特許第5844186号(P5844186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5844186
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月13日
(54)【発明の名称】木造軸組み床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/02 20060101AFI20151217BHJP
【FI】
   E04B5/02 F
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-62716(P2012-62716)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-194432(P2013-194432A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】中田 信治
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 暁
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−013531(JP,A)
【文献】 特開平10−331307(JP,A)
【文献】 特開2007−040039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B5/02
E04B5/12
E04B5/14
E04B1/58
E04B1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱間に架け渡される互いに平行な梁の間に複数の平板状の床パネルを嵌め込んで形成される木造軸組み床構造において、
前記梁には、上面から前記床パネルに対向する側面に亘って凹部が形成され、
当該梁に対向する床パネルには、上面から前記梁に対向する側面に亘って凹部が形成されており、
これら一対の凹部を対向させて形成される凹状の臍部に前記梁及び前記床パネルよりも強度が高い挿入材を嵌合してなることを特徴とする木造軸組み床構造。
【請求項2】
互いに隣り合う床パネル間に跨って凹状の臍部が形成され、該臍部に前記挿入材が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の木造軸組み床構造。
【請求項3】
前記臍部は円柱状に凹設されていると共に前記挿入材も円柱状に形成されており、前記挿入材の底面の直径は前記臍部の直径と同一若しくは大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木造軸組み床構造。
【請求項4】
前記梁と当該梁に隣接する床パネルの上面に跨って取付金物を架設し、当該取付金物は、前記梁に鋲着固定されると共に前記床パネルにはボルトによって固定されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の木造軸組み床構造。
【請求項5】
前記梁と当該梁に隣接する床パネルに跨って前記取付金物の厚さ相当の段差部を凹設し、当該段差部に前記取付金物を設けていることを特徴とする請求項4に記載の木造軸組み床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造軸組み床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造軸組みでは床面の水平面剛性を確保する方法として、床用構造用合板を梁に釘で止めつけることが一般的に行われている。ALC床仕様でも上記の方法で水平面剛性を確保することが多い。例えば、特許文献1には、ALCパネルの端部を梁の上面に載せてビスで固定している構造が開示されている。また、特許文献2には、梁と梁の間に複数のALCパネルを設け、それらの上面に構造用合板を載置して固定することで水平面剛性を確保しているものが開示されている。また、特許文献3には、隣合うALCパネル同士を充填剤で固定して一体性を図るものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−1935号公報
【特許文献2】特開2000−54540号公報
【特許文献3】特開平4−52349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような釘による固定は、地震時の繰り返しによる劣化が進みやすい傾向がある。また、特許文献2に示すように構造用合板を載置して固定する方法や、特許文献3のように単にALCパネル同士を充填剤で固定しただけのものでは、水平力の伝達を十分に行えない可能性がある。従って、従来より安価な方法で水平面剛性を確実に確保することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、安価に確実に水平面剛性を確保し、これにより木造軸組みの構造安全性を担保できる床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る木造軸組み床構造は、柱間に架け渡される互いに平行な梁の間に複数の平板状の床パネルを嵌め込んで形成される木造軸組み床構造において、梁には、上面から床パネルに対向する側面に亘って凹部が形成され、当該梁に対向する床パネルには、梁に凹部が形成されており、これら一対の凹部を対向させて形成される凹状の臍部に梁及び床パネルよりも強度が高い挿入材を嵌合してなることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る木造軸組み床構造では、挿入材を介して床パネルと木造の梁とが連結されることで梁と床パネルとが一体となることにより、これらの間での水平面剛性が確保されるものとなる。また、梁が木造であるために、床パネルとの間で臍部を形成するための凹部を容易に形成することが可能となっている。以上によって、安価に確実に水平面剛性を確保し、これにより木造軸組みの構造安全性を担保できる。
【0008】
また、本発明に係る木造軸組み床構造において、互いに隣り合う床パネル間に跨って凹状の臍部が形成され、該臍部に挿入材が挿入されていることが好ましい。これによれば、床パネル間でも挿入材を介して水平力を伝達することができるものとなるため、床構造全体を一体として水平面剛性を確保することができる。
【0009】
また、本発明に係る木造軸組み床構造において、臍部は円柱状に凹設されていると共に挿入材も円柱状に形成されており、挿入材の底面の直径は臍部の直径と同一若しくは圧入可能な程度に大きいことが好ましい。これによれば、挿入材を介しての床パネルと梁、または床パネル同士の水平力の伝達が確実に確保されるものとなる。
【0010】
また、本発明に係る木造軸組み床構造において、梁と当該梁に隣接する床パネルの上面に跨って取付金物を架設し、当該取付金物は、梁に鋲着固定されると共に床パネルにはボルトによって固定されることが好ましい。これによれば、取付金物を介して梁と床パネルとの間の水平力の伝達が可能となり、これら梁と床パネル間での水平面剛性を確保することができる。
【0011】
また、本発明に係る木造軸組み床構造において、梁と当該梁に隣接する床パネルに跨って取付金物の厚さ相当の段差部を凹設し、当該段差部に前記取付金物を設けていることが好ましい。これによれば、取付金物を用いて梁と床パネルとを連結する場合であっても、当該梁、床パネル、取付金物の上面の高さ位置は略一致することとなり、これによって、床構造全体の上面を平滑面として仕上げ材の設置を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安価に確実に水平面剛性を確保し、これにより木造軸組みの構造安全性を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る木造軸組み床構造の平面図である。
図2図1に示す木造軸組み床構造各部位の断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る木造軸組み床構造1の平面図である。
図4図3に示す木造軸組み床構造の各部位の断面図である。
図5】変形例に係る木造軸組み床構造の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る木造軸組み床構造1の平面図である。図2は、図1に示す木造軸組み床構造1の各部位の断面図であり、図2(a)は図1のIIa−IIa線に沿った断面図であり、図2(b)は図1のIIb−IIb線に沿った断面図であり、図2(c)は図1のIIc−IIc線に沿った断面図である。図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る床構造1は、木造の柱2、木造の梁3を躯体構造とする建築物に適用されるものである。床構造1は、隣り合う柱2間に架け渡される互いに平行な梁3の間に複数のALCからなる平板状の床パネル4を嵌め込んで形成される。
【0016】
上下方向に立設される柱2からは、当該柱2と隣合う柱2へ向かって大梁3が延在することで矩形枠状の形状を構成し、対向し合う大梁3同士の間には小梁3が架設されることで、大梁3内の領域に更に矩形枠状の形状が形成される。床パネル4は、この矩形枠状の領域内に複数敷設されている。具体的に、図2に示す例では、柱2から互いに直交する方向へ大梁3A及び大梁3Bが延在している。また、大梁3Aの中途位置から、大梁3Bと平行な小梁3Cが延びている。大梁3A,3B及び小梁3Cに囲まれる矩形枠状の領域内に、矩形状の複数の床パネル4が敷設されている。
【0017】
大梁3Bの内側の側面3bと、小梁3Cの側面3bには床パネル4を受けるための受け材6が固定されている。受け材6は、断面矩形状の長尺部材であり、当該受け材6の側面6bが梁3B,3Cの側面3bに固定されている。受け材6は上面6aが床パネル4を受ける受け面とされており、当該上面6aは、梁3B,3Cの上面3aよりも下方に配置される。受け材6は、上面6aが梁3B,3Cの上面3aよりも床パネル4の厚さ分だけ下方へ下がった位置となるように配置されている。
【0018】
床パネル4は、大梁3Bから小梁3Cへ延びており、長辺方向における一端側の下面4bが大梁3B側の受け材6の上面6aに載置されている。床パネル3の当該一端側における端面4cは、大梁3Bの側面3bと対向している。これによって、端面4cと側面3bとの間には、ALCの材料と木造の材料とが対向する隙間SP1が形成される。また、床パネル4は、長辺方向における他端側の下面4bが小梁3C側の受け材6の上面6aに載置されている。これによって、端面4dと側面3bとの間には、ALCの材料と木造の材料とが対向する隙間SP1が形成されている。また、複数の床パネル4のうち最も大梁3A側に配置されている床パネル4では、短手方向の一端側における端面4eが、大梁3Aの側面3bと対向している。これによって、端面4eと側面3bとの間には、ALCの材料と木造の材料とが対向する隙間SP1が形成される。一方、短手方向の他端側における端面4fは、隣の床パネル4の端面4eと対向している。端面4e,4fには、上面4a側に長手方向へ延びる溝4gが形成されることにより、ALCの材料とALCの材料とが対向する隙間SP2が形成される(図2(c)参照)。なお、当該隣の床パネル4の端面4fは、更に隣の床パネル4の端面4eと対向し、ALC材料とALC材料とが対向する隙間SP2を形成している。また、各床パネル4の上面4aは、梁3A,3B,3Cの上面3aと同じ高さに配置されている。
【0019】
梁3には、上面3aから床パネル4に対向する側面3bに亘って凹部11が形成されている。この凹部11は、断面半円状の切欠きである。また、梁3に対向する床パネル4には、上面4aから梁3又は隣の床パネル4に対向する各端面4c,4d,4e,4fに亘って凹部12が形成されている。この凹部12は、断面半円状の切欠きである。床パネル4の凹部12は、梁3の凹部11と対向する位置に形成される。これらの凹部11及び凹部12は、互いに対向することによって、断面円形状で凹設される臍部13を形成している。また、一の床パネル4の凹部12は、隣の床パネル4の凹部12と対向する位置に形成される。これらの凹部12は、互いに対向することによって、隣り合う床パネル4間に跨って凹状の臍部14を形成している。臍部13,14は、円柱状に凹設された穴であり、穴の深さは床パネル4の厚さの半分程度とされている。臍部13,14は、所定のピッチで複数形成されている。
【0020】
臍部13及び臍部14には、円柱状の挿入材17が嵌合している。この挿入材17は、梁3及び床パネル4よりも強度が高い部材である。挿入材17として、例えば、繊維混入モルタル製のコッターや、木造のコッターを適用することができる。挿入材17の底面の直径は、臍部13,14の直径と同一若しくは僅かに大きいことが好ましい。なお、僅かに大きいとは、臍部13,14に対して挿入材17を圧入可能な程度に大きいことである。挿入材17を臍部13,14に挿入した後の挿入材の上面の高さは、合板15と干渉しないように、床パネル4の上面4a及び梁3の上面3aと同じ、または低くなる。
【0021】
木造の材料部分に対してはモルタルの充填などの湿式の処理でなく、乾式の処理を行うことが好ましい。一方、ALCの材料部分に対しては湿式の処理を行ってもよい。すなわち、木造の材料とALCの材料とが対向する臍部13に対しては、予め形成しておいた挿入材17を挿入する乾式の処理を行うことが好ましい。一方、ALCの材料とALCの材料とが対向する臍部14に対しては、樹脂モルタルを充填する湿式の処理を行ってもよい。また、ALCの材料とALCの材料が対向する隙間SP2にはモルタル18を充填してもよいが(図2(c)参照)、木造の材料とALCの材料が対向する隙間SP1にはモルタルなどを充填しないことが好ましい。
【0022】
挿入材17にて床構造1の水平面剛性が確保された後、梁3の上面3a、床パネル4の上面4a、及び挿入材17の上面は、合板15で覆われる。なお、図1においては合板15を破断して一部のみ示しているが、合板15は、梁3の上面3a及び床パネル4の上面4aの略全領域を覆う。
【0023】
次に、本実施形態に係る床構造1の作用・効果について説明する。
【0024】
本実施形態に係る木造軸組み床構造1では、挿入材17を介して床パネル4と木造の梁3とが連結されることで梁3と床パネル4とが一体となることにより、これらの間での水平面剛性が確保されるものとなる。また、梁3が木造であるために、床パネル4との間で臍部13を形成するための凹部11を容易に形成することが可能となっている。以上によって、安価に確実に水平面剛性を確保し、これにより木造軸組みの構造安全性を担保できる。
【0025】
また、本実施形態に係る木造軸組み床構造1において、互いに隣り合う床パネル4間に跨って凹状の臍部14が形成され、該臍部14に挿入材17が挿入されている。これによれば、床パネル4間でも挿入材17を介して水平力を伝達することができるものとなるため、床構造1全体を一体として水平面剛性を確保することができる。
【0026】
また、本実施形態に係る木造軸組み床構造1において、臍部13,14は円柱状に凹設されていると共に挿入材17も円柱状に形成されている。また、挿入材17の底面の直径は臍部13,14の直径と同一若しくは僅かに大きい。これによれば、挿入材17を介しての床パネル4と梁3、または床パネル4同士の水平力の伝達が確実に確保されるものとなる。
【0027】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る木造軸組み床構造1の平面図である。図4は、図3に示す木造軸組み床構造1の各部位の断面図であり、図4(a)は図1のIIa−IIa線に沿った断面図であり、図4(b)は図1のIIb−IIb線に沿った断面図であり、図4(c)は図1のIIc−IIc線に沿った断面図である。第2実施形態に係る木造軸組み床構造100は、梁3と床パネル4とを取付金物20を用いて固定している点で、第1実施形態に係る木造軸組み床構造1と主に相違している。
【0028】
図3及び図4に示すように、取付金物20,25は、梁3と当該梁3に隣接する床パネル4の上面4aに跨って架設されている。小梁3Cは、幅方向の両側において床パネル4と隣接しているため、当該小梁3Cに取り付けられる取付金物20は、小梁3Cを介して両方の床パネル4を跨ぐように設けられている。一方、大梁3Bは、片方のみで床パネル4と隣接しているため、当該大梁3Bに取り付けられる取付金物20は、大梁3B及び当該大梁3Bと一方のみで隣接する床パネル4を跨ぐように設けられている。
【0029】
取付金物20は、金属製の長方形状のプレートであり、一方の端部で一方の床パネル4の端面4c側の上面4aを覆い、他方の端部で他方の床パネル4の端面4d側の上面4aを覆い、中央部で小梁3Cの上面3aを覆う。取付金物20は、小梁3Cに鋲着固定されると共に、床パネル4には取付ボルト21によって固定される。具体的に、床パネル4を覆う部分には、取付ボルト21を挿通するための貫通孔が形成されている。また、床パネル4の内部には、取付金物20の貫通孔と対向する位置にインサートナット22が設けられている。取付ボルト21がインサートナット22と締め付けられることにより、取付金物20と床パネル4とが固定される。また、小梁3Cを覆う部分には、鋲23を挿通させるための貫通孔が形成されている。鋲23が貫通孔を介して小梁3Cに挿入されることにより、取付金物20が小梁3Cに鋲着される。取付ボルト21の螺子頭は、段差部31から出ない(すなわち、合板15と干渉しない)高さに設定されている。また、鋲23の頭は、段差部31から出ない(すなわち、合板15と干渉しない)高さに設定されている。取付金物25は、金属製の長方形状のプレートであり、一方の端部で床パネル4の端面4c側の上面4aを覆い、他方の端部で大梁3Bの上面3aを覆う。取付金物25も、取付金物20と同様の構成によって、小梁3Cに鋲着固定され、取付ボルト21で床パネル4に固定される。
【0030】
小梁3Cの上面3a及び当該小梁3Cと両側で隣接する床パネル4の上面4aには、これらの小梁3C及び床パネル4に跨って、取付金物20の厚さ相当の段差部31が凹設されている。段差部31は、取付金物20の形状に対応した長方形状をなしている。取付金物20は、この段差部31に設けられている。大梁3Bの上面3a及び当該大梁3Bに隣接する床パネル4の上面4aには、これらの大梁3B及び床パネル4に跨って、取付金物20の厚さ相当の段差部31が凹設されている。段差部31は、取付金物20の形状に対応した長方形状をなしている。取付金物20は、この段差部31に設けられている。
【0031】
以上より、本実施形態に係る木造軸組み床構造100において、梁3と当該梁3に隣接する床パネル4の上面4aに跨って取付金物20,25を架設し、当該取付金物20,25は、梁3に鋲着固定されると共に床パネル4にはボルトによって固定される。これによれば、取付金物20,25を介して梁3と床パネル4との間の水平力の伝達が可能となり、これら梁3と床パネル4間での水平面剛性を確保することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る木造軸組み床構造100において、梁3と当該梁3に隣接する床パネル4に跨って取付金物20,25の厚さ相当の段差部31を凹設し、当該段差部31に取付金物20,25を設けている。これによれば、取付金物20,25を用いて梁3と床パネル4とを連結する場合であっても、当該梁3、床パネル4、取付金物20,25の上面の高さ位置は略一致することとなり、これによって、床構造全体の上面を平滑面として仕上げ材の設置を容易に行うことができる。
【0033】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0034】
上述の実施形態では、臍部及び挿入材の形状は円柱状とされていたが、特に形状は限定されない。例えば、四角形や六角形などの多角形の形状としてもよい。例えば、図5(a)に示すように、断面四角形状で凹設される臍部13,14を形成し、当該臍部13,14に四角柱状の挿入材17を嵌合させてよい。また、図5(b)に示すように、断面六角形状で凹設される臍部13,14を形成し、当該臍部13,14に六角柱状の挿入材17を嵌合させてよい。もちろん、当該図5(b)に一点鎖線で示す断面円形状として凹設される臍部18に当該円形断面の直径と同じか僅かに大きい長さを有する対角線を備えた底面多角形状の柱状の挿入材を嵌合させる構成を採用することも可能である。
【0035】
また、臍部13,14に挿入される挿入材17は、当該臍部13,14の直径と同一または大きくされていたが、小さくしてもよい。この場合、臍部13,14の内周面と挿入材17の外周面に隙間が形成されるため、当該隙間がモルタル等で埋められる。なお、好ましいとして隙間SP1にモルタル等を充填しない構成としたが、充填してもよい。
【0036】
また、図3の例では、小梁3Cと大梁3Bにのみ取付金物20,25が取り付けられていたが、大梁3Aにも取り付けてよい。また、取付金具と挿入材をピッチごとに交互に使ってもよい。
【0037】
床パネルとして、ALC版を採用しているが、特に限定されず、プレキャストコンクリート版や木製パネル等の各パネルを採用してよい。
【符号の説明】
【0038】
1,100…木造軸組み床構造、2…柱、3…梁、4…床パネル、11,12…凹部、13,14…臍部、17…挿入材、20,25…取付金物、31…段差部。
図1
図2
図3
図4
図5