(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5844635
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20151224BHJP
C12G 3/00 20060101ALN20151224BHJP
【FI】
G01N27/46 353
!C12G3/00
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-286569(P2011-286569)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-134222(P2013-134222A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】米田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 善三
【審査官】
黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−260177(JP,A)
【文献】
特開平04−176303(JP,A)
【文献】
特開平09−222375(JP,A)
【文献】
特開平05−080009(JP,A)
【文献】
特開平09−236566(JP,A)
【文献】
特開2004−325117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
G01N 33/00−33/46
G01N 1/00−1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性アルコール飲料のpH値を測定する測定装置であって、
発泡性アルコール飲料をサンプリングするサンプラーと、
前記サンプラーによってサンプリングされた発泡性アルコール飲料から炭酸ガスを除去する炭酸ガス除去ユニットと、
前記炭酸ガス除去ユニットによって炭酸ガスが除去された発泡性アルコール飲料のpH値を測定するpH計と、
前記サンプラーに供給され前記サンプラーから排出された洗浄液が前記炭酸ガス除去ユニットに供給され、前記炭酸ガス除去ユニットから排出された前記洗浄液が前記pH計に供給されるよう前記サンプラーに前記洗浄液を供給し、これによって前記サンプラー、前記炭酸ガス除去ユニットおよび前記pH計を洗浄する洗浄ユニットと、を備え、
前記炭酸ガス除去ユニットは、減圧容器と、発泡性アルコール飲料を通過させるように前記減圧容器の中に配置されたチューブと、前記減圧容器の内部空間を減圧するポンプとを含み、前記チューブを構成する膜は、炭酸ガスを透過させるが液体を透過させないように構成され、前記炭酸ガス除去ユニットは、前記チューブを流れる発泡性アルコール飲料から前記膜を通して前記内部空間に炭酸ガスを吸い出すことにより該炭酸ガスを除去するように構成され、
前記洗浄ユニットは、前記炭酸ガス除去ユニットの前記ポンプが動作した状態で前記炭酸ガス除去ユニットに前記洗浄液が供給されるように、前記サンプラーに前記洗浄液を供給する、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記炭酸ガス除去ユニットは、前記チューブを流れる発泡性アルコール飲料の流量を制御する流量制御器を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記サンプラーは、前記内部空間が目標レベルまで減圧された後に前記炭酸ガス除去ユニットに対して発泡性アルコール飲料を供給する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記ポンプは、前記サンプラーの起動に従って起動される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性アルコール飲料のpH値を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールなどの発泡性アルコール飲料の品質管理のために、そのpH値が測定されうる。しかしながら、発泡性アルコール飲料は、炭酸ガスを含有するので、そのままでpH値を測定すると、含有炭酸ガス量に応じてpH値が変動してしまうので、これを品質管理の指標として使うことは好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−160195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、発泡性アルコール飲料から炭酸ガスを除去した後にpH値を測定することが考えられるが、発泡性アルコール飲料が入った容器を振るなどしてそれを行うことは、煩わしい上に作業が非効率的である。
【0005】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、発泡性アルコール飲料のpH値を同一条件で効率的に測定するために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発泡性アルコール飲料のpH値を測定する測定装置に係り、前記測定装置は、発泡性アルコール飲料をサンプリングするサンプラーと、前記サンプラーによってサンプリングされた発泡性アルコール飲料から炭酸ガスを除去する炭酸ガス除去ユニットと、前記炭酸ガス除去ユニットによって炭酸ガスが除去された発泡性アルコール飲料のpH値を測定するpH計と、前記サンプラーに供給され前記サンプラーから排出された洗浄液が前記炭酸ガス除去ユニットに供給され、前記炭酸ガス除去ユニットから排出された前記洗浄液が前記pH計に供給されるよう前記サンプラーに前記洗浄液を供給し、これによって前記サンプラー、前記炭酸ガス除去ユニットおよび前記pH計を洗浄する洗浄ユニットと、を備え、前記炭酸ガス除去ユニットは、減圧容器と、発泡性アルコール飲料を通過させるように前記減圧容器の中に配置されたチューブと、前記減圧容器の内部空間を減圧するポンプとを含み、前記チューブを構成する膜は、炭酸ガスを透過させるが液体を透過させないように構成され、前記炭酸ガス除去ユニットは、前記チューブを流れる発泡性アルコール飲料から前記膜を通して前記内部空間に炭酸ガスを吸い出すことにより該炭酸ガスを除去するように構成され、前記洗浄ユニットは、前記炭酸ガス除去ユニットの前記ポンプが動作した状態で前記炭酸ガス除去ユニットに前記洗浄液が供給されるように、前記サンプラーに前記洗浄液を供給する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発泡性アルコール飲料のpH値を同一条件で効率的に測定するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好適な実施形態の測定装置の構成を示す図。
【
図2】
図1に示す測定装置における炭酸ガス除去ユニットの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態の測定装置について説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態の測定装置100の構成を示す図であり、
図2は、
図1に示す測定装置100における炭酸ガス除去ユニット20の構成例を示す図である。
【0010】
測定装置100は、ビール、発泡酒、発泡性ワインなどの発泡性アルコール飲料のpH値を測定することができるように構成されている。
図1に例示されるように、測定装置100は、サンプラー10と、炭酸ガス除去ユニット20と、pH計30とを備えうる。サンプラー10は、発泡性アルコール飲料をサンプリング(抽出)し、炭酸ガス除去ユニット20に供給する。サンプラー10は、発泡性アルコール飲料を炭酸ガス除去ユニット20に供給するための供給ユニット、例えば、ポンプ、圧力源、又は、圧力源から圧力を受けるための圧力ラインを有しうる。炭酸ガス除去ユニット20は、サンプラー10によってサンプリングされた発泡性アルコール飲料から炭酸ガスを除去する。pH計30は、炭酸ガス除去ユニット20によって炭酸ガスが除去された発泡性アルコール飲料のpH値を測定する。炭酸ガスが除去された発泡性アルコール飲料のpH値をpH計30によって測定することによって、同一条件(即ち、炭酸ガスが除去された条件)で効率的に発泡性アルコール飲料のpH値を測定することができる。
【0011】
図2に例示されるように、炭酸ガス除去ユニット20は、減圧容器22と、発泡性アルコール飲料を通過させるように減圧容器22の中に配置された1又は複数のチューブ24と、減圧容器22の内部空間を減圧するポンプ26とを含みうる。ここで、チューブ24を構成する膜は、炭酸ガスを透過させるが液体を透過させないように構成されうる。チューブ24は、例えば中空糸膜でありうる。典型的には、炭酸ガスの除去効率を高めるために、複数のチューブ24が束ねて配置されうる。
図2に示す例では、炭酸ガス除去ユニット20は、チューブ24を流れる発泡性アルコール飲料からチューブ24を構成する膜を通して減圧容器22の内部空間に炭酸ガスを吸い出すことにより該炭酸ガスを除去する。
【0012】
炭酸ガス除去ユニット20は、チューブ24を流れる発泡性アルコール飲料の流量を制御する流量制御器27を含むことが好ましい。チューブ24を流れる発泡性アルコール飲料の流量を制御することにより、過剰な発泡性アルコール飲料が流れることに起因して炭酸ガスの除去不良が発生することを防止することができる。
【0013】
サンプラー10は、炭酸ガス除去ユニット20の減圧容器22の内部空間が目標レベルまで減圧された後に炭酸ガス除去ユニット20に対して発泡性アルコール飲料を供給するように構成されることが好ましい。例えば、減圧容器22の内部空間の圧力を検知するための圧力計28が炭酸ガス除去ユニット20に組み込まれうる。サンプラー10は、圧力計28から提供される圧力が目標レベルを下回った後に炭酸ガス除去ユニット20に対して発泡性アルコール飲料を供給するように構成されうる。このような構成は、炭酸ガスの除去不良が発生することを防止するために効果的である。炭酸ガス除去ユニット20のポンプ26は、サンプラー10の起動に従って起動されることが好ましい。
【0014】
測定装置100は、発泡性アルコール飲料のpH値の測定の終了後にサンプラー10、炭酸ガス除去ユニット20およびpH計30を洗浄する洗浄ユニット40を備えることが好ましい。洗浄ユニット40は、例えば、サンプラー10のサンプリング部(発泡性アルコール飲料をサンプリングする部分)に洗浄液(例えば純水)を供給するように構成されうる。サンプラー10のサンプリング部に供給された洗浄液は、サンプラー10から炭酸ガス除去ユニット20、更にはpH計30に供給され、pH計30から排出され、これによってサンプラー10、炭酸ガス除去ユニット20およびpH計30が洗浄されうる。
【0015】
洗浄ユニット40は、例えば、炭酸ガス除去ユニット20のポンプ26が動作した状態で、発泡性アルコール飲料に代えて洗浄液が炭酸ガス除去ユニット20に供給されるようにサンプラー10に洗浄水を供給することが好ましい。これにより、チューブ24を効果的に洗浄することができる。なお、洗浄ユニット40は、炭酸ガス除去ユニット20に対して直接に洗浄液を供給するように構成されてもよい。