特許第5844493号(P5844493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5844493
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】こたつ用敷物
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/02 20060101AFI20151224BHJP
   A47C 27/22 20060101ALI20151224BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20151224BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   A47G9/02 U
   A47C27/22 Z
   F24C1/00 E
   F24C15/00 Q
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-135721(P2015-135721)
(22)【出願日】2015年7月7日
【審査請求日】2015年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315008474
【氏名又は名称】島田 季
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】島田 季
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−203809(JP,A)
【文献】 実開昭57−128046(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/02
A47C 27/22
F24C 1/00
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を支持する天板載置部と、当該天板載置部から下方に延びる一本の脚と、床面に設置され当該脚を支持する脚支持部と、を備えた一本脚こたつに用いるこたつ用敷物であって、
前記こたつ用敷物は中央部に孔を備え、
前記孔は、前記脚または前記脚と前記脚支持部との接続部材を挿通可能、かつ、前記脚支持部を挿通不能な大きさに形成され
周縁部よりも前記中央部の方が重く構成されているこたつ用敷物。
【請求項2】
前記こたつ用敷物のうち、少なくとも前記脚支持部の上方に配置される部分は、当該脚支持部の形状に応じた凹部が形成されている、または、当該脚支持部の形状に応じて変形可能な材料で構成されている、もしくは、これらの双方である請求項1記載のこたつ用敷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、こたつ用敷物、特に、一本の脚を有するこたつ用の敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこたつは、天板と、天板を載置する天板載置部と、天板載置部を支持する4本の脚と、を備えたものが一般的である。このようなこたつでは、通常は、人は脚と脚との間に座り、足をこたつの内部に差し入れる。人数が多い場合には、脚の付近に座る必要性が生じるが、その場合には、そこに座る人は脚が邪魔になり不便を強いられることとなる。
【0003】
このような問題を解決するために、一本の脚を天板載置部の中央部から垂下し、脚の下端を脚支持部(底板)に支持させたこたつが提案されている(例えば、特許文献1〜6)。
【0004】
これらのような一本脚こたつでは、いずれの場所に座っても脚が邪魔になることはなく、上述の問題は解決することができる。しかしながら、脚を一本にすることにより、従来の4本脚のこたつに比べて安定性が低下するという問題が生じる。この問題を解決するために、上述の特許文献に記載されたこたつでは、底板の径を天板と同程度としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−117638号公報
【特許文献2】特開2002−071146号公報
【特許文献3】実用新案登録第3188167号
【特許文献4】実開昭62−149701号公報
【特許文献5】実開昭62−187206号公報
【特許文献6】実開平5−094602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1〜6に記載されたこたつでは、底板の径が大きいため、使用者は底板の上に着座することとなる。そうすると、底板の硬さや冷たさで、座り心地が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、一本脚こたつの安定性を高めつつ、座り心地の低下を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、天板を支持する天板載置部と、当該天板載置部から下方に延びる一本の脚と、床面に設置され当該脚を支持する脚支持部と、を備えた一本脚こたつに用いるこたつ用敷物の好適な実施形態の一つでは、前記こたつ用敷物は中央部に孔を備え、前記孔は、前記脚または前記脚と前記脚支持部との接続部材を挿通可能、かつ、前記脚支持部を挿通不能な大きさに形成され、周縁部よりも前記中央部の方が重く構成されている。
【0009】
この構成では、脚支持部の上にこたつ用敷物を載せることができ、こたつ用敷物がこたつに対する重しとなり、こたつの安定性を向上させることができる。そのため、従来の一本脚こたつに比べて、脚支持部を小さくすることができ、脚支持部の上に座る可能性を低くすることができる。仮に、脚支持部の上方に座ったとしても、こたつ用敷物を介しているため、座り心地が低下することを抑制することができる。
【0011】
また、こたつ用敷物の重さを部分的に変えているため、全体の重量の増大を抑制しつつ、こたつの安定性を向上させることができる。
【0012】
本発明のこたつ用敷物の好適な実施形態の一つでは、少なくとも前記脚支持部の上方に配置される部分は、当該脚支持部の形状に応じた凹部が形成されている、または、当該脚支持部の形状に応じて変形可能な材料で構成されている、もしくは、これらの双方である。
【0013】
この構成では、脚支持部によってこたつ用敷物の上面が盛り上がることを抑制することができ、座り心地が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一本脚こたつの斜視図である。
図2】こたつ用敷物の斜視図である。
図3】設置状態における一本脚こたつとこたつ用敷物の斜視図である。
図4】設置状態におけるこたつ用敷物の断面図である。
図5】設置状態におけるこたつ用敷物の断面図である。
図6】分断線が形成されたこたつ用敷物の斜視図である。
図7】設置状態におけるこたつ用敷物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を用いて、本発明に係るこたつ用敷物の実施形態を説明する。図1は、本発明のこたつ用敷物の使用対象となる一本脚こたつ(以下、こたつと略称する)の斜視図である。図に示すように、本実施形態のこたつ1は、天板11と、天板載置部12と、ヒーター13と、一本の脚14と、脚支持部15と、を備えている。
【0016】
天板11は、平面視形状円形の板状に構成されている。天板載置部12は、天板11が載置される部材であり、本実施形態では、天板11と略同径の外枠12aと、外枠12aの中心から放射状に延びて外枠12aに接続される補強部材12bと、から構成されている。天板載置部12を板状でなく、このように構成することにより、こたつ1の上部の重量が軽減され、重心を下方に位置させることができる。この天板載置部12の下面にはヒーター13が取り付けられている。本実施形態では、ヒーター13は、ドーナツ状の平面ヒーターで構成されている。
【0017】
上述したように、このこたつ1の脚14は一本のみであり、その上端は天板載置部12の下面中心(平面視形状の重心付近)に接続され、その下端は脚支持部15の上面中心(平面視形状の重心付近)に接続されている。本実施形態では、脚支持部15は、平面視円形の板状に構成されている。本実施形態では、脚支持部15の径は天板11の径よりも小さく構成されており、人が着座した際に脚支持部15の上に乗りにくくなっている。なお、脚支持部15は板状に限定されるものではなく、他の形状でも構わない。また、本実施形態では、脚支持部15は脚14に対して脱着可能に構成されている。
【0018】
図2は、本実施形態におけるこたつ用敷物(以下、敷物と略称する)の斜視図である。図に示すように、敷物2は、厚みのある略方形に構成されており、中央部に上下に貫通する平面視形状が円形の孔21が形成されている。なお、中央部なる語は、幾何学的な中心位置や重心位置を意味するものではなく、周縁部を除く内側を意味するものである。また、孔21の平面視形状は適宜変更可能である。
【0019】
次に、図3を用いて敷物2の設置状態を説明する。図3は、こたつ1の設置状態(設置過程)を示す斜視図である。
【0020】
こたつ1を設置する際には、先ず、床面に脚支持部15を配置する。この脚支持部15の上面中央には接続部材としての接続ピン15aが立設されている。次に、この脚支持部15の上に敷物2を被せる。このとき、敷物2の孔21から接続ピン15aが出るようにしておく。
【0021】
一方、脚14の下面には接続ピン15aに適合する形状の接続孔14aが形成されており、接続ピン15aを接続孔14aに挿入することで、脚14と脚支持部15とを接続する。なお、接続ピン15aと接続孔14aとは、ダボとダボ穴とで構成しても良いし、ネジとネジ穴とで構成しても構わない。
【0022】
本実施形態では、孔21の径は脚14と略同径となっている。そのため、孔21に対して、脚14を挿通することはできるが、脚支持部15を挿通することはできない。これにより、敷物2は脚支持部15に対する重しとなり、こたつ1の安定性を向上させることができる。
【実施例1】
【0023】
図4は、図3のIV−IV断面図である。図に示すように、本実施形態では、敷物2の下面に脚支持部15の形状に適合した凹部が形成されており、その凹部に脚支持部15が入り込んでいる。これにより、敷物2の上面が盛り上がることによる座り心地の低下を抑制することができる。なお、敷物2が脚支持部15に対して重しとなる必要があるため、凹部は脚支持部15の形状よりも若干小さめに構成することが好ましい。また、敷物2の下面に凹部を形成する代わりに、敷物2の下面をウレタンフォーム等の弾性材料で構成することもできる。この場合、弾性材料が敷物2の重量によって脚支持部15の形状に応じて変形し、凹部と同様の効果を奏する。
【実施例2】
【0024】
図5は、図3のV−V断面図であり、図4とは異なる実施例における構成の敷物2を示している。この実施例における敷物2は、上方から順に、上部カバー22,断熱層25,弾性層24,下部カバー23の4層から構成されている。図に示すように、これらの全てに孔21が形成されており、使用方法は図4の敷物2と同様である。
【0025】
上部カバー22および下部カバー23は一般的なこたつ用敷物と同様綿等で構成することができる。断熱層25は、ポリウレタン等の熱伝導性が低い材料で構成することがでる。この断熱層25を挟むことにより、着座した人に床面や脚支持部15の冷たさを伝達しにくくなっている。また、弾性層24はウレタンフォーム等の弾性材料で構成することができ、脚支持部15による敷物2の上部の盛り上がりを抑制することができる。図では、下部カバー23の下面に凹部が形成されているが、この実施例の場合には弾性層24が形成されているため、下部カバー23の下面に凹部を形成せずに、敷物2の変形を弾性層24で吸収させることもできる。
【実施例3】
【0026】
図6は本実施例における敷物2の斜視図である。図に示すように、本実施例における敷物2には孔21の周縁を分断する分断線26が形成されている。図6(a)では、4本の分断線26が、孔21の周縁から、孔21の周縁と敷物2の周縁との中間位置まで形成されている。このような分断線26が形成された敷物2をこたつ1に使用する場合には、先ず敷物2を床面に設置し、分断線26で分断された敷物2の部分を持ち上げ、そこにできた隙間から脚支持部15を滑りこませる。
【0027】
一方、図6(b)では、2本の分断線26が、孔21の周縁から敷物2の周縁まで形成されている。そのため、敷物2が分断線26によって2つに分離されている。このような敷物2をこたつ1に使用する場合には、脚支持部15を床面に設置した状態で、分離された敷物2を脚支持部15上に配置する。このとき、実施例1,2と同様な孔21が形成されるように、分離された敷物2の位置決めを行う。なお、図6(b)のような構成の敷物2は、設置後に分離する可能性があるため、面ファスナー等で互いを固定しておくことが望ましい。
【0028】
本実施例のように分断線26が形成された敷物2の場合には、分断線26を敷物2の上面から下面にわたって形成すれば実施例1,2と同様に脚支持部15を敷物2の下に配置することができるが、図7に示すように、脚支持部15を敷物2の中に配置することもできる。図7の敷物は、下から順に、下部カバー23,断熱層25,弾性層24,上部カバー22を積層し、上部カバー22と弾性層24とに孔21を形成している。
【0029】
例えば、図6(a)のような分断線26を上部カバー22と弾性層24とに形成すれば、分断線26に沿って上部カバー22と弾性層24とを持ち上げ、弾性層24と断熱層25との間に脚支持部15を滑りこませることができる。
【0030】
また、図6(b)のような分断線26を敷物2全体に形成しても図7の配置を実現することができる。この場合には、床面に設置した脚支持部15の端を少し持ち上げて隙間を形成した状態で、弾性層24と断熱層25との間に脚支持部15を挿入する。これを対向方向から行うことで、脚支持部15を弾性層24と断熱層25との間に配置することできる。
【0031】
なお、これらの場合、上部カバー22と弾性層24とが上部敷物を構成し、断熱層25と下部カバー23とが下部敷物を構成する。当然ながら、断熱層25にも孔21および分断線26を形成し、断熱層25と下部カバー23との間に脚支持部15を位置させることもでき、その場合には、上部カバー22,弾性層24,断熱層25が上部敷物を構成し、下部カバー23が下部敷物を構成する。また、弾性層24と断熱層25との順序、分断線26の数は適宜変更可能である。
【0032】
また、上部敷物にのみ分断線を形成した場合には、上部敷物と下部敷物とを別体として構成しておき、使用時にこれらを結合させるように構成することもできる。この場合には、上部敷物には図6(b)に示すような分断線26を形成することが好ましい。このような敷物2を使用する際には、床面に下部敷物を敷き、その上に脚支持部15を載置する。そして、その上に上部敷物を被せ、上部敷物と下部敷物とを結合する。なお、結合は、例えば、上部敷物の下面と下部敷物の上面に取り付けられた面ファスナーを用いることで行うことができる。
【0033】
このように、脚支持部15を敷物2の内部に位置させれば、敷物2にこたつ1からの荷重がかかるため、こたつ1に対して敷物2が回転しにくくなる。また、脚支持部15が直接床面に接しないため、床面を傷つけることを防止することもできる。
【0034】
〔別実施形態〕
(1)敷物2の孔21の周囲の重さを敷物2の周縁部付近の重さよりも重くしても構わない。これにより、敷物2全体の重量の増加を抑制しつつ、こたつ1の安定性を向上させることができる。
【0035】
(2)上述の実施形態では、敷物2は平面視方形であったが他の形状でも構わない。その場合、孔21は敷物2の平面視形状の重心に位置させることが好ましい。
【0036】
(3)上述の実施形態では、孔21は、脚14が挿通可能な大きさとしたが、脚14の径よりも小さい、接続ピン15aが挿通可能な大きさとしても構わない。この場合には、敷物2は脚支持部15と脚14の下面との間に挟み込まれることとなる。そのため、敷物2の回転を抑制することができる。また、この場合、脚支持部15に複数の接続ピン15aを形成し、敷物2に接続ピン15aの数に適合した孔21を形成することもできる。このような構成であれば、より敷物2の回転を抑制することができる。
【0037】
(4)敷物2が脚支持部15または脚14に対する固定部材を備えても構わない。固定部材としては、例えば、面ファスナー等を用いることができる。
【0038】
(5)上述の実施形態では、接続ピン15aを脚支持部15に形成し、接続孔14aを脚14に形成したが、接続ピンを脚14に形成し、接続孔を脚支持部15に形成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、一本脚こたつ用の敷物に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1:こたつ
11:天板
12:天板載置部
14:脚
15:脚支持部
15a:接続ピン(接続部材)
2:敷物
21:孔
22:上部カバー(上部敷物)
23:下部カバー(下部敷物)
24:弾性層(上部敷物)
25:断熱層(下部敷物)
26:分断線
【要約】
【課題】一本脚こたつの安定性を高めつつ、座り心地の低下を抑制する技術を提供する。
【解決手段】天板11を支持する天板載置部12と、天板載置部12から下方に延びる一本の脚14と、床面に設置され脚14を支持する脚支持部15と、を備えた一本脚こたつ1に用いるこたつ用敷物2は、中央部に、脚14または脚14と脚支持部15との接続部材15aを挿通可能、かつ、脚支持部15を挿通不能な大きさに形成された孔21を備えている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7