(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
道路走行および軌道走行可能な車両として軌陸車が知られている(例えば、特許文献1
を参照)。軌陸車は、タイヤ車輪等を有して道路走行可能なトラック車体をベースとして
構成されており、軌道上(レール上)を走行するための軌道走行装置と、軌道に乗り入れ
る際に乗り入れ作業を容易化する転車装置とを備えて構成されている。軌道走行装置は、
軌陸作業車に対して、下方に張り出して用いられる軌道走行用の鉄輪(軌道走行用車輪)
を有して構成される。鉄輪は車体に設けられた鉄輪支持部材に回転自在に支持されるが、
この鉄輪支持部材を変位機構により上下方向に変位させることにより、所定の格納位置お
よび張出位置に位置させることができる。転車装置は、車体に対して、下方に張り出しお
よび上方に格納が自在な転車台を有しており、転車台を張り出させて車体を持ち上げ支持
し、この状態で軌道走行装置の鉄輪を張り出しあるいは格納させ、または車体を軌道の方
向や道路の方向にあわせて容易に旋回させることができるように構成されている。
【0003】
このような軌陸車には、車体後側の左右の鉄輪(後鉄輪)を支持する鉄輪支持部材を車
体の前後方向に伸びる軸を中心に揺動させる後鉄輪揺動機構を備えたものがある。このよ
うにすれば、後鉄輪揺動機構による鉄輪支持部材の揺動を伴って左右の鉄輪が上下方向に
移動することにより、軌道(レール)上の左右の高低差に左右の鉄輪が追従するため、軌
陸車が軌道上を安定走行することができる。後鉄輪揺動機構が設けられた軌陸車の架装物
は、車体前側の左右の鉄輪(前鉄輪)と後鉄輪揺動機構の揺動ピンとの3点で支持される
。そのため、前後左右の鉄輪からなる4点で架装物が支持される場合と比較すると、軌陸
車を軌道上で停止させて所定の作業を行う場合に、車体の支持安定性が劣り、架装物の安
定領域(安定作動領域)が狭くなる。例えば、架装物として高所作業装置を架装した場合
、3点支持の場合は4点支持の場合に対し作業半径を狭くせざるを得なくなる。
【0004】
後鉄輪揺動機構の揺動範囲を狭く設定することで、架装物の重心が安定領域外に出ても
即座に車体が転倒に至ることはなく、例えば、架装物として高所作業装置を架装した場合
の作業半径も極端に狭くなることはない。ところが、架装物の重心が安定領域外に出ると
、前鉄輪の左右いずれか一方が軌道上から浮き上がる事象は発生する。架装物の重心が安
定領域内に戻るとこの浮き上がりは解消するが、その際、車輪が適切な位置に戻らない事
象(例えば、鉄輪のフランジ部がレール踏面に乗り上がるような事象)も起こり得るため
、軌陸車が脱線し易くなるおそれがあった。
【0005】
架装物の安定領域の縮小および脱線リスクの増加を解決する手段として、車体に可動式
安定脚(以下、ジャッキと称する)を設けることが考えられる。ところが、ジャッキを使
用するには、接地面の状況および作動時の安全を確認するため、軌道上でのジャッキ操作
が必要である。また、ジャッキを接地させた形態は、鉄道事業主において設定される車両
限界を超えた形態になるため、軌陸車が軌道上を走行するためには、ジャッキを格納する
必要がある。例えば、高所作業装置を架装した軌陸車では、通常、作業者はキャブ内もし
くは作業台(作業床)にいることが多い。そのため、高所作業と軌道走行を繰り返す現場
では、ジャッキ操作を行うために、作業者が軌道上とキャブもしくは作業台との間で乗降
を繰り返す必要があり、作業効率の低下につながるおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る
軌陸車の一例として軌陸作業車1を
図1および
図2に示している。本実施形態においては
、
図1および
図2の矢印Lで示す方向を左方とする車幅方向を左右方向と称し、
図1およ
び
図2の矢印Fで示す方向を前方とする車長方向を前後方向と称して説明を行う。軌陸作
業車1は、車体2に設けられた運転キャブ2aを有するトラック車両をベースとして構成
されており、車体2の前後左右の4箇所に取り付けられたタイヤ車輪(道路走行用車輪)
3によって道路上を走行することができる。さらに、車体2の前側左右2箇所に、軌道を
走行するための左前側軌道走行装置20および右前側軌道走行装置30が配設されるとと
もに、車体2の後側に、軌道を走行するための後側軌道走行装置40が配設されている。
【0017】
車体2の下部中央には、軌陸作業車1をレールR上へ乗せ換え移動するための転車台6
が取り付けられている。転車台6は、転車台張出格納シリンダ(図示せず)の伸縮作動に
より下方に張り出したり上方に格納したりできるようになっており、さらに車体旋回モー
タ(図示せず)により車体2を転車台6に対して水平旋回することができるようになって
いる。なお、手動(人力)により車体2を転車台6に対して水平旋回できるように構成し
てもよい。
【0018】
車体2の上部には、架装物として不図示の高所作業装置が搭載される。高所作業装置は
、詳細な図示を省略するが、車体2に対して水平旋回自在に取り付けられた旋回台(図示
せず)と、この旋回台の上部に起伏自在に取り付けられ、入れ子式に伸縮作動が自在なブ
ーム(図示せず)と、このブームの先端に取り付けられた作業者搭乗用の作業台(図示せ
ず)とから構成される。なお、高所作業装置に限らず、架装物として、クレーン装置や、
クレーン装置を備えた荷台、ダンプ機構を備えた荷台等を、車体2の上部に搭載してもよ
い。車体2の前後左右の4カ所に下方に伸縮自在なアウトリガジャッキ7が設けられてお
り、高所作業を行うときには、このアウトリガジャッキ7を下方に張り出して車体2を持
ち上げ支持できるようになっている。
【0019】
左前側軌道走行装置20は、
図3に示すように、ベースブラケット21と、支持プレー
ト22および支持軸23と、鉄輪保持ブラケット24と、左前鉄輪25と、揺動シリンダ
26と、鉄輪駆動モータ27と、駆動力伝達装置28と、ブレーキ装置29とを有して構
成される。ベースブラケット21は、車体2の下部における左前側に配設される。左右一
対の支持プレート22は、ベースブラケット21の下部に配設され、左右の支持プレート
22に挟まれて左右方向に延びる支持軸23の両端を支持する。鉄輪保持ブラケット24
は、支持軸23を介して左右の支持プレート22に支持され、支持軸23を中心に車体2
に対して上下に揺動自在に設けられる。左前鉄輪(軌道走行用車輪)25は、フランジ部
を有する円盤状に形成され、鉄輪保持ブラケット24により左右に延びる回転軸(図示せ
ず)を中心に回転自在に保持される。揺動シリンダ26は、シリンダチューブ側がベース
ブラケット21に枢結されるとともに、ロッド側が鉄輪保持ブラケット24に枢結され、
鉄輪保持ブラケット24を上下に揺動させる。鉄輪駆動モータ27は、油圧モータ等から
構成され、左前鉄輪25を回転駆動する。駆動力伝達装置28は、鉄輪保持ブラケット2
4の側部に取り付けられ、鉄輪駆動モータ27の回転駆動力を左前鉄輪25に伝達する。
ブレーキ装置29は、駆動力伝達装置28の側部に取り付けられ、ブレーキディスクを介
して左前鉄輪25を制動する。
【0020】
右前側軌道走行装置30は、左前側軌道走行装置20と同様の構成であり、ベースブラ
ケット31と、支持プレート32および支持軸33と、鉄輪保持ブラケット34と、右前
鉄輪35と、揺動シリンダ36と、鉄輪駆動モータ37と、駆動力伝達装置38と、ブレ
ーキ装置39とを有して構成される。なお、ベースブラケット31は、車体2の下部にお
ける右前側に配設される。
【0021】
左前鉄輪25を保持する鉄輪保持ブラケット24は、揺動シリンダ26の伸縮作動によ
り、左前鉄輪25を上方に(車体2に)格納する格納位置と、左前鉄輪25を下方に張り
出す張出位置との間で、上下に揺動自在に設けられている。同様に、右前鉄輪35を保持
する鉄輪保持ブラケット34は、揺動シリンダ36の伸縮作動により、右前鉄輪35を上
方に(車体2に)格納する格納位置と、右前鉄輪35を下方に張り出す張出位置との間で
、上下に揺動自在に設けられている。そして、軌陸作業車1は、左前鉄輪25および右前
鉄輪35(並びに、後述の左後鉄輪75および右後鉄輪85)を下方に張り出した状態で
車体2をレール(軌道)R上(
図5を参照)に載置し、左右の鉄輪駆動モータ27,37
により左前鉄輪25および右前鉄輪35を回転駆動してレール上を自走可能となっている
。なお、左前側軌道走行装置20の鉄輪保持ブラケット24と右前側軌道走行装置30の
鉄輪保持ブラケット34との間に、左右に延びる棒状のタイロッド15が取り付けられて
いる。
【0022】
後側軌道走行装置40は、
図4〜
図6に示すように、ベースブラケット41と、揺動ブ
ラケット46および揺動シリンダ50を備えた変位機構45と、揺動アクスル60と、左
後鉄輪75および右後鉄輪85と、左ブレーキ装置77および右ブレーキ装置87とを有
して構成される。ベースブラケット41は、車体2の下部後側に配設される。ベースブラ
ケット41の下部には、車体2の左右方向に延びる左右のヒンジピン42,43を介して
揺動ブラケット46が揺動自在に連結される。これにより、揺動ブラケット46は、車体
2の下部に車体2の左右方向に延びる軸(左右のヒンジピン42,43)を中心に揺動自
在に配設される。揺動ブラケット46の下端部には、揺動軸47を介して揺動アクスル6
0の中央部が連結され、揺動ブラケット46の揺動先端側において揺動アクスル60が揺
動ブラケット46に支持される。
【0023】
揺動シリンダ50は、シリンダチューブ側がベースブラケット41の後部に設けられた
シリンダブラケット44に枢結されるとともに、ロッド側が揺動ブラケット46の上端部
に枢結され、油圧力を利用して伸縮可能に構成される。揺動シリンダ50は、車体2の左
右方向に延びる軸(左右のヒンジピン42,43)を中心に揺動ブラケット46を揺動さ
せ、左後鉄輪75および右後鉄輪85を支持した揺動アクスル60を、左後鉄輪75およ
び右後鉄輪85を上方に(車体2に)格納する格納位置(
図5の二点鎖線を参照)と、左
後鉄輪75および右後鉄輪85を下方に張り出す張出位置(
図5の実線を参照)とに変位
させる。
【0024】
揺動軸47は、揺動アクスル60が張出位置に位置した状態で、車体2の前後方向に延
びるように配置される。これにより、揺動アクスル60は、変位機構45(揺動ブラケッ
ト46および揺動シリンダ50)により張出位置に位置したときに、車体2の前後方向に
延びる揺動軸47を中心としてこの揺動軸47と垂直な面内で揺動自在に構成される。
【0025】
ベースブラケット41の左右側部には、張出位置に位置した揺動アクスル60の揺動を
規制する左揺動ロックシリンダ51および右揺動ロックシリンダ52が取り付けられる。
左揺動ロックシリンダ51は、油圧力を利用して上下方向に伸縮自在に構成される。左揺
動ロックシリンダ51の下部(ロッド側)には、左揺動ロックシリンダ51が所定の揺動
可能位置まで縮小したことを検出する格納検出器51aが設けられる。なお、所定の揺動
可能位置は、張出位置に位置した揺動アクスル60から左揺動ロックシリンダ51の下端
部が離れて揺動アクスル60の揺動が可能となる位置に設定される。左揺動ロックシリン
ダ51の上部(シリンダチューブ側)には、左揺動ロックシリンダ51が伸長して揺動ア
クスル60の左シャフト支持部62に当接したことを検出する張出検出器51bが設けら
れる。
【0026】
右揺動ロックシリンダ52は、左揺動ロックシリンダ51と同様の構成であり、右揺動
ロックシリンダ52が所定の揺動可能位置まで縮小したことを検出する格納検出器52a
や、右揺動ロックシリンダ52が伸長して揺動アクスル60の右シャフト支持部67に当
接したことを検出する張出検出器52bが設けられる。このように、左揺動ロックシリン
ダ51および右揺動ロックシリンダ52はそれぞれ、格納検出器51a,52aおよび張
出検出器51b,52bから出力された検出信号に基づくコントローラ(図示せず)の作
動制御により、張出位置に位置した揺動アクスル60に当接して該揺動アクスル60の揺
動を規制する揺動規制位置と、張出位置に位置した揺動アクスル60から離れて該揺動ア
クスル60の揺動を可能にする揺動可能位置との間で伸縮自在に構成される。
【0027】
揺動アクスル60は、揺動アクスル60の中間部に形成された梁部61と、梁部61の
左右両端にそれぞれ形成された左シャフト支持部62および右シャフト支持部67とを有
して構成され、左後鉄輪75および右後鉄輪85をそれぞれ回転自在に支持する。梁部6
1は、車体2の左右方向に延びる棒状に形成され、梁部61の中央部に前述の揺動軸47
が連結されて、揺動軸47を中心に揺動自在に構成される。左シャフト支持部62は、左
後鉄輪75を囲む門形に形成され、左後鉄輪75を回転自在に支持する。右シャフト支持
部67は、右後鉄輪85を囲む門形に形成され、右後鉄輪85を回転自在に支持する。
【0028】
また、梁部61は、左シャフト支持部62および右シャフト支持部67の(門形の)下
端部に繋がって、左後鉄輪75および右後鉄輪85の回転軸部と左右に並んで位置し、左
シャフト支持部62および右シャフト支持部67が梁部61よりも上方に突出する。これ
により、揺動アクスル60が張出位置に位置した状態で車体2の前後方向から見て略M字
状の形状となり、梁部61の上面側に左シャフト支持部62および右シャフト支持部67
に挟まれた上方に開口する開口空間Sが形成される。この開口空間Sには、揺動ブラケッ
ト46の一部が入り込む。
【0029】
また、開口空間Sにおける揺動ブラケット46と左シャフト支持部62との間隙部には
、左揺動防止バネ56が配設され、開口空間Sにおける揺動ブラケット46と右シャフト
支持部67との間隙部には、右揺動防止バネ57が配設される。左揺動防止バネ56は、
圧縮コイルバネを主体に構成され、一端が揺動ブラケット46の左側部に取り付けられた
左取り付けアングル48に連結されるとともに、他端が梁部61の左側に当接している。
右揺動防止バネ57は、左揺動防止バネ56と同様の構成であり、一端が揺動ブラケット
46の右側部に取り付けられた右取り付けアングル49に連結されるとともに、他端が梁
部61の右側に当接している。この左右の揺動防止バネ56,57によって、軌道走行時
における揺動アクスル60の揺動は可能であるが、揺動アクスル60が格納位置に位置す
るときや、揺動アクスル60を格納位置(張出位置)から張出位置(格納位置)に変位し
ているとき等、左後鉄輪75および右後鉄輪85がレール(軌道)R上にないときの揺動
アクスル60の不必要な揺動が規制されるようになっている。
【0030】
左後鉄輪75は、
図7に示すように、左鉄輪シャフト71と延伸方向にスライド移動可
能に連結される。左鉄輪シャフト71は、車体2の左右方向に延びるスプライン軸状に形
成され、
図8に示すように、ベアリングB1,B2を介して左シャフト支持部62により
回転自在に両端支持される。これにより、左鉄輪シャフト71とスプライン嵌合した左後
鉄輪75は、左シャフト支持部62により回転自在に支持される。左鉄輪シャフト71に
おける左後鉄輪75と左シャフト支持部62との間隙部には、左後鉄輪75と右後鉄輪8
5との間隔をレール(軌道)Rの幅と合わせるために、左鉄輪シャフト71上における左
後鉄輪75の位置を固定する左軌間固定カラー72が取り付けられる。
【0031】
左軌間固定カラー72は、
図7に示すように、左鉄輪シャフト71を囲む円筒形状に形
成されて、この円筒形状を円周方向に2分割した第1分割部材73および第2分割部材7
4から構成される。第1分割部材73および第2分割部材74は、それぞれ半円筒状に形
成され、4本のネジ部材79a〜79dによって組み立てられる。
図8に示すように、第
1分割部材73および第2分割部材74の一端には、第1分割部材73および第2分割部
材74の内径側に向けてそれぞれ円錐状に傾斜する第1内側傾斜部73a,74aが形成
される。第1分割部材73および第2分割部材74の他端には、第1分割部材73および
第2分割部材74の内径側に向けてそれぞれ円錐状に傾斜する第2内側傾斜部73b,7
4bが形成される。
【0032】
また、左軌間固定カラー72は、左鉄輪シャフト71の基端側(右側)にスライド移動
した左後鉄輪75と左シャフト支持部62との間隙部(
図8(a)を参照)および、左鉄
輪シャフト71の先端側(左側)にスライド移動した左後鉄輪75と左シャフト支持部6
2との間隙部(
図8(b)を参照)のいずれか一方に選択的に取り付け可能に構成される
。これにより、左後鉄輪75と右後鉄輪85との間隔を、例えば、標準軌と狭軌の2種類
のレール(軌道)Rの幅に合わせることができる。
【0033】
図8に示すように、左シャフト支持部62における左鉄輪シャフト71の基端側(右側
)の内側部には、左後鉄輪75もしくは左軌間固定カラー72が当接する筒状の基端側当
接部材63が設けられる。基端側当接部材63の側部には、左後鉄輪75のハブが当接す
る垂直平面状の基端側垂直部63aと、第1分割部材73および第2分割部材74の第2
内側傾斜部73b,74bが当接する外径側に向けて円錐状に傾斜した基端側傾斜部63
bとが形成される。
【0034】
左シャフト支持部62における左鉄輪シャフト71の先端側(左側)の内側部には、左
後鉄輪75もしくは左軌間固定カラー72が当接する筒状の先端側当接部材64が設けら
れる。先端側当接部材64の側部には、左後鉄輪75のハブが当接する垂直平面状の先端
側垂直部64aと、第1分割部材73および第2分割部材74の第2内側傾斜部73b,
74bが当接する外径側に向けて円錐状に傾斜した先端側傾斜部64bとが形成される。
【0035】
左後鉄輪75のハブにおける左鉄輪シャフト71の基端側(右側)の側部には、基端側
当接部材63の基端側垂直部63aが当接する垂直平面状の第1鉄輪側垂直部75aと、
第1分割部材73および第2分割部材74の第1内側傾斜部73a,74aが当接する外
径側に向けて円錐状に傾斜した第1鉄輪側傾斜部75bとが形成される。一方、左後鉄輪
75のハブにおける左鉄輪シャフト71の先端側(左側)の側部には、先端側当接部材6
4の先端側垂直部64aが当接する垂直平面状の第2鉄輪側垂直部75cと、第1分割部
材73および第2分割部材74の第1内側傾斜部73a,74aが当接する外径側に向け
て円錐状に傾斜した第2鉄輪側傾斜部75dとが形成される。なお、第1分割部材73お
よび第2分割部材74における第1内側傾斜部73a,74aと第2内側傾斜部73b,
74bは同じ形状であるが、説明の便宜上、左後鉄輪75に当接する場合に第1内側傾斜
部73a,74aと称し、基端側当接部材63もしくは先端側当接部材64に当接する場
合に第2内側傾斜部73b,74bと称することにする。
【0036】
右後鉄輪85は、左後鉄輪75の場合と同様に、不図示の右鉄輪シャフトと延伸方向に
スライド移動可能に連結される。右鉄輪シャフト(図示せず)は、左鉄輪シャフト71と
同様の構成であり、右シャフト支持部67により回転自在に両端支持される。これにより
、右鉄輪シャフトとスプライン嵌合した右後鉄輪85は、右シャフト支持部67により回
転自在に支持される。右鉄輪シャフトにおける右後鉄輪85と右シャフト支持部67との
間隙部には、左後鉄輪75と右後鉄輪85との間隔をレール(軌道)Rの幅と合わせるた
めに、右鉄輪シャフト上における右後鉄輪85の位置を固定する右軌間固定カラー82が
取り付けられる。右軌間固定カラー82は、左軌間固定カラー72と同様の構成であり、
詳細な説明を省略する。
【0037】
左シャフト支持部62の外側部(左側部)には、左ブレーキ装置77が設けられる。左
ブレーキ装置77は、左鉄輪シャフト71の先端部に連結されたブレーキディスクやブレ
ーキパッド等から構成され、ブレーキパッドの摩擦力を利用してブレーキディスクを制動
することにより、左後鉄輪75の制動を行う。一方、右シャフト支持部67の外側部(右
側部)には、右ブレーキ装置87が設けられる。右ブレーキ装置87は、右鉄輪シャフト
(図示せず)の先端部に連結されたブレーキディスクやブレーキパッド等から構成され、
ブレーキパッドの摩擦力を利用してブレーキディスクを制動することにより、右後鉄輪8
5の制動を行う。
【0038】
以上のように構成された軌陸作業車1において、左軌間固定カラー72を左鉄輪シャフ
ト71に取り付けるには、例えば、左後鉄輪75と右後鉄輪85との間隔を、狭軌のレー
ル幅に合わせる場合、
図8(a)に示すように、左後鉄輪75を左鉄輪シャフト71の基
端側(右側)にスライド移動させ、左鉄輪シャフト71における左後鉄輪75と左シャフ
ト支持部62(先端側当接部材64)との間隙部に左軌間固定カラー72を取り付ける。
左軌間固定カラー72を左鉄輪シャフト71に取り付けるには、左鉄輪シャフト71を囲
んで、4本のネジ部材79a〜79dにより第1分割部材73と第2分割部材74とを結
合させる。
【0039】
そうすると、第1分割部材73および第2分割部材74の第1内側傾斜部73a,74
aが左後鉄輪75(ハブ)の左側部に形成された第2鉄輪側傾斜部75dに当接するとと
もに、第1分割部材73および第2分割部材74の第2内側傾斜部73b,74bが先端
側当接部材64の側部に形成された先端側傾斜部64bに当接する。そして、4本のネジ
部材79a〜79dによる締結力が各傾斜部において左鉄輪シャフト71の軸方向に作用
し、左軌間固定カラー72が、左鉄輪シャフト71の基端側(右側)にスライド移動した
左後鉄輪75と左シャフト支持部62(先端側当接部材64)との間隙部に該間隙部を押
し広げるように取り付けられる。なおこのとき、左後鉄輪75(ハブ)の右側部に形成さ
れた第1鉄輪側垂直部75aが基端側当接部材63の基端側垂直部63aに当接し、左鉄
輪シャフト71上における左後鉄輪75の位置が固定される。
【0040】
一方、左後鉄輪75と右後鉄輪85との間隔を、標準軌のレール幅に合わせる場合、図
8(b)に示すように、左後鉄輪75を左鉄輪シャフト71の先端側(左側)にスライド
移動させ、左鉄輪シャフト71における左後鉄輪75と左シャフト支持部62(基端側当
接部材63)との間隙部に左軌間固定カラー72を取り付ける。左軌間固定カラー72を
左鉄輪シャフト71に取り付けるには、左鉄輪シャフト71を囲んで、4本のネジ部材7
9a〜79dにより第1分割部材73と第2分割部材74とを結合させる。
【0041】
そうすると、第1分割部材73および第2分割部材74の第1内側傾斜部73a,74
aが左後鉄輪75(ハブ)の右側部に形成された第1鉄輪側傾斜部75bに当接するとと
もに、第1分割部材73および第2分割部材74の第2内側傾斜部73b,74bが基端
側当接部材63の側部に形成された基端側傾斜部63bに当接する。そして、4本のネジ
部材79a〜79dによる締結力が各傾斜部において左鉄輪シャフト71の軸方向に作用
し、左軌間固定カラー72が、左鉄輪シャフト71の先端側(左側)にスライド移動した
左後鉄輪75と左シャフト支持部62(基端側当接部材63)との間隙部に該間隙部を押
し広げるように取り付けられる。なおこのとき、左後鉄輪75(ハブ)の左側部に形成さ
れた第2鉄輪側垂直部75cが先端側当接部材64の先端側垂直部64aに当接し、左鉄
輪シャフト71上における左後鉄輪75の位置が固定される。
【0042】
また、右軌間固定カラー82は、左軌間固定カラー72の場合と同様にして、右鉄輪シ
ャフト(図示せず)における右後鉄輪85と右シャフト支持部67との間隙部に取り付け
られる。そのため、詳細な説明を省略する。
【0043】
このようにすれば、左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82)が左後鉄輪75(
右後鉄輪85)と左シャフト支持部62(右シャフト支持部67)との間隙部に該間隙部
を押し広げるように取り付けられるため、左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82
)が楔のように機能することから、左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト)の軸方向にお
ける隙間が零となる。そのため、左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト)に対する左後鉄
輪75(右後鉄輪85)の傾斜が抑えられ、左後鉄輪75(右後鉄輪85)のスライド機
能の喪失や、左後鉄輪75(右後鉄輪85)および左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト
)の破損の可能性がより低くなることから、簡便な方法で左後鉄輪75(右後鉄輪85)
や左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト)の破損を防止することができる。
【0044】
また、第1分割部材73および第2分割部材74の一端に第1内側傾斜部73a,74
aが形成され、第1分割部材73および第2分割部材74の他端に第2内側傾斜部73b
,74bが形成されることで、左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82)による楔
の機能が高まるため、左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト)に対する左後鉄輪75(右
後鉄輪85)の傾斜がより確実に抑えられ、左後鉄輪75(右後鉄輪85)や左鉄輪シャ
フト71(右鉄輪シャフト)の損傷をより確実に防止することができる。
【0045】
また、左後鉄輪75(右後鉄輪85)の側部に、第1分割部材73および第2分割部材
74の第1内側傾斜部73a,74aが当接する第1および第2鉄輪側傾斜部75a,7
5bが設けられ、左シャフト支持部62(右シャフト支持部67)の側部に、第1分割部
材73および第2分割部材74の第2内側傾斜部73b,74bが当接する基端側傾斜部
63bおよび先端側傾斜部64bが設けられることで、左軌間固定カラー72(右軌間固
定カラー82)による楔の機能がより高まるため、左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト
)に対する左後鉄輪75(右後鉄輪85)の傾斜がより確実に抑えられ、左後鉄輪75(
右後鉄輪85)や左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト)の損傷をより確実に防止するこ
とができる。
【0046】
また、左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82)は、左鉄輪シャフト71(右鉄
輪シャフト)の基端側にスライド移動した左後鉄輪75(右後鉄輪85)と左シャフト支
持部62(右シャフト支持部67)との間隙部および、左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャ
フト)の先端側にスライド移動した左後鉄輪75(右後鉄輪85)と左シャフト支持部6
2(右シャフト支持部67)との間隙部のいずれか一方に選択的に取り付け可能に構成さ
れる。そのため、1種類の左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82)を用いるだけ
で、左鉄輪シャフト71(右鉄輪シャフト)上における左後鉄輪75(右後鉄輪85)の
位置を2箇所で固定することができるため、簡便な構成で、左後鉄輪75と右後鉄輪85
との間隔を2種類の間隔に設定することができる。
【0047】
なお、左前鉄輪25および右前鉄輪35についても、それぞれの回転軸(図示せず)に
左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82)と同様の部材を取り付ければ、上述と同
様の効果を得ることができる。
【0048】
また、軌陸作業車1は、左右の前鉄輪25,35および後鉄輪75,85を車体2に格
納してタイヤ車輪3により道路上を走行可能とする道路走行状態と、左右の前鉄輪25,
35および後鉄輪75,85を下方に張り出して各鉄輪によりレール(軌道)R上を走行
可能とする軌道走行状態とに切換設定可能に構成される。道路走行状態に設定するには、
左前側軌道走行装置20および右前側軌道走行装置30の揺動シリンダ26,36により
、左右の鉄輪保持ブラケット24,34を格納位置に揺動変位させるとともに、後側軌道
走行装置40の変位機構45により揺動アクスル60を格納位置に変位させて、タイヤ車
輪3を接地させる。一方、軌道走行状態に設定するには、左前側軌道走行装置20および
右前側軌道走行装置30の揺動シリンダ26,36により、左右の鉄輪保持ブラケット2
4,34を張出位置に揺動変位させるとともに、後側軌道走行装置40の変位機構45に
より揺動アクスル60を張出位置に変位させて、左右の前鉄輪25,35および後鉄輪7
5,85を下方に張り出す。
【0049】
この走行状態の切換、すなわち、道路走行状態から軌道走行状態への切換もしくは逆の
切換を行うときに転車台6が用いられる。例えば、道路走行状態から軌道走行状態への移
行は、まず、軌陸作業車1を道路走行させて作業現場最寄りの踏切まで移動し、軌道を跨
ぐようにして軌陸作業車1を停止させる。次に、転車台張出格納シリンダ(図示せず)を
作動させて転車台6を下方へ張り出し、車体2を転車台6により持ち上げ支持する。次に
、車体旋回モータ(図示せず)を作動させて転車台6を水平回転させ、車体2の方向がレ
ールの方向に一致するまで車体2を約90度旋回させる。次に、上述のように左右の前鉄
輪25,35および後鉄輪75,85を下方に張り出して、転車台張出格納シリンダによ
り転車台6を上方に格納しながら、レールR上に載置させる。これにより、軌陸作業車1
は道路上からレールR上に載せ換え移動された状態となる。
【0050】
レールR上に載せ換え移動された軌陸作業車1は、左右の鉄輪駆動モータ27,37に
より左右の前鉄輪25,35を回転駆動させてレールR上を軌道走行することができる。
軌陸作業車1を軌道走行させて作業現場まで移動すると、作業者は高所作業装置(図示せ
ず)を用いて高所作業を行うことができる。作業が終わると、軌陸作業車1を軌道走行さ
せて踏切上まで移動し、転車台6により車体2を支持・旋回する。このとき、左右の前鉄
輪25,35および後鉄輪75,85は、上述のようにレールRから上方に離れて車体2
に格納される。そして、転車台6を格納作動して車体2を道路上に降ろした後、タイヤ車
輪3を駆動して道路上を走行し、別の場所へ移動する。
【0051】
軌道走行時、揺動アクスル60の揺動を伴って左右の後鉄輪75,85が上下方向に移
動することにより、レール(軌道)R上の左右の高低差に左右の後鉄輪75,85が追従
する。このようにして、軌陸作業車1はレール(軌道)R上を安定走行することができる
。本実施形態では、張出位置に位置した揺動アクスル60が車体2の前後方向から見て略
M字状の形状となる。これにより、揺動アクスル60の梁部61が左右の後鉄輪75,8
5の軸部と左右に並んで位置するため、梁部61の揺動支点(揺動軸47)の高さが左右
の後鉄輪75,85の軸部近傍の高さまで低くなる。そのため、レール(軌道)R上の左
右の高低差に左右の後鉄輪75,85が追従するときに、梁部61の揺動に伴う車体2の
左右方向への揺れが低減され、軌道走行時の車体2の安定性を向上させることができる。
また、梁部61より上方に突出する左右のシャフト支持部62,67が門形に形成される
ため、左右の後鉄輪75,85の両端支持を行うことが可能となり、左右の後鉄輪75,
85の軸部(左右の鉄輪シャフト71,81)の必要強度を低減させることができる。ま
た、左右の後鉄輪75,85の間の軸線上に略M字状の揺動アクスル60がタイロッドの
ように形成されるため、横方向の圧力に対する剛性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、左右の後鉄輪75,85の軸部を通る直線上に揺動軸47が配
置されるため、梁部61の揺動支点(揺動軸47)の高さが各後鉄輪75,85の軸部の
高さまで低くなる。そのため、レール(軌道)R上の左右の高低差に左右の後鉄輪75,
85が追従するときに、梁部61の揺動に伴う車体2の左右方向への揺れがより低減され
、軌道走行時の車体2の安定性をより向上させることができる。
【0053】
また、略M字状の揺動アクスル60に形成された開口空間Sに、左揺動防止バネ56お
よび右揺動防止バネ57が配置されることで、揺動アクスル60の不必要な揺動を防止す
ることができる。
【0054】
なお、揺動アクスル60を上下方向に変位させる変位機構45は、車体2の左右方向に
延びる軸を中心に揺動自在な揺動ブラケット46と、揺動ブラケット46を揺動させる揺
動シリンダ50とを有して構成される。これにより、作動範囲の少ないコンパクトな構成
で、揺動アクスル60を格納位置と張出位置とに変位させることができる。
【0055】
また、作業現場で高所作業を行うとき、左揺動ロックシリンダ51および右揺動ロック
シリンダ52はそれぞれ所定の揺動可能位置から揺動規制位置まで伸長作動して、揺動ア
クスル60の左シャフト支持部62および右シャフト支持部67に当接し、張出位置に位
置した揺動アクスル60の揺動を規制する。このように、左右の揺動ロックシリンダ51
,52により揺動アクスル60の揺動が規制されると、架装物(高所作業装置等)が4点
支持される形態となるので、軌道走行時の走行安定性を維持しつつ、軌道上で停止したと
きの車体2の支持安定性を向上させることができる。また、左揺動ロックシリンダ51お
よび右揺動ロックシリンダ52は、車体2と揺動アクスル60との間に介在するため、周
囲の安全確認を要することなく、左右の揺動ロックシリンダ51,52を作動させること
ができる。そのため、運転キャブ2a内や作業台(図示せず)からの操作や車両制御シス
テムによる自動化も可能となり、作業効率の改善に寄与できる。
【0056】
また、左揺動ロックシリンダ51および右揺動ロックシリンダ52は、揺動アクスル6
0の揺動を規制する揺動規制位置と、揺動アクスル60の揺動を可能にする揺動可能位置
との間で伸縮自在に構成されることで、揺動アクスル60の揺動を規制する状態と揺動ア
クスル60の揺動を可能にする状態の切換を容易に行うことができる。なお、作業が終了
すると、左揺動ロックシリンダ51および右揺動ロックシリンダ52はそれぞれ揺動規制
位置から揺動可能位置まで縮小作動して、揺動アクスル60の左シャフト支持部62およ
び右シャフト支持部67から離れ、張出位置に位置した揺動アクスル60の揺動を可能に
する。
【0057】
上述の実施形態において、左軌間固定カラー72(右軌間固定カラー82)は、円筒形
状を円周方向に2分割した第1分割部材73および第2分割部材74から構成されるが、
これに限られるものではなく、例えば、円筒形状を円周方向に3分割した3つの分割部材
から構成されてもよく、複数の分割部材から構成されていればよい。左軌間固定カラー7
2(右軌間固定カラー82)が2つの分割部材から構成される場合、2つの分割部材を結
合させる力は、分割部材の結合方向と平行な一方向に作用する。そのため、円錐状の傾斜
部に作用する力、すなわち、左後鉄輪75(右後鉄輪85)と左シャフト支持部62(右
シャフト支持部67)との間隙部を押し広げる力は、2つの分割部材の結合部で最も小さ
く、結合部から離れた中間部分で大きくなり、場所によって偏りが生じる。これに対し、
3つ以上の分割部材を用いるようにすれば、各分割部材を結合させる力が複数の方向に向
くため、左後鉄輪75(右後鉄輪85)と左シャフト支持部62(右シャフト支持部67
)との間隙部を押し広げる力を均等にすることができる。
【0058】
上述の実施形態において、第1分割部材73および第2分割部材74の一端に第1内側
傾斜部73a,74aが形成され、第1分割部材73および第2分割部材74の他端に第
2内側傾斜部73b,74bが形成されているが、これに限られるものではなく、第1分
割部材73および第2分割部材74の一端もしくは他端にのみ、前述のような内側傾斜部
が形成されてもよい。
【0059】
上述の実施形態において、左右の揺動ロックシリンダ51,52が、張出位置に位置し
た揺動アクスル60の揺動を規制するように構成されているが、これに限られるものでは
ない。例えば、張出位置に位置した揺動アクスル60の揺動を規制する揺動ロック手段と
して、揺動アクスル60の左シャフト支持部62および右シャフト支持部67にそれぞれ
当接可能な左右の揺動ロック部材と、左シャフト支持部62および右シャフト支持部67
に当接する揺動規制位置と左シャフト支持部62および右シャフト支持部67から離れる
揺動可能位置との間で、左右の揺動ロック部材をそれぞれ回動させるロータリーアクチュ
エータとが用いられるようにしてもよい。
【0060】
上述の実施形態において、略M字状の揺動アクスル60に形成された開口空間Sに、左
揺動防止バネ56および右揺動防止バネ57が配置されているが、これに限られるもので
はなく、例えば、揺動防止シリンダが配置されてもよく、揺動アクスル60の不必要な揺
動を防止するように構成されていればよい。
【0061】
上述の実施形態において、変位機構45は、車体2の左右方向に延びる軸を中心に揺動
自在な揺動ブラケット46と、揺動ブラケット46を揺動させる揺動シリンダ50とを有
して構成されているが、これに限られるものではなく、例えば、揺動アクスル60を上下
方向にスライド移動させるように構成されてもよく、揺動アクスル60を格納位置と張出
位置とに変位可能な構成であればよい。
【0062】
上述の実施形態において、左右の後鉄輪75,85が揺動アクスル60に支持されてい
るが、これに限られるものではなく、左右の前鉄輪25、35が揺動アクスルに支持され
て、揺動アクスルの揺動を伴って左右の前鉄輪25、35が上下方向に移動することによ
り、レール(軌道)R上の左右の高低差に左右の前鉄輪25、35が追従するように構成
されてもよい。