特許第5844610号(P5844610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5844610
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/84 20060101AFI20151224BHJP
   C03C 19/00 20060101ALI20151224BHJP
   C03B 33/023 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   G11B5/84 A
   C03C19/00 Z
   C03B33/023
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-240822(P2011-240822)
(22)【出願日】2011年11月2日
(65)【公開番号】特開2012-113802(P2012-113802A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2010-246544(P2010-246544)
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 武良
(72)【発明者】
【氏名】植田 政明
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−217918(JP,A)
【文献】 特開2010−030807(JP,A)
【文献】 特開平10−334461(JP,A)
【文献】 米国特許第04911253(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/84
C03B 33/023
C03C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状ガラスが積層された積層体を準備する積層体準備工程と、
大径の円筒状の外周研削砥石と小径の円筒状の内周研削砥石とが同軸に配置される一体型コアドリルを軸を中心に回転させると共に、前記外周研削砥石と前記板状ガラスとが接触してなる外周研削面及び前記内周研削砥石と前記板状ガラスとが接触してなる内周研削面に研削液を供給させつつ、前記積層体の積層方向に移動させることで、前記積層体を研削加工する研削工程と、を有し、
前記研削液が前記外周研削面に引き込まれるべく、前記コアドリルの回転方向と、前記外周研削面に対する研削液の供給方向とを調整し、
前記外周研削面に対する研削液の供給方向は、前記研削液を供給するノズルから前記外周研削面上の点へ向かうベクトルの方向であって、平面視で見て前記点における前記コアドリルの速度ベクトルとのなす角度が0〜15度の範囲内であり、
前記ベクトルは、前記積層体の積層方向下向きの成分を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
複数の板状ガラスが積層された積層体を準備する積層体準備工程と、
大径の円筒状の外周研削砥石と小径の円筒状の内周研削砥石とが同軸に配置される一体型コアドリルを軸を中心に回転させると共に、前記外周研削砥石と前記板状ガラスとが接触してなる外周研削面及び前記内周研削砥石と前記板状ガラスとが接触してなる内周研削面に研削液を供給させつつ、前記積層体の積層方向に移動させることで、前記積層体を研削加工する研削工程と、を有し、
前記研削液が前記外周研削面に引き込まれるべく、前記コアドリルの回転方向と、前記外周研削面に対する研削液の供給方向とを調整し、
前記外周研削面に対する研削液の供給方向は、前記研削液を供給するノズルから前記外周研削面へ向かう接線方向のベクトルの方向であって、前記ベクトルは、前記コアドリルの回転方向に向かうベクトルと、前記積層体の積層方向下向きのベクトルと、を合わせたものであることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記研削工程において、前記外周研削砥石の全周に亘って実質的に均等に配置された複数本のノズルを用いて、前記外周研削面に前記研削液を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記研削工程において、前記外周研削砥石に向けて配置された1又は複数本のノズルを前記外周研削砥石の回転軸と同軸回りに回転させつつ、前記ノズルから前記外周研削面に前記研削液を供給することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
外周の真円度が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性を前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッド(DFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板として、金属基板(アルミニウム基板)等に比べて塑性変形し難い性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられる。
【0003】
また、ハードディスク装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。例えば、磁性層における磁化方向を基板の面に対して垂直方向にする垂直磁気記録方式を用いて、磁気記録情報エリアの微細化が行われている。これにより、1枚のディスク基板における記憶容量を増大させることができる。さらに、記憶容量の一層の増大化のために、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くすることにより、情報の記録再生の精度をより高める(S/N比を向上させる)ことも行われている。このような磁気ディスクの基板においては、磁性層の磁化方向が基板面に対して略垂直方向に向くように、磁性層が平らに形成される。このために、磁気ディスクの基板の表面凹凸は可能な限り小さく作製されている。
【0004】
磁気ディスク用ガラス基板を作製する工程には、例えば、板状ガラスを円環状に成形するコアリング工程と、円環状の板状ガラスの内周端面と外周端面の面取りを行うチャンファリング工程と、内周端面と外周端面の鏡面仕上げを行うエッジポリッシング工程とが含まれる。
従来、コアリング工程においては、一枚一枚個別に行なっていたが(枚葉式加工)、複数の板状ガラスを同時に研削加工することで複数の円環状の板状ガラスを一度に作製し、これにより製造のタクトタイムを短縮するようにした加工方法が知られている(特許文献1)。この従来の方法によれば、板状ガラスの積層体に対して、内径円筒刃と外径円筒刃とが同軸に一体的に構成されたコアリングカッターを回転させつつ積層体の積層方向に移動させることによって、積層体の内周面及び外周面を加工する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−283651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、磁気ディスク用ガラス基板の内孔の真円度の更なる向上に対する要請が高まっているが、これは以下の理由による。
上述したように、ハードディスク装置用の磁気ディスクでは、垂直磁気記録方式を用いた磁気記録情報エリアの微細化が行われており、1ビットの記録に用いる領域(磁区)の幅が極めて狭く、また磁気ディスクの内孔から外縁に向けて同心円状に形成されている複数のトラック(記憶領域)の幅も極めて狭くなってきている。そのため、ハードディスク装置内で磁気ディスクの内孔がスピンドルに取り付けられたときに内孔とスピンドルの間の遊びが大きいと、隣接するトラック間で読み取り誤り(いわゆるTMR:Track Miss-Read)が生ずる虞がある。よって、磁気ディスク用ガラス基板の内孔の真円度として、例えば2μm以下という高い精度が求められてきている。
【0007】
その一方で、磁気ディスク用ガラス基板の内孔の真円度として、例えば2μm以下という高い精度の真円度を実現するためには、コアリング工程(研削工程)において高精度で研削加工を行うことが必要であるが、これは以下の理由による。
すなわち、コアリング工程において成形された内孔の真円度が良好でない場合には、後のチャンファリング工程において例えば研削砥石の砥粒を粗いものにする等して取り代を大きくしなければならないが、チャンファリング工程での取り代を大きくすると内周端面にクラックが入りやすい。そこで、チャンファリング工程において内周端面の取り代を小さくしてクラックを極力生じさせないようにするため、その前工程であるコアリング工程において高精度で研削加工を行うことが求められているのである。なお、チャンファリング工程においては、総型砥石を用いた端部形状加工、すなわち、端面および面取り面の研削を同時に行うことで、内径・外径の寸法あわせと面取り面の形成を行うことが一般的に知られている。
【0008】
ここで、ハードディスクが組み込まれた機器を落下させると、磁気ディスクが内周部から破壊されやすいということが明らかになってきており、内周部のクラックをできるだけ存在させないことにより一定の強度を保つ必要がある。
また、上述した磁気ディスク用ガラス基板に対するクラックの低減は、ハードディスク装置の落下試験における強度を所要の強度を確保することだけでなく、磁気ディスクのより一層の高密度記録化を図る近年の以下の技術からも要請されている。
【0009】
すなわち、近年、磁気ディスクのより一層の高密度記録化を図ることを目的として、Fe−Pt系、Co−Pt系等の磁気異方性エネルギーが高い磁性材料(高Ku磁性材料)を使用することが検討されている。高密度記録化のために磁性粒子の粒径を小さくする必要があるが、一方で、粒径が小さくなると、熱揺らぎによる磁気特性の劣化が問題となる。高Ku磁性材料は熱揺らぎの影響を受けにくいため、高密度記録化に寄与すると期待されている。
しかし上記高Ku磁性材料は、高Kuを実現するために特定の結晶配向状態を得る必要があり、そのため、高温での成膜、あるいは成膜後に高温で熱処理を行う必要がある。そこで、これらの高Ku磁性材料からなる磁気記録層を形成するためには、ガラス基板には上記高温処理に耐え得る高い耐熱性、即ち高いガラス転移温度(例えば摂氏600〜700度)を有することが求められる。ここで、ガラス基板の端面にクラックが生じていた場合には、上記熱処理の過程でクラックが進行し、目標とする強度を確保できない可能性がある。そこで、高Ku磁性材料を使用して高密度記録化を図ることの前提として、従来よりも一層のクラックの低減が求められている。
【0010】
磁気ディスク用ガラス基板に対するクラックの低減のために、高精度でコアリング工程を行うことが求められているのは上述したとおりである。ここで、上記特許文献1に開示されている研削装置では、外周研削面に研削液(クーラント)が均一に供給されにくい。そのため、研削面においてクーラントが供給されやすい部分とクーラントが供給されにくい部分とで、研削抵抗及びガラススラッジの排出度合いが不均一になることで積層体の外周研削面の研削度合いが不均一となり、加工後の円環状ガラスの外周研削面の真円度が低下する。
【0011】
なお、以下の説明において、外周研削面とは、研削刃によって研削中あるいは研削済み(加工後)の円筒状の板状ガラスの積層体の外周側の面、もしくは積層体を形成する個々の円環状ガラスの外周側の面を意味する。内周研削面とは、研削刃によって研削中あるいは研削済み(加工後)の円筒状の板状ガラスの積層体の内周側の面、もしくは積層体を形成する個々の円環状ガラスの内周側の面を意味する。
以下の説明において、コアドリル(コアリングカッター)の外周研削面とは、コアドリルの外周面、つまりコアドリルの円筒状の外周研削砥石の外側の面を意味する。仮に外周研削砥石の厚みがないとすれば、コアドリルの外周研削面と積層体の外周研削面とは同一面になるが、実際には、コアドリルの外周研削面は、コアドリルの外周研削砥石の厚み(例えば、1〜10mm程度)の分だけ、積層体の外周研削面よりも外側に位置することになる。
以下の説明において、外周研削面の真円度、あるいは外周研削面と内周研削面との同心度について言及しているときには、積層体、あるいは積層体を構成する個々の板状ガラスの外周研削面について言及しているものとする。
【0012】
板状ガラスの積層体に対して、内周研削砥石(内径円筒刃)と外周研削砥石(外径円筒刃)とが同軸に一体的に構成されたコアドリルを回転させつつ積層体の積層方向に移動させる場合、コアドリルが積層体の積層方向に進行するに伴って、研削位置(コアドリルの先端)への研削液の供給が不足し、加工精度が悪化しやすい。これは、研削液の供給位置と研削位置の距離が離れてしまうこと、及び、研削液の供給路(コアドリルの刃と積層体の研削面との間の領域)が狭いことによるものであり、上記距離が離れるほど板状ガラスの真円度が悪化する傾向がある。
【0013】
コアリング工程における研削加工後の板状ガラスの外周研削面の真円度が良好でない場合、その内周研削面との同心度を向上させづらくなる。加工後の板状ガラスの外周研削面の真円度が良好でない場合、外周研削面と内周研削面との同心度の精度を高めつつ、外周研削面の真円度を向上させるため、後のチャンファリング工程において積層体または個々の円環状ガラスの内外周研削面の取り代を大きくしなければならない。特に、チャンファリング工程で内周研削面の取り代を大きくすると内周端面にクラックが入りやすい。そこで、チャンファリング工程における取り代を小さくしてクラックを極力生じさせないようにするため、その前工程であるコアリング工程において高精度で研削加工を行うことが求められる。また、近年ハードディスクにおける磁気ディスクの回転速度が高回転となる中、外周研削面の真円度が良好でない場合、フラッタリングが発生するという問題もある。
【0014】
そこで、本発明は、複数の板状ガラスが積層された積層体から複数の磁気ディスク用ガラス基板を作製するときに、外周研削面の真円度を所要のレベルまで向上させることを可能とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、複数の板状ガラスが積層された積層体を準備する積層体準備工程と、大径の円筒状の外周研削砥石と小径の円筒状の内周研削砥石とが同軸に配置される一体型コアドリルを軸を中心に回転させると共に、前記外周研削砥石と前記板状ガラスとが接触してなる外周研削面及び前記内周研削砥石と前記板状ガラスとが接触してなる内周研削面に研削液を供給させつつ、前記積層体の積層方向に移動させることで、前記積層体を研削加工する研削工程と、を有し、前記研削液が前記外周研削面に引き込まれるべく、前記コアドリルの回転方向と、前記外周研削面に対する研削液の供給方向とを調整することを特徴とする。
【0016】
上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記外周研削面に対する研削液の供給方向は、前記研削液を供給するノズルから前記外周研削面上の点へ向かうベクトルの方向であって、平面視で見て前記点における前記コアドリルの速度ベクトルとのなす角度が0〜15度の範囲内であり、前記ベクトルは、前記積層体の積層方向下向きの成分を有することが好ましい。
【0017】
また、前記外周研削面に対する研削液の供給方向は、前記研削液を供給するノズルから前記外周研削面へ向かう接線方向のベクトルの方向であって、前記ベクトルは、前記コアドリルの回転方向に向かうベクトルと、前記積層体の積層方向下向きのベクトルと、を合わせたものであることが好ましい。
【0018】
また、前記研削工程において、前記外周研削砥石の全周に亘って実質的に均等に配置された複数本のノズルを用いて、前記外周研削面に前記研削液を供給することが好ましい。
【0019】
また、前記研削工程において、前記外周研削砥石に向けて配置された1又は複数本のノズルを前記外周研削砥石の回転軸と同軸回りに回転させつつ、前記ノズルから前記外周研削面に前記研削液を供給することが好ましい。
【0020】
また、外周の真円度が5μm以下であることが好ましい。さらに、2μm以下であるとより好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、複数の板状ガラスが積層された積層体から複数の磁気ディスク用ガラス基板を作成するときに、外周研削面の真円度を所要のレベルまで向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】複数の板状ガラスと接着剤が積層された積層体の断面の一例を示す図である。
図2】実施形態のコアリング工程において板状ガラスの積層体を研削加工するときの研削装置の一例を示す図である。
図3】実施形態のコアリング工程で使用される一体型コアドリルの一例の断面図である。
図4】積層方向に直交する面内におけるクーラントの供給方向を示す図である。
図5】平面視で見たクーラントの供給についての目標位置を説明する図である。
図6】変形例のコアリング工程において板状ガラスの積層体を研削加工するときの研削装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
【0024】
[磁気ディスク用ガラス基板]
本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
【0025】
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の組成を限定するものではないが、好ましいガラス基板の組成は以下のとおりである。
例えば、本実施形態のガラス基板は好ましくは、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を主成分として含むガラスである。
【0026】
本実施形態のガラス基板は特に好ましくは、SiO:62〜75重量%、Al:5〜15重量%、LiO:4〜10重量%、NaO:4〜12重量%、ZrO:5.5〜15重量%を主成分として含有するとともに、NaO/ZrOの重量比が0.5〜2.0、Al/ZrOの重量比が0.4〜2.5であるアルミノシリケートガラスである。
【0027】
また、別の好適なガラスとしては、重量%で表して、SiO:61〜70%、Al:9〜18%、LiO:2〜3.9%、NaO:6〜13%、KO:0〜5%、RO:10〜16%、(ただし、RO=LiO+NaO+KO)、MgO:0〜3.5%、CaO:1〜7%、SrO:0〜2%、BaO:0〜2%、RO:2〜10%、(ただし、RO=MgO+CaO+SrO+BaO)、TiO:0〜2%、CeO:0〜2%、Fe:0〜2%、MnO:0〜1%、TiO+CeO+Fe+MnO=0.01〜3%を含有するアルミノシリケートガラスを挙げることができる。
【0028】
本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板は、円環状の薄板のガラス基板である。磁気ディスク用ガラス基板のサイズは問わないが、例えば、公称直径2.5インチ、あるいは更に小径(例えば1インチ)の磁気ディスク用ガラス基板として好適である。
【0029】
[磁気ディスク用ガラス基板の製造方法]
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について、工程毎に説明する。ただし、各工程の順番は適宜入れ替えてもよい。
【0030】
(1)フロート法による板状ガラスの成形およびラッピング工程
フロート法による板状ガラスの成形工程では、錫などの溶融金属の満たされた浴槽内に、例えば上述した組成の溶融ガラスを連続的に流し入れることで板状ガラスを得る。溶融ガラスは厳密な温度操作が施された浴槽内で進行方向に沿って流れ、最終的に所望の厚さ、幅に調整された板状ガラスが形成される。この板状ガラスから、磁気ディスク用ガラス基板の元となる所定形状の板状ガラスが切り出される。浴槽内の溶融錫の表面は水平であるために、フロート法により得られる板状ガラスは、その表面の平坦度が十分に高いものとなる。上記方法により得られる板状ガラスの厚さは、0.6〜1.4mmであり、その表面粗さRa(算術平均粗さ)が0.01μm以下である。
なお、板状ガラスは、フロート法に限らず、プレス成形、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。
【0031】
次に、所定形状に切り出された板状ガラスの両主表面に対して、必要に応じて、アルミナ系遊離砥粒を用いたラッピング加工を行う。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液(スラリー)を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行う。なお、フロート法で板状ガラスを成形した場合には、成形後の主表面の粗さの精度が高いため、このラッピング加工を省略してもよい。
【0032】
(2)積層体準備工程
(1)の工程で切り出された板状ガラスは、例えば、目標とする磁気ディスク用ガラス基板のサイズよりも少し大きい所定の矩形形状(例えば、正方形)の板状ガラスである。例えば、2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板を作製する場合には、75mm×75mmの矩形形状の板状ガラスが切り出される。
【0033】
積層体準備工程では、2枚の板状ガラスの間に接着剤及び/またはスペーサを順次塗布または貼付することによって、複数の板状ガラスが積層された積層体を準備する。この積層体は、複数の板状ガラスを後述するコアリング工程にて一体的に加工するために作製される。また、この積層体は、コアリング工程後に行われるチャンファリング工程、エッジポリッシング工程においても一体的に加工してもよい。
【0034】
ここで、図1を参照して、本実施形態の積層体の構成を説明する。図1は、本実施形態の積層体の一例を示す断面図である。図1に示されるように、本実施形態の積層体5は、複数の板状ガラス5aと接着剤5bとが交互に積層されて構成される。積層体5は、板状ガラス5a同士の間に接着剤5bを塗布または貼付して作製される。
【0035】
接着剤5bは、板状ガラス5a同士を接着または分離可能であれば如何なるものでも構わない。例えば、紫外線硬化樹脂は、所定の波長の紫外線の照射で容易に固化するため接着作業が容易である。また、紫外線硬化樹脂として、温水あるいは有機溶媒により接着した板状ガラスを容易に剥離させることができるものが好ましい。接着剤としては紫外線硬化樹脂のほか、ワックス、光硬化樹脂、可視光線硬化樹脂等も使用しうる。ワックスは、所定の温度で軟化して液状になり常温で固形状となるので、接着・分離作業が容易である。
接着剤の代わりにスペーサを貼付する場合には、樹脂材料、繊維材料、ゴム材料、金属材料、セラミック材料の薄厚のスペーサを使用しうる。接着剤またはスペーサの厚さは、例えば0.01〜2mm程度である。
【0036】
(3)コアリング工程
コアリング工程は、複数の板状ガラスが積層された積層体5を一体型コアドリルを用いて研削加工して、内孔が形成された円環状板状ガラスの積層体とする工程である。以下、図2および図3を参照して本実施形態のコアリング工程(研削工程)について説明する。図2は、本実施形態のコアリング工程において、積層体5を研削加工するときの研削装置を示す図である。図3は、本実施形態のコアリング工程で使用される一体型コアドリルの断面を示す図である。
【0037】
図2に示されるように、研削装置は、主装置10と、シャフト12と、クーラント供給ホース15と、一体型コアドリル20と、を備える。主装置10は、一体型コアドリル20を駆動する。また、主装置10は、一体型コアドリル20の内部にクーラントを供給する。
一体型コアドリル20は全体として実質的に円筒形である。一体型コアドリル20は、例えば高剛性のステンレス材料のシャフト12に支持されている。円筒形のシャフト12は主装置10に対して自転可能に支持されており、主装置10内のスピンドルモータ(図示せず)によって所望の回転数で回転駆動される。
【0038】
シャフト12と一体型コアドリル20は同心であり、シャフト12の自転運動によって一体型コアドリル20は、軸心ブレがほとんど無い状態で高速回転することが可能である。そのため、積層体5を、内孔を備えた円環状板状ガラスの積層体に高精度に研削加工することができるとともに、一体型コアドリル20の先端が積層体5の表面に当接する加工初期段階において積層体5の表面のガラスが破損することがない。
【0039】
図2に示されるように、載置台30に載置された積層体5の上方に、一体型コアドリル20が配置される。なお、図示していないが、載置台30は、研削加工中において積層体5が載置台30の載置面上で横方向に変位することが無いように、積層体5に対するストッパを設けておくことが好ましい。
本実施形態の研削装置は、図示しないサーボ機構によって主装置10を昇降させることが可能であり、これにより、一体型コアドリル20、シャフト12、クーラント供給ホース15を一体的に昇降させることが可能となっている。
【0040】
ここで、図3に示されるように、一体型コアドリル20は、大径の円筒状の外周研削砥石20aと、小径の円筒状の内周研削砥石20bとが同軸に配置されている。
また、図2に示されるように、積層体5を載置する載置台30には、外周研削砥石逃がし用溝30aと内周研削砥石逃がし用溝30bとが設けられている。外周研削砥石逃がし用溝30a、内周研削砥石逃がし用溝30bは、一体型コアドリル20の外周研削砥石20a、内周研削砥石20bが載置台30の載置面に衝突することを防止するための溝である。
【0041】
また、図2に示されるように、シャフト12の内部にはクーラント供給管17が設置されている。クーラント供給管17の先端のノズル17aにより、一体型コアドリル20の内周研削砥石20bと積層体5とが接触してなる内周研削面にクーラントが供給される。
【0042】
また、図2に示されるように、主装置10には複数のクーラント供給ホース15が取り付けられている。図2に示される例では、主装置10が2本のクーラント供給ホース15a、15bを備える例について説明するが、クーラント供給ホース15の本数はこれに限定されるものではない。クーラント供給ホース15の本数は2本でもよいが、円筒状の一体型コアドリル20の外縁に沿って3本以上の任意の本数のクーラント供給ホース15を設けることが好ましい。
なお、複数のクーラント供給ホース15は、外周研削砥石20aの全周に亘って実質的に均等に配置されることが好ましい。
【0043】
各クーラント供給ホース15は可撓性ホースである。また、各クーラント供給ホース15の先端のノズル16は、一体型コアドリル20の外周研削砥石20aと積層体5とが接触してなる一体型コアドリル20の外周研削面にクーラントが引き込まれるように、所定の方向からクーラントを供給できる位置に予め調整されている。
クーラントは、径、速度(流速)、及び指向性が適切に調整された噴出流あるいはジェットとして供給することが好ましい。こうすることで、クーラントを供給する位置(クーラントとコアドリルとが接触する位置)を制御することや、一体型コアドリル20及び/又はクーラント供給ホースが運動している場合に、クーラントと、外周研削砥石20a及び/又は積層体との間の相対速度を制御することが可能となる。
【0044】
ここで、図2および図4を参照して、一体型コアドリル20の外周研削面に対するクーラントの供給方向について説明する。図4は、積層方向に直交する面内におけるクーラントの供給方向を概念的に示す図である。
図4に示されるように、積層体5の積層方向に直交する面内において、ノズル16から、一体型コアドリル20の外周研削面32へ向かう接線方向のベクトルであって、一体型コアドリル20の回転方向に向かうベクトルの方向に、クーラントが供給される。具体的には、ノズル16aから外周研削面32へ向かう接線方向のベクトルは、図4に示されるベクトルaとベクトルa’の2つのベクトルがあるが、このうち一体型コアドリル20の回転方向に向かうベクトルaの方向に、ノズル16aからクーラントが供給される。同様に、ベクトルbの方向にノズル16bからクーラントが供給される。
【0045】
また、図2に示されるように、積層体5の積層方向において、一体型コアドリル20が移動する方向(図2の下方向)に、ノズル16からクーラントが供給される。具体的には、図2に示されるベクトルzの成分を含む方向に、ノズル16aからクーラントが供給される。ノズル16bについても同様である。
【0046】
なお、図2に示される研削装置では、外周研削面および内周研削面に対して供給されるクーラントを貯蔵するためのタンク、および当該タンクからクーラントを吐出してクーラント供給ホース15およびクーラント供給管17へ導くためのポンプおよび配管については、図示を省略している。
また、上記説明では、ノズル16からのクーラントの供給方向を、一体型コアドリル20の外周研削面32へ向かう接線方向のベクトルの方向としたが、一体型コアドリル20の外周研削砥石20aの厚さは積層体の径と比して小さいため、積層体の外周研削面へ向かう接線方向のベクトルの方向と考えてもよい。
【0047】
本実施形態のコアリング工程では、図2に示される研削装置を用いて以下のとおり積層体5に対する研削加工が行われる。
先ず図2に示されるように、載置台30に載置された積層体5の上方に、一体型コアドリル20を配置する。次に、主装置10を下降させつつ、シャフト12を回転させる。シャフト12の回転速度は、例えば1500〜15000rpm程度である。これにより、一体型コアドリル20を、シャフト12の中心軸回りに回転させつつ、積層体5の積層方向に(つまり、下方に)移動させる。
【0048】
一体型コアドリル20の下降は、一体型コアドリル20が載置台30の外周研削砥石逃がし用溝30aおよび内周研削砥石逃がし用溝30bに当接するまで行われる。一体型コアドリル20による積層体5の研削加工中には、クーラント供給ホース15のノズル16、およびクーラント供給管17のノズル17aからクーラントを供給する。
【0049】
一体型コアドリル20による積層体5の研削加工中において、外周研削面と内周研削面にクーラントを十分に浸透させるため、一定量加工が進行する度に少し(例えば数100μm程度)一体型コアドリル20を上昇させてクーラントを積層体5の研削面(特に内周研削面)に引き込み、再度加工を進行させてもよい。また、研削加工効率を上げるために、研削加工中において一体型コアドリル20を上下方向に超音波振動子(図示せず)により微振動させることが好ましい。超音波振動の一例としては、周波数が20kHz、振幅が5〜7μm程度である。
【0050】
ここで、本実施形態の一体型コアドリル20の外周研削砥石20aおよび内周研削砥石20bについてさらに説明する。
外周研削砥石20aおよび内周研削砥石20bは、例えば、砥粒としてダイヤモンド、結合材として青銅または鋳鉄を含むメタルボンド砥石であるが、これに限られない。メタルボンド砥石に限らず、樹脂を基礎とした結合材を含むレジンボンド砥石、セラミックス質(ガラス質)の結合材を含むビドリファイドボンド砥石、電解めっきを利用した電着ボンド砥石でもよい。外周研削砥石20aの先端の厚さは1〜10mmであり、内周研削砥石20bの先端の厚さは1〜10mmである。
【0051】
本実施形態の一体型コアドリル20において、内周研削砥石20bの番手は、外周研削砥石20aの番手と実質的に同一か、あるいはそれよりも大きく設定することが好ましい。なお、内周研削砥石20bの番手は、外周研削砥石20aの番手よりも大きく設定するとなお好ましい。つまり、内周研削砥石の砥粒は、外周研削砥石の砥粒と実質的に同一か、あるいはそれよりも細かくすることが好ましい。
内周研削砥石の番手の範囲は、その下限値が磁気ディスク用ガラス基板の内孔の真円度の要求仕様に基づいて決定され、その上限値が加工時間(加工のタクトタイム)によって決定される。例えば、磁気ディスク用ガラス基板の内孔の真円度として、2μm以下という高い精度の真円度を実現するためには、コアリング工程において上記真円度に極力近付けた表面粗さにしておくことが必要である。後のチャンファリング工程において内周端面の取り代を小さくしてクラックを極力生じさせないようにするためである。かかる観点から内周研削砥石の番手は150以上とすることが好ましい。また、コアリング工程全体の加工時間の制約から内周研削砥石の番手は800以下とすることが好ましい。
なお、内周研削砥石の砥粒を細かくすることによって積層体5の内周研削面の方が外周研削面よりも研削抵抗が大きくなるが、内周研削面は加工長が短いため研削抵抗の増大は問題となるレベルにはならない。
【0052】
一方、外周研削砥石の番手の範囲は、全体的に内周研削砥石よりも砥粒が粗いものでよいが、磁気ディスク用ガラス基板として内周と外周の目標となる同心度(例えば、5μm以下)を実現するため、120以上とすることが好ましい。また、外周研削面は加工長が長いため研削抵抗の増大によって研削加工に支障を来たさないように、外周研削砥石の番手は600以下とすることが好ましい。
【0053】
本実施形態の一体型コアドリル20では、内周研削砥石20bの先端が、外周研削砥石20aの先端より突出していることが好ましい。これにより、外周部よりも内周部を先に加工することとなり、加工軸が安定しやすくなる。その結果、加工後の積層体を構成する個々の板状ガラスの外周研削面の真円度を小さくしやすくなるため、板状ガラスの外周研削面と内周研削面との同心度をも小さくしやすくなる。
【0054】
上述したように、本実施形態のコアリング工程では、回転する一体型コアドリル20の外周研削砥石20aと積層体との隙間に引き込まれるように、クーラントが供給される位置、クーラント流の流速及び径などを制御する。例えば、クーラントが外周研削面32に引き込まれるべく、一体型コアドリル20の回転方向と、外周研削面32に対するクーラントの供給方向とが調整される。より具体的には、クーラントを供給するノズル16から外周研削面32へ向かう接線方向のベクトルであって、一体型コアドリル20の回転方向に向かう積層方向と直交する面上のベクトルと、積層体5の積層方向下向きのベクトルと、を合わせたベクトルの方向に、ノズル16からクーラントが供給されることが好ましい。このとき、外周研削砥石の外側面(つまり、一体型コアドリル20の外周研削面)と積層体の最上面との接点の位置に向けてクーラントを供給する(つまり、クーラントを当てるようにする)ことが好ましい。
なお、上記説明では、ノズル16からのクーラントの供給方向を、一体型コアドリル20の外周研削面32へ向かう接線方向のベクトルの方向としたが、一体型コアドリル20の外周研削砥石20aの厚さは積層体の径と比して小さいため、積層体の外周研削面へ向かう接線方向のベクトルの方向と考えてもよい。
【0055】
なお、コアドリルの回転速度やクーラントの流速に応じて、クーラントを当てる狙いの位置(所定の径のクーラント流の中心が当たる位置;以下、「クーラントの目標位置」という。)を、1)前記接点より若干手前側(つまり、積層体の中心側)としたり、2)一体型コアドリル20とクーラント流との接触を維持させながら前記接点よりも若干上方にしたりするようにしてもよい。こうすることで、研削が進むにつれて一体型コアドリル20の外周研削砥石の先端が積層体の内部へ進行した場合においても、クーラントを外周研削砥石の先端に積極的に引き込むことが可能となり、研削によって生じるスラッジの排出及び研削部位の冷却をクーラントによって良好に維持し、加工後の積層体を構成する板状ガラスの外周研削面の真円度の悪化を防止することが可能となる。
【0056】
上記クーラントの目標位置に関し、さらに図5を参照して説明する。図5は、平面視で見たクーラントの供給についての目標位置を説明する図である。図5は、クーラントを供給するノズルの位置と、コアドリルの外周研削面32(コアドリルの外周面;平面視では円)とを示してある。図5において、ノズルからコアドリルの外周研削面32上の点(クーラントの目標位置)を結ぶ線と、その点におけるコアドリルの外周研削面32の円の接線とがなす角度をα度とする。換言すると、平面視で見て、ノズルからコアドリルの外周研削面上の点(クーラントの目標位置)へ向かうベクトルと、その点におけるコアドリルの速度ベクトルとのなす角度がα度である。例えば、ノズルからコアドリルの外周研削面32に接する方向にクーラントが供給される場合はα=0(図5のd1)であり、ノズルから外周研削面32の中心に向かってクーラントが供給される場合はα=90(図5のd0)である。このとき、平面視で見たノズルからのクーラントの供給方向は、αが0〜15度の範囲内となる方向に向けられていることが好ましい。つまり、クーラントの供給方向は、α=0(コアドリルの外周研削面32と接する方向)でなくてもよい。ノズルからのクーラント流には所定の径があるため、α=0の場合より若干積層体の中心側(α=0〜15)であっても、クーラントは十分に外周研削面32に引き込まれやすくなる。なお、図5は平面視で見た場合であるが、ノズルからのクーラントの供給方向は、図5に示す水平面上の一体型コアドリル20の回転方向に向かうベクトル(α=0〜15)と積層体の積層方向下向きのベクトルとを合わせたベクトルの方向である。つまり、ノズルからコアドリルの外周研削面上の点(クーラントの目標位置)へ向かうベクトルは、積層体の積層方向下向きの成分を有する。
また、上記説明では、ノズル16からのクーラントの供給方向の範囲を、一体型コアドリル20の外周研削面32を基準としたが、一体型コアドリル20の外周研削砥石20aの厚さは積層体の径と比して小さいため、積層体の外周研削面を基準として考えてもよい。つまり、クーラントの目標位置を積層体の外周研削面上の点と考えてもよい。
【0057】
クーラントの流速については、その速度を、積層体の積層方向に直行する平面内における横向きの速度と、積層体の積層方向下向きとの速度、とに分解したときに、前記横向きの速度を、クーラントの目標位置における一体型コアドリル20の外周研削砥石の線速度と概ね同じとすることが好ましい。こうすることで、クーラントの流速と外周研削砥石の線速度が概ね一致するため、クーラントがコアドリルの回転によって反射されにくくなる(弾かれにくくなる)結果、外周研削砥石と積層体の間を通してクーラントが下方へ移動しやすくなる(引き込まれやすくなる)。なお、クーラントの速度は、コアドリルの回転によってクーラントが反射されない(弾かれない)程度に適宜調節してもよい。すなわち、外周研削砥石の先端が積層体の積層方向下方に進行した場合であっても、クーラントが研削部位(つまり、外周研削砥石の先端)へ到達しやすくなる。その結果、積層体に対する研削が進行しても、研削によって生じるスラッジの排出及び研削部位の冷却をクーラントによって良好に維持することができる。それによって、加工後の積層体を構成する板状ガラスの外周研削面の真円度の悪化を防止することが可能となる。
なお、ノズル径については、2mm〜8mm程度とすることが好ましい。また、噴出後のクーラント流の径が広がらないようなノズル形状とすることが好ましい。
【0058】
以上説明したように本コアリング工程では、ノズル16から供給されたクーラントが高速で回転する一体型コアドリル20により反射されにくくなり、クーラントが外周研削面32に引き込まれやすくなる。そのため、外周研削面の周上において均一にスラッジが除去(排出)され、積層体の外周研削面における研削度合いがより均一となり、積層体を構成する個々の板状ガラスの外周研削面の真円度が向上する。また、加工の進行によって外周研削砥石の先端が積層体の内部に入った状態においても、研削によって生じるスラッジの排出及び研削部位の冷却をクーラントによって良好に維持することが可能となり、加工後の積層体を構成する個々の板状ガラスの外周研削面の真円度の悪化を防止することが可能となる。
【0059】
(4)チャンファリング工程
コアリング工程の後、端部(外周端面及び内周端面)に面取り面を形成するチャンファリング工程が行われる。チャンファリング工程では、コアリング工程によって円筒状に加工された積層体の外周面および内周面に対して、例えば、ダイヤモンド砥粒を用いたメタルボンド砥石や電着砥石等によって面取りが施される。
【0060】
(5)端面研磨工程(機械加工工程)
次に、円環状板状ガラスの端面研磨(エッジポリッシング)が行われる。
端面研磨では、円環状板状ガラスの内周端面及び外周端面をブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、円環状板状ガラスの端面での塵等が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティの発生の防止や、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。
【0061】
(6)積層体分離工程
コアリング工程、チャンファリング工程及びエッジポリッシング工程により積層体5が加工され、その後、積層体5を1枚ごとの円環状板状ガラスに分離するための積層体分離工程が行われる。例えば、接着剤5bの種類によっては、積層体を温水(摂氏80〜90度)に浸漬させることで接着剤5bが軟化し、積層体5を1枚ごとの円環状板状ガラスに分離することができる。
【0062】
(7)固定砥粒による研削工程
固定砥粒による研削工程では、両面研削装置を用いて円環状板状ガラスの主表面に対して研削加工を行う。研削による取り代は、例えば数μm〜100μm程度である。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間に円環状板状ガラスが狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作することにより、円環状板状ガラスと各定盤とを相対的に移動させることで、この円環状板状ガラスの両主表面を研削することができる。
【0063】
(8)第1研磨(主表面研磨)工程
次に、研削された円環状板状ガラスの主表面に第1研磨が施される。第1研磨による取り代は、例えば数μm〜50μm程度である。第1研磨は、固定砥粒による研削により主表面に残留したキズ、歪みの除去を目的とする。第1研磨では例えば、固定砥粒による研削工程で用いた両面研削装置を用いる。このとき、固定砥粒による研削と異なる点は、研削パッドの代わりにスラリーに混濁した遊離砥粒を用いることと、樹脂ポリッシャを用いることである。
第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させた酸化セリウム等の微粒子(粒子サイズ:直径1〜2μm程度)が用いられる。
【0064】
(9)化学強化工程
次に、第1研磨後の円環状板状ガラスは化学強化される。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60重量%)と硫酸ナトリウム(40重量%)の混合液等を用いることができる。化学強化では、化学強化液が、例えば300℃〜400℃に加熱され、洗浄した円環状板状ガラスが、例えば200℃〜300℃に予熱された後、円環状板状ガラスが化学強化液中に、例えば3時間〜4時間浸漬される。この浸漬の際には、円環状板状ガラスの両主表面全体が化学強化されるように、複数の円環状板状ガラスが端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
このように、円環状板状ガラスを化学強化液に浸漬することによって、円環状板状ガラスの表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、円環状板状ガラスが強化される。なお、化学強化処理された円環状板状ガラスは洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水、IPA(イソプロピルアルコール)等で洗浄される。
【0065】
(10)第2研磨(最終研磨)工程
次に、化学強化されて十分に洗浄された円環状板状ガラスに第2研磨が施される。第2研磨による取り代は、例えば1μm程度である。第2研磨は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨では例えば、固定砥粒による研削および第1研磨で用いた両面研削装置を用いる。このとき、第1研磨と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
第2研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子(粒子サイズ:例えば、直径0.01〜0.1μm)が用いられる。
研磨された円環状板状ガラスを中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
【0066】
[磁気ディスク]
磁気ディスクは、磁気ディスク用ガラス基板(以下、ガラス基板)を用いて以下のようにして得られる。
磁気ディスクは、例えばガラス基板の主表面上に、主表面に近いほうから順に、少なくとも付着層、下地層、磁性層(磁気記録層)、保護層、潤滑層が積層された構成になっている。
例えば基板を真空引きを行った成膜装置内に導入し、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、基板主表面上に付着層から磁性層まで順次成膜する。付着層としては例えばCrTi、下地層としては例えばCrRuを用いることができる。上記成膜後、例えばCVD法によりCを用いて保護層を成膜し、同一チャンバ内で、表面に窒素を導入する窒化処理を行うことにより、磁気記録媒体を形成することができる。その後、例えばPFPE(ポリフルオロポリエーテル)をディップコート法により保護層上に塗布することにより、潤滑層を形成することができる。
【0067】
(変形例)
次に、上述した磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の変形例について説明する。本変形例の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、コアリング工程が上述した実施形態と異なる。コアリング工程以外の工程は上述した実施形態と同様である。以下、図6を参照して、本変形例のコアリング工程について説明する。
【0068】
図6は、本変形例のコアリング工程において、積層体5を研削加工するときの研削装置を示す図である。図6に示されるように、研削装置は、主装置10と、シャフト12と、回転部14と、クーラント供給ホース15と、一体型コアドリル20と、を備える。シャフト12、クーラント供給ホース15、一体型コアドリル20は上述した実施形態と同様である。
本変形例の研削装置は、主装置10の外周部に回転部14が設けられている。また、回転部14には、クーラント供給ホース15が設けられている。主装置10は、一体型コアドリル20と独立して、回転部14を外周研削砥石の回転軸と同軸回りに回転駆動することができる。回転部14は、一体型コアドリル20の回転方向と同じ方向に回転することが好ましい。
外周研削面に対するクーラントの供給方向は、上述した実施形態と同様である。
【0069】
本変形例のコアリング工程では、図6に示される研削装置を用いて以下のとおり積層体5に対する研削加工が行われる。
先ず図6に示されるように、載置台30に載置された積層体5の上方に、一体型コアドリル20を配置する。次に、主装置10を下降させつつ、シャフト12を回転させる。シャフト12の回転速度は、例えば1500〜15000rpm程度である。これにより、一体型コアドリル20を、シャフト12の中心軸回りに回転させつつ、積層体5の積層方向に(つまり、下方に)移動させる。
また、主装置10は回転部14を回転させる。回転部14の回転速度は、例えば、10〜100rpm程度である。これにより、回転部14に設けられているクーラント供給ホース15が外周研削砥石の回転軸と同軸回りに回転する。
【0070】
一体型コアドリル20の下降は、一体型コアドリル20が載置台30の外周研削砥石逃がし用溝30aおよび内周研削砥石逃がし用溝30bに当接するまで行われる。一体型コアドリル20による積層体5の研削加工中には、クーラント供給ホース15のノズル16、およびクーラント供給管17のノズル17aからクーラントを供給する。
【0071】
本変形例のコアリング工程では、外周研削砥石に向けて配置されたノズルを外周研削砥石の回転軸と同軸回りに回転させつつ、ノズルから一体型コアドリル20の外周研削面にクーラントが供給される。これにより、外周研削面の周上おいてより均一にスラッジが除去され、外周研削面における研削度合いがより均一となり、外周研削面の真円度が向上する。
【実施例】
【0072】
以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0073】
(1)溶融ガラスの作製
以下の組成のガラスが得られるように原料を秤量し、混合して調合原料とした。この原料を熔融容器に投入して加熱、熔融し、清澄、攪拌して泡、未熔解物を含まない均質な熔融ガラスを作製した。得られたガラス中には泡や未熔解物、結晶の析出、熔融容器を構成する耐火物や白金の混入物は認められなかった。
[ガラスの組成]
SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を主成分として含むガラス
【0074】
(2)積層体の作製
錫を含む溶融金属の満たされた浴槽内に、上述した組成の溶融ガラスを連続的に流し入れるフロート法により厚さ1.0mmの板状ガラスを得た。この板状ガラスの表面粗さRaは厚さ0.01μmであった。この板状ガラスを切り出し、切り出した板状ガラスを、その表面に接着剤としての可視光線硬化樹脂材を均一に塗布した上で積層して積層体を作製した。さらに積層体を両面から圧縮させながら可視光線を照射させて樹脂材を硬化させ、積層された板状ガラスが分離しないようにした。
[実施例の積層体]
・板状ガラスの大きさ:75mm×75mm
・積層枚数:25枚
・接着剤:可視光線硬化樹脂材(株式会社アーデル、クリアプレスト(登録商標)CP4022)
・接着層の厚さ:30μm
【0075】
(3)積層体の加工
図2に示した配置のとおり積層体を載置台上に固定し、コアリングの研削加工を行った。このときの一体型コアドリルの回転速度を5000rpmとし、上下方向に超音波振動(20kHz,振幅5〜7μm)させながら研削加工を行い、2.5インチの円環状板状ガラス(内孔の径φ20mm、外径φ65mm)を作製した。ここで、一体型コアドリルの内周研削砥石及び外周研削砥石の径は、コアリングの研削加工及びその後のチャンファリング加工後に、円環状板状ガラスの内孔の径がφ20mm、外径がφ65mmとなるように設定した。なお、各研削砥石(研削ドリル)の厚みは、ともに2mmとした。
【0076】
研削加工中において、内周研削面には、ノズル17aから毎分17リットルの量のクーラントを供給した。クーラントとしては、ケミクール(登録商標)C−798S(ケミック社製)を用いた。また、外周研削面へのクーラントの供給は、図4に示されるように、一体型コアドリルの回転軸を中心として対象に配置された2本のノズル16a、16bによってなされる。外周研削面には、積層体の積層方向に直交する面内において、ノズルから外周研削面へ向かう接線方向のベクトルであって、一体型コアドリルの回転方向に向かうベクトルの方向に、ノズル16a、16bから毎分20リットルの量のクーラントを供給した。より具体的には、ノズルからコアドリルの外周研削面へ向かう接線方向かつ一体型コアドリルの回転方向に向かうベクトルと、積層体の積層方向下向きのベクトルとを合成したベクトルの方向であって、コアドリルの外周研削砥石の外側面と積層体の最上面との接点の位置に、積層体の積層方向に直交する平面内における速度(横向き成分)が18m/secとなるような流速にてクーラントを供給し、研削加工が進行してもクーラントが十分引き込まれるようにした。
ここで、コアドリルの外周研削砥石の線速度は、69(mm)×π×5000(rpm)÷60(sec/min)≒18(m/sec)と計算される。なお、69(mm)としたのは、コアドリルの厚み分を考慮したものである。つまり、クーラントの流速と外周研削砥石の線速度を概ね同一とした。
外周研削砥石および内周研削砥石は、ダイヤモンド砥粒を用いたメタルボンド砥石(結合材:鋳鉄)とした。内周研削砥石の番手は600とし、外周研削砥石の番手は300とした。
【0077】
コアリングの研削加工の後、円筒状に加工された積層体の外周面および内周面に対して、ダイヤモンド砥粒を用いた電着砥石を用いたチャンファリング加工によって面取りを施した。このときの砥石の番手は800とした。
【0078】
(4)積層体分離および端面研磨
次に、円筒状の積層体を温水(摂氏80〜90度)に浸漬させて複数の円環状板状ガラスに分離した。このとき、各円環状板状ガラスの表面に異常は見られなかった。その後、酸化セリウムの微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いて、円環状板状ガラスの内周端面および外周端面をブラシ研磨により鏡面仕上げを行ってガラス基板を得た。
【0079】
コアリングの研削加工の後、一部のサンプルについて、チャンファリング加工を行わずに複数の円環状板状ガラスに分離した。これにより得られた円環状板状ガラスを実施例1の円環状板状ガラスとする。
また、積層体の積層方向に直交する面内において、ノズルから外周研削面へ向かう接線方向の成分を持たず、ノズルから外周研削面の円の中心に向かってクーラントを供給しながらコアリングの研削加工を行い、チャンファリング加工を行わずに複数の円環状板状ガラスに分離した。これにより得られた円環状板状ガラスを比較例1の円環状板状ガラスとする。
さらに、クーラントを供給する位置は積層体の最上面とコアドリルの外周研削砥石の外側面との接点としたまま、クーラントが供給される目標位置を実施例1と比較例1の間になるように変化させたサンプルを作成した。このサンプルによって得られた円環状板状ガラスを参考例1〜3とする。具体的には、参考例1〜3では、積層体の積層方向に直交する面内において、ノズルからクーラントの目標位置へ向かう方向と、その目標位置におけるコアドリルの外周研削面によって形成される円の接線とのなす角α(図5参照)が、それぞれ15、30、60度となるような位置とした。図5において、実施例1でのクーラントの供給方向はd1であり、比較例1でのクーラントの供給方向はd0である。
なお、上記の実施例、比較例及び参考例においてはいずれも、クーラントが供給される目標位置は、積層体の最上面とコアドリルの外周研削砥石の外側面との接点とし、クーラントの流速は、積層体の積層方向に直交する平面内における速度(横向き成分)が18m/secで一定となるようにした。
【0080】
(5)真円度及びクラックの評価
それぞれ25枚の実施例、比較例、参考例の円環状板状ガラスについて、チャンファリング加工前に、外周の真円度及び外周円と内周円の同心度を測定し、最も大きな値を各例の真円度及び同心度とした。実施例1と比較例1の円環状板状ガラスの外周の真円度を測定すると、実施例1の外周の真円度は2.0μmであり、比較例1の外周の真円度は6.0μmであった。これより、実施例1のように、積層体の積層方向に直交する面内において、ノズルからコアドリルの外周研削面へ向かう接線方向のベクトルであって、一体型コアドリルの回転方向に向かうベクトルの方向に、ノズルからクーラントを外周研削面に供給することにより、コアリングの研削加工終了時における外周の真円度が向上することが分かる。なお、実施例1の同心度は1.5μmと良好な値が得られた。
また、参考例1〜3の外周の真円度は、それぞれ2.0μm、3.3μm、5.2μmであった。参考例1において実施例1と同等の真円度が得られたのは、クーラントのジェットがある程度の大きさの径を持つため、ノズルからコアドリルの外周研削面に向かう接線方向に対して積層体の中心側へクーラント流の方向が多少ずれたとしても外周研削面へ引き込まれるクーラントの量が同等であるためと推測される。
【0081】
(6)その他の実施例
また、上記(1)〜(5)の工程により得られたガラス基板(25枚)の内周の真円度を測定するとともに、ガラス基板の内周端面のクラックの有無についてレーザー顕微鏡により観測した。上記(1)〜(5)の工程により得られたガラス基板を実施例2のガラス基板とする。
実施例2のガラス基板(25枚)の内周の真円度は、最大のもので1.3μmであった。また、実施例2のガラス基板の内周及び外周の端面をレーザー顕微鏡により観測した結果、クラックは観測されなかった。このように、本実施例によれば、クラックを発生させることなく、内周、外周ともに目標の真円度(2μm)を達成させることができた。
【0082】
さらに、コアリングの研削加工を、図6に示したように、2本のノズルを一体型コアドリルの回転方向と同じ方向に回転させながら積層体のサンプルを作成した。なお、ノズルの回転速度は10rpmとした。このサンプルによって得られた円環状板状ガラスを実施例3とする。実施例3の円環状板状ガラスについて外周の真円度の値(25枚の最大値)を測定したところ、1.5μmとなった。つまり、実施例3の円環状板状ガラスの真円度は、実施例1のそれよりもさらに改善した。
【0083】
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0084】
5 積層体
5a 板状ガラス
5b 接着剤
10 主装置
12 シャフト
14 回転部
15 クーラント供給ホース
16 ノズル
17 クーラント供給管
17a ノズル
20 一体型コアドリル
20a 外周研削砥石
20b 内周研削砥石
30 載置台
30a 外周研削砥石逃がし用溝
30b 内周研削砥石逃がし用溝
32 外周研削面
図1
図2
図3
図4
図5
図6