(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のようにシートを積載収納するトレイを昇降機構で上下移動する装置構成にあっては、トレイを下限位置から所定の上昇位置に移動させこの位置で稼働動作をスタートする必要がある。
【0010】
これは、トレイがどの高さ位置で装置が稼働終了(ジョブ終了)するか判らないことと、ジョブ終了時にトレイを最下位置に移動して積載されているシートの取り出しを容易にすることから稼働終了時にトレイを最下位置に移動する制御が多用されている。
【0011】
従って、装置起動時若しくは印刷ジョブ開始時のイニシャライズ動作のとき、或いは待機状態の装置を再開(ジョブスタート)するときには下限位置から所定の高さ位置(シート搬入位置)に移動する動作が必要となる。
【0012】
例えばトレイが満杯状態のとき、装置電源を投入するとイニシャライズ動作を実行する。このとき装置の下限センサはON状態、レベルセンサはOFF状態であり、当然に制御部はトレイを上昇する動作を開始する。このとき、満杯状態の最上シートが上方の位置する構造物或いは外装ケーシングに突き当たってトレイの上昇を妨げることがある。
【0013】
またこのような障害物がない場合にも次のような不具合がある。例えば満杯状態をA4サイズシート500枚に設定したとき、A3サイズシートが250枚積載されているとその重量は同じになる。
そこでオペレータがシート積載の余裕があると判断して画像形成などの動作を強行すると、トレイは巻上げモータが容量オーバとなってトレイは所定の排紙位置に上昇しないこととなる。
【0014】
このようなトレイ上昇の不具合は、巻き上げ機構の故障によっても生ずる。そこでイニシャライズ動作時にトレイが所定時間経過しても所定の排紙位置に上昇しないときには「装置故障」と判断して、サービスマンコールなどの警告を発している。
【0015】
このように積載トレイがどのような状態であるのか、装置制御部で正確に判断できないことがある。その原因は、トレイ上に過剰な重量のシートが取り残されている状態(過積載)、トレイ上に使用者が書籍などの異物を載せた状態(異物混載)、他の構造物がトレイの上昇を遮っている状態(動作妨害)があり得る。
また、当然にトレイの上昇機構の故障、或いは他の装置(画像形成装置、シート搬送装置)の故障に原因することもある。
【0016】
この場合、前者の過積載、異物混載、動作妨害などの原因は、オペレータが処置することが可能であり、原因となるシートの除去、異物の除去、障害物の除去などで簡単に、短時間に処置することができる。
また、原因が昇降機構の故障、接続する他の装置、ユニットの故障に原因するときにはサービスマンコールを警告してサービスマンに修理を依頼する必要がある。
このように積載トレイがどのような状態であるのか、装置制御部で正確に判断できないため、トレイ上にシートセンサを設けて、ジョブ開始時のイニシャライズ動作でシート「有り」のときにはシート除去の警告を発するように構成している。
【0017】
ところがトレイ上にセンサを配置することは、その配線の問題と同時にセンサ汚れなどの問題を引き起こす。これと共に画像形成などのジョブ毎にトレイ上のシートの取り除きをオペレータに強要することは割り込み処理、中断後の継続処理など連続したい動作(例えば部揃え集積など)の障害となる。
【0018】
このようにトレイ上のシートの除去を、装置中断の都度オペレータに強要することは使用上の問題を引き起こし、トレイ上のシート検知とその警告を止めると前述したような満杯状態なのか、過積載状態なのか、装置故障状態なのか、区別できないため、不用意なサービスマンコールを招くとこととなる。
【0019】
そこで本発明者はトレイを最下位置から上昇位置に移動する巻上げモータの負荷状態を、時間的に異なる条件に設定することによって、異常積載状態(過重積載、動作妨害)と故障状態を判別することが可能であるとの着想に至った。
【0020】
本発明は、シートの積載量に応じて上下動するトレイ機構においてシートの積載状態とトレイの初期位置設定を簡単な構造で安価に行うことが可能なシート収納装置の提供をその課題としている。
更に本発明は、上下昇降するトレイの高さ位置を簡潔なセンサ構造で、比較的多くのトレイ状態を判別することが可能なシート収納装置及び昇降トレイの移動方法の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
なお、本発明においてトレイ手段の上昇動作が「正常移動する動作時間」とは、トレイ手段が下限位置から上昇位置に移動する動作時間を云い、下限位置から上昇を開始するまでの時間(ON状態の下限センサがOFF状態に変化する時間)、或いは下限位置から上昇位置に到達するまでの時間か、トレイ状態を監視するセンサ配列によって適宜設定する。
【0022】
そこで上記課題を解決するため本発明は、トレイ手段を下限位置から所定の上昇位置に移動するに際し、昇降手段の駆動モータを予め設定した第1遅延時間の間は高速駆動で回転し、この第1遅延時間の経過時にトレイが下限位置のときには設定された第2遅延時間、駆動モータを低速駆動で回転することを特徴としている。
そして、第1遅延時間の経過時にトレイが下限位置のときには、例えばトレイ上のシート除去の警告をオペレータに伝達しトレイの満杯状態を解除する。その後、第2遅延時間の経過時にトレイが下限位置でないにときには過積載と判別し、トレイが下限位置のときには装置故障と判別する。
このようにモータの駆動を2段階若しくはそれ以上、複数段階で駆動トルクを変化させながらトレイ位置を監視することによって少ないセンサ数で「満杯状態」「荷積載状態」「装置故障状態」などの各態様を判別することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上述したようにトレイを昇降する駆動モータを所定時間(第1遅延時間)、高速駆動で回転し、その時のトレイ位置によって次に第2の設定時間(第2遅延時間)、低速駆動で回転し、その時のトレイ位置によってトレイの状態を判別するものであるから以下の効果を奏する。
【0024】
トレイの下限位置センサと昇降モータの制御で、トレイの昇降動作が正常動作であるか異常積載であるか判別することができる。
つまり、下限位置センサがトレイを検出する状態で、昇降モータを高速駆動で第1設定時間が経過するまで駆動する。この第1設定時間経過後にトレイが下限位置(下限位置センサON)のとき、再度駆動モータを第2設定時間駆動する。この再駆動は低速駆動状態で第2設定時間設定する。
【0025】
このような第1第2のトレイ上昇動作で判別手段を次のように構成する。第1設定時間が経過したときトレイが下限位置のときには駆動モータを低速駆動にした状態で動作不良の原因が(過重量積載、上昇動作妨害など)解決されるのを待つ。
そして駆動モータを低速駆動で第2設定時間が経過したときトレイが下限位置に位置するときには「装置故障」と判断し、トレイが下限位置にないときには過積載と判断する。
【0026】
このように昇降モータの駆動と、判別手段の構成によってトレイ手段は下限位置(満杯時のトレイ位置検出)を検出するセンサ構造でトレイ上昇の異常積載(過積載、動作妨害)と上昇機構の故障を判別することが出来る。このため簡単なセンサ構造でトレイ状態を監視することが出来る。
【0027】
更に、所定の上昇位置(シート搬入位置)に昇降トレイが位置するか否かを検出するレベルセンサを配置すると、トレイの状態検出を更に正確に行うことが出来る。つまり上記第1の設定時間の経過時にレベルセンサONであれば正常と判断し、第2設定時間の経過時にレベルセンサがONであれば「満杯であった=装置正常」と判断できる。
【0028】
上述のように本発明は簡単なセンサ構造でスタックトレイの状態を検出することができ、印刷ジョブ開始時のイニシャライズ動作で、装置故障でない状態を装置故障と判断する誤認識を無くすことが出来る。
また、その為のセンサは、例えばトレイ下限位置の下限センサと所定の上昇位置のレベルセンサで良く、その配置スペース、信号線配線などの問題と、これによるエラー検出を避けることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下図面に示す好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。本発明は、順次送られるシートを積載収納するシート収納装置Bと、これを備えた画像形成システムSに関する。
図1はコンピュータネットワークの出力端末としての画像形成システムを示す。
【0031】
画像形成システムSは、シート上に画像を形成する画像形成装置Aと、画像形成されたシートを収納するシート収納装置Bで構成されている。この画像形成システムSは
図1(b)に示すように共通の装置ハウジングに画像形成装置Aと、シート収納装置Bが組み込まれたユニット構造で構成される。
或いは、同図(c)に示すように画像形成装置A、シート収納装置Bそれぞれ別のハウジングに組み込まれたスタンドアロン構造で構成される。
図1(a)に示すPCはコンピュータ装置であり、FAはファクシミリ装置、SCはスキャナ装置である。
【0032】
なお、シート収納装置Bは、順次搬出されるシートを積載して収納するスタック装置、或いは搬出されたシートに後処理を施した後に、これを積載収納する後処理装置として構成される。
以下画像形成装置Aで画像形成したシートを部揃え集積して綴じ処理した後、スタックトレイに収納する画像形成システムSとして本発明を詳述する。
【0033】
[画像形成システム]
図2に画像形成システムSを示す。このシステムは画像形成装置Aと後処理装置Cで構成され、後処理装置Cにシート収納機構(装置)Bが内蔵されている。各装置は装置ハウジング10に一体的に組み込まれている。また、画像形成装置Aは画像形成ユニットA1と画像読取ユニットA2で構成されている。
【0034】
画像形成ユニットA1は、給紙部11と画像形成部12と排紙部13で構成され、装置ハウジング(外装ケーシング)10に組み込まれている。給紙部11は単一若しくは複数の給紙カセット11a、11bで構成され、各カセットには、サイズの異なるシートが収納可能に構成され、シートを繰り出す給紙ローラ14と、シートを1枚ずつ分離する分離手段(分離爪、分離ローラなど)が設けられている(不図示)。給紙カセット11a、11bは装置ハウジング10に出し入れ自在に装備されている。
【0035】
給紙部11から繰り出されたシートは給紙経路15に案内され、この経路にはシートを一時的に待機させるレジストローラ16が設けられている。この給紙経路15には大容量カセットを付設し、搬送されるシートをレジストローラ16に案内する構成、或いは手差しシートを給送する手差しトレイを付設することも可能である。
【0036】
画像形成部12は、給紙部11の上方に配置され、レジストローラ16から送られたシートに画像形成する。画像形成機構は、インクジェット印刷、オフセット印刷、インクリボン印刷など種々の印字機構が採用可能である。図示の画像形成部12は静電式画像形成機構を示している。感光ドラム9には、その外周に印字ヘッド17と現像器18とクリーナ19が配置されている。
印字ヘッド17はレーザ発光、LED発光など光ビームの発光器で構成され、感光ドラム上に潜画像を形成する。この潜画像に現像器18でトナーインクを付着する。ドラム表面に付着されたトナーインクは、レジストローラ16から繰出されたシートにチャージャ20で転写する。
【0037】
図示の装置はカラー画像形成機構を示し、YMCK4つのドラム(9Y,9M,9C,9K)に形成されたトナーインクは転写ベルト21に転写され、画像合成される。この転写ベルト21に転写された画像インクが転写チャージャ20でシート上に転写される。転写チャージャ20を備えた排紙経路22には定着器23が設けられ、シート上に転写された画像を加熱定着する。排紙経路22は画像形成部12からシートを排紙口24(24a、24b)に搬出する。
なお排紙口24aは、排紙経路22から後処理装置(ユニット)Cに向けてシートを搬出する排紙口を、図示24bは後述する循環経路(デュープレックス経路)25のスイッチバックパスにシートを搬出する排紙口を示している。
【0038】
装置ハウジング10には、画像形成部12から排紙口24にシートを案内する排紙経路22が設けられている。これと共に排紙経路22から送られたシートを表裏反転させてレジストローラ16に再送する循環経路(デュープレックス経路)25が配置されている。この排紙経路22と循環経路25で排紙部13が構成されている。
なお、後述する後処理装置Cを備えない装置構成の場合には排紙口24の下流側にシートを積載収納する排紙トレイ(不図示)を配置する。
【0039】
図2の装置は、画像形成ユニットA1の上方に画像読取ユニットA2が配置されている。画像読取ユニットA2は原稿画像を載置するプラテンと、プラテン上の原稿に光を照射して反射光を光電変換するスキャナ機構が内蔵されている。
特に
図2の装置は画像形成部12、排紙部13、画像読取ユニットA2の順に上方に配置している。そして画像形成ユニットA1のフレーム強度で排紙部(後述する後処理装置C)と画像読取ユニットA2を支えている。
【0040】
[排紙部構造について]
上述したように画像形成ユニットA1は装置ハウジング10に給紙部11、その上に画像形成部12、その上に排紙部13を内蔵して構成され、排紙部13の上方には画像読取ユニットA2が配置されている。
図2に示すように画像形成ユニットA1の装置ハウジング10(以下第1ハウジングと云う)には、給紙部11、画像形成部12、排紙部13の順に上方に配置され、排紙部13は排紙エリア13Aに形成されている。
この排紙エリア13Aは画像形成ユニットA1と、その上方に配置された画像読取ユニットA2の間に形成された空間で構成され、この部分に排紙シートが収納される。
【0041】
排紙部13には後述する後処理装置Cが配置されるか、又はシート収納トレイが配置される。後処理装置Cは画像形成されたシートに、例えばファイル穴を穿孔するか、又は部揃え集積して製本綴じするか、又はスタンプ捺印する等の後処理を施す。
またこの後処理装置Cには処理トレイ35の下流側にスタックトレイ40が配置される。
【0042】
上記排紙部13は、次のように構成されている。装置ハウジング10には排紙部13に排紙エリア13Aが形成され、このエリア内に画像形成されたシートを搬出するように構成されている。また上記画像形成部12は、給紙部11からシートをレジストローラ16に給送するのと同時に、片面に画像形成したシートを再びレジストローラ16に給送して両面印刷するように構成されている。
【0043】
このため画像形成部12には排紙部13に搬出したシートを表裏反転して再びレジストローラ16位置に給送するデュープレックス経路25が設けられている。画像形成部12から定着器23を介して排紙経路22に送られたシートは排紙口(第2排紙口24b)から排紙エリア13Aに搬出される。この排紙エリア13Aには後述するデュープレックス経路25が連結されている。
【0044】
装置ハウジング10には上下方向に距離dを隔てて第1排紙口24a、と第2排紙口24bが配置されている。上方に位置する第1排紙口24aにはスイッチバックパス25aが連設され、第2排紙経路24bには後処理装置Cのシート搬出経路29が連結されている。スイッチバックパス25aは、片面に画像形成されたシートを表裏反転して画像形成部12に案内するデュープレックス経路25の一部を構成する。
また、シート搬出経路29は第2排紙口24bから送られたシートに後処理を施す処理トレイ35に案内する。この経路には通過するシートにファイル穴を穿孔するパンチユニット27が配置されている。
【0045】
デュープレックス経路25はシートの搬送方向を反転するスイッチバックパス25aと、このパスから送られたシートを表裏反転するUターンパス25bで構成される。またこの経路は、表裏反転したシートを画像形成部12のレジストローラ16に案内するように経路構成されている。
【0046】
図2の装置は、外装ケーシング10の底部に給紙カセット11a、11bを有する給紙部11が配置され、その上方に画像形成部12が、更にその上方に排紙部13が配置されている。この外装ケーシング10には上方に第1排紙口24aが下方に第2排紙口24bが配置され、第1排紙口24aにはスイッチバックパス25aが、第2排紙口24bにはシート搬出経路29が連設される経路構成となっている。
【0047】
このように画像形成部12から下方に位置する第2排紙口24bに片面に画像形成するシートを案内し、上方に位置する第1排紙口24aに両面に画像形成するシートを案内するように構成している。
その理由は、経路長を短かく構成する排紙経路22から片面印刷のシートを排出し、経路長を長く構成するデュープレックス経路25から両面印刷のシートを搬出するためである。片面印刷のプロセス経路は両面印刷のプロセス経路より早く設定され、これに応じて排紙経路22で片面印刷のシートを排する搬送速度は両面印刷のシートが搬出するが搬送速度より高速に設計されている。
【0048】
[排紙部の構成]
上述の排紙部の具体的構成について説明する。前記画像形成部12のチャージャ20で画像転写されたシートは定着器23で定着され、排紙経路22に案内される。この排紙経路22は第1排紙口24a、第2排紙口24bにシートを選択的に送る。その構成について説明する。
【0049】
図3の構造は、画像形成部12からシートを搬出する排紙経路22は、経路切換手段22fを介して第1排紙パス22aの方向と、第2排紙パス22bの方向に経路が2方向に分岐している。
そして第1排紙パス22aは第1排紙口24aに連結され、この排紙口にはスイッチバックパス25aが連結され、第2排紙パス22bは第2排紙口24bに連結されている。なお、第1排紙口24aと第2排紙口24bは間隔dを隔てて上下に配置されている。
これと共に排紙経路22は、第1排紙パス22aから逆送されてくるシートをUターンパス25bに案内する経路切換手段22gを備えている。このような経路構成では図示重送部22xはスイッチバックパス25aから逆送されるシートと、第1第2排紙パス22a、22bに向けて送られるシートが交互に通過する共通経路を構成している。
【0050】
従って、後述する画像形成装置Aの制御部70は、前後のシートを第1第2排紙パス22a、22bに移送する搬送タイミングを重送部22xで相互に重ならないように制御する必要がある。この場合第1排紙パス22aからスイッチバックパス25aにシートを送るとき、シート後端が交差部(経路切換手段22fの位置)を通過してスイッチバックパス内に進入する条件に設定することが好適である。
【0051】
上述のように給紙部11、画像形成部12及び排紙部13を内蔵した画像形成ユニットA1の第1ハウジング10には、排紙エリア13Aが形成されている。第1ハウジング10を構成する外装ケーシングには排紙エリア13Aに向けて第1排紙口24aと第2排紙口24bが上下に配置されている。
上方に位置する第1排紙口24aには、後述するデュープレックス経路25を構成するスイッチバックパス25aが連結され、下方に位置する第2排紙口24bには、後述するは後処理装置Cとのシート搬出経路29に連結される。
このようにシートに重力が作用する方向の上方にシートを表裏反転して再び画像形成部12に送るデュープレックス経路25が配置され、その下方に画像形成したシートに後処理を施すシート搬出経路29が位置するようにそれぞれの連結口(排紙口)が形成されている。
【0052】
[後処理装置]
後処理装置Cは
図2にその全体構成を、
図3に要部の拡大構造を示す。後処理装置Cは、画像形成装置Aから送られたシートに後処理を施した後、スタックトレイ40に収納する。
後処理手段としてはシートにファイル穴を穿孔するパンチユニット、部揃え集積したシートを綴じ合わせるステープルユニット、シートにスタンプを捺印するスタンプユニット、画像形成されたシートを折り合わせる折り処理ユニットなどが知られ、装置仕様に応じて適宜組み合わせて構成される。
図2の装置には、シートを綴じ処理するステープルユニット28とパンチユニット27が組み込まれている。以下その構成について説明する。
【0053】
図3に示す実施形態では後処理装置Cは画像形成装置Aのハウジング内に形成されている排紙エリアに内蔵するように組み込まれている。このため後処理装置Cには外装ケーシングは備えられていない(後処理装置Cに画像形成装置Aとは別の外装ケーシングを装備しても良い)。このユニットフレームには、シート搬出経路29と処理トレイ35とスタックトレイ40が配置されている。
【0054】
シート搬出経路29は画像形成装置Aの排紙経路22に連なる経路構成で、搬出口(以下排紙口という)29aを有している。このシート搬出経路29は装置ハウジング10を略水平方向に横断する直線経路で構成されている。
このシート搬出経路29の下流側には排紙口29aと段差を形成して処理トレイ35が配置されている。またシート搬出経路29の入口部にはパンチユニット27が配置され、順次搬入されるシートにファイル穴を穿設する。
【0055】
またこのシート搬出経路29にはシートを下流側に搬送する経路搬送手段(搬送ローラ)30と排紙口29aの近傍に排紙ローラ31とシート検知センサS1が配置されている。
【0056】
排紙口29aと処理トレイ35との間には段差が形成され、排紙口29aの排紙ローラ31からシート後端を処理トレイ上に落下させて収納する。排紙ローラ31と処理トレイ35との間には処理トレイ上に搬入したシートの搬送方向を反転する反転ローラ36と、処理トレイ上に進入したシートを位置規制ストッパ37に突き当てる掻込みローラ(整合回転体;以下同様)38が配置されている。
処理トレイ35の下流側にはスタックトレイ40が配置され、処理トレイ35で後処理されたシート(束)を収納する。この処理トレイ35にシートを排出する排紙機構と、後処理されたシートを収納するスタック機構を順次説明する。
【0057】
[排紙機構]
排紙口29aから搬出されたシートは、処理トレイ35とスタックトレイ40でブリッジ状に支持するように構成されている。これはシートの先端部をスタックトレイ40で、後端部を処理トレイ35で支持することによって処理トレイ35を小型コンパクトに構成するためである。この処理トレイ35は、単独でシートを載置する形状(寸法)に構成しても良い。
【0058】
排紙口29aと処理トレイ35とは段差を隔てて上下に間隔をあけて配置されている。この段差は処理トレイ上への積載量を大容量とするためと、処理トレイ上にシートを整列させる機構(後述の掻込みローラ38、紙押さえガイド)の配置スペースを確保するためである。
また処理トレイ35はシートの全体を支持する寸法形状ではなくシートの後端部のみを支持する形状に構成してある。これは排紙口29aからのシートを、その先端部はスタックトレイ40で、その後端部は処理トレイ35でブリッジ支持する構造を採用している。このためスタックトレイ40は積載方向に上下動し、処理トレイ35は所定の位置に固定されている。
【0059】
処理トレイ35には、シート後端部に(先端部であってもよい)位置規制ストッパ37が配置してある。この位置規制ストッパ37で整列されたシートに後処理を施すステープルユニット28が配置されている。
また処理トレイ35には排紙直交方向にシートを幅寄せして整合するシート側面整合手段39が配置されている。その構造はすでに強いられた方法を採用すればよく、例えばシート採用に一対の整合板を設けこの整合板をシート先端に接近移動することによってセンター基準で位置合わせすることができる。
【0060】
処理トレイ35の上方には、その略中央部に排紙口29aと排紙ローラ31が配置され、排紙口29aの前方(下流側)に距離(排紙ローラとの間隔)を隔てて反転ローラ36が配置されている。また排紙口29aの直下(おおよその位置)に掻込みローラ38が配置されている。
【0061】
反転ローラ36は排紙口29aの下流側に配置されること、処理トレイ上の最上シートと係合すること、搬入シートを反転方向に移送すること、及び排紙口29aから処理トレイ35に至るシートの経路から退避した待機位置で待機可能であることが求められる。
このため反転ローラ36は回転するローラ、ベルトなどの回転体で構成され、処理トレイ上方の待機位置と処理トレイ上のシートと係合する作動位置との間で昇降自在に構成される。
【0062】
「掻込みローラ機構」
処理トレイ35には反転ローラ36でシートを処理トレイ上に搬入するのと同時に、このシートを所定の位置規制ストッパ37に突き当てて位置決めする必要がある。このため排紙ローラ31と処理トレイ35の間の段差には掻込みローラ38が配置されている。
この掻込みローラ38は、処理トレイ上の最上シートと接して位置規制ストッパ37に移送する。この掻込みローラ38は無端ベルトなどの回転体で構成し、処理トレイ上のシートの積載量に応じて最上シートを一定の圧力で押圧する。
【0063】
このため掻込みローラ38は、処理トレイ上のシートと積載量に応じて上下動するように揺動自在に支持され、図示のものは排紙ローラ(従動ローラ)31bの回転軸31xに揺動可能に軸受支持したブラケット44に掻込みローラ38が支持されている。掻込みローラ38には、駆動モータM3(不図示)が連結されている。
この掻込みローラ38には、排紙ローラ(従動ローラ)31bから回転力を駆動伝達することも可能であるが図示のものは排紙ローラ31bとは異なる駆動モータM3で掻込みローラ38を回転駆動している。
【0064】
これは掻込みローラ38は処理トレイ上に集積されたシートを後処理後にスタックトレイ40側に移送する。このとき掻込みローラ38の回転方向を反対方向に回転する必要があり、このためには排紙ローラ31bを排紙反対方向に回転しなければならない。
そこで排紙ローラ31bの回転駆動モータと掻込みローラ38の駆動モータM3を個別に設けることによって掻込みローラ38で後処理後のシートを処理トレイ35から搬出する排紙動作の最中に後続するシートを排紙ローラ31bで排紙口29aから処理トレイ上に送り出すことができる。
【0065】
「キック機構」
排紙口29aと反転ローラ36との間には、排紙口29aからのシートを反転ローラ位置に案内するガイド機構と、排紙口29aから掻込みローラ38にシート後端を案内するガイド機構が必要となる。
特に排紙口29aと処理トレイ35との間に大きな段差を有する排紙機構にあってはシート後端が処理トレイ上に落下するときに排紙ローラ31の周面に引っ掛かってシートジャムを引き起こすことがある。
そこで図示の装置は排紙口29aと反転ローラ36との間にキック機構50を配置している。
【0066】
[整合機構]
図6(a)に示す整合機構をについて説明する。処理トレイ35には掻込みローラ38で位置規制ストッパ37に突き当てられたシートを幅方向に位置合わせする幅寄せ整合機構が設けられている。この機構はシートをセンター基準又は片側サイド基準で位置合わせする。
図示の片側サイド基準を例えに説明すると、シートの一側縁側に固定規制面32が設けてある。この固定規制面32に掻込みローラ38を挟んで反対側に可動の整合板33が配置され、幅方向に移動可能に構成されている。この整合板33には図示しない整合モータMに連結されたタイミングベルト34が連結されている。
【0067】
この構成によって整合モータMを正逆転するとタイミングベルト34が所定ストロークで往復動手段し、このベルトに固定された整合板33が固定規制面32に接近及び離反する。この待機位置と幅寄せ位置との間の往復移動でシートを規制面32を基準に幅寄せ整合する。
【0068】
[パンチユニットの構成]
シート搬出経路29には、シートの搬入部にパンチユニット27が配置されている。その構造について説明する。
パンチユニット27はパンチ部27aとダイ部27bと屑ボックス27cで構成される。パンチ部27aは複数のパンチ部材な上下移動可能に軸支持されカム機構でシート搬入経路29に突出するように上下移動する。この経路をはさんで穿孔穴を有するダイ部27bが配置されている。また屑ボックス27cはダイ部27bの下方に配置されている。
【0069】
このように構成されパンチユニット27はシート搬入経路29の入口部に配置されている(
図3参照)。パンチユニット27の上流側又は下流側にはシート先端と後端を検出するシートセンサS2(以下入口センサという)が配置されている。
そしてこのシートセンサS2を挟んで下流側には正逆転ローラ30が、上流側にはシートストッパ29xが配置されている。
【0070】
図6(b)に示すように、シートストッパ29x、パンチ部材27a、シートセンサS2、正逆転ローラ30の順にシートの搬送方向に沿って下流側に順次間隔を隔てて配置されている。
画像形成装置Aの第2排紙口24bから送り出されたシートはシート搬入経路29に進入しパンチ部27aを通過してシート後端がシートセンサS2を通過する。その通過信号を基準に正逆転ローラ30は排紙方向への回転でシートを前進させ、所定時間後に排紙反対方向に逆転する。
【0071】
するとシートは排紙反対方向に逆送して後端をシートストッパ29xに突き当てる。そこで制御手段はシート後端がシートストッパ29xに到達する見込み時間の後に正逆転ローラ30を停止する。そしてパンチユニット27に動作指示信号を送る。パンチユニット27はこの指示信号受けてパンチ動作を実行し、その動作終了後に後処理装置の制御部80に終了信号を転送する。
後処理装置の制御部80はこの信号を受けて正逆転ローラ30を再び正方向に回転し、経路下流側に進める。
【0072】
[スタックトレイの昇降機構]
図4に示すスタックトレイの昇降機構について説明する。後処理装置Cの装置フレームにはシートの積載方向(
図4上下方向)にガイドレール46が配置してある。このガイドレール46はトレイ幅(図面前後方向)を隔てて一対が対向して配置されている。
この一対のガイドレール46にはトレイ部材に固定された複数の滑動コロ47が嵌合されている。従ってスタックトレイ40はユニットフレームにガイドレール46で上下動可能に支持されている。
【0073】
上記ガイドレール46に沿って上下に歯付プーリ48pがユニットフレームに回動可能に支持されている。この上下のプーリ間に歯付ベルト48が架け渡してあり、ベルトの一部はスタックトレイ40に固定(連結)されている。歯付きベルト48は歯付きプーリ48pに連結された昇降モータM8によって上下動する。
またプーリの一方には、巻上げモータM8がタイミングベルト48tで駆動連結されている。昇降モータM8は正逆転可能なステッピングモータで構成され、その角度位置を検出するセンサ(不図示)が内蔵してある。この角度センサは、ホール素子、エンコーダなどで構成される。
【0074】
上記巻上げモータM8はステッピングモータで構成され後述する制御CPU80で例えばPWM制御するように構成され、制御CPU80によって高速回転、低速回転など速度コントロールされる。これと共に自起動状態にも制御可能である。
【0075】
上記スタックトレイ40は水平方向に対し若干傾斜した角度方向(
図2参照)に配置され、シート後端がユニットフレームに形成されている規制面(立面;不図示)に位置決めされようになっている。このスタックトレイ40は上述したようにガイドレール46に積載方向に上下揺動可能に支持されている。
【0076】
[トレイ位置検出]。
このためスタックトレイ40にはその高さ位置を検出するセンサが配置してある。トレイの上昇位置を検出するレベルセンサS3とトレイの下限位置を検出する下限センサS4とが配置されている。レベルセンサS3はスタックトレイ40に積載された最上シートの高さ位置を検出する。
スタックトレイ40は上流側の処理トレイからシートを搬入可能な高さ位置に設定され、本発明では予め設定された上昇位置と称する。レベルセンサS3はスタックトレイ40に積載された最上シートの高さ面を検出する。
またスタックトレイ40には最下位置を検出する下限センサS4が配置される。これは積載量に応じて順次下方に繰り下げられるトレイが最下位置、つまりトレイが満杯状態となった位置を検出する。
【0077】
図4に下限センサS4の配列、
図5にレベルセンサS3の配列を示す。下限センサS4はホトセンサなどの位置検出センサで構成され、トレイに取付けられたセンサフラグをユニットフレームに取り付けたホトセンサで検出する構造を採用している。このセンサ位置はトレイ上に積載されたシートが満杯の状態となるトレイ位置を検出するように配置されている。
つまり満杯位置はトレイ上にシートが積載される物理的な最大の位置、もしくはトレイが上下動可能な最大の位置によって設定する。
【0078】
レベルセンサS3について
図5に従って説明する。このセンサはトレイ上に積載された最上シートの高さ位置を検出する。このためユニットフレームにはセンサアーム58と、このアームをトレイ上から退避した位置(不図示)とトレイ上の検出位置(
図5の状態)との間で揺動する作動ソレノイドSLが設けられている。そしてセンサアーム58の角度位置をフラグ51とセンサS3で検出する。
このセンサS3は
図5に示すようにホームポジジョンセンサ(Hpセンサ)S3aとレベルセンサ(Lvセンサ)S3bで構成され、次の状態を検出するようになっている。
【0079】
LvセンサS3bがOFFでHpセンサS3aがONの時にはセンサアーム58はトレイ上方から
図5において時計方向に回転した待機位置(不図示)に位置している。
また、LvセンサS3bがONでHpセンサS3aがONのときにはトレイ上の紙面が所定の高さ位置に達し、トレイを降下させる位置にあることを検出する。
LvセンサS3bがONでHpセンサS3aがOFFのときにはトレイ上の紙面が所定の高さに達していない状態でトレイを上昇させるべき位置にあることを検知する。
またLvセンサS3bがOFFでHpセンサS3aがOFFのときには、トレイは未検出状態であり、トレイを上昇させる状態にあることを検出する。
【0080】
このようにセンサ配列で、図示の装置は後処理装置(前述のステップラユニット)の動作終了信号からシートをトレイ上に搬入される見込み時間の後、作動ソレノイドSLを作動してセンサアームを待機位置から作動位置に移動する。そしてトレイ上の最上シートと接触したセンサアームの角度位置をセンサS3で検知する。検知後このセンサアームは待機位置に復帰する。
この他、スタックトレイ40にはシートの有無を検出するエンプティセンサなどを取り付けることもある(図示の装置はこのエンプティセンサを必要としていない)。
【0081】
そこで後述する制御手段(制御CPU80)は、レベルセンサS3でスタックトレイ40が上昇位置(シートを搬入可能な所定の位置)にあるか否かを検出する。また下限センサS4でスタックトレイ40が満杯状態であるか否かを検出する。
これと共に後述する制御手段(CPU80)には、遅延時間設定手段が内蔵されている。この遅延時間設定手段は、予め装置設計時に設定されROM81に記憶されている。この遅延時間設定手段は第1の遅延時間T1と第2の遅延時間T2のタイマ時間を設定する。第1の遅延時間T1は高速駆動時の駆動時間であり、第2の遅延時間T2は低速駆動時の駆動時間である。
【0082】
上記各遅延時間は、スタックトレイ40が下限位置(下限センサS4=ON)から上昇を開始するまでの時間(下限センサS4=OFF)に設定する場合と、スタックトレイ40が下限位置から上昇位置に到達するまでの時間に設定するか、いずれかの方法で時間設定する。
前者の下限センサS4のON/OFFで時間設定すると、駆動モータの動作時間は短時間であるのでモータ故障時の発熱騒音を低減することができる。
また、後者の下限位置から上昇位置に正常に移動するトレイの動作時間を基準に時間設定すると、動作時間が比較的長いためトレイ上の異状(過積載、動作妨害)にオペレータが気づき易い特徴がある。いずれかの方法を採用すると良い。
【0083】
なお
図6中でxlineは、巻き上げモータM8を自起動状態(低速駆動)に維持したときオペレータが、例えばトレイ上のシートを取り外した場合の特性を示し、トレイは所定の上昇位置に移動する。また同図中でylineは巻上げモータM8を第2の高速回転で駆動するときトレイが過積載か動作妨害で緩慢に上昇する状態を示す。
【0084】
[シート積載動作]
上述のレベルセンサS3と下限センサS4でスタックトレイ40は順次積載されたシートの量に応じて下降し、最大積載量に達すると下限センサでこれを検出し、その後のシート積載を禁止する。このようにスタックトレイはレベルセンサS3でその高さ位置を検出しその検出量に応じてトレイを順次下方に繰り下げる動作を実行する。
このとき連続する動作の継続中にオペレータがトレイ上からシートを取り外したときにはトレイを逆に上昇させるように制御する。
【0085】
そこで、後述する制御手段は、(1)装置起動時にイニシャライズ動作として、スタックトレイを所定の上昇位置に移動する。この位置は予め設定してあり、例えば下限センサS4ONの状態から巻上げモータM8を所定量回転させてトレイを所定の位置に上昇させる。
次いで制御手段はレベルセンサS3を待機位置から検出位置に移動してトレイの高さ位置を検出する。
(2)スタックトレイでシートジャムが発生したとき、もしくは後処理ユニット内部でシートジャムなどの不具合が発生したときに、後述する制御手段は装置を停止する。この不具合が除去された後、制御手段は再稼働のためスタックトレイ40を初期位置(イニシャライズ位置)に移動する。
(3)トレイ満杯処置後の再起動装置の連続運転中にトレイが満杯となったときには、下限センサS4でこれを検出し装置を停止する。そしてオペレータにシート除去の信号を発信する。トレイ上のシートが除去など処置された後には、装置は再稼働のボタン操作などで再稼働指示信号が発せられると、制御手段は下限位置のスタックトレイ40を上昇位置に上昇させる。
【0086】
上述のようにスタックトレイを下限位置から上昇位置に移動するときトレイが下限位置に止まり所定の上昇位置に移動しないことがある。
その原因は
(1)駆動モータなど駆動機構の故障
(2)トレイ上に所定重量以上の重量物が乗せられたとき
(3)トレイ上に所定高さ以上のシートを乗せられたとき
(4)電源停止されたとき
などが考えられる。
この処置は例えばコントロールパネルに、サービスマンコールを表示するか、もしくはオペレータに処理を促す。通常制御装置は不具合が発生したときにその状態を自己判断してオペレータに処置を促すか、もしくはサービスマンコールで処置するかいずれか判断している。
【0087】
この場合、例えばトレイ上にシートが過積載(過剰な重さのシート積載)である時には、オペレータがトレイ上のシートを取り外すことによって処置が可能である。しかしその状態を自己判断できなければ、サービスマンコールとして処理するほかない。
【0088】
そこで本発明は、後述する制御手段を次のように構成している。トレイ昇降を司る制御CPU80のスタック制御部86は、巻上げモータM8のドライバ回路87に連結し、パルスモータで構成されたモータをPWM制御する。
【0089】
そこで制御CPU80のスタック制御部86は、巻き上げモータM8の駆動制御と同時にトレイセンサ(S3&S4)の状態信号に連結した判別回路(判別手段87)を備える。そしてこの巻き上げモータM8の制御と、判別回路で次の制御を段階的に行う。
【0090】
「第1ステップ制御」
制御CPU80は、下限センサS4がONのとき(トレイが下限位置の時)、巻き上げモータM8を「所定時間(T1)」高速度回転する。この回転速度は、トレイを上昇する通常の速度に設定するか、若しくは通常の巻上げ速度より高速度に設定する。
また、駆動時間T1は、通常動作でトレイが所定の上昇位置に達する見込み時間(又は下限センサS4がON状態からOFF状態に変化するまでの時間)に設定する。つまり、トレイに異常がない状態で予め設計された最適速度でトレイを上昇させるようにモータを制御する。
【0091】
所定時間T1が経過したとき、判断手段87は「下限センサON/OFF」を状態検出する。センサOFFのときは正常動作と見做し、センサONのときには第2ステップ制御に移行する。
【0092】
「第2ステップ制御」
制御CPU80は、第1ステップの動作後に下限センサS4がONのときには、巻き上げモータM8を「所定時間T2」低速度回転する。この回転速度は、モータに異音発熱などの異常が発生しない程度、或いは昇降機構に故障が発生しない程度に加減した速度に設定する。
【0093】
所定時間T2が経過したとき、判断手段87は「下限センサON/OFF」を状態検出する。センサONのときには「装置異常」と判断する。
【0094】
図6に第1第2ステップの速度制御を一例として示す。同図(a)は、高速度回転で時間T1が経過するまでモータM8を回転駆動する。この時間T1はトレイが正常状態で所定の上昇位置に達する時間に設定(前述と同様に下限位置センサが状態変化する時間に設定しても良い)してある。このときトレイが下限位置(S4;ON)のときには、「故障」か「過積載」か「動作妨害」かいずれかの原因が予想される。
【0095】
判断手段87はコントロールパネルなどの表示手段に「トレイ上のシート除去」を促す。これは表示或いは警報音などでオペレータに知らせる。これとともに制御手段80は巻き上げモータM8に「低速回転」で駆動する駆動電源を供給する。
この低速回転は、
図6(a)にしめす形態では「自起動状態」であり、(b)にしめす形態では低速度回転で、例えば先の高速度回転が400rpmのとき、低速度回転は150rpmなど、装置の安全性と、異音発生の状態などから設定する。
この時間T2は設定した低速回転で正常状態のトレイが下限位置から上昇位置に移動する見込み時間(又は下限位置センサが状態変化する見込み時間)に設定してある。
【0096】
次に判断手段87は「低速回転」でT2時間が経過すると、下限センサの状態で判別する。下限センサS4が「ON」のときには、「駆動装置故障」と判断する。またこのセンサS4がONでないとき(OFFでトレイが上昇しているとき)には次の第3ステップに移行する。
【0097】
[第3ステップ制御]
判断手段87は(少なくとも駆動系が故障していないと判断している)巻き上げモータM8を高速度回転する。この回転速度は、先の第2ステップの速度より高速に設定する。図示のものは第1ステップの速度と同一に設定してある。駆動時間T3は、設定した速度に応じて設定するが、装置異常が発生しない程度に長い時間に設定する。
【0098】
設定時間T3が経過すると、判断手段87はレベルセンサS3が「ON」であれば正常と判断し、「OFF」であれば「過積載」と判断し、何れの場合もモータM8を停止する。そして、トレイ上へのシート集積が可能として、後続する他動作に移行する。
【0099】
次に
図9、
図10のフローチャートに従ってイニシャライズ動作の手順を説明する。装置電源をオンする(St01)。制御手段80は下限センサS4の状態を判断する(St03)。「ON」の時にはレベルセンサS3がONであれば正常と判断してイニシャライズ動作を終了する(St04)。また、レベルセンサOFFのときと下限センサONのときには制御手段80はROMから速度データと時間データを呼び出し(St05)、巻上げモータM8を回転駆動する。
【0100】
第1次制御動作:制御手段80は、ROM81から呼び出したデータに従って巻上げモータM8を「高速回転」する(St06)。第1設定時間T1が経過すると下限センサS4がONのときには第2次制御動作に移行する。T1時間経過したとき下限センサS4がOFFのときにはレベルセンサS3の状態を見てONであれば「正常動作」としてイニシャライズ動作を終了する(St012)。
【0101】
第2次制御動作:制御手段80は巻き上げモータM8を低速回転する(St10)。そして第2設定時間T2が経過する(St13)。このとき下限センサONなら駆動系故障と判断し、モータ停止する。
【0102】
また、T2時間経過時に下限センサがOFFでレベルセンサONなら「正常動作と判断」(St17)してモータを停止しイニシャライズ動作を終了する。
【0103】
またT2時間経過時に下限センサがOFFでレベルセンサOFFなら「装置故障ではない」と判断する(St18)。そして制御手段80は巻き上げモータM8を高速回転する(St19)。予め設定した第3設定時間T3が経過(St20)する。このときレベルセンサON(St21)なら「正常」と判断する(St22)。レベルセンサOFFなら「過積載」と判断(St23)し、モータ停止(St24)してイニシャライズ動作を終了する(St25)。
【0104】
[制御構成]
図2に示す画像形成システムの制御構成について
図8に従って説明する。画像形成装置Aには制御CPU70が設けられ、この制御CPU70には動作プログラムを記憶したROM71と、制御データを記憶したRAM72が接続されている。そして制御CPU70には給紙制御部73と画像形成制御部74と、排紙制御部75が設けられている。
これ共に制御CPU70には表示手段77と、入力手段76を備えたコントロールパネル78が接続されている。
【0105】
また、上記制御CPU70は、「プリントアウトモード」と「後処理モード」を選定するように構成されている。「プリントアウトモード」は画像形成したシートを仕上げ処理することなくスタックトレイ40に収納する。
また「後処理モード」は画像形成したシートを部揃え集積し、綴じ処理した後にスタックトレイ40に収納する。本発明に係わるシート収納装置Bはこの後処理装置Cに内蔵されている。
【0106】
後処理装置Cには、後処理制御CPU80が設けられ、制御プログラムを記憶したROM81と制御データを記憶したRAM82が接続されている。そしてこの制御CPU80には画像形成装置Aの制御部からシートサイズ情報と、排紙指示信号と、後処理モードとプリントアウトモードのモード設定コマンドが転送される。
【0107】
制御CPU80は、画像形成されたシートに穿孔処理を施すパンチ制御部83と、処理トレイ35にシートを部揃え集積する集積動作制御部84と、綴じ処理制御部85と、スタック制御部86が設けられている。
【0108】
[動作説明]
上述の画像形成装置Aの制御CPU70はROM71に記憶された画像形成プログラムに従って以下の画像形成動作を実行する。同様に上述の後処理装置Cの制御CPU80はROM81に記憶された後処理プログラムに従って以下の後処理動作を実行する。
【0109】
「画像形成動作」
制御CPU70は、「片面印刷モード」が選択されたときには設定されたサイズのシートを給紙カセット11から操出し、レジストローラ16に給送する。これと前後して制御CPU70は転写ベルト21に所定の画像データに従って画像を形成する。
この画像データは図示しないデータ記憶部に記憶されているか、若しくは画像装置Aに連結された外部装置から転送される。
【0110】
そこで制御CPU70は転写ベルト21に形成したトナー画像をレジストローラ16から送られたシートに転写部15で転写し、その下流側の定着器24で定着する。その後、制御CPU70は画像形成したシートを排紙経路22に送り、後述の後処理装置Cに転送する。
【0111】
また、制御CPU70は、「両面印刷モード」が選択されたときには、上述の動作を実行してシートの片面に画像形成して排紙経路22に送る。このとき制御CPU70は後処理装置Cに次の動作を実行させる。
後処理装置Cの制御CPU80は、排紙経路22にシート先端が到達したセンサの検出信号で排紙経路22に送られたシートは、排紙経路22からシート搬出経路29に送られる。
【0112】
この経路切換え制御と同時に制御CPU80はシート先端が搬出経路29から処理トレイ35に搬入されると反転ローラ36を待機位置から作動位置に移動し、同時にこのローラを回転する。すると処理トレイ35に搬入されたシートは反転ローラ36の回転で処理トレイ34に沿って下流側に送られる。
【0113】
次に制御CPU80はセンサS1でシート後端を検出するとこのシート後端がガイドフラッパを通過したタイミングで、搬出経路29の排紙ローラ31を逆回転する。するとシートは搬送方向を反転し、排紙経路22に後退移動(スイッチバック移動)する。このスイッチバック移動でシートは反転経路50に送られる。
【0114】
そこで画像形成装置Aの制御CPU70は反転経路50に送られたシートを、この経路で表裏反転させてレジストローラ16に送る。これと前後して制御CPU70は裏面画像を転写ベルト21に形成し、転写部20でシートの裏面に画像形成して、排紙経路22に搬出する。