(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の対基板作業装置が、回路基板に対する作業を行う作業ヘッドと、回路基板を撮像する撮像装置と、前記作業ヘッドと前記撮像装置とを前記ベース上の任意の位置に移動させる移動装置と
を、有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の対基板作業システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0017】
<対基板作業システムの構成>
図1に、対基板作業システム10を示す。
図1に示すシステム10は、電子回路部品(以下、「回路部品」と略す場合がある)を実装して電子回路を構成する回路基板を製造するためのシステムであり、回路基板に対する作業である対回路基板作業を行う複数の作業装置12,14,16,18と、それら複数の作業装置12,14,16,18が取り付けられるベース20とを含んで構成されている。
【0018】
複数の作業装置12,14,16,18には、回路基板に回路部品を装着するための3種類の装着作業装置12,14,16と、回路部品が装着された回路基板を検査するための検査作業装置18とがあり、それら複数の作業装置12,14,16,18が、2列に並んで配列された状態で、ベース20に取り付けられる。ちなみに、図では、一部の作業装置12,14,18がベース20に取り付けられる前のシステム10が図示されている。
【0019】
複数の作業装置12,14,16,18がベース20に取り付けられた状態で、回路基板が、最上流側に配置された作業装置(図での左方に位置する作業装置)12から最下流側に配置された作業装置(図での右方に位置する作業装置)18に渡って搬送され、その回路基板に対して各作業装置12,14,16,18による作業が順次実行されることで、回路部品が実装された回路基板を生産することが可能となっている。ちなみに、以下の説明において、複数の作業装置12,14,16,18の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0020】
複数の作業装置12,14,16,18が取り付けられるベース20は、
図2に示すように、メインフレーム21と、そのメインフレーム21の上面に配設される1対の基板搬送装置22,23とを備えている。1対の基板搬送装置22,23は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにメインフレーム21上に配設されている。1対の基板搬送装置22,23の各々は、電磁モータ(
図3参照)24によって各基板搬送装置22,23に支持される回路基板をX軸方向に搬送するとともに、各作業装置12,14,16,18に対応した位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0021】
また、メインフレーム21には、10個の格納スペース25が形成されている。各格納スペース25は、後に詳しく説明するが、各作業装置12,14,16,18がベース20に取り付けられる際に、各作業装置12,14,16,18の一部を格納するためのスペースであり、1対の基板搬送装置22,23の下方においてX軸方向に延びるように2列に並んで配置されている。つまり、メインフレーム21には、各基板搬送装置22,23の下方に5個の格納スペース25が形成されており、各基板搬送装置22,23の下方において、X軸方向に並んで配置されている。各格納スペース25は、メインフレーム21のY軸方向における両側部に開口しており、その開口から各作業装置12,14,16,18の一部が挿入される。ちなみに、各格納スペース25の開口の幅は、全て同じとされており、各開口は、同ピッチで形成されている。
【0022】
ちなみに、メインフレーム21は、5個の個別フレームがX軸方向に並んで接続されたものである。つまり、個別フレームには、1対の格納スペース25が形成されており、それら1対の格納スペース25は、個別フレームのY軸方向における両側部に開口している。このため、本対基板作業システム10では、5個の個別フレームがX軸方向に並んで接続されることでメインフレーム21が構成されているが、個別フレームの数を増減させることで、1以上の個別フレームを有するメインフレームを構成することが可能である。
【0023】
なお、10個の格納スペース25を区別して説明する場合には、基板搬送装置22(図での手前側に位置する基板搬送装置)の下方に位置する5個の格納スペース25のうちの上流側(図での左側)に位置するものから順に、25a,25b,25c,25d,25eと称し、基板搬送装置23(図での奥側に位置する基板搬送装置)の下方に位置する5個の格納スペース25のうちの上流側(図での左側)に位置するものから順に、25f,25g,25h,25i,25jと称する。
【0024】
また、ベース20には、
図3に示す統括制御装置26が設けられている。統括制御装置26は、各基板搬送装置22,23を制御するとともに、上記格納スペース25への各作業装置12,14,16,18の格納を指令するためのものであり、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ27と、各基板搬送装置22,23の電磁モータ24に対応する駆動回路28とを備えている。コントローラ27には、駆動回路28を介して各基板搬送装置22,23の電磁モータ24が接続されており、各基板搬送装置22,23の作動を制御することが可能とされている。
【0025】
また、3種類の装着作業装置12,14,16のうちの第1装着作業装置12は、比較的小さな回路部品を回路基板に装着するためのものであり、
図4に示すように、フレーム部30とそのフレーム部30に上架されたビーム部32とを含んで構成される作業装置本体34と、作業装置本体34、つまり、第1装着作業装置12を自動で移動させるための自走機構35と、回路基板に対して回路部品の装着作業を行う装着ヘッド36と、ビーム部32に配設されて装着ヘッド36を移動させる移動装置38と、フレーム部30に配設され回路部品を供給する供給装置40とを備えている。
【0026】
装着ヘッド36は、第1装着作業装置12がベース20に取り付けられた際に回路基板に対して回路部品を装着するものであり、
図5に示すように、回路部品を吸着する吸着ノズル50を先端部に保持する装着ユニット52を複数備えている。吸着ノズル50の各々は、正負圧供給装置(
図3参照)54を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて回路部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した回路部品を離脱する構造とされている。概して軸状をなす装着ユニット52は、間欠回転するユニット保持体56の外周部に、等角度ピッチで、軸方向が垂直となる状態に保持されている。なお、
図5は、外部カバーが取り外された状態の装着ヘッド36が図示されている。
【0027】
また、ユニット保持体56は、保持体回転装置58によって、装着ユニット52の配設角度ピッチに等しい角度ずつ間欠回転させられ、そのユニット保持体56に保持される装着ユニット52が間欠回転させられる。間欠回転における装着ユニット52の1つの停止位置である昇降ステーション(最も前方に位置するステーション)において、装着ユニット52は、ユニット昇降装置60によって昇降させられる。これにより、装着ユニット52の先端部に保持される吸着ノズル50は、後に説明する供給装置40から回路部品を吸着する。また、昇降ステーションにおいて、装着ユニット52が、ユニット自転装置62によって自転させられる。これにより、吸着保持された回路部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。
【0028】
また、ユニット保持体56,ユニット昇降装置60等を保持するヘッド本体64の下端部は、吸着ノズル50の下端部より下方に延び出しており、吸着ノズル50側に屈曲されている。その屈曲された部分の上面には、パーツカメラ66が上を向いた状態で配設されており、ヘッド本体64に最も近い撮像ステーション(最も後方に位置するステーション)において、そのステーションに位置する装着ユニット52の吸着ノズル50に保持される回路部品が、パーツカメラ66によって撮像される。また、ヘッド本体64の下面には、マークカメラ(
図3参照)68が配設されており、マークカメラ68によって、回路基板を撮像することが可能とされている。
【0029】
また、移動装置38は、第1装着作業装置12がベース20に取り付けられた際に装着ヘッド36をベース20上の任意の位置に移動させるものであり、
図4に示すように、装着ヘッド36をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構70と、装着ヘッド36をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構72とを備えている。Y軸方向スライド機構72は、ビーム部32にY軸方向に延びるようにして設けられたY軸ガイドレール74と、そのY軸ガイドレール74にそれの軸線方向に移動可能に保持されるY軸スライダ76と、電磁モータ78とを有しており、電磁モータ78によって、Y軸スライダ76がY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、X軸方向スライド機構70は、Y軸スライダ76にX軸方向に延びるようにして設けられたX軸ガイドレール80と、電磁モータ(
図3参照)82とを有している。X軸ガイドレール80には、装着ヘッド36が、X軸方向にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ82によって、装着ヘッド36がX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。これにより、装着ヘッド36は、移動装置38によって、第1装着作業装置12がベース20に取り付けられた際に、ベース20上の任意の位置に移動可能とされている。
【0030】
また、供給装置40は、フィーダ型の供給装置とされている。供給装置40は、回路部品がテーピング化されたテープ化部品をリール86に巻回させた状態で収容する複数のテープフィーダ88を有しており、複数のテープフィーダ88の各々に収容されているテープ化部品を送り出すことで、各テープフィーダ88の上端部において、テープ化部品から回路部品を装着ヘッド36への供給位置に順次供給する構造とされている。
【0031】
また、自走機構35は、フレーム部30を構成するロアフレーム92の下面に取り付けられた複数の車輪94と、それら複数の車輪94のうちの駆動輪を駆動する電磁モータ(
図3参照)96と、複数の車輪のうちの転舵輪を転舵する転舵装置(
図3参照)98と、対基板作業システム10が配設されている工場内の床面に付設されている磁気テープ(図示省略)と、ロアフレーム92の下面に設けられた磁気センサ(図示省略)とを有している。自走機構35は、磁気センサによる検出結果に基づいて、電磁モータ96と転舵装置98とが制御されることで、磁気テープに沿って第1装着作業装置12を自走させることが可能とされており、後に詳しく説明するように、ベース20の格納スペース25にロアフレーム92の前方に延び出す部分が格納されるようになっている。つまり、第1装着作業装置12は、自動でベース20の格納スペース25に対応した位置に取り付けられるようになっている。ちなみに、ロアフレーム92のX軸方向における幅は、格納スペース25のX軸方向における幅より僅かに小さくされている。
【0032】
また、ロアフレーム92の下面には、複数の固定脚100が設けられている。各固定脚100は、上下方向に伸縮可能とされており、各固定脚100が収縮されている際に、複数の車輪94が床面に接地し、各固定脚100が伸長されている際には、複数の車輪94が床面から浮き上がる構造とされている。つまり、第1装着作業装置12を自走させる際に、各固定脚100は収縮されており、第1装着作業装置12を特定の位置において固定させる際には、各固定脚100が伸長される。
【0033】
第1装着作業装置12は、さらに、
図3に示すように、自走機構35,装着ヘッド36,移動装置38,供給装置40の各々を制御する個別制御装置110を備えている。個別制御装置110は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ112と、電磁モータ78,82,96,正負圧供給装置54,保持体回転装置58,ユニット昇降装置60,ユニット自転装置62,テープフィーダ88,転舵装置98の駆動源の各々に対応する複数の駆動回路114とを備えている。コントローラ112には、各駆動回路114を介して各装置36,38等の駆動源が接続されており、各装置36,38等の作動を制御することが可能とされている。また、コントローラ112には、パーツカメラ66およびマークカメラ68によって得られた画像データを処理する画像処理装置116が接続されている。さらに、コントローラ112は、上記統括制御装置26のコントローラ27に接続されており、後に詳しく説明するように、そのコントローラ27からの指令に基づいて、自走機構35の作動を制御するように構成されている。
【0034】
また、第1装着作業装置12とは異なる種類の作業装置である第2装着作業装置14は、第1装着作業装置12によって装着される回路部品よりも大きな回路部品を回路基板に対して装着するものである。第2装着作業装置14は、
図6に示すように、供給装置120とパーツカメラ121とを除いて、第1装着作業装置12と略同様の構成であり、上記作業装置本体34と上記移動装置38とを備えている。
【0035】
第2装着作業装置14の供給装置120は、フィーダ型の供給装置とされており、第1装着作業装置12のテープフィーダ88の回路部品より大きな回路部品がテーピング化されたテープ化部品をリール122に巻回させた状態で収容する複数のテープフィーダ124を有している。テープフィーダ124は、リール122を保持する保持部126と、その保持部126から引き出されたテープ化部品が上端面に延在させられるフィーダ本体128とから構成されている。テープフィーダ124は、フィーダ本体128において作業装置本体34のフレーム部30に取り付けられており、テープ化部品を送り出すことで、フィーダ本体128の先端部において、テープ化部品から回路部品を供給位置に順次供給する構造とされている。
【0036】
また、パーツカメラ121は、上を向いた状態で、X軸方向に並んで配列された複数のテープフィーダ124に隣接してフレーム部30に配設されており、装着ヘッドの吸着ノズル50によって保持された回路部品を撮像可能とされている。ちなみに、第2装着作業装置14では、パーツカメラ121がフレーム部30に配設されているため、装着ヘッド36からパーツカメラ66が取り外されたものと同じ構造の装着ヘッド132が採用されている。
【0037】
第2装着作業装置14は、さらに、第1装着作業装置12と同様の個別制御装置110および画像処理装置116を備えており、供給装置120,装着ヘッド132等の各装置の作動を制御するとともに、パーツカメラ121等によって得られた画像データを処理可能とされている。また、第2装着作業装置14は、第1装着作業装置12と同様の自走機構35を備えており、自走機構35の作動により、ベース20の格納スペース25にロアフレーム92の前方に延び出す部分が格納されるようになっている。つまり、第2装着作業装置14も、自動でベース20の格納スペース25に対応した位置に取り付けられるようになっている。
【0038】
また、上記2種類の装着作業装置12,14とは異なる種類の作業装置である第3装着作業装置16は、
図7に示すように、上記2種類の装着作業装置12,14を一体化させたものとなっており、幅広の作業装置本体140に上記供給装置40,120およびパーツカメラ121が配設されている。詳しく言えば、作業装置本体140は、X軸方向に並んで設けられた1対の上記ロアフレーム92を有するフレーム部142と、そのフレーム部142に上架されたビーム部144によって構成されており、フレーム部142およびビーム部144のX軸方向における幅は、上記フレーム部30およびビーム部32のX軸方向における幅の2倍とされている。そして、その幅広のフレーム部142に、2つの供給装置40,120にパーツカメラ121が挟まれた状態で、それら2つの供給装置40,120とパーツカメラ121とがX軸方向に並んで配設されている。
【0039】
上記ビーム部32の2倍の幅とされたビーム部144には、移動装置146が配設されている。この移動装置146のY軸スライダ148およびX軸ガイドレール149は、上記移動装置38のY軸スライダ76およびX軸ガイドレール80の2倍の長さとされており、移動装置146による装着ヘッド132のX軸方向への可動範囲が、上記移動装置38による装着ヘッド132のX軸方向への可動範囲の2倍とされている。
【0040】
また、フレーム部142の1対のロアフレーム92間の距離は、ベース20に形成された2つの隣接する格納スペース25間の距離と同じとされており、第3装着作業装置16も、上記装着作業装置12,14と略同様の自走機構35を備えている。これにより、自走機構35の作動により、1対のロアフレーム92の前方に延び出す部分が、ベース20の2つの隣接する格納スペース25に格納されるようになっている。つまり、第3装着作業装置16も、自動でベース20の格納スペース25に対応した位置に取り付けられるようになっている。
【0041】
第3装着作業装置16は、さらに、第1装着作業装置12と同様の個別制御装置110および画像処理装置116を備えており、供給装置40,120,移動装置146等の各装置の作動を制御するとともに、パーツカメラ121等によって得られた画像データを処理可能とされている。
【0042】
また、回路部品が装着された回路基板を検査するための検査作業装置18は、
図8に示すように、上記第1装着作業装置12若しくは、第2装着作業装置14から供給装置40,120を取り除くとともに、装着ヘッド36,132の代わりに検査ヘッド150が、移動装置38に取り付けられている。検査ヘッド150の下端面には、検査カメラ152が下を向いた状態で取り付けられており、その検査カメラ152によって、検査作業装置18がベース20に取り付けられた際に、回路基板上の任意の位置を撮像することが可能とされている。
【0043】
検査作業装置18は、さらに、上記装着作業装置12,14,16と同様の個別制御装置110および画像処理装置116を備えており、移動装置38,検査カメラ152等の各装置の作動を制御するとともに、検査カメラ152によって得られた画像データを処理可能とされている。また、検査作業装置18も、上記装着作業装置12,14,16と同様の自走機構35を備えており、自走機構35の作動により、ベース20の格納スペース25にロアフレーム92の前方に延び出す部分が格納され、ベース20の格納スペース25に対応した位置に取り付けられるようになっている。
【0044】
<作業装置のベースへの取り付け>
上述した構成によって、対基板作業システム10では、ベース20に形成された複数の格納スペース25のうちの任意のものに各作業装置12,14,16,18のロアフレーム92を挿入することで、各作業装置12,14,16,18をベース20の任意の位置に取り付けることが可能とされている。つまり、回路基板への回路部品の実装作業に応じた様々な実装ラインを構築することが可能となっている。さらに、各作業装置12,14,16,18のロアフレーム92の格納スペース25への挿入、つまり、各作業装置12,14,16,18のベース20への取り付けは、各作業装置12,14,16,18が自走することによって行われる。
【0045】
具体的には、例えば、種々の大きさの回路部品を回路基板に実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査可能なラインを構築する場合には、種々の大きさの回路部品を回路基板に実装するべく、複数種類の装着作業装置12,14,16をベース20に取り付けるとともに、検査作業装置18もベース20に取り付けることが望ましい。そこで、3種類の装着作業装置12,14,16と検査作業装置18とをベース20に取り付けるべく、4台の作業装置12,14,16,18の各々に、所定の位置、つまり、所定の格納スペース25に対応した位置への移動が、統括制御装置26によって指令される。
【0046】
詳しくは、統括制御装置26のコントローラ27によって、ベース20の格納スペース25aに対応した位置への移動指令が、第1装着作業装置12のコントローラ112に発令される。これにより、第1装着作業装置12の自走機構35の作動がコントローラ112によって制御されることで、第1装着作業装置12が、
図9に示すように、格納スペース25aに対応した位置に取り付けられる。
【0047】
また、統括制御装置26のコントローラ27によって、格納スペース25bに対応した位置への移動指令が、第2装着作業装置14のコントローラ112に、格納スペース25cおよび25dに対応した位置への移動指令が、第3装着作業装置16のコントローラ112に、格納スペース25eに対応した位置への移動指令が、検査作業装置18のコントローラ112に、それぞれ、発令される。これにより、各作業装置14,16,18の自走機構35の作動がコントローラ112によって制御されることで、第2装着作業装置14が格納スペース25bに対応した位置に、第3装着作業装置16が格納スペース25c,dに対応した位置に、検査作業装置18が格納スペース25eに対応した位置に、それぞれ、取り付けられる。
【0048】
なお、所定の位置への各作業装置12,14,16,18の移動を指令するための機能部として、
図3に示すように、格納指令部160が統括制御装置26のコントローラ27に設けられている。また、その移動指令に基づいて、自走機構35の作動を制御するための機能部として、格納時自走機構制御部162が個別制御装置110のコントローラ112に設けられている。
【0049】
さらに、比較的小さな回路部品を大量に回路基板に実装するとともに、大きな回路部品を少し実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査可能なラインを構築する場合には、小さな回路部品を実装可能な第1装着作業装置12を複数台、ベース20に取り付け、さらに、1台の第2装着作業装置14と検査作業装置18とを、ベース20に取り付けることが望ましい。
【0050】
このような場合には、統括制御装置26のコントローラ27によって、格納スペース25f,25g,25hの各々に対応した位置への移動指令が、3台の第1装着作業装置12のコントローラ112の各々に、発令されるとともに、格納スペース25iに対応した位置への移動指令が、第2装着作業装置14のコントローラ112に、格納スペース25jに対応した位置への移動指令が、検査作業装置18のコントローラ112に、それぞれ、発令される。これにより、各作業装置12,14,18の自走機構35の作動がコントローラ112によって制御されることで、各第1装着作業装置12が格納スペース25f,25g,25hの各々に対応した位置に、第2装着作業装置14が格納スペース25iに対応した位置に、検査作業装置18が格納スペース25jに対応した位置に、それぞれ、取り付けられる。
【0051】
上述したように、各作業装置12,14,16,18がベース20の所定の位置に取り付けられることで、基板搬送装置22に対応したラインでは、種々の大きさの回路部品を回路基板に実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査することが可能となる。一方、基板搬送装置23に対応したラインでは、比較的小さな回路部品を大量に回路基板に実装するとともに、大きな回路部品を少し実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査することが可能となる。
【0052】
また、各作業装置12,14,16,18による回路基板に対する作業を担保するべく、各作業装置12,14,16,18がベース20に取り付けられた際には、各作業装置12,14,16,18とベース20との相対位置が検出される。そして、その相対位置の検出結果に基づいて、ベース20に設けられた基板搬送装置22,23と各作業装置12,14,16,18との位置関係が取得され、各作業装置12,14,16,18による回路基板に対する作業を担保することが可能となっている。
【0053】
具体的には、ベース20の上面には、
図2に示すように、複数の格納スペース25に対応して、複数の基準位置マーク164が記されている。各作業装置12,14,16,18がベース20に取り付けられた際には、各作業装置12,14,16,18の装着ヘッド36,132若しくは、検査ヘッド150が、ベース20への取付位置に対応する基準位置マーク164上に、移動装置38,146によって移動され、装着ヘッド36,132に設けられているマークカメラ68若しくは、検査ヘッド150に設けられている検査カメラ152によって、基準位置マーク164が撮像される。この撮像による画像データが、画像処理装置116によって処理され、各作業装置12,14,16,18とベース20との相対位置が検出される。
【0054】
そして、その相対位置に基づいて、ベース20に設けられた基板搬送装置22,23と各作業装置12,14,16,18との位置関係が取得され、その位置関係に基づいて、基板搬送装置22,23によって搬送された回路基板上に、装着ヘッド36が移動装置38によって移動される。具体的には、装着ヘッド36が、回路基板上に記されたフィデンシャルマーク上に移動される。これにより、装着ヘッド36に設けられたマークカメラ68によってフィデンシャルマークを撮像し、回路基板に関する各種データ、具体的には、基板搬送装置22,23による回路基板の保持位置誤差、回路基板の種類等を取得することが可能となり、装着ヘッド36による回路基板に対する作業を担保することが可能となる。なお、各作業装置12,14,16,18とベース20との相対位置を検出するための機能部として、
図3に示すように、相対位置検出部166が個別制御装置110のコントローラ112に設けられている。
【0055】
また、
図9に示すシステム10では、種々の大きさの回路部品を回路基板に実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査するラインと、比較的小さな回路部品を大量に回路基板に実装するとともに、大きな回路部品を少し実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査するラインが構成されているが、統括制御装置26の移動指令により、異なる種類のラインを構成することが可能である。
【0056】
具体的には、例えば、大きな回路部品をメインに回路基板に実装し、検査工程が不要なラインを構築する場合には、大きな回路部品を実装可能な第2装着作業装置14を複数台、ベース20に取り付け、さらに、1台の第3装着作業装置16をベース20に取り付けることが望ましい。つまり、
図9に示すシステム10の格納スペース25aに対応した位置に取り付けられている第1装着作業装置12を第2装着作業装置14に交換するとともに、格納スペース25eに対応した位置に取り付けられている検査作業装置18を第2装着作業装置14に交換することで、大きな回路部品をメインに回路基板に実装し、検査工程が不要なラインを構築することが可能となる。
【0057】
詳しくは、ベース20の格納スペース25aに対応した位置に取り付けられている第1装着作業装置12のコントローラ112に、帰還位置168への移動指令が、統括制御装置26のコントローラ27によって発令される。帰還位置168は、
図10に示すように、ベース20から離れた位置に設定されており、各作業装置12,14,16,18の待機位置とされている。ちなみに、帰還位置168には、交換用の作業装置として、1台の第1装着作業装置12と2台の第2装着作業装置14とが待機している。
【0058】
さらに、格納スペース25eに対応した位置に取り付けられている検査作業装置18のコントローラ112に、帰還位置168への移動指令が、統括制御装置26のコントローラ27によって発令される。ちなみに、
図10は、第1装着作業装置12および検査作業装置18が、帰還位置168に向かって移動している様子を示している。
【0059】
そして、統括制御装置26のコントローラ27によって、第1装着作業装置12が取り外された位置への移動指令が、帰還位置168で待機している1台の第2装着作業装置14のコントローラ112に、検査作業装置18が取り外された位置への移動指令が、帰還位置168で待機している他の1台の第2装着作業装置14のコントローラ112に、それぞれ、発令される。これにより、2台の第2装着作業装置14が格納スペース25a,25eに対応した位置に取り付けられることで、大きな回路部品をメインに回路基板に実装し、検査工程が不要なラインを構築することが可能となる。
【0060】
さらに、比較的小さな回路部品のみを回路基板に実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査可能なラインを構築する場合には、小さな回路部品を実装可能な第1装着作業装置12を複数台、ベース20に取り付け、さらに、1台の検査作業装置18をベース20に取り付けることが望ましい。つまり、
図9に示すシステム10の格納スペース25iに対応した位置に取り付けられている第2装着作業装置14を第1装着作業装置12に交換することで、小さな回路部品のみを回路基板に実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査可能なラインを構築することが可能となる。
【0061】
詳しくは、格納スペース25iに対応した位置に取り付けられている第2装着作業装置14のコントローラ112に、帰還位置168への移動指令が、統括制御装置26のコントローラ27によって発令される。
図10は、その第2装着作業装置14が、帰還位置168に向かって移動している様子を示している。そして、帰還位置168で待機している第1装着作業装置12のコントローラ112に、第2装着作業装置14が取り外された位置への移動指令が、統括制御装置26のコントローラ27によって発令される。これにより、第1装着作業装置12が格納スペース25iに対応した位置に取り付けられることで、小さな回路部品のみを回路基板に実装し、その回路部品が実装された回路基板を検査可能なラインを構築することが可能となる。
【0062】
なお、帰還位置168への各作業装置12,14,16,18の移動を指令するための機能部として、
図3に示すように、帰還指令部170が統括制御装置26のコントローラ27に設けられている。また、その帰還位置168への移動指令に基づいて、自走機構35の作動を制御するための機能部として、帰還時自走機構制御部172が個別制御装置110のコントローラ112に設けられている。
【0063】
また、帰還位置168に隣接して収納棚176が設置されている。この収納棚176には、予備のテープ化部品,テープフィーダ等が収納されており、帰還位置168において、テープフィーダ等の交換を行うことが可能となっている。収納棚176には、さらに、修理,メンテナンスに必要な部材,装置等が収納されており、帰還位置168において、各作業装置12,14,16,18の修理,メンテナンス等を行うことが可能となっている。
【0064】
ちなみに、上記実施例において、対基板作業システム10は、対基板作業システムの一例であり、対基板作業システム10を構成する各作業装置12,14,16,18,ベース20は、対基板作業装置,ベースの一例である。また、各作業装置12,14,16,18を構成する装着ヘッド36,132および検査ヘッド150,移動装置38,146,マークカメラ68および検査カメラ152,自走機構35,個別制御装置110は、作業ヘッド,移動装置,撮像装置,自走機構,個別制御装置の一例である。その個別制御装置110の相対位置検出部166は、相対位置検出手段の一例である。また、基板搬送装置22,23は、基板搬送装置の一例であり、統括制御装置26は、統括指令装置の一例である。
【0065】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、作業装置として、装着作業を実行する装着作業装置12,14,16および、検査作業を実行する検査作業装置18が採用されているが、その他の種類の作業を実行可能なものを採用することが可能である。具体的には、回路基板上に半田,接着剤等を塗布するための作業装置等を採用することが可能である。
【0066】
また、上記実施例では、各基板搬送装置22,23の複数の格納スペース25の全てに作業装置12,14,16,18が取り付けられているが、複数の格納スペース25の全てに作業装置12,14,16,18を取り付ける必要は無い。つまり、例えば、格納スペース25aおよび格納スペース25eにのみ作業装置を取り付け、格納スペース25b,25c,25dには作業装置を取り付けなくともよい。このように、複数の格納スペース25のうちの一部に作業装置を取り付けた場合であっても、上記システム10では、基板搬送装置22,23がベース20に配設されているため、回路基板の搬送を適切に行うことが可能となっている。
【0067】
また、上記実施例では、自走機構35として、床面に付設された磁気テープを利用して各作業装置12,14,16,18を自走させる方式、所謂、磁気誘導方式の自走機構が採用されているが、電磁誘導方式,光学誘導方式,ジャイロ誘導方式,レーザー誘導方式,自己位置推定誘導方式等の種々の方式の自走機構を採用することが可能である。
【0068】
また、上記実施例では、相対位置検出部166によって検出されたベース20と各作業装置12,14,16,18との相対位置に基づいて、基板搬送装置22,23と各作業装置12,14,16,18との位置関係が取得され、装着ヘッド36による回路基板に対する作業が担保されているが、ベース20への各作業装置12,14,16,18の取り付け位置を担保するべく、ベース20と各作業装置12,14,16,18との相対位置を利用してもよい。具体的には、相対位置検出部166によって検出された相対位置に基づいて、各作業装置12,14,16,18の自走機構35の作動を制御することで、各作業装置12,14,16,18のベース20への取付位置を微調整してもよい。これにより、各作業装置12,14,16,18をベース20の所定の位置に適切に取り付けることが可能となる。