【文献】
Yoshiaki Yasuno 他,SimultaneousB−M−mode scanning method for real−time full−range Fourier domain optical coherence tomography,Applied Optics,2006年3月10日,Vol.45,Issue 8,1861−1865頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スキャンが、前記入射ビームで前記試料をx方向およびλ方向にスキャンして、第一の二次元(2D)スペクトル・インターフェログラム・データ・セットを得ることを含み、前記x方向は一つまたは複数の列を含み、前記λ方向は一つまたは複数の行を含む、請求項1記載の方法。
前記第一の2Dデータ・セットの複素数値の関数を変換することが、前記第一の2Dデータ・セットの複素数値の関数をフーリエ変換することを含む、請求項4記載の方法。
y方向に沿って、前記入射ビームで前記試料をx方向およびλ方向にスキャンして、第二の2Dスペクトル・インターフェログラム・データ・セットを得ることをさらに含み、前記第一および第二の2Dデータ・セットは三次元スペクトル・インターフェログラム・データ・セットをなす、請求項3記載の方法。
前記参照鏡が前記入射ビームに向かって動くときの前記試料のすべてのBスキャンの集合が、前記入射ビーム方向から離れる方向の前記流れを与える、請求項8記載の方法。
前記鏡が前記入射ビームから離れるほうに動くときの前記試料のすべてのBスキャンの集合が、前記入射ビーム方向に向かう方向の前記流れを与える、請求項8記載の方法。
前記光コヒーレンス断層撮影装置が、前記一つまたは複数のスペクトル干渉信号を変調するための変調デバイス上にマウントされた鏡を含む参照腕を含む、請求項11記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明において、本稿の一部をなす付属の図面を参照する。図面には例示のために本発明が実施されうる実施形態が示されている。本発明の範囲から外れることなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的もしくは論理的な変更がなされてもよいことは理解しておくものとする。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味に取られるべきではなく、本発明に基づく諸実施形態の範囲は付属の請求項およびその等価物によって定義される。
【0008】
本発明の実施形態の理解の助けとなりうるように、さまざまな動作が順次の複数の離散的な動作として記載されることがあるが、記述の順序は、それらの動作が順序依存であることを含意するものと解釈すべきではない。
【0009】
本記載は、上/下、後/前および頂部/底部といった視点に基づく記述を使うことがある。そのような記述は単に議論を容易にするために使われているのであって、本発明の諸実施形態の適用を制限することを意図したものではない。
【0010】
本記載は、「ある実施形態では」または「諸実施形態において」といった句を使うことがあるが、これらはそれぞれ同じまたは異なる実施形態の一つまたは複数を指しうる。さらに、本発明の実施形態に関して使われる「有する」「含む」「もつ」などの用語は同義である。
【0011】
「A/B」の形の句は「AまたはB」を意味する。「Aおよび/またはB」の形の句は「(A)、(B)または(AおよびB)」を意味する。「A、BおよびCの少なくとも一つ」の形の句は「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、BおよびC)」を意味する。「(A)B」の形の句は「(B)または(AB)」を意味する。つまり、Aは任意的である。
【0012】
本発明のさまざまな実施形態において、生物医学的撮像のための方法、装置およびシステムが提供される。本発明の例示的な実施形態では、コンピューティング・システムが開示される製造物および/またはシステムの一つまたは複数のコンポーネントを付与されてもよく、本稿に開示されるような一つまたは複数の方法を実行するために用いられてもよい。
【0013】
さまざまな実施形態において、サンプルの構造および/または流れ情報は、スペクトル干渉の検出に基づく、光コヒーレンス断層撮影法(OCT: optical coherence tomography)(構造)および光血管造影法(OAG: optical angiography)(構造および流れ)の撮像を使って得られてもよい。そのような撮像は用途に依存して二次元(2D)または三次元(3D)でありうる。構造の撮像は従来技術の方法に比して拡大された深さ範囲になりえ、流れの撮像はリアルタイムで実行されうる。2Dまたは3D画像を生成するために、本稿で開示される構造の撮像および流れの撮像の一方または両方が動員されてよい。
【0014】
図1には、さまざまな従来技術のスペクトル領域OCT方法から帰結する像が示されている。図のように、描かれた像は目の前眼房のものである。ここで、右の部分が真の画像2であり、左の部分が鏡像4である。この例において、真の画像2は、0遅延(zero delay)よりある距離だけ下(この例では右)で、正のフーリエ空間にある。だが、もし撮像されるべき対象(この例では前眼房)の表面が0遅延線より上(この例では左)で、負のフーリエ空間にあれば、
図2に示されるように、重なり問題が起こりうる。
図2では、真の像6が鏡像8と重なり合っている。さまざまな実施形態において、対象は一般に、重なりを避けるためには、正のフーリエ空間において、0遅延線より下の何らかの位置に配置される必要がある。しかしながら、そうすることによって、断面像を許容する深さ範囲(すなわち情報取得範囲)が狭められてしまう。たとえば、実施形態によっては、深さ範囲は半分も狭められることがある。
【0015】
本発明のさまざまな実施形態によれば、全範囲の複雑なOCT像が、減少した鏡像生成で達成されうる。ここでの用法では、「全範囲(full range)」とは、正負のフーリエ空間両方を含むフーリエ空間の完全な深さでの撮像を指す。
【0016】
人間の指の例示的な画像が
図3のA〜Dに示されている。
図3のAおよびBに示されるように、これらの画像は、従来技術の方法を使った
図2に表される像と同様の重なり問題を示している。しかしながら、
図3のCおよびDには、本発明のさまざまな実施形態に基づいて生成された例示的な画像が示されている。見て取れるように、これらの画像はフーリエ空間の実質的に完全な深さにおいて形成される。諸実施形態において、実数値関数の変換を通じて時に達成されるフーリエ空間の半分だけにおける撮像に対し、そのような全フーリエ空間での撮像は複素関数の変換を通じて達成されうる。
【0017】
さまざまな実施形態によれば、OCT画像を得るのは、試料をサンプル光でx、yおよびλ(λは波長領域におけるzの表現であり、λは時にz方向と称されることもある)方向にスキャンして3Dスペクトル・インターフェログラム・データ・セットを取得し、その3Dスペクトル・インターフェログラム・データ・セットをスペクトル領域から時間領域に変換して前記試料の少なくとも一つの画像を得ることによってでありうる。試料が動いている構成要素を含む場合、前記少なくとも一つの画像は、試料の静的な構造情報を含む第一の画像と、試料の動き情報を含む第二の画像とを含んでいてもよい。試料が動いている構成要素を含まない場合には、前記少なくとも一つの画像は試料の全範囲の構造の画像であってもよい。
【0018】
図4には、拡大された深さ範囲の構造および流れの画像化ならびに2Dおよび3D血管造影撮像に好適なOCT/OAG装置100の例示的な実施形態が示されている。図示されているOCT/OAG装置100は当技術分野において知られているいくつかの機能を含んでいてもよい。そうした機能は本稿では、本発明の実施形態の理解を助けるところを除いて、長々しくは説明されないことがある。
【0019】
図のように、OCT/OAG装置100は光源10を含みうる。光源10は、これに限られないが広帯域光源または波長可変レーザー源を含め本目的に好適ないかなる光源であってもよい。好適な広帯域光源(broadband light source)は、超ルミネセンスダイオードを含みうる。ある実施形態では、光源10は、中心波長842ナノメートル(nm)で、半値全幅の帯域幅が45nmの超ルミネセンスダイオードである。さまざまな実施形態において、光源10は、より深い撮像を許容しうる一つまたは複数のより長い波長をもつ光源でありうる。他のさまざまな実施形態において、光源10は、掃引レーザー源(swept laser source)のような波長可変レーザー源(tunable laser source)であってもよい。
【0020】
OCT/OAG装置100は、光源10からの光を二つのビームに分割するファイバー・カプラ12を含んでいてもよい。第一のビームは参照腕14に与えられ、第二のビームは試料腕16に与えられる。さまざまな実施形態において、ファイバー・カプラ12は、2×2のファイバー・カプラ12または目的のために好適な任意のファイバー・カプラを含みうる。
【0021】
試料腕16は、偏光コントローラ(polarization controller)24およびプローブ26によって光源10からの光を試料28に与えるよう構成されうる。プローブ26は試料28をxy方向にスキャンするための一対のxy検流計スキャナ(図示せず)を含みうる。プローブ26はまた、光を試料28上に送達するための適切な光学系(図示せず)をも含みうる。さまざまな実施形態において、プローブ26はまた、試料28からの後方散乱光をも受光しうる。試料28に与えられる光の特性は特定の用途に依存しうるが、いくつかの実施形態では、横方向の撮像解像度は、光を試料28上に合焦する対物レンズによって決定される約16マイクロメートル(μm)で、試料28に対する光パワーは約1ミリワット(mW)である。
【0022】
参照腕14は、光源10によって与えられる光から、参照光を、試料28からの後方散乱光と組み合わせてスペクトル・インターフェログラムを生成するために検出腕30(のちにより十全に論じる)に与えるよう構成されうる。参照腕14は、参照光を提供するために、光学系20および光源10からの光を反射する鏡22を含みうる。光学系20はこれに限られないが、目的のために好適なさまざまなレンズを含みうる。
【0023】
鏡22は、静止であってもよいし、変調器23によって変調されてもよい。変調は、検出腕30における検出信号の周波数変調と等価でありうる。スペクトル干渉信号(インターフェログラム)が、参照腕14内の変調された鏡22によって一定ドップラー周波数ω
0によって変調されうることが観察されている。該変調は試料28内の動いている成分と静的な成分を分離することを実現可能にする。次いで、変調された信号を変調周波数ω
0で復調することによってスペクトル干渉信号が復元されうる。復調は、たとえばデジタル復調方法または光学的復調方法を含むいかなる好適な方法を使って達成されてもよい。スペクトル干渉信号の変調および復調は、信号対雑音比を有利に改善しうる。その結果、構造、流れおよび血管造影の画像化の画質が改善される。
【0024】
変調鏡22を変調するにはさまざまな方法が動員されうる。たとえば、さまざまな実施形態において、変調器23は線形の圧電並進台で、そこに鏡22がマウントされているのでもよい。圧電並進台は、あるBスキャン(すなわちx方向スキャン)にわたって何らかの一定速度で鏡22を動かすよう構成されうる。ある例示的な実施形態では、鏡22は、10Hzの鋸波形によって50μmの振幅で駆動される圧電並進台上に取り付けられる。しかしながら、さまざまな他の実施形態では、変調器23は位相変調装置(たとえば電気‐光位相変調器もしくは音響位相変調器)または好適なドップラー周波数変調を導入するための他の好適な装置であってもよい。さまざまな実施形態において、参照腕におけるまたは標本腕における光路長が変調されうる。これは鏡22を一定速度で前後に動かすのと同じまたは同様の効果をもつ。ある実施形態では、光ファイバーを伸張させる方法が使用されてもよい。
【0025】
さまざまな実施形態において、インターフェログラムの変調はプローブ26においても提供されうる。ある例示的な実施形態では、プローブ26は、入力信号が旋回点(pivot point)に対するあるオフセット参照をもってスキャンされるよう構成されうる。
【0026】
参照腕14から戻る光および試料腕16から戻る光(スペクトル信号)は再び組み合わされ、検出腕30に導入するためにカプラ12によって単一モード・ファイバーに結合されうる。図のように、検出腕30は、これに限られないが一つもしくは複数のコリメータ、一つもしくは複数の回折/透過格子および一つもしくは複数のレンズ(図示せず)を含むさまざまな光学系36の一つもしくは複数を含む分光計34を有する。例示的な諸実施形態では、光学系36は30ミリメートル(mm)の焦点距離のコリメータと、1200ライン/mmの回折格子と、150mmの焦点距離をもつ色消し合焦レンズとを含みうる。さまざまな実施形態において、分光計34はたとえば0.055nmの設計スペクトル解像度をもちうる。これは空気中では約6.4mmの光学的視程(optical range)となる。すなわち、正の周波数空間(3.2mm)が微小構造撮像のために使用されえ、負の周波数空間(3.2mm)が流れの撮像のために使用されうるフーリエ空間での完全な深さとなる。ある実施形態では、95dBの信号感度がz=+0.5mmで測定されえ、カメラ積分時間が34.1μsに設定されているときは、z=+2.0で80dBまで降下しうる。そのようなパラメータは例示的なものであり、本発明の実施形態に応じて多様な仕方で修正されうる。
【0027】
広帯域光源を用いる実施形態では、分光計34は、電荷結合素子(CCD)38のようなスペクトル干渉信号を検出するよう構成された検出器を含んでいてもよい。CCD38は、線走査カメラ(a line scan camera)および面走査カメラ(an area scan camera)の一つまたは複数を含みうる。例示的な好適なCCD38は、それぞれが10×10μmの大きさでデジタル深さが10ビットの2048個のピクセルからなっていて、29.2kHzのライン・レート(line rate)が可能であるCCDであってもよい。しかしながら、光源10が広帯域光源ではなく波長可変レーザーを含む実施形態については、OCT/OAG装置100は、分光計34ではなく一つまたは複数の単一要素検出器を有しうる拡散増幅器(diffusion amplifier)を含んでいてもよい。たとえば、一つまたは複数のデュアル・バランス・フォトダイオード検出器(dual-balanced photo-diode detector)が使用されうる。
【0028】
図のように、参照腕14、試料腕16および検出腕30はそれぞれ偏光コントローラ18、24および32を含む。偏光コントローラ18、24、32は、OCT/OAG装置100内の光の偏光状態を微調整するよう構成されうる。本発明の範囲内のOCT/OAG装置は図示しているより多いまたは少ない偏光コントローラを含んでいてもよいが、参照腕14、試料腕16および検出腕30にそれぞれ偏光コントローラ18、24および32を設けることは、CCD38(または他の好適な検出器)におけるスペクトル干渉縞コントラストを有利に最大化しうる。
【0029】
さまざまな実施形態において、OCT/OAG装置100は、画像の表示、データの入力、データの出力などを含む一つまたは複数の目的のための一つまたは複数のユーザー・インターフェース40を含みうる。
【0030】
上記したように、OCT/OAG装置100は、試料28をサンプル光でx、yおよびλ(z)方向にスキャンして3Dスペクトル・インターフェログラム・データ・セットを取得することによって3Dデータ体積セットを構築するよう構成されうる。例示的な実施形態では、プローブ26はxスキャナによって横方向(x方向)に、yスキャナによって上下方向(y方向)にスキャンされうる。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、xスキャナは10Hzの鋸波形によって2.2mmに等価な振幅をもって駆動されえ、yスキャナは0.02Hzで2.2mmに等価な振幅をもって駆動されうる。もしたとえばCCD38が、2048ピクセルの合焦された光スペクトルを取り込むよう構成され(Aスキャン)、x方向に1000個の離散的な点が測定される場合、1000かける2048の要素のデータ・マトリクス・スライスがx方向に形成される(Bスキャン)。もしたとえば、500個の離散的な点がy方向に2.2mmにわたって測定される場合、1000かける500かける2048(x-y-z)ボクセルの最終的なデータ体積が構築されえ、フーリエ空間の各半分は1000かける500かける1024ボクセルを有する(Cスキャン)。
【0031】
xy方向において試料28をスキャンすることは実数値の3Dデータ体積を形成するために使用されうるが、この実数値のデータ体積のフーリエ変換が有用な画像を生成するのは、フーリエ空間の半分においてのみであることが一般に知られている。全範囲の構造的画像を生成するための例示的な実施形態が
図6および
図7に、
図5を参照して示されている。
図5は、結果として得られる画像の一部または全部をなしうる3Dデータ体積(キューブ)を示している。図でも、また一般的な慣例でも、λ方向のスキャンはAスキャンと称されうる。Aスキャンは、i個のピクセル(あるいは光源が波長可変レーザー源の場合には波長調節のきざみ)を含みうる。Bスキャンはx方向に任意の数のAスキャンを含みうる。y方向の一連の2Dデータ(たとえばm個のBスキャン)が3Dデータ・キューブを形成しうる。これはCスキャンと称されることがある。本稿では、x方向はn個の列を含み、λ方向はi個の行を含む。
【0032】
さまざまな実施形態において、
図6に概略的に示されるように、生の断面データが(x,λ)の次元で収集されうる(すなわち、h(λ,x))。その実数値の断面データに対して、行ごとにxの次元に沿って解析関数が計算されうる。それにより生データの複素数値の関数^h(λ,x)が得られる〔^hは「^付きのh」を表す〕。さまざまな実施形態において、前記解析関数はヒルベルト変換によって構築されうる。さまざまな実施形態において、少なくとも部分的にはλ空間からk空間(すなわち波数空間、k=2π/λ)への^h(λ,x)の補間(interpolation)によって、xの次元の列ごとにλの次元に沿って^h(k,x)を得ることによって、ゆがめられていない(un-distorted)画像が得られうる。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、補間は複素数値の関数の計算の後でも先でもよい。
図7は、補間が複素数値の関数の計算に先立つ実施形態を概略的に示している。
【0033】
さまざまな実施形態において、全範囲の複素画像(すなわち断面xz画像)H(z,x)は、xの次元において列ごとに、^h(k,x)のkの次元に沿ったフーリエ変換を実行することによって得られうる。全フーリエ空間画像は、H(z,x)の絶対値(すなわち|H(z,x)|)を取ることによって得られうる。
図6(および
図7)に示されるように、これは使用可能な深さzの倍加につながりうる(すなわち2z)。
【0034】
さまざまな実施形態において、以上の諸動作のうちの任意の一つまたは複数は、yの次元において利用可能な一つまたは複数のh(λ,x)データ・セットについて繰り返されてもよい。その一つまたは複数の反復から3D画像が帰結しうる。
【0035】
さまざまな実施形態において、上記の諸動作の前に、最終的な画質が向上するよう、参照スペクトルがインターフェログラムから減算されてもよい。参照スペクトルは、取り込まれたインターフェログラムすべてのアンサンブル平均、すなわちxまたはy方向に沿ったh(λ,x,y)の平均から得られてもよい。
【0036】
さまざまな実施形態において、任意の一つまたは複数のさまざまな動作は、まずyの次元について、次いでxの次元について実行されてもよいし、あるいはその逆でもよい。たとえば、さまざまな実施形態において、生の断面データは(λ,y)の次元で収集されてもよい。次いで実数値の断面データに対して解析関数が、yの次元に沿って1行ずつ計算され、生データの複素数値の関数^h(λ,y)が得られうる。さまざまな実施形態において、少なくとも部分的にはλ空間からk空間(すなわち波数空間、k=2π/λ)への^h(λ,y)の補間(interpolation)によってyの次元の列ごとに、λの次元に沿って^h(k,y)を得ることによって、ゆがめられていない画像が得られうる。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、補間は前記解析関数の計算の後でも先でもよい。複素OCT画像H(z,y)は、yの次元において列ごとに、^h(k,y)のkの次元に沿ったフーリエ変換を実行することによって得られうる。全フーリエ空間OCT画像は、H(z,y)の絶対値(すなわち|H(z,y)|)を取ることによって得られうる。これは使用可能な深さzの倍加につながりうる(すなわち2z)。さまざまな実施形態において、以上の諸動作のうちの任意の一つまたは複数は、xの次元において利用可能な一つまたは複数のh(λ,y)データ・セットについて繰り返されてもよい。さまざまな実施形態において、その一つまたは複数の反復から3D画像が帰結しうる。
【0037】
構造中の材料の生体環境中での動き(in vivo movement)が本発明のさまざまな実施形態に基づいて画像化されうる。たとえば、血管を通じたまたはその他の血流が画像化されうる。さまざまな実施形態において、流れの方向の指示も画像化されうる。一般に、これまでに論じた諸方法の任意の一つまたは複数を使った非静止の対象の撮像は、瞬間的な位相変化(ドップラー偏移)によって影響されうる。これは負の周波数平面(すなわち鏡平面)中へのエネルギー漏れを引き起こしうる。しかしながら、漏れは一般に局在化される、すなわち動きの部位(すなわち血流があるところ)にのみ生じる。それでも他の静止した対象(単数または複数)はこれまでに論じた方法の一つまたは複数に従って撮像されうる。
【0038】
本発明の範囲を限定することは意図しないが、以下の一般的な議論はいくつかの実施形態の根底にあるさまざまな数学的および物理的原理を理解する助けとなりうる。さまざまな実施形態によれば、組織中の動きを画像化する方法は、表面から離れて組織中に動く速度を一つの画像に、組織を出て表面に向かって動く速度を第二の画像にマッピングすることを含みうる。時間座標t
1およびt
2両方の二つの変数とともに変化する実関数
【0039】
【数1】
を考える。ここで、f
0、f
Mおよびf
Dはそれぞれ周波数成分であり、φはランダムな位相項である。ここでの議論の目的のため、f
0およびf
Mは二つの変調周波数成分であるとし、一方、f
Dはドップラー周波数成分である。t
1とt
2の間に相関はなく、t
1が変化するときt
2は一定、逆にt
2が変化するときt
1は一定としてもよい。変調周波数f
M−f
Dがランダムな位相変動項φによって引き起こされる信号帯域幅に重ならないことを述べるベドロシアンの定理(the Bedrosian theorem)が成り立つとすると、t
2に対する式1の解析関数は、ヒルベルト変換を通じて構築されることができる。この条件のもとで、式1のヒルベルト変換はその直交表現(quadrature representation)と等しい。関数B(t
1,t
2)は周波数f
M−f
Dによって変調され、2πf
0t
1は一定の位相項なので、f
M−f
D>0であれば、式1の解析関数は
【0040】
【数2】
と書ける。ここで、j=√(−1)である。一方、f
M−f
D<0であれば、式1の解析関数は
【0042】
数学的な観点からは、式3は式2の複素共役である。時間変数t
1に対してフーリエ変換を実行すると(t
2は今は定数であることに注意)、式2の周波数成分f
0はフーリエ空間全体における正空間内に位置され、一方、式3の周波数成分f
0は負空間内に位置される。したがって、構造中の物質の動きの画像化が可能である。
【0043】
図4に示されたOCT/OAG装置100の例示的な実施形態を再び参照すると、圧電台(変調器23)上に取り付けられた参照鏡22が速度
【0044】
【数4】
〔ベクトルv
ref〕で動き、プローブ・ビームはv
x(スカラー)の速さでBスキャン(xスキャン)において進むとし、さらにOCT/OAG装置100によって検出される反射体(reflecting particle)も動くがプローブ・ビーム方向上に投射しているその方向性の速度は
【0045】
【数5】
〔ベクトルv
s〕とすると、簡単のため、波長λ領域でのスペクトル・インターフェログラムを:
【0047】
ここで、速度についてのベクトル表現は、入射ビームに向かう動きを正、その逆を負として使っている。項z
sは横位置xにおける反射体(たとえば赤血球)の初期の深さ位置であり、ベクトルv
sは反射対の速度である。よって、試料腕16と参照腕14の間の経路長差は
【0048】
【数7】
となる。ここで、t
x=x/v
xはBスキャンにおけるプローブ・ビームの走査時間であり、因子2は試料28から干渉計内に散乱によって返されるサンプル光の往復を取り入れるものである。項φ(x,z,λ)は、光学的な不均一な試料の位相に関係するランダム位相関数である。時間t
x=0がBスキャンの開始となる。よって、B(1/λ,x)はそれぞれの1/λ値について、xに対する正弦波状振動関数である。したがって、次の代入:
【0049】
【数8】
を使えば、式1および式4は同一となる。
【0050】
このように、ベクトルv
refおよびベクトルv
sの値は、ヒルベルト変換を通じて構築された式4の解析関数が式2または式3のどちらに変えられるかを決定しうる。解析関数は、それぞれの1/λにおいて、ヒルベルト変換を通じてx軸に沿ったBスキャンに逐次的に構築されうる。動作の間、因子4πz
s/λは、xとともに変化しないので、一定の位相である。
【0051】
ベクトルv
s=0であれば、正の速度(ベクトルv
ref)は信号をx空間において正の周波数で変調することになり、負の速度は負の周波数で変調することになる。ヒルベルト変換は、xに対する変調された信号の情報を複素数
【0052】
【数9】
〔^H(1/λ,x)〕に変換するが、今やヒルベルト・エンコードされた情報の2/λ付近での任意のその後の高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)
【0053】
【数10】
は正の周波数成分を正の周波数空間にマッピングし、負の周波数成分をFFT結果の負の周波数空間にマッピングする。それにより、全範囲の周波数空間が画像化のために利用できる。これは単に
【0054】
【数11】
を取ることとは対照的である。これは正の周波数および負の周波数の両方をともに変換の正および負周波数空間にマッピングし、空間の半分しか画像化のために有用でない結果となる。
【0055】
動いている粒子(たとえば血球)についてはv
s≠0である。粒子の動きは、信号処理分野における周波数混合と同様の速度混合
【0056】
【数12】
を通じて変調周波数を修正しうる。参照鏡22の動きに対する前記粒子の逆の動きは試料腕16と参照腕14の間の光子の経路長の差の減少につながりえ、変調の有効周波数を減少させる。v
sの値が著しく大きい場合、値
【0057】
【数13】
はその符号を変えることがある。結果として、ヒルベルト変換およびフーリエ変換の作用後、粒子の動きに起因する対応する信号は、v
s=0でのものとは逆の周波数空間にマッピングされうる。しかしながら、前記値の符号を変えるほど強くないいかなる小さな粒子運動も、やはりv
s=0のときのような周波数空間にマッピングされうる。よって、灌流された血球およびバルクの静的組織からの信号は、FFTの周波数空間において分離されうる。小さな組織動きに起因するバックグラウンド雑音は血液灌流の画像を表す空間内では拒否される。
【0058】
したがって、さまざまな実施形態において、生体環境中でリアルタイムで物質の流れ(または物質の他の動き)を画像化するために、負の周波数平面へのエネルギーの漏れを御すことができる。
図8および
図9は、流れの画像化(非静止物質)の実施形態を示している。また、フーリエ空間の正領域における構造(静止対象)の画像も示されている。さまざまな実施形態において、図のように、構造画像は実質的に正空間内に位置されえ、流れ画像は実質的に負空間内に位置されうる。流れ画像は構造に対して実際の位置の鏡像である。さまざまな実施形態において、
図9に示されるように、組み合わされた構造/流れ画像は二つ以上の画像――たとえば、構造画像および流れ画像――に分離されうる。たとえば、正空間が構造画像を表しえ、負空間を反転させたバージョンが流れ画像を表しうる。
【0059】
生体環境中の流れ(または物質の他の動き)を画像化する方法のある例示的な実施形態では、試料が0遅延からある距離Δδ離れて正空間内に位置される。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、試料を0遅延線から離して位置させることは、試料の静止側面の画像が0遅延をまたいで可能性としては重なった画像につながることを防止するか減らすかしうる。
【0060】
さまざまな実施形態において、
図10に示されるように、生の断面データは(x,λ)の次元において収集されうる(すなわち、h(λ,x))。xの次元に沿った行ごとの実数値の断面データに対して、解析関数が計算されうる。それにより生データの複素数値の関数^h(λ,x)が得られる〔^hは「^付きのh」を表す〕。さまざまな実施形態において、前記解析関数はヒルベルト変換計算によって得られうる。さまざまな実施形態において、少なくとも部分的にはλ空間からk空間(すなわち波数空間、k=2π/λ)への^h(λ,x)の補間によってxの次元において列ごとに、λの次元に沿って^h(k,x)を得ることによって、ゆがめられていない画像が得られうる。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、補間は複素数値の関数の計算の後でも先でもよい。
図11は、補間が複素数値の関数の計算に先立つ実施形態を概略的に示している。
【0061】
さまざまな実施形態において、複素画像(すなわち断面xz画像)H(z,x)は、xの次元において列ごとに、^h(k,x)のkの次元に沿ったフーリエ変換を実行することによって得られうる。全フーリエ空間画像は、H(z,x)の絶対値(すなわち|H(z,x)|)を取ることによって得られうる。
図10に示されるように、これは使用可能な深さzの倍加につながりうる(すなわち2z)。
【0062】
ある実施形態では、二つの画像――流れ画像および構造画像――を形成するために、|H(z,x)|は0遅延線(z=0)において分離されうる。図示された実施形態において、流れ画像は負の空間内に形成され(すなわちz<0)、構造画像は正の空間内に形成される(すなわちz>0)。ある実施形態では、流れ画像は構造画像に対してその実際の位置の鏡像でありうるので、真の流れ画像を得るために前記流れ画像は反転されてもよい(これでz>0となる)。
【0063】
さまざまな実施形態において、以上の諸動作のうちの任意の一つまたは複数は、yの次元において利用可能な一つまたは複数のh(λ,x)データ・セットについて繰り返されてもよい。3D構造画像および流れ画像がその反復の一つまたは複数から帰結しうる。
【0064】
さまざまな実施形態において、yの次元がxの次元を処理するのに先立って処理されてもよい。たとえば、さまざまな実施形態において、生の断面データは(λ,y)の次元において収集されてもよい。次いで実数値の断面データに対して解析関数が、yの次元に沿って1行ずつ計算され、生データの複素数値の関数^h(λ,y)が得られうる。さまざまな実施形態において、少なくとも部分的にはλ空間からk空間(すなわち波数空間、k=2π/λ)への^h(λ,y)の補間によってyの次元の列ごとに、λの次元に沿って^h(k,y)を得ることによって、ゆがめられていない画像が得られうる。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、補間は前記解析関数の計算の後でも先でもよい。複素画像H(z,y)は、yの次元において列ごとに、^h(k,y)のkの次元に沿ったフーリエ変換を実行することによって得られうる。全フーリエ空間画像は、H(z,y)の絶対値(すなわち|H(z,y)|)を取ることによって得られうる。これは使用可能な深さzの倍加につながりうる(すなわち2z)。さまざまな実施形態において、以上の諸動作のうちの任意の一つまたは複数は、xの次元において利用可能な一つまたは複数のh(λ,y)データ・セットについて繰り返されてもよい。
【0065】
流れ画像および構造画像が得られる実施形態では、それらの画像は融合され、あるいは他の仕方で組み合わされて、血液(または他の動く物質)が構造組織内でどのように配向されているか(たとえば、血管網を通じて動く血液)の完全なビューを提供してもよい。これまでに論じた方法のさまざまな実施形態を使って、負空間における流れ画像が形成され、反転され、構造画像と融合されて単一の血管造影画像を形成することができる。その単一の画像は、組織内の動いている成分の精密な位置特定を許容しうる。さまざまな実施形態において、そのような画像の複数が「モザイク」状につながれてより大きな画像を形成してもよい。
【0066】
ある実施形態において、OCT/OAGシステムが微小血管流を評価できることを検証するため、頭蓋が無傷なままでのマウスの脳血管循環の経頭蓋画像を得るために一連の生体環境実験が実行された。実験手順は小型齧歯類の配慮および扱いについての米国連邦指針に準拠しており、研究機関による動物福祉利用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認された。マウスは麻酔をかけられ、次いで頭の皮膚が除去されて、頭蓋を通じたOCT撮像のための窓が作られた。生体環境結果は
図12のA〜Cに与えられている。ここで、
図12のAは、x‐λにおける2D実数値スペクトル・インターフェログラムを含むBスキャンを表すデータ・セットを描いており(2.2mmかける112mmで、中心波長842nm)、
図12のBはAの生スペクトル・インターフェログラムから得られる画像を示し、3Dデータ・セット内の一枚のスライスを表し、ここで、フーリエ空間全体が二つの等しい領域に分割されている。下の領域はマウス頭蓋および皮質の断面構造情報を含む正周波数空間であるが、血管は識別が難しい。他方、上の領域は動いている成分(たとえば赤血球)が見える負の周波数空間である。正負の周波数空間は厳密に鏡像関係にあるので、
図12のCに見られるように、折り畳んで融合して、構造組織内の血管を高い精度で位置特定する単一の画像とすることができる。皮質構造および血液灌流は頭蓋を通じて約1.5mmの深さで解像できる。共焦点顕微鏡法では達成できない侵入深さである。この深さは、842nmより長い波長をもつ光源を使えばさらに伸ばすことができる。血管次元(blood vessel dimensions)を解像するための軸解像度(axial resolution)は、使用される光源の帯域幅によって決定されうる。主題の実験では、軸解像度は生物組織内で約6μmであり、これは、約10μmの平均サイズの毛細血管を分解できる。横解像度(lateral resolution)は約16μmであったが、これは光を組織中に合焦した対物レンズによって決定されるものである。
【0067】
本稿で論じているように、3D画像化は、スペクトル・インターフェログラム・データ(Bスキャン)をスライスごとに評価し、次いで再結合して3D体積データ・セット(x‐y‐z)を与えることによって実行でき、それから脈管構造、血流および微小構造に関する高品質の情報が抽出できる。
図13のAに示されるように、負空間からの3D流れ画像をxy平面に投影することによって詳細な2D脈管構造マッピングが得られる。負空間内の局在化した動いている散乱要素は折り畳まれて3D構造画像を組み合わされ、
図13のBに示されるように、構造組織内で血管がどのように配向しているかの完全なビュー(complete view)を与えることができる。
図13のAおよびBに示した実施形態では、撮像スピードは10フレーム毎秒であり、画像取得時間全体は約50秒であった。撮像時間は、より高出力の光源およびより高速の変調器(たとえば圧電並進台)を用いることによって短縮されうる。画像の後処理のための計算時間は通常のパーソナル・コンピューティング装置では、全3D画像についての合計約35分について、スライス当たり約4.2秒であった。
【0068】
本発明のさまざまな実施形態に基づく3Dでの脳血管灌流の視覚化に血流の定量化を組み合わせたものは、小型動物モデルにおける神経障害を調査するために望ましいことがありうる。たとえば、虚血性血栓症は、遺伝子改変マウスのような小型動物モデルにおいて広く研究されている。したがって、脳血管血流現象の詳細なビューおよび毛細血管に至るまでの個々の血管のレベルでの脳皮質全体にわたる調節(regulation)は、脳血管障害の病態生理および薬物介入の潜在的な恩恵をよりよく理解するために重要でありうる。本発明の実施形態の重要性を例解するため、
図14のA〜Dに示されるように、マウス脳の複数の3D画像が頭蓋の種々の領域にわたって集められた。
図14のAは、頭蓋が無傷としてのマウスの脳皮質における血流を示している。一本の頸動脈の閉塞はマウスに脳梗塞や神経障害を引き起こさない。
図14のBは、右の頸動脈が5分間ブロックされた間の同じマウスを示している。見て取れるように、右半球のみではなく、皮質における血流はAの画像と比べて低下していることが明白である。これは既知の振る舞いと整合する。本発明の範囲内の諸実施形態による、数分以内に、しかも色素注入や造影剤、外科的開頭の必要なしに脳皮質のそのような高解像度画像化を達成する機能は、脳およびその他の血管網の血行動態を理解することにおいてその価値を示す。
図14のCは、皮膚を畳んで横にどけたマウス脳を示し、
図14のDは画像化された結果と比較するための頭蓋を除去したマウス脳を示す。
【0069】
本稿に記されるように、さまざまな実施形態により、物質の流れの方向の指示が画像化されうる。ある実施形態では、微小循環血管床(microcirculatory beds)内の毛細血管レベルでの局在化した血液灌流を撮像する方法として、3D OCTが提供される。そのコントラストは、動いている血球からの内生的な散乱信号に基づいている。本発明のある実施形態は、生体環境での方向性血液灌流マッピングのためにOCTを利用する。そのような実施形態は、たとえば、3D画像化が実行されるときのOCT断面(B)スキャンと同期した、参照腕に位置されている参照鏡の直線状の並進(すなわち往復運動)によって達成されうる。ある実施形態では、参照鏡が入射ビームのほうに動くときのBスキャンすべての集合が入射ビーム方向から離れるほうに流れる血液灌流を与え、逆に、参照鏡が入射ビームから離れるほうに動くときのBスキャンすべての集合が入射ビームのほうに向かって流れる血液灌流を与える。したがって、二つの3Dデータ・キューブが得られる(
図15のAおよびB)。一方はプローブ・ビーム方向に向かう流れを計算するために使われ(A)、他方はプローブ・ビームから離れるほうに流れている流れを計算するために使われる(B)。本発明のある実施形態は、血液灌流を定量的に評価する機能をも提供する。
【0070】
いくつかの工学および医学分野について、たとえば微小流体ミキサーにおける複雑な流れのダイナミクスの研究において、ならびに、虚血症、出血、血管性痴呆、外傷性脳障害および発作性疾患を含む脳血管疾病における機構および治療的介入を理解するための神経学的現象の調査において、諸実施形態において方向性の流れが画像化され、視覚化されることが望ましい。
【0071】
本発明の諸実施形態は、方向性の流れの画像化への、ハードウェア・アプローチおよびデジタル・アプローチを含む複数のアプローチを提供する。これについて
図4を参照して下記においてより詳細に論じる。
【0072】
ある実施形態では、方向性流れマッピングは、参照鏡22をたとえば圧電並進台のような変調器23上に取り付けることによって達成されうる。ある実施形態では、そのような台は、10Hzの三角波形によって駆動されうる。下記に記載する実験については、特に断りのない限り、鏡22に与えられる直線状並進の最大の大きさは21μmである。これは、三角波形の上昇部分における、すなわち鏡22が入射参照ビーム方向に向かって動かされるときにCCDカメラ38によって取り込まれたインターフェログラム中に結合される1.0kHzの一定変調周波数を導入する。一方、他のときには−1.0kHzである。プローブ・ビームも10Hzの三角波形によって駆動され、2.2mmと等価な振幅をもつXスキャナによって、横方向(
図15のAおよびBに示されるx軸)にスキャンされた。Xスキャナは鏡22を駆動するために使われる波形と同期されていてもよい。0.02Hzの鋸波形で2.2mmの振幅をもって駆動されるYスキャナは、上下方向(y軸)においてプローブ・ビームをスキャンした。このようにして、前記X‐Yスキャナを通じてプローブ・ビームをスキャンすることによって、1000かける500かける2048(x,y,λ)個のボクセルをもつスペクトル・インターフェログラムの3Dデータ・キューブが収集された。上記の構成を使ったそのような実施形態では、そのような体積データ・キューブを得るために、カメラ積分時間を100μsに設定して50秒かかった。その体積データ・キューブから3D方向性流れマッピングが計算された。鏡22が参照ビームに向かって動くときのBスキャンすべての集合は、入射ビーム方向に沿って動いている血球のような粒子を表す流れ画像を得るために処理されうる体積データ・セットを与え、鏡22が後/逆方向に動くときのBスキャンから収集されたデータ・キューブからは逆の流れ画像が得られうる。最終的な例示的な体積画像は500かける500かける1024ボクセルであった。これは試料の2.2かける2.2かける2.4mm(x,y,z)の物理的次元を表現する。次元をz方向にスケーリングするため、組織試料について平均屈折率1.35が使用された。ある実施形態では、利用できるコンピュータ・メモリの制限のため、体積画像はトリミングされて、撮像のために有用な情報を含まない領域は除去される。プローブ・スキャン、圧電台並進、データ収集、データ記憶およびそれらの間のハンドシェークのための動作は、Labview(登録商標)言語で書かれたソフトウェアのようなカスタム・ソフトウェア・パッケージによって制御されうる。
【0073】
OCT/OAGにおいて動いている散乱の静的な成分からの効率的な分離は、動いている散乱要素から帰結する信号について、スペクトル・インターフェログラムのヒルベルト変換された解析関数をその複素共役形に変える動き誘起されたドップラー周波数に依拠している。よって、本稿で呈示される結果において、変調周波数は±1.0kHzなので、動いている散乱体によって誘起されるドップラー周波数が変調周波数の逆方向において1.0kHzより大きい場合、その動いている成分からの光散乱信号は出力フーリエ平面の負の空間内に現れる。一方、静的な散乱要素に関する信号は正の空間に残る。すなわち、従来のOCT画像に等価な微小構造画像である。ある実施形態では、このことは、OCT/OAGによって検知されうる動いている散乱体の最小速度を課す。最小速度は、
【0074】
【数14】
によって決定されうる。ここで、 ̄付きのλは使用される光源の平均波長、βはプローブ・ビームと流れ速度ベクトルの間の角度、符号「±」は入射プローブ・ビーム方向に対する変数の方向を表す。本稿で論じられるある例示的なシステムでは、v
minは両方の方向において〜0.42mm/秒と推定された。小動脈、小静脈および毛細血管床内を進む赤血球についての通常速度は、約0.5ないし数十mm/sまで変動する。よって灌流される血管の大半は、記載されるOAGシステム構成によって検出されうる。
【0075】
本稿では血管および血液灌流の画像化が詳しく論じられているが、本発明の実施形態はそのような環境における撮像に限定されるものではなく、医療および非医療状況において方向性の流れを画像化するために利用されうる。
【0076】
ある実施形態において、OCT/OAGシステムが双方向流れを測定できることを検証するため、流れファントムを使った一連の生体環境実験が実行された。ファントムは、静的な散乱要素を模倣するために2%のミルクと混合されたゼラチンから作られ、〜250μmの内径をもつ毛細管がその中に潜没され、その中を〜2.19mm
3/分に設定された体積流量で2% TiO
2粒子溶液が流れた。プローブ・ビームと管の間の角度は〜70度であった。流れが層流だったとして、プローブ・ビーム上に投影された管の中心における最大速度は〜0.5mm/秒となる。この流れを測定するため、10Hzの三角波形で参照鏡を駆動することによって、〜500Hzの変調周波数がBスキャンにわたるスペクトル・インターフェログラム中に導入された。これは、参照鏡が参照ビームのほうに動くときに(上昇曲線)f
M=+500Hzであり、そうでないときに(下降曲線)f
M=−500Hzであることを意味する。
図16のAおよびBは、そのような流れファントムについての測定からの撮像結果を示している。
図16のAおよびBを得る際、三角波形の完全なサイクルの間に1000回のAスキャンが連続的に取り込まれた。最初の500回のAスキャンが下降曲線からであり、残りが上昇曲線からである。これらの1000回のAスキャンは、画像を得るためのさらなるデータ処理のために、単一のBスキャンとして保存された。したがって、ある実施形態によれば、最終的な画像の前半および後半が、別個に、参照鏡が後および前に動かされるときに取り込まれたデータから得られたものでありうる画像を表す。さらに、理論的な枠組みに基づくある実施形態では、画像のこれら二つの半分は互いに0遅延線について対称的であるべきである。これは、
図16のAおよびBから確認される。
図16のAは、管内の散乱流体が上方に流れた(すなわち、流れ方向の光学軸上への投影がプローブ・ビーム入射方向と反対)ときに得られたものである。よって、流れ信号は、画像の第二の半分(すなわち、左上の象限)の流れ画像化面においてのみ見られる。次に、管内の流れが反転され、撮像の結果、
図16のBが得られた。こうして、ある実施形態では、これらの実験によって明らかになったように、OCT/OAG撮像は方向に敏感である。この場合における流れ信号の大きさは管断面積の約65%であった。0.2mm/秒より速い流れ速度(管内での層流を想定して)がシステムによって検出され、式5の予測とよく一致した。これらの実験は、ある実施形態では、静的な成分の鏡像が画像化において消去されるのでフーリエ空間の全出力平面が画像化目的のために使用されうることも確証した。
【0077】
ある実施形態によれば、生きているマウスにおいて頭蓋を傷つけることなく、脳皮質にわたる方向性の微小血管血流を画像化するために実験が実施された。実験手順は小型齧歯類の配慮および扱いについての米国連邦指針に準拠しており、研究機関による動物福祉利用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって承認された。マウスは麻酔をかけられ、次いで頭の皮膚が除去されて、頭蓋骨を通じたOAG撮像のための窓が作られた。生体環境結果は
図17(パネルA、B、C、D)に与えられている。ここで、
図17のAは、方向情報のない血管流れマップのxy投影画像を与え、
図17のBは参照鏡が前および後に動かされるときに別個に得られる二つの投影画像から融合された方向性の血流マップを示している。ここでは小動脈および小静脈が識別されうる。より重要なことに、方向性流れマップでは、血管内のより詳細な流れダイナミクス、特に血管分岐部における微小乱流にアクセスする機会が得られる。
図17のCは、3D体積レンダリングされた双方向性流れ画像を、微小構造画像(図のように三つの側に境界をもつ)とともに与える。これは、3D空間内の流れ方向を推定するために使用されうる。座標の定義は
図17Dに与えられている。
【0078】
きわめて有望であるが、OAGによって検知される流れの方向は、OAGプローブ・ビーム方向に対する血管網の3D幾何学構造に強く依存し、この依存性は血液灌流の解釈を複雑にする(
図17のBおよびC参照)。しかしながら、この複雑化は、ドップラーOCTを含めドップラー原理に基づくあらゆる測定技法において起こるものである。毛細血管レベルに至るまでの血流の方向を画像化する機能は、神経病理学および腫瘍起因性血管形成を含むいくつもの疾病の調査において重要であり、本稿において同定された潜在的な限界にもかかわらず本発明の実施形態に基づいて提供される。
【0079】
ある実施形態では、方向性流れを画像化するためのOAGのシステム感度は、非常に高く、流れ速度0に近いことがありうる。実際的な意味において、流れ画像化の下限は、生物組織の光学的な不均一性に起因してプローブ・ビームの横スキャンから帰結するスペクトル干渉信号の帯域幅によって決定されうる。スペクトル干渉信号の帯域幅は、プローブ・ビームが試料をスキャンするときのプローブ・ビーム・サンプリング幅によって決定されうる。静的要素からの信号と動いている要素からの信号の効率的な分離も、変調周波数と信号帯域幅が重ならないことを要求する。よって、ある実施形態では、OAGシステムによって実際的に検出されうる最小血流速度はスペクトル干渉信号帯域幅の半分である。
図4に記載したシステム構成を用いて実行された生体環境動物実験では、干渉信号帯域幅は典型的には〜800Hzであった。ある実施形態では、そのような帯域幅では、そのようなOAGシステムについての最小流れ速度は、生体環境画像化について、〜170μm/秒である。しかしながら、そのような感度は、たとえば血管の最小単位である毛細血管の中で、一縦列で進む血球を十分撮像できる。
【0080】
デジタル画像化アプローチを利用する本発明の代替的な実施形態では、上で論じた鏡は動く必要がない。よって、ある実施形態では、
図4の鏡22は、3D画像化が実行される間、静止していてもよい。ある実施形態では、そのようなデジタル・アプローチの本質は、3Dデータ体積を処理して方向性のおよび定量的な流れ画像化を生成する方法である。明確のため、2D画像を使用つかって結果的な2D画像を生成することがここで論じられる。この記述は3Dの場合にもあてはまる。
【0081】
ある実施形態では、
図15に示されるただ一つの3Dデータ・キューブが収集される。この中で、検出器腕30によって取り込まれたスペクトル干渉信号は変調されていてもいなくてもよい。信号処理技術および干渉信号の実数値属性の使用により、この3Dデータ・キューブはデジタル的に変調され、処理されて、試料の構造的画像および方向性流れ画像を生成しうる。
【0082】
本発明のある実施形態に基づくデジタル方法を実行する例示的なステップが以下に与えられる。ある実施形態では(
図18参照)、任意の一時点において、(x,λ)の次元における一つの断面データ点h(λ,x)を取る。λ空間からk空間へのh(λ,x)についての補間をλの次元に沿って列ごとに実行して、h(k,x)を得る。λの次元に沿って列ごとにフーリエ変換を計算して、結果としてzの正および負の空間を有するH(z,x)を得る。H(z,x)からの二つの関数を形成する。すなわち、H(z,x)の負の空間を強制的に0に等しくしてH1(z,x)を形成し、H(z,x)の正の空間を強制的に0に等しくしてH2(z,x)を形成する。H1(z,x)およびH2(z,x)を既知の周波数f
0でxの次元に沿ってデジタル的に変調して、変調された信号H1′(z,x)およびH2′(z,x)を得る。ある実施形態では、f
0は、前記したハードウェア・アプローチにおける鏡の動きと等価であり、f
0=2v/λの関係がある。ここで、vは鏡の動く速さである。H1′(z,x)およびH2′(z,x)に対してzの次元に沿って逆フーリエ変換を実行し、次いで結果の実部または虚部のみを取る。これはh1(k,x)およびh2(k,x)を形成する。λの次元における行ごとにxの次元に沿って解析関数(たとえばヒルベルト変換)を計算して、前の処理におけるデータの複素数値の関数を得る。この処理は^h1(k,x)および^h2(k,x)〔^hは^付きのhを表す〕を与える。^h1(k,x)および^h2(k,x)のフーリエ変換をkの次元に沿って実行して、複素OCT画像H1(z,x)およびH2(z,x)を得、結果の絶対値を取る。|H1(z,x)|および|H2(z,x)|を0遅延線(z=0)において分離して四つの画像(
図18の四つのチャネル)を形成する。チャネル1およびチャネル4は試料の構造画像を表す画像である。チャネル2は入射プローブ・ビームに向かって動く流れを示す流れ画像を表す。チャネル3は入射プローブ・ビームから離れるほうに動く流れを示す流れ画像を表す。
【0083】
ある実施形態では、上に概観した処理は、3Dデータ・キューブにおいてy方向に利用可能な各h(λ,x)について繰り返されてもよい。結果として、ある実施形態では、3Dの構造画像および方向性流れ画像の両方が得られうる。
【0084】
さまざまな実施形態において、任意の一つまたは複数のさまざまな処理がまずyの次元について実行され、次いでxの方向について実行されてもよいし、逆でもよい。
【0085】
ある実施形態では、変調周波数f
0は、前記したハードウェア・アプローチにおける鏡の動きと等価であり、f
0=2v/λの関係がある。ここで、vは鏡の動く速さである。したがって、変調周波数f
0を漸進的に変えることによって定量的な流れ画像化が実行されうる。このようにして、任意の流れ速度値が決定されうる。
【0086】
上に同定した処理は順序付けられた仕方で呈示されているが、諸実施形態において、さまざまな処理を実行する特定の順序はない。ある実施形態では、処理の順序を修正してもよく、それでも同じまたは同様の結果を得ることができる。
【0087】
ある実施形態では、別の定性的および定量的な流れ画像化方法は、逆フーリエ変換の実行と解析関数の計算の間に、周波数fを中心とした特定の周波数帯をもつフィルタ処理技法を使用する。周波数fは流れ速度の特定の値に対応する。諸実施形態において、使用されうるフィルタ処理技法は、長方形関数、ガウス関数または信号処理の学術分野においてしばしば遭遇される個別的に設計されたフィルタ関数を含む。
【0088】
方向性流れマッピングのためのデジタル・フィルタ処理方法の例示的な実施形態が
図19に概略的に示されている。この実施形態では、断面データ点は、任意の1時点において、(x,λ)の次元において取られてもよいh(λ,x)。λ空間からk空間へ、h(λ,x)についての補間が、λの次元に沿って列ごとに実行されて、h(k,x)が得られうる。xの次元に沿って行ごとにフーリエ変換が計算されて、結果としてfの正および負の周波数空間を有するH(k,f)が計算されうる。
【0089】
H(k,f)から三つの関数が形成される。すなわち、第一の長方形関数t1(k,f)をかけてH1(k,f)を形成する;第二の長方形関数t2(k,f)をかけてH2(k,f)を形成する;第三の長方形関数t3(k,f)をかけてH3(k,f)を形成する。kの次元における行ごとにfの次元に沿って解析関数が計算され(たとえば逆フーリエ変換を使って)、前の処理におけるデータの複素数値の関数が得られうる。この処理は^h1(k,x)、^h2(k,x)および^h3(k,x)〔^hは^付きのhを表す〕を与えうる。
【0090】
さまざまな実施形態において、^h1(k,x)、^h2(k,x)および^h3(k,x)のフーリエ変換がkの次元に沿って実行され、複素OCT画像H1(z,x)、H2(z,x)およびH3(z,x)が得られうる。次いでこれらの結果の絶対値が得られうる。|H1(z,x)|、|H2(z,x)|および|H3(z,x)|を0遅延線(z=0)において分離することによって六つの画像(チャネル)が形成されうる。チャネル1およびチャネル2は試料の構造画像を表す画像である。チャネル3およびチャネル4は流れ方向指示のない流れ画像を表す画像である。チャネル5は、入射プローブ・ビームに向かってまたは入射プローブ・ビームから離れるほうに動く流れを示す流れ画像を表す。チャネル6は、チャネル5とは逆に動く流れを示す流れ画像を表す。
【0091】
さまざまな実施形態において、第一の長方形関数t1(k,f)は:
【0092】
【数15】
の形をもちうる。第二の長方形関数t2(k,f)は:
【0093】
【数16】
の形をもちうる。第三の長方形関数t3(k,f)は:
【0094】
【数17】
の形をもちうる。さまざまな実施形態において、第三の長方形関数t3(k,f)は:
【0096】
長方形フィルタ関数を適用する例示的な実施形態が
図20に示されている。ここで、理解を助けるために一次元関数が使われる。図のように、特定の波数kにおけるh(k,x)から抽出される実のインターフェログラム関数h(x)に、前記三つの長方形関数が適用される。
【0097】
先に論じたさまざまな実施形態のどの一つまたは複数が、部分的にまたは全体としてシステムに組み込まれてもよい。
図21は、OCTシステム2100の例示的な実施形態を示す。実施形態において、OCTシステム2100はOCT装置2110およびそれに結合された一つまたは複数のプロセッサを有しうる。プロセッサ2120の一つまたは複数は、本稿で開示される様々な方法に従って諸方法を実行するよう適応されてよい。さまざまな実施形態において、OCTシステム2100は、たとえばパーソナル・コンピュータを含むコンピューティング装置を有していてもよい。これらの実施形態のうちさまざまなものにおいて、前記プロセッサの一つまたは複数が前記コンピューティング装置内に配置されていてもよい。
【0098】
さまざまな実施形態に基づくOCTシステムは、さまざまな情報を記憶するよう適応されうる。たとえば、OCTシステムが、本稿に開示される一つまたは複数の方法を実行するためのパラメータおよび/または命令を記憶するよう適応されていてもよい。
【0099】
さまざまな実施形態において、OCTシステムは、操作者がさまざまなタスクを実行することを許容するよう適応されていてもよい。たとえば、OCTシステムは、操作者が上記の諸方法のさまざまなものを構成設定しおよび/または立ち上げることを許容するよう適応されていてもよい。いくつかの実施形態では、OCTシステムは、たとえば試料に対するスキャン実行の結果の報告を含むさまざまな情報の報告を生成するまたは生成させるよう適応されていてもよい。
【0100】
表示装置を有するOCTシステムの実施形態では、データおよび/または他の情報が操作者のために表示されうる。諸実施形態において、表示装置は入力(たとえば、タッチスクリーン、アイコンの作動化、ジョイスティックまたはノブのような入力デバイスの操作など)を受領するよう適応されていてもよく、入力はいくつかの場合には一つまたは複数のプロセッサに通信されてもよい(能動的におよび/または受動的に)。さまざまな実施形態において、データおよび/または情報が表示されてもよく、操作者はそれに応答して情報を入力してもよい。
【0101】
これまでに論じたさまざまな実施形態の任意の一つまたは複数は、部分的にまたは全体として製造物に組み込まれてもよい。さまざまな実施形態において、
図22に示されるように、本発明のさまざまな実施形態に基づく製造物2200は記憶媒体2210および記憶媒体2210に記憶された複数のプログラミング命令2220を有しうる。これらの実施形態のさまざまなものにおいて、プログラミング命令2220は、装置をプログラムして、その装置がこれまでに論じた方法の一つまたは複数を実行できるようにするよう適応されていてもよい。
【0102】
さまざまな実施形態において、OCT画像は診断および/または評価がなされるもとになるデータを提供してもよい。さまざまな実施形態において、そのような決定は生物組織構造、脈管構造および/または微小循環に関係していてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、生物組織の3D生体環境撮像およびその中の個々の血管を通じた血流の定量化が、虚血、退化、外傷、発作およびさまざまな他の神経疾病を含むいくつかの疾病の発達および治療の背後のメカニズムを理解するのに有用であることがありうる。さらに他の実施形態では、本稿で開示されたOCT画像および技法は癌、腫瘍、痴呆および眼科疾病/状態(たとえば緑内障、糖尿病性網膜症、年齢に関係した黄斑部変性を含む)を識別するために使用されうる。さらに、さまざまな実施形態において、本稿で開示されたOCT技法は、内視鏡画像化または他の体内医療用途のために使用されうる。診断および/または評価の以上の例解的な実施形態は例を示すものであって、よって本発明の実施形態は論じられている実施形態に限定されるものではない。
【0103】
本稿では好ましい実施形態の説明のためにある種の実施形態が例解され、記述されているが、当業者は、本発明の範囲から外れることなく、同じ目的を達成するよう計算された幅広い多様な代替的および/または等価な実施形態または実装が、図示および説明された実施形態の代用とされてもよいことを認識するであろう。当業者は、本発明に基づく実施形態が非常に幅広い多様な仕方で実装されうることを容易に理解するであろう。この用途は、本稿で論じられた実施形態の任意の適応または変形をカバーすることが意図されている。したがって、本発明に基づく実施形態は請求項およびその等価物によってのみ限定されることが明白に意図されている。