38のどちらか一方もしくは両方にスリットが形成され、第2のマンドレルがカテーテルシャフト30から基端側ウェスト部46に挿入しやすくなっている。ある接合方法においては、第1及び第2のマンドレルが配置された状態で、基端側接合部48が加熱される。この加熱により、カテーテルシャフト20、側バルーンの基端側ウェスト部46、及び主バルーンの基端側ウェスト部38が互いに連通する。
【0025】
側バルーン26(基端側ウェスト部46を介する)と主バルーン24(基端側ウェスト部38を介する)とが単一の接合部において互いに結合し、それらが互いに、及び主膨張管腔32に対して連通する基端側接合部48を設けることにより、2つの基端側接合部を有するカテーテル主枝管112に比べてより多くの効果をもたらし得る。例えば、2つ以上の部材を互いに接合すると(例えばカテーテルシャフト20を主バルーン24又は側バルーン26のバルーンウェスト部に接合すると)、カテーテル主枝管12の剛性が高くなる場合が多いが、単一の基端側接合部において両方のバルーン24、26をカテーテルシャフト20に接合することにより、カテーテル主枝管112の先端部の可撓性を高めることが可能となる。カテーテル主枝管112の先端部の可撓性が高くなると、血管分岐部(
図6〜8の血管分岐部80等)の治療時に、側バルーン26、及び主バルーン24に搬送されるステント16の構成要素が枝血管の小孔に対して半径方向に自己整合する可能性を向上することができる。また、カテーテルアセンブリ10がガイドワイヤ(後述するガイドワイヤ60、62等)上を血管分岐部の治療部位まで前進する際、カテーテルアセンブリ10が血管腔と干渉したり、ガイドワイヤがねじれたりすることにより、カテーテルアセンブリ10の先端が血管内で動かなくなってしまうことがある。このような場合、カテーテルアセンブリ10の前進や、枝血管の小孔に対する適宜な整合ができなくなる。しかし、バルーン24、26より基端側に位置する、カテーテル主枝管12の先端部30に回転可撓性及び曲げ可撓性をもたせることにより、カテーテルアセンブリ10を固定状態から自由にさせ、枝血管の小孔に対する半径方向の自己整合を促進することができる。
【0026】
図1〜8に示すような単一の基端側接合部構成による効果の他の例としては、カテーテル主枝管12の製造プロセス及び製造方法に関する効果が挙げられる。基端側バルーン接合部を単一の接合部48に統合することにより、製造に要する全体的時間を短縮でき、製造プロセスの工程数を減らせる。その結果、コスト低減、ならびに、製造プロセスにおける整合性及び品質の向上が可能となる。さらに、基端側バルーン接合部の数を減らすことにより、シャフト先端側セグメント120等、アセンブリの余分な部品を省くことができる。このように部品数を減らすことにより、アセンブリのコストや製造プロセスの複雑性を抑えることが可能となる。
【0027】
カテーテル主枝管12の側バルーン基端側ウェスト部46において、ステント16の基端より基端側へ延びる長さは、カテーテル主枝管112の構成よりも短い。このように、基端側ウェスト部46においてカテーテル主枝管12のステント16の基端から基端側に延びる部分が短くなっているため、カテーテル主枝管12が体腔を通って分岐部の治療部位まで前進する前や前進中、さらにその後カテーテル主枝管12を体内から取り出す際に、この部分が何かに引っ掛かってしまう虞が低減されている。さらに、基端側接合部48と、主バルーンの先端側に位置するガイドワイヤハウジング22に先端側ウェスト部44が接合される箇所との距離が短くなっているため、血管分岐部を治療する際、ステント16の拡張前及び拡張時において、側バルーン26がステントの構成要素(ステントの側面枝開口部等)及び枝血管の小孔に対して正しく整合されなくなる虞が低減されている。
【0028】
これらの効果は、本明細書に記載する単一の基端側バルーン接合部すなわち結合によりもたらされるものである。この単一の基端側バルーン接合部すなわち結合は、二重バルーン結合とも称される。この結合は、単一の結合プロセスにより単一の接合/結合箇所において2つのバルーンを(バルーンウェスト部38、46を介して)主膨張管腔32と連通するよう結合する工程であるからである。
3.
図6〜8に図示する血管分岐部治療の例
図1〜6に示す前述のカテーテルアセンブリ10は、
図6〜8に示すような血管分岐部80の治療に使用可能である。通常の場合、主血管ガイドワイヤ62は、血管分岐部80の主血管82内の、分岐部より先端側まで挿入される。枝血管ガイドワイヤ60は血管分岐部まで前進し、枝血管84への小孔すなわち開口86に挿入される。その後、主血管ガイドワイヤ62の基端が主ガイドワイヤ管腔34に挿入され、枝血管ガイドワイヤ60の基端がカテーテル側枝管14により形成される枝ガイドワイヤ管腔に挿入される。
図6に示すように、カテーテルアセンブリ10はガイドワイヤ60、62上を血管分岐部まで前進する。そして、カテーテルアセンブリ10は、カテーテル側枝管14の基端部56が枝血管84内に配置されるまで先端側にさらに前進する。ステント16の側面枝開口部54が枝血管84への小孔86に対して半径方向及び軸方向に正しく整合しているか否かを確認するためには、マーカーシステムを用いることができる。マーカーシステムの例として、4マーカーシステムについて後述する。
【0029】
前述の通り、単一の基端側バルーン接合部48を設けることによりカテーテル主枝管12の先端部の可撓性が向上しているため、側バルーン26、及びステント16の側面枝開口部54の、小孔86に対する半径方向の自己整合が向上されている。カテーテルシャフト20の先端に位置する単一の基端側バルーン結合部48により、先端部30の領域Xにおいて単位長さ当たりのねじれが最大となっている(
図2参照)。この領域Xは、従来例ではカテーテル主枝管112の2つの基端側バルーンが存在する領域である。
【0030】
カテーテルアセンブリ10が正しい位置に配置されていることが確認されたのち、主バルーン24及び側バルーン26が膨張される。通常の場合、側バルーン26を膨張させると、側面枝開口部54を囲む拡張可能構造55も拡張する。拡張された拡張可能構造55は、小孔86を貫通して延び、枝血管84の少なくとも一部に延びる。
【0031】
後の工程においては、バルーン24、26が縮小されてカテーテル枝管12、14が取り除かれたのち、別のバルーン部材が枝血管84を治療すべく側面枝開口部54を経て前進し、枝血管84内において拡張可能構造55を開く。さらにその後の工程おいては、別の枝ステントが枝血管84の治療ために側面枝開口部54を経て枝血管84内に前進してもよい。
【0032】
他の治療方法においては、上記の方法工程を変更してもよい。例えば、ガイドワイヤ60、62のどちらか一方をカテーテルアセンブリ10とともに血管分岐部まで前進させることもできる。別の実施形態においては、例えば枝血管への小孔に対する側面枝開口部54の整合を向上させるために、バルーン24、26を同時ではなく順番に膨張させてもよい。
【0033】
カテーテルアセンブリ10は、X線や透視法により可視となるマーカー素材を含んでいてもよい。
図6に、カテーテル主枝管12及びカテーテル側枝管14の先端部に沿って配置されたマーカー1〜4を示す。マーカー素材を含んだシステム10の構成要素はX線や透視法により容易に確認及び識別できる。マーカー素材の例としては、金、プラチナ、及びタングステンが挙げられる。ある実施形態においては、カテーテル主枝管12及びカテーテル側枝管14の少なくとも一方に固定された帯構造にマーカー素材が配される。他の実施形態においては、カテーテル主枝管12及びカテーテル側枝管14の一部分における材料組成の一部としてマーカー素材が配される。X線や透視法によりカテーテルアセンブリ10の構成要素が確認できると、システム10を操作する医師がより容易に血管分岐部80に対するシステム10の位置を調整できる。システム10に適したマーカー及びマーカー素材の例は、Vardiらに付与された米国特許第6、692、483号明細書、及び同時継続中の米国特許出願公開第2007/0203562号明細書「MARKER ARRANGEMENT FOR BIFURCATION CATHETER」に記載されている。
【0034】
本明細書に開示するカテーテルアセンブリの実施形態においては、様々なステント、カテーテル、及びガイドワイヤの構成を用いることができる。本明細書に開示する発明は、特定の設計や構成に限定されない。本発明によるカテーテルアセンブリとともに使用可能なステントの例は、米国特許第6,210,429号明細書、米国特許第6,325,826号明細書、米国特許第6,706,062号明細書、 米国特許第7,220,275号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0176837号明細書「SELF −EXPANDING STENT AND CATHETER ASSEMBLY AND METHOD FOR TREATING BIFURCATIONS」に記載されている。通常、前述のステントは、ステントの開口先端と開口基端との間に側面枝開口部を有している。この側面枝開口部は、ステントの内腔からステントの外の領域への経路を形成している。ステントの側面枝開口部は、ステントの側壁を形成するストラット構造のセル開口とは異なる開口である。いくつかのステントにおいては、拡張可能構造が側面枝開口部を囲む。この拡張可能構造は、例えば分岐部治療システムの膨張可能部が拡張した際に分岐部の枝管腔内に半径方向に延びるよう構成される。一般的に、ステントは、側面枝開口部が枝管腔への開口に対して整合された状態にて主管腔内に配置されてから拡張される。側面枝開口部は、枝管腔への開口に対して半径方向と軸方向の両方に整合される。ステントは、側面枝開口部を囲む拡張可能構造も含めて、1つ又は複数の拡張部材を用いて一回又は複数回の拡張により拡張可能である。
【0035】
本明細書に開示する主バルーン、側バルーン、及び他のバルーンは、準拠材料、非準拠材料、及びこれらの組み合わせを含んだ適宜なバルーン材料により形成可能である。本明細書に開示するバルーン及びカテーテルの材料の例としては、熱可塑性ポリマー、ポリエチレン(高密度、低密度、中間密度、鎖状低密度)、及び、ポリエチレン、イオノマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、アクリルニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエーテル−ポリエステル共重合体、ポリエーテル−ポリアミド共重合体等の様々な共重合体及び混合物が挙げられる。好適な材料の一例は、共重合ポリオレフィン材料であるSurlyn(登録商標)(デラウェア州ウィルミントン所在のデュポン ド ヌムール(Dupont de Nemours))である。さらに別の例としては、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー材料、ポリ(エチレンテレフタレート)(一般的にPETと称される)、熱可塑性ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、及びポリプロピレンが挙げられる。また別の例としては、ポリウレタン、及びポリアミド−ポリエーテルブロック共重合やアミド−テトラメチレングリコール共重合等のブロック共重合が挙げられる。別の例としては、PEBAX(登録商標) 70D、72D、2533、5533、6333、7033、又は7233 (米国ペンシルバニア州フィラデルフィア所在のエルフ アトケム(Elf Atochem)より入手可能)等のPEBAX(登録商標)(ポリアミド/ポリエーテル/ポリエステルブロック共重合)系のポリマーが挙げられる。別の例としては、脂肪質ナイロン等のナイロン、例えば、Vestamid(登録商標)L2101 IF、ナイロン 11 (エルフ アトケム(Elf Atochem))、ナイロン 6(アリード シグナル(Allied Signal))、ナイロン 6/10(ビーエーエスエフ(BASF)、ナイロン 6/12 (アシュリー ポリマー(Ashley Polymers)、ナイロン 12が挙げられる。他のナイロンの例としては、Grivory(登録商標)(イーエムエス(EMS))及びNylon MXD−6等の芳香性ナイロンが挙げられる。別のナイロンやナイロンの組み合わせも使用可能である。さらに別の例としては、CELANEX(登録商標)(ニュージャージー州サミット所在のティコナ(Ticona)から入手可能)等のポリブチレンテレフタレート(PBT)、例えばARNITEL(登録商標)EM740等のARNITEL(登録商標)(インディアナ州エリオンスピラ(Erionspilla)所在のディエスエム(DSM)から入手可能)等のポリエステル/エーテルブロック共重合体、Trogamid(PA6−3−T、デグサ)のような芳香族アミド、及びHYTREL(登録商標)(デラウェア州ウィルミントン所在のデュポン ド ヌムール(Dupont de Nemours))等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。いくつかの実施形態において、PEBAX(登録商標)、HYTREL(登録商標)及びARNITEL(登録商標)は、約45D〜約82DのショアD硬度を有する。バルーン材料は、純粋な状態で用いてもよいし、または混合物として用いてもよい。例えば、混合物は、PBTと、RITEFLEX(登録商標)(ティコナから入手可能)、ARNITEL(登録商標)又はHYTREL(登録商標)等の1種以上のPBT熱可塑性エラストマーを含んでもよいし、もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)と、PBT熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーを含んでもよい。バルーン材料の他の例は、米国特許第6,146,356号明細書にも記載されている。
6.結論
本発明の一実施形態は、カテーテル主枝管及びカテーテル側枝管を備えるカテーテルアセンブリに関する。カテーテル主枝管は、カテーテルシャフト、主バルーン、及び側バルーンを有する。カテーテルシャフトは基端部及び先端部を有し、この先端部が主膨張部材を形成する。主バルーンは、先端に先端部ウェスト部を有し、基端に基端側ウェスト部を有する。側バルーンは、膨張可能部を有するとともに先端に先端部ウェスト部を有し、基端に基端側ウェスト部を有する。側バルーンは、側バルーン膨張時に主バルーンを基準として半径方向に延びるよう構成される。膨張可能部は主バルーンの基端部及び先端部の間の位置に設けられる。側バルーンの基端側ウェスト部及び主バルーンの基端側ウェスト部は、カテーテルシャフトの先端部に位置する基端側バルーン接合部において主膨張管腔に動作可能に連通する。
【0036】
本発明の別の実施形態は、カテーテル主枝管、カテーテル側枝管、及びステントを備えるカテーテルアセンブリに関する。カテーテル主枝管は、基端部及び先端部を有する。先端部は、カテーテルシャフト、主ガイドワイヤハウジング、及び主バルーンを有する。カテーテルシャフトは先端部を有し主膨張管腔を形成する。主ガイドワイヤハウジングはカテーテルシャフトの先端部を越えて先端側に延び、主ガイドワイヤ管腔を形成する。主バルーンは、基端側ウェスト部及び先端側ウェスト部を有する。側バルーンは、膨張可能部、基端側ウェスト部、及び先端側ウェスト部を有する。側バルーンの基端側ウェスト部及び先端側ウェスト部は側膨張管腔を形成する。側バルーンの基端側ウェスト部及び主バルーンの基端側ウェスト部は基端側バルーン接合部において主膨張管腔に連通するよう動作可能に装着される。カテーテル側枝管は先端部を有し、側ガイドワイヤ管腔を形成する。ステントは、開口基端、開口先端、及び側面枝開口部を有し、側面枝開口部は開口基端及び開口先端の間の位置においてステントに形成される。カテーテル側枝管の先端部は、主バルーン及び側バルーンの膨張に先立ち、側面枝開口部を貫通してカテーテル側枝管に延びる。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態は、カテーテルアセンブリの製造方法に関する。このカテーテルアセンブリは、カテーテルシャフトと主バルーンと側バルーンとを有するカテーテル主枝管を備える。カテーテルシャフトは先端部を有するとともに主膨張管腔を形成する。主バルーンは主バルーンの基端部に基端側ウェスト部を有するとともに主バルーンの先端部に先端側ウェスト部を有する。側バルーンは、膨張可能部及びこの膨張可能部より基端側に延びる基端側ウェスト部を有する。膨張可能部は、主バルーンの基端側ウェスト部及び先端側ウェスト部の間の位置に配置される。側バルーンが膨張されると膨張可能部は主バルーンを基準として半径方向に延びる。この方法は、側バルーンの基端側ウェスト部の開口基端、及び主バルーンの基端側ウェスト部の開口基端を、互いに近接するよう配置するとともにカテーテルシャフトの先端部において主膨張管腔に対して連通するよう配置する工程と、側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及び主膨張管腔が互いに連通した状態を保ちつつ、側バルーンの基端側ウェスト部、主バルーンの基端側ウェスト部、及びカテーテルシャフトの先端部を基端側バルーン接合部においてともに固定する固定工程を含む。
【0038】
本明細書に記載される全ての要素を含んでいない構成又であっても、本発明の効果をもたらし得ることに留意されたい。